プロジェクションマッピング制作

今回は前者の方法で作成した。
プロジェクションマッピング制作
大熊 雅功
大冨 一槻
岡田 高久矢 小山 紘明
1.まえがき
私たちは動画制作にあたって動画をさまざま
なところに映し出して演出していきたいと思っ
た。そこで CM やイベントで最近よく話題になっ
ている、プロジェクションマッピングという技法
により動画を制作することに決めた。その後、ど
のような動画を制作するか、デザイン・配色・撮
影する場所等を考え、そして iPad のアプリ
DynaMapper による制作と、PC のソフト Adobe
図 1 iPad による投影方法
After Effects による制作に分かれて作業を進め
ていくことにした。
2.原
理
プロジェクションマッピングは、建造物などの
立体的な対象物をスクリーンに見立て、パソコン
などで作成した映像をプロジェクターによって、
(対象物に正確に合わせて)投影する技術である。
これにより、映す対象そのものが発光していたり、
形が変わったり、透けたりしているかのように見
せることができる。特に建造物などの大規模なも
のは圧巻で、音楽や効果音が加わることによって
図 2 PC による投影方法
空間そのものをデザイン・演出してしまう。その
仮想と現実が入り交じったような迫力のある映
3.研究内容
像には思わず見入ってしまうだろう。投影する対
(1)初めの作業
DynaMapper による制作班は操作に慣れ、使い
象は建造物だけでなく、家具や部屋全体、人体も
映す対象になる。
こなせるようにすることから始めた。
DynaMapper はプロジェクターで投影し、対象物
動画の作成方法は次のような方法がある。
(1)写真や画像を撮影し補正する方法
に直感的にオブジェクトを合わせることで制作
画像を作成・撮影しそれを加工して実際にプロ
していく。まずは段ボールに投影した。特に難し
ジェクションしながら対象のパーツに合わせて
い技術を必要としないので、すぐに作ることがで
位置取りを行う方法。一般的なプロジェクション
きた。注意すべき点は、対象物に正確に合わせな
マッピングに使われる。
ければいけないという点と画像を切り替えるこ
(2)3D でデータをモデリングする方法
としか出来ない点であった。
図面等のデータを 3D やレーザースキャナーで
Adobe After Effects による制作班も操作に慣
モデリングを行い、三次元情報を取り込む方法。
れ、使いこなせるようにするところから始めた。
3D プロジェクションマッピングに使われる。
投影する対象は車に決め、参考書を読みながら制
1
作していったが、よくわからないところが出たた
め、インターネットで調べて作っていった。Adobe
After Effects による制作は、さまざまな演出をす
ることができるが、作成するのは難しく、技術の
習得と理解に時間がかかった。
図 4 2D ライトフロー
② 燃える演出
初めにレイヤーにフラクタルノイズという
エフェクトを付けた。これは炎のベースとなり、
x=position[0]; y=(time*-200); [x,y];という値を
付けた。これは炎の昇るスピードを設定した値
である。「time*360」と設定して 1 秒でループ
図 3 Adobe After Effects での作業の様子
するようにもした。それに炎の早さのためにレ
(2)素材・演出の作成
ベルというエフェクトを付け、変化量(揺らめ
次に、DynaMapper の動画に使用する音楽・画
き)には波形ループというエフェクトを付けた。
像を用意していった。音源は Apple のフリー素材
これらを設定することで本物に近くすること
やサイトから試聴して制作する動画のイメージ
ができた。次に炎の色・明るさをトライトーン
に合うものを選んだ。画像は PC のソフトのペイ
というエフェクトから設定した。エフェクトを
ントで手分けして作成した。水玉ドット・幾何学
付ける順番を変えると効果が変わることをそ
的な模様などたくさんの素材を用意することが
のときに学んだ。これに車のレイヤーを重ねて
できた。
完成させた。
さらに Adobe After Effects の動画に使用する
ために、次のような演出を作成していった。Adobe
After Effects は複数のレイヤーを重ねて一つの
レイヤーとすることで演出を作成する。
① 2D ライトフロー
2D ライトフローとは簡潔に説明すると光の
線である。初めにベースとなる車の写真を切り
取り、外枠に沿ってラインを引いていった。次
図 5 燃える演出
にラインに沿って光を動かすようにするため
にベガスという光のエフェクトを付けた。この
③ 流れる雲の演出
ときにループする早さを決めるため、
初めにフレグタルノイズというエフェクト
「time*216」という値を付けた。この値は 0.6
を付け、コントラストと明るさを調整し、雲を
秒で外枠に沿ったラインを 1 周するように設定
作った。それを 3D レイヤーにチェックをして
した早さである。そこにグローというエフェク
トランスフォームの値を空を見上げているよ
トを付け、残像が残るようにして光の線になる
うにするために x 軸の値を調整した。次にカラ
ようにして完成させた。
ーカーブというエフェクトを付け、青のグラデ
ーションをかけて空のレイヤーを作った。雲と
空のレイヤーを重ねてモーションを付けた。雲
2
のレイヤーにあるサブ設定の「サブのオフセッ
した。その後、暗くなってから発表用の動画を撮
ト」と「展開」を設定した。サブのオフセットで
影した。
流れるスピードを、展開で雲の変化量をプレビュ
ーで確認しながら調整していった。最後に車のレ
イヤーと合わせて完成した。
図 6 流れる雲の演出
図 8 撮影の様子
(3)映像の投影
Adobe After Effects 制作班は写真を撮った車
DynaMapper 制作班は変化のある建造物とし
に映した。少しずつ調整しながら今までに作成し
て、階段を選び、そこに投影した。初めにそれぞ
た 2D ライトフロー・炎の演出・雲の演出を車に
れの撮影場所の位置取りをした。プロジェクター
重なるようにして映していった。しかし、投影す
を置く場所や、オブジェクトの配置を考えて準備
る距離が思っていたより必要だったため、場所を
した。また演出方法について試行錯誤し、決定し
確保するのに手間取った。さらに動画のサイズが
ていった。DynaMapper は画像の切り替えや点滅
合わないという問題があったが、その問題は距離
を人の手でしなければならないので、曲や人間の
をとって対処した。それぞれの演出を映していっ
動作にタイミング合わせる練習を必要とした。
た結果、2D ライトフローは見えにくい、燃える
演出は特に問題点はなく、流れる雲の演出はプロ
ジェクターの光量不足のためか、流れているかが
わからなかった。
4.まとめ
今回の課題研究では階段、車に投影したが、実
際に投影してみるだけでも魅力的で、さまざまな
アイデアやイメージが出てきた。また、物に投影
するだけではなく、人も一緒に投影みるのもいい
ということを話し合い決めた。DynaMapper によ
る演出は人の手によるところが多いので練習は
図 7 オブジェクトの配置
多めにやっておかなければならないということ
も話し合った。Adobe After Effects による演出も
階段へ投影するための準備として段差ごとに
オブジェクトを合わせて画像を張り付けていっ
実際に投影してみて、車は立体的なものなので、
た。色はカラフル且つ、配色配列の変化を鮮明に
映像が映らないところがあることや、車の色に同
するようにした。また階段を登っていく、または
化するなど考えなければならない点があること
降りていくときに、それぞれの段差が点滅するよ
も知り、実際に投影してみなければわからないこ
うな演出にした。さらに壁や掃除用具入れは iPad
とばかりで、準備ばかりではダメだということを
をタッチすることで別の画像が映されるように
知った。
3
URL http://ae-style.net/tutorials/
5.あとがき
iPad で作品を作ったことがなかったため、
DynaMapper の仕様に慣れておらず、最初は苦労
したものの、階段に投影するためのオブジェクト
の配置をすることができた。しかし、プロジェク
ターの配置、他のエフェクトの使用や対象物への
投影、そしてパフォーマンス等の練習など、まだ
まだ工夫の余地があるため、これからも努力して
いきたい。
(大冨)
動画の編集作業には慣れていたので、軽い気持
ちで作業をしていたが、実際にやってみると操作
が難しく、最初のうちはなかなか CG 作成が進ま
なかった。チュートリアルからコツコツと地道に
作業をしていった結果、なんとか1つ、CG を作
成することができた。だんだん慣れてくると、テ
キパキ作業が進むので楽しかった。完成したCG
で試しに投影してみたが、大きさが足りず、作り
直す事になってしまった。初めての事なので、な
かなか上手くいかないことが多かった。しかし、
その分楽しめたのでよかったと思う。 (小山)
私は Dynamapper を使ってプロジェクション
マッピングをした。初めは動画を撮影して、読み
込ませようと思ったが、Dynamapper は動画を読
み込むことができないので、画像を動かして動画
のように見せるようにした。苦労したことは、ア
イデアが浮かばず、ただ時間だけが進んで、なか
なか作成にとりかかれなかったことが大変だっ
た。よかったことは、実際に作品を投影してうま
く投影できたことだ。
(岡田)
私は iPad による動画作成はおろか、本格的な
動画を作ったことがなかったため、制作には時間
がかかった。しかもプロジェクションマッピング
という初めての技術を用いての作成だったため
不安だった。しかし、想像していたよりも簡単に
作業に取り組むことができ、作品を作ることがで
きた。だが、お互いに意見を出し合い、動画を作
り上げて投影したときは喜びがわきあがった。
(大熊)
6.参考文献
After Effects Style 初心者から始める After
Effects の使い方
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