マンスリーレポート2014年9月 - おきなわ証券は

9
Vol.156
9.1/ 2014
証券アナリスト
杉谷 崇
MONTHLY REPORT
September
《マーケット フォーカス》
− はじめに −
1.IMFの最新の世界経済の見通し
8.資金決済で人民元を使用する動きが広がる
9.注目度が増している「格安スマホサービス市場」
2.欧州の「マイナス金利」が日本の金融市場に波及
3.大型株の一部を対象に売買単位を小さくする
《トピックス》
4.世界の企業が社債発行を増加させている
1.2015年度予算編成の基本方針を決定
5.「先進安全自動車」が新車開発の潮流に
2.日本木材に注目度が高まる
6.コンビニ大手5社の国内シェアが初めて9割超に
3.BRICS5ヵ国が独自の開発銀行の設立で合意
7.「ウォン高」が韓国経済を直撃
4.「観光立国」関連銘柄にスポット
はじめに
◆マクロ経済と乖離する企業業績
日本株はウクライナ等の外部要因で、一時
15,000円台を割ったが、それなりに底堅さを
日本株の底堅さは続くと予想
−市場の注目は米国の「金融緩和の出口戦略」−
◆米国の「QE3」終了後に注目
米国の量的金融緩和政策が10月に終了、その
後の「出口戦略」が市場の注目を集めている。
◆中国の家電販売にブレーキ
拡大路線を突き進む中国家電大手にブレーキ
がかかり始めた。住宅販売の低迷のあおりで、
保っている。日本経済は輸出や生産など、マク
イエレンFRB議長が7月2日のIMF会合で、「金
ロ指標が低迷する半面、企業業績が堅調であ
融政策は万能ではない事に言及、金利調節によ
スに転じる見通し。調査会社によると、1-6月の
る事が日本株にプラスとなっている。
る市場安定化の努力は、結果として物価や雇用
国内テレビ販売台数は9%減の2,083万台と予
以前なら米国株が下げれば、日本株もそれ
のボラティリティを押し上げる」との認識を示した。
測。通年でも4%減の4,564万台に留まる見通し。
につられ下がるが、様相が異なってきた。その
FRBの金融政策は、インフレ率などを含め十分
前年割れはリーマン危機後の2009年以来となる。
要因の1つは為替。米国株が急落すれば、リス
に景気回復傾向が確認されるまでは、緩和的な
クオフの円高が進み、日本株は下落した。
政策を継続する方針を堅持し、「ソフトランディン
でもある。2013年5月まで続いた補助金政策が
グ」を目指すとみられる。緩和政策の長期化はド
需要の先食いをしたとみられる。農村部におけ
期の経常利益は、前年同期比2%増で7四半
ル安要因だが、日銀がFRBを上回るペースでの
るカラーテレビの世帯普及率は2005年で84%。
期連続の増益となっている。
量的・質的緩和を継続している事や、過剰流動
2012年には117%と「1家に1台」以上の水準に。
性相場の長期化によるリスクオンムードは、ドル
また、中国メーカーの低価格戦略も壁に突き当
安よりも円安バイアスを強めると思っている。
たる。その主な要因は中国の安い人件費だが、
2つ目は堅調な企業業績。上場企業の4-6月
マクロのデータでみれば、輸出や生産は低
迷しているが、個別の輸出企業の業績は堅調。
この「ギャップ」の要因は海外現地生産の拡大。
過去、FRBは1984年頃から金融緩和を進め、
中国の2014年のテレビ販売は、5年ぶりにマイナ
今回の家電販売の不振の要因は政策の問題
最近では賃金が毎年1割ほど上昇している。
輸出は減っているが、海外販売は堅調で、連
1986年より引き締めに転じたが、1987年にブラッ
また、賃金上昇は輸出にも及んでいる。5月の家
結ベースの業績でみれば拡大している。日本
クマンデーが起きた。その後、1989年頃から再び
電輸出額は前年同期比4%減となっている。
経済を考えれば、海外生産比率の拡大と輸出
緩和を進めた後、1994年より引き締めに転じ、
低迷はネガティブな影響を与える。また、円安
1997年のアジア通貨危機となった。更に2001年
は輸出企業にプラスだが、日本のエネルギー
からの緩和政策は2004年に引き締めに転じたが、 証はなくなりつつある。中国家電大手は試練の
価格は上昇する。輸出企業の業績改善の波
2007年のサブプライムショックに繋がった。2014
時を迎えている。日本企業にとっても、中国家電
及効果は大きいが、日本経済全体に好影響を
年、FRBは政策転換するが、これが、次のショッ
市場の不振は、他山の石とは言えず、今後の中
及ぼすパワーがあるのか注視する必要がある。
クの始まりになる可能性もあり注意が必要。
国市場の動向に注意が必要だと思われる。
人口13億人が支える内需は底堅いとはいえ、
家電メーカーが従来のやり方で、生き残れる保
IMFの最新の世界経済の見通し
1
−2014年の世界全体の実質成長率は年率3.4%−
◇米国、中国や新興国・途上国の成長鈍化が響く
国際通貨基金(IMF)の最新の世界経済見通しによると、2014年の実
◇地政学的リスクや原油価格急騰などを想定
一方、IMFは複数の下振れリスクを前提に、世界の成長は長期にわたり
質成長率は3.4%と、4月時点の予測から0.3ポイント下がった。米国と中
一段と弱まる可能性があると指摘する。特に、中東のシリアやイラク、ウク
国及び一部新興国の経済軟調や途上国の成長鈍化が響くため。
ライナ紛争がもたらす地政学的リスクの高まりや、原油価格急騰などのシ
ただ、2014年の世界成長率は下方修正とはいえ、現時点では2013年
の実績を上回っている。IMFは、米国経済が今年1-3月期の大幅なマイ
ナリオが現実味を帯びかねず、成長を下押しする可能性があるとした。
また、IMFは「金利が異常に低い水準で推移し、財政緊縮や厳しい金融
ナス成長から、春以降に成長の勢いが戻ると分析している。中国も当局
情勢による、経済への悪影響が和らいでいるにもかかわらず、需要の勢
による小刻みな財政刺激策が景気を下支えするとの見方を示した。IMF
いに堅調さが出てこない」とし、主要先進国に政策金利を低く維持する事
は、2015年は4.0%成長と4月の予想を据え置いている。
を求め、米国の金融反転リスクにも言及している。
IMFの世界経済の見通し
2014年
2015年
世界全体
3.4(▲0.3)
4.0( 0.0)
先進国・地域
1.8(▲0.4)
日 本
2014年
2015年
新興・途上国
4.6(▲0.2)
5.2(▲0.1)
2.4( 0.1)
中 国
7.4(▲0.2)
7.1(▲0.2)
1.6( 0.3)
1.1( 0.1)
ロシア
0.2(▲1.1)
1.0(▲1.3)
米 国
1.7(▲1.1)
3.0( 0.1)
ブラジル
1.3(▲0.6)
2.0(▲0.6)
ユーロ圏
1.1( 0.0)
1.5( 0.1)
南アフリカ
1.7(▲0.6)
2.7( 0.0)
ドイツ
1.9( 0.2)
1.7( 0.1)
フランス
0.7(▲0.3)
1.4(▲0.1)
イタリア
0.3(▲0.3)
1.1( 0.0)
(出所) IMF
(注) 単位:%、ポイント
カッコ内は2014年4月予想との乖離
欧州の「マイナス金利」が日本の金融市場に波及
2
−業者間取引で一時マイナス0.002%と初のマイナス金利に−
◇7月以降、短期金利は3ヵ月物で利回り「ゼロ」
◇民間による新たな「資金需要」が今後の課題
欧州の「マイナス金利」の影響が、日本の金融市場に波及してきた。
日銀は金融緩和の手段として市場から短期国債の大規模買いを続け、
ECB(欧州中央銀行)は6月5日、金融機関がECBに預ける余剰資金に
短期国債の市場発行額の内、約3分の1を保有。市場では短期国債の不
手数料を課す「マイナス金利」の導入を決定した。
足感が強まり、5年物や10年物国債などの利回りにも低下圧力がかかる。
その結果、欧州でマイナス金利を避けたい資金が、日本の短期市場
「マイナス金利」では、民間銀行が中央銀行にお金を預けると目減りす
に流入。7月に入札を実施した3ヵ月物短期国債の465回債が、入札前
るため、資金が市場に流れ出して、景気を刺激するのが狙いだが、金融
の取引でマイナス金利をつけ(入札での平均落札利回りは0.0182%)、
機関は現金保持という選択肢がある以上、貸し倒れリスクまで加味して、
8年5ヵ月ぶりの低水準となった。 7月以降、日欧の中銀による金融緩和
それより不利な貸し出しには手を広げない。実物経済への資金の流れを
の影響で短期国債は新発3ヵ月物で利回り「ゼロ」と金利低下が目立つ。
増やすには、民間が新たな資金需要をつくるしかない。
「マイナス金利」の最近の状況
欧州から日本へ「マイナス金利」の影響が飛び火してきている
7月4日
7月10日
ヵ月物の流通利回り、
一時ゼロ%
ヵ月物の流通利回り、
初のマイナス
オランダ:
1ヵ月物一時マイナス
1
日本の短期国債も金利低下が加速
6月23日
より高い金利を求めて日本へ
6月13日
ベルギー:
ヵ月物一時マイナス
6月6日
ドイツ:
1ヵ月物の流通利回りマイナス
︵
欧州債でマイナス金利相次ぐ︶
銀行:ECBに預ける余剰資金
に
手数料
ECBがマイナス金利政策の導入
決定
欧州の短中期債へ投資
6月11日
銀行:ECBから余剰資金を引き出し
新たな預け入れを見送り
6月5日
3
3
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
3
大型株の一部を対象に売買単位を小さくする
−買値と売値の差が縮小し、値動きが細かくなるという結果が出る−
◇機関投資家は歓迎するが個人投資家には逆風
東証一部上場の主要銘柄の値動きが、7月22日から10銭単位と50銭
◇東証は2015年9月に新システムを導入する予定
株価形成への影響を見極めるには、もう少し時間を要するが、対象80
単位に変わった。株価3,000円超の一部銘柄を対象に実施した1月に続
銘柄のうち、4割にあたる33銘柄で売買代金が増えた。東証による効果
く「第2弾」。今回は時価総額が大きい「TOPIX100」銘柄のうち、1,000円
の検証では、主要10銘柄で「買値」と「売値」の差をみると、平均0.04%
以下の株価の刻みが1円から10銭、1,000-5,000円以下は1円から50銭
前後となっており、変更前の約0.15%から縮まったとしている。
に変わった。株価形成のきめ細やかさは欧米に見劣りしなくなった。
機関投資家は、「より公正な価格で売買が成立する可能性が高まっ
機関投資家は、「適正株価を探す市場の機能が向上した」と指摘する
が、「板が薄くなってやりにくくなった」と、短期売買をする個人投資家の
た」と評価する半面、短期売買を繰り返して値ざやを稼ぐ個人投資家は、
声もある。東証は2015年9月に新システムの導入を予定。株価形成や売
「取引の手掛かりがつかめない」と余り歓迎していない模様。
買動向を見ながら対象銘柄を拡大するかどうか判断するとしている。
「TOPIX100」採用銘柄の株価単位の変更内容
株価水準
株価単位
変更前
7月22日以降
10万円超∼50万円以下
50円
5万円超∼10万円以下
10円
1万円超∼ 5万円以下
5円
5,000円超∼ 1万円以下
1円
1,000円超∼ 5,000円以下
1円
50銭
1,000円以下
1円
10銭
変わらず
(出所) 東京証券取引所
世界の企業が社債発行を増加させている
4
−1-6月の発行額は1兆7,700億ドルと前年同期比8%増に−
◇日本企業の9割弱が1%以下の金利
世界の企業が社債発行を増加させている。日米欧など主要国の1-6月
◇社債の借り換えで金利負担が減る
先進国の銀行融資の残高は、昨年末で17兆1,700億ドルと、2008年
の発行額は1兆7,700億ドル(約180兆円)と前年同期比8%増えた。7-12
以降ほぼ横ばいが続く。逆に社債発行額は融資の半分を超えた。格付
月も同規模で発行されれば、年間での発行額は過去最高となる。
けがダブルB以下の投機的な「ジャンク債」も人気が高まっている。
日米欧の中央銀行によると、2013年末の発行残高は、9兆2,200億ドル
金融緩和の長期化がバブルを生み出す副作用も意識され始めた。
と過去最高を記録。償還分を考慮しても、2014年中に残高が10兆ドルを
FRBのイエレン議長は、「信用力が低い企業向けの融資や高利回り社
突破する可能性がある。米アップルは120億ドルの社債を発行。社債金利
債が気がかり」と指摘する。一方、社債発行が拡大している背景には、
は世界の平均で2%台前半と過去最低の水準にある。日本では今年社債
低金利を生かして資金コストを引き下げ、財務改善につなげる狙いがあ
を発行した企業の9割弱が、1%以下の金利で資金を調達している。
る。過去に発行した社債の借り換えで金利負担が減る利点は大きい。
債券発行額の推移
兆ドル
2014年の年間発行額
は過去最高に
融資と社債残高の推移
兆ドル
20
融資
3
15
社債
2
10
1
5
0
2004年 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
0
4
(出所) トムソンロイター
(注) 2014年は上期分、緑は下期と上期の発行が同額と仮定
2004年 05
06
07
08
09
10
11
12
13
(出所) 日銀、FRB、ECBの集計
5
「先進安全自動車」が新車開発の潮流に
−小型や軽自動車が人気の国産車では先進安全車は広がっていない−
◇「先進安全自動車」で優位に立つドイツ車
◇高齢化で「先進安全自動車」のニーズが高まる
「先進安全自動車」が新車開発の潮流になってきている。前を走る車
小型や軽の人気が根強い国産車では「先進安全自動車」が広がって
を一定の間隔で追い、前方車がいなければ、設定した速度で走行する
いない。そうした中、富士重工は新型車「レヴォーグ」投入でオプション
機能を備えた車が人気。車線を保つ「レーンキープアシスト」機能や、
機能「アイサイト」を刷新。前方車と一定間隔を保つ機能の精度向上や
ヘッドライトの「ハイビーム」を対向車の位置に応じて照らす方向を変え
車線維持機能を初導入するなどドイツ車を追う。2015年以降にはトヨタ
るなど、自動車各社は「先進安全自動車」の高度化に凌ぎを削る。
やホンダなども普及価格帯車に「先進安全機能」を標準装備する予定。
先行するのは、高級車で優位に立つドイツ車。昨年、日本での販売が
自工会の2013年調査では、60歳以上の女性が「先進安全機能に非常
過去最高となったベンツは、「先進安全技術が好調の一因」と指摘する。
に魅力を感じる」と回答している。高齢化の進展で国産車にも「先進安
独アウディや独VWも購入者の約9割が「先進安全自動車」を購入する。
全機能」の搭載を求める声が高まるのは必至になると思われる。
先進安全車の2014年と2020年の予測
新車販売に占める「先進安全自動車」の比率は日本が先行
%
100
2014年
50
0
2020年
日本
米国
欧州
中国
(出所) 米ラックスリサーチ
(注) 先進安全自動車は前方車両追従、自動ブレーキ、車線逸脱時の警告などの機能を備えた自動車
6
コンビニ大手5社の国内シェアが初めて9割超に
−2013年度末の店舗数は5万3,008店−
◇ 2013年度のコンビニ全店売上高は9兆8,189億円
◇大手コンビニ5社間で収益力の格差が広がる
コンビニ大手5社の国内シェアが初めて9割超えた。2013年度のコン
大手コンビニ5社の間でも収益力の格差は広がっている。1店舗当たり
ビニ23社全店売上高は9兆8,189億円(前年度比4.6%増)。対して、大
の平均売上高は、セブンの66.4万円に対して、ローソン54.2万円、ファミ
手5社(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、
マ52.1万円に留まる。セブンとローソンの差は前年比1千円開いた。4位
ミニストップ)の合計売上高は8兆9,579億円と全体の91%に達した。
のサークルKは45.7万円と、セブンとの差は20万円以上となっている。
2013年度末の店舗総数は、前年比5.8%増の5万3,008店。市場飽和
ここにきてトップ3の寡占化が進む。サークルK地盤の東海地域(シェ
の目安とされる5万店を突破した。新規出店は4,480店と前年度比8.4%
ア1位)で、傘下のエリアフランチャイズ(FC)運営会社(2013年度鹿児島、
増加したが、2014年度の新規出店も、過去最高を更新する見通しで、
2014年京都など計210店)が相次いでローソンに鞍替えしている。今後、
コンビニ大手の出店競争は激しさを増している。
大手コンビニ間でのFC奪い合いに拍車がかかると予想される。
コンビニチェーンの売上高シェア
(2013年度)
その他
9%
ミニストップ
3.5%
サークルKサンクス
10.3%
セブン
38.5%
ファミマ
18.9%
大手コンビニでは
収益力の差が広が
りつつある
ローソン
19.8%
(出所) 2013年度コンビニ調査
(注) フランチャイズ契約を結ぶ大規模運営会社の売上高も含む
「ウォン高」が韓国経済を直撃
7
−主力の輸出企業の収益が悪化してきている−
◇4-6月期のウォンの平均相場は前年同期比9%上昇
通貨ウォンの上昇基調が続き、韓国経済が変調をきたし始めた。4-6
◇総額41兆ウォンの大型経済対策を実施
韓国の2014年4-6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0.6%増
月期のウォン平均相場は、1ドル=1,030ウォンと前年同期から9%上昇、
と5四半期ぶりの低水準。政府は景気下支えへ総額41兆ウォン(約4.1
主力輸出企業の収益を圧迫させている。
兆円)の大型経済対策を打ち出した。韓国銀行と連携し、政策を総動員
現代自の2014年4-6月期の連結純利益は、前年同期比7%減の2.34
して景気失速を防ぐ構え。経済対策は不動産市況の下支えを柱に、企
兆ウォン。世界販売台数は4%増えたが、ウォン高で採算が悪化した。
業が蓄えた資金を設備投資や人件費、配当に回すよう法改正も準備す
同社は中国・重慶など海外生産の拡大(2013年55%→将来約6割)を図
る。ただ、その経済対策にウォン高対策は盛り込まれていない。スマホ
る。サムスン電子もスマホ事業の減速にウォン高が重なり、4-6月期の連
市場で世界シェア31%のサムスンは、需要が低価格スマホに移る中、
結営業利益は、同24%減の7.2兆ウォンと9年ぶりの減収減益となった。
中国勢が急速に台頭するなど、前途に大きな壁が立ちはだかる。
ウォン相場の推移
韓国経済の現在の状況
韓国経済は「日本型不況」
の懸念が出てきている
1ドル=ウォン
1,000
輸 出
内 需
ウォン高が輸出企業を直撃
ウォン高
不動産市況の低迷
旅客船事故で自粛ムード
1,050
輸出型大企業の収益悪化
家計所得が減少へ
1,100
1,150
1,200
2011年
12
(出所) 韓国銀行
13
14
(注) 四半期平均
【企業の対策】
【政府の対策】
• 高付加価値製品にシフト
• 不動産取得規制の緩和
• 生産の海外移転
• 41兆ウォン規模の経済対策
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
資金決済で人民元を使用する動きが広がる
8
−中国との決済額に占める人民元のシェアは米ドルに次ぐ2位に上昇−
◇中国と他国・地域の資金決済額の人民元シェアは12%
貿易や投資に伴う資金決済で人民元を使用する動きが広がっている。
◇自国企業の為替リスク回避目的に人民元決済を推進
中国は自国企業が為替リスクに晒されるのを避けるため、人民元決済
中国と他国・地域との資金決済額に占める人民元のシェアは12%(5月
を推進する。2013年に人民元が国境を越える貿易で使われた決済額は、
時点)と、米ドルに次ぐ2位に浮上。特に資源やエネルギーの輸入が多
4兆6,300億元(約75兆円)と前年比約6割増加。アジアを中心に、世界
い中南米、中東間では、人民元決済比率が各66%、58%に上昇した。
20ヵ国以上(欧州圏含む)の通貨当局と自国通貨を相互に融通し合う通
製造業でも米フォードモーターが、中国の部品会社との取引で人民
貨交換(スワップ)協定を締結している。ただ、中国は人民元相場が制
元決済を開始。三菱東京UFJ銀行も日系自動車関連部品メーカー向け
御出来なくなる事を嫌い、投資など資本取引を厳しく管理し、人民元と
に人民元建て送金などに乗り出した。英HSBCの調査(世界1,300社対
外貨の自由な交換を認めていない。世界での人民元シェアは1.47%。
象)では、22%の企業が人民元決済を利用していると回答。
海外投資家から人民元が安全通貨と認知されるには課題が多い。
人民元の決済額の推移
中国の決済に占める人民元の比率
(2014年5月現在)
中国政府は人民元の規制緩和を進めている
中
億元
国
(世界から見た人民元の比率)
6,000
中 南 米
4,000
中
欧 州
東
(ユーロ圏)
2013年5月:7.7%
2014年5月:12.0%
66%
58%
29%
2,000
アジア太平洋
北
0
2012/1 4
7
10 13/1 4
7
米
23%
3%
10 14/1 4 6
(出所) CEIC
(出所) スイフト (注) 中国は香港を含む
注目度が増している「格安スマホサービス市場」
9
− MVNO(仮想移動体通信事業者)への関心が高まっている−
◇大手スーパーや家電量販店などが販売開始
◇我が国のMVNO契約件数は4%強に過ぎない
2013年時点では、我が国世帯の約2/3がスマホを保有している。ただ、
大手スーパーや家電量販店などは、格安SIMカードと端末のセット販
スマホは通信料金がフィーチャーフォン(携帯電話など)より、平均月額
売を開始した。購入者は、別途スマホ端末の入手など、面倒な手間が
料金で1.8倍と高額。こうした中で、出費を抑えてスマホを利用したい消
省ける事で、今年前半の代表的ヒット商品となっている。
費者をターゲットとした「格安スマホ」ビジネスに注目が集まっている。
大手携帯電話会社から回線を調達し、消費者に再販する「MVNO(仮
今後、政府はSIMロック(特定キャリアのみ利用可能とする制限)の解
除を義務付ける方針で、端末販売からサポートまで、一貫対応するキャ
想移動体通信事業者)」が提供するスマホ。これまで「SIMカード(電話
リア型サービスを志向する事業者も増える見通し。我が国のMVNO契約
番号を特定する固有IDの書き込み)」のみを販売するケースが多く、購
件数は、大手キャリア分を除くと、まだ4%強に過ぎず、MVNO先進国の
入者が通信設定などを自ら行う必要があったのがネックとなっていた。
10-15%と比べ低水準の状況で、今後の成長が期待される。
格安スマホサービスの仕組み
主な「格安スマホ市場」関連銘柄
1,090
会社名
株価
経常益
伸び率
予
PER
3754
エキサイト
1,090
19.5
27.5
1.21
インターネットメディアを展開
広告とコンテンツが2本柱。伊藤忠商事傘下
3774
I I J
2,289
11.6
23.7
1.76
インターネットの接続サービスや機器販売等
営業収入の8割をストック型が占める
3828
ニフティ
1,535
1.7
12.5
1.17
インターネット接続サービスの老舗。富士通系
Webサービスはクーポン配布等で事業拡大
3843
フリービット
1,623
10.7
55.2
5.25
ネットビジネスを支援、ユビキタス化事業も
2013年11月、格安スマホを立ち上げる
9419
ワイヤレス
ゲート
5,050
14.4
94.4
25.09
ワイヤレス・ブロードバンドサービスの提供
販売チャンネルはヨドバシカメラ等
9424
日本通信
746
69.3
80.2
29.72
無線データ通信のベンチャー企業
イオンと連携し格安スマホを販売
消費者
料金支払
格安スマホ
サービス提供
料金支払
提携
スマホ販売
小売・流通店舗
(イオンなど)
MVNO
(日本通信など)
料金支払
回線提供
PBR
MNO
(NTTドコモなど)
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
事業内容等
(注) 株価は8月25日終値 単位:円、%、倍
2015年度予算編成の基本方針を決定
TOPICS 1
−政府は最終的な予算を100兆円以下に抑える意向−
◇社会保障費を自然増加分(8,000億円)の範囲に
◇成長戦略を進めるための特別枠に約4兆円
政府は2015年度の予算編成の基本方針を決定した。新たな借金にあ
2015年度の予算の概算要求基準では、政策経費の4割強の社会保障
たる国債発行額は、2014年度予算(41.3兆円)を上回らないようにする。
費(2014年度は30.5兆円)の伸びを、高齢化による自然増加分(8,000億
予算総額は各省庁からの要求段階で、初めて100兆円を超える見通し。
円強)の範囲に抑え、地方交付金も財政健全化との整合性を重視する。
2015年度予算の編成に一定の制限をかけるのは、国と地方の基礎的
一方、6月にまとめた成長戦略を進めるための特別枠を約4兆円とする。
財政収支の赤字幅を名目国内総生産(GDP)比で、2010年度から半減
各省庁には公共事業や研究開発支援など使途の自由度が高い裁量的
させる国際公約があるため。国の一般会計だけでみれば、基礎的財政
経費(2014年度は14.7兆円)の1割カットを求めた後、各省庁はカットし
収支の赤字幅は、2014年度の18兆円→15兆円程度まで縮めなければ
た後の金額の3割を上限に、特別枠に予算を要望できる仕組み。
ならない事になる。国の借金が1,000兆円を超えており、そういう状況下
予算要求の総額は、特別枠などで2014年度当初予算の95.9兆円を上
で、新規国債の発行が増えれば、市場に不信感が広がる懸念がある。
回り、100兆円を初めて超える見通し。ただ、政府はこれらの要求を厳し
新規の国債発行が前の年度の当初予算額を下回れば2年連続となる。
く査定し、最終的な予算を100兆円を下回る規模にまで抑制する方針。
新規国債発行額と予算規模
兆円
新規の国債発行額が前年度の当初予算額
を下回れば2年連続に
45
40
国債発行
35
30
兆円
95
25
90
85
予算規模
80
75
0
2000年度
02
04
06
08
10
12
14
(出所) 財務省
(注) 各年度の当初予算ベース。2012年度は基礎年金国庫負担の増加分を含まず
日本木材に注目度が高まる
TOPICS 2
−木材工場は相次いで国産材の大型工場を建設−
◇「眠れる資源」の活用に動き出す
◇市場の国産材は「世界一安い価格」に
政府の成長戦略の「日本再興戦略」改訂版で、余り目立っていないが
国産材は価格面での魅力も高まっている。中国の買い付けや円安
「豊富な森林資源の循環活用」を打ち出した。政府は木材自給率(2012
で、外国産丸太価格が上昇し、国産に割安感が強まる。農林水産統
年は28.6%)を2020年に50%にする目標を立てている。政府は、成長戦
計では、製材用の6月の全国価格は、米ツガ丸太で1立方メートル2万
略の具体策でも、板材を張り合わせたパネルなどの普及を促している。
5,100円。国産の杉丸太は1万4,000円と44%安い。市場では国産材は
日本の森林は戦後の植林材が伐採期を迎え、国産材の供給の圧力が
強まっている。一方、木材価格は外国材が中国の買いなどで値上がり、
「世界一安い」価格となっている。また、外国材はロシア産や東南アジ
ア産で輸出規制が強まるなど、供給不安が起き易い難点もある。
国産材が世界一安くなっている。そういう中、木材業界は国産材の大型工
今後の課題は国産材の需要の開拓。日本は人口減で、住宅着工の
場を建設、「眠れる資源」の活用に動き始めている。今何故「国産材」なの
減少が予想され、需要を創出しないと国産材が売れない状況にある。
か。戦後の植林材が伐採期に入り、森林蓄積量(2012年)は、49億立方
需要創出で最大のカギを握るのは輸出。既に丸太の輸出は昨年、前
メートルと50年で2.6倍に急増している事が背景にあると思われる。
年比2.3倍の26万4,700立方メートルと過去最高に達している。
日本木材の自給率の推移
主な丸太の価格
国産材は世界で一番安くなっている
%
80
万円/1立方メートル
4
60
3
40
国産材
2
20
1
0
0
1965
75
85
95
2005
13
(出所) 林野庁
(注) シイタケ原木などを除く総需要量に占める国産材供給量
松
杉
檜
米松
米ツガ
北洋
エゾマツ
(出所) 林野庁 (注) 6月時点の製材用
BRICS5ヵ国が独自の開発銀行の設立で合意
TOPICS 3
−途上国のインフラ整備を支援−
が最大の出資者となる「アジアインフラ投資銀行」の設立も目指している。
◇米国が主導してきた戦後の国際金融秩序に挑戦
BRICS5ヵ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が、世界銀行
◇中国の視線は「人民元経済圏」の創出
と同様の役割を果たす「独自の開発銀行」を設立する事で合意した。
アジアインフラ投資銀行設立の中国の青写真は、まず世界最大の4兆ド
BRICSにとって実態を持つ初めての国際機構となり、アジアやアフリカな
ルの外貨準備を注ぎ込み、米国債に偏重する運用を新興国などのインフ
ど途上国のインフラ整備を支援。国際社会での影響力を強めて、米国
ラ整備に広げる。中国は原油の対外依存度が約6割近くに達し、エネル
が主導してきた、戦後の国際金融秩序に対抗する狙いがある。
ギー安全保障の強化が急務になっており、資源確保を強化する。更に、
「新開発銀行(BRICS開発銀行)」の当初資本金は500億ドル(約5兆
ドルだけでなく人民元を使った融資も検討。国際協力の名の下で、長期
円)。5ヵ国が均等に出資。7年間で資本金を1,000億ドルに増やす計画。
資金を人民元建てで新興国に融通し、金融をテコに中国国内で過剰生
新開発銀行の本部は上海。初代総裁はインド。BRICSが世界の国内総
産に苦しむ、国有企業の海外進出を加速させたいとの思惑もある。
生産の約2割を占めているが、世銀やIMFの運営や人事で十分な影響
しかし、先行きは簡単ではない。5ヵ国は国の規模や経済水準が異なり、
力を行使出来ていない。中国はBRICS開発銀行に加え、アジアで自ら
具体的な融資案件を決定する段階で思惑が衝突する事態も想定される。
世界銀行、国際通貨基金、新開発銀行の主な比較
設 立
所在地
代 表
資金規模
概 要
キム総裁(米)
貸出上限額は約2,000億
ドル、今後10年で3,000
億ドルに増やす
188ヵ国が加盟し、途上国向け融資
や政策助言を実施
出資比率上位は3位の中国を除き
先進国が占める
世界銀行
1944年
米ワシントン
国際通貨基金
(IMF)
1944年
米ワシントン
ラガルド専務理事
(仏)
加盟国からの出資割当
額は総額3,680億ドル
188ヵ国が加盟し、加盟国への融資
や金融システムの監督を実施
新開発銀行
(BRICS開発銀行)
言及せず
中国・上海
インドから初代総裁
を選出
資本金500億ドル、7年間
で1,000億ドルに増やす
BRICS5ヵ国が均等に出資
アジアやアフリカ、中南米の途上国
のインフラ事業に融資する
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
「観光立国」関連銘柄にスポット
TOPICS 4
−2014年上期の訪日外国人は626万人と過去最高に−
◇2014年の訪日外国人は1,200‐1,300万人に達する動き
◇政府の地方戦略は「観光」が切り札に
日本政府観光局(JNTO)は、今年1-6月の訪日外国人が626万人と過
観光関連事業は、外国人の観光客が増加する事によって雇用創出効
去最高(半期ベース)になったと発表。JNTOによると、上期の訪日客は
果も大きい。観光業界の規模は、16.7兆円とGDPの3.5%を占め、輸送
前年同期比26%増。最多だった2013年7-12月を90万人弱上回った。
用機械(自動車)産業の16.6兆円とほぼ同じ規模。観光庁の試算では、
国・地域別では、昨年7月に短期滞在査証の発給要件を緩めた東南ア
旅行消費で生まれる雇用は、400万人近くに達する見込み。政府は地
ジアが急増した他、中国からの旅客も回復した。昨年の訪日客数は初
方を活性化させるための「総合戦略」を年明けにまとめる予定。
めて1千万人を越えたが、今年は1,200-1,300万人に達する見通し。
また、都市機能の強化では、2020年までに、羽田・成田の発着枠を
羽田空港を発着する国際線が今年の3月から増えた事が追い風に。
年間8万枠増加させる。空港へのアクセスの改善では、成田空港から羽
現在は訪日客全体の約76%が羽田、成田、中部、関西の4大国際空港
田空港まで乗り換えなしで移動出来るよう、現在の東京駅近くの地下を
からの入国で、大都市圏の空港が大半を占めている。一方、訪日客の
通る「都心直結線」を新設予定で、都心から羽田まで18分(現在30分程
旅行先は東京、大阪、京都から北海道、福岡、沖縄などに広がっている。 度)、成田へは36分(同55分程度)に早める計画。
主な「観光立国」関連銘柄
コード
会社名
株価
経常利益
前期
予今期
予
PER
PBR
高値
安値
関 連 事 業
4661
O
C
20,595
112,671
84,140
29.0
3.48
21,070 (8/25)
14,750 (2/5)
世界最大級テーマパーク。10年で5,000億円投資
4681
リゾートトラスト
2,358
16,731
15,900
24.6
3.11
2,378 (8/8)
1,503 (4/11)
会員制リゾートホテルの最大手
4755
楽
天
1,376
88,610
109,000
30.9
5.77
1,843 (1/21)
1,148 (5/21)
ネット上の仮想商店街「楽天市場」の運営
9001
東 武 鉄 道
550
51,931
45,500
20.1
1.75
551 (8/25)
454 (2/5)
9020
J R 東 日 本
8,370
332,518
341,000
16.1
1.51
8,700 (7/22)
7,105 (3/24)
国内最大の民営鉄道会社
9603
H
S
3,105
15,203
17,200
23.1
2.41
3,480 (7/15)
2,659 (5/19)
国際航空券の安売り大手。パックツアーも
9706
日本空港ビル
3,765
5,723
7,600
75.8
3.05
3,770 (8/25)
1,933 (2/4)
L
I
(出所) 各社資料、報道などを基に筆者作成
関東私鉄で路線最長。中堅旅行会社を買収
羽田空港ターミナルビルの管理・運営
(注) 株価は8月25日終値 単位:円、百万円、倍、月日
2014年9月号の参考銘柄
− 今月の参考銘柄一覧 −
1
富士紡ホールディングス
(コード
3104)
2
インターネットイニシアティブ (コード
3774)
3
D
I
C (コード
4631)
4
O
S
G (コード
6136)
5
富
士
電
機
(コード
6504)
9
Vol.156
9.1/ 2014
証券アナリスト
杉谷 崇
CMP用パッドが好調で業績の上方修正に期待
富士紡ホールディングス
(コード 3104)
−香川・観音寺の工場後地を四国電力ソーラー発電所に賃貸−
企業の基本情報
・繊維は「BVD」製品が柱。不織布・合皮応用の電子向け研磨材が利益の柱。
・2015年3月期は収益源の研磨材は、一般工業向けが回復の他、ハードディスクや
半導体デバイス向けが好調。前期取得の化学工業品武生工場が赤字を脱し、売上
高417億円(前期比6.1%増)、経常利益36億円(同18.5%増)の増収・増益予想。
・香川・観音寺の工場跡地を四国電力ソーラー発電所(7月完成)に賃貸。跡地活用
を引き続き検討しており、今期以降、営業外収入は増加する見通し。
・CMP(化学的機械的研磨)用パッドが好調で業績は強含み。CMPは45nm以下の
バリア分野が得意で、微細化が追い風となっている。
株価
高値
安値
(円)
(円)
(円)
322
(14.8.26)
328
(14.8.19)
194
(14.2.4)
決算期
上場市場
発行済株数
時価総額
売買単位
(千株)
(億円)
(株)
東証
第一部
117,200
(14.8.26)
377
(14.8.26)
1,000
売 上
経常利益
税引利益
EPS
配当
BPS
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(円)
注目ポイント
13.3
40,988
5,656
3,142
29.5
5.0
179.6
高利益率のCMP用パッドの拡大で、2015年3月期は会社業績予想
14.3
39,313
3,037
1,770
15.2
5.0
188.1
の上方修正が期待される。更に、同製品の用途拡大が進めば、更な
予15.3
41,700
3,600
2,100
18.0
5.0
―
る業績の拡大が期待でき、同社を取り巻く環境は好転してきている。
予16.3
46,000
4,200
2,450
21.0
5.0
―
株価は、2月4日の安値194円をつけた後、上昇トレンドに入り、8月
19日に高値328円つけ、現在高値圏での動きとなっている。
諸指標
PER
ROE
配当利回り
PBR
(倍)
(%)
(%)
(倍)
実績
21.2
8.0
1.55
1.71
跡地の再活用が加われば、営業外収入の増加が期待される。この
予想
17.9
9.5
1.55
―
株価水準は投資妙味が高いと思われ、引き続き注目していきたい。
企業業績は、CMP用パッドの拡大が続いているのに加え、工場の
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
1
インターネットイニシアティブ
成長が期待されるクラウド基盤サービス
(コード 3774)
−日本IBMとクラウド案件開拓で戦略提携−
企業の基本情報
・法人向け主体のインターネットの接続サービスや機器販売会社。NTT系列。
・2015年3月期は前期苦戦のネット接続は法人、個人向けとも伸長。システム構築は
自治体向けなど案件多く、クラウド基盤サービスは通期黒字化が見込まれる。
上期の本社移転費や人件費の増加をこなし増収・増益予想。
・7月に飯田橋に本社を移転。複数にまたがっている拠点を集約。面積は3割増に。
・中小企業のクラウド案件開拓に向け、日本IBMと戦略提携。両社のサービスを組み
合わせてクラウド基盤サービスを提供。同社のクラウド基盤サービスは、大企業向け
に強みを持ち、同分野では2012年の売上シェアで国内第1位となっている。
株価
高値
安値
(円)
(円)
(円)
2,225
(14.8.26)
2,999
(14.1.6)
1,797
(14.2.13)
決算期
上場市場
発行済株数
時価総額
売買単位
(千株)
(億円)
(株)
東証
第一部
46,701
(14.8.26)
1,039
(14.8.26)
100
売 上
経常利益
税引利益
EPS
配当
BPS
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(円)
13.3
106,248
7,756
5,300
130.8
18.8
927.7
14.3
114,272
6,275
4,442
100.3
22.0
1,304.2
予15.3
123,000
7,000
4,500
97.9
22.0
―
予16.3
130,000
8,300
5,300
115.4
22.0
―
注目ポイント
クラウド基盤サービスの売上高は、今期予想は103億円の予想だが、
2018年度には308億円まで成長する見通しで、同期間の粗利益成長
の約6割を占めると期待され、今後の業績拡大の柱になると思われる。
株価は、2月13日に安値1,797円をつけた後、上昇し、6月3日には
2,700円まで戻したが、その後少し弱含みの動きとなっている。
諸指標
PER
ROE
配当利回り
PBR
(倍)
(%)
(%)
(倍)
企業業績は、ネットワークサービスの増収やSI受注の増加などで好
実績
22.2
7.4
0.99
1.71
調に推移している。また、中期的には国内クラウド基盤サービスの拡
予想
22.7
7.5
0.99
―
大が期待でき、現在の株価水準は投資妙味が高いと思われる。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
2
D
I
自動車の軽量化につながる高機能樹脂を2割増産
C
−今後3年間の設備投資額は1,200億円を予定−
(コード 4631)
企業の基本情報
・インキ世界最大手。ファインケミカルで多面的展開。自動車向け高機能樹脂(PPS)、
液晶向けカラーフィルター用デジタル顔料(緑)などで世界トップシェアを持つ。
・2014年12月期は自動車やスマホ向け材料が伸長。カラーフィルター用など有機顔
料も好調で、増収・経常増益予想。今期より12ヵ月決算に復帰。
・設備投資は今後3年間で合計1,200億円を計画。うち半分は拡大戦略へ充当する。
・自動車の軽量化につながる高機能樹脂の設備を拡充、2割の増産体制に。
・欧米のインキ子会社SunChemicalは本格的な収益の改善策を実施。3年間で100
億円の営業利益改善計画を打ち出し、現状は予想以上の収益改善が進んでいる。
株価
高値
安値
(円)
(円)
(円)
239
(14.8.26)
323
(14.1.20)
221
(14.8.8)
決算期
上場市場
発行済株数
時価総額
売買単位
(千株)
(億円)
(株)
東証
第一部
965,372
(14.8.26)
2,307
(14.8.26)
1,000
売 上
経常利益
税引利益
EPS
配当
BPS
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(円)
13.3
703,781
35,137
19,064
20.8
6.0
149.5
変13.12
705,647
37,123
26,771
29.2
6.0
213.1
予14.12
850,000
46,000
24,500
25.5
6.0
―
予15.12
880,000
51,000
30,000
31.2
6.0
―
注目ポイント
積極的なリストラの実施の他、PPSの好調と共に、液晶も従来のVA
モード(液晶表示方式)用に加え、IPSモード用も新規採用が期待され、
着実に業績拡大方向に向かっている点が安心材料となっている。
株価は、年初来下げトレンドに入り、安値圏での動きとなっている。
企業業績は、海外子会社のリストラ効果が発現し、増収・経常増益
諸指標
PER
ROE
配当利回り
PBR
(倍)
(%)
(%)
(倍)
予想と好調を維持。同社は景気敏感株の他、新エネルギー関連株と
実績
8.2
7.8
2.51
1.12
しても注目されている。株価は2008年8月以来の300円台に乗せ後は
予想
9.4
12.8
2.51
―
一服しているが、この株価水準は上値余地があると思われる。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
3
O
自動車、航空機産業向けに好調を持続
S G
(コード 6136)
−稼働率が高まれば業績の上方修正が期待される−
企業の基本情報
・精密切削工具大手。世界トップシェア(約30%)を持つネジを切る工具であるタップ
を中心に、形を削り出すエンドミルやスローアウェイ、穴をあけるドリル等を揃える。
・2014年11月期は主力の自動車向け工具は、米国や中国で好調を維持している。
欧州向けも顧客拡大が寄与し回復基調で、売上高960億円(前期比8.6%増)、経常
利益154億円(同10.7%増)の増収・経常増益予想。
・主要ユーザーである自動車、航空機産業向けの実需に加え、流通在庫の動きも見
られ、主力のタップを筆頭に主要製品全般にわたって売上が増加している。
・設備投資は高まる航空機需要に対応して、2014年度期初計画から積み増し方向。
株価
高値
安値
(円)
(円)
(円)
1,772
(14.8.26)
2,094
(14.1.23)
1,531
(14.4.14)
決算期
上場市場
発行済株数
時価総額
売買単位
(千株)
(億円)
(株)
東証
第一部
95,955
(14.8.26)
1,700
(14.8.26)
100
売 上
経常利益
税引利益
EPS
配当
BPS
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(円)
注目ポイント
12.11
84,083
13,695
7,138
75.2
23.0
679.0
中長期では最先端技術を活用した製品を開発し、新規の大手ユー
13.11
88,378
13,910
8,619
90.8
30.0
842.7
ザー開拓に注力。自動車関連に加え、航空機向けにカーボンやチタン
予14.11
96,000
15,400
8,600
90.6
28.0
―
予15.11
98,000
16,400
9,100
95.8
28.0
―
など難削材の加工向け工具に対するニーズに対応してきている。
株価は、1月23日に高値2,094円をつけた後、4月14日には1,531円
まで下落したが、その後少し戻りトレンドに入っている。
諸指標
PER
ROE
配当利回り
PBR
(倍)
(%)
(%)
(倍)
企業業績は増収・経常増益予想と好調に推移している。長期ビジョン
実績
19.5
10.8
1.69
2.10
は、主力製品で世界トップシェアの獲得、営業利益率は20%の高収益
予想
19.6
10.4
1.58
―
企業を標榜、この株価水準は中期の対象銘柄として注目していきたい。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
4
電気・熱エネルギーの技術革新に経営を集中
富士電機
(コード 6504)
−業績は6期連続で増益予想と堅調を維持−
企業の基本情報
・重電5社の一角。パワー半導体、インバーター、太陽光・地熱・火力発電など、エネ
ルギー分野で成長を探る。下期偏重。
・2015年3月期は、パワエレ機器は主力のパワコンやインバーターなどが続伸。また、
国内市場は省エネ向け需要を享受し、産業インフラも向上し、売上高780億円(前期
比2.6%増)、経常利益390億円(同6.2%増)の増収・増益予想。
・発電・社会インフラの受注額は、前期比575億円増の1,934億円と好調に推移。
・パワー半導体と、その応用分野での新製品に加え、次世代の保冷コンテナを開発。
・GEとスマートメーターの合弁会社を設立。今後の受注拡大が期待される。
株価
高値
安値
(円)
(円)
(円)
510
(14.8.26)
549
(14.7.31)
406
(14.2.4)
決算期
上場市場
発行済株数
時価総額
売買単位
(千株)
(億円)
(株)
東証
第一部
746,484
(14.8.26)
3,807
(14.8.26)
1,000
売 上
経常利益
税引利益
EPS
配当
BPS
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(円)
注目ポイント
13.3
745,781
25,714
26,368
36.9
5.0
272.3
今期を「攻めの経営拡大」の年と位置付け、2015年度の中期計画
14.3
759,911
36,731
19,582
27.4
7.0
318.0
達成に向けて、産業インフラやパワエレ機器等事業の拡大と同時に、
予15.3
780,000
39,000
23,000
32.2
7.0
―
予16.3
800,000
41,000
24,000
33.6
7.0
―
海外事業の基盤強化を図っており、順調に計画が達成しつつある。
株価は、2月4日に安値406円をつけた後上昇トレンドに入っている。
受注は太陽光発電で高水準をキープ。企業業績は火力・地熱、
諸指標
PER
ROE
配当利回り
PBR
(倍)
(%)
(%)
(倍)
実績
18.6
8.6
1.37
1.60
予想
15.8
10.1
1.37
―
スマートメーター等が成長を牽引し、増収増益予想と好調に推移して
いるのに加え、電気・熱エネルギーの技術革新に経営を集中している
点を評価すれば、中期的な魅力が高まっていると思われる。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
5
パフォーマンス表(6月号・7月号・8月号の参考銘柄)
号
コード
銘
六月号
1813
不
3401
帝
4183
三
6407
C
6841
横
動
柄
掲載日
テ
高値
日
付
現在
株価
高値時点
現値時点
(%)
(%)
七月号
八月号
ラ
5/27
184
243
8/26
239
32.1
29.9
人
5/27
234
268
8/4
255
14.5
9.0
学
5/27
263
313
8/22
307
19.0
16.7
D
5/27
889
999
7/2
981
12.4
10.3
機
5/27
1,291
1,358
8/11
1,208
5.2
-6.4
1983
東芝プラン ト システム
6/25
1,514
1,815
8/26
1,798
19.7
18.8
4005
住
学
6/25
388
401
7/31
371
3.4
-4.4
5471
大
鋼
6/25
507
550
7/23
464
8.5
-8.5
5803
フ
ラ
6/25
494
548
7/29
513
10.9
3.8
6740
ジ ャ パ ン デ ィ スプレイ
6/25
632
662
7/1
532
4.7
-15.8
3402
東
レ
7/28
701.5
729
8/20
716.3
3.9
2.1
4212
積
脂
7/28
1,405
1,451
8/22
1,435
3.3
2.1
6247
日
所
7/28
922
930
8/19
906
0.9
-1.7
6472
N
N
7/28
476
510
7/31
451
7.1
-5.3
6754
ア
ツ
7/28
1,131
1,139
7/29
904
0.7
-20.1
井
ト
掲載日
株 価
化
K
河
電
友
同
化
特
ジ
ク
水
阪
殊
樹
製
作
T
ン
リ
(現在値は8月26日終値)
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、よろしくお願い致します。
6
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