更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 第2 【事業の状況】 1 【業績等の概要】 (1) 業績 当期のわが国経済は、輸出・設備投資主導の回復基調のうえ、個人消費にも底堅さが加わりつつ ありますが、消費の二極化傾向により一部の高額商品等を除いて原燃料価格高騰を製品価格へ容易 に転嫁できる環境には至りませんでした。 化学工業におきましては、米国・中国等の景気拡大、為替など輸出環境は比較的良好でしたが、 原燃料価格高騰が収まらない一方、海外製品市況には軟調な動きもみられるなど、川下事業分野ほ ど原燃料価格高騰の製品価格転嫁が難しいなか、内部合理化努力を加速しつつありますが、影響が 徐々に企業業績へと及んでまいりました。 当社グループは、このような状況のもとで、当期を初年度とする「新中期経営計画Big Jump」(略 称:「中計Big Jump」)に沿って、事業ポートフォリオの継続的見直しと集中事業への重点的資源投 入により定量計画・重点経営課題に取り組んでまいりました。この結果、当期の売上高は前期比 4.0%増の1,356億2千7百万円となりましたが、医薬・農薬の海外・新規展開に係る先行投資負担 により、営業利益は前期比5.3%減の97億8百万円、経常利益は前期比5.4%減の91億8千5百万円 となりました。 当期純利益につきましては、資産圧縮の一環として、本社移転等に伴う固定資産売却益11億1千 2百万円、固定資産除却売却損17億2千2百万円、物流在庫の抜本的見直しに伴う構造改革費用5 億7千3百万円等を計上した結果、前期比15.8%増の51億7千1百万円となりました。 ① 事業の種類別セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 売上高 営業利益 当期(百万円) 前期(百万円) 増減(百万円) 当期(百万円) 前期(百万円) 増減(百万円) 機能製品事業 31,578 25,158 6,419 3,923 3,192 731 化学製品事業 31,294 31,000 294 3,493 4,050 △557 樹脂製品事業 45,261 50,729 △5,467 607 872 △264 その他事業 27,492 23,512 3,980 2,100 2,156 △55 消去 連結合計 ― ― ― △415 △16 △399 135,627 130,400 5,226 9,708 10,255 △546 機能製品事業 機能樹脂のうち、PPS樹脂は、自動車用途及び電気・電子素材用途の需要拡大により生産能力増 強が続いており、米国における合弁事業も好調に推移し、売上げ、営業利益共に前期に比べ増加 いたしました。 ふっ化ビニリデン樹脂は工業用素材用途及びリチウムイオン二次電池用バインダー用途の、機 能性コンパウンドは電子材料用途の、それぞれ堅調な需要により売上げは増加いたしましたが、 設備・開発等に係る投資負担が大きく、これら製品の営業利益は前期に比べ減少いたしました。 又、光学材料については委託加工への切替えによる採算改善を進めております。 炭素製品のうち、球状活性炭については輸出が減少し、炭素繊維については半導体製造用高温 焼成炉向け断熱材用途の需要拡大がありましたが、原燃料価格高騰により、これら製品の営業利 益は前期に比べ減少いたしました。 又、当期より電気・電子素材用途向けの金属蒸着フィルム製造子会社のセグメント区分を機能 製品事業に変更したため、売上げ、営業利益共に前期に比べ増加いたしました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比25.5%増の315億7千8百万円となり、営業利益は前 期比22.9%増の39億2千3百万円となりました。 ― 11 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 化学製品事業 医薬・農薬分野では、抗悪性腫瘍剤「クレスチン」は売上げが減少、慢性腎不全用剤「クレメ ジン」は輸出及び技術導出を含めて売上げが増加、農業用殺菌剤「メトコナゾール」は世界的な 需要拡大が続きましたが、本分野の営業利益は、海外・新規展開に係る先行投資負担の増加によ り前期に比べ減少いたしました。 工業薬品分野では、か性ソーダ・塩酸等の販売価格適正化の追加策に対して、さらなる原燃料 価格高騰によりその効果が相殺されたものの、クロルベンゼン類は家庭用防虫剤用途の需要が減 少するなか、立ち遅れていた原燃料価格高騰の製品価格転嫁が追い付いて、本分野の営業利益は 前期に比べ増加いたしました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比0.9%増の312億9千4百万円となり、営業利益は前 期比13.8%減の34億9千3百万円となりました。 樹脂製品事業 業務用食品包装材分野では、国内については塩化ビニリデン・フィルム、熱収縮多層フィルム、 非収縮多層フィルム、多層ボトルの売上げは減少となり、ハイバリア・ラミネート基材「ベセー ラ」の売上げは微増となり、欧州子会社の不振も加わって、本分野の営業利益は前期に比べ減少 いたしました。 コンシューマー・グッズ分野では、家庭用食品包装材「NEW クレラップ」は3年連続のリニュ ーアルを実施して販売価格適正化に努め、釣糸「シーガー」は流通在庫調整が一巡し、本分野の 営業利益は、前期に大きかった広告宣伝・販売促進に係る投資負担の軽減により前期に比べ増加 いたしました。 金属蒸着フィルム、合成繊維等の産業資材分野では、前期に好調だった金属蒸着フィルム製造 子会社のセグメント区分を機能製品事業に変更したため、売上げ、営業利益共に前期に比べ減少 いたしました。 輸出については、中国向けの塩化ビニリデン・コンパウンドは現地生産合弁が立ち上がりつつ あることから、販売数量・価格共に低下を余儀なくされ、包装機械は前期に輸出が集中していた ため売上げが減少し、営業利益は前期に比べ減少いたしました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比10.8%減の452億6千1百万円となり、営業利益は前 期比30.4%減の6億7百万円となりました。 その他事業 環境関連分野は、環境修復工事、医療廃棄物処理等の増加により、売上げ、営業利益共に増加 いたしました。 建設関連分野は、大型工事の完工により売上げは増加いたしましたが、資材及び外注費上昇に より営業利益は減少いたしました。 運輸・倉庫関連分野は、厳しい受注環境のなか売上げを微増といたしましたが、燃料費高騰に より営業利益は減少いたしました。 以上の結果、本セグメントの売上高は前期比16.9%増の274億9千2百万円となり、営業利益は 前期比2.6%減の21億円となりました。 ― 12 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc ② 所在地別セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 日本 機能製品事業は、機能樹脂のうち、PPS樹脂は自動車用途及び電気・電子素材用途の需要拡大に より生産能力増強が続いており、前期に比べ売上げ、営業利益共に増加いたしました。ふっ化ビ ニリデン樹脂は工業用素材用途及びリチウムイオン二次電池用バインダー用途の、機能性コンパ ウンドは電子材料用途の、それぞれ堅調な需要により売上げは増加いたしましたが、設備・開発 等に係る投資負担が大きく、営業利益は減少いたしました。炭素製品のうち、球状活性炭につい ては輸出が減少し、炭素繊維については半導体製造用高温焼成炉向け断熱材用途の需要拡大があ りましたが、原燃料価格高騰により、営業利益は減少いたしました。 化学製品事業は、医薬・農薬分野では、抗悪性腫瘍剤「クレスチン」は売上げが減少、慢性腎 不全用剤「クレメジン」は輸出及び技術導出を含めて前期に比べ売上げが増加、農業用殺菌剤 「メトコナゾール」は世界的な需要拡大が続きましたが、海外・新規展開に係る先行投資負担の 増加により、本分野の営業利益は減少いたしました。工業薬品分野では、か性ソーダ・塩酸等の 販売価格適正化の追加策に対して、さらなる原燃料価格高騰によりその効果が相殺されたものの、 クロルベンゼン類は家庭用防虫剤用途の需要が減少するなか、立ち遅れていた原燃料価格高騰の 製品価格転嫁が追い付いて、本分野の営業利益は増加いたしました。 樹脂製品事業は、業務用食品包装材分野では、国内についてはフィルム・ボトル共に前期に比 べ売上げが減少、ハイバリア・ラミネート基材「ベセーラ」の売上げは微増、輸出については中 国向けの塩化ビニリデン・コンパウンドは現地生産合弁が立ち上がりつつあることから、販売数 量・価格共に低下を余儀なくされ、本分野の営業利益は減少いたしました。コンシューマー・グ ッズ分野では、家庭用食品包装材「NEWクレラップ」は3年連続のリニューアルにより販売価格適 正化に努め、釣糸「シーガー」は流通在庫調整が一巡し、広告宣伝・販売促進に係る投資負担の 軽減により、本分野の営業利益は増加いたしました。 その他事業は、環境関連分野では、環境修復工事、医療廃棄物処理等の増加により、売上げ、 営業利益共に増加いたしました。建設関連分野では、大型工事の完工により売上げは増加いたし ましたが、資材及び外注費上昇により営業利益は減少いたしました。運輸・倉庫関連分野では、 厳しい受注環境のなか売上げを微増といたしましたが、燃料費高騰により営業利益は減少いたし ました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比3.6%増の1,244億6千7百万円となり、営業利益は 前期比8.7%減の83億5千6百万円となりました。 ヨーロッパ 機能製品事業は、炭素繊維では半導体製造用高温焼成炉向け断熱材用途の子会社への販路切替 えが進み、ふっ化ビニリデン樹脂は前期の供給不足が改善して、前期に比べ売上げ、営業利益共 に増加いたしました。樹脂製品事業は、業務用食品包装材分野において設備・開発投資負担が増 加し、又、当期中に子会社一社を売却したため、売上げ、営業利益共に減少いたしました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比5.8%増の86億8千2百万円となり、営業利益は前期 比73.2%減の7千7百万円となりました。 その他の地域 米国におけるPPS樹脂の合弁事業が好調に推移して、その投資利益が増加し、中国における炭素 繊維加工事業の拡大は、当社が購入販売しているため外部顧客への売上げ増加につながりません が、当社の購入原価低減及び本地域における営業利益増加に寄与しました。 この結果、本セグメントの売上高は前期比20.5%増の24億7千6百万円となり、営業利益は前 期比60.1%増の13億4千5百万円となりました。 ― 13 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc (2) キャッシュ・フローの状況 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)残高は、65億4千2百万円となり、前 期末より5億4千万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとお りであります。 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動の結果、増加した資金は113億7百万円となり、前期と比較し11億3千万円収入が減少い たしました。これは経常利益の減少に加え、固定資産除却売却損や投資有価証券等売却損を除く特 別損失が増加したことによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動の結果、減少した資金は96億4千8百万円となり、前期並みの支出となりました。これ は有形固定資産の売却による収入が増加したものの、投資有価証券の取得及び売却による収支が悪 化したことによるものです。 財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動の結果、減少した資金は10億8千8百万円となり、前期と比較して29億7千8百万円支 出が減少いたしました。これは社債の発行により、資金調達が増加したことに加え、連結子会社保 有の親会社株式の売却による収入が発生したことによるものです。 ― 14 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 2 【生産、受注及び販売の状況】 (1) 生産実績 当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりでありま す。 事業区分 生産高(百万円) 前期比(%) 機能製品事業 23,740 +23.1 化学製品事業 24,323 +0.8 樹脂製品事業 33,273 △11.9 81,337 +0.2 合計 (注) 1 金額は平均販売単価によっております。 2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 3 事業の種類別セグメント情報に記載の通り、当連結会計年度より「加古川プラスチックス㈱」の事業区 分を「樹脂製品事業」から「機能製品事業」に変更しております。 この変更により、従来の方法と比べて当連結会計年度の「機能製品事業」の生産高は1,886百万円増加 し、「樹脂製品事業」の生産高が同額減少しております。 (2) 受注状況 当連結会計年度におけるその他事業のうち、土木・建築工事の施工請負等の受注実績は次のとお りであります。なお、これ以外の製品については見込生産を行っております。 事業区分 その他事業 (注) 受注高(百万円) 前期比(%) 19,241 +28.8 受注残高(百万円) 前期比(%) 6,990 +24.3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 (3) 販売実績 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次のとおりであります。 事業区分 販売高(百万円) 前期比(%) 機能製品事業 31,578 +25.5 化学製品事業 31,294 +0.9 樹脂製品事業 45,261 △10.8 その他事業 27,492 +16.9 135,627 +4.0 合計 (注) 1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 2 事業の種類別セグメント情報に記載の通り、当連結会計年度より「加古川プラスチックス㈱」の事業区 分を「樹脂製品事業」から「機能製品事業」に変更しております。 この変更により、従来の方法と比べて当連結会計年度の「機能製品事業」の販売高は2,911百万円増加 し、「樹脂製品事業」の販売高が同額減少しております。 ― 15 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 3 【対処すべき課題】 「中計Big Jump」の達成こそが当社グループにとっての最大の経営課題であると認識しております。 そのため、①重点的に資源を投入している主要牽引事業での業容及び利益の拡大、②全事業におけ る徹底的な収益改善の実行、③重要研究テーマへの資源集中による早期事業化に取り組んでまいりま す。 4 【事業等のリスク】 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のよう なものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2006年6月28日)現在において判断した ものであります。 (1) 業績の変動要因について 当社グループの事業分野は、PPS樹脂、ふっ化ビニリデン樹脂、炭素製品等を中心とする「機能製 品事業」、農薬、医薬品、工業薬品等を中心とする「化学製品事業」、食品包装材、家庭用品を中 心とする「樹脂製品事業」、更に環境関連事業や上記事業に関連する設備建設・補修、物流等の事 業を含む「その他事業」と多岐にわたっており、地域的にも国内及び欧州、北米、中国において事 業展開しております。 従いまして事業遂行上のリスクとしては、国内外の景気動向、製品の市場価格動向や薬価改定の 動向、ナフサ・重油等の原燃料価格動向、為替相場の変動、海外事業におけるカントリーリスク等、 多岐にわたりますが、同時にリスクの分散化も図られております。 又、当社グループは当期末において、短期的な売買を目的としない有価証券及び投資有価証券を 合計で332億9千8百万円(連結総資産の18.0%)保有しており、株式市場における時価や発行会社の 財政状態の著しい変化により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 又、当社グループは化学製造業を中核事業としており、製造物に関するリスク、製造行為に係る リスクを強く認識しておりますので、レスポンシブル・ケア活動への継続的な取り組みに注力して おります。特に、主要製品の製造がいわき工場に集中していることによるリスクを意識し、当事業 所を中心に環境保全や安全確保に関する取り組みを不断に進めております。 (2) その他 当社は2003年2月にプラスチック添加剤事業に関連して独占禁止法違反の疑いにより公正取引委 員会の立入調査を受けました。その後、2005年7月に、同委員会より、他の事業者と共同して、国 内における同事業での製品販売価格の引上げを決定することにより、公共の利益に反して同分野に おける競争を実質的に制限していたとして、当社に対し約2億7千万円の課徴金納付命令が出され ました。当社はこれに対して、審判手続の開始を請求し、審判が係属中であります。 米国においては、当該事業に関連して当社米国子会社が独占禁止法違反の疑いで当局より調査を 受けておりましたが、2006年4月に当局から、起訴に至ることなく調査を終了する旨の通知を受け ました。 他方で、当社米国子会社に対して直接購入者集団訴訟等の民事訴訟が4件提起されておりますが、 これらの訴訟の内、主たる訴訟である直接購入者集団訴訟において、2005年11月に原告団に対して 和解金5百万米ドル(約5億6千5百万円)を支払うとの内容で和解契約を締結し、その後和解が確 定いたしました。本和解により、本件訴訟は取り下げられ、原告団からの離脱手続きを行わなかっ た本件直接購入者に関して、米国子会社、当社、当社子会社について本件訴訟が解決されることと なります。本和解金は、2005年9月中間期(2005年4月1日∼2005年9月30日)において特別損失に 計上しております。 ― 16 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 当社は違法な行為は一切存在していないと確信しておりますが、本件和解契約締結にあたって、 係争の長期化による営業活動時間のロス、陪審裁判の予測困難性及び弁護士費用の負担等を総合的 に勘案した結果、当社米国子会社は米国直接購入者から提起された集団訴訟に関して、和解するこ とを選択いたしました。今回の司法省による刑事事件としての調査の終了は、当社に違法行為がな いとの当社の確信を裏付けるものではありますが、米国において民事訴訟の係属は刑事調査の終了 とは直接関係がないことから、当該調査終了が上記和解の合理性を損なうものではありません。 なお、直接購入者集団訴訟に付随する民事訴訟が3件係属中であります。 又、当該事業は2003年1月にローム・アンド・ハース社に事業譲渡済みであります。 ― 17 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 5 【経営上の重要な契約等】 (1) 技術援助契約 会社名 契約先 国別 内容 対価 契約期間 備考 当社 フォートロン・ インダストリーズLLC アメリカ 合衆国 PPS樹脂の製造技術の実施許 諾 ① ② 1992年5月から 2008年12月まで ― 当社 BASF Agro,B.V. オランダ 農業用殺菌剤「メトコナゾ ール」の製剤化及び販売の 実施許諾 ② 1995年7月から 2010年6月まで (注)2 当社 南通匯羽豊新材料 有限公司 中国 レトルト・ソーセージ等用 PVDCレジン・コンパウンド の製造及び販売の実施許諾 ① ② 2003年3月から 2013年3月まで ― (注) 1 対価①は一時金、②はランニング・ロイヤリティであります。 2 契約期限が2005年6月から2010年6月まで延長になりました。 (2) 販売契約・事業提携契約 会社名 契約先 国別 内容 抗悪性腫瘍剤「クレスチ ン」の日本国内における販 売 当社 三共株式会社 日本 慢性腎不全用剤「クレメジ ン」の日本国内における販 売 契約期間 1976年10月から 1987年3月まで その後は1年毎の 自動更新中 1991年11月から 2001年10月まで その後は1年毎の 自動更新中 備考 ― ― 当社 ポリプラスチックス 株式会社 日本 日本・アジア・オセアニア におけるPPS樹脂「フォート ロンKPS」に関する事業提携 1997年4月から 2007年3月まで ― 当社 CNAホールディングズ Inc. アメリカ 合衆国 PPS樹脂に関する事業提携 1986年7月から 2005年7月まで (注)1 当社 BASF Agro,B.V. オランダ 農業用殺菌剤「メトコナゾ ール」の販売 1995年7月から 2010年6月まで (注)2 (注) 1 2005年7月をもって契約を終了いたしました。 2 契約期限が2005年6月から2010年6月まで延長になりました。 (3) 合弁事業契約 会社名 契約先 国別 当社 CNAホールディングズ Inc. アメリカ 合衆国 河南双匯投資発展股份 有限公司 豊田通商株式会社 中国 当社 日本 内容 1992年、PPS樹脂の製造、販 売を目的とするフォートロ ン・インダストリーズ(現フ ォートロン・インダストリー ズLLC)をアメリカ合衆国に設 立するための共同出資(当社 子会社(当社持分100%)によ る出資比率50%) 2003年、レトルト・ソーセー ジ等用PVDCレジン・コンパウ ンドの製造、販売を目的とす る南通匯羽豊新材料有限公司 を中国に設立するための共同 出資(当社出資比率42%) ― 18 ― 契約期間 備考 ――― ― 2003年3月から 2053年3月まで ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 6 【研究開発活動】 クレハグループとしての研究開発は、当社が主体となって取り組んでおります。 その基本方針として事業戦略に基づき、 1) バリア材、高機能材及び医薬・農薬を核とする 2) スペシャリティある製品でグローバルNo.1を目指す ことを重点施策として、研究開発に鋭意取り組んでおります。2003年度に導入いたしましたテンプレ ート方式を用い、明確な事業戦略のもと研究の重点化とスピードを意識した開発を行っております。 本年度もその方式を新規研究開発、及び既存品改良開発に積極的に用いて研究の推進を図っておりま す。 現在、研究開発は、総合研究所、生物医学研究所、包装材料研究所に所属する約330名のスタッフに よって推進され、事業部、関連会社を含む製造部門と共同で商品化に向けて取り組んでおります。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は74億5百万円であります。 その概要は次のとおりであります。 ① 機能製品事業 エンジニアリング・プラスチックスでは、「フォートロンKPS」の低コスト・増産化に対応した 新プロセスが順次稼動しております。又、導電・半導電材料「クレファイン」は、静電対策が求 められるエレクトロニクス部材のパッケージ用途に対して、積極的に国内外の市場展開を進めて おります。 二次電池材料については、より高性能のKF(ふっ化ビニリデン樹脂)系バインダーを開発して市 場に投入しており、この分野でのトップを維持しております。又、炭素材料を大型リチウムイオ ン電池用負極材に応用する展開を進めています。 又、新規に開発した水浄化用中空糸ろ過膜については、実水評価において高透水性・高寿命性 を確認しつつあり、早期上市に向けた検討を行っております。 光学材料については、熱線吸収機能を有する材料の開発に取り組み、建築用窓材としての製品 化が近づきました。撮像用途向けに液晶ポリマーを用いた画質向上のためのローパスフィルター 「ルミクル300」は、上市に向けさらなる改良を進めております。 なお、当事業に係わる研究開発費は15億6百万円であります。 ② 化学製品事業 医薬品では、抗悪性腫瘍剤「クレスチン」の免疫療法分野の研究を進めております。 慢性腎不全用剤「クレメジン」については、糖尿病性腎症での早期治療を目標にした研究に取 り組んでおります。又、米国展開においては第Ⅲ相試験開始に向けた準備を行っております。さ らに、クローン病に関しては、米国企業に導出し、承認取得のための臨床試験を開始いたしまし た。 さらに、他社と共同で膵臓癌に特異的な抗原の探索と抗体医薬品への開発研究を行っておりま す。 農薬では、殺菌剤「メトコナゾール」、及び種子消毒用殺菌剤「イプコナゾール」の、国内外 での市場及び適用拡大に取り組んでおります。さらに、コンピュータ・ケミストリーを用いた次 世代の農薬、微生物農薬等、環境保全型農薬の開発も進めております。 なお、当事業に係わる研究開発費は41億5千万円であります。 ― 19 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc ③ 樹脂製品事業 超ハイバリア素材「ベセーラ」については、国内外の各種市場拡大に向け評価と拡販を進めて おります。又、生産技術とプロセスの検討を行い、品質改良とコスト削減に取り組んでおります。 高強度ナイロン系微収縮包材「ML―40」は、独機械メーカーと共同で新規フォームシュリンク 包材の国内外での拡販を推進しております。 新規のガスバリア樹脂PGA(ポリグリコール酸)は、多層ボトル用などの原料としての事業展開に 向けて、他社と共同でボトル評価を行い、さらに市場での実用評価の準備を行っております。他 方、その上市に合わせ、パイロットプラントにより実製造設備化の検討も進めております。 レジャー用資材については、高性能釣り糸「シーガー」、「リバージ」の海外展開に向けて、 改良開発に取り組んでおります。又、原料の樹脂及び製造プロセス両面からのコスト改善の検討 を行っております。 なお、当事業に係わる研究開発費は17億4千8百万円であります。 7 【財政状態及び経営成績の分析】 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2006年6月28日)現在において判断した ものであります。 (1) 財政状態の分析 当期末の資産の部につきましては、流動資産は、売上げ増に伴う売上債権の増加、原燃料価格高 騰に伴うたな卸資産の増加などにより、前期に比べ51億8千9百万円増の667億1千5百万円となり ました。有形固定資産は、資産圧縮の一環として旧本社ビル土地等の売却、生産停止設備等の除却、 遊休資産等の減損の一方、機能製品事業の能力増強工事、自家発電設備更新工事等により建設仮勘 定が増加して、前期に比べ15億9千2百万円増の708億8千2百万円となりました。投資その他の資 産は、投資有価証券の時価評価、関係会社株式持合い解消のための関係会社株式売却益の内部取引 消去に伴う繰延税金資産の増加などにより、前期に比べ59億8千6百万円増の458億7百万円となり ました。以上の結果、繰延資産を含めて資産合計は、前期に比べ124億7千5百万円増の1,852億3 百万円となりました。 負債の部につきましては、有利子負債は社債の発行と借入金の純減との差引きで前期に比べ5億 2千2百万円増の353億8千3百万円となり、仕入債務の増加、投資有価証券の時価評価に伴う繰延 税金負債の増加などにより、負債合計として前期に比べ67億3千5百万円増の856億1千5百万円と なりました。 資本の部につきましては、当期純利益51億7千1百万円に対して利益処分等を実施した結果、利 益剰余金が34億6千1百万増加し、株式の評価差額金が23億6千6百万円増加の一方、自己株式が 買受け等により10億6千2百万円の控除増加となり、資本合計として前期に比べ52億9千5百万円 増の983億5千7百万円となりました。 このような総資産の増加傾向は、原燃料価格高騰の影響もあるものの、総じて事業活動の活発化 を反映し、これに対応して、金利上昇前の社債発行により翌期以降の資金需要に備えたものと分析 しており、引き続き資産効率の向上に努めてまいります。 ― 20 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc (2) 経営成績の分析 当期の売上高は、機能製品事業、その他事業の売上げ増により、前期に比して52億2千6百万円 増の1,356億2千7百万円となりました。売上総利益は、前期に比べ10億2千5百万円増の394億3 千8百万円となり、売上高売上総利益率は、前期の29.5%から当期の29.1%に低下いたしました。 この低下は、その他事業の建設関連分野における資材及び外注費上昇、運輸・倉庫関連分野におけ る燃料費高騰によるところが大きく、これらを除く製品売上げに係る売上高売上総利益率はほぼ横 ばいであり、原燃料価格高騰の製品価格転嫁は総じて達成しているものと分析しております。 販売費及び一般管理費は、前期に比べ15億7千1百万円増の297億3千万円となりました。これは、 医薬・農薬の新規・海外展開に係る先行投資負担、海外子会社の業容拡大などによるものでありま す。以上の結果、営業利益は5億4千6百万円減の97億8百万円となり、売上高営業利益率は、前 期の7.9%から7.2%に低下いたしました。 営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は、為替差益及び受取配当の増加により、前 期に比べ2千6百万円改善して5億2千2百万円の費用計上となりました。 以上の結果、経常利益は、前期に比べ5億1千9百万円減の91億8千5百万円となり、売上高経 常利益率は、前期の7.4%から6.8%に低下いたしました。このような業績低下は、製品の競争力に 係る構造的問題ではなく、販管費の増加という将来に向けた積極的施策によるものと分析しており、 長期に継続するとはみなしておりません。 なお、当期純利益及び事業の種類別セグメントの業績は、「第一部 1 企業情報 第2事業の状況 業績等の概要」に記載の通りであります。 (3) 経営成績に重要な影響を与える要因について 「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載の通りであります。 (4) 戦略的現状と見通し 今後のわが国の経済見通しにつきましては、輸出、設備投資、個人消費の回復が出揃い、成長軌 道に乗ることが期待される一方、原燃料価格の騰勢持続、金利上昇、円高等による景気減速懸念は 払拭しきれません。化学工業におきましても、原燃料高の長期化が製品原価を押し上げ、業績面で の懸念材料になっており、依然厳しい環境下にあります。 このような状況に対し、当社グル−プは2006年度が「新中期経営計画Big Jump」(略称:「中計 Big Jump」)2年目に当たり、集中事業の業容拡大と収益改善に引き続き取り組むことにより定量計 画を着実に達成するとともに、将来に向けた研究開発を加速させ、「成長するクレハ」への確固た る礎を築く年としてまいります。「機能製品事業」におきましては、前期から引き続く生産能力増 強に対応して、高水準の稼動を維持すると共に、海外生産及び生産委託拡大によりコスト競争力強 化を図ってまいります。「化学製品事業」におきましては、原燃料価格高騰に対応した製品価格の 適正化を引き続き推進すると共に、医薬・農薬分野の新規・海外展開を加速させてまいります。 「樹脂製品事業」におきましては、業務用食品包装材分野では「ベセーラ」の欧米事業展開の本格 化、欧州子会社における拡販及び採算改善を進めると共に、コンシューマー・グッズ分野では3年 連続でリニューアルした「NEWクレラップ」の市場浸透と釣糸事業の海外を中心とする拡大を進めて まいります。「その他事業」におきましても、新規顧客開拓及び高付加価値化の方向性を確実なも のとしてまいります。 ― 21 ― 更新日時:2006/06/29 2:48 印刷日時:06/06/29 6:53 ファイル名:020_0175700101806.doc 以上の諸施策につきましては、その達成に向けて全力を傾注することとしておりますが、その進 捗状況又は実施の効果が企図するに到らなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能 性があります。 なお、当社グループの売上高は、「化学製品事業」の農薬及び農材、「樹脂製品事業」の業務用 食品包装材及びコンシューマー・グッズ、「その他事業」の土木・建築工事等の売上高が下半期に 増加する傾向がある一方、人件費等の固定的な経費は毎月ほぼ均等額発生することから、当社グル ープの経常利益は、上半期に比して下半期の割合が高くなる傾向があります。当社グループは、業 績の季節的な変動の影響を受けにくいスペシャリティ製品の拡大に取り組んでおりますが、そのた めの生産能力増強が期中に完工し期後半から貢献するなど、下半期の増益要因がなお残されており ます。 (5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループの資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、経常利益の減 少、投資活動によるキャッシュ・フローに分類されない現金支出を伴う特別損失の増加などにより、 前期に比べ11億3千万円の収入減となる113億7百万円の収入となりました。投資活動によるキャッ シュ・フローは、設備取得の増加、設備売却の増加、株式売却の減少などの差引きで、前期に比べ 5千5百万円の支出増となる96億4千8百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・ フローは、社債の発行、子会社による親会社株式売却等により、前期に比べ29億7千8百万円の支 出減となる10億8千8百万円の支出となりました。 当社グループは、当期において利益拡大と資産圧縮を実施してキャッシュ・フローの最大化を図 ると共に、資金配分においては能力増強のための設備投資や、研究開発投資及び資本効率性に重心 を置いた株主還元(配当及び自己株式取得)等に資金を充当いたしました。又、調達面では、金利上 昇前の条件決定による社債発行は、翌期以降の資金需要及び金融収支の改善に貢献するものであり ます。 今後も、当期の財務基本方針を踏襲いたしますが、これまでは当社主体の資産効率化であったも のをグループ各社にも拡大して、連結資金の最大化に努めてまいります。 ― 22 ―
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