田村大会を終了して - 福島県公立小中学校事務研究会

平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
第
7
7
号
平成 17 年 12 月1日
福島県公立小中学校
事 務 研 究 協 議 会
http://f-jimuken.cside.com/ ( ホームページアドレス)
発行人
編 集
◆P1~3
田村大会特集
◆P6,7
福島大学学校事務職員研修講座報告
◆P4
新しい仲間の輪
◆P8
リレー人ひとヒト ほっとらうんじ
◆P5
市町村合併特集
佐藤 公雄
広報委員会
田村大会を終了して
第28回福島県公立小中学校事務研究大会田村大会実行委員会
「はつらつ高原都市」田村市において,第28回
福島県公立小中学校事務研究大会田村大会が県内
外より多くの皆様をお迎えして盛会のうちに終了
できましたこと,実行委員一同深く感謝申し上げ
ます。また,本大会のためにご協力いただいた各
地区・各委員会の皆様に改めて感謝申し上げます。
私たちは,昨年度の伊達大会から送られた優し
くも力強い風に押されて,皆様の思いや願いに近
づけるような,
「田村らしい」大会運営を心がけて
きましたが,いかがだったでしょうか。会場面,
運営面等でご不便をおかけしたところも多々あっ
たことだろうと思いますが,この大会が「学校事
務の夢をかたちに」するためのステップのひとつ
として,皆様の中に位置づけていただけたら大変
嬉しいことです。また,伊達大会からの風を高原
の風に変えて,いわき大会へ送りたいと思います。
最後に皆様のますますのご活躍をご祈念申し上
げ,御礼のあいさつといたします。
(1)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
第3分科会
第1分科会
担当:南会津支部
南会津支部5年間の実践を通しての提案
担当:研究委員会
これからの学校事務をどのように構築するか
石川
中谷第二小学校
白幡 優子
郡山 熱海小学校
渡邉 佳代子
私の中での共同実施のイメ
ージは事務の効率化・合理化
で職務が脅かされる制度というデメリット的な考え方が
先行していました。学校事務職員を取り巻く厳しい状況の
中で共同実施をスタートさせる岩手県事務研の取り組み
のお話はとても興味深く考えさせられました。
学校事務の組織化(共同実施)により,事務職員同士が互
いに仕事を見せ合い学び合うこと,さらに得意分野を活か
してスキルを向上させ情報の共有化ができることで,事務
職員の力量を高めるための一手段になるということ,「学
校にいてこその事務職員であり続けるために共同実施が
必要」で「共同実施は決定権を持つ仕事の場」であること
が最大のメリットであるというお話が印象的でした。受身
の姿勢ではなく,自分たちでできることを考えて行動する
という意識改革が必要だと感じました。共同実施について
は賛否両論があると思いますが,今後も他県等の取り組み
の現状を紹介していただき,さらに研究を深めてほしいと
思っています。
この分科会は,南会津
事務研の5年間にわた
る研修計画の策定とそ
の実践の報告でした。これまで他地区の研修内容を知る機
会があまりなかった私には,南会津の長期的で多岐に及ぶ
研修計画とその実践にとても驚きました。特に,個々の会
員が課題意識をもって研修にあたっている点や,地区とし
て全会員のスキルアップを図るためのサポート体制(新任
者研修の実施や法改正時の解説文書の発行)が充実してい
ることなど,一地区の研修で終わらせてはならないものば
かりでした。
一人職種だからこそ,共同で研修しながら互いの知識を
共有し,お互いを高めあう必要を強く感じます。限られた
研修の機会を有効に活用するためにも,他地区や県事務研
との連携を密にして研修を進めていく必要性を改めて感
じた分科会でした。
気持ちの良い秋晴れのなか,第三次長期研修計画
のまとめにふさわしい大会でした。この2日間で学
んだことを学校に持ち帰り,何か一つでも行動を起
こしてやってみよう,実践していこうと,こころ新
たにされた方も多いのではないでしょうか。また,
第4分科会
第2分科会
担当:岩瀬支部
学校事務の分野から提案する
エコロジー・リサイクル
担当:福島支部
子どもの学びを支援する学校づくりと
「学校」事務職員の役割
安達 大平小学校
高橋 和恵
耶麻 岩月小学校
渡部 美紀
県事務研夏期研修会で2年
間にわたって「学級費・教材費
の見直し」の実践報告をされた
発表を,ぜひ聞きたいと思い参加しました。
私も,学校会計の見直しが思うように進まず苦悩している学校
事務職員の一人です。204名という参加者の数からも学校会計の
見直しの必要性を多くの人が感じていることが分かりました。山木
屋小の実践報告等から,「学校会計の見直しがなぜ進まないか」
「授業に直結する教材費こそ学校独自の事務⇔学校にいる事務
職員の存在意義」等の問題提起があり,議論が深められました。
今回コメンテーターとして参加された3名の先生方からいただ
いたご意見やアドバイスに,とても勇気づけられました。そして,
学校事務職員が学校にいることの意義について考える良い機会
となりました。子どもたちの豊かな学びを支援するため,私たちが
「学校」で何ができるのか,もっと積極的に学校運営に関わってい
かなければならないと思いました。自分ひとりで悩まずに,まず
は,校長先生や教頭先生に相談し,学校会計の見直しを進めて
いきたいと思います。
教育予算は年々削減さ
れており,そのために学校
運営上さまざまな影響が
出てきているのが現状で
す。そんな中,予算の効率的な執行と環境保全をテーマに
取り組んだ第4分科会に興味を持ち参加いたしました。
ポスター等を使った啓蒙活動や,廃棄備品のリサイク
ル,光熱水費などのエネルギーを二酸化炭素の排出量に換
算してチェックする環境家計簿の活用などは,エコロジ
ー・リサイクルへの関心が希薄になっている教職員や児童
生徒に対して、とても効果的な実践だと思いました。事務
職員の立場からエコロジー・リサイクルを提案して学校内
に働きかけていくことで,そうした意識が高められたこと
はすばらしい成果です。
この分科会に参加したことをきっかけに「継続すること
が大切である」という発表者のことばを心にとめて,でき
ることから取り組んでいきたいと思います。
(2)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
福島県教育委員会講話
第5分科会
担当:研修委員会
学校事務職員に求められること
福島県教育庁教育振興領域市町村立学校グループ
主任管理主事 滝田 文夫 様
伊達 藤田小学校
柳沼 恵子
学校運営を改善するため
には,学校を組織として機
能させる「組織マネジメン
ト」の発想が必要とされてきています。この分科会では,
まずその「学校組織マネジメント」について,発表者から
用語解説集などの資料をもとに説明を受けました。
後半の演習の時間は,参加者が持ち寄った「地区事務研
をより活性化するためにはどのようにしたらよいか」とい
う体験演習シートを基にしながら「SWOT分析」と「実
行対策検討シートづくり」の体験をしました。事前の課題
シートの作成では,自分なりに集録などを読みながら,こ
れで良いのか,と不安な思いでの作業だったので,とても
難しい印象でした。しかし少人数のグループに分かれての
演習は,アドバイスを受けながらの作業でわかりやすく,
時間がとても短く感じられました。
今回の演習での体験をもとに,組織マネジメントの考え
を身につけ,少しでも問題解決能力が向上できればと思い
ました。
会場地下に展示されていた田村地区事務研の研究資
料からは,今後の各地区の事務研や県事務研の活動
へ多くの指針を与えていただきました。あちこちに
ちりばめられた田村地区事務研の熱いメッセージ
は,会員の心にきっと届いたと思います。
相馬 中村第一中学校
塚田 敏茂
国の義務教育費国庫負担はず
しの話,30人程度学級をはじめと
する本県の教育施策についての
話,あわせて,教職員の不祥事の
件,来年度から実施される教職員
評価制度の説明がありました。その中で「事務職員の立場
から,行政職の観点から,学校を見て,校長先生等を補佐
してもらいたい」という言葉に,そういう事務職員になら
なければならないと感じました。いま,教職員評価制度や
学校事務の共同実施等の問題によって,学校事務職員の資
質の向上や存在意義が問われています。日々行っている事
務の仕事だけでなく,教育課程に積極的に関わることや,
学校運営に参画できることなどが,私たち学校事務職員に
求められているような気がします。そのためには,日頃か
ら,学校事務の研修だけではなく,学校教育に関する研修
もしていかなければならないと思いました。
次期大会のお知らせ
期日 平成 18 年9月5日~6日
場所 いわき市
スパリゾートハワイアンズ
文部科学省行政説明
学校事務職員の力量形成と専門性
文部科学省初等中等教育局財務課
給与総括係長 粟井 明彦 様
静岡大学教育学部附属教育実践総合センター
助教授 藤原 文雄 様
東白 東舘小学校
吉田 睦子
「学校事務職員の職務と専門的力量に
ついて」にかかる具体的な考察は,とても
興味深く,私たち以上に藤原先生が学校
事務職員を分析し理解されていることに驚
きました。そんな藤原先生のお話は一つ
ひとつが核心をつくものであり,今後やっていくべきことを示唆され
ていたと思います。私にとって「共同実施」は,コスト削減・人員削
減につながりかねない,どちらかというと不安に感じる言葉です。
しかし,すでに事務研の活動自体が学校事務の共同実施といえる
ということや,事務研の機能を公式化していくことを視野に入れると
いった話は,事務研の活動に新しい活路を見いだしていると思い
ました。限られた時間の中で藤原先生は多くのメッセージを伝えよ
うとされていました。また福島大学の研修講座でお聞きした「行動
改革」という言葉にも元気をいただきました。私も,資料の中にあっ
た「ある学校事務職員の一日」のような毎日を過ごしていますが,
私たちの味方となっていただいている藤原先生のエールに少しで
も応えられるように努力していきたいと思いました。
(3)
西白 関辺小学校
丹内 久美子
今年も,義務教育費国庫負担制度
への攻撃の厳しさ,そしてそれに対
する文部科学省の対応を中心に,最
新の情報をとりいれた,行政説明を
していただきました。
例年言われていますが,すでに税源委譲されている教材
費等が,交付税積算額をベースとした基準額を超えている
都道府県はごくわずかで,福島県にいたっては約50%しか
予算措置がなされていません。このような現状では,私た
ちの給料が税源委譲されたとすれば,教材費等のときのよ
うに予算措置が難しくなるのは目に見えています。
資料にあった地方六団体の主張に対する理路整然とし
た文部科学省の回答に感銘を受けました。私たちも,粟井
氏のお話のように,現場でできることを頑張ってやってい
こうと思いました。地方教育の水準を保つために,制度の
必要性を訴え頑張っている文部科学省に感謝するととも
に,
「子どもの教育を守る」という強い意志が感じられた,
素晴らしい講演でした。
平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
若さとやる気に満ち溢れた8名の新会員のみなさんです。
今回は「①初任給の使い道②座右の銘 or 応援歌 or 趣味③今後の抱負」について
自由な形で原稿を書いていただきました。
早速ですが,初任給の使い道です。ささやかで
はありますが,感謝の気持ちを込めて両親に贈
り物をしました。次に座右の銘は,
「継続は力な
り」
。毎日の積み重ねがいつか自分を大きくさせ
ると信じ,日々努力に励んでおります。好きな
スポーツは,学生時代にやっていたバレーボー
ルです。いまも,たまに後輩たちと交流してい
ます。最後に今後の抱負です。私は,人と接す
るのが好きな性格で,いろいろな人たちとの出
会いを大切にしたいと思っています。私は現在,
多くの先生方に支えていただきながら仕事に
①昨年も
励んでおります。一日も早く成長した姿を
働いていた
お見せできるように,笑顔を忘れずに頑
ので,特別に
張っていきたいと思います。今後と
プレゼントなどは
もご指導よろしくお願いいたしま
しませんでした。た
だ,家族と食事に行き
す。
飯樋小
みんなにごちそうしました。
小野瀬 恵美
②趣味でいろいろなスポー
ツをやっています。現在は村
のスポーツクラブでフットサルや
バスケットボールをしています。ス
キーやスノーボードも好きなので,冬
になったら旅行を兼ねて泊まりで行
きたいと思います。
③この半年はあっという間に過ぎ
てしまいましたが,残りの半年で
しっかり仕事を覚え,2年目から
はもっと余裕を持って仕事がで
きるようになりたいと思います。
葛尾小
二瓶 雄一
①初任給の使い道はありきたりなのですが,両親にハンカチとネ
クタイを買いました。学生時代に両親に援助してもらった身です
ので大金はたいて贈り物……なんて身分不相応な真似は出来
ませんでしたが,何か形に残る物がいいと探した結果がそれだっ
たのです。
②趣味はたくさんあります。舞台鑑賞やスポーツ観戦,旅行や映
画鑑賞。最近では電子キーボードを購入し,自分の両手と悪戦
苦闘の日々を送っています。いろんな事に挑戦して,自分
の視野を広げたいと思っています。
③今,学校では子ども一人ひとりの個性を尊重し,自
ら学び考える力や豊かな人間性を育むために様々な
初任給の
教育改革が図られています。その中で学校運営に
使い道:給
おける学校事務職員の果たす役割は極めて重
与のほとんど
要だと思います。自分の業務に対して重責
は生活するために
を肝に銘じ,学校の活性化のために何事
使ってしまいました。
経済的にも生活するこ
も前向きに取り組んでいきたいと思い
との大変さを日々感じて
ます。
津島中
います。私の趣味:毎週水曜
吉田 新
日,仕事が終わった後に,温
泉へ行き,サウナに1時間入る
ことです。温泉に通って,たくさ
んの人と出会いました。今では,毎
週水曜日が楽しみで仕方がありませ
ん。サウナと水風呂に入ることが気
持ちをリフレッシュさせてくれるの
だと思います。また明日から頑張ろ
うと,私に思わせてくれるのです。
今後の抱負:たくさんの人と出会い,
多くのことを体験していく中で,視
野を広げ,価値を見つけ,人間的に
桶売小
金谷 一樹 成長することが目標です。
初任給の使い道は学校の先生=ジ
ャージ姿というイメージがあった
ので,NIKEのジャージを買い
ました。座右の銘は一刻千金です。
今この時間を大切にしたいです。
私の応援歌は,サンボマスターの
「美しき人間の日々」です。
白河四小
この歌のように,ものすごく人間く
さい生き方をしていきたいです。 宗像 秀樹
他には,エリッククラプトンの「Tears
in Heaven」も好きです。やさしくて
切ない歌なのでみなさんにもぜ
ひ聴いて涙していただきたいで
す。今後の抱負についてです
小野田小 佐藤 江里
が,現在は先輩の事務の方々
①初任給の使い道
に頼ってばかりなので,
家族一人ひとりに,感謝の気持ちを
一日も早く一人前に仕
込めて贈り物をしました。父にはネクタ
事ができるように
イ,母には腕時計,愛犬には散歩セットな
なりたいです。
どです。家族全員とても喜んでくれました。
②座右の銘など
座右の銘は「一期一会」です。この言葉を大切にし
て,毎日を過ごしています。趣味は,美術鑑賞と映画
鑑賞です。スポーツも大好きで,冬はウインタースポーツ
に挑戦したいと思っています。
③今後の抱負
夢であった教育の現場で働くことができて,本当に幸せです。
この気持ちを胸に,子どもたちや先生方に頼られる一人前の
学校事務職員になれるように頑張りたいです。
まず,初任給の使い道ですが,普通
に生活費に充てました。今年から一
人暮らしを始めたので,パーっと使
うこともあまりできませんでした。
次に,趣味ですが,これは高校時
代から始めたサッカーです。今でも,
子どもたちとサッカーをして遊ん
三阪小
鈴木徹 でいます。将来は,サッカーの指
導者や審判員の資格をとって,大
好きなサッカーを続けていきたい
と思っています。最後に今後の抱
負としましては,子どもたちが
三阪中
のびのびと生活できるように
柏村 麻衣子
滞りなく仕事のできる事務
初任給の使い道ですが,車を
職員をめざして勉強して
購入したのでその支払いに使い
いきたいと思っていま
ました。趣味は,その車でのドライ
す。これからどう
ブと映画鑑賞です。車の運転は好きで,
ぞよろしくお
ドライブでは猪苗代方面に行くことが
願いいたし
多いのですが,これから福島方面にも足
ます。
を伸ばしていきたいと思っています。映画
は,年代・ジャンル問わず何でも観ます。最近
では「オペラ座の怪人」を観ました。またこれか
らは,韓国ドラマなども観ていきたいと思っていま
す。最後に今後の抱負ですが,まだまだ分からないこと
が多いので,自分なりに勉強して成長していきたいと思
います。どうぞよろしくお願いいたします。
(4)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
進む、市町村合併
第77号
「連携を深めた共同作業が必要」
2005.3.1[田村市]滝根町・大越町・都路村・常葉町・
船引町:合併・市制
~未知への不安・わたしたちに出来ることとは~
(旧船引町)堀越小学校 伊藤哲也
田村地区事務研では,合併にあたり事前に合併協
議会の方をお呼びして研修会を行いました。学校管
理規則を含め教育委員会関連については何一つ決
まっていない状況でした。結果として現在まで混沌
とした状況は変わっていません。
合併協議会としては,合併前は事務事業の今後に
ついて意見を聞きながら方向性を指し示し調整す
るという役割だけで,具体的なことについては合併
してからすべてを決定していくことになるような
ので,組織としてこちら側から積極的に継続した働
き掛けをしていかない限り何も変わらないという
ことです。
現在,田村市の学校事務を検討する組織を模索し
ています。文書管理・学校財務・備品管理・就学援
助等に関して,いまだに統一した方向性が見出され
ていない現状を,体系的に整備・要綱化を図ってい
くことは急務です。
先日も18年度の当初予算編成を,様々な理由で1
週間という短期間で編成させられるというハプニ
ングに見舞われました。教育の営みのすべてを保障
する教育予算編成をはじめ,子どもに直接関わる制
度や学校事務全般についてより良い方向に改善し
ていけるように,今後は校長会や教頭会,教育委員
会事務局職員等と連携を深めた協同作業が必要で
あることは言うまでもありません。
昨年11月の北会津村を皮切りに,市町村合併が
県内7つの地域で行われ,さらに今年度中に4つ
の地域で予定されています。市町村合併に際して,
学校事務職員はどのように関わり,どう感じてい
るのか。今回は既に合併した地域とこれから合併
する地域の会員4人にお話を伺いました。
「本当の意味での合併に向けて」
2005.4.1[須賀川市]長沼町・岩瀬村:須賀川市へ編入
(旧長沼町)長沼東小学校 山本静枝
合併協議会が設置されてから実際に合併するま
でに,行政側から学校に対する説明や学校の要望を
聞かれるといったことが当然あるだろうと楽観的
に考えていました。しかし慌しく時は過ぎ,合併の
日を迎えてしまったという状況でした。合併後は,
長沼町と岩瀬村の教育委員会は,須賀川市教育委員
会に統合されました。その際,長沼町教育委員会に
いた職員が一人も市教育委員会に配属されなかっ
たため,合併前に町教委と確認した様々な事柄が,
市教委に正確に伝わりにくい状況にあり,従前の慣
習にこだわる市教委との間で,合併後の混乱はいま
も続いています。情報収集や現場の声を伝える場を
探るなどの働きかけをしておくべきだったと反省
しています。また,合併した今年度は移行期として
従前の予算レベルをほぼ確保できていますが,移行
期が終わった来年度からが本当の意味での合併に
なります。配当予算の枠組みが大きく変わることが
予想されるので,教育活動へ影響が及ばないように
工夫していかなくてはなりません。これからいろい
ろなことが今より少しずつでも良くなっていくよ
うに,校長先生,教頭先生や市内の事務担当者同士
と情報交換をしながら,方法を模索できればと思っ
ています。
「学校事務職員の思いを伝えるために」
2006.1.1予定[伊達市]伊達町・梁川町・保原町・霊山町・
月舘町:新設・市制
(保原町)桃陵中学校 臼田由美子
合併にあたって私たちが一番気にかかることは,
公費の予算配分の仕組みや編成・執行方法について
です。今年5月に合併準備会学校教育部会から,財
務会計システムの導入についての提案がありまし
た。5町の事務職員は早速「伊達市合併準備会学校
事務職員部会」を組織し,システム導入に伴う問題
点を話し合い共通理解を図るなど,スムーズな移行
に向けての対策を協議しました。システム導入に伴
っては,学校長へ事務の委任が生じることや,裁量
権が拡大することが想定されます。私たちは,学校
財務事務のあり方を『特色ある学校運営を支える財
務事務』ととらえ,適正に執行するために必要な内
容をイメージ図に表しました。また,公費予算の確
保に向けて,現在の予算措置状況や学校徴収金の状
況を把握するため,学校運営費(公費及び私費)全
体について実態調査を行いました。同時に,システ
ム導入に伴う人的条件の整備が必要であると考え,
町費職員の配置状況調査も実施しました。そして,
業務に直接的にかわる課題を「要望書」としてとり
まとめ,実態調査をそえて,8月に伊達地区小中校
長会合併対策委員会委員長へ提出いたしました。短
期間でしたが,合併準備会に学校事務職員の声を届
けるため,精一杯取り組みました。
「いまは希望よりも不安のほうが大きい」
2006.1.4[喜多方市] 喜多方市・熱塩加納村・塩川町・
山都町・高郷村:新設
(高郷村)高郷第一小学校 齋藤信義
対等合併と言う名の吸収合併(?)なのかどうか
わかりませんが,合併後の会計処理システムは喜多
方市のシステムに移行するという連絡を受けてい
るので,学校としては何も言うこともなく,その時
が来るのを静かに待っているところです。すでに合
併した地域の話などを聞いても,行政サービスが良
くなるというよりはむしろ,予算のかからない方へ
と行くだけのようですので,とても希望など持て
ず,不安は増すばかりです。
(5)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
前号に引き続
き,A講座・
B講座の講義
の内容を紹介
いたします。
<シンポジウム>「これからの学校事務職員について考える」 学校事務職員研修講座(A) 8月21日
兵庫県立大学教授
静岡大学助教授
文京区立窪町小学校 課長補佐
これからの学校事務職員はどうあるべきか,職・共同
実施・研修・教育委員会との連携などのテーマについて,
司会の宮前先生が三人にお話を伺う形式の講義でした。
紙面の都合上,それぞれの先生のご意見をまとめて紹
介させていただきます。
◇・◆・◇・◆・◇
川崎先生「学校事務職員の中心的職務と考えら
れていた,給与や福利厚生・公費会計などの事務
が,民間委託されつつあります。学校事務職員が,
自らの職務についてこれまでのものでよいと考え
るならば,学校からいなくなる日は近いと思いま
す。また,学校事務の共同実施については,それ
によって生まれた時間的余裕をもとに,学校経営
により深く参画する努力が続けられています。し
かし,その成果が目に見えるもので社会に認めら
れるものでなければ,学校事務職員は正規職員で
なく非常勤でよいという方向に進む危険性をはら
んでいます。社会的評価は,将来あるべき姿がど
う提示されているかではなく,現在どれほど学校
経営の中心的課題であるカリキュラム経営に寄与
しているかが問われることになります。他にも,
安全で健康的な施設の整備,公費と市費会計の有
機的連結による私費負担軽減などの課題がありま
す。地域の事務職員が連携しつつ,それぞれの学
校での課題を把握して取り組む姿勢が,社会に学
校事務職員の有用性を認識してもらう最大の手だ
てであると思います。」
清原正義
藤原文雄
川崎雅和
様
様
様
い点もあると思われるので,そうした意味でも研
修や共同実施は必要です。意識改革よりも行動改
革です。学校は子どもの幸せのためにあり,職員
同士そうした思いを共有する場です。事務職員も
同じ思いで仕事をしているということをアピール
することが,多くの味方をつくると考えます。学
校にいるという軸足は,はずすべきではありませ
ん。教育的配慮ができる,教育を知っている行政
職員であるべきだと思います。
」
清原先生「事務職員の大きな目標は,学校経営
への参画であると考えます。学校経営は,教育課
程の編成と実施だけではないので,人事・予算・
施設整備・情報提供・地域社会との連携など,具
体的にどこに参画するのか検討していくことが重
要です。また,共同実施は学校経営の効果を高め
ることがねらいですが,職務内容の明確化や学校
事務の再編成にも貢献しており,また財政的な制
約が強まっている中での,加配という定数改善の
方途にもなっています。研修は,職場でのケース
スタディが大切です。ある程度専門性を持つため
には,職能組織として自立していくこと,自前の
研修ができること,倫理綱領を持つ(自分たちの
職業上の社会的使命を考える)ことが大切です。
教育委員会・校長会・教頭会との連携は,研修を
共同実施体制の中ですること,裁量予算の研究を
校長・教頭と連携しながら進めていくことで得ら
れるのではないでしょうか。」
藤原先生「学校事務職員の応援団を作っていく
必要があります。そのためには,自分たちの良さ
をクローズアップして,他の職種からどう見られ
ているかを視野に入れ,自分たちをわかりやすく
説明していくことや,学校事務を安定化していく
ことが大切です。安定化とは,学校事務職員の異
動等があっても,正確な仕事で安心できる体制を
作ることです。安定化は,一人ではなかなか難し
◇・◆・◇・◆・◇
最後に宮前先生から,「課題山積で,決定打がない。
いろいろなところに可能性があることがわかりました。今
後もこのような研修を続けていきたいと思います。」とま
とめがありました。それぞれの立場からの説得力のある,
そして示唆に富んだずっしりと聞き応えのある講義でし
た。福島で三人の先生からのお話を聞けたことは,大変
貴重な体験となりました。
(6)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
第77号
「学校事務職員として願い,考えていること」 学校事務職員研修講座(B) 9月10日
郡山市立金透小学校主任主査
三瓶京子
様
魅力。子どもたちの姿に感動したり考えさせられたり,
使命(役割)。私たちは,日常の事務の遂行だけでは
なく,子どもの学習や教師の指導の良き「支援者」として,
一つとして同じものはない,そうした日々の変化が,学校
授業や校舎・教科書等をよく見て,そこで感じるものから
という職場の最大の魅力ではないでしょうか。学校事務と
自分にできることは何かを考えて動くことが必要だと思い
いう仕事は,自分がその気になればどこまでもやれる,
ます。また,学校経営に対する校長先生の思いや願い
幅を広げることができる面白さがあります。しかしその反
を受け止めて,日々の仕事に繋いでいくことも大切です。
面,オールマイティであることが求められ,心に余裕がな
学校教育の良き理解者であることや,財務事務のエキス
いとなかなか楽しく仕事をすることが出来ないこともありま
パート・唯一の行政職として学校運営の中核を担うことは,
す。決して悲観的にならず,子どもたちのために,明るく
私たちの願いであると同時に,多くの校長先生が私たち
前向きに気分転換しながらやっていくことが大切です。
に望んでいることでもあります。特に,「学校の顔としての
宝物。学校事務の手引第一次改訂版の編集委員とし
役割と責任を」ということについては,学校開放・情報公
て,県事務研の仕事に初めて関わりました。学校事務の
開・安全確保という観点からも,これからは期待に応える
手引は,事務職員の職の標準化を図る上で大きな役割
努力をしていく必要があると思います。
を果たした県事務研の素晴らしい成果だと思います。編
事務研への願い。私たちにとって研修の場は非常に
集委員の仲間とは,今でもお付き合いがあります。編集
大切です。事務研は,より身近で魅力ある研修・研究活
の仕事を通して,共に学び,目標とする人たちとも出会
動をしていかなければなりません。また,活動を通して事
えました。このときの多くの経験は,大きな心の支えとな
務職員の存在を周囲にアピールしていくことも大切です。
っています。私の宝物です。
そして県事務研という組織として,
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思いや願い・研究内容を,校長会
仕事の先に,子どもたちの姿がいつも
や地教委へ具体的に働きかけて
見えていること。子どもたちのために仕
いくこと,連携していくことがこれ
事をしているという意識を忘れないこと。
からの課題だと思います。
お話の中に,子どもたちへのあたたかい
やさしさ・思いをたくさん感じました。
「学校事務職員の研修について考える-学校事務の夢を描こう!」 学校事務職員研修講座(B)9月10日
田村市立船引小学校主査
橋本広治
様
ればと思います。また,事務研の活動や私たちの思いを,
思い描くこと。私たち学校事務職員一人ひとりの,課
題や目標・それぞれの思いや夢は,一見バラバラのよう
校長会や教頭会,教育委員会などに伝えることにも積極
に見えます。しかし,研修の機会を多く持ち活発にコミュ
的に目を向け,関係機関との連携をはかっていくことも
ニケーションをはかっていくと,同じことで悩んでいること
必要です。
夢は,みんなで語っていくと,僅かでも現実味を
帯びてきます。学校事務のやりがいにもつながって
いきます。そうした夢を語り合える,夢を描ける事
務研というものを,若いみなさんにつくっていって
欲しいと思います。
に気づき,小さいことでも解決でき,共に喜びを知ること
が出来ます。難しく考えずに,いまそこから始まっていく
という気持ちで,夢をどんどん描いていく,その夢が形に
なる,確実に積み上げていく,そういうワクワクするイメー
ジを大切にして欲しいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
実践。知識や知恵だけでなく,進んで研修しようという
先生方に「伝える」ことの必要性に気づき,事務だよりの発行
「意識」を身につけて生かしていくことは,学校事務職員
を続けていくうちに,田村地区事務研「会報あぶくま」特集号へ
と広がっていったその活動は,田村事務研の組織的な研修活
の資質向上につながっていきます。そして,教員との連
携を図りながら,あまり構えずに学校運営に積極的に関
動の下地を形成することとなりました。また,Macintoshコンピュ
ータとの運命的な?出会いは,仲間を増やし,学校事務として
わっていくことも大切です。さらに,時代に対応できるよう
に変えていく・変わっていくために,強い意欲・高い意識
の実務も連携も深まっていきました。
与えられたものに対して,どういう意識で向き合うか,いかに
を持つこと,それが学校事務の夢だと思います。
つなぐもの。その夢をつないでいくのが,私たち事務
研という名の仲間です。力をあわせて補完し合い連携し
多く意欲的に研修のチャンスをつかんでいくかが重要なポイン
トですとのお話は,B講座に参加した若い事務職員への素敵
ながら,より組織的な事務研活動の展開を目指していけ
な贈り物になったと思います。
(7)
平成17年12月1日
福島県事務研会報
リレー
№34
桑折町立醸芳中学校
高野 利男
「 『愛は地球博を救う? 』見聞録’05 」
新採用の南会津郡下郷町立旭田小学校より,丸23
年が経過し,現在で7校目の勤務です。趣味は旅行
で,毎年夏休みに青春18きっぷの旅をしています。
北は稚内,東は根室,西は長崎までを制覇し,そし
て今年は話題の「愛・地球博」に行ってきました。
(普通列車で12時間かけて!)
気温は連日35度を超え,ホテルに帰るとTシャツ
は真っ白(塩を吹いていた),スポーツドリンクを飲
み続けないと熱中症になるくらいの暑さでした(持
ち込みは禁止だが,会場内では販売していた!)。
楽しみにしていた夜のモリゾーとキッコロ(今人気
の「キモカワイイ」万博マスコット)のパレードは
第77号
入場日前日の混乱から中止となりがっかりして
いましたが,人気の日立グループ館は3時間,ト
ヨタグループ館は1時間待って入館することが
できました。日立館は,立体メガネをかけると,
希少動物が手のひらで動いたり,入館時に撮影し
た自分の顔が,映画の人物として登場したり,イ
ンターネットで取り出せたりしました。トヨタ館
では,ロボットが楽器の演奏をしたり,人間を乗
せてショーを行ったりしました。また会場と鉄道
の駅を結ぶリニモ(リニアモーターカー)は,音
が静かで乗り心地がよかったです。
世界の最先端の技術に触れることができ,満足
することができました。一方で「人間にしかでき
ないことはなにか」をあらためて考えさせられま
した。学校においても電算化によって効率化でき
る仕事もあれば,私たち学校事務職員にしかでき
ない仕事もあると思います。
「愛(思い)
」を持ち
つつ教育課程や施設整備にかかわっていけた
ら・・そんな気持ちを新たにした夏でした。
次号にリレーする方を紹介してください。
以前,研究委員会でお世話になりました,頼り
になる「アネゴ」郡山市立御舘中学校の郡司洋子
さんを紹介させていただきます。
さらに充実した福島大学「学校事務職員研修講座A・B」
福島大学総合教育研究センター主催の「学校事務職員研修講座」も3年目を迎えま
した。今年はA・B二種類の講座が開催されましたが,特にA講座には全国から(北
は青森から南は高知まで)受講者が集まりました。
同じ事務職員としての実践や思い,校長先生などの教員・管理者側から見た学校へ
の思い,そして,宮前先生をはじめとする学校事務・学校経営の研究者の考えなど,
様々な講師の方の話を聞くことができました。大学のキャンパスという場所で,少し
だけ学生気分?で,同じ仲間と同じ空気を吸い,学校事務についてじっくり考え学ぶ
ことができる,とても貴重な研修機会だと思います。
最後に主催者から「大学で企画したこの講座を,事務職員の皆さんが積極的に受講してくれ
ることが嬉しい。来年以降も続けていくために,皆さんのニーズに応えられるように内容を検
討して計画していきたい。
」との話がありました。参加された方はぜひ,福島大学総合教育研
究センター:宮前貢先生へ,参加してみての感想・要望・気づいたことなどの声を届けましょ
う。福大総合教育研究センター宛メール⇒ [email protected]
また来年,どんな話が聞けるのか,いま
からとても楽しみですね。
「学校事務の手引」正誤表が県事務研HP
に掲載されています。ご確認ください。
(8)
編
編集
集後
後記
記
田村大会の特集はいかがでしたか。一年に一度の
県大会,皆さんの研修を深める良い機会になったの
ではないでしょうか。義務教育費国庫負担の維持を
願ってやみません。寒い日が続きますので,体調管
理には充分気をつけて下さい。
(石幡・山本・丹内)
[email protected]