CPRMによるコピー制御 - ZTV

ZTV技術コラム
第 50 回
STB の EPG 画面で「
1 回のみコピー可能」
と表示されている番組があります。これはコピーワンス番組として放送され
ており、CPRM(Content Protection for Recordable Media)という方式が使われています。制御信号が番組に付加されて
おり、対応メディアに一回だけ録画できる仕組みになっています。今回は CPRM について説明したいと思います。
■ CPRM とは
CPRM はデジタル放送のコピー制御に使われている著作
権保護技術のひとつです。デジタル放送の多くは「
コピーワ
ンス(
1 回のみ録画可能)
」
番組として配信されており、この
録画の制御に CPRM が使われています。このため、デジタ
ル放送を録画する際には、レコーダー・
録画メディア(
DVD
など)
が CPRM 対応である必要があります。
■ 仕組み
という鍵があり、MKB との組み合わせで「
メディアキー」
を生
成します。データはメディアID とメディアキーによって暗号化
されたうえで、ディスクに記録されます。
CPRM 対応ディスクには「
メディアID」
という固有の情報と、
「
MKB(
Media Key Block)
」
という鍵があらかじめ記録されて
います。MKB は複数のディスクで共用されていますが、メデ
ィアID は個別に異なります。レコーダーには「
デバイスキー」
CPRM 対応ディスク(
記録後)
CPRM 対応ディスク(
記録前)
録画機器
デバイスキーと MKB により
メディアキーとメディア ID に
メディアキーを生成
より暗号化して記録
再生時には復号化の処理が行われ、メディアキ
ーとメディア ID を用いて解読する仕組みになって
います。即ち、あるディスクのデータを別のディス
別のディスクにコピーしても・
・
・
メディア ID が異なり復
クにコピーしたとしても、メディア ID が異なるため
再生することができなくなります。
記録済みディスク
別のディスク
号できない
■ DVD における注意点
デジタル放送を録画した DVD は、CPRM 対応の機器でな
いと再生ができません。録画に使用した機器は CPRM 対応
ですので問題なく再生できますが、別の機器で再生しようと
した場合にうまく再生ができないケースがよくみられます。
最近では CPRM ディスクの再生に対応した DVD プレーヤー
が発売されていますが、旧型機種やパソコン、低価格で販
売されているDVD プレーヤー、また、デジタル放送のチュー
ナー内蔵でない DVD レコーダーなどは対応していない傾向
が強いようです。録画した DVD を別の場所で観る場合には、
再生に使用する機器が CPRM 対応であるかを確認する必
要があります。ハードディスクレコーダーでは、ハードディス
クからDVD へのデータ移動が可能なことがあり、これを「
ム
ーブ」
といいます。ただし、DVD へ移動したデータはハードデ
ィスクから削除されてしまいます。
■ 今後のコピー制御について
本来デジタルデータには、データの編集などの取り扱いが
容易である利点があります。しかし、映像の世界ではこの手
軽さを悪用されないために制御がかけられ、デジタル放送
であるが故の扱いにくさがでてきてしまっている現状があり
ます。著作権保護を目的としたことでユーザーの利便性を
犠牲にしてしまっている部分があり、これまでルールの緩和
について議論が進められてきました。そして、本コラム第 45
回「
コピー9 回」
にてとりあげた、コピー9 回+ムーブ1 回の
ルールが「
ダビング 10(
ダビングテン)
」
という呼び名に統一
され、この秋より地上デジタル放送において採用されること
が 2007 年 12 月に正式発表されています。