コンクリート工学年次論文集 Vol.26 - 日本コンクリート工学協会

コンクリート工学年次論文集,Vol.26,No.1,2004
論文 超高強度コンクリートの構造体コンクリート強度発現性状
一瀬 賢一 *1・川口 徹 *2
要旨:市中プラントで製造した設計基準強度 100N/mm 2 を超える超高強度コンクリートの
構造体コンクリート強度の発現性状について以下のことがわかった。(1)水セメント比20
∼ 14% のコンクリートに PVA 繊維を容積比 0.3% 混入しても良好なワーカビリティおよび
強度を確保できる。(2)設計基準強度 100N/mm 2 を超える超高強度コンクリートのコンク
リート強度補正値を得ることができた。(3)構造体コンクリート強度の変動係数は,5% 程
度である。(4)設計基準強度 130N/mm 2 級までのコンクリートの製造が,1 年を通して市中
プラントにて可能である。
キーワード:超高強度コンクリート,構造体強度,簡易断熱養生,PVA 繊維,温度履歴
1. はじめに
2. 実験概要
近年,首都圏では 40 層以上の高層集合住宅を
2.1 実験条件
中心として,設計基準強度(以下 Fc)100N/mm2
実験条件は,表−1に示す水セメント比(以下
級の超高強度コンクリートを用いた鉄筋コンク
W/C 比)3 水準,打設時期 3 水準(冬期,標準期,
リート造(以下 RC 造)が設計・施工されてきてい
夏期)とした。
る。これは,柱部材のスレンダー化,居住性の
2.2 使用材料と調合
向上,有効面積の増加,自由度の高い居住空間
使用材料は,低熱ポルトランドセメントを
を実現している。今後もコンクリートの設計基
ベースとし,シリカフュームをプレミックスし
準強度の更なる高強度化が進むと考えられる。
たセメント(以下 SFC,密度:3.08g/cm3),細骨
また高強度鉄筋との組合せにより,今後アスペ
材に万田野産山砂,粗骨材として両神産砕石
クト比の大きい搭状建物も建設されるものと予
(硬質砂岩)を使用した。骨材の品質を表−2に
想される。しかし,超高強度コンクリートの構
示す。化学混和剤は,ポリカルボン酸系化合物
造体コンクリート強度に関する研究・報告は,
を主成分とする高性能減水剤を使用した。また
Fc100N/mm 2 程度までは比較的多く発表 1)∼ 3)され
ているものの,Fc100N/mm 2 を超えるものは,ま
だ発表数も少なく4),5),今後のデータの蓄積が
期待される。
表− 1 実験条件
項 目
水セメント比
打設時期
そこで本研究では,市中プラントを使用し,
水セメント比,打設時期をパラメータとして製
ト強度の発現性状を中心に検討・考察した。
水準数
3
3
表−2 骨材の品質
工場
記号
造したFc100N/mm2を超える超高強度コンクリー
ト(水セメント比20∼14%)の構造体コンクリー
摘 要
20%,17%,14%
冬期,標準期,夏期
G
A
S
骨材の種類
両神産
硬質砂岩
万田野産
山砂
表乾密度
(g/cm3)
粗粒率
2.70
6.60
2.59
2.62
*1 (株)大林組技術研究所 建築材料研究室 構造材料グループ長 博(工)( 正会員)
*2 同 室長 工博(正会員)
-1293-
火災時の爆裂防止対策用としてポリビニルアル
模擬部材を打設した。標準養生供試体は,翌日
コール繊維(以下 PVA 繊維,密度:1.3g/cm3,繊
脱型し養生を開始した。簡易断熱養生供試体は,
維長さ:12mm,繊維径:100 μ m)を使用した。
材齢 7 日まで断熱材中で養生し,以降現場封か
P V A 繊維の混入量は,コンクリート容積比の
ん養生とした。また模擬部材は,材齢 7 日に側
0.3% とした。
面の型枠を脱型した。
調合条件は,PVA 繊維混入後の目標スランプ
フロー値を 70 ± 7.5cm とした。目標空気量は,
3. 実験結果および考察
2.0 ± 1.0% とした。各コンクリートの調合を表
3.1 フレッシュ性状
−3に示す。混和剤の使用量は,打設時期によ
フレッシュ性状の試験結果を表−4に示す。
り表−3に示す範囲で調整した。
またPVA繊維混入の有無によるスランプフロー,
2.3 測定項目と測定方法
空気量の試験結果を図−2,3に示す。スラン
測定項目は,フレッシュ性状(スランプフ
表−3 コンクリートの調合
ロー,空気量,単位容積質量,温度),温度履歴
性状(模擬部材内部温度),管理用供試体圧縮強
度(標準養生,簡易断熱養生),模擬部材供試体
A
から採取したコア強度とした。各測定は,それ
単位量 (kg/m3)
W
C
S
G
160
800
642
842
155
912
562
842
150 1071 440
842
W/C
(%)
20
17
14
工場
混和剤
対セメント(%)
1.5∼1.65
1.65
2.3∼2.5
ぞれの JIS に準じて実施した。管理用供試体は,
100 φ× 200mm とし,3材齢(材齢 28 日,56 日,
28日
91 日)にて各3本ずつ採取した。簡易断熱養生
56日
91日
予備
中央部コア採取位置
は,900 × 900 × 200mm の断熱材を 3 段重ね,そ
の中段中央部に封かんした供試体を入れた。模
300
91日
図−1 温度測定およびコア採取位置
擬部材高さ方向の 1/2 部分に埋込んだ。コア供
試体は,100 φ× 200mm とし,各採取位置につき
表−4 フレッシュ性状
打設
時期
コンクリートは,容量5m3の水平二軸強制練り
W/C
(%)
14
冬
した。練混ぜ方法は,モルタル先練りとし,モ
17
20
ルタルを2∼5分間練混ぜ,その後粗骨材を投入
14
して 2 ∼ 3 分間練り混ぜた。練混ぜ時間は,4 分
標準
17
た。PVA 繊維は,ベースコンクリートのフレッ
20
シュ性状の確認および管理用供試体(標準養生の
14
み)採取後,トラックアジテータ内に投入し,約
2 分間高速撹拌した。PVA 繊維混入後は,フレッ
シュ性状の確認,管理用供試体の採取を行い,
-1294-
単位:mm
1000
供試体の採取位置を図−1に示す。熱電対は,模
間,6 分間,8 分間と W/C 比の低いものを長くし
56日
150 200 150
断熱材で覆った。熱電対埋込み位置およびコア
ミキサを使用し,各調合について2.5m3ずつ混練
外周部コア採取位置
28日
予備
(冬期のみ 1200mm)とし,上下面を厚さ 200mm の
2.4 コンクリートの製造・打設および養生
150
50
擬部材試験体は,1000 × 1000 ×高さ:1000mm
4 本(冬期のみ 5 本)採取した。
熱電対埋込み位置
夏
17
20
PVA
繊維
混入
スランプ
フロー
(cm×cm)
空気量
(%)
単位容
積質量
(kg/m3)
温度
(℃)
無
有
無
有
無
有
無
有
無
有
無
有
無
有
無
有
無
有
79.0×77.0
72.0×70.5
77.0×76.0
71.0×71.0
73.5×73.5
70.0×69.0
72.0×72.0
67.0×66.0
74.0×73.0
68.5×68.0
67.5×68.5
62.0×61.0
75.0×73.5
67.5×66.0
76.0×76.0
71.0×70.0
75.0×75.0
70.0×69.0
2.4
2.5
2.2
2.2
2.2
2.1
1.9
2.3
1.0
1.6
1.4
1.8
1.4
1.8
1.3
1.5
1.8
1.9
2516
2514
2504
2499
2481
2473
2530
2520
2497
2477
2480
2469
2530
2520
2481
2481
2465
2446
14.0
15.0
13.0
13.0
12.0
11.0
25.0
25.0
23.0
23.0
23.0
24.0
32.0
32.5
30.0
31.0
30.0
30.0
模擬部材中心最高温度 ( ℃ )
PVA混入スランプフロー ( cm )
80
14%
17%
20%
75
70
65
60
60
65
70
75
PVA未混入スランプフロー ( cm )
100
80
70
60
80
図−2 スランプフロー
50
W/C=20%
40
4
5
6
結合材水比
7
8
100
17%−冬期
14%
17%
20%
2.5
2
1.5
1
60
40
20
0.5
0
0.5
1
1.5
2
2.5
PVA未混入空気量 ( % )
中心
外周
簡易断熱
外気温
80
温 度 ( N/mm2 )
PVA混入空気量 ( % )
14%
17%
図−4 模擬部材中心の最高温度
3
0
冬期
標準期
夏期
90
0
3
図−3 空気量
0
1
2
3
4
5
材 齢 ( 日 )
6
7
図−5 温度履歴曲線(冬期)
100
17%−標準期
プフローは,PVA 繊維の混入により約 5 ∼ 7cm 小
0.5% 程度大きくなった。PVA 繊維混入後のコン
クリートは,特に繊維のかたまりもなく,良く
分散できた。またフレッシュ性状も概ね目標値
80
温 度 ( ℃ )
さくなった。空気量は,PVA 繊維混入により 0 ∼
中心
外周
簡易断熱
外気温
60
40
を満足しており,PVA 繊維を容積比 0.3% 混入し
20
ても良好なワーカビリティを確保できることが
0
わかった。
3.2 温度履歴性状
0
1
2
3
4
5
材 齢 ( 日 )
6
7
図−6 温度履歴曲線(標準期)
各模擬部材中心の最高温度を図−4に示す。
順に高く,同一打設時期では,W/C比の低い方が
若干高くなった。また中心部が最高温度に達す
る時間は,冬期33∼35時間後,標準期27∼29.5
時間後,夏期 24.5 ∼ 26 時間後であり,打設時
期の違いに比べ W/C 比の違いによる影響は小さ
100
17%−夏期
温 度 ( ℃ )
模擬部材の中心温度は,夏期>標準期>冬期の
中心
外周
簡易断熱
外気温
80
60
40
20
かった。各打設時期における模擬部材,簡易断
熱養生および外気温の温度履歴曲線の一例を図
−5∼7に示す。これらの図から以下のことが
わかる。各打設時期において,材齢7日後には
-1295-
0
0
1
2
3
4
5
材 齢 ( 日 )
6
図−7 温度履歴曲線(夏期)
7
200
14%VF
17%VF
20%VF
160
圧縮強度 ( N/mm2 ):y
PVA混入圧縮強度 ( N/mm2 )
180
140
120
100
100
120
140
160
PVA未混入圧縮強度 ( N/mm2 )
y = 65.2 + 11.5x(材齢28日)
y = 62.8 + 13.3x(材齢56日)
180
y = 89.3 + 9.83x(材齢91日)
160
140
120
100
4
180
材齢28日
材齢56日
材齢91日
PVA混入
4.5
5
5.5 6 6.5 7
結合材水比:x
7.5
8
図−9 標準養生供試体強度
図−8 圧縮強度(PVA 繊維混入の有無)
中心部と外周部(側面から 50mm の位置)の温度
はともに外気温まで下がることがわかる。また
中心部と外周部の最大温度差は,冬期 15.8℃,
標準期 14.9℃,夏期 12.8℃を示し,外気温が高
い時期ほど温度差が小さくなった。W / C = 1 4 % ,
圧縮強度 ( N/mm2 )
200
180
140
120
100
0
PVA混入
20
材中心部と同程度の履歴を示した。しかし,標
図−8に示す。140N/mm2 までの強度では,繊維
混入の有無による差異はないが,150N/mm2 以上
圧縮強度 ( N/mm2 )
PVA 繊維混入の有無による圧縮強度の比較を
14%-標水
17%-標水
20%-標水
180
120
PVA混入
各打設時期ごとの標準養生,簡易断熱養生の
圧縮強度の発現性状を図−10∼12に示す。標準
養生の場合,材齢 28 日以降の強度増加は, W/C
た。簡易断熱養生の場合は,材齢 28 日以降の強
度増加が標準養生よりも更に小さく,材齢が長
-1296-
40
60
80
材 齢 ( N/mm2 )
14%-標水
17%-標水
20%-標水
180
100
夏期
14%-簡易断熱
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
160
140
120
比の大きい方が大きい。W/C=14% の場合は,材
齢 56 日以降の強度増加が小さく,頭打ちとなっ
20
200
圧縮強度 ( N/mm2 )
示している。
0
図− 11 管理用供試体強度(標準期)
関係を図−9に示す。セメント水比 5.0 以上で
もセメント水比と圧縮強度とは概ね比例関係を
標準期
14%-簡易断熱
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
140
100
る傾向が認められる。これは,繊維混入による
標準養生供試体のセメント水比と圧縮強度の
100
160
の強度では繊維の混入により若干強度が低下す
空気量の増加が影響していると考えられる。
80
200
示した。W/C=14%,20% も概ね同様の結果を示し
3.3 管理用供試体の強度試験結果
40
60
材 齢 ( 日 )
図− 10 管理用供試体強度(冬期)
準期,夏期では,外周部と同程度の温度履歴を
た。
冬期
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
160
20% でも同様の結果を示した。
簡易断熱養生の温度履歴は,冬期では模擬部
14%-標水
17%-標水
20%-標水
100
PVA混入
0
注:14%-簡易断熱-材齢28日データ無し
20
40
60
材 齢 ( 日 )
80
100
図− 12 管理用供試体強度(夏期)
200
冬期では,全材齢の結果が,標準養生よりも低
180
い値を示した。しかし,標準期では W/C=14%,夏
期では,W/C=14% と 17% が材齢 28 日において標
準養生よりも高い強度を示した。
3.4 コア供試体の強度試験結果
圧縮強度 ( N/mm2 )
くなるほど標準養生との強度差は大きくなった。
14%-コア中央
14%-コア外周
17%-コア中央
17%-コア外周
冬期
20%-コア中央
20%-コア外周
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
160
140
120
各打設時期のコア供試体の強度発現性状を図
100
0
− 13 ∼ 15 に示す。冬期の結果から,材齢 28 日
PVA混入
20
では中央部と外周部の強度差が9.1∼15.8N/mm2
200
周部強度が中央部の強度に追いついている。こ
のように冬期の場合,中央部の強度の増進に比
べ外周部の強度増進が大きいことがわかる。ま
圧縮強度 ( N/mm2 )
は,材齢初期の履歴養生温度の差が影響してい
と W/C=17% と 20%,材齢 91 日では W/C=14% の外
14%-コア中央
14%-コア外周
17%-コア中央
17%-コア外周
20%-コア中央
180
20
200
圧縮強度 ( N/mm2 )
ほぼ等しく,材齢経過による強度の増進がほと
履歴の結果を反映しているものと言える。
PVA混入
(mSn 値,標準養生した供試体の材齢 m 日におけ
る圧縮強度と構造体コンクリートの材齢 n 日に
おける圧縮強度との差)の関係を図− 1 7 に示
す。2 8 S 9 1 値は,総て0以下,5 6 S 9 1 値は,最大
6.9N/mm2 を示した。
-1297-
20
40
60
80
材 齢 ( N/mm2 )
100
図− 15 コア強度(夏期)
簡易断熱圧縮強度 ( N/mm2 )
材齢91日コア強度とコンクリート強度補正値
夏期
PVA混入
日では,簡易断熱の強度は,コア強度と同等ま
3.5 構造体コンクリート強度の補正値
20%-コア外周
14%-簡易断熱
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
120
度は,概ね± 5N/mm の範囲にある。特に材齢 91
断熱養生の強度を用いることも可能である。
100
140
2
コンクリート強度をコア強度の代替として簡易
80
160
100
0
16 に示す。コア強度に対して簡易断熱養生の強
14%-コア中央
14%-コア外周
17%-コア中央
17%-コア外周
20%-コア中央
180
コア強度と簡易断熱養生の強度の関係を図−
たは若干低い。このことから材齢 91 日の構造体
40
60
材 齢 ( 日 )
図− 14 コア強度(標準期)
ける中央部と外周部の強度は,材齢に関わらず
コア強度に近い値を示した。この結果は,温度
標準期
120
齢 56 日以降では同等の強度を示した。夏期にお
期では中央部,標準期および夏期では外周部の
20%-コア外周
14%-簡易断熱
17%-簡易断熱
20%-簡易断熱
140
100
0
齢 28 日では外周部より中央部の強度が高く,材
簡易断熱養生の強度は,材齢 28 日において冬
100
160
た標準期でも,冬期ほどの強度差はないが,材
んどない。
80
図− 13 コア強度(冬期)
と大きい。中央部の強度に比べ外周部が低いの
るものと推察する。しかし材齢 5 6 日になる
40
60
材 齢 ( 日 )
180
160
材齢28日
材齢56日
材齢91日
140
120
100
100
PVA混入
120
140
160
コア強度 ( N/mm2 )
図− 16 コア強度と簡易断熱強度
180
10
差の関係を図− 18に示す。冬期における材齢28
5
mSn値 ( N/mm2 )
コア強度および標準養生供試体強度と標準偏
日のコア強度の結果を除けば,構造体コンク
リート強度および標準養生供試体強度の標準偏
差は,本実験の範囲において圧縮強度の 5% 以内
に収まることがわかった。
0
-5
-10
-15
以上の結果を基に「建築工事標準仕様書・同
-20
解説
-25
110
JASS 5 鉄筋コンクリート工事 2003,19
節 高強度コンクリート」により調合強度を算定
冬期28S91
標準期56S91
冬期56S91
夏期28S91
標準期28S91
夏期56S91
120
130
140
150
160
材齢91日コア強度 ( N/mm2 )
170
図− 17 コア強度と mSn 値
すると以下のようになる。
14
係数を 5 % ,コンクリート強度補正値 2 8 S 9 1 = 0 ,
12
標準偏差 ( N/mm2 )
実験結果から構造体コンクリート強度の変動
S =6.9N/mm 2,許容不良率を 4.2% と設定する
56 91
2
と,例えば Fc130N/mm を満足する調合強度は,
材齢 28 日で定める場合 141N/mm2,材齢 56 日で
定める場合 148N/mm2 となる。各調合強度に対す
10
コア強度(材齢28日)
コア強度(材齢56日)
コア強度(材齢91日)
標準強度(材齢28日)
標準強度(材齢56日)
標準強度(材齢91日)
変動係数5%
8
6
4
る W/C 比は,15.1%,15.6% となり,Fc130N/mm 2
2
の超高強度コンクリートが,このプラントにて
0
100
注:コア強度は8∼10本,標準強度は9本のデータによる。
120
140
160
圧縮強度 ( N/mm2 )
1年を通し十分製造可能であることがわかった。
180
図− 18 標準偏差
4. まとめ
市中プラントで製造した設計基準強度
強度コンクリートを用いた超高層建物の施
2
100N/mm を超える超高強度コンクリートの構造
工,日本建築学会技術報告集,第9 号,pp.7-
体コンクリート強度の発現性状について以下の
12,1999.12
ことがわかった。
2) 並木 哲ほか:計画供用年数 200 年中宅の施
(1) 水セメント比 20 ∼ 14% のコンクリートに
工,コンクリート工学,Vol.40,No.7,pp.41-
P V A 繊維を容積比 0 . 3 % 混入しても良好な
ワーカビリティおよび強度を確保できる。
46,2002.7
3) 寺井靖人ほか:超高層 RC 造集合住宅に用い
2
(2) 設計基準強度 100N/mm を超える超高強度
た 100MPa 級高強度コンクリートの品質,日
コンクリートのコンクリート強度補正値を得
本建築学会学術講演梗概集(東海),A - 1 ,
ることができた。
pp.997-998,2003.9
(3) 今回の実験の範囲では,構造体コンクリー
4) 神代泰道ほか:超高強度コンクリートによる
ト強度の変動係数は,5% 程度である。
(4)
C F T 圧入施工に関する実験的研究,コンク
Fc130N/mm 2 級までの超高強度コンクリー
リート工学年次論文集,V o l . 2 5 ,N o . 1 ,
トの製造が,1 年を通して市中プラントにて
可能である。
pp.989-994,2003.7
5) 陣内 浩ほか:設計基準強度 150N/mm 2 クラ
スの高強度コンクリートによる実大 RC 柱の
参考文献
施工性と構造体強度発現の検討,日本建築学
2
1) 陣内 浩ほか:設計基準強度 100N/mm の高
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会技術報告集,第 17 号,pp.1-5,2003.6