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温度無依存 AWG モジュールの開発
Temperature Independent (Athermal) AWG Module
斎 藤 恒 聡*
奈 良 一 孝*
田 中 完 二 *2
Tsunetoshi Saito
Kazutaka Nara
Kanji Tanaka
根 角 昌 伸*
長谷川淳一 *
柏 原 一 久*
Yoshinobu Nekado
Junichi Hasegawa
Kazuhisa Kashihara
概 要 DWDM の低消費電力化,光部品の無電力化への要求に応える高性能な温度無依存 AWG モ
ジュールを開発した。幅広いタイプの AWG に対応可能な独自の温度無依存化技術を用い,100 GHz32 ch(ガウシアンタイプ),100 GHz-42ch(セミフラットタイプ)の温度無依存 AWG モジュール
を試作して各種光学特性の評価を行った。開発した温度無依存 AWG モジュールは,0 ∼ 70 ℃での中
心波長変化,挿入損失変化がそれぞれ± 0.01 nm 以下,± 0.1 dB 以下であり,その他光学特性も非
常に安定していることを確認した。また各種信頼性試験を行い,開発した温度無依存 AWG モジュー
ルが高い信頼性を有していることを確認した。
1.
ところで,AWG にはその材料である石英ガラスが有する屈
はじめに
折率の温度依存性により,合分波の中心波長が温度により変化
北米の長距離系通信網に端を発した光波長多重通信
するという性質がある。このため実際の DWDM システムでの
(DWDM: Dense-Wavelength Division Multiplexing)は,現在
使用に際しては,ペルチェやヒーターにより温度を一定に保つ
世界的な広がりを見せており,さらにメトロネットワークとい
温調を行うのが一般的である。よって AWG モジュールに対し
った短距離系システムにも導入が進められている。また,ます
ても,他の光部品同様に低消費電力化が要求されており,古河
ます強まる光通信の大容量化,高速化の要求に伴い,DWDM
電工では低消費電力型のペルチェタイプ AWG モジュール,ヒ
1)
の多チャンネル化,高機能化が進められている 。そしてこれ
ータータイプ AWG モジュールを開発してきた 4), 5)。
に伴う光部品点数の増加,ハイパワー EDFA 2)やラマンアンプ 3)
今回我々は DWDM システムの更なる低消費電力化の要求に
に代表される高消費電力機器の導入に伴い,DWDM システム
応えるべく,
またメトロネットワーク等への適用を前提として,
の消費電力は増大する傾向にある。このため個々の光部品に対
温調のいらない,すなわち温度無依存の AWG モジュールを開
しては低消費電力化あるいは無電力化が要求されており,特に
発した。開発した温度無依存 AWG モジュールは,独自の温度
メトロネットワークにおいては非常に重要な位置づけとなって
無依存化技術を用い,従来実現が難しかった多チャンネル
いる。
AWG でのほぼ完全な温度依存性補償を可能とした。本報告で
AWG(Arrayed Waveguide Grating)は,波長を合波または
は,この新しい温度無依存化技術の原理について説明を行う。
分波する役割を担う波長合分波器として,これまで多くの
また,100 GHz-32ch(ガウシアンタイプ)及び 100 GHz-42ch
DWDM システムに導入されてきた。AWG はチャンネル数や
(セミフラットタイプ)の温度無依存 AWG モジュールの試作
波長間隔に対する設計の自由度が大きく,多チャンネル化が容
結果と共に,Telcordia GR-1209,1221 に基づいた信頼性試験
易であり,また小型で対応が可能である。さらに,チャンネル
の結果についても報告を行う。
数が増えてもモジュールのコストがあまり変わらないため,多
2.
チャンネルの DWDM システムではチャンネルあたりのコスト
温度無依存化の原理
を低減できるというメリットがある。また,波長分散が非常に
2.1 AWG の原理
小さく 40 Gbps といった高速なシステムに対しても適してお
AWG は,石英もしくはシリコン等の基板上に石英系の材料
り,今後の DWDM システムにおいてもますます大きな需要が
期待されている。
によりクラッドとコアを堆積し,光導波路を集積化した PLC
(Planar Lightwave Circuit)である。図 1 に AWG の回路構成を
示す。
基板上に,入射導波路,入射側スラブ導波路,アレイ導波路,
*
*2
研究開発本部 ファイテルフォトニクス研究所
出射側スラブ導波路,出射導波路が形成されている。この
ファイテル製品事業部 開発部
AWG の入射導波路に合波された光が入射すると,スラブ導波
古河電工時報 第 112 号(平成 15 年 7 月) 26
一般論文 温度無依存 AWG モジュールの開発
Arrayed waveguide
output waveguides
Output slab waveguide
x
Input slab waveguide
Input waveguides
λ1, λ2, λ3
Output waveguides
λ1
λn,
図1
λ2 λ3
O
P
slab
waveguide
λn
φ
Lf
AWG の回路構成
Light-waveguide circuit structure of AWG
路で回折により広がりアレイ導波路に入射する。アレイ導波路
は複数のチャネル導波路によって構成されており,隣り合うチ
arrayed waveguide
ャネル導波路はある一定の光路長差ΔL をもって配列されてい
AWG のスラブ導波路部
Slab waveguide of AWG
図2
る。このため,アレイ導波路の出力端では,それぞれのチャネ
ル導波路を通過した光に位相差が付けられる。アレイ導波路を
通過した光は出射側スラブ導波路に伝搬され回折により広がる
が,それぞれのチャネル導波路を通過した光は互いに干渉し,
性に着目した。図 2 は AWG のスラブ導波路部分を示した図で
結果として波面の揃う方向にのみ強めあい集光する。この集光
ある。
方向は波長によって異なるため,出射側スラブ導波路出射部の
それぞれの位置に出射導波路を設置することにより,異なる波
O は(1)式でφ= 0 となる位置であり,このときの波長λ0
は AWG の中心波長と呼ばれ,式(3)で与えられる。
長の光を取り出すことが可能となる。
ここで,AWG の出射ポートから出射する中心波長λは式(1)
λ0 =
ncΔL
nsdsinφ+ ncΔL = mλ
(1)
n s と n c はそれぞれスラブ導波路,アレイ導波路の実効屈折
率であり,d は隣り合うアレイ導波路のアレイ導波路出射端に
おける間隔,φは出射スラブ導波路における回折角度であり,
m は回折次数である。
(3)
m
で与えられる。
そして回折角φを有する光の集光位置は,点 O とは異なる
点 P に集光する。ここで,O-P 間の距離を x とすると波長λと
の間に次式(4)が成立する。
dx
dλ
=
LfΔL
ns dλ0
ng
(4)
以上波長分波器として機能する場合の AWG の仕組みについ
ここで,Lf はスラブ導波路の焦点距離であり,ng はアレイ導
て説明したが,この AWG は波長合波器としても機能する。す
波路の群屈折率である。この式(4)は,出力スラブ導波路の
なわち,波長分波器として使用した際の出射導波路からそれぞ
焦点 O と距離 dx 離れた場所に出力導波路を配置することによ
れの波長の光を入射することにより,入射導波路からこれらの
り dλだけ波長の異なった光を取り出すことが可能であること
光が合波されて出力される事になる。
を意味する。すなわち,温度の変化によってずれた中心波長 dλ
2.2 AWG の温度依存性
の分,dx だけ出力導波路位置を変化することができれば温度
このように,AWG はアレイ導波路における光路長差を利用
変化による中心波長の変化は補正される。
した回折格子であるので,この光路長差ΔL は一定に保たれる
この原理を実現するために,我々は AWG の回路をスラブ導
必要がある。しかしながら実際には,温度変化による導波路材
波路で切断する構造を考案した。図 3 は開発した温度無依存
料の屈折率の変化や,基板及び導波路の熱膨張,収縮のために
AWG の構造を示したものである。
温度によって光路長が変化し,光路長差ΔL も変化する。この
AWG の回路は一方のスラブ導波路で切断され,チップは大
結果,出射側スラブ導波路の出射導波路側における光の焦点位
片と小片に分離されている。そしてこれらの大片と小片は補償
置が変化し,出射導波路から取り出される光の波長が変化する
ことになる。この波長の変化量は,式(1)を温度 T で微分す
ることにより得られる。
dλ
dT
=
λ
dnc
nc
dT
+λαs
(2)
αs は基板であるシリコンの熱膨張係数である。ここで,コ
アの屈折率の温度依存性として,8 × 10−6 /℃,シリコン基板
の熱膨張係数として 3 × 10−6 /℃を適用すると,1550 nm では,
Copper Plate
AWG の温度依存性は 0.011 nm /℃と見積もられる。
2.3 温度無依存化の原理
この温度依存性を補償するために,我々は AWG の線分散特
図3
温度無依存 AWG の構造概略
Structure of Athermal AWG
古河電工時報 第 112 号(平成 15 年 7 月) 27
一般論文 温度無依存 AWG モジュールの開発
Low Temp.
Mid.
High Temp.
表1
100 GHz-32ch 温度無依存 AWG の回路パラメータ
Parameters for 100 GHz-32ch athermal AWG
Conventional
AWG
Values
Parameters
Focus Point Shifts.
Focus Point Shifts.
Athermal AWG
Waveguide is Moved
図4
Waveguide is Moved
温度無依存 AWG の原理
Principle of Athermal AWG
板である銅板の端部にそれぞれ貼り付けられ,同図に示すよう
Channel spacing
100 GHz
Channel number
32
Relative refractive index difference
0.8%
Focal length of slab waveguide: L f
13160μm
Length difference between adjacent arrayed
waveguides : ∆ L
40.5μm
Pitch between adjacent arrayed waveguides at
the end of arrayed waveguide: d
13.75μm
Diffraction order: m
38
に連結されている。銅の線膨張係数は基板の Si より一桁大き
いため,温度が変化すると大片に対して小片が相対的に移動す
る。
として機能する銅板の寸法に対し,大きな許容誤差を有するこ
図 4 はスラブ導波路部分の図であり,中心波長の温度依存性
とも本温度無依存 AWG モジュールの特徴の一つである。
補償の原理を図解したものである。通常 AWG では,温度が変
3.
化すると焦点位置は同図に示す様に変化する。一方,温度無依
試作結果
存 AWG では,温度の変化によって焦点位置がずれるが,温度
以上の原理を用い,100 GHz-32ch,100 GHz-42ch の温度無
変化に伴う銅板の伸縮によってそのずれた焦点位置に出射導波
依存 AWG モジュールを試作した。なお,100 GHz-32ch につい
路が移動し,常に一定の波長を出力することが可能となる。な
てはガウシアン型,100 GHz-42ch については,従来のフラッ
お光がこの出射ポートから入射した場合にも同様に中心波長の
トタイプより挿入損失が小さく,最近需要が高まっているセミ
温度依存性補償が可能である。
フラット型(ガウシアン型とフラット型の中間)波形の AWG
本温度無依存 AWG は,スラブ導波路において焦点位置を制
チップを用いた。
御する事により中心波長の温度依存性を補償する方式を用いて
図 5 は,作製した 100 GHz-32ch 温度無依存 AWG モジュール
いる。このため温度無依存化による光学特性への影響が少なく,
の外観写真である。パッケージサイズは 57 × 97 × 8.5(mm)
また,補償板である銅板の線膨張係数は一定かつ安定なため,
であり,小型,薄型を実現している。なお,100 GHz-42ch の
きわめて良好な温度無依存化を実現可能である。さらに,多チ
パッケージサイズは 80 × 130 × 8.5(mm)である。
ャンネル AWG においても同様に温度無依存化が可能であると
図 6,図 7 は,100 GHz-32ch,100 GHz-40ch それぞれの温度
無依存 AWG モジュールの,20 ℃における全チャンネルのスペ
いう特徴を有している。
2.4 銅板(補償板)長さ
クトラムを示したものである。スペクトラムの形状はチップ状
上記の温度無依存化原理を用い,精密な中心波長の温度依存
態での測定結果とほぼ同一であり,温度無依存化による光学特
性補償を行うには,補償板として機能する銅板の長さを調整す
る必要がある。以下,銅板長の決定方法について説明を行う。
(4)式より通常 AWG の,スラブ導波路における焦点位置の変
dx =
ns dλ0
ng
dλ
dT
図 8 は,100 GHz-42ch 温度無依存 AWG モジュールの中心波
長の,0 ℃∼ 70 ℃における温度依存性を示したものである。中
心波長の温度依存性は± 0.01 nm 以下であり,ほぼ完全な温度
化は(5)式で表される。
LfΔL
性の劣化は認められなかった。
無依存化を実現している事が確認された。なお,100 GHz-32ch
T
(5)
温度無依存 AWG モジュールについても同等の結果が得られ
た。
本式より,一例として表 1 に示した AWG 回路のパラメータ
を用いると(6)式が導き出される。
dx = 0.275T
(6)
すなわち,温度が 1 ℃変化するごとにスラブ導波路端部にお
ける焦点位置が 0.275μm 変化することになる。よって,この
変化量を銅板の伸縮によって補償すればよいことになる。銅の
線膨張係数は約 1.7 × 10−5 であるので,(6)式より銅板長は
16.2 mm と計算される。ここで,銅板の長さは AWG の回路設
計(回路のパラメータ)によって異なるが,概ね 15 mm ∼ 25
mm 程度である。なお,中心波長補償の精度を± 0.005 nm(0
∼ 70 ℃の温度範囲で)とした場合,銅板長の許容誤差は± 0.2
mm 程度であり,製造上十分な許容誤差を持っている。補償板
図5
AWG モジュール外観(100 GHz-32ch)
Appearance of Athermal AWG module (100 GHz-32ch)
古河電工時報 第 112 号(平成 15 年 7 月) 28
0
0
-5
-5
70°C
-10
-10
20°C
-15
0°C
Transmittance (dB)
Transmittance(dB)
一般論文 温度無依存 AWG モジュールの開発
-15
-20
-25
-30
-35
-20
-25
-30
-35
-40
-40
-45
-45
-50
1527
1532
1537
1542
1547
1552
1557
-50
1542
1562
1543
1544
Wavelength (nm)
温度無依存 AWG モジュールのスペクトラム
(100 GHz-32ch ガウシアンタイプ)
Spectrum of Athermal AWG module (100 GHz32ch Gaussian type)
図9
0
0
-5
0°C
-10
-10
20°C
-15
70°C
-15
-20
-25
-30
-35
-25
-30
-35
-40
-45
-45
1527
1532
1537
1542
1547
1552
1557
1562
-50
1543
1567
1544
1545
1546
1547
1548
Wavelength (nm)
Wavelength (nm)
図7
1547
-20
-40
-50
1522
1546
スペクトラムの温度依存性
(100GHz-32ch ガウシアンタイプ)
Temperature dependence of spectrum
(100GHz-32ch Gaussian type)
-5
Transmittance (dB)
Transmittance (dB)
図6
1545
Wavelength (nm)
温度無依存 AWG モジュールのスペクトラム
(100 GHz-42ch セミフラットタイプ)
Spectrum of Athermal AWG module (100 GHz42ch Semi-flat type)
図 10 スペクトラムの温度依存性
(100GHz-42ch セミフラットタイプ)
Temperature dependence of spectrum
(100GHz-42ch Semi-Flat type)
Center Wavelength Change (nm)
0.10
0.08
0.06
0.04
10 は,100 GHz-42ch 温度無依存 AWG モジュールのスペクトラ
0.02
ムの温度依存性を示したものである(グラフは 24 ポート目の
0.00
結果)。100 GHz-42ch の温度無依存 AWG についても,温度変
-0.02
化でスペクトラムの変化は無く,光学特性が非常に安定してい
-0.04
る結果が得られた。
-0.06
-0.08
4.
-0.10
-10
0
10
20
30
40
50
60
70
Temperature (°C)
図8
信頼性試験結果
80
100 GHz-42ch 温度無依存 AWG モジュールの中心
波長温度依存性
Temperature dependence of center wavelength of
100 GHz-42ch Athermal AWG module
信頼性試験は,Telcordia GR-1209,GR-1221 に基づいて各種
試験を行った。表 2 に各種信頼性試験の結果を示す。表中の数
値は,初期値からの変化量を示したものである。なお,信頼性
試験には 100 GHz-32ch の温度無依存 AWG モジュールを用い
た。
図 11(a),(b)には,各試験の代表として温度サイクル試験
(− 40 ∼ 85 ℃/ 500 サイクル)の結果を示した。図 11(a),
(b)
図 9 は,100 GHz-32ch 温度無依存 AWG モジュールのスペク
は,それぞれ初期状態からの,中心波長,および挿入損失変化
トラムの温度依存性を示したものである。同図には代表ポート
のポート間最悪値の推移を示したものである。中心波長,挿入
として 16 ポート目の結果を示した。0 ℃∼ 70 ℃でスペクトラ
損失とも非常に安定している結果が得られた。なお,全ての試
ムに変化はみられず,光学特性が非常に安定している事が確認
験についてモジュールの劣化は認められず,開発した温度無依
された。なお,全ポートについて同様な結果が得られた。また,
存 AWG が非常に高い信頼性を有している事を確認した。
挿入損失の温度依存性は 0 ℃∼ 70 ℃で 0.1 dB 以下であった。図
古河電工時報 第 112 号(平成 15 年 7 月) 29
信頼性試験結果
Results of reliability test
Result
Reliability Test
Condition
n
Insertion Loss Center Wavelength
Change (dB) Change (nm)
Vaibration
20 G, 20∼2000 Hz
4 min/cycles 14
4 cycles/axis
Ave
0.00
Worst -0.10
Std
0.031
Ave
0.002
Worst -0.015
Std
0.0056
Impact
500 G
5 times/direction 14
6 directions
Ave
-0.01
Worst 0.11
Std
0.025
Ave
0.000
Worst 0.011
Std
0.0046
Temperature Cycling
Damp Heat
14
Ave
0.00
Worst 0.17
Std
0.051
Ave
-0.003
Worst 0.013
Std
0.0060
85℃・85%RH
15
2000 hours
Ave
0.10
Worst 0.30
Std
0.087
Ave
0.012
Worst 0.022
Std
0.0050
3
Ave
-0.06
Worst -0.11
Std
0.023
Ave
-0.011
Worst -0.018
Std
0.0075
3
Ave
0.02
Worst 0.09
Std
0.018
Ave
-0.014
Worst -0.020
Std
0.0057
11
Ave
0.00
Worst 0.00
Std
0.000
-
0.23 kgf
5 sec
11
90°
2 directions
Ave
0.00
Worst 0.00
Std
0.000
-
-40∼85℃
500 cycles
Low Temperature
Storage
-40℃
2000 hours
Temperature-humidity
Cycling
-40∼85℃
20∼85%RH
42 cycles
Cable Retention
Side Pull
1.5, 0.45 kgf
60 sec
0.10
0.08
0.06
0.04
0.02
0.00
-0.02
-0.04
-0.06
-0.08
-0.10
0
100
200
300
400
500
600
Cycle
(a) Center wavelength variation by temperature cycling (-40/85°C) test
n=14 Modules
Insertion Loss Variation (nm)
表2
Center Wavelength Variation (nm)
一般論文 温度無依存 AWG モジュールの開発
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1.0
0
100
200
300
400
500
600
Cycle
(b) Insertion Loss variation by temperature cycling (-40/85°C) test
n=14 Modules
図 11 温度サイクル試験結果
Results of temperature cycle test
5.
おわりに
DWDM の低消費電力化への対応,メトロネットワークへの
適用を前提とし,実用的な温度無依存 AWG モジュールを開発
した。100 GHz-32ch(ガウシアン),100 GHz-42ch(セミフラ
ット)のモジュールを試作し各種評価及を行った。開発した温
度無依存 AWG モジュールは 0 ∼ 70 ℃での中心波長変化が±
0.01 nm 以下,挿入損失変化が 0.1 dB 以下であり,その他の光
学特性も非常に安定している事を確認した。また,Telcordia
GR-1209,GR-1221 に基づいて各種信頼性試験を行い,開発し
た温度無依存 AWG モジュールが高信頼性を有していることを
確認した。本温度無依存 AWG の温度無依存化原理は AWG 回
路が持つ基本特性に影響を与えることがほとんど無いことか
ら,様々なタイプの AWG に適用可能である。
参考文献
1) G. Charlet, J.-C. Antona, S. Lanne, P. Tran, W. Idler, M. Gorlier, S.
Borne, A. Klekamp, C. Simonneau, L. Pierre, Y. Frignac, M.
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(159~42.7Gb/s) capacity over 21~100 km using bandwidthlimited
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doped fiber amplifier pumped by the wavelength division
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Dig. OAA ’98, Vail CO, July ’98, paper WC2.
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ラマン増幅器の開発」
,古河電工時報第 108 号(2001)
,37
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第 105 号(2000)
,30
5) 長谷川淳一他:「ヒーター制御タイプ AWG モジュールの開発」,
古河電工時報第 110 号(2002)
,50.
古河電工時報 第 112 号(平成 15 年 7 月) 30