資料6 リンナイ株式会社製の開放式小型湯沸器等の一酸化炭素中毒事故について 平成19年2月28日 経 済 産 業 省 原子力安全・保安院 ガ ス 安 全 課 Ⅰ.概要 <リンナイ(株)製開放式小型湯沸器の事故> 1.平成19年2月7日、神奈川県横浜市において、リンナイ㈱製の開放式小型湯沸器(R US-5RX(東京ガス㈱の型番ではRN-405SD))による一酸化炭素中毒死亡 事故(死亡1名)が発生し、2月8日、ガス事業法に基づき、東京ガス㈱から経済産 業省に事故報告があった。 2.このため、2月8日に事故概要をウェブサイトで公表するとともに、事故原因は明確 でないものの消費者に対して一刻も早く情報提供を行うため、2月9日(金)22:3 0に緊急記者会見を行い、開放式小型湯沸器の使用に当たって換気を確実にするよう注 意喚起をしたところ。 <鳥取三洋電機(株)開放式ガスストーブの事故> 1.兵庫県神戸市において、鳥取三洋電機㈱製の開放式ガスストーブ(GH-3100G (大阪ガス㈱の型番では43-285))による一酸化炭素中毒事故(2名死亡)が発 生し、2月10日、ガス事業法に基づき、大阪ガス㈱から経済産業省に事故報告があっ た。 2.このため、2月11日に事故概要をウェブサイトで公表するとともに、翌12日、プ レス発表を行い金網式ストーブの使用にあたっては換気を確実にするよう注意換気を したところ。 Ⅱ.これまでの経済産業省の対応 1.リンナイ㈱に対し、早急に原因究明を行うよう指示。 2.関係業界に対して、換気の必要性についてテレビコマーシャルの実施等による消費者 への注意喚起の強化を指示。 3.ガス機器の業界団体に対しては、メーカー名及び型式名等を含め、過去の全ての重大 製品事故について公表するよう指示。 4.経済産業省における製品事故情報の公表基準を明確化し、改めてプレス公表を実施。 Ⅲ.これまでの関係業界の対応 1.リンナイ㈱は、新聞への社告の掲載(2月12日) 、開放式ガス湯沸器全てについて無 償点検を実施しているところであり、今後、テレビコマーシャル等によって、消費者に 1 対して更なる注意喚起を行う。 2.ガス事業者による消費者への周知(東京ガス:新聞広告(16日)、テレビテロップ(1 7日~)/大阪ガス:テレビコマーシャル(15日~)/東邦ガス:テレビコマーシャル (21日~)、他)。 3.ガス機器業界団体及びガス事業者団体による共同の新聞広告の掲載(18日及び19 日朝刊)。リンナイ以外のガス機器メーカー及びガス事業者においても、需要家の要請 による無償点検の実施。 4.ガス機器業界団体は、メーカー名及び型式名等を含め、過去の全ての重大製品事故に ついて公表(19日)。 Ⅳ.今後の一酸化炭素事故等の防止強化対策 経済産業省として、2月23日、これらの事故等を踏まえ、ガス機器等の燃焼機器によ る一酸化炭素中毒事故等の防止強化策について次のとおり取りまとめた(詳細は別添参照)。 「ガス機器等の燃焼機器による一酸化炭素中毒事故等の防止強化策」の概要」 (1)使用者への注意喚起を徹底する対策を強化 例)毎月第2火曜日を「製品安全点検日」として製品安全に関する周知活動を行う。 (2)開放式小型湯沸器への再点火防止機能の義務化等による安全基準を厳格化 (3)ガス事業者及びガス機器メーカーから発表があった緊急無償点検や安全な機器への 取り替えなどに関し、随時報告を求めるなど、着実な実施をフォロー 2 (別紙) リンナイ(株)製小型湯沸器(RUS-5RX及びRUS-51BT)による一酸化炭素中毒事故について (平成7年以降) 事故発生日 発生場所 平成 12 年 1 月 30 日 東京都 平成 15 年 10 月 26 日 東京都 平成 16 年 2 月 1 日 鹿児島県 平成 16 年 12 月 25 日 広島県 平成 19 年 2 月 7 日 神奈川県 死傷者数合計 (生産台数) RUS-5RX RUS-51BT ガス 種 都 市 ガス 都 市 ガス L P ガス 都 市 ガス 都 市 ガス 死傷者数 製造者 型式 原因 中毒3名 リンナイ RUS-5RX 換気不良 不完全燃焼防 止装置の有無 有 死亡1名 リンナイ RUS-5RX 換気不良 有 中毒7名 リンナイ 換気不良 有 死亡1名 中毒2名 死亡1名 リンナイ RUS-51B T RUS-5RX 換気不良 有 リンナイ RUS-5RX 換気不良 有 中毒12名 死亡3名 873,214台 280,822台 (平成3年7月~平成7年1月) (平成6年5月~平成9年1月) (図:事故があったリンナイ製瞬間湯沸かし器RUS−5RXの同型器) 備考 東京ガス(株)OEM供給品 (型番:RN-405SD) 東京ガス(株)OEM供給品 (型番:RN-405SD) 東京ガス(株)OEM供給品 (型番:RN-405SD) 別添 ガス機器等燃焼機器による一酸化炭素中毒事故等の防止強化策 平成19年2月23日 経 済 産 業 省 1.使用者への注意喚起強化(換気しないと一酸化炭素中毒死のおそれがあ る旨を広く周知) (1)年一回の「製品安全総点検週間」の実施に加え、毎月第二火曜日を『製 品安全点検日』とし、製品の安全な使用法等について、消費者への注意 喚起を強化。 具体的には、毎月の製品安全点検日に併せて、 ・ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)、独立行政法人国民生活 センター等の参加も得つつ、消費者啓発セミナーを開催。3月13 日(第1回)は法曹会館(東京・桜田門)で開催予定。 ・ 地方経済産業局及び産業保安監督部による地域に根差した周知活 動の実施。 ・ 関係業界においても、消費者啓発活動を展開。 (2)3月23日、千人規模の『製品安全啓発緊急シンポジウム』を開催(於: 明治大学アカデミーホール)し、消費者への注意喚起をより強化する。 (3)新聞広告等による一酸化炭素中毒防止対策等に係る消費者への注意喚 起を実施(3月中に、経済産業省による広報として実施) 。 (4)全国約5,100万世帯に対し、換気の必要性についての回覧板やパ ンフレットの配布等について、自治体や消費者センター等の関係機関に 協力要請する。 (5)その他、各方面の協力を得て、消費者への注意喚起を実施。 例) ・独立行政法人国民生活センターが開催する2月27日のセミナーの 1 場で換気の必要性について周知。 ・全国大学生活協同組合連合会が、大学入学者に対してチラシを送付。 ・日本生活協同組合連合会に加盟している各種生活協同組合の組合員 に機関誌等で周知。 ・住宅関係団体(社団法人全国宅地建物取引業協会、財団法人日本賃 貸住宅管理協会等)等を通じて注意喚起のための資料配布。 (6)従来「換気の重要性」のみを周知してきた関係業界に対して、 「死に至 る危険性」も周知するよう要請。本要請を受け、ガス事業者及びガス機器 メーカーは、ガス機器の安全性向上のための緊急周知を実施(新聞広告、 テレビコマーシャル、ステッカーやチラシの作成・配布、ダイレクト・メ ール送付等) 。 (7)ガス事業者及びガス機器メーカーは、この緊急周知を通じて、開放式 小型湯沸器及び金網式ストーブ等について、 需要家の要請による緊急無償 点検を実施する。 2.安全規制の強化 (1)ガス事業者による法定周知として、不完全燃焼防止装置付き開放式小 型湯沸器に係る注意事項を追加し、周知頻度を高める。 (不点火の際には、 連続して再点火を試みることのないよう注意喚起) (2)ガス用品の技術基準をより厳格化する方向で改正。 ・ 開放式小型湯沸器及び開放式ストーブへの再点火防止装置(インター ロック機能)の搭載の義務化。 ・ 湯沸器における一酸化炭素排出量基準の厳格化。 ・ 「換気しないと死に至るおそれがある」旨の警告表示を義務化。 (3)開放式小型湯沸器の安全性向上のための技術的検討を実施する。 (4)リンナイの事故原因究明、緊急無償点検等の結果を踏まえ、必要があ 2 れば、更なる対策の強化について検討する。 3.安全機器への取替えの加速化(産業界による消費者への支援。22日に 関連4業界団体共同で発表) (1)本年1月から、ガス事業者及びガス機器メーカーが実施している不完 全燃焼防止装置なしの湯沸器及び風呂釜の不完全燃焼防止装置付きのも のへの取替え促進につき、その対象として金網式ストーブを追加。 (2)不完全燃焼防止装置がついている開放式小型湯沸器であっても、「1. 注意喚起」の一環として実施している緊急無償点検により、一酸化炭素 を高濃度に排出しているなどが判明した場合には、取替え促進の対象と する。 (3)経済産業省として、開放式小型湯沸器及び金網式ストーブの点検・取 替え進捗状況について、定期的にガス事業者及びガス機器メーカーから 報告を受け、フォローアップ。 4.事故情報公開の徹底 ガス事業法及び高圧ガス保安法に基づき、ガス事業者及び LP ガス事業者 から報告された過去の消費設備に係る事故案件について、メーカー名及び型 式名を公表。 (3月上旬目途) 5.長期使用機器に対する制度的対応の検討 ガス機器等の長期使用機器に対する経年劣化等による製品事故を防ぐた めの制度的対応について長期的に検討する。 3
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