汚染土壌処理施設の維持管理に関する基準(PDF:159KB) - 千葉県

汚染土壌処理施設の維持管理に関する基準
平成25年
月
日制定
第1 趣旨
この基準は「千葉県汚染土壌処理業に関する指導要綱」(以下「指導要綱」という。)
第4条第6項の規定により、汚染土壌処理施設等の適正な維持管理に関し、必要な事項を
定める。
第2 定義
この基準における用語の意義は、指導要綱第2条に定めるところによるものとする。
第3 共通基準
汚染土壌処理施設に係る共通の維持管理に関する基準は次のとおりとする。
(1)囲い等
イ 処理場の周囲の囲いは、みだりに人が埋立地に立ち入るのを防止することができ
るようにしておくこと。
ロ 囲い及び門扉が破損した場合は、直ちに補修すること。
ハ 門扉は1日の作業終了後は閉鎖し、施錠すること。
(2)表示等
イ 立札その他の設備の前に物を置くなどして表示を妨げないこと。また、汚損し、
又は破損した場合には補修、復旧すること。
ロ 表示すべき事項に変更が生じた場合には、速やかに書換えその他必要な措置を講
ずること。
(3)飛散等及び悪臭発散の防止
汚染土壌処理施設等からの飛散等及び悪臭の発散を防止するための構造及び設備が
確実に機能するように維持管理を行うこと。
(4)騒音及び振動の防止
イ 著しい騒音及び振動の発生を防止するための構造及び設備が確実に機能するよう
に維持管理を行うこと。
ロ 汚染土壌の運搬、重機等の作業機械の使用等に起因する騒音及び振動により、周
辺の生活環境保全上支障が生じないように必要な措置を講ずること。
- 35 -
(5)汚染土壌の受け入れ
イ 処理することができる汚染土壌以外は受け入れないこと。
ロ 搬入される汚染土壌について、処理できる種類及び性状以外の汚染土壌の混入を
避けるため次により管理すること。
(イ)処理できる種類又は性状のもの以外の汚染土壌が搬入されないよう、排出事業
者、運搬業者との連絡をとる等、その管理体制を確立しておくこと。
(ロ)車両から汚染土壌を荷降する前に、監視ゲ-ト等により、搬入汚染土壌が処理
できる種類又は性状であるかを確認すること。
(ハ)管理票で汚染土壌の種類及び数量等を確認すること。
(ニ)荷降された汚染土壌中に処理できる種類及び性状以外の汚染土壌が認められた
場合は、これを除去すること。
(6)汚染土壌の性状の確認
イ 汚染土壌処理業者は、受け入れた汚染土壌を処理しようとする場合には、表-1
(→次頁)に掲げる特定有害物質について分析し、汚染土壌処理施設において処
理できる汚染状態であることを確認すること。
ただし、当該分析検査は、排出事業者の分析検査結果を入手し、これを確認する
ことにより替えることができる。
ハ 上記イの分析検査による確認結果は、5年間保存すること。
(7)処理方法の遵守
イ 汚染土壌の処理にあたっては、ガイドラインに示す汚染土壌処理施設の種類及び
処理方法に応じた維持管理項目を遵守すること。
ロ 汚染土壌処理施設への汚染土壌の投入は、当該施設の処理能力を超えないように
行うこと。
(8)処理の期限
汚染土壌の処理は、処理場内に搬入された日から60日以内に終了すること。ただ
し、終了とは、ガイドラインに示す「処理の終了」が確認された場合を指す。
- 36 -
表-1
第
一
種
特
定
有
害
物
質
第
二
種
特
定
有
害
物
質
第
三
種
特
定
有
害
物
質
汚染土壌の分析項目
分析項目
第二溶出量基準(mg/L)
四塩化炭素
0.02 以下
1,2-ジクロロエタン
0.04 以下
1,1-ジクロロエチレン
0.2 以下
シス-1,2-ジクロロエチレン
0.4 以下
1,3-ジクロロプロペン
0.02 以下
ジクロロメタン
0.2 以下
テトラクロロエチレン
0.1 以下
3 以下
1,1,1-トリクロロエタン
トリクロロエチレン
0.06 以下
ベンゼン
0.3 以下
カドミウム及びその化合物
0.3 以下
六価クロム化合物
1.5 以下
1 以下
シアン化合物
水銀が 0.005 以下、かつ
アルキル水銀が検出されないこと
水銀及びその化合物
セレン及びその化合物
0.3 以下
鉛及びその化合物
0.3 以下
砒素及びその化合物
0.3 以下
ふっ素及びその化合物
24 以下
ほう素及びその化合物
30 以下
シマジン
0.03 以下
チオベンカルブ
0.2 以下
チウラム
0.06 以下
ポリ塩化ビフェニル(PCB)
0.003 以下
1 以下
有機りん化合物
- 37 -
(9)地下浸透の禁止
汚染土壌の処理に伴い生じた汚水は、地下浸透させないこと。なお、汚水には汚染
土壌と接した雨水、汚染土壌の洗浄に用いた水を排出水基準又は排除基準に適合する
状態まで処理した後の水も含まれるものとする。
(10)排出水の放流
イ 排出水を公共用水域又は下水道に放流する場合には、その水質を生活環境保全上
の支障が生じないものにすること。
ロ 排出水の水質が表-2(→次頁)に掲げる水質に適合するよう維持管理するとと
もに、月1回以上水質検査を行うこと。
ハ 汚染土壌の性状が一定であり、知事が認めた場合には、分析試験項目の一部を省
略し、又は実施頻度を減らすことができるものとする。
(11)地下水の水質測定
イ 汚染土壌処理施設の稼働に伴い地下水汚染が生じていないことを確認するため、
周縁の地下水を2か所以上の地点で採取し、環境大臣が定める方法により測定す
ること。
ロ 地下水の測定は、表-3(→41頁)に掲げる項目のうち1から5までは月1回
以上、6から33までは処理業省令第15条の規定により3月に1回以上実施す
ること。ただし、地下水汚染が生じていない状態が測定を始めてから1年間継続
されていることを知事が確認した場合には、測定頻度を年1回以上に減らすこと
ができる。
ハ 地下水の水質検査は、汚染土壌の処理開始前に表-3の項目について1回以上は
実施しておくこと。
ニ 埋立処理施設以外の汚染土壌処理施設であって、ガイドラインに定める地下浸透
防止措置が講じられていると知事が認めた場合には、地下水の水質測定を行う必
要はないものとする。
ホ 水質検査結果に異常が生じた場合には、直ちに汚染土壌の搬入を中止し、その原
因を調査し、知事と協議の上必要な措置を講ずること。
- 38 -
表-2
排出水の排水基準
項
特
定
有
害
物
質
排水基準
目
(1) カドミウム及びその化合物
0.01 mg/L
(2) シアン化合物
不検出
(3) 有機隣化合物
不検出
(4) 鉛及びその化合物
0.1 mg/L
(5) 六価クロム化合物
0.05 mg/L
(6) 砒素及びその化合物
0.05 mg/L
(7) 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
0.0005 mg/L
(8) アルキル水銀化合物
不検出
(9) PCB
不検出
(10)トリクロロエチレン
0.3 mg/L
(11)テトラクロロエチレン
0.1 mg/L
(12)ジクロロメタン
0.2 mg/L
(13)四塩化炭素
0.02 mg/L
(14)1,2-ジクロロエタン
0.04 mg/L
(15)1,1-ジクロロエチレン
0.2 mg/L
(16)シス-1,2-ジクロロエチレン
0.4 mg/L
(17)1,1,1-トリクロロエタン
3 mg/L
(18)1,1,2-トリクロロエタン
0.06 mg/L
(19)1,3-ジクロロプロペン
0.02 mg/L
(20)チウラム
0.06 mg/L
(21)シマジン
0.03 mg/L
(22)チオベンカルブ
0.2 mg/L
(23)ベンゼン
0.1 mg/L
(24)セレン及びその化合物
0.1 mg/L
(25)ほう素及びその化合物
海域
230 mg/L
海域以外 10 mg/L
海域
10 mg/L(15 mg/L)※1
海域以外 8 mg/L
100 mg/L
(26)ふっ素及びその化合物
(27)アンモニア、アンモニウム化合物、
亜硝酸化合物及び硝酸化合物
- 39 -
(表-3のつづき)
項
特
定
有
害
物
質
排水基準
目
(1) 水素イオン濃度指数
海域 5.0~9.0
海域以外 5.8~8.6
(2) 生物化学的酸素要求量
20 mg/L(10 mg/L)
(3) 化学的酸素要求量
20 mg/L(10 mg/L)
(4) 浮遊物質量
40 mg/L(20 mg/L)
(5) 鉱油類含有量
3 mg/L(2 mg/L)
(6) 動植物油脂類含有量
5 mg/L(3 mg/L)
(7) フェノール類含有量
0.5 mg/L
(8) 銅含有量
1 mg/L
(9) 亜鉛含有量
1 mg/L
(10)溶解性鉄含有量
5 mg/L(1 mg/L)
(11)溶解性マンガン含有量
5 mg/L(1 mg/L)
(12)クロム含有量
0.5 mg/L
(13)大腸菌群数
3000 個/cm3
(14)窒素含有量
120 mg/L《日間平均 60 mg/L》
(15)燐含有量
16 mg/L《日間平均 8 mg/L》
分析方法については「排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定
方法(昭和 49 年 9 月 30 日、環境庁告示 64 号)」によること。
※ 1 ( )内の数値は、排水量 30 ㎥/日以上の場合の基準値。
※ 2 生物化学的酸素要求量は、海域及び湖沼以外の公共用水域に排出する場合に限り適用。
※ 3 化学的酸素要求量は、海域及び湖沼に排出する場合に限り適用。
※ 4 ( )内の数値は、排水量 500 ㎥/日以上の場合の基準値。
※ 5 日間平均による許容限度は、1 日の排出水の平均的な汚染状態について定めたものである。
※ 6 《 》内の数値は、東京湾に排出する場合にあわせて適用。
- 40 -
表-3
地下水の水質検査項目及び分析方法
項
目
頻度
1 水素イオン濃度指数
月
1
2 生物化学的酸素要求量
回
3 化学的酸素要求量
以
4 塩化物イオン
上
5 電気伝導度
6 全シアン
7 鉛
8 六価クロム
9 砒素
10 ふっ素
11 総水銀
12 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
年
13 カドミウム
14 ほう素
15 PCB
1
16 トリクロロエチレン
17 テトラクロロエチレン
18 ジクロロメタン
回
19 四塩化炭素
20 1,2-ジクロロエタン
21 1,1-ジクロロエチレン
以
22 シス1,2-ジクロロエチレン
23 1,1,1-トリクロロエタン
24 1,1,2-トリクロロエタン
上
25 1,3-ジクロロプロペン
26 チウラム
27 シマジン
28 チオベンカルブ
29 ベンゼン
30 セレン
31 アルキル水銀
32 塩化ビニルモノマー
33 1,4-ジオキサン
各項目の分析方法については、2項から5項までの項目については総理府・厚生省令第
一号に、6項から33項までの項目は環境庁告示第十号によること。
- 41 -
(12)点検及び機能検査
イ 汚染土壌処理施設の正常な機能を維持するため、年1回以上の頻度で当該施設の
点検及び機能検査を行い、稼働の状況を常に適切に保持すること。
ロ 機能検査では、各機器の作動状況、摩耗状況、劣化、破損の有無などを確認すること。
ハ 施設の点検及び機能検査の結果の記録を作成し、5年間保存すること。
(13)事故の防止
常に事故の発生を防止するための巡回監視及び点検を実施し、特に地震、台風、大
雨等の際には、場内を巡回監視し、汚染土壌の飛散、流出等の事故のおそれがある場
合には、必要な措置を講ずることにより事故等の発生を未然に防止すること。
(14)火災の発生の防止
イ 火災の発生を防止するために必要な措置を講ずるとともに、消火器その他の消火
設備を備えておくこと。
ロ 消火器その他の消火設備は、常に十分な管理を行い、所定の能力を発揮できるよ
う点検整備を行うこと。
(15)緊急時の対応
処理場内において、事故等が発生した場合には、迅速かつ適切な対応が求められる
ことから、ガイドラインに示す下記の事項について対応すること。
イ 緊急連絡体制等の整備
ロ 緊急対応マニュアルの策定及び作業員の教育
ハ 緊急時の措置
(16)雨水等の流入の防止
施設内に外部から雨水が流入しないよう必要な措置を講ずること。
また、隣接地の雨水が適切に排水されるよう点検を行うこと。
(17)使用道路
イ 使用道路(汚染土壌運搬車両の走行する道路)が通学路として使用されている場
合は、交通整理員を配置する等安全の確保を図ること。
ロ 使用道路が道路事情その他の理由により交通整理を必要とする場合は、交通整理
員の配置等必要な措置を講じ、安全の確保を図ること。
ハ 使用道路は常に清掃し、清潔の保持に努めるとともに必要に応じて補修等を行う
こと。
(18)周辺地域への配慮
処理場の維持管理に当たっては周辺住民との調和が図れるよう、当該処理場の周辺
に緑地等を整備するなどの環境整備を図り、当該処理場に係る周辺地域の生活環境の
保全及び増進に配慮すること。
- 42 -
第4
1
個別基準
埋立処理施設
(1)擁壁等の保全
イ 埋め立てる汚染土壌の流出を防止するための擁壁、えん堤その他の設備の定期的
な点検及び変位測定等を実施し、擁壁等が損壊するおそれがあると認められる場
合には、速やかにこれを防止するために必要な措置を講ずること。
ロ 定期的とは月1回以上とすること。
ハ 地震、台風等の異常事態の直後には、必ず点検を行うこと。
(2)遮水工の管理
イ 汚染土壌の保有水及び雨水等(以下「保有水等」という。)の埋立地からの浸出
を防止することができる遮水工を定期的に点検し、その遮水効果が低下するおそ
れがあると認められる場合には、速やかにこれを回復するために必要な措置を講
ずること。
ロ 定期的とは月1回以上とすること。
ハ 地震、台風等の異常事態の直後には、必ず点検を行うこと。
(3)浸出水処理設備
イ 浸出水処理設備の維持管理は、次により行うこと。
(イ)浸出水処理設備の機能の状態を定期的に点検し、異常を認めた場合には、速や
かに必要な措置を講ずること。
(ロ)定期的に排出水の水質検査を行うこと。
(ハ)定期的とは、月1回以上とすること。ただし、汚染土壌の性状が一定で知事が
認めた場合には、分析試験項目の一部を省略し、又は実施頻度を減らすことが
できる。
ロ 浸出水処理設備の機能の状態を把握するため、浸出水処理設備により処理する浸
出水についても、原則として月1回以上定期的に水質検査を行うこと。
(4)湧水の管理
湧水対策のための集排水設備が施されている場合は、湧水の状態を常に監視し、異
常を認めた場合は水質分析等を行い、その原因究明、改善措置を講ずること。
(5)開渠等
埋立地の周囲の地表水が、埋立地の開口部から埋立地へ流入するのを防止するため
に設けられた開渠その他の設備の機能を維持するため、開渠に堆積した土砂等の速や
かな除去その他の必要な措置を講ずること。
- 43 -
(6)隣接地の雨水等の処理
隣接地の雨水等の排水設備は、雨水等が適切に排水されるよう点検を行うこと。
(7)法面の保護
イ 法面の植生保護のため、施肥等を行うこと。
ロ 法面に小段排水溝、縦排水溝が設置されている場合は、適切に排水されるよう点
検を行うこと。
ハ 基準高、区域杭等の表示設備は、常に判別できる状態に保つこと。
(8)滞留水の排除
埋立地(内部仕切設備により区画して埋立処理を行う埋立地については、埋立処理
を行おうとする区画)に滞留している水は、当該埋立地又は区画における埋立処理の
開始前に排除すること。
(9)作業時間
時間を定めて作業を行うこととし、原則として早朝、深夜の埋立作業、車両の出入
り等は行わないこと。
(10)能力に沿った計画的埋立
イ 搬入された汚染土壌の即時締め固め、整地及び必要な覆土等の作業に支障を及ぼ
さないよう計画的に埋立てするものとし、汚染土壌の山積み保管をしないこと。
ロ 埋立てに当たっては、汚染土壌の厚さ等を表示する丁張り等を利用し、計画的に
行うこと。
ハ 埋立地を変形、改造して埋立処理しないこと。
(11)記録及び保存
イ 埋立処理の進行状況を3か月に1回以上同一の位置から写真撮影し、汚染土壌処
理施設維持管理状況報告書に添付すること。
ロ 埋立処理施設の維持管理に係る必要な措置を講じた場合は、その状況を記録した
資料を速やかに知事に報告すること。
2
浄化等処理施設
特定有害物質による汚染状態が高い汚染土壌を処理する場合、排ガス及び排水の基準
適合状況を確認すること。
- 44 -
第5 埋立処理施設の廃止に係る基準
埋立処理施設の廃止に係る共通の基準は次のとおりとする。
(1)廃止の措置
イ 埋立処理施設は、埋め立てられた汚染土壌の飛散及び流出、埋立地からの浸出水
による公共の水域及び地下水の汚染並びに埋立地からの火災の発生の防止のため
の必要な措置が講じられていることを確認した上で廃止すること。
ロ この確認は次の項目について行うこと。
(イ)切土、盛土、えん堤等の崩壊防止工
(ロ)雨水排水機能及び保有水の状況
(ハ)浸出水による公共の水域、地下水の汚染防止措置
(ニ)火災の発生防止措置
(ホ)廃止後の管理体制並びに問題が生じた場合の責任体制及び経理的基礎
(2)開口部の閉鎖
汚染土壌の埋立処理が終了した埋立地は、その表面を汚染されていない土砂でおお
むね1メートル以上覆う等の措置を講ずることにより、開口部を閉鎖すること。ただ
し、雨水が入らないよう必要な措置が講じられた埋立地(水面埋立処理施設を除く。)
については、埋立地からの浸出を防止することができる遮水工と同等以上の効力を有
するものにより閉鎖すること。
(3)廃止後の管理
廃止後は、雨水排水機能及び保有水の有無等による施設の安全性が確保されている
こと。
(4)記録及び保存
埋立処理施設の廃止に当たって講じた措置記録を作成し、写真を添付して10年以
上保存すること。
- 45 -