MDSおよびAML with myelodysplasia-related changesにおける染色体

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MDSおよびAML with myelodysplasia-related changesにおける染色体異常に
ついて
MDSおよびAML with myelodysplasia-related changesにおける染色体異常について
○中川 美穂,岸森 千幸,福塚 勝弘,奥村 敦子,林田 雅彦
勝弘,奥村 敦子,林田 雅彦(公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所)
○中川 美穂,岸森 千幸,福塚(公益財団法人 天理よろづ相談所医学研究所)
AML with myelodysplasia-related changes(AML-MRC)は一
)であった.MDSとAML-MRCの比較では-5/5q-(14%:43%
般的に化学療法不応で,特にMDS関連の染色体異常を有す
),-7/7q-(13%:35%),3個以上の核型異常(15%:
る例は寛解率が低いことが知られている.今回我々はMDS
41%)といずれもAML-MRCで高く,3個以上の核型異常では
およびAML-MRCの染色体異常とその頻度を調査した.
-5/5q-や-7/7q-を併せ持っていた.AML-MRC におけるMDS
【対象および方法】2007年1月∼2012年10月に骨髄検査で
時点の染色体検査実施例は10例(MDS時異常核型4例,正常
MDSまたはAML-MRCと診断され,染色体検査を実施した117
核型6例)で,うち5例に5q-,7q-,+8,+12,-18,+mar(
例(MDS 80例,AML-MRC 37例)を用いた.染色体異常は,
各2例ずつ)の核型進展を認めた.また正常核型からの進
病型別および核型別に頻度を調べ,MDSとAML-MRCで比較し
展は1/6例のみであった.AML-MRCの予後については,死亡
た.また,AML-MRCの核型進展と予後との関連についても
29例(生存期間1∼18ヶ月),移植後生存1例,治療中6例,
調べた.なお,染色体分析はG分染法にて行い,FISH法に
不明1例で,染色体異常と予後に明らかな関連は認めなか
よる5,7,8番染色体の異常を補助的に解析した.
った. MDSからの移行は,多彩な付加的異常を伴うが,
【結果および考察】染色体異常は61/117例(51%)に認め
MDS時正常核型の中に,異常核型へ進展する例と正常核型
た.病型別では,RCUD 5/12例(42%),RARS 1/11例(9
のままの例も存在し,MDSおよびAML-MRCの発癌メカニズム
%),RCMD 12/31例(39%),RAEB-1 11/16例(69%),
の多様性が示唆された.
RAEB-2
【まとめ】MDSにおける染色体異常は,病型により異なり
6/10例(60%),AML-MRC 23/37例(62%)であっ
た.核型別では,-5/5q-:27/117例(23%),-7/7q-:23
RAEB-1とRAEB-2では6割に認め,AML-MRCと同程度であった
例(20%),+8:13例(11%),12p異常:6例(5%),
. AML-MRC の-5/5q-,-7/7q-異常はMDSより多く4割に認め
20q-:5例(4%),13q-:4例(3%),11q異常:3例(3%
た.また,予後との関連は認めなかった. 0743-63-5611