Lecture Endocrinology, in 2009 副腎皮質とその 副腎皮質とその機能低下症 とその機能低下症 Sep. 30th. 2009 N. Yamakita MD; Matsunami Gen. Hosp. 1 2 社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院 概要 岐阜県羽島郡笠松町田代185-1 432床(一般病床) 標榜科 23科 厚生労働省臨床研修指定病院(’94年) 日本医療機能評価機構認定病院(’08年Version 5.0一般病院) 日本臨床研修評価機構認定研修指定病院(’08年) 各学会認定医・専門医研修認定施設(42学会指定) DPC包括評価適用病院(’06年4月より) VHJ(Voluntary Hospital of Japan)機構, VHJ研究会加盟病院 常勤医師数 86名(‘09年9月現在) 平均在院日数 12.6日(’08年度) 病床稼働率 84.4%(’08年度)) 法人他施設 まつなみ健康増進クリニック、松波総合病院介護 老人保健施設、まつなみケアプランセンター 3 内科関連の学会指定専門医研修病院 • • • • • • • • • • • • • • 日本内科学会専門医制度教育病院 内科学会 日本消化器病学会専門医制度認定施設 消化器病学会 日本消化器内視鏡学会認定専門医制度指導施設 消化器内視鏡学会 日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設 超音波医学会 日本内分泌学会内分泌代謝専門医制度認定教育施設 内分泌学会 日本糖尿病学会認定教育施設 糖尿病学会 日本高血圧学会専門医制度認定教育施設 高血圧学会 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設 循環器学会 日本IVR学会専門医修練施設 学会 日本呼吸器学会認定施設 呼吸器学会 日本呼吸器内視鏡学会専門医制度認定施設 呼吸器内視鏡学会 日本アレルギー学会教育施設 アレルギー学会 日本がん治療認定医認定研修施設 がん治療認定医 日本脳卒中学会研修教育病院 脳卒中学会 4 まつなみ介護老人施設 まつなみ介護老人施設 木曽川 まつなみ健康増進 まつなみ健康増進クリニック 健康増進クリニック M-Tower 入院病棟 病院外来 看護師寮 5 BIOCHEMISTRY AND PHYSIOLOGY 副腎ステロイド 副腎ステロイドの ステロイドの分類; 分類 代謝や免疫反応の調整 1) 血圧や血管内容積、電解質の調整2) 二次性徴の調整(女性において)3) 1) 糖質コルチコイド cortisol 2) 鉱質コルチコイド aldosterone 3) 男性ホルモン(アンドロゲン) Androstenedione DHEA (dehydroepiandrosterone) STEROID NOMENCLATURE 基本骨格 → cyclopentanoperhydrophenanthrane Ex) 17位にOH基が付いているC21 steroids: 17-hydroycorticosteroids (17OHCS) C21 steroids は糖質コルチコイドか鉱質コルチコイドの性質を持つ. 6 7 8 BIOSYNTHESIS OF ADRENAL STEROIDS (Figure 1414-3) 食事由来あるいは体内で生合成されたコレステロールの副腎での取り込 みで開始 → LDL-cholesterol 受容体を介する ACTH 刺激と LDL-C 受容体の数 → 副腎ステロイドの生合成を刺激. 副腎皮質の 副腎皮質の3層; 1) 球状層 (aldosterone) 2) 束状層( 束状層(cortisol) 3) 網状層 (DHEA) 副腎ステロイド生合成に必要な各層特有の酵素が存在する Ex) 17α-水酸化酵素, 球状層には存在しない Aldosterone 生合成酵素, 球状層にのみ存在する 9 副腎におけるステロイド生合成 Fig. 14-3 10 STEROIDS TRANSPORT 血漿中のcortisol は3つの形態で存在する; 1) free cortisol (循環cortisolの<5%), 活性型 2)タンパク結合型cortisol, 非活性型cortisol代謝物 3) cortisol 代謝物 cortisol 結 合 タ ン パ ク (binding globulin) (CBG; transcortin), α2-globulin Aldosterone はcortisolに比べ少ししかタンパク結合していない 11 STEROIDS METABOLISM AND EXCRETION 糖質コルチコイド 糖質コルチコイド Cortisol 分泌, 15-30 mg/day (8-10 mg/day/m2) Cortisol代謝を規制する主たる酵素→11β-水酸化ステロイド 脱水素酵素 (11β-HSD) 11β-HSDのisoforms: 11β-HSD I は本来肝に 多く発現している。 11β-HSD II は多くの組織に 発現しておりcortisolを非活性型代謝物 であるcortisoneに転換する。 → cortisol-cortisone shuttle (参照次のスライド) 鉱質コルチコイド 鉱質コルチコイド 正常食塩摂取の正常人のAldosterone 分泌量, 20-250 µg/day Aldosteroneは1回肝を循環すると70%以上代謝される。 Adrenal androgens副腎男性 androgens副腎男性ホルモン 副腎男性ホルモン 主たる副腎男性ホルモン → DHEA and DHEA-S DHEA は 17-ketosteroidsの主たる原料 (2/3 of 男性の尿中 17-KSの2/3, 女性ではその殆どを占める) 12 13 14 15 GLUCOCORTISOIDS ACTION (Figure 1414-9-a, b) GR) ステロイド → 受動的に沁み込むように細胞膜を通過し細胞内の 受容体と結合する. 糖質コルチコイドも鉱質コルチコイドも鉱質コルチコイド受容体 (MR=Type 1 GR)に対しほぼ同等のaffinityを持つ。 糖質コルチコイドだけが糖質コルチコイド受容体(GR)(Type2 と結合 ステロイド-受容体複合体→ 核内に移行しsteroidregulated gene上にある特異部位に結合. Ex) 炎症における糖質コルチコイドの作用 (Figure 14-9) 先天性 GR欠損 → 糖質コルチコイド抵抗性の状 態 MRに対し、糖質コルチコイドと鉱質コルチコイ ドは同じaffinityを持つ → ある特殊な タイプの高血圧の原因となる (apparent mineralocorticoid excess や 異所性 ACTH 症候群) 16 Hypothalamus Activated Immune system CRF Pituitary Alters ACTH Negative feedback Adrenal CORTISOL Fig.14-9, a IL-6 IL-1 TNF-α α Inflammation Reduces 17 Fig. 14-9-b 18 MINERALOCORTICOIDS ACTION (Figure 14-10) Figure 14-10に示すように、aldosteroneは細胞内に入り MRと結合し、この機序に従って働く、最終的には、尿中にカ リウムを排泄する。古典的な遺伝子を介した効果に加え、鉱質 コルチコイドは急性の遺伝子を介さない効果を持っており、そ れはおそらくまだ同定されていない細胞表面受容体を活性化す ることによって生じるものと考えられる。 鉱質コルチコイド受容体(MR): aldosterone, cortisol, corticosteroneと同等の親和性をもつ。 cf) cortisol-cortisone shuttle: 腎尿細管、腸管上皮、汗腺、唾液 腺などでは、11β-hydroxysteroids dehydrogenase type 2(11-HSD2) によって、cortisolはMR結合能のないcortisoneに変換され、MR と結合しない。 19 20 Fig. 14-10 ACTH PHYSIOLOGY (Figure 1414-6) POMC (proopiomelanocortin) ACTHが最大効果を示すためには、N端18個のアミノ酸が 必要. ACTH 分泌作用 CRH Vasopressin pro-inflammatory cytokines(IL-1, IL-6, TNF-α) CRH分泌制御 1.ストレス (低血糖、 低血圧、 手術、 発熱、外傷) セロトニン作動性、コリン作動性刺激(CRH 増加) 2.GABAergic, α-刺激 (CRH 減少) 3.日内変動 ストレス刺激によるACTH分泌 → ACTHレベルの日内変動の消失、しかし、高容 量糖質コルチコイド投与で抑制。 21 Fig. 14-6 22 RENINRENIN-ANGIOTENSIN PHYSIOLOGY Goldblattのイヌを使った実験 平均血圧 RK: 右腎動脈を中等度狭窄 RN: 右腎摘出術 LK: 左腎動脈を強く狭窄 K: sacrificed ① 血圧は上昇 ② 血圧は低下 ③ 血圧はさらに上昇 From Hoobler SW. History of experimental renovascular hypertension. In: Stanley JC, 23 Ernst CB, Fry WJ, eds. Renovacular hypertension. Philadelphis: Saunders, 1984: 12-19. 旁糸球体装置(レニン供給部位) 24 レニン分泌を制御する4つの因子 上行脚 輸入細動脈 遠位尿細管 旁糸球体装置 輸出細動脈 メサンギウム細胞 最大レニン分泌 腎灌流圧↓、尿細管Na濃度↓ (腎動脈狭窄、出血、ショック) 最小レニン分泌 腎灌流圧↑(高血圧)、高Na食 ① Macula densa: 尿細管におけるNa, Cl 負荷を感知する機能に 特化した遠位尿細管 細胞の一群 ② 旁糸球体細胞: 輸入細動脈壁の伸展(即ち 腎灌流圧)感知装置として 機能している ③ 腎交感神経:特に立位に対して 反応してレニン分泌を制御 ④ 液性因子:K、A-II、ANP 25 K↓は直接刺激、K↑は直接抑制 Renin-Angiotensin-Aldosteroneの分泌制御 Fig.14-8 26 27 プロレニン、レニンと(プロ)レニン受容体 Proteolytic and non-proteolytic activation of prorenin Prorenin (inactive) prosegmeny Angiotensinogen renin (pro)renin receptor Non-proteolytic activation(reversible) Low pH Low temperature Proteolytic activation (irreversible) Binding to the (pro)renin receptor Danser AHD et al Nephrol Dial Transplant 28 Adevanced access published Jan. 27, 2007 プロレニン、レニンと(プロ)レニン受容体と それを介した種々の生化学的作用 Angiotensinの生成作用 は介していない。 Danser AHD et al Nephrol Dial Transplant 29 Adevanced access published Jan. 27, 2007 ・アンギオテンシン受容体: AT1 AT2. AT1 → α 、 βサブタイプに分かれる. アンギオテンシンII とIII の殆どの作用 はAT1 受容体を介す. 体循環中のレニン-アンギオテンシン系 の他に多くの組織は局所レニン-アンギ オテンシン系を持っており、アンギオテ ンシンIIを産生する (子宮, 胎盤, 血管, 心, 脳 etc) ・AT4の存在およびその作用 ・Angiotensin-1-7の生物学的重要性は?? (Mas-Oncogeneを受容体として作用を介する)スライ ド参照 ・レニン分泌の4大機構; 1)旁糸球体細胞 2)Macula densa 3)交感神経系 4)K, Angiotensin-II, Atrial naturetic hormone (ANP) 30 GLUCOCORTICOID PHYSIOLGY (Figure 1414-12) ・糖質コルチコイドという言葉はその主たる作用が中 間代謝に係る副腎ステロイドに対して使われる。そ の作用は全体として高エネルギー源である糖質の産 生を増加させ、全ての他の代謝活性を減少させる方 向に働く。 ・タンパク代謝、炭水化物代謝、脂質代謝、核酸代謝 の制御 ・抗炎症作用(微小血管作用, 炎症性サイトカインの抑 制, 循環好酸球やリンパ球の減少) ・弱い鉱質コルチコイド作用(ある部位におけるMRへ の結合) 31 Fig. 14-12 32 MINERALOCORTICOID PHYSIOLOGY (Fig 1414-11) ・細胞外体液量の主たるレギュレーターでありカリ ウム代謝の主たる決定因子・標的組織(主に腎、唾液腺、小腸粘膜 壁etc.)における鉱質コルチコイド受容体(MR)にaldosteroneが結 合することによって生じる。 (Figure 14-11) ・エスケープ現象; Aldosterone投与 →Na貯留 ( 3 -5日間) → Na利尿 → Naバランスの再確立 → 浮腫は生 じない ・鉱質コルチコイドのカリウム喪失効果にはエスケープ現 象は生じない! ・Transforming growth factor-β (TGF-β)やplasminogen activator-1 (PAI-1)に対する影響. ・心、腎における影響(次スライド参照)→近年のRAA系 の心血管系に対する悪影響の解明 ・高血圧、糖尿病等の動脈硬化性疾患におけるRAA系抑制 薬の有効性(ACE-I, ARB, SAB etc) 33 近年明らかになったアルドステロン作用 古典的アルドステロン作用 心筋線維化・ リモデリング 血管障害・ 線維化 水分保持・ Na貯留 血管の伸展性低下 アルドステロン 圧受容体機能の障害 K・Mg喪失 腎障害の進展 内皮機能不全 これら新 これら新しく明 しく明らかになった作用 らかになった作用は 作用は、TGF-αやPAI-1などtissue growth factors を介した働 した働きであろう。 きであろう。 心不全 脳卒中 心血管疾患 末期腎不全 高血圧 34 高血圧治療において現在使えるRAA遮断薬の作用部位 Angiotensinogen ・キモトリプシン様酵素(キマーゼ等) ・カリクレイン、・トリプシン ・トニン、・カテプシンG Renin Angiotensin-I ACE AR B AC I E ・トニン ・カテプシンG ・組織プラスミノゲン アクチベータ Angiotensin-II AT1 AT2 MR Al d拮 抗 薬 al is ki re n Angiotensin II-Receptor Aldosterone 35 ADRENAL ANDROGEN PHYSIOLOGY 女性においては、副腎アンドロゲンは種々の男 性ホ ルモン様作用を示す; 特に性毛に対する作用DHEA, androstenedione→副腎外で testosteroneに変換されてその作用を示す。 DHEA and/or DHEA-S の心血管系、免疫系 に対する効果→十分解明されていない。 36 THERAPEUTIC USE OF CORTICOSTEROIDS (Table 1414-6, Table 1414-7) 長期間にわたる 長期間にわたる糖質 にわたる糖質ステロイド 糖質ステロイド治療 ステロイド治療 抑制は治療量と期間の両者に依存する→糖質コルチコイド投与 の突然の中止は副腎不全を来たしうる! 長期間の糖質コルチコイド治療は、数ヶ月かけて注意深く行う べきである。 37 糖質コルチコイドの コルチコイドの臨床使用 TABLE 14-6 – 糖質コルチコイド 内分泌領域: 内分泌領域 補充療法 (アジソン病, 下垂体疾患, 先天性副腎過形成), バセドウ病眼症 皮膚科領域:皮膚炎, 天疱瘡 皮膚科領域 血液学領域: 血液学領域 白血病, リンパ腫, 溶血性貧血, 特発性血小板減少性紫斑病 消化管領域: 消化管領域 炎症性腸管疾患 (潰瘍性大腸炎, クローン病) 肝疾患: 肝疾患 慢性活動性肝炎,肝移植, 移植肝拒絶反応 腎領域: 腎領域 ネフローゼ症候群, 血管炎, 腎移植, 移植腎拒絶反応 中枢神経系: 中枢神経系 脳浮腫, 脳圧上昇 呼吸器系: 呼吸器系 血管浮腫, アナフィラキシー, 喘息, サルコイドージス, 結核, 閉塞性肺疾 患 膠原病領域: 膠原病領域 SLE, 多発性筋炎, ANCA関連血管炎, 関節リウマチ 筋疾患: 筋疾患 リウマチ様多発筋痛症, 重症筋無力症 38 TABLE 1414-7 – バイオアッセイ系 バイオアッセイ系での合成 での合成ステロイド 合成ステロイドの ステロイドの相対的生物活性 抗炎症作用 視床下部- 視床下部 -下垂体 副腎系の -副腎系 の抑制 Cortisol 1 1 1 Prednisolone 3 4 0.75 Methylprednisolone 6.2 4 0.5 Fludrocortisone 12 12 Δ1 Fludrocortisone 14 ステロイド Triamcinolone Dexamethasone Na貯留作用 125 225 5 4 0 26 17 0 39 EXAMINATION FOR ADRENOCORTICAL DISORDERS A) 内分泌学的検査: 内分泌学的検査: a)糖質 a)糖質コルチコイド 糖質コルチコイド異常 コルチコイド異常に 異常に対する検査 する検査: 検査: 1) 尿中free cortisolあるいは17OHCS排泄量 2) 血漿cortisol, ACTH基礎値 3)血漿cortisol, ACTH値の日内変動 4)デキサメサゾン抑制試験 5) CRH試験 6) ACTH 試験 (迅速 ACTH 試験; 低容量 高容量) 7) メチラポン試験 b)鉱質 b)鉱質コルチコイド 鉱質コルチコイド異常 コルチコイド異常に 異常に対する試験 する試験: 試験: 1) 尿中aldosterone排泄量 2) 血漿レニン活性(PRA), 血漿aldosterone濃度 (PAC),PAC/PRA 比(特に原発性アルドステロン症のスクリーニングに有用) 3) PACの日内変動 4)レニン賦活化試験; 単純立位負荷試験, フロセミド+立位負荷試 験, 食塩制限試験、カプトプリル試験 5) 生食負荷試験 6) メトクロパミ負荷試験 40 画像診断 1) 下垂体MRI 2) 副腎CT、MRI 3) 副腎超音波検査 4) 131I-iodocholesterol シンチグラフィー 5) 副腎静脈採血 cf) 主としてクッシング症候群の鑑別とし て下垂体性クッシング症候群(クッシング病)、 異所性ACTH症候群の鑑別として、蝶形静脈(錐 体静脈)洞採血、PET、etc 41 右副腎腺腫による原発性アルドステロン症 42 アルドステロン産生副腎癌(MRI)② 43 両側副腎過形成(IHA: Idiopathic HyperAldosteronism) による、原発性アルドステロン症 44 右副腎腺腫によるPAPC(Primary Aldosteronism associated with Preclinical Cushing’s syndrome) 45 右副腎皮質腺腫による 原発性アルドステロン症の超音波像 摘出腫瘍 直径8mm 右側前腋窩線 縦断走査 L, Liver; K, right kidney; Arrow, normal right adrenal gland; Arrow heads, right adrenal adenoma 46 微小下垂体腺腫によるクッシング病のMRI(32歳女性) 47 鞍上進展のある下垂体腺腫によるクッシング病のMRI 16歳女性 術前 術後 48 膵腫瘍による異所性 ACTH症候群のPET 49 HYPOFUNCTION OF ADRENAL CORTEX 50 1) Glucocorticoid Resistance 血漿ACTH, cortisol値↑、 クッシング様症候(-) 血清K値↓ 高血圧 (DOC↑のため) 多毛症(女性) (副腎アンドロゲン↑のため) 低容量デキサメサゾン試験が診断に有用 51 Glucocorticoid Deficiency 原発性、二次性副腎機能低下症 i)原発性副腎機能低下症 Addison病 Addison病: 稀な疾患, 0.8 例/100, 000人 自己免疫性副腎炎; 西洋諸国ではAddison病の70%を占める。 50% は他の自己免疫疾患を合併する((Table 1414-17) Cf) 多腺性自己免疫症候群(Autoimmune polyendocrine syndromes; APS) Type I & Type II (Table 1414-18) 52 TABLE 14-17 –自己免疫性副腎不全症患者448例における 他の自己免疫疾患の発現度 疾患 発限度(%) 甲状腺疾患 甲状腺機能低下症 8 非中毒性甲状腺腫 7 甲状腺中毒症 7 性腺機能不全 卵巣機能不全 20 精巣機能不全 2 インスリン依存性糖尿病 11 副甲状腺機能低下症 10 悪性貧血 なし 5 53 53 TABLE 14-18 – 副腎不全を伴った自己免疫性多発内分泌症候群の臨床症状(1) 疾患 発現度 (% 自己免疫性多発内分泌症候群, Type I 内分泌疾患 副甲状腺機能低下症 89 慢性粘膜皮膚カンジダ症 75 副腎不全 性腺不全 甲状腺機能低下症 インスリン依存性糖尿病 60 45 12 1 下垂体機能低下症 <1 尿崩症 <1 54 TABLE 14-17 – 副腎不全を伴った自己免疫性多発内分泌症候群の臨床症状(2) 疾患 発現度 (% 非内分泌疾患 吸収不良症候群 25 全脱毛症 20 悪性貧血 16 慢性活動性肝炎 白班症 9 4 55 TABLE 14-17 – 副腎不全を伴った自己免疫性多発内分泌症候群の臨床症状(3) 疾患 発現度 (% 自己免疫性多発内分泌症候群, Type II 内分泌疾患 副腎不全 100 自己免疫性甲状腺疾患 70 インスリン依存性糖尿病 50 性腺不全症 尿崩症 5–50 <1 非内分泌疾患 白班症 脱毛症, 悪性貧血, 重症筋無力症, 血小板減少 性紫斑病, シェーグレン症候群, 関節リウマチ 4 <1 56 Type I: 副腎自己抗体がステロイド生合成酵素-21-OH-lase 以外の側鎖切断酵素や17-OH-lase-に対するもの. 遺伝子変異; AIRE (autoimmune regulator) Type II: HLA DR3 and DR4に関連する遺伝子関連 21OH-lase に対する自己抗体の存在 感染: 結核, 真菌感染 (histoplasmosis, cryptococcosis), サ イトメガロウィルス. 副腎不全はしばしばAIDSで生じる。AIDS患者の10%以上で 1-24ACTHの刺激試験でcortisolは正常以下の増加反応しかしな い。 AIDS治療中の注意; ketoconazole and rifampicin その他: 悪性腫瘍の副腎転移 (肺癌が最多), 先天性副腎低形成 (DAX-1の突然変異), Adrenoleukodystrophy 57 ii)二次性副腎機能低下症 ACTHの分泌不全 汎下垂体機能低下症 ACTH単独欠損症 ACTH単独欠損症: 単独欠損症: cf) リンパ球性下垂体炎 Clinical Features of Adrenal Insufficiency 症状、徴候、検査結果; Table 1414-19 58 TABLE 14-19 – 原発性副腎不全の臨床症状(1) 症状, 臨床所見, or検査所見 頻度 (%) 症状 脱力、易疲労性、疲労 100 食欲不振 100 胃腸症状 92 嘔気 86 嘔吐 75 便秘 33 腹痛 31 下痢 16 食塩渇望感 16 体位性眩暈(フラツキ) 12 筋肉・関節痛 6–13 59 TABLE 14-19 – 原発性副腎不全の臨床症状(2) 症状, 臨床所見, or検査所見 頻度 (%) 徴候 体重減少 100 色素沈着 94 低血圧 (収縮期血圧<110 mm Hg) 88–94 白斑 10–20 耳介石灰化 5 60 TABLE 14-19 – 原発性副腎不全の臨床症状(3) 症状, 臨床所見, or検査所見 頻度 (%) 検査所見 電解質異常 92 低Na血症 88 高K血症 64 高Ca血症 6 高窒素血症(アゾテミア) 55 貧血 40 好酸球増多症 17 61 a) b) Addison’s disease (結核性)、両側副腎の著明な腫大 62 副腎機能低下症の検索 Cf) 急性副腎不全 (Adrenal Crisis); Table 1414-20 一般血液血清検査; Na↓, K↓, 好酸球↑ 内分泌検査結果; ACTH↑、PRA↑, cortisol ↓ aldosterone↓ CRH試験でのACTH過大反応 レニン賦活化試験でのPRA過大反応 Cortisol とaldosteroneの1-24 ACTH 刺激に対する 低反応 63 TABLE 14-20 – 急性副腎不全の臨床所見と検査所見 脱水, 低血圧, or 引き金になった疾患に不釣合いなショック 体重減少と食欲不振の既往を伴った嘔気、嘔吐 腹痛、いわゆる急性腹症 説明のつかない低血糖 説明のつかない発熱 低Na血症, 高K血症, 高窒素血症(アゾテミア), 高Ca血症, or 好酸球増多症 色素沈着 or 白斑症 甲状腺機能低下症や性腺機能低下症など、他の自己免疫性内分泌機能低下症 64 TABLE 1414-21 – 急性副腎不全の治療 緊急時におこなうこと 1. 太目の針で静脈を確保. 2. 血清電解質と血糖と一般生化学検査、更にACTHとcortisol測定用に採血。検査結果が判 明するのを待つな! 3. 2 - 3 L の 154 mmol/L NaCl (0.9% 生食)あるいは50 g/L (5%) ブドウ糖液を 154 mmol/L NaCl (0.9% 生食) に入れてできるだけ早く点滴静注. 中心静脈圧や末梢静脈圧を 測定したり肺雑音聴取に留意してfluid overload を見逃さないこと。もし徴候があれば、点滴速 度を落とす。 4. Hydrocortisoneの静脈内投与 (まず100 mg oneshotで、その後 6 hrごと) 5. 必要なら他のモニターもおこなう. 65 TABLE 1414-21 – 急性副腎不全の治療 患者が落ち着いてからの亜急性期におこなうこと 1. 154 mmol/L NaCl (0.9% 生食)を次の24-48hrでゆっくり点滴投与 2. 急性副腎不全の原因となった可能性のある感染症を検索し治療する. 3. もともと副腎不全がなかった患者なら確定診断のために迅速ACTH試験を行う 4. もし既に判明していないものなら、副腎不全症の型と副腎不全を来たした原因を決定する 5. 基礎疾患に差し支えないなら、1-3日位で糖質コルチコイドの量を維持量にまで減量 6. 生食の点滴を中止したらfludrocortisone (0.1 mg by mouth daily)で鉱質コルチコイドの補 充を開始する. 66 TABLE 14-22 – 慢性副腎不全症の治療(1) 維持療法 糖質コルチコイドの補充 • 起床時にhydrocortisone 15–20 mg経口投与 と午後早目の時刻に 5–10 mg投与 • 臨床症状の観察と血漿ACTH値の測定. 鉱質コルチコイドの補充 • Fludrocortisone 0.1 (0.05–0.2) mg の経口投与. • 食塩は自由に摂取. • 臥位、立位での血圧、脈拍、浮腫の有無、血清K値、血漿レニン活性の モニター. • 疾患について、また疾患罹患時や大きなストレス時にいかに対処すべき か患者に教育し、ステロイドの筋注の仕方を教育する. • 医療緊急用のブレスレット/ネックレスや医療緊急情報カードを携帯さ せる. 67 TABLE 14-22 – 慢性副腎不全症の治療(2) 軽症疾患やストレス時の治療 • 疾患時の2-3日間は糖質コルチコイドを2-3倍量に増量; 決して鉱 質コルチコイドの量は増やさないこと. • 疾患が悪化したり3日以上継続あるいは嘔吐がひどくなるなら、内科医 を受診すること. • 殆ど合併症のない外来での局麻歯科治療では追加の糖質コルチコイド 補充は不要である。 重篤なストレスや外傷時の緊急治療 • Dexamethasone (4-mg) の筋肉注射をさせる(米国ではprefilledの注 射剤がある). • できる限り速やかに内科医を受診する. 68 TABLE 14-22 – 慢性副腎不全症の治療(3) 院内での疾患、手術時に対するステロイド補充 • 中等度疾患時にはhydrocortisone 50mgを1日2回経口あるいは静注. 患者が回復したら急速に減量し維持量に戻す. • 重篤な疾患時には8時間毎の100mg静注. 半日毎に補充量を半減す る. 疾患の経過によって投与量の加減は必要. • 局麻下の小手術や殆どの放射線科的検査では、余分の補充投与は不 要. • 注 腸 造 影 や 内 視 鏡 検 査 、 血 管 造 影 で は 、 検 査 直 前 に 100mg の hydrocortisoneの静注をおこなう. • 大手術では、麻酔導入直前に100mgのhydrocortisoneの静注をおこ ない、最初の24時間は8時間毎にこの投与を続ける.急速に減量し、1日 経過毎に半減し維持量とする. 69 21-Hydroxylase deficiency ③ 色素沈着 ④ 多毛、男性化 レニン上昇 Na喪失 ショック ② ① 70 71 21水酸化酵素欠損症(女児) 72 21-hydroxylase deficiency (9 years old) 73 21-hydroxylase deficiency (19歳) 74 21-hydroxylase deficiency (19歳) 75 21-hydroxylase deficiency (女性、19歳) 76 11β-Hydroxylase deficiency ② 色素沈着 高血圧 ④ 多毛、男性化 ③ ① 77 11β-hydroxylase deficiency (external genitalia)78 17α-Hydroxylase deficiency ③ 色素沈着 レニン 抑制 ④ ① ② 男性仮性 半陰陽 無月経 ⑤ 79 17α-hydroxylase deficiency (右、17歳;左、他の17HD ) 80 3β-hydroxysteroids dehydrogenase deficiency 81 Steroidogenic Acute Regulatory Protein (StAR) 欠損症 リポイド過形成: ミトコンドリアの外膜から内膜へのコレステロ ールの輸送障害→ 全ての副腎と性腺のステロイドの欠損. 2/3 の 例は致死的であり、副腎は非常に大きくなり脂肪で充満。 Apparent Cortisone Reductase 欠損症 Cortisoneをcortisolに転換する部分の障害 (type I isozyme of 11βHSDの欠損) ACTH↑ とcortisol クレアランスの上昇 Aldosterone 生合成酵素欠損症 Corticosterone を aldosterone へ転換する部分の障害 or 18OH-corticosterone を aldosteroneへ転換する部分の障害 Cf) Cf) Aldosterone作用 Aldosterone作用の 作用の障害 Pseudohypoaldosteronism(偽性低アルドステロン症) type I: 上皮性Naチャンネル(EnaC) α, β, γ サブユニットの突然変異 Psuedohypoaldosteronism (偽性低アルドステ ロン症) type II (Gordon症候群): 尿細管K輸送における鉱質コルチコイド 抵抗性 (WNK 4 gene) 82 83 84
© Copyright 2024 ExpyDoc