「実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方」中間報告

全国教育研究所連盟第19期共同研究
第1回全国研究集会(秋田大会)報告書
実践的な指導力の向上を図る
これからの教員研修の在り方
開催期日
会
場
主
催
主
管
事 務 局
平成 19 年 10 月 18 日(木)・19 日(金)
秋田ビューホテル
全国教育研究所連盟
秋田県総合教育センター
福島県教育センター
ま
え
が
き
平成19年10月18、19の両日、
「実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方」
を研究主題に掲げ、当センターを主管として全国教育研究所連盟第19期共同研究第 1 回全国研究
集会(秋田大会)を開催いたしました。全国各地から160名を超える会員の参加をいただき、盛
り上がりのある大会になりましたことを、まずもって感謝申し上げます。
第19期共同研究を進めるに当たり、中国・四国地区での第18期共同研究の成果を受け継ぎ、
学校教育の喫緊の課題である教員の指導力の向上に向けて、各学校はどのような取組みが必要であ
るか、また、教育センター・教育研究所は学校や教員の取組みをどのように支援していくことが必
要なのか、という観点から研究内容の焦点化を図りました。本研究主題は、加盟各機関が相互の連
携のもとで研修と研究の一体化を図りながら取り組むことができる、具体的かつ実践的な研究主題
であると考えております。
大会一日目は、最初に、信濃教育会教育研究所長・東京大学名誉教授 稲垣忠彦先生から、「授業
研究の歩みと現職教育の課題」という演題で記念講演をいただきました。我が国の授業研究の変遷
をたどる中で授業研究の本質を浮き彫りにする内容であり、まさに本研究推進の基盤とすべき御講
演でした。続いて、研究主題設定にいたる経緯と本年次の研究内容、三年間の研究推進の方法等に
ついて研究推進委員から基調提案が行われ、研究の方向性の共有化を図りました。一日目の午後と
二日目は、
「校内研修」
(第1分科会)、
「研修への支援」
(第2分科会)、
「ICT 活用」
(第3分科会)、
「大学等との連携」
(第4分科会)の四つの分科会を設け、研究発表と質疑、ワークショップ形式で
のグループ協議を行いました。限られた時間ではありましたが、実践的な指導力の向上に向けて、
各観点から見た問題の所在とその対応策が具体的に論議されました。
本大会は、三年間にわたる共同研究の一年目の大会であり、具体的な研究成果よりは今後取り組
むべき課題を明確にした大会と言えます。記念講演や分科会での研究発表並びに研究協議、さらに
は国立教育政策研究所の先生方の御指導・御助言をもとにしまして、次年度に向けてその方向性を
より確かなものとしていきたいと考えております。本報告書が今後の研究の足がかりとなり、研究
が一層推進されていくことを祈念しまして、第2回全国研究集会を宮城県教育研修センター及び
仙台市教育センターに引き継いでいただきます。
最後になりましたが、御挨拶をいただきました国立教育政策研究所長 近藤信司先生を始め、御
講演をいただきました信濃教育会教育研究所長・東京大学名誉教授 稲垣忠彦先生、御指導・御助
言をいただきました国立教育政策研究所研究企画開発部長 頼本維樹先生、同研究所初等中等教育
研究部長 工藤文三先生、同研究所研究企画開発部総括研究官 千々布敏弥先生、そして大会運営に
当たり、終始御尽力をいただきました第19期共同研究事務局の福島県教育センターの先生方、さ
らに各分科会で研究発表くださいました先生方、全国各地から御参加くださいました皆様方に厚く
御礼申し上げます。
第1回全国研究集会実行委員会
(秋田県総合教育センター所長)
菊谷
一
目
次
まえがき
Ⅰ
日程・会場・運営次第 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 日程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 会場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
3 運営次第 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ
経過報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
Ⅲ
1
2
3
4
5
6
7
8
9
基調提案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
研究主題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
研究主題設定の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
研究主題の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
主な研究内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
研究方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
研究組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
研究計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
研究の全体構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
分科会の運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
Ⅳ
分科会の報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
1 第1分科会「校内研修」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2 第2分科会「研修への支援」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
3 第3分科会「ICT活用」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
4 第4分科会「大学等との連携」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
Ⅴ
第1回全国研究集会の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
1 第1分科会の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
2 第2分科会の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
3 第3分科会の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
4 第4分科会の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
5 全体の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
Ⅵ
第19期共同研究委員
Ⅶ
参加者名簿
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
-1-
Ⅰ
1
日程・会場・運営次第
日
程
19:30
科
情報 交換会
分
16:45 17:30
会
食
11:15 11:30 11:50 12:10
憩
会
閉会行事
科
付
分科会報告
休
分
受
2
13:00
昼
憩
【第2日 10月19日(金)】
8:30 9:00
12:00
基調提案
11:25 11:35
休
記念講演
付
開会行事
受
【第1日 10月18日(木)】
9:00 9:30
10:00
会 場
<秋田ビューホテル>
日時
集会等
10月18日
(木)
9:30~16:45
10月19日
(金)
9:00~12:10
会場
開会行事・記念講演・基調提案
分科会
分科会
4階
光琳
第1分科会:校内研修
4階
飛翔(1)
第2分科会:研修への支援
4階
飛翔(2)
第3分科会:ICT活用
4階
飛翔(3)
第1分科会:校内研修
4階
飛翔(1)
第2分科会:研修への支援
4階
飛翔(2)
第4分科会:大学等との連携
4階
飛翔(3)
4階
光琳
分科会報告・閉会行事
<秋田ビューホテル>
日時
集会等
10月18日(木)
17:30~19:30
情
報
交
会場
換
会
4階
光琳
3 運営次第
【第1日 10月18日(木)】
1 開会行事
(1) 開会
(2) あいさつ
全国教育研究所連盟委員長
(国立教育政策研究所長)
近 藤 信 司
-1-
全国教育研究所連盟第19期共同研究運営委員長
(福島県教育センター所長)
東北地区教育研究所連盟委員長
(秋田県総合教育センター所長)
秋田県教育委員会教育長
(3) 来賓祝辞
(4) 閉会
2 記念講演
演 題
「授業研究の歩みと現職教育の課題」
信濃教育会教育研究所長 東京大学名誉教授
新井田
大
菊 谷
根 岸
一
均
稲 垣 忠 彦
3 基調提案
全国教育研究所連盟第19期共同研究事務局・研究推進委員
小 林 伸 行
4 分科会
分科会
内
容
第1分科会
(1)研究発表
第2分科会
(2)指導助言
第3分科会
(1)研究発表
(2)グループ協議
(3)指導助言
助
言
者
国立教育政策研究所初等中等教育研究部長
工藤文三
国立教育政策研究所研究企画開発部長
頼本維樹
国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官
千々布敏弥
【第2日 10月19日(金)】
1 分科会
分科会
第1分科会
第2分科会
第4分科会
2 分科会報告
内容
助
言
者
グループ協議
(1)研究発表
(2)グループ協議
(3)指導助言
国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官
千々布敏弥
各分科会担当研究推進委員
3 閉会行事
(1) 開会
(2) あいさつ
全国教育研究所連盟委員長
(国立教育政策研究所長)
全国教育研究所連盟第19期共同研究運営委員長
(福島県教育センター所長)
東北地区教育研究所連盟委員長
(秋田県総合教育センター所長)
(3) 次期開催機関あいさつ
宮城県教育研修センター所長
(4) 閉会
-2-
近 藤 信 司
新井田
大
菊 谷
一
庄 司 恒 一
Ⅱ 経過報告
月
日
主
な
業
務
内
容
等
平成17年
10月13日
平成17年度東北・北海道地区教育センター協議会・秋季(青森県総合学校教育セ
ンター)の事前協議会において、第19期共同研究にかかわる協議の場を持つ。
・大会日程の骨子について(センター協の地区会長県が全教連共同研究全国研究
集会を開催)
・会場担当県の確認
平成19年度:秋田県、20年度:宮城県・仙台市、21年度:山形県
平成18年
5月19日
平成18年度東北・北海道地区教育センター協議会・春季(福島市ホテル辰巳屋)
で第19期共同研究についての提案を行う。(第1回運営委員会を兼ねる。)
・全国教育研究所連盟第19期共同研究について
・運営委員会設置要綱案について
・平成18年度運営委員会及び研究推進委員会実施計画案について
7月19日
第1回研究推進委員会(福島県教育センター)において、主題設定に向けての協議
を行い実施計画修正案について検討する。
9月25日
第2回研究推進委員会(福島県教育センター)において、共同研究の研究主題設定
案と運営に係る分担案等について検討する。
10月19日
第2回運営委員会(福島市ホテル辰巳屋)において、平成18年度東北地区教連総
会に提案する第19期共同研究にかかわる議事案件について協議する。
平成18年度東北地区教連総会において、第19期共同研究運営委員会設置要綱・
研究組織案、第19期共同研究の推進案、全国研究集会の基本運営案を事務局より提
案。原案のとおり了承を得る。
12月19日
全教連事務局より加盟各機関あて「全教連共同研究の推進案について」のタイトル
で第19期共同研究関連文書を送付して、研究主題等に関するアンケート調査を依頼
する。
平成19年
1月19日
第3回研究推進委員会(福島県教育センター)において、東北地区各センターの研
究の方向性と今後の研究推進計画、秋田大会第1次案内について協議する。
1月31日
「研究主題設定のためのアンケート調査」最終集計。(回収率は55.9%
機関)
2月
6日
平成18年度全国教育研究所連盟委員会(国立教育政策研究所)において、第19
期共同研究の推進計画について共同研究運営委員長より説明を行う。
4月24日
第4回研究推進委員会(福島県教育センター)において、第1回全国研究集会の運
営、東北地区の分科会発表内容について検討する。
-3-
133
5月15日
第5回研究推進委員会(福島県教育センター)において、研究推進上の課題、研究
内容の構造化、第1回全国研究集会の運営の基本枠について協議する。
5月24日
第3回運営委員会(福島県教育センター)において、第1回全国研究集会の日程、
係分担、分科会の研究発表者の選定、平成19年度予算案について協議する。
5月30日
平成19年度全国教育研究所連盟総会(富山県市町村会館)において第19期共同
研究案を全教連事務局より提案。原案のとおり承認される。引き続き開催された研究
発表大会において第19期共同研究の説明を事務局より行う。
7月
3日
第1回全国研究集会における発表者を決定。
7月17日
第6回研究推進委員会(福島県教育センター)において、東北地区各センターの研
究途中経過を報告すると共に、分科会の協議の柱立て、全体会・分科会運営の細案に
ついて協議する。
10月17日
第4回運営委員会(秋田ビューホテル)において、第6回研究推進委員会の経過並
びに第1回全国研究集会での基調提案等について報告する。
第7回研究推進委員会(秋田ビューホテル)において、秋田大会の分科会運営につ
いて確認する。
10月18日
~19日
第19期共同研究の第 1 回全国研究集会(秋田大会)を秋田ビューホテルにおいて
開催。
10月19日
第8回研究推進委員会(秋田ビューホテル)において、第1回全国研究集会の運営
並びに分科会協議の反省を行い、報告書の形式・記載内容・作成日程等について協議
する。
11月
第9回研究推進委員会(福島県教育センター)において、第1回全国研究集会の報
告書のまとめ方について協議する。
6日
-4-
Ⅲ 基調提案
1 研究主題
実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方
2 研究主題設定の基本的な考え方
(1) 第18期共同研究を踏まえて
第18期共同研究においては、共同研究の在り方について見直しを図り、二つの研究主題を
掲げる従来の取組みを改め、研究主題を一つに絞って各年次一回の全国研究集会を持つという
スタイルに変更した。それにより全国の加盟各機関が同じ研究主題に取り組むことが可能とな
り、研究成果を共有できるというメリットが生じた。
また、第18期共同研究においては「『確かな学力』と『豊かな心』をはぐくむ新しい学校教
育の創造」という研究主題の下、
「学びを進める部会」、
「心を育てる部会」、
「学校を創る・支え
る部会」の三部会を設けて研究を進めてきた。それにより、各機関が自ら抱えている教育課題
を踏まえて幅広い視点からの研究の取組みが可能となった。
各年次研究のまとめに際しては、全国研究集会における研究発表・協議ばかりでなく、全教
連の研究発表大会や研究協議会での発表・協議に加えて、全国各機関の優れた研究実践を収集・
整理するなど、現在の教育課題に対してより具体的な手立てを提案する方向で幅広い研究を進
めてきた。
(2) 新たな視点からの共同研究の在り方を求めて
一方、研究主題を幅広い視点から設定したことにより、共同研究の内容の深まりという観点か
らは課題も残った。各機関において掲げた研究内容は個々の実践事例として論じられはしたが、
相互の研究において共通する成果や課題が見いだしにくいため、全国研究集会においても議論が
なかなかかみ合わないなどの問題も生じた。
研究主題に基づいた共同研究の成果交流の場としての全国研究集会の本来の在り方を考えたと
き、現下の教育課題を踏まえて研究主題の焦点化を図り、提案性のある研究を進めていくことが、
今後、強く求められている。
3 研究主題の意義
(1) 学校教育の現状
都市化の進展による地域社会の希薄化や少子高齢化社会による社会の活力低下等が指摘されて
おり、IT社会の到来により世界規模で政治・経済が急激に変化している。そのような状況の中、
近年、学校教育も大変厳しい現状に直面している。学力や学ぶ意欲の低下の問題、不登校やいじ
め、校内暴力に加えて青少年犯罪の低年齢化等の生徒指導に関わる問題、基礎体力の低下や食生
活の乱れ等の健康に関わる問題、基本的生活習慣の欠如や規範意識、道徳心の低下に関わる心の
問題、LDやADHD等の児童生徒への支援の問題など、多岐にわたる喫緊の教育課題が山積し
ている。
-5-
このような急激な社会状況の変化や学校教育を取り巻く厳しい状況下にあって、夢と希望を抱
き、未来を切り拓くことができる児童生徒を育てていくためには、豊かな心をはぐくむとともに
確かな学力を身に付けさせ、一人一人の個性に応じてその能力を最大限に伸ばす創意工夫に富ん
だ学校教育を展開し、「生きる力」をはぐくんでいくことが強く望まれている。
(2) 教員をめぐる状況の変化
学校教育における課題が複雑・多様化してきている中、保護者や地域住民の学校教育に対する
関心が大きな高まりを見せ、いわゆる学級崩壊や指導力不足教員の問題等に象徴されるように教
員に対する信頼の揺らぎも生まれてきているのも現状である。
また、少子化に伴う学校規模の縮小化傾向が広がり、学年主任等が他の教員を指導する機能や
同じ専門教科教員が相互に学び合う機能が低下しつつあるとの指摘もある。
そのような中、児童生徒の多様な問題に的確に対応するには、従来までの教員相互の研修の枠
組みだけではもはや十分とは言えない状況となりつつあり、指導力向上に向けての校内における
教員研修の在り方を新たに模索する必要に迫られている。
加えて、児童生徒の現状や教員を取り巻く様々な状況の変化に即応した指導力向上に向けての
教員研修の在り方を考えたとき、従前の教育委員会による教員研修や教員個々の自己研修につい
ても工夫・改善を図っていく必要が生じてきている。
(3) 教員研修の重要性
教職は、人間の心身の発達に関わる専門的職業であり、その活動は、児童生徒の人格形成に大
きな影響を与える。
「教育は人なり」と言われるように、教育の成否は教員の資質能力に負うとこ
ろが極めて大きい。
学校教育に対する国民の期待に応え、信頼される学校づくりを進めていくためには、教員に対
する揺るぎない信頼を確立し、教員自身が自信と誇りをもって教育活動に当たることができるよ
うにすることが強く望まれている。
また、中央教育審議会平成18年7月答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」に
おいては、
「変化の激しい時代だからこそ、教員に求められる資質能力を確実に身に付けることの
重要性が高まっている。また、教員には、不断に最新の専門的知識や指導技術等を身に付けてい
くことが重要となっており、『学びの精神』がこれまで以上に強く求められている。」として教員
研修の重要性を強く指摘している。
これからの学校は、児童生徒の知・徳・体にわたるバランスの取れた成長を目指し、より一層
高い資質能力を備えた教員が指導に当たり、保護者や地域住民との適切な役割分担を図りながら、
活気ある教育活動を展開する場となる必要がある。
そのような学校づくりを進めていくためには、教育活動の直接の担い手である教員の資質能力
の向上に向けて、各学校における日常的・計画的な校内の教員研修の工夫・改善や教育センター
等による学校・教員支援の望ましい在り方について実践的な視点から改めて考えていくことが必
要となってきている。
(4) 加盟各機関からの意見・要望
第19期共同研究の研究主題に対して、加盟各機関がどのような意見・要望を持っているのか
をとらえ、研究内容等に反映させるため、平成18年12月に全加盟機関へのアンケート調査を
実施した。
研究主題の基本的な考え方に対しては、回答があった133機関の内、9割に近い機関から賛
意を示す意見・感想が寄せられている。それぞれが置かれている立場、業務内容は異なってはい
ても、教員の実践的な指導力の向上を喫緊の教育課題としてとらえ、研究・研修業務に組み入れ
てその向上を図るために取り組んでいる各機関の強い願いが回答から読み取れる。
-6-
4 主な研究内容
(1) 実践的な指導力の向上を図る校内研修の在り方
①
②
組織力を生かした校内研修体制の確立
授業研究を核としたこれからの校内研修の在り方
(2) 実践的な指導力の向上に向けての支援体制の構築
①
②
③
④
教員のニーズに応じた研修の推進
実践的な指導力の向上に結び付く研修への支援の在り方
eラーニングを活用した研修の充実
教育センター等と大学・関係機関との連携の在り方
5 研究方法
(1) 共同研究の推進について
①
共同研究の運営に当たっては、東北地区各県教育センター所長並びに仙台市教育センター
所長からなる運営委員会を組織する。
② 共同研究の推進に当たっては、運営委員会の下に研究推進委員会を組織する。
③ 東北地区県教育センター並びに仙台市教育センターの各機関は、それぞれの実情に応じて研
究内容の焦点化を図る。
④ 共同研究の質をより高いものとするため、東北地区加盟各機関並びに全国の加盟各機関に対
する研究への参加要請を行う。
⑤ 共同研究の推進に当たっては、必要に応じて随時、国立教育政策研究所(全国教育研究所連
盟事務局)の指導・助言を受ける。
⑥ 第19期共同研究の事務局は福島県教育センターに置く。
(2) 全国研究集会の持ち方について
①
第19期1年次の全国研究集会は秋田県で、2年次は宮城県で、3年次は山形県でそれぞれ
開催し、東北地区各機関が主体となった会の運営を行う。
② 研究発表の提案に基づいて観点を明確にした研究協議を行い、各年次の成果と課題を報告書
としてまとめる。
-7-
6 研究組織
第19期共同研究運営委員会
東北6県と政令指定都市1市の7センター所長が「運営委員」となり、基本事
項を決定する。
◎運営委員長
○運 営 委 員
福島県教育センター所長
秋田県総合教育センター所長
青森県総合学校教育センター所長
岩手県立総合教育センター所長 山形県教育センター所長
宮城県教育研修センター所長
仙台市教育センター所長
国立教育政策研究所
第19期共同研究推進委員会
7センターから各1名と事務局福島県から若干名を「研究推
進委員」として、研究の推進に当たる。
○
全国研究集会においては研究内容のまとまりごとに4分科会に分か
れて研究協議を深める。
《第 1 分科会》 校内研修
《第2分科会》 研修への支援
《第3分科会》 ICT活用
《第4分科会》 大学等との連携
事
務
局
【福島県教育センター】
7 研究計画
年度
主
な
内
容
19
【共同研究・第 1 年次】
○ 研究の方向性の確立・各研究機関への研究主題の周知
○ 研究の推進・実践事例の収集
○ 第 1 回全国研究集会報告書の作成
20
【共同研究・第2年次】
○ 具体的な研究の推進・実践事例の収集
○ 第2回全国研究集会報告書の作成
21
【共同研究・第3年次】
○ 具体的な研究の推進・実践事例の収集
○ 研究のまとめ・第3回全国研究集会報告書(または研究成
果図書)の執筆・刊行
-8-
全国研究集会
秋田大会
宮城・仙台大会
山形大会
8 研究の全体構造
児童生徒の現状と学校教育への期待
教員をめぐる状況の変化
加盟機関へのアンケート調査
○社 会状 況 の 急激 な変 化 に 伴
い、多岐にわたる喫緊の教育
課題が山積している。
・学力や学ぶ意欲の低下
・不登校やいじめ
・校内暴力や青少年犯罪
・基礎体力の低下や食の問題
・規範意識や道徳心の低下
等々
○学校教育に望まれていること
【教員への信頼の揺らぎ】
○いわゆる学級崩壊や指導力不足
教員の問題、学力の低下問題な
どに伴う教員への信頼の揺らぎ
が国民的な話題となっている。
【学校規模の縮小化の弊害】
○教員同士が相互に学び合う機
能が低下しつつある。
○従来までの校内における教員
相互の研修での対応だけでは
不十分な状況となっている。
◇調査期日 2006.12.14
◇調査対象 加盟 238 機関
◇回答数
133 機関
第18期共同研究を踏まえ
【第18期共同研究】
《成 果》
○幅広い視点からの研究
の取組みがなされた。
《課 題》
○共同研究の内容の焦点
化が図りにくい。
【第19期共同研究の在り方】
○現下の教育課題を踏ま
えて研 究の 焦 点化を図
り、提案性のある研究を
進める。
○研究主題に基づいた共
同研究 の成 果 交流の場
として の全 国 研究集会
とする。
【教員研修の重要性】
◎教員の実践的な指導力の向上に向けて、各学校における日常
的・計画的な校内の教員研修が工夫・改善されていくこと。
◎教育センター等による学校・教員支援の望ましい在り方につい
て実践的な視点から考えていくこと
◎研究主題(案)・主題設
定の基本的な考え方に
ついての意見・感想
賛同する…… 103 機関
(86.6%)
条件付き賛同 ……15 機関
(12.6%)
賛同できない … 1 機関
(0.8%)
各種審議会等
の答申
研究主題 実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方
主な研究内容
(1)実践的な指導力の向上を
図る校内研修の在り方
①組織力を生かした校内研修
体制の確立
②授業研究を核としたこれか
らの校内研修の在り方
研究方法
(2)実践的な指導力の向上に向
けての支援体制の構築
①教員のニーズに応じた研修の
推進
②実践的な指導力の向上に結び
付く研修への支援の在り方
③eラーニングを活用した研修
の充実
④教育センター等と大学・関係
機関との連携の在り方
(1)実践的な指導力の向上を図る校内研修の在り方
学校としての取組み
①組織力を生かした校内体制の確立
分科会1
授業研究の工夫・改善
②授業研究を核としたこれからの校内研修の在り
員
研
修
◎ 教員の実践的な指導力の向上を図るためには、学校はこれ
から校内研修にどのように取り組んでいくことが必要か。
◇ 平成 19 年度
〈1 年次研究〉
全国研究集会(秋田)
◇ 平成 20 年度
〈2年次研究〉
全国研究集会(宮城・仙台)
◇ 平成 21 年度
〈3年次研究〉
全国研究集会(山形)
(2)実践的な指導力の向上に向けての支援体制の構築
実
践
実
的
践
な
的
指
な
導
指
力
導
の
力
向
上
の
を
向
図
上
る
を
教
図
員
る
研
教
修
校内研修体制の確立
(1)共同研究の推進
○運営委員会を組織。
○事務局は福島県教育
センターに置く。
(2)全国研究集会の持ち方
○全国研究集会におい
ては提案に基づいて
観点を明確にした研
究協議を行う。
研究計画
センター・教育研究所等からのアプローチ
ニーズに応じた研修
①教員のニーズに応じた研修の推進
研修への支援
分科会2
②実践的な指導力の向上に結び付く研修への支援の在り方
③eラーニングを活用した研修の充実
分科会3
他機関との連携
④教育センター等と大学・関係機関との連携の在り方
分科会4
◎ 教員の実践的な指導力の向上に向けて、各センターや教育
研究所はこれから研修内容をどのように工夫・改善し、学校や
個々の教員の研修をどう支援していくことが必要か。
-9-
9 分科会の運営
(1) 第 1 分科会 「校内研修」
○
教員の指導力の向上を図ることは、児童生徒の向上・変容に直接的に結び付くと
いわれている。指導力の向上をねらいとして行われている校内研修は、各校におけ
る教員研修の核となる位置付けがなされている。しかしながら、ともすると形式的
になりがちで教員の実践的な指導力の向上に向けて十分には機能していない状況
も散見される。
分科会の
趣旨
○
本分科会においては、教員の指導力向上という側面から考えた場合、従来の校内
研修の取組みにおいて欠けていたものは何で、今後、重視すべき点は何なのかを明
らかにすることで、児童生徒の向上・変容に結び付く実践的な指導力の向上を図る
これからの校内研修の在り方について考えていく。
○ 「組織力を生かした校内研修体制の確立」と「授業研究を核としたこれからの校
内研修の在り方」の2つの視点に沿った6つの研究発表を基にして、校内研修にか
かわって各学校が今後取り組むべき方策等について具体的に提案する。
校
内
研
修
体
制
の
確
立
分科会の
発表テー
マ・研究
のキーワ
ード
1
授業改善リーダー育成のた
めの研修の在り方に関 する
研究
2
授業改善の日常化を図る校
内研修
~協働意識 を生かした授業
研究の取組みを通して~
3
授
業
研
究
の
工
夫
・
改
善
4
5
6
協議の柱
授業力向上のための授業研
究の在り方についての研究
~ワークショップ型授業研究の検証と新
たな授業研究の実践を目指して~
授業研究の活性化を図るた
めの研修方法の工夫・改善
~研修方法の提案・検証・評
価を通して~
授業改善を図るための校内
授業研究の進め方に関する
研究
~「校内授業研究の進め方ガイドブ
ック」の作成と活用をとおして~
授業力を高め、単元を構成
する力をつける授業研究の
あり方
兵庫県
授業研究の組織化
授業改善リーダーの育成
授業評価シートの活用
福島県
協働意識
校内研修の日常化
授業分析
授業改善サイクル
横浜市
秋田県
岩手県
山形県
組織力(チーム力)を生かした校内研修
研究推進者(ファシリテーター)の育成
研修方法の検証・評価手法の確立
学校のニーズや課題に応じた研修方法
校内授業研究の進め方ガイドブック
単元を単位とした授業研究
単元を構成する力
(1)実践的な指導力の向上を図るために組織力を生かした校内研修体制をどのように
確立していくか。
(2)実践的な指導力の向上を図るために授業研究をどのように工夫・改善していくか。
- 10 -
(2) 第2分科会 「研修への支援」
○
教員の指導力の向上に向けては、センターや教育研究所が実施している各種研修
の工夫・改善や各学校が実施している校内研修等への支援が不可欠となる。セン
ター等での研修については、講座そのものは年々充実・改善がなされているが、研
修内容と各学校における教育実践との結び付きが十分でなかったり、研修内容が研
修者個人に止まり、学校内への波及という側面での弱さが見られたりという状況が
指摘されている。
○
本分科会においては、教員の指導力向上という側面から考えた場合、センターや
教育研究所等がこれまで実施してきた各種研修において課題は何であり、それを克
分科会の
趣旨
服するために今後どのような研修内容を組み入れ、研修方法をどう工夫・改善して
いくのか、また、各学校における校内研修を実効性のあるものにするためにセン
ターや教育研究所は学校をどのように支援していくのかについて明らかにする。そ
れらを通して、児童生徒の向上・変容に結び付く教員の実践的な指導力の向上に向
けての支援体制をどのように構築していくかについて考えていく。
○ 「教員のニーズに応じた研修の推進」と「実践的な指導力の向上に結び付く研修
への支援の在り方」の2つの視点に沿った5つの研究発表を基にして、実践的な指
導力の向上に向けてのセンターや教育研究所の支援の在り方等について具体的に
提案する。
ニ
|
ズ
に
応
じ
た
研
修
分科会の
発表テー
マ・研究
のキーワ
ード
研
修
へ
の
支
援
1
教員の資質能力向上に関する
調査研究
~教員に求められる資質能力の明
確化とその伸長策具体化の視点~
2
小・中学校におけるキャリア教
育の推進に関する研究
~キャリア教育モデルカリキュラ
ムの作成をとおして~
3
実践的な指導力向上に結びつく
校内研修(生徒指導)への支援
の在り方
群馬県
岩手県
青森県
~学習障害調査票簡便版活用のた
資質能力の明確化
資質能力の伸長策具現化の視点
キャリア教育モデルカリキュラムの提示
センター研修と校内研修のサイクル
スクールリーダー養成
学習障害調査票簡便版の活用
校内研修支援のモデルプログラムの開発
めの校内研修への支援~
4
「授業力」の向上を図る研修シス
テムの在り方
仙台市
5
予防・開発的教育相談の推進に
関する研究
~体験学習型の教員研修モデルを通して~
福島県
センター研修
訪問研修
研究の関連付け
研修システムの PDCA サイクル
体験学習型教員研修モデル
校内リーダー養成への支援
(1)従来型の研修体系・研修内容の何が課題となっているのか。
協議の柱
(2)教育センター等が行うことができる研修支援の在り方はどうあるべきか。
- 11 -
(3) 第3分科会 「ICT活用」
○
全教連の平成19年度教育課題調査速報(19年6月)によると、都道府県指定
都市で「e ラーニングで研修を実施している」機関は、前年度より8機関増加して
33機関となっているが、依然として調査対象の5割を下回っている。
○
平成18年3月における文部科学省調査によると、コンピュータ等を使って指導
できる教員の比率は76.8%と過去5年間で約30%増加している。「IT新改
革戦略」においては平成23年度100%を目標としており、その基盤となる教員
のICT活用能力については順調に高まってきているといえる。
分科会の
趣旨
○
教員の個々のICT活用能力の高まりに比して、「e ラーニングで研修を実施し
ている」機関の割合が5割を下回ったままとなっている要因としては、多くの機関
が e ラーニングを研修に取り入れることのメリットよりデメリットが大きいとい
う判断の下、推移を見守っている状況にあることが挙げられる。
○
本分科会においては、3つの研究発表を基にして、e ラーニングを活用した研修
を充実させるためには何が課題となっており、どのような条件の下であれば e ラー
ニングを取り入れた教員研修や校内研修が有効に機能し、実践的な指導力の向上に
結び付くのかを明らかにしていく。
分科会の
発表テー
マ・研究の
キーワード
協議の柱
1
e-Learning の活用について(コン
テンツ作りから)
2
三重県におけるeラーニングを活
用した教職員研修
三重県
3
eラーニングの特性を生かしたこ
れからの教員研修の在り方
福島県
滋賀県
「しが e-センター」
コンテンツ作成とブレンディッド型 e-Learning 研修
コンテンツ作成
悉皆研修での活用
大規模研修
ブレンディッド・ラーニング
テレビ会議システムの活用
(1)eラーニングを活用した研修を充実させるためには何が課題となっているのか。
- 12 -
(4) 第4分科会 「大学等との連携」
○
全教連の平成19年度教育課題調査速報(19年6月)によると、都道府県指
定都市68機関の中で、大学と協定、覚書を交わして研究・研修を相互の連携で
進めている機関が24機関あり、全体の35%を占めている。なんらかの形で連
携を進めている機関を含めると57機関、全体の85%が大学との連携の下で研
修事業を進めている。
○
教育予算の削減に伴い、各機関における指導主事等の人員の確保が困難になり
つつある状況を踏まえると、多様化、専門化しつつある教員研修の質の向上のた
めには、今後も、大学等の関係機関との人的交流を核とした連携は不可欠なもの
となってくる。
○
また、教員免許更新制の実施に伴って大学等が実施する30時間の研修内容と、
センター等が行う教員研修の内容との関連を十分に図って、教員研修の実効性を
分科会の
趣旨
さらに高めていくことも今後の重要な課題となってくる。
○
「大学と教育委員会との連携に関するアンケート調査結果」(平成13年1月)
によると、連携することの必要性については、ほぼすべての教育委員会及び大学
が指摘しているが、連携策を企画する人員不足や具体的な連携策が分からない等
の理由から、連携が進まない現状が浮かび上がってきている。さらには、教員研
修における連携を図る際に、教育委員会は専門性を活かした助言や協力を大学に
求めているのに対して、大学は大学院修士課程への現職教員の派遣の拡大や大学
で実施している研究会等への教員の参加を教育委員会に求めており、意識のずれ
が見られる。
○
これらの現状と課題を踏まえて、大学等との連携の下、教育センター等が取り
組むべき実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方等について、
2つの研究発表を基にして具体的に考察を加えていく。
1
大学と連携した10年経験者研修
の取組について
岐阜県
2
教員の資質向上を目指す教育セ
ンターと教職大学院設置大学と
の連携の在り方についての研究
宮城県
分科会の
発表テー
マ・研究の
キーワード
協議の柱
中堅教員の個々の課題に対応した研修
合同ワーキンググループによる研修の改善
連携に関する意識調査
授業力向上に結び付く研修事業
(1)実践的な指導力の向上を図るために大学等との連携をどのように図っていくのか。
- 13 -
Ⅳ 分科会の報告
1 第1分科会 「校内研修」
(1) 研究発表日程
【司会者】
山形県教育センター
秋田県総合教育センター
山形県教育センター
山形県教育センター
【記録者】
第1日 (10月18日)
時
刻
13:00
発表各 20 分
間
(5分)
内
容
○分科会の趣旨説明(運営責任者)
○助言者・発表者・係紹介(運営責任者)
発表 20 分
13:05
質疑 5 分
(5分)
発表 20 分
13:30
13:35
質疑 5 分
(5分)
発表 20 分
14:00
14:05
質疑 5 分
(10分)
発表 20 分
14:30
14:40
質疑 5 分
(5分)
発表 20 分
15:05
15:10
質疑 5 分
(5分)
発表 20 分
質疑 5 分
(5分)
15:35
15:40
16:05
16:10
16:40
16:45
第2日
時
主任指導主事
主任指導主事
指導主事
指導主事
(30分)
(5分)
発表1
時
質疑各 5 分
指導助言 30 分
等
授業改善リーダー育成のための研修の在り方に関する研究
兵庫県立教育研修所 岡田
学
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表2
授業改善の日常化を図る校内研修
~協働意識を生かした授業研究の取組みを通して~
福島県教育センター
安瀬
一正
授業力向上のための授業研究の在り方についての研究
~ワークショップ型授業研究の検証と新たな授業研究の実践を目指して~
横浜市教育センター 後藤
俊哉
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表3
※休
発表4
憩
付箋紙への記入(発表者へ)・機器等の準備
授業研究の活性化を図るための研修方法の工夫・改善
~研修方法の提案・検証・評価を通して~
秋田県総合教育センター
渡部
克宏
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表5
授業改善を図るための校内授業研究の進め方に関する研究
~「校内授業研究の進め方ガイドブック」の作成と活用をとおして~
岩手県立総合教育センター 鈴木 敏彦
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表6
授業力を高め、単元を構成する力をつける授業研究のあり方
山形県教育センター 三好 美智子
※付箋紙への記入(発表者へ)
【指導助言】国立教育政策研究所初等中等教育研究部長
工藤
文三
○諸連絡(運営責任者)
(10月19日)
時
刻
9:00
9:05
9:05
9:35
9:35
吉田 敏明
森合
茂
阿部 智通
高野 浩男
発表者からの報告 30 分 協議90分
間
(5分)
(30分)
内
容
等
○協議の日程・運営についての説明(運営責任者)
○協議の柱についての説明(司会者)
○各発表者による報告(5 分×6)
【グループ協議―1】
(1)実践的な指導力の向上を図るために組織力を生かした校内研修体制をど
のように確立していくか。
(45分)
10:20
(10分)
10:30
(45分)
11:15
○グループ分け、協議の柱(1)の確認(※1グループ6名程度)
○協議の柱(1)に対する意見等を付箋紙へ記入(5 分)
○意見等の分類・構造化の作業、協議(25 分)
○各グループの協議内容の報告、全体協議(15 分)
※休
憩
【グループ協議―2】
(2)実践的な指導力の向上を図るために授業研究をどのように工夫・改善して
いくか。
※
グループ協議-1と同様に進行する。
- 14 -
(2) 研究発表要旨
研究発表1
授業改善リーダー育成のための研修の在り方に関する研究
兵庫県立教育研修所 主任指導主事兼企画調査課長
岡田
学
Ⅰ 研究のねらい
児童生徒に確かな学力をはぐくむためには、教員の日常的な授業改善へむけた取組が必要であ
る。さらに学校が、組織全体として教育力を高めるために、教員個々の授業改善を図るための校
内の授業研究を充実させていく取組も必要である。そのためには、各学校において授業研究を充
実・活性化させていく、
「授業改善リーダー」としての役割を担う教員の存在が不可欠であると考
え、そのリーダーを育成していくための研修の在り方に関する研究に取り組んだ。
Ⅱ 研究内容
1 授業改善リーダー像の設定
(1) 学校全体で授業改善に取り組もうとする教育への情熱
(2) 組織のリーダーとしての授業実践力
(3) 授業研究を推進するマネジメント能力
2 学校全体として授業改善を進めていく視点の集約
(1) 教員と児童生徒との応答を大切にする視点
(2) 授業研究を進めるマネジメントの視点
(3) 授業改善リーダーの役割とその必要性の理解を推進する視点
3 授業改善リーダーとしてのマネジメント能力を育成する研修プログラムの実施と評価
4 授業改善に資することを目的とした授業評価シートの開発
5 授業評価シートを活用した授業改善リーダー育成のための研修プログラムの開発と実践
当所研修と勤務校での実践とを繰り返しながら、教員が共同的に「授業評価シート」を「作
成→活用→改善」していくという、実践的な研修方法を採ることで、授業改善リーダーとして
の自覚の醸成とマネジメント能力の育成を図った。
6 教員、児童生徒、保護者へのアンケート調査の実施
・ 教員においては、児童生徒や保護者のねがいを適切に把握しながら授業を構想・実施し、
児童生徒の学習内容の理解を促進することに加え、自分の授業を学校教育目標や当該単元・
授業の目標に照らして評価し、次の授業実践に生かしていくことの重要性が示唆された。
・ 学校においては、学校教育目標の実現に向け、学校組織全体で授業改善をめざした授業研
究の取組を推進していくため、これまで以上に相互に授業を公開し合い、授業で起こった事
実に即して成果や改善策を協議する授業検討会を充実させていくことの重要性が示唆され
た。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 授業評価シートを活用した研修プログラムの実施による成果
・ 授業改善リーダーとしての自覚の醸成とマネジメント能力の育成に寄与
・ 各学校の実態に即した授業研究への取組を支援することに寄与
2 授業評価シートを活用した研修プログラムの実施後の課題
今後の研修プログラムにおいては、授業改善リーダーとして、個々の教員の特性を尊重しな
がら、それぞれの授業改善に対する目標の達成に向けて、教員相互のコミュニケーションを活
性化する能力を育成する研修内容を採り入れていくことが必要である。
- 15 -
研究発表2
授業改善の日常化を図る校内研修
~協働意識を生かした授業研究の取組みを通して~
福島県教育センター 主任指導主事 安瀬 一正
Ⅰ 研究のねらい
本研究を進めるにあたって校内研修に関する実態を明らかにするために、県内小・中・高等学
校の抽出校を対象に「研修に関する実態把握調査」を実施した。ここから、「研修時間の確保」
「事後研究会の充実」「日常の授業改善の充実」等が課題であるという実態が明らかになった。
これらの課題を解決するためには、個々の教師の自主研修だけでなく、全教職員が協働して授業
研究に取り組むことにより、校内研修を活性化することが重要と考える。そのため教職員の協働
意識を生かして、意見を交流しながら授業改善の日常化を図る校内研修体制づくりをすすめるこ
とにした。
第1年次の今年度は、研究協力校(小学校1校、中学校1校)において、校種や学校の実態を
考慮しながら、教師の授業改善における自己の課題の明確化とともに、その解決に向けて協働意
識を生かした授業研究の取組みを通して授業改善の日常化を図ることをねらいとして実践研究
に取り組んできた。
Ⅱ 研究内容
1 日常の授業改善に生きる授業分析、研修の方法
(1) 効果的な授業の振り返りによる課題把握
教師が自己の課題に気付くことができるようにするために、協議テーマを焦点化した効率的
な同僚との授業の振り返り(授業リフレクション)の方法を探った。
(2) 参加型研修(ワークショップ型研修)の工夫
一人一人が意見を出し合い授業研究を活性化するために、参加型研修(ワークショップ型研
修)を取り入れた。また各学校の持つ課題に応じたワークシート・方法を工夫した。
(3) 目的別の校内研究体制の工夫
「個人」「グループ」「全体」等の目的別の研究授業を組み合わせ、研究テーマ実現をめざす
校内研究体制を工夫した。
日常的な授業改善サイクル
2 学校の実態に応じた日常の授業改善サイクルの工夫
新たな 課題 A
R 実態の
具体的対策
分析
(1) 短時間で効果的に行う授業研究
評価
協議の話題を焦点化し、短時間で実施する効率的・日常的な授
C 実践の蓄積と
活用
日々の
振り返り
P授業構想
業研究会を工夫した。また、学校の過去の指導案等を吟味し活用
D
日々の授業
することにより継続的・効率的な授業研究となるよう工夫した。
(2) 教職員の協働意識を高める成果の共有の工夫
教師ポートフォリオや情報掲示板を活用し、教師一人一人の授業研究の成果等を共有する体
制づくりを行った。
3 学校の授業改善サイクルの確立をめざす教育センターの支援
(1) 質問紙調査や聞き取り調査により、校内研修の課題を明確にした。
(2) 研究協力校の課題や実態に即した授業研究の方法を提案した。
(3) 研修主任への助言を行ったり、校内現職教育委員会に参加したりすることで、研究協力校と
協働したよりよい校内研修の方法を検討してきた。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成 果
(1) 日常的な授業改善サイクルを促す研修手法及び記録の累積・共有化の方法の提案
(2) 授業改善サイクルの確立に向けた教育センターの支援
2 課 題
(1) 個々の教師の指導力をつけるためにはミドルリーダーの働きが重要であり、実践を通してそ
の役割を明らかにしたい。
(2) 校内研修の成果を次年度に生かす継続的な研修のあり方を実践的に研究したい。
- 16 -
研究発表3
授業力向上のための授業研究の在り方についての研究
~ワークショップ型授業研究の検証と新たな授業研究の実践を目指して~
横浜市教育センター 指導主事 後藤
俊哉
Ⅰ 研究のねらい
平成19年1月、横浜の教育の目指すべき姿を描いた「横浜教育ビジョン」が策定され、重点
政策10として「教師力の向上」が示され、とりわけ「授業力の向上」が危急の課題となってい
る。現在、各学校で授業研究が行われているが、「形ばかりになって本音で語り合えない」、「授
業研究の仕組が確立されていない」等の課題が浮き彫りになっている。横浜市教育センターでは、
これらの課題を解決し、授業研究会活性化に向けて、「ワークショップ型授業研授業研究」を中
心とする、授業研究の方法や内容を具現化し、「授業力向上」を目指している。
Ⅱ 研究内容
1 本年度の研究テーマと研究仮説
(1) 研究テーマ
授業力向上のための授業研究の在り方
~ワークショップ型授業研究の検証と新たな授業研究の実践を目指して~
(2)研究仮説
ワークショップ型の授業研究の検証を通して、よりよい授業研究の在り方を模索し、実
践すれば、それぞれの学校で自校に合った授業研究を行うことができ、授業力向上が図れる
であろう。
2 研究方法
(1)ワークショップの可能性を探り、新たな授業研究の方法を実践し、検証する。
(2)授業力向上を検証するための効果測定の可能性を探る。
(3)各学校の研究主題から見える校内研究の現状と課題を探る。
(4)チーム力向上のための、研究推進者を育成する。
3 研究のサポート集の作成(資料、DVD)
調査研究によって得られた情報をまとめ、校内研修サポート集を作成し、各学校に配付する。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成果
17年度から、教員の授業力向上をめざした授業研究のあり方に
ついて調査研究を行っている。その中で授業力向上には授業研究を
通した教職員の研究研鑽が重要であることや、授業研究の取組には
工夫が必要であることや、工夫によって教員の授業力だけでなく学
校のチーム力が向上することが明らかになってきた。
その成果をまとめた冊子が「授業力向上の鍵2」であり、ワーク
ショップ型授業研究の具体的な方法とその成果(小学校、中学校、
校種を越えたブロック研究会での実践例)を紹介している。一人ひ
とりの教師の「授業力」向上に加え「チーム力」向上の鍵として、
活用できる内容となっている。
http://www.edu.city.yokohama.jp/tr/ky/k-center/index.htm
2 課題
19年度は授業研究の効果的な方法、授業研究による効果の評価について調査研究し、3年
間の研究をまとめて各学校に情報提供をしていく。
- 17 -
研究発表4
授業研究の活性化を図るための研修方法の工夫・改善
~研修方法の提案・検証・評価を通して~
秋田県総合教育センター 指導主事 渡部 克宏
Ⅰ 研究のねらい
校内における授業研究の充実・活性化を図るにはさまざまな方策が考えられるが、本研究にお
いては、具体的な研修方法および協議の進め方などに着目し、その工夫・改善を図ることによっ
て授業研究の充実を図ることをねらいとしている。
研修方法および協議の進め方は数多く提案されているが、その効果の明確な検証や、特徴等の
比較検討は必ずしも十分ではない。そこで本研究では、さまざまな研修方法および協議の進め方
が、本当に効果的であるか、どういう場面で効果があるか等について、実践を通じて検証・評価
する。
Ⅱ 研究内容
1 研修方法および協議の進め方の収集、分類・整理
どのような研修方法があるのか網羅的に収集し、それらについて分類・整理を行う。おおま
かには、従来型の研究協議、ワークショップ型、ビデオ活用型、などを想定している。
2 検証
どういう条件のもとで、どのような効果が期待できるのかを検証する。検証に当たっては、
実際に学校において実践していただく以外に、すでに実施して成果を上げている学校の調査や、
各県センター等での検証例の収集も行い、幅広くデータを収集していきたい。
3 校内研修の成果を評価する方法
成果を検証するために、校内研修の成果を評価する方法について開発を試みる。
4 研究成果のまとめ
研修方法および協議の進め方を網羅して一覧形式で表現するとともに、それぞれの方法につ
いての具体的な進め方を解説したハンドブックの形にまとめる。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成果
(1) 教育連携を進めている秋田県潟上市等の小中高計 13 校 301 人(小学校7校、中学校3校、高
等学校2校、特別支援学校1校)にアンケートを実施し、各校における授業研究の実態と教員
の意識を分析した。その結果、少人数による研究協議や課題別グループによる研究に対する満
足度が高いことや、視点に沿った協議を可能にする方法やシステムへのニーズが高いことが分
かった。
(2) 研修方法および協議の進め方の収集、分類・整理を行い、中間まとめを作成中である。
(3) 具体的な研修方法および協議の進め方の効果検証の視点・基準として、校内における授業研
修の充実の指標(案)を作成した。
2 課題
(1) 授業研究の充実を図る視点として、研修方法および協議の進め方という一点に特化した研究
になっているが、その限界についてどう考えるべきか。
(2) 検証を、このようなやり方で行うことは妥当か。
(3) 具体的な研修方法および協議の進め方の範囲、また分類・整理の在り方について、どう適切
に行うか。
- 18 -
研究発表5
授業改善を図るための校内授業研究の進め方に関する研究
~「校内授業研究の進め方ガイドブック」の作成と活用をとおして~
岩手県立総合教育センター 研修主事
鈴木
敏彦
Ⅰ 研究のねらい
この研究は、
「校内授業研究の進め方ガイドブック」の作成と活用をとおして、教員が授業の評価・
分析を協力しながら行う校内授業研究の進め方について明らかにし、授業改善に役立てようとする
ものである。
Ⅱ 研究の内容
1 授業改善を図るための校内授業研究の進め方についての基本的な考え方
(1) 校内授業研究の視点
学校の実態を考えたとき、
「技術的実践」と「反省的実践」の双方の視点をもった校内授業研
究の進め方を検討していく必要がある。
(2) 校内授業研究において取り上げる内容
視
点
具体的な内容
◆教育に対する姿勢
使命感、熱意、教育観 等
◆授業構想
教材解釈、教材・教具開発、授業計画、評価計画、環境構成 等
◆学習集団マネジメント 児童・生徒理解、統率力、人間関係構築力、学習意欲の喚起 等
◆指導法
授業実施に関する技術(発問、板書、発言への対応等) 等
(3) 校内授業研究の方法
研究推進及び研究のまとめの際に、校内研究と教師個人という、全体と個の二つの側面から
行う必要がある。
2 「校内授業研究の進め方ガイドブック」について
基本的な考え方及び参考文献等をもとに、以下の四つの章から構成するガイドブック(試案)
を作成した。
<ガイドブックの章構成>
Ⅰ 校内授業研究の推進計画の立案
Ⅱ 授業構想の仕方
Ⅲ 校内授業研究会の進め方
Ⅳ 校内授業研究のまとめ方
3 研究協力校による実践
県内の小・中学校、高等学校から研究協力校を公募し、ガイド
ブック(試案)に基づいた実践を行っている。ここでの実践から
研究内容を検討したり、実践例を付加したりしてガイドブックを
完成させる予定である。
Ⅲ 研究のまとめ
1 成 果
授業改善を図るための校内授業研究の進め方についての基本的な考え方をおさえ、
「校内授業研
究の進め方ガイドブック(試案)」を作成することができた。
2 課 題
暗黙知を獲得・共有するための方策、及び教師が主体的に授業改善、力量向上に向かう要件に
ついて検討を加え、ガイドブックに盛り込むこと。
- 19 -
研究発表6
「授業力を高め、単元を構成する力をつける授業研究のあり方」
山形県教育センター 指導主事 三好 美智子
Ⅰ 研究のねらい
従来行われてきた 1 コマの授業を単位とする授業研究は、それ自体校内研、公開研の主流を成
すものであり、重要な教員研修の一つとして授業力の向上に役立ってきた。しかし、児童・生徒
に新しい概念を理解させる、体系的な学力を身につけさせるという視点に立てば、「本時の指導」
だけでなく、「単元指導計画」を重視することが望ましいと考える。
単元を授業研究の一つの単位とすることで、授業を指導する技術に加え、単元の学習内容をど
う構成するか、連続する授業と授業をどう関連付けるか、授業外学習活動をどうするか等、新た
な指導のポイントが浮かんでくると期待する。
Ⅱ 研究内容(共同研究 3 年間の 1 年目)
1 山形県における授業研究の実態把握(県教育センター受講者に対するアンケート)
(1) 各学校の校内研究実施状況(アンケート集計分析)
授業研究の頻度や実施者、参観者などの問いに加え、事後研究会の方法、指導案作成や授
業研究の力点などの質問に回答してもらった。特に指導案を作成するにあたり、また授業研
究にあたり、単元指導計画にどのくらい力点をおいているか探ってみた。
(2) 教員が意識している課題(アンケート記述内容から)
授業研究に対する課題と問題点について、学校に対して、同僚に対して、そして自分自身
に対して、どう思っているかを記述方式で答えてもらった。
2 山形県教育センターの先行研究の実践例から
当センターの「学習意欲を高める授業改善の研究」
(1992)では、授業と授業外活動を一つの
サイクルとして授業構成の改善を図る方法についての研究を進めた。本研究は、その研究実践
を受けて行われるものと位置づけたい。
3 単元を一つの単位とする授業研究の工夫
(1) 内容面からの工夫
① 単元構成の骨格となる流れに焦点をあてた授業研究
② 単元の中のやりにくい時間をあえてとりあげる授業研究
(2) 方法面からの工夫
① 時間短縮の工夫:授業ビデオによる事後研究、模擬授業、15分間授業参観、他
② 単元構成の工夫:授業カンファレンス法、ワークショップ型授業研究、他
③ 単元指導案の工夫:授業外学習活動を入れた連続する授業の指導案
④ 校内研究体制の工夫:研究主任(教科主任)の役割、校外との連携
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成 果
(1) 教育センター受講者のアンケートから、県内学校の校内研究の実態が把握できた。校内研
究が盛んに行われている学校が多い一方、校種による取り組みの格差、依然高い教科の壁、
従来から変わらない事後研究の方法、単元指導計画にあまり力を入れていない実態が浮か
び上がった。また教員個人として授業力を向上させたい意識が大きいにも係らず、学校全
体が動かないもどかしさを感じている様子も分かった。
(2) 来年度に向けて、研究協力校に実践研究を依頼する場合の、単元を一つの単位とする授業
研究の工夫や手法のモデルを作成できた。
2 課 題
(1) 単元を授業研究の単位として授業研究を進めた場合、単元を構成する力、授業を展開する
力、さらには授業力がどう向上したかを、どのような方法で検証すべきか。またその一つ
の方法として児童生徒による授業評価をどう実施すべきか。
(2) アンケートで明らかになった校種ごとの授業研究の取り組みの差、教科の壁、古い形態の
事後研究の方法などの学校の文化とも言える諸課題をどう克服して、授業研究に対する意
識をどう高めていくか。
- 20 -
(3) 発表者報告
研究発表1
授業改善リーダー育成のための研修の在り方に関する研究
兵庫県立教育研修所 主任指導主事兼企画調査課長 岡田 学
1 参加者からの感想・意見
(1)「授業改善リーダー」について
○ 授業改善のための専門のリーダーを位置付け、組織的に取り組んでいるのが斬新である。
○ 授業改善リーダーの校内組織上の位置付けについて、他の主任等とのかかわりも含めて明確
にしていく必要がある。
(2)「授業評価シート」について
○ 授業評価シートの各項目が具体的で、授業改善の視点が明確に各教員に伝わるようになって
いる。
○ 実践を通して、授業評価シートの活用による授業改善の効果が明らかにされるように期待し
たい。
2 主な質問への回答
質問1
授業改善リーダーは校内のどのような立場の方を対象としているのか。
回答
研究主任だけではなく、学校の実情に合わせ、それ以外の方でも学校の中で中心的な
役割を担っている方を対象としている。希望制で研修を受けてもらっている。
質問2
研修者の受講決定の方法を教えてほしい。
回答
基本的には希望型の研修である。高校に対しては校長あてに研修の中心にある方の参
加を依頼したこともある。小・中学校では募集のしおりに対象を明示し、中堅教員の参
加を募った。
質問3
授業評価シートの活用の在り方について伺いたい。
回答
評価シートには定型があるが、学校の事情に合わせて作りかえてもらっている。評価
シートを作ることによって、授業の観点や視点を具体化し、授業に臨んでほしいと考え
ている。参観の際には、評価シートの観点を絞って考察するなど、使い方も工夫する余
地がある。
質問4
個々の教員の意識の向上と校内全体の活性化をどのように図っているのか。
回答
授業改善の必要性を感じていても、意欲や実際の行動につながらないという現状があ
る。その改善策のモデルとして授業評価シートを位置付けている。また、働きかける役
が必要であり、その役を「授業改善リーダー」と位置付けた。
研究発表2
授業改善の日常化を図る校内研修
~協働意識を生かした授業研究の取組みを通して~
福島県教育センター 主任指導主事 安瀬 一正
1 参加者からの意見・感想
(1)「自己課題」と「協働」について
○ 各教員が、授業力向上に係る自己課題を明確にし、日常的に意識できるようにしているのが
よい。
○ 自己課題を明確にさせ共有化できるようにすることで、同僚性、さらには協働意識の高揚に
つながっている。
○ 授業力向上に係る検証の視点や方法を具体化すべきである。
(2)「現職教育掲示板」について
○ 学校現場ですぐにでも活用できるアイディアである。
- 21 -
2
主な質問への回答
質問1
自己課題のポイントとなる視点とはどのようなものか。
回答
授業者のスキルや経験などに応じたものを自己課題の視点と考えている。
質問2
具体的にはどのように研修の支援を行うのか。
回答
教師が有用感を感じて研修を進めることができるように、授業研究を核として校内研
修の取組みを支援している。授業研究の方法としては、評価型ではなく参加型の協働意
識を生かした研修となるように共通理解を図る場を持った。授業者を励ますことで意欲
を高めるていくことが鍵となる。授業研究を進めていく場合には、全体研修などで学校
としての研修の目指す方向性を明確に示した後に、個々の研修をスタートさせていくこ
とが必要である。
また、多くの学校において研修時間の確保が課題となっている現状を踏まえて、研究
協議の視点を焦点化することで、50分間で事後研究会のワークショップを終えること
ができるように工夫してもらっている。
研究発表3
授業力向上のための授業研究の在り方についての研究
~ワークショップ型授業研究の検証と新たな授業研究の実践を目指して~
横浜市教育センター 指導主事 後藤 俊哉
1 参加者からの意見・感想
(1)「ワークショップ型授業研究」等の授業研究の在り方について
○ ワークショップ型授業研究については、参加者が授業改善の課題を共有化するのに効果的で
あることが、実践を通し具体的に示されている。
○ リーフレットを効果的に活用し、多様な授業研究の在り方を発信し、学校現場ですぐに活用
できるようにしている。
(2)年次研修等とのかかわりについて
○ 近隣校のブロックによる研修を実施したり、初任研、5年研、10年研における相互交流を
行ったりと、ユニークな発想による研究実践が具体化されている。
○ 研究推進者育成のために、年次研修を効果的に活用している。
2 主な質問への回答
質問1
研修後のアンケートについて伺いたい。
回答
ワークショップ型研修では、参加している実感が得られるなどの肯定的意見が多い。
質問2
ワークシートの活用について伺いたい。
回答
個々の先生の改善策が顕著に表れており、授業内容の深まりが反映されたものとなっ
ている。高校においては生徒による授業評価の項目を取り入れて興味を持たせる授業実
践を目指した取組みや、中学校においては授業研究の実践報告を地域・保護者へ学校だ
より、HP等で発信している取組みもみられる。
質問3
連携協働推進者育成講座はどのようなねらいのもとで実施しているのか。
回答
ファシリテーターの育成とワークショップ型授業研究の企画推進をねらいとする。年
5回連続参加してもらう。
質問4
年次研修をどのように行っているのか。
回答
初任研と経験研を融合させた研修を行っている。また、近隣ブロックで開催し、校種
を越えた10人未満の人数で研修している。
質問5
授業力の向上をどのように検証しているのか。
回答
1年間継続して一つの学校にかかわっている。授業研究において参観者が書いた付箋
の内容や協議内容の変化を分析し、研究仮説を検証している。
- 22 -
研究発表4
授業研究の活性化を図るための研修方法の工夫・改善
~研修方法の提案・検証・評価を通して~
秋田県総合教育センター 指導主事 渡部 克宏
1 参加者からの意見・感想
(1)アンケート・データ分析について
○ 客観的分析だけではなく、研究の推進のための目的を持った分析が欲しい。
○ 学校の文化の違いが大きいという指摘は納得できた。
○ 大都市との比較は興味深い。アンケートを他県と比較する方法は有効であると分かった。
(2)研究の方向性に関すること
○ 学力向上とのかかわりはどうなっているのか。
○ なぜうまくいっているのかについても情報を収集するという研究の進め方は期待できる。断
片的ではない情報があればありがたい。
○ 研修方法に特化した研究は珍しい。
(3)研究に対する要望
○ 外部への依存と教師の自律性のバランスをどうとったらいいか考えてほしい。
○ 指導主事や外部講師への期待が多い背景には、悩みなどがあるかもしれない。
○ 授業研究といえば小・中学校であるが、高校へのアプローチが必要ではないか。
2 主な質問への回答
質問1
アンケートのデータ分析について伺いたい。
回答
アンケート調査のデータ分析はよいが、課題になっている点の原因究明や考察がなさ
れていない。もっと早い時期に調査を行い、目的や方向性を持った分析が必要であった。
質問2
研究の方向性を定めるに当たってどのような点に配慮したか。
回答
研修の手法が目的化しないように、何を研修するのか内容面を大切にする必要があ
る。ただ、手法という方法論に絞ることでより具体的なことが分かってくる。
質問3
本研究と“学力向上”とはどのような関連があるのか。
回答
授業力や指導力の向上とは明示されているが、“学力向上”との関連が薄いという点
は、共同研究全体の課題でもある。
質問4
外部講師の招聘に当たって配慮すべきことは何か。
回答
外部講師をお願いすることで、校内教職員の意識が他力本願になりはしないかという
心配がある。また、高等学校へのかかわり方を真剣に考えていかなければならない。
質問5
アンケート調査を大都市と比較したことによって、何が見えてきたのか。
回答
大都市の横浜市との比較により、地域によって大きな違いがあることが分かった。
研究発表5
授業改善を図るための校内授業研究の進め方に関する研究
~「校内授業研究の進め方ガイドブック」の作成と活用をとおして~
岩手県立総合教育センター 研修主事 鈴木 敏彦
1 参加者からの意見・感想
(1)「校内授業研究の進め方ガイドブック」について
○ 「ワークショップ型研究会」や「授業力アップ・ポートフォリオ」等、実施モデルができて
おり、学校現場が即、使える形になっている。
○ 授業改善を「校内の課題」と「個人の課題」から行うことは実際的である。
○ 高等学校での活用が図られるような工夫、「授業力アップ・ポートフォリオ」の取組みの詳
細が盛り込まれることを期待する。
- 23 -
(2)研究内容の普及について
○ ガイドブックの提供とともに、直接学校支援に当たっていることが、研究内容の普及につな
がっている。
○ 「技術的実践」と「反省的実践」の視点から研究推進していく必要性を、学校現場に分かり
やすくおろしていく必要がある。
○ 授業力量向上・授業改善が図られたのかという検証方法について吟味すべきである。
2 主な質問への回答
質問1
ポートフォリオ評価におけるシェアリングの場の設定について伺いたい。
回答
学校全体で行うシェアリングについては、学期に一回設定したい。学年や教科部会等
の小グループについては月に一回程度行うなど、特に小グループで定期的に行うシェア
リングを大切にしていきたい。
質問2
ガイドブック活用に当たっての留意点は何か。
回答
学校におけるガイドブック活用の留意点として、3点について確認したい。
① 授業研究においては「技術的実践」と「反省的実践」の二つの視点を持つこと
② 学校全体としての取組みと個人の研究を同時に進めること
③ ワークショップ型の研修をさらに推進すること
質問3
学校への支援の仕方、普及の仕方について伺いたい。
回答
支援・普及の在り方として、学校と研修主事の日程を調整しながらできるだけ多く学
校へ出向くようにしている。先生個人や学校全体としての成長の様子が伺えて大変充実
している。支援の方法として、指導主事が学校に出向いて行う要請研修と教職員が教育
センターに来て行う随時研修の二つがある。研究内容を教育事務所や市町村教育委員会
にも知らせて普及を図っていきたい。
質問4
研究の検証についてはどのように考えているのか。
回答
研究の検証については、先生方の意識調査を行う。
質問5
授業力アップポートフォリオ評価の具体的な中身について伺いたい。
回答
授業力アップポートフォリオ評価については、実践例等を載せたガイドブックを
Web で発信していく。
質問6
これからの実施に向けてどのような考え方に立っているのか。
回答
本当にできるのかという疑問に対しては、「ワークショップ型の研修をやれば変わ
る!」ということを協力校の実践を公開することで伝えていく。
研究発表6
授業力を高め、単元を構成する力をつける授業研究のあり方
山形県教育センター 指導主事 三好美智子
1 参加者からの感想・意見
(1)単元の骨格となる部分を明確にして単元構成に力を入れていく点が大変参考になった。
(2)「見栄え」重視の授業研究から、やりにくい部分に焦点をあてた「実」重視の研究という視点
がいいと思う。
(3)多忙化の解消、研究協力校の選定と実践の具体化、教科の壁の克服、高校の授業研究の活性化
などの課題をどう克服するか、今後に期待する。
2 主な質問への回答
質問1
今後具体的に学校で実践していく場合、単元計画の作成の重要性について先生方にど
う説明していくのか。
回答
協力校がまだ決まっていないので何とも言えないが、指導主事が学校に出向き、研究
趣旨等を丁寧に説明し納得してもらうようにしたい。単元計画作成時には指導主事も参
加し、じっくりと話し合いながら学校に応じた方法を見いだしていきたい。
- 24 -
質問2
回答
単元を重視していくということについて具体的に説明してほしい。
単元重視の指導について説明できるようにさらに研究を進める。単元を重視すること
で教師の力量である授業力が高まり、結果として児童生徒に力が付いていくことを明ら
かにしていきたい。また、協力校との研究体制の在り方として、先生方に多忙感を持た
せることなく、学校と教育センターが同じ目線で取り組んでいけるように配慮していき
たい。
質問3
単元指導計画の作成と学習指導案の作成のバランスをどのように図っていくか。
回答
単元全体を見通して児童生徒に付けたい力をしっかりと考えることで、効果が出てく
るということを強調していきたい。
質問4
やりにくい場面を授業研究会で公開する際の留意点は何か。
回答
やりにくい場面をどこに設定していくかということを、学年や教科部等のチームで考
えていく。
質問5
高等学校の取組みについて伺いたい。
回答
高等学校における校内研究の充実を図るために、各校に参考になるような充実した内
容の情報を教育センターから発信・提供していきたい。
(4) 研究協議内容
協議の柱1
実践的な指導力の向上を図るために組織力を生かした校内研修体制をどのように確
立していくか。
① 研究集団を作ること
○ 学年や教科ごとに小グループを形成し、グループ間で情報を共有するなどの連携を工夫する
とともに、参加型の話しやすい研究支援グループ体制を確立させる。それらの過程を通して同
僚性を高め合う関係を築き、その中で個人の課題解決を図っていく。
② 管理職のリーダーシップの必要性
○ 学校としての取組を管理職が明示することで、教員間の共通理解を図ることが大切となってく
る。校長の責任で研究発表会を企画し、校内研究集録を教育センターなどに提出することも一つ
の方法として考えられる。
○ 管理職は教員を積極的にプラス評価すべきである。教員が達成感や高揚感を得られるような評
価は、学校の雰囲気を高めることにつながる。その際、フォーマル、インフォーマルの両面にわ
たっての話し合いも大事になってくる。
③ 推進役の育成
○ 組織づくりには推進役となるミドルリーダー(ファシリテーター)の存在が不可欠である。研
究主任や教務主任、研究体制が十分に確立していない高等学校においては教科主任などがその立
場に当たる。ただし、ミドルリーダーに頼った体制にしないためには、教員個々の能力アップを
図ることがその前提となると考える。
○ 行政側のサポートとしては、主に教育センターが中心となって、研究の中核となるリーダーを
育成する講座を設けて支援していくことになる。そのためには指導主事の校内研修に対する知見
が求められており、教育委員会全体としての支援体制の確立も必要となる。
④ 研修方法の工夫
○ ワークショップ型研修などのように、校内研修が活性化するための手法の研究が必要となる。
- 25 -
○
研修のねらいや課題を明確にし、いかに課題を次に生かすかが重要となってくるので、次の研
修計画を早めに立てて実行するというPDCAのCAを重視した取組みを進めていきたい。
○ 取り組んだ内容に対して、外部からも評価されるような体制づくりが有効となる。学校間・異
校種間・地域間の連携を強化することは、校内研修の成果を向上させることに結び付く。
協議の柱2
実践的な指導力向上を図るために授業研究をどのように工夫・改善していくか。
① 学び合う教員集団づくり
○ 授業研究を年間計画に位置付けることにより、中期的・長期的な計画を見通して、すぐにでき
るところから取り組んでいこうという研修に対する雰囲気を盛り上げていくことが必要となる。
学び合う集団作りがすべてのベースとなる。
○ 教員の年代別や課題別などの研究グループづくりを工夫して、教員相互が日常的なかかわりを
保てるようにするとともに、それらの過程で若手の教師を育てる OJT の位置付けも重要となる。
② 授業研究の目的の再確認
○ 授業者に寄り添う授業研究にして、教員の指導力向上を図っていく。そのためには、模擬授業
などの事前研修を行うことで目的を焦点化して授業を参観したり、校内テーマと連動させた個人
テーマを設定して個人の課題を明らかにしたりして取り組んでいく必要がある。ゴールを明らか
にすることで授業研究の過程が充実し、次回への着実なステップともなる。
③ 公開授業・授業研究の実施回数、内容の深化、手法の工夫
○ 実施回数を多くしていくとともに、授業研究の内容を深めていくことが必要となる。ワークシ
ョップ型や事後研修会におけるVTRの活用などはまだ一部の学校にとどまっており、授業研究
の内容の深化を図るためには、今後、広めていくべき手法の一つと考える。
○ 事後研究会の協議内容を次のステップにつなげていくためには、その都度明確な結論を出すこ
とや教師と子どものかかわりのズレに着目して討議すること、教師の視点だけでなく子どもや保
護者の視点からも協議を進めていくこと等が必要となる。
○ 授業研究を進める際には、授業者を否定する評価型の研修とするのではなく、授業者のプラス
面を引き出す参加型の研修となるよう留意していきたい。同一の授業についてテーマ別に分科会
を持ったり、近隣校と連携して同じ授業を別々の学校で共有したりする方法も試みたい。
④ 授業評価の活用
○ 授業研究会で出された結論やそこでの評価は、次に生かすことこそが重要となる。そのために
も、授業評価に当たっては教員からの評価だけではなく、児童生徒や保護者からの評価も取り入
れていくことを考えていきたい。その際、児童生徒による評価については、クラスの実態把握と
ともに授業改善につながるので活用を図りたい。また、ポートフォリオを作成し、授業をロング
スパンで振り返ることも有効である。
⑤ 外部からの支援
○ 教育センターなど外部からの支援は校内研究を活性化させる要因となる。同じ指導主事が年間
を通して同じ学校に出向くことで学校の変容がより見えてくるとの事例も報告されており、事前
研修や模擬授業に参加する指導主事のかかわり方を工夫していきたい。
○ 「授業研究の手引き」を教育センター等において作成・配付し、その手引きに沿った授業研究
推進のために積極的な支援を進めていくことで各学校の授業研究の活性化を促していきたい。こ
のような外部からの支援が学校の授業力を育てることにつながっていく。
- 26 -
2 第2分科会 「研修への支援」
(1) 研究発表日程
【司会者】
青森県総合学校教育センター
岩手県立総合教育センター
【記録者】
岩手県県総合教育センター
岩手県立総合教育センター
指導主事
研修主事
研修主事
研修主事
第1日 (10月18日)
時
刻
13:00
時
発表各 20 分
間
(5分)
13:05
発表 20 分
13:35
質疑 10 分
(5分)
発表 20 分
13:40
質疑 10 分
(5分)
発表 20 分
14:15
質疑 10 分
(15分)
発表 20 分
15:00
※休
質疑 10 分
(5分)
発表 20 分
15:35
質疑 10 分
(5分)
16:10
16:40
16:45
第2日
(30分)
(5分)
実践的な指導力向上に結びつく校内研修(生徒指導)への支援の在り方
~学習障害調査票簡便版活用のための校内研修への支援~
青森県総合学校教育センター 笹 日出美
憩
付箋紙への記入(発表者へ)・機器等の準備
「授業力」の向上を図る研修システムの在り方
仙台市教育センター
時
佐々木
成行
二瓶
重和
予防・開発的教育相談の推進に関する研究
~体験学習型の教員研修モデルを通して~
福島県教育センター
※付箋紙への記入(発表者へ)
【指導助言】
国立教育政策研究所研究企画開発部長
頼本
維樹
○諸連絡
(10月19日)
時
刻
9:00
9:05
9:05
9:30
9:30
亥壱
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表5
16:05
小・中学校におけるキャリア教育の推進に関する研究
~キャリア教育モデルカリキュラムの作成をとおして~
岩手県立総合教育センター 佐藤
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表4
15:30
指導助言 30 分
※機器等の準備・付箋紙への記入
発表3
14:45
質疑各 10 分
内
容
等
○分科会の趣旨説明(運営責任者)
○助言者・発表者・係紹介(運営責任者)
教員の資質能力向上に関する調査研究
発表1
~教員に求められる資質能力の明確化とその伸長策具体化の視点~
群馬県総合教育センター 上原 広行
発表2
14:10
村上 昌隆
三田 正巳
佐藤
信
桑原 良幸
発表者からの報告 25 分 協議90分
間
(5分)
(25分)
内
容
等
○協議の日程・運営についての説明(運営責任者)
○協議の柱についての説明(司会者)
○各発表者による報告(5分×5)
【グループ協議―1】
(1) 従来型の研修体系・研修内容の何が課題となっているのか。
(45分)
10:15
(15分)
10:30
○グループ分け、協議の柱(1)の確認(※1グループ6名程度)
○協議の柱(1)に対する意見等を付箋紙へ記入(5 分)
○意見等の分類・構造化の作業、協議(25 分)
○各グループの協議内容の報告、全体協議(15 分)
※休 憩
【グループ協議―2】
(2) 教育センター等が行うことのできる研修支援の在り方はどうあるべきか。
(45分)
11:15
※
グループ協議-1と同様に進行する。
- 27 -
(2) 研究発表要旨
研究発表1
「教員の資質能力向上に関する調査研究」
~教員に求められる資質能力の明確化とその伸長策具体化の視点~
群馬県総合教育センター 指導主事 上原 広行
Ⅰ 研究のねらい
「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」(平成 17 年 10 月 26 日、中央教育審議会)の
視点から、現在求められている教員の資質能力と、学校や研修機関における資質能力の伸長策
具体化の視点を明らかにする。
Ⅱ 研究内容
1 群馬の教員に求められる資質能力の考察
本県の教職員研修を体系化した「ぐんま教職員ステージアップシステム」で掲げる教員の
資能質力や、上記の中央教育審議会答申や各都道府県教育委員会が求める教師像などを比較
し、現在求められている教員の資質能力を15に整理した。
2 職務と資質能力の関係
(1) 教員を対象とした、学校現場における資質能力向上に係る意識調査
学校におけるそれぞれの職務の充実のために必要な資質能力や、自己の資質能力向上の
ための手だてなどについて、教員自身がどのように意識しているのかを、本センター長期
研修員・特別研修員などを中心にして、意識調査を行った。
(2) 学校における職務を通した資質能力の向上に係る考察
「教師は現場で成長する」と言われるとおり、日々の職務遂行を通しても教員の資質能
力の向上は図られている。教員の一日の職務を通し、具体的な教育活動の中で、どのよう
な資質能力の伸長が可能なのかを考察した。
3 本センターと市町村教育研究所における研修実施状況調査
本センターと市町村教育研究所で実施された研修講座等について、どのような資質能力の
向上を目指して、どのように実施されたかを調査し、それぞれの資質能力別の研修時間等を
比較検討した。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成 果
(1) 学校における職務を通した資質能力の向上について
学校における各職務の遂行によって向上する資質能力が明らかになるとともに、同様の
職務でも、個々の教員の置かれた状況によって必要と感じる資質能力が異なることが明ら
かになった。また、職務遂行における資質能力の向上に関しては、周囲の教員のかかわり
方が大切であるという調査結果をうけ、資料集「教員の資質能力の向上」を作成した。
(2) 研修機関における研修を通した資質能力の向上について
本センターと市町村教育研究所の両者共、学習指導力、生徒指導力等の研修時間が多く、
教員の専門的力量にかかわるものを重視している。また、対人関係能力、コミュニケーシ
ョン能力などは、協議や演習など研修形態の工夫によって向上を図ってはいるが、直接そ
の資質能力の向上をねらった研修講座自体は少ないことを確認できた。
2 課 題
○ 学校現場での教員の資質能力の向上に関しては、周囲の教職員のかかわり方がポイント
であることに視点を当てて、学校現場における、より効果的なOJTの進め方についての
研究を深める必要がある。
○ 各研修機関の研修講座では、職務に視点を当てた内容だけでなく、教員の資質能力に視
点を当てて研修内容を見直す必要がある。その際、教員に求められる各資質能力全体のバ
ランスを検討する視点をもつことも必要である。
○ 各研修機関が互いに同様の研修講座を実施することがないように、共通で取り上げる資
質能力と各研修機関が特性を生かして取り上げる資質能力を明確にするなど、研修機関相
互の連携について考察する視点も必要である。
- 28 -
研究発表2
小・中学校におけるキャリア教育の推進に関する研究
~キャリア教育モデルカリキュラムの作成をとして~
岩手県立総合教育センター
研修主事
佐藤
亥壱
Ⅰ 研究のねらい
○ 各校のキャリア教育指導計画作成を支援する資料として、キャリア教育の実践上のポイ
ントや指導の方向性、具体的な実践事例や指導計画等を示したキャリア教育モデルカリキ
ュラムを提示する。
○ センター研修と校内研修との一連のサイクルを構築して、研修の成果が各地区や各学校
へ普及されるように、キャリア教育におけるスクールリーダー養成に向けた研修プログラ
ムを開発する。
Ⅱ 研究内容
キャリア教育の推進にかかる教員への支援体制の構築を目指し、その実現のために必要な研
修内容と研修体系の在り方を探る。
1 キャリア教育モデルカリキュラムの作成と活用
(1) 小学校キャリア教育モデルカリキュラムの改善・拡充を図るとともに、中学校キャリア
教育モデルカリキュラムを作成する。
(2) キャリア教育モデルカリキュラムの活用の仕方について、キャリア教育の推進にかかる
研修プログラムの立案を通して明らかにする。
2 キャリア教育の推進にかかる研修プログラムの開発
(1) これまでの研修体系と研修形態による教員研修への支援について、成果と課題を明らか
にする。
(2) これからの教員研修への支援の在り方について、研修モデルを提示し、改善の方向性を
示す。
(3) 教員研修への支援の重要性を理解したり改善したりするため、研修の効果測定の方法に
ついて検討する。
キャリア教育の推進にかかる研修プログラム(案)
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成 果
キャリア教育の推進にかかる教員への支援としモデルカリキュラムを作成し、その活用を
含めた研修プログラムを立案した。このことにより、研修者によって理解された内容を学校
組織や児童生徒に還元する方向性を示すことができた。
2 課 題
研修プログラムの有効性についてさらに検討を加え、次年度の実践に向けた研修モデル、
及び研修の効果測定について具体を示す必要がある。
- 29 -
研究発表3
実践的な指導力向上に結びつく校内研修(生徒指導)への支援の在り方
~学習障害調査票簡便版活用のための校内研修への支援~
青森県総合学校教育センター 指導主事
笹
日出美
Ⅰ 研究のねらい
通常の学級に在籍している学習障害(以下LD)の特徴を有する児童への指導や支援は、学
校教育における喫緊の課題である。学校教育法の一部改正等を受けて、4月からLD児に対し
ての適正な支援をさらに充実していくことになったが、学校現場では、LDという言葉はかな
り認知されてきたものの、具体的にどのようにとらえ支援していけばよいのか模索している状
態である。
従って、LDが疑われる児童に対して、その学習困難の状態及び認知能力の偏りや学習スタ
イルの特性を、短時間で簡単にチェックでき、さらに、指導や支援を行うためのヒントを得ら
れるものがあれば、多忙な学校現場におけるLD教育の拠りどころとなると思われる。
本研究は、LDが疑われる児童に対して、現場の教員が役立てられる調査票を作成すること
を目指すとともに、今後、調査票活用のための校内研修等への支援についても、取り組んでい
くものである。(今年度は3年研究の1年目として、簡便版の検証について発表する)
Ⅱ 研究内容
1 学習障害調査票簡便版の作成
先行研究「学習障害の判断に必要となる心理教育的アセスメントに関する研究」
(篁、2004)
の学習障害調査票をもとに、統計的手法を用い、LDの児童の抽出感度の因子構造を明らか
にしながら、6領域各8質問に絞り込み、学級担任がチェックしやすい学習障害調査票簡便
版(以下簡便版)を作成した。(昨年度、発表済)
2 学習障害調査票簡便版の検証
簡便版がLDのアセスメント及び教育診断のために有効であることを検証するために、個
人内における簡便版の結果と、個別式知能検査(WISC-Ⅲ)の結果を比較検討する。
(1) 追跡調査票の送付と回収
簡便版作成協力小学校の中から、LDと判断または診断された児童やLDの疑いがある
児童で、個別式知能検査(WISC-Ⅲ)の結果がある児童が在籍する30校に対して、
18年10月に追跡調査票を送付し、12月末日までに郵送で回収した。
(2) 結果の比較と分析
30校中、15校32人分の追跡調査票を回収した。このうち、明らかなデータ不備の
3人分と、全般的な知的発達の遅れが見られる3人分(WISC-Ⅲ全検査IQ69以下)
については除外し、14校26人分のデータで分析を試みた。
・簡便版の結果とLDの判断または診断
・簡便版の結果と個別式知能検査(WISC-Ⅲ)の結果
・簡便版6領域の結果と個別式知能検査(WISC-Ⅲ)の群指数との相関
3 簡便版活用のための校内研修への支援(次年度以降の研究)
Ⅲ 研究の成果と課題
検証のためのデータ数が少なかったため、十分な分析結果が得られたとは言えない。しかし、
簡便版の結果とLDの判断または診断、及び、簡便版の結果とWISC-Ⅲの結果から、簡便
版はおおむね妥当性があると考えてもよいと判断した。また、簡便版6領域の結果とWISC
-Ⅲの群指数との相関では、5領域で先行研究(上野他、2005)の指摘と一部共通する相関傾
向が得られた。
次年度以降は、LD児の認知能力の偏りや学習スタイルの特性に応じた手だてに関する先行
研究を収集し、LD児への支援対応を、簡便版の6領域「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算
する」「推論する」に区分し整理する。さらに、それを現場の教員が効果的に活用するための、
校内研修等への支援のあり方を明らかにする。
- 30 -
研究発表4
「授業力」の向上を図る研修システムの在り方
仙台市教育センター 指導主事 佐々木 成行
Ⅰ 研究のねらい
今日、確かな学力の向上に向けて、理論と実践を兼ね備えた教員の育成が求められている。本市
においても確かな学びを支えるための「授業力」の向上が重要施策となっている。
そこで、本研究では、この「授業力」の向上を目指し、「センター研修・訪問研修・研究」とい
う本センターの三つの基本事業を有機的に関連付けた研修システムの構築を通して、成果と課題を
明らかにすることをねらいとしている。
Ⅱ 研究内容
「授業力」
1 授業力のとらえ(図1)
◇教養
◇心
「指導技術力」
本研究では、研修における「授業
◇授業展開,児童生徒の統率
力」の視点を明確にするために、
「児童生徒把握力」
構成要素を「児童生徒把握力」、「授
◇児童生徒の見取り,評価等
業構想力」、「指導技術力」、「授業
「授業評価力」
「授業構想力」
評価力」の四つに分類した。また、
◇授業の振り返り,自己分析,
◇カリキュラム構想,指導と評
カリキュラム改善,授業改善
価,教材分析・解釈・開発
教員の基盤として、「教養」と「心」
を押さえた。
図1 授業力のとらえ
2 研修システムの構築(図2、図3)
(1) 「センター研修・訪問研修・研究」の内部及び外部における有機的な関連付けを図る。
(2) PDCA サイクルを通して、成果と課題を明らかにし、更なる改善を具体化する。
「授業力」の向上
◇指導技術力
◇授業評価力
究
【
調査研究委員会】
◇校内研究の活性化
・授業検討会の工夫
【
情 報 教 育 研 究 推 進 委 員 会】
◇
活用指導力の向上
・
を活 用 した授 業 づくり
研
【要請訪問】
◇学校単位による要請
・指導案検討会
・授業検討会(五形式)
【個別支援訪問】
◇個人・学年・教科による要請
訪問研修
【
理 科 学 習 支 援 訪 問】
◇ 理 科 の授 業 づくりのための要
請
・実験研修 ・示範授業
【
情 報 教育訪 問】
◇
を活用した授業づくりの
ための要請
T
C
I
【
長期研修】※実践的指導力
・授業力の自己分析
・実践授業の蓄積・公開
【専門研修Ⅰ】
・教科・
領域等に関する研修
【専門研修Ⅱ】※今日的ニーズ
・授業リフレクション
・ を活用した授業づくり
センター研修
◇授業構想力
T
TC
CI
I
◇児童生徒把握力
T
C
I
有機的な関連
図2 研修システムの構造
Ⅲ
PLAN
授業力の視点
研修形態
ACTION
研修システム
「授業力」の向上
成果と課題の集約
改善策・提案
評価項目設定
研修・研究
研
CHECK
センター研修評価
究
研修会運営
訪問研修
DO
センター研修
研究の成果と課題
「64 ㎡からの教育改革」をスロー
ガンに掲げ、学校現場に根ざした「授
業力」の向上に応えられる研修シス
テムの構築に取り組むことができた。
例えば、長期研修員の授業公開と
教科研修とのリンケージ、授業づく
りと授業検討会に関する研究との関
連等を挙げることができる。
さらに、今後は「授業力」向上の
検証に取り組み、成果と課題につい
てまとめていきたい。
訪問研修評価
授業づくり支援
調査研究評価
授業検討
モニター会議
図3 研修システムの PDCA サイクル
- 31 -
研究発表5
予防・開発的教育相談の推進に関する研究
~体験学習型の教員研修モデルを通して~
福島県教育センター 主任指導主事 二瓶 重和
Ⅰ 研究のねらい
本研究は、教員の生徒指導・教育相談の資質の向上と力量形成のための、実技研修を核にし
た教員研修モデルの構築に資する研究である。
すべての教員がすべての児童生徒を対象として、問題行動を未然に防止したり、自分のよさ
をさらに伸ばすことをねらいとする「予防・開発的教育相談」に積極的に取り組むことができ
るようにすることを目的とする。また、これまでの研修システム及び研修内容に改善を加えな
がら、今後の研修の在り方についても検討していきたい。
Ⅱ 研究内容
1 A町における予防・開発的教育相談活動充実のための体験学習型教員研修モデルの構築
〔対象学級〕小学校6年生(2校・各校2学級・計4学級)、中学校3年生(1校・4学級)
〔対象教員〕小学校2校・中学校1校の教員・計 77 名
□ B地区における研修モデル
(1) 「生きる力を育てる授業実践プログラム」の効
果を把握するためのアンケート調査
① 実 技 研 修
② Q-U事例研究会
事前調査
○ 「自己肯定度インベントリー」及び「hyperQU」による個別理解・学級集団理解
教員研修
事後調査
(2) 教員の意識変容把握のためのアンケート調査
○ 教員対象の「自己効力感尺度」
(3) 「生きる力を育てる授業実践プログラム」の実
プログラム実施
振り返り
技講習を兼ねた教員研修
担任との
① 春休み中;年度始めの学級開きで活用するた
個別相談
めのプログラム「出会い」の体験
② 夏休み中;「hyper-QU」に関する基礎知識及び2学期に活用するためのプログラム
「3つの話し方(小学校)」、「みんなでチャレンジ(中学校)」の体験
(4) 「hyper-QU」の結果に基づいた、学級タイプに応じた授業実践プログラムの提案
(5) A町教育委員会「人間関係づくり推進委員会」のサポート
2 B市における予防・開発的教育相談活動推進のための研修内容の検討
〔対象学級〕小学校5年生(1校・1学級)、中学校1年生(1校・1学級)
〔対象教員〕小・中学校教員・計 90 名(B市教育委員会主催「教育課題研修会」受講者)
(1) 「生きる力を育てる授業実践プログラム」の効
□ B地 区 に お け る研 修 モ デ ル
果を把握するためのアンケート調査
① 実 技 研 修
○ 「自己肯定度インベントリー」及び「hyper② Q- U事 例研 究会
事前調査
QU」による個別理解・学級集団理解
教 員 研 修
(2) 「生きる力を育てる授業実践プログラム」の実
事後調査
技講習を兼ねた教員研修
○ 「Q-U」についての基本的理解及びプログ
プログラム実施
振り返り
ラム「出会い」の体験
担 任 との
(3) 研修内容の検討・改善のためのアンケート調査
個別相談
(4) 研究協力学級担任への支援
① 「Q-U」の結果分析に基づいた、授業実践プログラムの提案
② 個別支援が必要な児童生徒についての事例研究の支援
3 予防・開発的教育相談活動の年間モデルカリキュラムの作成
(1) 先行研究・先進地区における実践状況の調査
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成果
(1) 「『児童生徒の人間関係づくり』が町の最重要課題のひとつである」とするA町教育委
員会の理解と協力を得たことにより、新たな研修モデルを構築することができた。
(2) B市教育委員会との連携により、「学級集団へのかかわり」と合わせて「個別支援の必
要な児童生徒へのかかわり」についても事例研究を通して研修を深める等、教員支援の新
たな側面を見出すことができた。
2 課題
(1) 児童生徒個別理解や学級集団理解を、授業プログラムの活用にどう生かすか。
(2) 研究の成果を県全体に普及させていくために、今後どのような取り組みをしていくか。
- 32 -
(3) 発表者報告
研究発表1
教員の資質能力向上に関する調査研究
~教員に求められる資質能力の明確化とその伸長策具体化の視点~
群馬県総合教育センター 指導主事 上原 広行
1 参加者からの感想・意見
(1)15の資質能力の観点について
○ 資質能力向上の条件について視点を変えて追究した点は参考になる。今後の研究の在り方に
一石を投じた。
○ 資質能力を3枠、15の視点で整理しているのがよい。ユニークな研究である。
○ 教師力のとらえ、資質能力の向上のための視点がよく分かる。
(2)研修講座の改善について
○ 講座における資質能力を焦点化して、講座の改廃を考えるという視点が大変参考なる。
○ 県教育センターと市研究所との連携や役割分担を考えていくことが研修効果を高めていく
ために大切だと思う。
○ 校内研修・教育センター研修の内容等における役割分担を指摘した点は、評価できる。
(3)調査の実施方法について
○ アンケートデータは興味あるものだったが、サンプル数が少ないと感じた。調査対象者数が
少ないので、データの信頼性に欠けるのではないか。
○ 教員の意識実態の詳細な分析は参考になる。
2 主な質問への回答
質問1
アンケート調査の分母数(N)は少なくないか。
回答
長期研修等で教育センターに研修に来ている教員を対象としたので106名と少人
数ではあるが、傾向を知る上では有効であると考える。
質問2
研修講座終了後のアンケート等で教員の資質について捉えることは考えているか。
回答
研修講座終了後にアンケートは実施しているが、研究資料にある15の資質に基づ
いて講座編成を行うまでには至っていない。
質問3
アンケートの集約数が少ない事由について伺いたい。
回答
一年間の研究であり、対象を広げてのアンケート調査には限界があった。
質問4
研究成果を研修講座へどのように生かしていくのか。
回答
研修講座の目的に研究成果を盛り込むまでには至っていない。
質問5
ライフステージと教員の資質能力のかかわりについて伺いたい。
回答
今後、危機管理能力やタイムマネジメント等も必要な資質として取り入れていく必
要がある。
質問6
教員の資質能力の向上における学校力をどのようにとらえているか。
回答
同僚性や協働性の視点からのアプローチが必要である。
研究発表2
小・中学校におけるキャリア教育の推進に関する研究
~キャリア教育モデルカリキュラムの作成をとおして~
岩手県立総合教育センター 研修主事 佐藤 亥壱
1 参加者からの感想・意見
(1)キァリア教育の位置付けにかかわって
○ 本県でも若者の離職率の高さ等が指摘される中、キャリア教育の充実が重視されている。今
回の発表内容を研修講座の組み立ての際に参考にしていきたい。
- 33 -
○
キャリア教育というとどうしても部分的にとらえやすいが、学校教育全体計画の中にキャリ
ア教育を位置付けることの必要性を示唆している点は重要だと思う。
○ キャリア教育については特別活動だけではなく、特別活動と総合的な学習の時間との関連付
けが大切だと感じた。
○ 小学校でも以前からキャリア教育は継続的に実践してきているという事実がある。それをど
う意識化、体系化させていくかという視点でアプローチする方法もある。
(2)教育センター支援の在り方について
○ 研修を現場で生かすまで教育センターが支援し続けるという姿勢は、今後重要となる。各学
校において研修内容を共有化するための工夫として評価できる。キャリア教育に限らず、この
手法は今後の研修の在り方として拡張性がある。
○ 要請研修が多いということは教育センターの活動が活発だということだろうが、校内研修へ
の安易な講師代用にならないか。
○ 教育センターで研修を受講したキーパーソンを指導者としていくところが興味深い。キー
パーソンを各校の研修講師として育てていくのは、人材育成とその活用の視点で大変良い。
○ 研修モデルⅡは、研修者を講師として活用することで、研修者自身のより深い自主的な研修
が図られる。導入するに当たっては教育センター所員とTTで研修を担当するとよいのではな
いか。
(3)効果測定について
○ 教員を対象とした効果測定にとどまらず、児童生徒にどのように還元されたかが大切であ
る。効果測定レベルの4「成果達成度の視点」が大事になる。
2 主な質問への回答
質問1
キーパーソンを育てて活用し、点を線に、線を面にしていく取組みは面白いと思う。
市町村教委管内での研修会はいつ、どのような形で行われているのか。
回答
キーパーソンとして研修された方が研修会の講師となっている例があった。また、平
常日に市町村教育委員会などの研修の中で行っている。授業研究で教育センターが学校
に入ってサポートしている形がうまくいっている。関係がうまくいけば連携も可能であ
る。
質問2
効果測定にかかわって、アイディアがあれば教えてほしい。
回答
効果測定の数値化は難しい。授業研究で4月からかかわっている例では明らかに変化
が見られてきているので、質的な評価については教師がもっと自分の目を信じた評価を
行っていいと考えている。研修成果の効果測定の方法については、より客観的な方法を
今後研究していく必要がある。
質問3
この研修プログラムがキャリア教育である必然性はあるのか。
回答
学校の現状や課題を克服していくためには、キャリア教育モデルカリキュラムを作
成するだけでは不十分だということが当教育センターの研究から明らかになっている。
平成17・18年度の研究を通して、学校でキャリア教育モデルカリキュラムが実践さ
れるためには「学校支援体制の構築と校内研修を推進する研修プログラムの開発」が不
可欠であるとの課題が明らかになった。キャリア教育は喫緊の教育課題であり、早急に
学校・教員に浸透させていかなくてはならない。教育センターだけの研修講座ではとて
も対応できる課題ではない。
質問4
キャリア教育以外の他の教科、専門分野にもこの考え方は適応できると思うが、実践
しているのか。
回答
キャリア教育の研究を切り口に、研修体制を見直して今後改善していこうという取組
みなので、実践が進むのはこれからである。
質問5
研修プログラム作成の必要性、組織の変化につながる効果測定等に加えて、子どもた
- 34 -
回答
質問6
回答
ちのキャリア意識を育てるためには、自治体の協力や大学などの学術機関の協力を積極
的に仰いでいく必要があると思う。それらの組織とどう連携しているのか。
現在は学校と教育事務所との連携にとどまっている。事務所との連携は県の指導主事
等会議や教育課題連絡会議を活用している。研究協力校等については市町村教育委員会
に出向いて理解を求めている。それ以外の機関との連携の在り方は今後検討していかな
くてはならない。
キーパーソンを支援することの時間的、人員的な負担は少なくないと思われるが、ど
のような対応になっているのか。
支援の対応については、メールやファックスでのやり取り、教育センター所員が学校
に出向く要請研修、キーパーソンの都合が良い日に教育センターに来て行う随時研修が
現在、実施している方法である。
研究発表3
実践的な指導力向上に結びつく校内研修(生徒指導)への支援の在り方
~学習障害調査票簡便版活用のための校内研修への支援~
青森県総合学校教育センター 指導主事 笹 日出美
1 参加者からの感想・意見
(1)学習障害調査票簡便版について
○ 現場のニーズや通常の学級の担任の願いに応じた研究であり、大変興味深く参考になった。
○ 校内研修モデルプログラムや現場で使えるハンドブックのようなものに期待している。
(2)検証について
○ 詳細な分析に基づいた妥当性の検証は説得力がある。
○ 継続的に研究を進めていることは望ましい。
2 主な質問への回答
質問1
教師がチェックするための基準はあるか。
回答
教師の日常的な観察に基づく。
質問2
診断後の関係機関等との連携はどのようになっているのか。
回答
連携については、来年度以降の課題として取り組む。
質問3
LDの診断は誰が行うのか。
回答
資料P3にあるように、専門家チームが行っている。
質問4
調査データについては、保護者へどのような対応をしたか。
回答
学校長から提供していただいた。保護者へは、学校の判断で対応していただいた。
質問5
この資料は、学校でどのくらい活用されているか。
回答
昨年度2校から。要請講座では、100校近くに紹介している。
意見
効果をどう測定し、活用していくかについて取り組む必要があると思う。
質問6
発表内容と校内研修とのはどう結び付いているのか。
回答
校内研修への支援は今後の研究となるが、共同研究の主題に迫る準備段階として、そ
の尺度を確かめるための研究として理解してほしい。
質問7
研究推進に当たって専門の医師等に指導してもらっているか。
回答
簡便版を使う有効性と危険性について、当教育センター相談課の委託スーパーバイ
ザー(大学教授1人、精神科専門医師2人)に指導を仰ぎながら研究を進めていく。
質問8
教師が簡便版を使ってLDを安易に判断する危険性はないのか。
回答
スーパーバイザーによる危険性の指摘を踏まえて校内研修等で説明している。安易に
LDと決めつけることのないように、あくまでも支援のための入り口として使用してい
る。手引き作成の場合は、手引きの名称にも配慮する必要がある。
質問9
統計学的な検証はなされているのか。また信頼性の科学的客観性の背景はどうか。
- 35 -
回答
データを統計的に分析し、感度の高い48質問に絞っている。詳しくは、当教育セン
ター平成17年度の紀要を見ていただきたい。
質問10 簡易版の活用について
回答
昨年5月に各教育センターにCDで配布しているので活用してほしい。
研究発表4
「授業力」の向上を図る研修システムの在り方
仙台市教育センター 指導主事 佐々木 成行
1 参加者からの感想・意見
(1)研修システムについて
○ 教育センター研修、訪問研修、研究の有機的関連について大変具体的でよく分かった。
○ 教育センター研修と訪問研修を絡めて有機的につながりを持たせているところが大変興
味深い。
○ 教員の授業力向上のために、教育センター自らが活用してもらえるような工夫がされてい
る。
(2)長期研修の在り方について
○ 長期研修を論文作成から授業実践中心に移行し、次年度において 5 回の授業公開を義務付
けているところが新鮮である。
○ 長期研修員が次年度以降に各学校や地域の中核となって活躍できるシステムになってい
ることがすばらしい。研修成果の還元にはこのような「枠」も有効だと思う。
(3)その他
○ 「授業力のとらえ」は参考になる。「教師力」ととらえてもよいのではないか。
○ 研修システムは良い視点であり、研修・訪問・研究の関連性は理解できた。評価法につい
ての具体的な発表があればよかった。
2 主な質問への回答
質問1
研究の評価はどのような仕方で行っているか。
回答
現在は、各事業段階で評価を行っている。研修会や研究発表会においては、研修成果
と今後の活用の観点から4段階評価を、訪問研修では授業提供者と参観者に分けて同様
に実施している。また、小・中学校から各4名、計8名(校長1、教頭1名を含む)から
なるモニター会議を年4回開催し、教育センター事業について意見を聴取している。今
後は、各事業相互の関連性を踏まえたシステム評価を行っていく。
質問2
訪問指導で、全校種、全教科に対応できるか。
回答
約20名の指導主事等と教科指導員(小中40~60名)で対応している。また、昨年
度からは、個人・教科・学年の要請に応じた個別支援訪問も行っており、それは指導主
事が対応している。
質問3
理科が学習指導訪問の対象なのはなぜか。
回答
4県合同学力調査(宮城、岩手、和歌山、福岡)の結果、小学校理科の正答率が低か
ったので、担当指導主事1名と授業アドバイザー(退職校長)1名との2名で対応して
いる。
質問4
要請訪問と個別学校訪問の申請時のそれぞれの校長の役割に違いはあるのか。
回答
校長の役割に違いはない。特に個別支援訪問では、申請を簡素化することで多くの教
員に教育センターを利用してもらえるように工夫している。
質問5
長期研修員の授業力向上の位置付けは、どのようになっているか。
回答
授業力向上の研修となったことで、論文は書かない。自己を振り返りながら指導の作
成と実践授業を繰り返している。また、次年度に授業公開を義務付けている。
質問6
訪問の指導体制について
- 36 -
回答
質問7
回答
質問8
回答
質問9
回答
市教育委員会指導課の学校訪問は、教育課程の実施状況、学力向上の取組み、学校評
価等の内容について指導を行っている。一方、教育センターは、授業づくり支援を目的
として、学校の要請に応じた訪問研修を行っている。
訪問研修の状況について
昨年度、訪問を要請した学校数は、全体の1/3(約80校)程度であった。また、
個別支援訪問7校、理科学習支援訪問23校であった。要請する学校としない学校との
意識差が生じている。
訪問研修にかかる旅費について
移動手段としては、原則公用車を使用している。
長期研修員の指導案は公開されているのか。
長期研修員は、研修の翌年に行う年 5 回の公開授業の際に指導案を示している。
研究発表5
予防・開発的教育相談の推進に関する研究
~体験学習型の教員研修モデルを通して~
福島県教育センター 主任指導主事 二瓶 重和
1 参加者からの感想・意見
(1)研修モデルの普及について
○ 「地区」という研修会の視点がよい。
○ 初任者層の急増に伴い、実践成果が大いに期待できる。
○ 全体への普及が鍵となるので具体的な手立てを期待している。
2 主な質問への回答
質問1
hyper-QUの予算措置はどのようになっているのか。
回答
町教育委員会の予算で実施している。A地区では教育長の理解を得て、研究対象の小
6・中3において年2回調査を実施している。
質問2
地域内でのプログラム活用に対する温度差への対応はどうなっているのか。
回答
これまでの追跡調査では、プログラム活用が研修者のみまたはごく狭い範囲にとどま
り、学校全体のものにはなっていないことが多い。A地区では、町教育員会等の協力を
得て全教職員対象の研修会を行った結果、学校での協働性が育ってきている。
質問3
プログラム研修の配慮点は何か。
回答
振り返りを必ず行うとともに、教師の自己開示が重要であることを強調している。
質問4
アセスメントのバリエーションはないのか。
回答
hyper-QUは、ソーシャルスキルまで測定可能である。調査結果をより生かすために
は、一人一人の児童生徒について下位項目の分析を行うことが大切である。本研究では、
hyper-QUと合わせて自己肯定度インベントリーを実施しており、これらのアンケート
の結果を総合的に検討して、教育委員会を通して各学校・学級担任に指導援助の方向性
等について提案している。hyper-QU実施の予算が確保できない学校では、Q-U、ソ
ーシャルスキル尺度、自己肯定度インベントリーを使用し、自校で処理する方法がある。
質問5
教育センターとして特定の検査を薦めることについて問題はないか。
回答
大切なことは、どんな目的でどんな検査を活用するか、ということである。Q-Uや
hyper-QUは標準化された検査であることから、特に問題があるとは考えていない。
質問6
ファシリテーターとしての資質の向上をどのように図っているのか。
回答
「人間関係づくり推進委員会」の委員である各校2名に、ファシリテーターとしてス
キルアップ研修をしていただいた。各校における中核を担う人材を育てていくことが大
切である。
- 37 -
(4) 研究協議内容
協議の柱1
従来型の研修体系・研修内容の何が課題になっているか。
① 個人・学校のニーズの把握と研修内容・体系に関する課題
○ 教員の個々の指導力や経験、各学校の実態と、教育センターでの研修講座内容が一致していな
い面がある。教職経験だけで職能を判断することはできないし、年次研修の内容と実際の教員の
年齢構成にもアンバランスが生じている。
○ 研修講座間の横断的つながりや連続性についても十分な配慮がされておらず、研修の進め方も
課題発見、問題解決型の研修としては課題が残るケースもある。
○ 喫緊の教育課題への対処としては、短期間で県全体(市全体)に普及するシステムの構築とい
う側面からの取組みは十分とは言えない。そのために研修成果が学校現場に浸透しないうちに、
次の教育課題への対応に追われるという悪循環を招く結果となっているのではないか。
② 研修成果の浸透と効果測定に関する課題
○ 研修成果が個人の段階にとどまっているため、それを学校全体で共有化して実践に生かすこと
ができないとの指摘がある。研修講座の事後アンケートが研修者の満足度調査にとどまり、研修
を学校や児童生徒にどう生かしたかの効果測定にまで及んでいないことが改善につながらない
要因となっている。
○ 研修者が研修成果を日々の実践に移すまでの教育センター等のサポートが不足していること
も、研修成果が学校現場に十分に浸透しない要因として考えられる。
③ 他機関との連携に関する課題
○ 本庁、教育センター、教育事務所、市町村教育委員会等との連携が十分になされておらず、基
本研修講座の内容等に重複がある。
④ 教員個人の研修に対する意識・意欲に関する課題
○ 教員自身が自己の資質向上の目標をとらえ切れておらず、研修後の行動変容につながっていな
い。その要因としては、研修の効果が上がったという実感が持てないこと、また、研修成果を学
校内部に広げていこうとする意識が希薄であることが挙げられる。
⑤ 広報活動に関する課題
○ 研修の系統性や研修内容、基本研修以外の有用な研修講座等の周知が十分になされておらず、
研修が学校現場の教育実践と離れているというイメージを簡単には崩せない状況にある。
⑥ その他の課題
○ 教育センターにおいては、運営責任者や講師の一層の資質向上が望まれる。所内における「ホ
ウ・レン・ソウ」不足や受講者増加に伴う研修会場の確保、人的・予算的な不足等も課題となっ
ている。
○ 学校においては、研修に係る旅費不足や多忙な勤務状況の中での研修への参加の難しさ等が課
題である。
- 38 -
協議の柱2
教育センター等が行うことができる研修支援の在り方はどうあるべきか。
① ニーズに基づく研修体系・研修内容の再構築
ア ニーズの把握について
○ 教育センター等からの支援に当たっては、国や都道府県、学校、教員、児童生徒、家庭の各
ニーズを把握・調整して、そのバランスに留意しなくてはならない。特に研修に参加していな
い教員のニーズ把握が必要である。
イ 直接学校に働きかける研修について
○ 特に指導困難校への支援、資質や能力差に対応する教員支援、教員の精神的支援等、各学校
の課題に対応する支援を行う必要がある。そのために、カリキュラムセンターの役割を強化し、
学校から直接、教育センターに講師派遣要請ができるシステムづくりが必要となる。
ウ 研修のねらい・内容の見直しについて
○ 参加者の経験年数や習熟度に応じたり、重点教育課題について研修内容を絞ったりすること
で、ねらいや内容の焦点化を図り、教員一人一人が研修講座の効果を実感できる実践的な研修
講座とする。
○ 各校種間における学力観のとらえ方や授業力の内容を明確にして、講座内容に反映していく
必要がある。
エ 形態・方法の見直しについて
○ 研修講座の事前事後の課題や研修サポートを含めた講座計画を立案して継続的に研修者を
支援する必要がある。具体例としては、集合する前に自己研修が可能な部分に関して資料を事
前配付したり、事後研修の際にメール等を用いて研修者へのサポートを実施したりすることが
挙げられる。
○ ニーズに応じたプログラムの作成、他校種間連携や先輩教員の活用、協議・演習・実習・発
表等の研修形態のさらなる工夫が必要である。
② 研修成果の浸透・普及のための研究と仕組みづくり
ア 研修成果の効果測定について
○ 研修成果が学校でどのように活用されているかの効果測定の研究が必要である。そのために
は、教育センターと学校の双方向のコミュニケーション活動により、研修成果の効果を確認す
る具体的な仕組みづくりが不可欠である。
○ 研修者自身が研修の成果を実感できるような「見える自己評価」についても研究していく必
要がある。
イ 学校支援のための多様な研修機会と「校内研修モデルプログラム」の提供について
○ 教育センター等に集合させて実施する研修だけでは学校現場で生きる研修とはなりにくい。
学校訪問や要請訪問、出前講座等により、校内研修の講師や自主研修に対する研修支援を行っ
ていくことが必要となる。
○ 各校の実態に即した研修とするために、「校内研修モデルプログラム」等を提示したり、モ
デル地区において拠点校を配置したりして、各校がその取組のよさを自校化することができる
研修システムを示す必要がある。
○ 多忙な教員が研修に参加しやすいように、時間外、週休日に研修講座を開催するなどの従来
の枠組みにとらわれない新たな取組みも求められている。
ウ リーダー養成と人材育成について
○ 研修成果を学校現場に浸透・普及させるためには、地域の核になる人材を選び、研修を実施
し、それを基に各地域で伝達してもらうことや、「授業の達人養成講座」のように学校を変革
- 39 -
するリーダーの養成、校内のキーパーソンの育成が必要である。その際、指導者養成研修の修
了者と教育センター所員とがTTで校内研修の講師に当たることや、事前提出レポートを課し
たり研修終了後の実践報告書を提出させたりすることによってリーダーとなる人材を見いだす
工夫も考えていきたい。
○ 教育センター所員及び長研経験者での支援ネットワーク体制づくりや教員同士のネットワー
クづくりによって、学校及び教員への実質的な支援が可能になる。
エ 研修者個人の意欲付けの工夫について
○ 研修前の事前指導や課題の提出等によって研修者の自己課題の明確化をサポートしていき、
研修・実践への意欲付けを図る。
③ 他機関との連携の強化と研修内容の整理
○ 県教育委員会、教育センター、教育事務所、市町村教育委員会、さらに大学等との連携を強
化し、県全体の研修内容の重複を整理することで研修体系への位置付けの見直しを図る。
④ 研修に関する広報活動の重要性
○ Web を使って教育情報を発信したり、eラーニング等を活用して授業の支援を行ったりする
ことは大事であるが、それ以上に、教員にとって研修がいかに大切であるかという研修の重要
性を認識できる情報提供が必要と考える。
○ 教育センター便りや研究紀要を通して啓蒙したり、管理職から教育センター研修を個に応じ
て勧めたりすることで、各種研修の必要性やその趣旨を教職員一人一人に伝えるための地道な
努力を継続していくことが求められている。
○ 各自の研修意欲を喚起するためには、教職員の受講歴等を通知するシステムの構築も有効と
考える。
⑤ その他の問題への対応
ア 指導主事の資質向上の取組みについて
○ 研修担当指導主事の資質向上を図るために、指導主事として必要な資質能力とは何かを明ら
かにする。
○ 近隣県との交流により、優れた講師に関する教育センター間の情報交流・連携を強化する。
イ 研究と研修の一体化について
○ 研究の在り方を見直し、研究の成果を研修へ生かすというサイクルをこれまで以上に強化す
る。長期研修員の研修においても、研修に生かしたいテーマで研究員を募集するなど、成果が
学校に還元されるような仕組みにする必要がある。
- 40 -
3 第3分科会 「ICT活用」
(1) 研究発表日程
【司会者】
福島県教育センター
指導主事
佐々木義通
【記録者】
福島県教育センター
指導主事
武藤
成也
福島県教育センター
指導主事
増子
春夫
第1日
時
刻
13:00
(10月18日)
時
発表各 20 分
間
(5分)
質疑各 5 分
内
容
○分科会の趣旨説明(運営責任者)
○助言者・発表者・係紹介(運営責任者)
協議 50 分
指導助言 30 分
等
13:05
発表 20 分
発表1
質疑 10 分
e-Learning の活用について(コンテンツ作りから)
滋賀県総合教育センター
中村
浩治
廣島
勢力
朗
稔
eラーニングの特性を生かしたこれからの教員研修の在り方
福島県教育センター 國井
博
13:35
※機器等の準備・付箋紙への記入
13:40
(5分)
発表 20 分
発表2
質疑 10 分
三重県におけるeラーニングを活用した教職員研修
三重県教育委員会事務局研修指導室 大立目佳久
岡山 隆文
14:10
※機器等の準備・付箋紙への記入
14:15
(5分)
発表 20 分
発表3
質疑 10 分
14:45
(5分)
※付箋紙への記入(発表者へ)
14:50
(15分)
※休
憩
付箋紙の類型化
15:05
15:05
(15分)
15:20
15:20
○各発表者による報告(5分×3)
【グループ協議】
(1) eラーニングを活用した研修を充実させるためには何が課題となってい
るのか。
(50分)
16:10
16:10
(30分)
16:40
16:45
(5分)
○グループ分け、協議の柱の確認(※1グループ6名程度)
○協議の柱に対する意見等を付箋紙へ記入(5 分)
○意見等の分類・構造化の作業、協議(25 分)
○各グループの協議内容の報告、全体協議(20 分)
【指導助言】
国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官
○
諸連絡(運営責任者)
- 41 -
千々布
敏弥
(2) 研究発表要旨
研究発表1
e-Learning の活用について(コンテンツ作りから)
滋賀県総合教育センター
研修指導主事
中村浩治
Ⅰ 研究のねらい
当センターでは平成16年から「しが e-センター」事業により、教育情報の収集・発信を通
じて、情報を共有・活用することにより滋賀県内の児童・生徒の学習活動および教職員の研修
を支援し、滋賀県の教育の発展に資することを目的に運用を開始しています。
「しが e-センター」
には、
「e-Learning システム(Internet NavigwareV8)」
「教育学習情報システム(TS@School)」
「図
書横断システム(LB@School)」の3つのシステムがあり、それぞれ「教職員の研修」「教材・指
導案の交流」「学校間蔵書データの交流」などを行っています。
「e-Learning システム」は教職員の研修目的に活用され、導入当初の数本の業者作成コンテ
ンツ以外は全て当センター職員による手作りコンテンツであることが特徴となっていて、現在
利用可能なコンテンツ数は100本を超えました。さらに集合研修と e-Learning 研修を組み合
わせたブレンディッド型の研修・講座や、悉皆研修の研修・受講時間として認定するものにも
発展してきています。
Ⅱ 研究内容
1 はじめに
e-Learning 教材作成ツールをうまく使いこなす。
2 e-Learning 教材の開発に使用したツール
・M i c r o s o f t P r o d u c e r 2 0 0 3 for Microsoft Office PowerPoint2003
・ViewletCam
・LiveCreator4
・Adobe Acrobat
3 問題点とその解決
(1)問題点
① システムが要求するファイル名の制限(2 バイト系・スペースを使った文字)
② システムが制御するページ移動の制限(e-Learning コンテンツ内でのリンク)
③ ビデオ画面のキャプチャが出来ない
(2)解決策
① データ自身を別の Web サーバに置き、e-Learning システムには単一フレームのフレー
ムページのみを置く。
② 単一フレームのフレームページ内でリンク・移動を行い、システムへの登録はフレー
ムページにする。
③ mplay32.exe で別のビデオを再生しスーパーインポーズ機能を使用中にしてから通常
のメディアプレーヤで再生すれば、キャプチャ可能である。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成果
(1)コンピュータスキル関係の研修コースをそのまま e-Learning コースに仕立てる手法が確
立されたので、著作権処理後最低限の手順でコースを作成することが可能となった。
(2)e-Learning 研修と集合研修を組み合わせることにより、集合研修の時間を有効に活用で
きるようになった。また、悉皆研修の1日とカウントすることも可能となった。
(3)e-Learning 研修の有効性から児童生徒用 WBL(Web Based Learning)システムの研究も始
まった。
2 課題
(1)外部講師に依頼している講座内容については、e-Learning 研修化が難しい。
(2)研修担当所員のスキルの問題で機能を充分に活用できていない場合がある。
(3)現行システムは職員研修用で約11、000名のユーザを想定し構築してあるので、生
徒用のシステム(約16万人)に拡張するには別システムの導入が必要である。
(個人情報の問題もあり LMS 機能を使わない WBL システムで、多地点にサーバを分散・同期
する独自システムを研究・開発中である。)
- 42 -
研究発表2
三重県におけるeラーニングを活用した教職員研修
三重県教育委員会事務局 研修指導室
大立目佳久・廣島 朗・岡山 隆文・勢力
稔
Ⅰ 事業のねらい
児童・生徒の学力の向上は、教職員の指導力によるところが多いと考えられる。そのため、
三重県教育委員会事務局研修分野では教職員の資質向上を目指して様々な研修を実施してい
る。しかし平成 14 年度から新教育課程に移行し、完全学校週5日制が実施されてから、授業時
数の確保が難しくなり、学校を離れて研修分野の実施する研修講座に参加しにくくなっている。
そこで、研修指導室では、教職員の研修機会を確保するために、平成 14 年度よりeラーニング
システムを導入し、学校を離れることなく効果的・効率的な研修を行うことで、教職員の指導
力を向上し、児童生徒の学力の一層の向上を図っている。
Ⅱ 事業内容
1 システム概要
三重県教育委員会では、県内に整備された高速インターネット回線を利用し、教職員が勤
務校等からeラーニングの手法により研修を受講できるシステムを平成 14 年度から導入して
いる。このシステムを「ネットDE研修」と名づけ、
“いつでも・どこでも・なんどでも”受
講できる研修システムの進化・充実に取り組んでいる。
コンテンツは、教科指導や教育情報、今日的な教育課題等に関するもので、各分野の著名
人による講演を収録し、ビデオデータとスライド資料を連携表示し受講者に提供している。
また、受講者のモチベーション維持のために、講師や講座担当者との掲示板によるコミュ
ニケーション機能や、レポート・アンケート機能を利用しながら効果的に研修を進めている。
2 実施方法
効率的、効果的な研修を行うために、以下の取り組みを重視し、システムを運用している。
(1) 研修用コンテンツの開発
システムを有効に活用するために、導入時より研修用コンテンツを計画的に開発し、平
成 19 年度は 111 講座を開設している。今後も平成 22 年度までの4年間で 80 本のコンテン
ツを作成する予定である。
(2) 悉皆研修・専門研修における研修体系への導入と集合研修との組み合わせ
初任者研修や管理職研修等の悉皆研修の一部の講座に組み入れた。
また、2日間以上にわたって実施する専門研修において、講義部分の研修をeラーニン
グで代替するなど、集合研修と組み合わせ効果的に行っている。
(3) 大規模研修への活用
教育委員会全体のツールとして、他室との連携を図り、教育的課題等施策的に必要で、
全教職員が対象となるような大規模研修への活用を推進している。
Ⅲ 事業の成果と課題
平成 18 年度は延べ 19、521 名が受講し、アンケート結果等から以下の成果が得られた。
1 成果
(1) 授業時間の確保と子どもと触れあう時間の保障
(2) 教職員の研修機会の拡充(研修受講者の増大)
(3) 受講者旅費の縮減
(4) 教育課題に即応した講座の構築
2 今後の方向性
(1) 能力開発・人材育成の組織的視点から必要とされる質の高いコンテンツの開発
(2) 悉皆研修での研修体系への導入拡充と専門研修での集合型研修との組合せ促進
(3) 大規模な一斉研修への対応
(4) 受講者との双方向性を考慮した講座の運営
- 43 -
研究発表3
e ラーニングの特性を生かしたこれからの教員研修の在り方
福島県教育センター 指導主事 國井
博
Ⅰ 研究のねらい
本県においては、コンピュータリテラシーの向上や普通教室における LAN 整備率の上昇等、
インフラ整備が着実に進みつつある。これまでそれらの現状を生かして、教員研修における e
ラーニングの効果的な活用を模索してきたが、現時点において、次のようなニーズや課題等が
浮上した。
(センター研修)
○ センター研修(模擬授業の実施)をより充実したものにするための事前支援
○ センター研修後の授業実践へ向けた継続的な支援
(校内研修)
○ 校内研修におけるセンター指導主事の日常的な支援・連携の可能性
○ 校内研修(主に授業研究)への講師派遣依頼の増加に伴う人的対応の限界
○ 講師派遣に係る旅費の負担や移動時間の増大の問題
本研究では、これらのニーズや課題等を受けて、教員の授業力向上を目的にネットワークを
活用した教育センターと学校、教員同士の連携を e ラーニングの特性を生かしたセンター研修
と校内研修の在り方について検証し、教員の実践的な指導力の向上を目指すことにした。
Ⅱ 研究内容
事前研修
センター研修
1 e ラーニングを活用したセンター研修の充実
事後研修
模擬授業を中心としたセンター研修(集合型
研 修 者
研修)の前後に事前・事後研修(オンデマンド
型研修)を導入することによる継続的な支援と、
集合研修型
オ ン デ マ ン ド型 (W B T )
より充実したセンター研修の在り方について追
オ ン デ マ ン ド型 ( W B T )
・ 授 業 (動 画 )の
究する。(ブレンディッド・ラーニング)
・研 修 資 料 の 配 信
・模 擬 授 業 の 実 施
ストリー ミン グ 配 信
・掲 示 板 の 活 用
・事 後 協 議
・掲 示 板 の 活 用
2 e ラーニングを活用した校内研修の充実
テレビ会議システムを活用することによる校
内研修への日常的な支援・連携の可能性につい
指導主事
て追究する。
指導主事
○ 事 前 研 修 で は 、 集 合 研 修 ま で に 必 要 な 準 備 物 や 検 討 の 必 要 な 内 容 (学 習 指
ライブ型(テレビ会議システム)による、
導 案 )に つ い て 掲 示 板 を 活 用 し 指 示 す る 。
① 事前研究会への参加
○ 事 後 研 修 で は 、 授 業 (動 画 )の 閲 覧 後 、 協 議 の 柱 と な る 項 目 に つ い て 掲 示 板
か ら 提 示 して 協 議 さ せ る 。協 議 終 了 後 、研 修 者 へ 指 導 助 言 を す る 。
② 授業の参観
研修者
○
事 前 研 修 で は 、 研 修 資 料 (学 習 指 導 案 )作 成 の 際 に 工 夫 し た 点 や 教 師 の 思
③ 事後研究会への参加
い 、ま たは 助 言 の 必 要 な 点 等 をそ れ ぞ れ が 掲 示 板 に書 き込 み を して 協 議 し、
④ ①~③を除く日常的な支援、連携
集 合 研 修 ま で に 資 料 の 修 正 ・準 備 を 行 う 。
○ 事 後 研 修 で は 、 授 業 (動 画 )閲 覧 後 、 協 議 の 柱 と な る 項 目 を も と に そ れ ぞ れ
の意見を自由に交流する。
Ⅲ 研究の成果と課題
【図:ブレンデット・ラーニング研修プログラム】
1 成 果
(1)e ラーニングを活用したセンター研修の充実について
ブレンディッド・ラーニング研修プログラムを作成し、2教科(小学校理科、中学校技
術科)の研修で実施することができた。事前・事後研修として Web 上から資料や動画の配
信、掲示板を活用した指導主事からの指導助言、研修者同士の協議等を行ったことで研修
者が授業力向上を目指し、意欲的に研修することができた。
(2)e ラーニングを活用した校内研修の充実について
Web カメラを教室に設置し、テレビ会議システムを活用した授業の参観と事後研究会
での指導助言を行った。そのことにより、今後の遠隔地に対する授業支援の可能性を見出
すことができた。また、遠隔地からの授業観察が可能である一方で、いくつかの課題につ
いても明確になってきた。
2 課 題
(1)e ラーニングを活用したセンター研修の充実について
・ それぞれの校種や教科の特質・現状等を踏まえ、ブレンディッド・ラーニングが有効
となる要因について検証する。(研修内容の改善・見直し)
・ 年間を見通した研修者への継続的な支援の可能性について検証する。
(2)e ラーニングを活用した校内研修の充実について
・ 県内に広く普及させていくことをねらい、「テレビ会議システム活用の手引き」を作
成する。
・ 事前研究会への参加や教材研究、学習指導案作成への支援等、日常的な支援・連携の
可能性を検証する。
・ テレビ会議システムが、多地点接続やアプリケーションの共有等が可能であることか
ら、それらの機能を有効活用し、センターと学校だけでなく、学校間相互の支援・連携
の可能性についても検証する。
- 44 -
(3) 発表者報告
研究発表1
e-Learning の活用について(コンテンツ作りから)
滋賀県総合教育センター 研修指導主事 中村 浩治
1 参加者からの感想・意見
(1)コンテンツについて
○ コンテンツが豊富であり、手作りコンテンツも充実している。
○ コンテンツ作成にあまり手間を掛けていないのがよい。
○ コンテンツ数の増加により、新たな可能性が期待できる。
(2)研修にかかわって
○ eラーニング研修を集合研修と組み合わせたり、ブレンディット研修を実施したりと先進的
な取組みである。
○ 研修履歴、双方向性の確立などが今後の課題となるのではないだろうか。
(3)研究の有効性について
○ 検証の視点と方法を具体化したい。
2 主な質問への回答
質問1
将来的に他県の教育センター等への共用も考えているのか。
回答
著作権等の問題はないものが多いのでハード的な問題が解決できれば可能であるが、
所長決裁を受けないとここでは即答できない。
質問2
基本研修等の中での1日研修としてのカウント扱いについて詳しく伺いたい。
回答
学校あるいは在宅で1日の研修をすることになる。服務関係での取扱いは難しい面が
ある。負担が増えるのではということについては、その分、出張が減るのであまり問題
とはなっていない。
質問3
セキュリティーの状況について伺いたい。
回答
IDで本人確認ができるが、成りすましの可能性はある。
質問4
効果測定の状況について伺いたい。
回答
効果そのものの測定はしていないが、1万1000人中、約7000人が受けている。
その数は月に100人位増えている。
質問5
PRの現状はどうなっているのか。
回答
指定研修は悉皆なので効果は大きい。管理職が対応できないのではという心配もあっ
たが、若い教師から聞いて操作できるようになり、逆の効果があった。教育センターで
の研修等でも積極的にPRしている。
質問6
どのような研修のコースがあるのか。教育相談はあるか。理科はコンテンツとして事
前には見せない方がよいのではないか。
回答
教育相談のコンテンツはない。理科はいわゆる危険な実験等のコンテンツに今年は取
り組んでいる。
質問7
コンテンツ作りの負担について伺いたい。
回答
楽に作成することに心がけ、あまり凝らないようにしている。パソコン画面を録画す
るソフトを使用すれば、話しながら画面を操作して録画と同時に作成が終了する。
研究発表2
1
三重県におけるeラーニングを活用した教職員研修
三重県教育委員会事務局研修指導室 研修主事 大立目 佳久
参加者からの感想・意見
(1)研修とのかかわりについて
○
柔軟な研修体系とeラーニングの特徴を生かし、いつでも、どこでも、何度でも研修できる
- 45 -
システムが構築されている。
○
集合研修にeラーニングを効果的に取り入れている。
○
eラーニングを大規模研修に取り入れている。
(2)コンテンツ作成について
2
○
時代にマッチし、研修者のニーズに応じたコンテンツが豊富に作成されている。
○
教育センターの状況を踏まえ、委託などコンテンツ作成のための工夫がされている。
主な質問への回答
質問1
回答
コンテンツに向くものと向かないものがあるのか。また、不満足なことは何か。
基本的には、講義形式のものはコンテンツに向いているが、実習系はあまり向いてい
ない。不満足なことは特にない。
質問2
回答
著作権処理はどうなっているのか。
講師については、三重県の教職員の視聴に限定して依頼しており、業者が作成したも
のは教育委員会が著作権を持っている。
質問3
回答
eラーニングによって、教育センター講座の数そのものは減ったのか。
集合研修をeラーニングに置き換えたものもある。今ある講座とマッチングさせなが
ら進めている現状である。
質問4
回答
担当者のコンテンツ作りにどのくらいの時間が必要なのか。
教育センターの担当者においては、指示書を作ることとできたものの確認作業が主な
ものであるので、要する時間は数時間である。
質問5
回答
受講(学習履歴)はどのように管理しているのか。
システム上で、受講の進捗状況の確認ができる。また、担当者が受講者から提出され
るレポートの確認作業をしている。受講者自身の報告書との整合性も図っている。
質問6
回答
喫緊の教育課題に関したコンテンツ作りの現状について伺いたい。
喫緊の課題としてどのようなコンテンツが必要なのかが見えた段階で企画や講師交
渉等の対応をするようにしている。
質問7
回答
作成したコンテンツの確認はどのように行っているのか。
まず、収録する際に講師と話し合いをしながら確認をし、追加変更等はその際にもで
きるようにしている。次に、ビデオファイルを完成させる際に担当者が確認をする。最
後に、教材が完成した時点で担当者が最終確認をする。その後に不具合が見つかった場
合にも修正はできるが、納品後は変更できない。
質問8
回答
研修者のモチベーションを高めるための工夫について伺いたい。
講師の人選、コンテンツの内容、双方向性の三点が大切であると考える。ハードウエ
アの環境も研修者のモチベーションにかかわると言える。
研究発表 3
eラーニングの特性を生かしたこれからの教員研修の在り方
福島県教育センター 指導主事 國井
博
1 参加者からの感想・意見
(1)校内研修とのかかわりについて
○ 集合研修の事前・事後研修にeラーニングを活用することの有効性について検証しているの
が先進的な研究である。
○ TV会議システムによる校内研修の有効性が具体的に示されている。
○ 提供時期の限定による利用者の集中力の持続などの課題を解決することで、なお一層の研究
の深まりが期待できる。
(2)設備等について
○ 低コストでできる設備が特徴的であり、普及が期待できる。
- 46 -
2
主な質問への回答
質問1
TV会議で、セッティングにおける問題はなかったか。
回答
今回は教育センターから2回ずつ現場へ行ったが、基本的にはカメラを操作する必
要はあまりないので、設置校へも簡単な説明で対応できる。
質問2
カメラの値段はどの位か。それが普及の手段だと思うがどうか。
回答
カメラは5千円ぐらい。総計で1万円前後である。
質問3
例えば、10万円だとどれだけ画像の精度がよくなるのか。
回答
カメラの精度は、よいものを使っても限界があるので、その分、ビデオカメラの接続
可能なデスクトップ型パソコンを購入した方がズーム等の操作も可能となるので効果
的と考える。
質問4
授業への支援に要する時間の状況について伺いたい。
回答
事前研修からかかわりたいと学校の方に依頼しているので、事前が1~2時間、授業
1時間、その他電話でのやりとりが数回程度である。
質問5
TV会議システムのWebカメラの限界について教えて欲しい。
回答
基本的にはパソコン1台に1カメラ、パソコンに画像入力端子があれば画像切り替え
で複数台対応できる。
質問6
遠隔地への支援がeラーニングに偏る心配はないか。
回答
この研究に対する基本的なとらえ方は、eラーニングは研修支援のための一手段・一
ツールとして考えている。eラーニングを活用したいとの学校の要望があれば対応する
が、できればフェーストゥーフェースで対応していくことが基本である。講師派遣の要
請が多く人的派遣に対応できない場合などに、その解決の一手段としてのシステムとし
て位置付けることが理想と考える。
(4) 研究協議内容
協議の柱
eラーニングを活用した研修を充実させるためには何が課題となっているのか。
① eラーニングを活用した研修のシステムにかかわって
○ 長時間にわたって研修を実施する場合、研修者の質問に応じる必要性も出てくることが考えら
れる。それに円滑に対応していくためには双方向性のある研修システムの構築が課題となる。
○ eラーニングを活用した研修においては、研修者との直接的なかかわりが持ちづらいことから、
その研修の成果をどのように把握していくかが課題となる。
② 研修者にかかわって
○ 研修者がパソコン等の機器の操作に慣れていることが前提となるので、eラーニングを活用し
た研修が可能となるレベルまで、すべての教員のパソコン機器の操作能力を高めていく必要があ
る。
○ eラーニングを活用した研修は対面での研修ではないため、研修のモチベーションをいかにし
て高め、維持させるかについて具体的な手立てを考えていく必要がある。
③ eラーニングを活用した研修の啓発にかかわって
○ eラーニングを活用した研修の啓発のためには、eラーニング研修のメリット、デメリットを
明らかにして示し、その必要性をいかに訴えていくかが課題となる。現時点においては、種々の
- 47 -
問題がありなかなか浸透を図ることが難しい状況にある。
④ コンテンツの作成にかかわって
○ 各教育センター等の状況にもよるが、予算等の問題が大きく絡んでくるのでコンテンツの内容
及び数量の充実が今後も順調に図られるかどうかの懸念がある
○ コンテンツを自作する場合、作成のための労力や時間等が担当者にとってかなり負担となって
いる。コンテンツ作成のノウハウがまだまだ形成されている状況ではなく、また、著作権の問題
もクリアーしていく必要がある。
⑤ 予算及びインフラ整備等にかかわって
○ ハード・ソフトを含めた整備及び運用にはかなりの経費が必要となる。eラーニングを活用し
た研修については、費用対効果がまだまだ明確になっていない状況にあるため、予算獲得のため
の障害となっている。eラーニングを活用した研修の費用対効果についても明らかにしていくこ
とが必要となっている。
○ 日常システムの管理の問題があり、現在の組織体制の中では対応が難しい教育センター等があ
る。各学校や市町村教育委員会も含めて、総合的な視点から施策として推進していくことが必要
な場合も生じてくる。その前提として、コンピュータの一層の普及が不可欠となる。
- 48 -
4 第4分科会「大学等との連携」
(1) 研究発表日程
【司会者】
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
早坂
雅彦
【記録者】
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
小林
裕介
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
松見
早苗
第2日
時
刻
9:00
9:05
(10月19日)
時
発表各 20 分
間
(5分)
質疑各 5 分
内
容
○分科会の趣旨説明(運営責任者)
○助言者・発表者・係紹介(運営責任者)
協議 35 分
指導助言 20 分
等
発表 20 分
質疑5分
発表1
大学と連携した10年経験者研修の取組について
岐阜県教育委員会教育研修課
大平
高司
9:30
9:35
(5分)
発表 20 分
※機器等の準備・付箋紙への記入
教員の資質向上を目指す教育センターと教職大学院設置大学との連携
質疑5分
発表2
の在り方についての研究
宮城県教育研修センター
水口
俊彦
10:00
(10分)
※休
憩
付箋紙への記入(発表者へ)・付箋紙の類型化
10:10
(10分)
10:20
10:20
○各発表者による報告(5分×2)
【グループ協議】
(1) 実践的な指導力の向上を図るために大学等との連携をどのように図っ
ていくのか。
(35分)
○グループ分け、協議の柱の確認(※1グループ6名程度)
○協議の柱に対する意見等を付箋紙へ記入(5 分)
○意見等の分類・構造化の作業、協議(20 分)
○各グループの協議内容の報告・全体協議(10 分)
(20分)
【指導助言】
国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官
10:55
10:55
11:15
- 49 -
千々布敏弥
(2) 研究発表要旨
研究発表1
大学と連携した10年経験者研修の取組について
岐阜県教育委員会教育研修課 研修企画監 大平 高司
Ⅰ 研究のねらい
平成 14 年度の法改正によって、各県は「個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質
の向上を図る」10 年経験者研修を実施することが必要となった。しかも、その研修では「大学、
大学院等の授業参加を研修として位置づけること」も想定されていた。そこで、岐阜県は従来
の 12 年目研修を 10 年経験者研修として位置づけ、地元の岐阜大学教育学部と連携協力して、
数百人規模の受講者の個々の課題に応じた、全く新たな研修を構築することにした。
Ⅱ 研究内容
1 12 年目研修全体の中での大学研修の位置づけ
研修管理課(平成 18 年度から教育研修課)は検討の上、まず5月に大学研修のオリエン
テーションを行い、その後 12 年目研修の長期休業期間等の研修の中に5日間の大学研修を位
置づけることとした。
2 大学研修の内容
(1) 5 日間の大学研修の構成
大学研修5日間を以下の通り構成した。第1日は各受講者の研修テーマに関する面談や
講義。第2日~4日は大学の施設を利用したり、各在籍校で情報通信ネットワークを活用
して担当教官とやりとりしたりする自主的研修。第5日は研修成果の発表及び担当教官の
指導助言とした。さらに、大学側の提案により、場合によっては5日間の大学での研修後
も、授業実践のサポート等をしてもらえることになった。
(2) 個々の課題に対応できる研修分野
大学側の提案により、平成 15 年度は7分野 123 の研修コースが提示された。
「教科教育」
だけでなく「特別支援教育」「教育相談」「学校改善」等の分野を含んでいた。
(3) 個に応じた研修の形態
多様な受講者一人一人との対話によって個々の問題意識に応えるために、1コース上限
9人(平成 16 年度からは7人)のゼミ形式の研修とした。これは、具体的な対話・懇談に
よって教育現場に対する認識を深めたいという大学側の意図もあってのことである。
(4) 大学研修の報告
研修終了後、各受講者から大学研修報告書を提出してもらい、研修の内容及び成果と課
題を報告してもらった。
3 大学研修の改善
(1) 大学研修改善の歩み
15 年度以降も県と大学側とが合同ワーキンググループを作って研修の改善を図ってき
た。また、平成 18 年度からは岐阜聖徳学園大学とも連携し、研修内容を拡充した。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成果
(1) 中堅教員に対する適切な研修の実現
アンケートによれば、「自己の課題解決」や「2学期以降の実践への効果」に関して、
9割の受講者が「おおむね満足」以上に○を付けており、中堅教員の個々の課題に対応し
た研修がほぼ実施できた。
(2) 教員養成における教育系大学と県教育委員会の連携
教育系大学と県教育委員会が連携した研修を実施できたことは、今後の教員養成に関し
て大きなメリットがある。
2 課題
(1) 受講者の多様なニーズに対応した講座の設定(特に専門高校にかかわる教科教育分野)
(2) 県側による大学での個々の研修の実態の把握と、更なる研修内容の改善
(3) 平成 21 年度からの教員免許更新講習と 10 年経験者研修の大学連携講座との両立
- 50 -
研究発表2
教員の資質向上を目指す教育センターと教職大学院設置大学との連携の在り方についての研究
宮城県教育研修センター 主幹(指導主事) 水口 俊彦
Ⅰ 研究のねらい
教員の資質向上の重要性を踏まえ、現在本県では、教員研修体系の見直しを進めている。そ
の際、教育センターが担う教員研修事業の一層の質の向上をねらい、大学をはじめとする関係
機関がもつ人的・知的資源の交流・活用を図りながら、関係機関と連携を推進していくことが
研修体系見直しの視点の一つとなっている。
本センターを含む本県教育委員会とかねてから積極的に情報交換を行っている宮城教育大学
は、学校における実践力・応用力等、教職としての高度な専門性の育成に重点を置く教職大学
院を平成 20 年4月に設置する予定である。そして、教職大学院がその機能を十分に発揮するた
めには、本県教育委員会や研修実施機関である本センターとの連携をこれまで以上に推進しな
ければならないと考えている。大学と教育委員会が連携の必要性や利点を感じていながらも、
連携策を企画実施する人員不足や具体的な連携の在り方が分からないという理由等から、連携
が進んでいないのが現状である。
教員の資質能力を一層向上させるには、教員の授業力向上について教育センターと大学がい
かに連携を図り研修事業を展開していくか、その具体的な連携の在り方や方策を追究していき
たい。
Ⅱ 研究内容
1 模擬授業研修が、授業力向上に資する教員研修として効果的な研修であるために、科学的・
客観的視点と手法を用いて、どのようにあるべきなのかを探る。
(1) 教育センターがもつ手法の中で考えられる、研修効果の高い模擬授業活用の仕方を追究
し、教育センター側の考える研修方法を具現化する。
(2) 研修内容がさらに科学的、客観的になるよう、大学側の考える模擬授業研修に対する視
点やアプローチの仕方を(1)と比較検討をし、その成果を(1)に加える。
2 大学の模擬授業研修の内容検討を通して、今後の連携・協力に対する環境整備を行い、教
育センターと大学の連携がどうあるべきなのかを探る。
Ⅲ 研究の成果と課題
1 成 果
(1) 本センターでは、昨年度まで模擬授業研修を経験則を主とした位置付けや指導の中で展
開してきたが、共同研究の対象とすることによって、所内での共通理解のもとで、目指す
べき方向や指導の在り方、検討の在り方等の足並みを揃えることができた。
(2) 大学教員の参加を得ることで、主に時間の制約等、本センターの運営面から切り捨てら
れがちな模擬授業の研修要素を洗い出すことができた。
(3) 本センターと宮城教育大学が、模擬授業研修という共通の取組を見いだすことによって、
今まで進んでいなかった教員研修に対する連携を企画運営していく環境を作ることができ
た。
2 課 題
(1) 模擬授業研修については、大学側の視点を加えながら、さらによりよい研修手法を追究
していく必要がある。研修内容、研修運営、授業検討の在り方、指導助言の方法等、教育
センターの授業力向上研修としての方策を確立していく必要がある。
(2) 教育センターと大学が、今後どのような分野で連携が可能なのか、その可能性を考察し
方針を定めていく必要がある。研究分野を統一しながら、連携の在り方を模索し絞り込む
必要がある。
(3) 来年度、宮城教育大学に教職大学院が設置された後、大学が考える教員の資質向上と本
県教育委員会が目指す教員の資質向上についての情報交換を密にし、連携すべき領域と
各々の専門分野を生かした質の高い教員研修の在り方を示していく必要がある。
- 51 -
(3) 発表者報告
研究発表1
大学と連携した10年経験者研修の取組について
岐阜県教育委員会教育研修課 研修企画監 大平 高司
1 参加者からの感想・意見
(1)連携について(取組みについての評価)
○ 10年研のねらいである「多様性」を大学に委託することで解決している。
○ 大学が多くの講座を開講していることで、多様なニーズへの対応が可能となり、そのこと
が研修者の高い満足度を引き出している。
(2)連携の手法
① 研修形態の工夫
○ 「一人でも開講」の精神が、多様なニーズへのきめ細やかな対応となり、そのことが研修
者の高い満足度を引き出している。
○ 講義一辺倒ではなく、授業参観やメールによる大学教員からのアドバイスといった双方向
的な研修形態が、実践力を磨くことにつながる。またそのことが、現場の実際的な課題に即
した内容についての研修の提供となる。課題解決型の難しい面を大学との連携が解消してい
る。
② 研修上の大学の位置付け
○ 研修事業の大学委託は、教育センター所員の負担減となり歓迎されている。
○ 内地留学制度の活用が魅力的である。
2 主な質問への回答
質問1
研修のシステム面を改善し、研修依頼方法を委託方式にしたということで、具体的
にはどういう変化があったのか。
回答
大学に対する報償費を一人6千円程度であったものを一講座1万5千円くらいにし
た。だいたい15時間くらいになるが、大学側にもメリットがあるということで、そ
ういうことになった。
質問2
受講者の移動に係る経費はどうしているのか。
回答
10年研ということで学校負担としている。
質問3
大学側の教員は報酬なしなのか。
回答
大学への委託料は、1 講座につき1万5千円となっている。
質問4
小・中・高等学校が一緒にやるコースもあるのか。
回答
一緒に受講できるコースでは、小・中・高等学校が互いに異校種についての理解を深
めることができるが、内容によっては校種を絞る場合もある。
質問5
大学研修の事後の評価をどうしているのか。
回答
受講者によるものについては、個々の講座に対する評価を実施し、今後の改善に役
立てるようにしようとしている。大学によるものについては、今後、事後の評価を校
長には伝えることができるようにしたい。
質問6
教員免許の更新講習は、大学がやるのではないか。
回答
更新制との関係については、講習内容が現場に即したものになるかとか、容量的には
どうなのかといった不安があるので、大学側との話し合いを進めている。
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研究発表2
教員の資質向上を目指す教育センターと教職大学院設置大学との連携の在り方
宮城県教育研修センター 主幹(指導主事) 水口 俊彦
1 参加者からの感想・意見
(1)連携について
① 取組みについての評価
○ 研修センターと大学の双方の立場や考え方を踏まえた取組みである。
○ 互いの立場や特性をていねいに分析し、進捗状況を綿密にとらえており、地に足のついた
研究の印象がある。
② 取組みについての課題
○ 「授業づくり」に絞りすぎている感がある。授業づくり以外の構想も欲しい。
○ 個別対応や好意の対応では研究が行き詰まり、連携が長続きしない恐れはないか。
○ 経費面を出していないので片手落ちの印象がある。
○ 「授業づくり」に関しては、大学から指導を仰ぐという視点も必要ではないか。
(2)連携の手法
① 共通課題の抽出についての評価
○ 授業づくりを仲介とした考えは実践に結び付きやすいということで共感を持つ。
○ 研修センターの授業分析の手法づくりの大切さも共感する。
○ 長期研修員の研修で連携することは、研修員の指導力向上の面で有効である。
○ 最も根幹的な部分での取組みである。
(3)研究の内容についての課題
① 授業力向上の中身
○ 授業力向上のとらえを明確にすべきである。
○ 授業づくりの中身から、どのように研究を広げていくかを明確にしたい。
○ 経験則を生かした授業分析の手法を研修センターの手法として生かすべきである。
○ 授業の特定性と模擬授業の定型化とのかかわりをどう解明していくのかが不明である。
② 研究の広がりへの要望
○ 連携の取組みが研修センターの力量アップにとどまらず、現場に還元できるものを目指
し、その道筋を明らかにしてほしい。
○ 学校支援という立場からの連携の研究であってほしい。
2 主な質問への回答
質問1
組織同士の関係において、経費や人的なものはどのような契約になっているのか。
回答
宮城教育大学と宮城県教育委員会との間で、連携の覚え書きの取り交わしをしてい
る。経費的には、研修センターと大学が隣接しているという環境なので、互いに気軽
に訪問している。今のところお互いの好意で実施している。
質問2
長期研修員の年間プログラムはどうなっているのか。
回答
模擬授業については、5月と7月の2回実施している。
質問3
県教育委員会と大学及び仙台市との関係はどうなっているのか。
回答
仙台市は政令都市なので別機関である。
※その他の質問をまとめる形での回答
回答
授業力向上の方法や内容についてのご意見を頂いたが、この研究の中で今後明らか
にしていかなければならない。授業づくり(模擬授業研修等)での連携をきっかけと
して大学と様々な面での連携を広げていきたい。当センターは、今後移転の計画があ
る。その前に大学との連携を確固たるものにし、移転後も一層連携を深められるよう
- 53 -
にしていきたい。また、理科教育については、来年度から研修センターの指導主事や
長期研修員が大学に行き指導する等の計画もある。
(4) 研究協議内容
協議の柱
実践的な指導力の向上を図るために大学等との連携をどのように図っていくのか。
① 大学と教育センターとの役割の明確化(共通理解、共同意識)
○ まず初めに、連携の目的を共通理解するとともに、実践的な指導力の中身についても共有化を
図る必要がある。それを受けて、「どの領域で」「どこまで」連携するのか、その分野を明確にし
ていく。(例:教科指導、授業づくり等)
○ 大学の講座と教育センター研修の内容の違い、特色を打ち出した役割分担が必要になると考え
る。例えば、大学の専門的な手法(例:ゼミ方式の研修等)やシステムの活用も考えられる。組
織づくりも重要なポイントとなる。
② 体制づくり(企画調整)
○ 連携をスムーズに進めるためには連携事務局(機関)を設置し、常に合同会議が持てるような
組織をつくり、その中で、大学と教育センターという機関同士の覚書を交わしていく。
○ 覚書の内容としては、期間や予算、役割等が考えられるが、最も重要になるのが経費負担等の
事務処理の合意、つまり予算の裏付けであろう。
③ 定期的な交流
○ 年に数回の交流ではなく日常的な連携が大切である。例えば、双方から参加する授業公開や合
評会等を定期的に設定したり、講師の相互派遣を行ったりすることも考えられる。そのために、
テレビ会議システムの活用や、実践的な指導力に対応できる大学教員をリストアップする等の方
法もある。
○ 岐阜県のような幅広い連携を模索していく必要もある。
④ 大学以外との連携
○ 教員養成系大学以外の大学や附属の小・中学校、あるいは企業等も視野に入れた連携を図るこ
とが必要である。
○ 教育センター近くの幼・小・中・高との連携も考えられる。
⑤ 大学との位置関係、立地条件(ロケーションの問題)
⑥ 連携の目的の確認と評価、改善(PDCAサイクルの実施)
○ 大学等と連携を図って研修を企画・運営する場合においても、どのような教員を考えての研修
にするか等、常に研修制度そのものを見直すことが大切である。
○ 現職教員の内地留学制度や免許更新制度等を考慮する必要もある。
- 54 -
Ⅴ 第 1 回全国研究集会の成果と課題
1 第 1 分科会(校内研修)の成果と課題
各教育センターから6本の「校内研修」に関する研究報告がなされた。また「組織力を生かした
校内研修体制をどう確立するか」、「授業研究をどう工夫・改善していくか」という協議題でグルー
プ協議が行われた。次のような成果と課題を見いだすことができた。
(1) 成 果
①
授業研究の日常化・活性化を図り、授業力を向上させるための方法・工夫が、様々な観点か
ら紹介され、今後の取組みの参考になった。
○
ワークショップ型の授業研究や授業力アップのためのポートフォリオによるシェアリングの
手法、単元を一つの単位として取り組む授業研究など様々な工夫・改善が試みられてきており、
それらをまとめたガイドブックや冊子の作成・活用もされてきている。
○ 授業力の向上や授業研究の活性化・日常化を図るための校内研修体制の工夫、授業改善リー
ダーを育成していくための研修プログラムの作成といった、具体的な実践の裏付けに基づく研
究が報告され、各教育センターや各学校が今後取り組む際の参考となる。
②
校内研修体制や授業研究を工夫・改善するに当たり、今後の進むべき方向性が見いだされた。
○
日常的な校内研修としていくためには、管理職のリーダーショップのもと研修に対する共通
理解を図るとともに、教員相互の同僚性を高めていくこと、ミドルリーダーを育成していくこ
とが必要となる。実践的な指導力向上に向けて校内研修の日常化を図るための体制づくりにつ
いての見通しが示された。
○ 校内研修体制や授業研究の工夫・改善のためには、外部からの支援もその取組みを活性化す
ることに寄与する。
③
今後の共同研究を進めるに当たっての視点が明らかになった。
○
共同研究を進めるに当たっての視点としては、校内研修の実態を把握することや、課題設定
を整理すること、校内研修のねらい、内容および範囲を明確にすること、校内研修の方法を工
夫して整理することなどが明らかになった。
○ 校内研修を学校組織の中で位置付けることの重要性や、校内研修をどう評価し、どう共有化
し、どう公開していくかという今後の課題も示された。
(2) 課 題
今回の6本の研究発表には、実践や事例をまとめたガイドブックを作成するといった研究内容が
具体化されたものや、今後の実践化に向けての方向性を明確に示した段階のものなどがあった。
各学校が置かれている現状を踏まえて、
「校内研修」の活性化に寄与するような具体性のある研究
の取組みとしていくために、次年度に向けて次の二点について研究の更なる深化を図っていきたい。
① 授業研究の方法をタイプ分けしてその可能性を探ったり、校内研修の日常化を図るための具体
- 55 -
的な方策について事例を提示したりして、各学校がそれぞれの実態に応じた取組みが可能な校内
研修の在り方を具体的に提案していくこと。
② 授業研究の方法的な研究と相まって、研修体制の確立に向けて校内の組織をどのように生かす
かという観点から、教員相互の同僚性を高めていくことやミドルリーダーを育成していくこと等
について具体的な実践の裏付けのある取組みを進めていくこと。
2 第2分科会(研修への支援)の成果と課題
教員のニーズに応じた研修の推進、及び実践的な指導力の向上に結び付く研修への支援の在り方
に関する五つの研究報告を踏まえて、「従来型の研修体系・研修内容の何が課題になっているか」、
「教育センター等が行うことができる研修支援の在り方はどうあるべきか」という協議題に基づい
て協議がなされた。次のような成果と課題を見いだすことができた。
(1) 成 果
①
従来型の研修体系や研修内容の課題を明らかにする過程を通して、各教育センターの今後の
研究の方向性が絞り込まれてきた。
○
研究発表で報告された研修体系や研修内容についての課題は、各教育センターがともに共通
して認識している課題でもある。研修体系を構築して研修内容を具体化していくに当たっては、
各研修講座間の横断的つながりや連続性への配慮が大切であることが確認された。具体的には、
教師個人の指導力や経験、各学校の実態を研修講座内容と一致させたり、課題発見や問題解決
型の研修の充実を図ったりすることなどが挙げられる。
○ 喫緊の教育課題に各学校が対処できるように、研修内容を短期間で普及していくシステムの
構築に関する提案として、「モデルカリキュラム」や「研修モデル」の形で具体的に示された。
○ 従来型の研修体系や研修内容の課題の克服のために新たな教員研修の在り方を模索していく
場合は、研修成果が学校でどのように活用されているか、その効果測定についての研究も併せ
て進めていき、その有効性を見極めていく必要があることが示された。
②
教育センター等が行うことができる研修支援の取組みが紹介され、研修成果の浸透・普及の
ための研究と仕組みづくりについての参考となった。
研究報告の内容は、いずれも各教育センターの現状を踏まえた研修支援の取組みとなっており、
各機関が今後の研究を推進する上で参考となるものであった。具体的には、次の3点が挙げられ
る。
ア 学校支援のための多様な研修機会を積極的に設けること
○ 学校訪問や要請訪問、出前講座等により、校内研修への講師派遣や自主研修に対する研修
支援を積極的に行っていく。
○ 各学校の実態に即した研修が行われるように「校内研修プログラム」等を提示したり地区
ごとのモデル拠点校を構築したりする。
イ リーダー養成と人材育成を重視すること
○ 研修成果を各学校に浸透・普及させる目的で、学校や地域の核となるキーパーソンを育成
するためのリーダー研修を実施し、研修後のサポートを強化していく。
○ 長期研修制度を実施するに当たり授業実践を中心に据えるなど、従来からの教育センター
- 56 -
における学校支援の在り方を、学校のニーズを基に見直していく。
ウ 他機関との連携強化と研修内容の整理・統合を図ること
○ 都道府県・市町村教育委員会、さらには大学等との連携を強化するとともに、相互の研修
の重複を整理して研修の見直しを図ることで、都道府県全体における研修の体系への位置付
けを見直していく。
(2) 課 題
今回の5本の研究発表の内、4本は実践的な指導力の向上に結び付く研修の在り方を探ったもの
であり、教員のニーズに応じた研修の在り方を取り上げた研究発表は1本のみであった。初年度と
言うことで取り組むべき課題が具体化された段階にとどまっている報告もあったが、過年度からの
継続研究で内容の深まりがみられる報告もなされた。
次年度については、次の3点から、教員の実践的な指導力の向上に向けて、教育センター等の支
援体制をどのように構築していくかについて考えていきたい。
① 教員のニーズに応じた多様な研修を組み入れていく際に、実践的な指導力の向上に向けてよ
り焦点化した教員研修の在り方を模索して、ライフステージに位置付けていくこと。
② 研修システムを構築する際には、各研修講座が実践的な指導力の育成に向けてどのように有
効に機能したか、その効果測定の具体的な仕組みづくりについて併せて考えていくこと。
③ 実践的な指導力を向上させていくという観点から、研修成果を学校現場に普及させていく過
程において、各地域の実態を踏まえたミドルリーダーの育成・活用や教員のネットワークの活
用を図っていくこと。
3 第3分科会(ICT活用)の成果と課題
eラーニングを活用した教員研修及び校内研修の支援にかかわる三つの教育センターからの研究
報告、及び「eラーニングを活用した研修を充実させるためには何が課題となっているか」という
協議題に基づく研究協議から、教員の実践的指導力向上に向けて次のような成果と課題を見いだす
ことができた。
(1) 成 果
①
eラーニングの特質を生かした特色ある教員研修の取組が示され、各教育センター等の今後
の取組みの参考となった。
○
発表内容は、当該教育センター及び各県の状況を踏まえた工夫した内容であり、各教育セン
ター等が取り組むに当たり参考となるという意見が数多くあった。特に、コンテンツの充実を
図ったり集合研修と組み合わせたりすることで、教育センターに直接出向くことなく受講でき
るというeラーニングの特質を生かした研修の取組みは、研修内容の質を高めるとともに、研
修にかかる個々の教員の負担軽減にもつながっていく。
○ 瞬時にどこでも見たり聞いたりすることができるというeラーニングの特徴を生かすことで、
研修の継続への支援、研修意欲の持続に寄与できる。
②
○
eラーニングを活用した研修の限界等が明らかにされた。
eラーニングを活用した教員研修を推進するに当たっては、機器・ソフトにかかわる予算措
置やシステムの管理、研修者のスキルの向上やモチベーションの維持等が基盤として必要とな
- 57 -
る。前提として条件整備すべきものではあるが、eラーニングを活用した教員研修の費用対効
果が明らかにされていない現状において、設置者の財政状況によっては予算措置等において限
界があることが確認された。
③
eラーニングを活用した教員研修及び校内研修の支援にかかわる研究の視点の明確化・具体
化が図られた。
○
eラーニングに関する研究は、まだまだ取組み事例が少ないのが現状である。その理由の一
つに 研究の視点をどこに置けばよいかということが不明確であったことが挙げられる。研究
協議及び指導助言等から、各教育センターの現状を把握して分析した上で研修対象を絞り込ん
でいくという研究の方向性が明確となり、かつ具体的になったと言える。今後、研究の焦点化
が図られていくものと期待できる。
(2) 課 題
今回の研究発表や研究協議の内容に関しては、まだまだ事例報告の部分が多かったと言える。教
員の実践的な指導力向上のためにeラーニングをいかに活用して研修を充実させるかといった踏み
込んだ議論までには至らなかったのが現状である。
今後、各教育センター、各県等の現状を分析しながら、以下の三つの視点から研究の推進を図る
ようにしていく必要がある。
① eラーニングを活用した研修及び学校支援の方法における効果測定の方法を明らかにするとと
もに、費用対効果についても検討を加えること。
② 予算措置及びインフラ整備の現状を把握するとともに、それらの個々の特定の条件に基づく環
境整備の在り方やコンテンツ作り、eラーニングのツールとしての活用策等について具体化する
こと。
③ 研修者のニーズを生かしたコンテンツ作りの在り方や、研修意欲をより一層持続させる双方向
性を加えたeラーニング活用の在り方を具体化していき、実践的な指導力の向上を図ること。
4 第4分科会(大学等との連携)の成果と課題
主に大学と連携した教員研修事業に関する二つの研究報告、またそれを踏まえて「実践的な指導
力の向上を図るために大学等との連携をどのように図っていくのか」という協議題に基づく協議か
ら、次のような成果と課題を見いだすことができた。
(1) 成 果
①
大学とセンターとの役割の明確化が、研究を進める上で、また実際の連携を進める上では、
重要な要素であることが明らかにされた。
○
今回の二つの研究報告には、その連携の在り方にかかわって大きく性格の違いがあった。そ
れは「連携」ということばが持つ幅の広さと可能性の大きさから起因するものであると受け止
める。分科会では、その性格の違いから様々な論議が交わされたが、
「連携の根本として何が大
切なのか」という方向に集約していった。
○ 教員の資質向上を目指すという共通認識がありながら、お互いの立場や機関としての役割の
違いから、自ずとアプローチの在り方は違うものになっている現状がある。連携を進めるに当
たっては、まず、この役割分担を明確にすることを基盤としていく必要がある。
- 58 -
②
大学等との連携を円滑に進めるために、連携事務局を置くなどの体制づくりの必要性が明ら
かにされた。
○
大学とセンターの双方とも連携のための組織作りの必要性が認識された。助言者の千々布先
生からは、連携は熱心な大学の教員を中心に広げていくべきであるとのご助言も頂き、個から
組織へと連携の幅を広げていくことで、連携事業を軌道に乗せていく方向性が見えてきた。
○ 覚え書き等の連携先との契約や、連携の期間、事業予算といった実務的な課題も乗り越えて
いかなければならないなど、具体的な課題も明らかになった。
③
大学等との連携の在り方を考えていく研究の視点や方向性が明確化・具体化されてきた。
○
①で示したとおり、連携ということばの持つ意味は深くて広い。どこに焦点を当てて研究を
進めていくのか、第1年次の悩みや迷いは多かった。今回の研究集会では、様々な知見から多
くの意見や示唆を頂き、研究の視点や方向性が明らかになってきた。今後の研究内容のみなら
ず、研究の主体としての組織作り等にも明らかな方向性が見えてきたことは、研究を進める立
場として心強いものがある。
(2) 課 題
研究初年度ということもあり、本分科会においては事例の発表や研究の環境づくりといった性格
が強かった。今後連携事業を創り出すという実践を通して、連携推進の「研究」にしていく必要が
ある。そのために、今後、以下の4点を課題として研究を進めていきたい。
① 大学と教育センター等との役割の分担内容を明らかにし、その役割に応じた事業を検討してい
くこと。
② 教員の資質向上を受けて、
「授業力向上」の意味と内容を大学等との連携の中で明らかにするこ
と。
③ 連携に熱心な大学教員を窓口にして、大学と教育センターの双方が連携のための組織づくりを
進めること。
④「授業力向上」以外の研究の要素、また大学以外との連携の要素等、研究の広がりを求めていく
こと。
- 59 -
5 全体の成果と課題
第19期共同研究は、今年度より「実践的な指導力の向上を図るこれからの教員研修の在り方」
を新たな研究主題に掲げて三年間の研究をスタートした。今年度の第1年次研究においては、研究
主題に基づく研究の視点や内容を具体化して研究実践に取り組んだ。その成果と課題については、
前項までにおいて述べたとおりである。
また、本年度は全国研究集会の運営に工夫・改善を加え、そこでの研究発表や研究協議の内容を
今後の研究の取組に生かすことができるようにした。
以下、第19期共同研究第1回全国研究集会における全体の成果と今後の課題について述べる。
(1) 本大会の成果
① 新たな研究主題の設定について
第18期共同研究においては研究主題の一本化を図ったが、研究主題そのものは従来からの大
きなテーマを引き継いだものであった。各加盟機関の実情に応じて様々なアプローチからの取組
みが可能であったため、たくさんの研究成果も示されたが、研究の焦点化、共有化という視点か
らは課題も残った。
第19期共同研究においては、それらの成果と課題を踏まえるとともに、喫緊の教育課題を抱
えている各学校や教員への支援に具体的に結び付く研究とするため、本研究主題を設定した。本
研究主題が解明を目指す教員の実践的指導力の向上を図る教員研修の在り方を探ることは、各加
盟機関がこれまで様々な形で組み入れてきた研修・研究事業とその目標・方向性を一にしている。
研究主題並びに研究内容の設定に当たっては、全加盟機関にアンケート調査を事前に行い、そ
の意向を反映させてきた。本研究主題が時宜を得た主題であり、今後の取組みに大きな期待を寄
せているという多くの声が各機関から寄せられた。
また、今回、研究主題を絞り込んで具体的な研究内容を提示したことに対する高い評価が、本
大会参加者の事後アンケートの集約結果からも読み取ることができた。
② 基調講演について
初日には、信濃教育会教育研究所長・東京大学名誉教授の稲垣忠彦先生より、
「授業研究の歩み
と現職教育の課題」という演題で基調講演をいただいた。我が国の学校教育において授業研究が
果たしてきた役割について明示いただくとともに、
「特定性」、
「複合性」、
「選択・判断」、
「振り返
り」の四つの側面から授業研究の特質を示していただいた。教員の指導力向上に向けての授業研
究の重要性を再認識する機会とするとともに、今後の教員研修の在り方を考える上で大きな示唆
を得ることができた。
③ 分科会の構成・運営について
本大会においては、第1分科会「校内研修」、第2分科会「研修への支援」、第3分科会「IC
T活用」、第4分科会「大学等との連携」の4分科会構成として計16本の研究発表と研究協議を
行った。
各分科会の研究発表並びに研究協議を進めるに当たっては、協議の柱を事前に絞り込んでいた
ため、質の高い質問や意見がKJ法により参加者全員から寄せられ、分科会の趣旨に迫るものと
なった。
また、分科会の中でそれらの意見等を分類・構造化していく過程において、各研究発表の内容
や本次研究内容に対する参加者からの評価が明らかとなった。第19期共同研究における本大会
の位置付けを考えたとき、このような過程を通して研究課題が具体的に示されたことそのものが
本大会の大きな成果と考える。
- 60 -
(2) 今後の課題
① 次年度の研究の方向性について
ア 研究主題が目指すもの
平成19年11月の中央教育審議会教育課程部会「教育課程部会におけるこれまでの審議の
まとめ」において示されたように、新しい学習指導要領においても、児童生徒の「生きる力」
をはぐくむという基本理念は変わらない。
しかし、その理念の実現のために、今回の改訂においては、学校現場の様々な課題を踏まえ
て児童生徒への指導面での具体的な手立てを確立してくことが強く求められている。各学校や
それを指導・支援する教育委員会等への期待と要望は大きい。
私たちは、第19期共同研究の研究主題が今後の教育の目指す方向性と軌を一にしているこ
と、そして、児童生徒の『生きる力』をはぐくむ鍵となっているのは教員の実践的な指導力の
向上にあるという基本的な考え方に立っている。次年度においては、この基本的な考え方の下、
実践的な指導力の向上に向けての教員研修の在り方を具体的に探っていきたい。
イ 研究内容の構造化にかかわって
第1年次研究においては、実践的な指導力の向上を図るために各学校は校内研修にどのよう
に取り組むべきかという「学校としての取組み」に関わる内容と、実践的な指導力の向上に向
けて教育センター等は支援体制をどのように構築すべきかという「教育センター・教育研究所
等からのアプローチ」にかかわる内容の二側面から研究主題に迫ってきた。各分科会における
研究発表や研究協議の中で具体的に示された取組みの観点を整理していくことで、今後、実践
的な指導力の向上を図るこれからの教員研修において必要な要素を構造的に示していきたい。
② 次年度の全国研究集会の持ち方について
ア 全体会の運営について
本大会においては、第19期共同研究の第1回全国研究集会としての位置付けを踏まえて、
記念講演並びに基調提案を行った。研究推進を優先するという考え方から、今後、次の三点に
ついて検討を加えたい。
○ 次年度の講演については、今年度同様に研究の方向性を示唆いただける講師を選定するこ
と。
○ 基調提案に関しては、説明内容の焦点化を図るとともに説明時間を短縮して、講演時間を
できるだけ多く確保すること。
○ 研究発表並びに研究協議の時間にゆとりを持たせるために、開会行事・閉会行事も含めて
日程並びに運営の在り方を検討すること。
イ 分科会の設定について
今年度は研究内容とのかかわりから、主に学校として取り組むべき内容にかかわる分科会(第
1)と主に教育センターや教育研究所からの支援が必要な内容にかかわる分科会(第2・3・
4)の4分科会を設定した。
第1分科会(校内研修)と第2分科会(研修への支援)の研究内容についてはそれぞれ重複
する部分もあり、研究の視点をさらに具体化、明確化して両分科会にかかわる研究内容を整理
していく必要がある。
また、第3分科会(ICT活用)については、ICT活用による研修への支援をその重点に
置いて考えたとき、そこで対象とする研究内容が第2分科会の内容に含まれてくるのではない
かとの指摘もあった。
次年度については、今年度の4分科会構成を単に継承していくのではなく、分科会の設定に
ついて検討を加え、本研究主題に迫るための切り込み口としての各分科会の役割をより鮮明に
していきたい。
- 61 -
ウ 分科会の運営について
本大会においては、研究主題に基づく研究協議を活性化させるために、分科会の運営にも工
夫・改善を加えてきたが、次の二点について課題も残った。全国研究集会の本来の在り方に迫
るため、次年度に向けてさらに検討を加えていきたい。
○ 分科会の協議の柱と研究発表の内容との関連性を考慮して分科会を運営することにより、
研究協議そのものの質をより高めていくこと。
○ グループ協議を取り入れる場合、そこでの協議内容が分科会の全体の場に反映し、課題と
その対応策が具体的に示されるように、分科会の運営に工夫・改善を加えていくこと。
- 62 -
Ⅵ
第 19 期共同研究委員
【運営委員会】
委 員 長
福島県教育センター
所
長
新井田
大
所
長
菊
谷
一
副委員長・第1回全国研究集会実行委員長
秋田県総合教育センター
委
員
青森県総合学校教育センター
所
長
田
辺
哲
彦
委
員
岩手県立総合教育センター
所
長
伊
藤
委
員
山形県教育センター
所
長
黒
田
聖
司
委
員
宮城県教育研修センター
所
長
庄
司
恒
一
委
員
仙台市教育センター
所
長
吉
田
利
弘
勝
【研究推進委員】
推進委員
青森県総合学校教育センター
指導主事
村
上
昌
隆
秋田県総合教育センター
指導主事
渡
部
克
宏
岩手県立総合教育センター
研修主事
齊
藤
義
宏
山形県教育センター
主任指導主事
吉
田
敏
明
宮城県教育研修センター
主幹(指導主事)
水
口
俊
彦
仙台市教育センター
指導主事
工
藤
福島県教育センター
主任指導主事
小
林
伸
行
福島県教育センター
指導主事
佐々木
義
通
哲
推進委員・事務局
- 63 -
Ⅶ 参加者名簿
18 日
№
県
名
機
関
名
職
名
氏
名
開
分科会
会 1
秋
田
秋田県教育委員会
信濃教育会教育研究所長
教育長
東京大学名誉教授
1
東
京
国立教育政策研究所
2
東
京
国立教育政策研究所
3
東
京
国立教育政策研究所
4
東
京
国立教育政策研究所
所長
研究企画開
発部長
初等中等教
育研究部長
研究企画開発
部総括研究官
5
北海道
北海道立教育研究所
6
北海道
7
8
茨
茨
城
城
9
栃
10
11
19 日
2
3
分科会
1
2
4
情
報
閉 交
換
会 会
備
考
根岸
均
○
○ 来賓
稲垣
忠彦
○
記念講演講師
近藤
信司
○
○ 全教連委員長
頼本
維樹
○
工藤
文三
○ ○
○
○
○ ○ 指導助言者
指導助言者
千々布敏弥
○
研究研修主事
濱田
有子
○ ○
十勝教育研究所
副主任所員
桑内
寿則
○ ○
茨城県教育研修センター
茨城県教育研修センター
指導主事
指導主事
木村
井坂
益巳
雄爾
○
○
○
○
木
栃木県総合教育センター
副主幹
田代
哲郎
○ ○
栃
木
宇都宮市教育センター
指導主事
齋藤
知之
○ ○
栃
木
足利市立教育研究所
指導主事
岡部
陽一
○
○
12
群
馬
群馬県総合教育センター
指導主事
上原
広行
○
○
○
○ ○ 第2分科会発表者
13
千
葉
千葉県総合教育センター
主任指導主事
野村
松徳
○
○
○
○ ○
14
千
葉
千葉市教育センター
副所長
菊地
明
○
○
○
○ ○
15
東
京
目黒区守屋教育会館
統括指導主事
大塚
昌志
○
16
東
京
(財)才能開発教育研究財団
事務局長
安威
誠
○
○
○ ○
17
東
京
感性支援教育研究所
研究員
東條
仁英
○
○ ○
18
神奈川
横浜市教育センター
指導主事
後藤
俊哉
○ ○
19
神奈川
横須賀市教育研究所
所長
阿部
優子
○
○
○ ○
20
神奈川
横須賀市教育研究所
指導主事
北原
正子
○ ○
○
○ ○
21
静
岡
静岡県総合教育センター
指導主事
小林香代子
○ ○
○
○ ○
22
静
岡
静岡県総合教育センター
指導主事
近藤美保子
○
23
静
岡
静岡県総合教育センター
指導主事
加藤
剛史
○
○
24
富
山
富山県総合教育センター
副所長
奥村
俊一
○
○
25
富
山
富山県総合教育センター
教育専門員
初田
満
26
岐
阜
岐阜県総合教育センター
研修企画監
大平
高司
○
○
○ ○ ○ 第4分科会発表者
総括室長
山中
良明
○
○
○ ○ ○
研修主事
大立目佳久
○
○
中村
浩治
○
○
鈴江
伸治
○ ○
松元
伸祥
○
○
芝田
一広
○
○
三重県教育委員会事務局研修
分野(総合教育センター)
三重県教育委員会事務局研修
分野(総合教育センター)
○
重
28
三
重
29
滋
賀
滋賀県総合教育センター
30
京
都
京都府総合教育センター
31
京
都
京都府総合教育センター
32
京
都
京都市総合教育センター
研修指導主事
主任研究主事
兼指導主事
研究主事兼指
導主事
研修課長
33
大
阪
大阪府教育センター
指導主事
稲葉
剛
34
兵
庫
兵庫県立教育研修所
小林
道美
35
兵
庫
兵庫県立教育研修所
岡田
学
36
兵
庫
兵庫県立教育研修所
所長
主任指導主事兼
企画調査課長
指導主事
高橋
信之
○
37
兵
庫
明石市教育研究所
所長
足立
芳彦
○ ○
38
和歌山
和歌山県教育センター学びの丘
所長
勝丸
健司
○ ○
○
○
○
○
○ ○ ○
○
○
○ ○ 第1分科会発表者
○
○
○
○ ○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
○
○ ○
○ 第3分科会発表者
○
○ ○ 第3分科会発表者
○ ○ ○
○
○
○ ○
○
○
○
○
○ ○
三
○
○
○
27
- 64 -
○ ○ ○ 指導助言者
○
○ ○
○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○
○
○
○ ○
○
○ ○
第 1 分科会発表者
18 日
№
県
名
機
関
名
職
名
氏
名
開
分科会
会 1
忠晴
○ ○
後藤
裕明
○
小椋
博幸
○ ○
2
3
分科会
1
2
4
情
報
閉 交
換
会 会
備
考
39
和歌山
和歌山県教育センター学びの丘
専門研修課長
40
鳥
取
鳥取県教育センター
所長
41
鳥
取
鳥取県教育センター
研修企画課長
42
広
島
広島県立教育センター
副所長
田口
裕
○
43
高
知
高知県心の教育センター
チーフ
大西
雅人
○
44
福
岡
福岡県教育センター
企画部部長
是枝
高司
○ ○
45
福
岡
北九州市立教育センター
指導主事
髙丸美津子
○
46
福
岡
北九州市立教育センター
島元
敏和
○
47
大
分
大分県教育センター
徹
○
○
○
48
沖
縄
沖縄県立総合教育センター
指導主事
副所長兼教育
企画部長
研究主事
宮城
康人
○
○
○
49
青
森
青森県総合学校教育センター
副所長
鳴海
悟
○
○
○ ○ ○
50
青
森
青森県総合学校教育センター
教育相談課長
佐藤
昭雄
○
○
○ ○ ○
51
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
中田
孝幹
○ ○
○
○ ○
52
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
伊藤
清治
○ ○
○
○ ○
53
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
中村
豊
○
○ ○
○ ○
54
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
笹
日出美
○
○
○
○ ○ 第2分科会発表者
55
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
村上
昌隆
○
○
○
○ ○ 研究推進委員
56
青
森
青森県総合学校教育センター
指導主事
北城
高広
○
○
○
○ ○
57
青
森
青森県総合学校教育センター
研究員
中村
光博
○
○
○
○ ○
58
青
森
青森県総合学校教育センター
研究員
扇谷
欣展
○ ○
59
青
森
中部上北教育研修センター
所長
鈴木
仁
60
青
森
中部上北教育研修センター
指導主事
沼尾
一秋
61
岩
手
岩手県立総合教育センター
所長
伊藤
勝
62
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修部長
中川
誠悦
○ ○
63
岩
手
岩手県立総合教育センター
企画調査室長
佐藤
卓
○ ○
64
岩
手
岩手県立総合教育センター
教科領域教育室長
夏井
敬雄
○
65
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修主事
鈴木
敏彦
○ ○
66
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修主事
桑原
良幸
○
○
○
○ ○
67
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修主事
佐藤
信
○
○
○
○ ○
68
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修主事
伊藤
俊也
○
69
岩
手
岩手県立総合教育センター
研修主事
三田
正巳
○
○
○
○ ○
70
岩
手
盛岡市教育研究所
所長補佐
畠山
雅之
○
○
○
○ ○
71
宮
城
宮城県教育研修センター
所長
庄司
恒一
○ ○
72
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
水口
俊彦
○
73
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(副参事)
宍戸
勉
74
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(副参事)
上野
忠弘
○
75
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(次長)
小澤
庸
○
76
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
小林
裕介
○ ○
77
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
松見
早苗
○
78
宮
城
宮城県教育研修センター
指導主事(主幹)
早坂
雅彦
○ ○
79
宮
城
仙台市教育センター
主幹
関
一男
○
○
○
○ ○
80
宮
城
仙台市教育センター
指導主事
佐々木成行
○
○
○
○ ○ 第2分科会発表者
81
宮
城
仙台市教育センター
指導主事
工藤
哲
○
○
○
○ ○ 研究推進委員
82
宮
城
登米市教育研究所
所長
畠山
信弘
○
○
○
○ ○
83
秋
田
北秋田市教育委員会
主幹
山本
英幸
○ ○
84
秋
田
秋田市教育研究所
所長
伊藤
栄二
○
- 65 -
向井
19 日
羽田野
○
○
○ ○
○
○ ○
○
○
○ ○
○
○ ○
○
○
○ ○
○
○
○ ○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
○
○
○ ○
○
○
○
○ ○
○
○
○
○ ○ 運営委員
○
○
○ ○
○
○
○ ○
○ ○ ○
○
○
○ ○ 第2分科会発表者
○ ○ 第1分科会発表者
○
○ ○
○ ○
○ ○ ○ 運営委員
○
○ ○ ○
○ ○
研究推進委員
第4分科会発表者
○ ○ ○
○
○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○ ○
○
○ ○ ○
○ ○ ○
○
○
○ ○
○ ○ ○
18 日
№
県
名
機
関
名
職
名
氏
名
開
分科会
会 1
指導主事
洋
2
3
分科会
1
2
4
情
報
閉 交
換
会 会
85
秋
田
秋田市教育研究所
86
秋
田
秋田市教育研究所
指導主事
岡
雅子
87
山
形
山形県教育センター
副所長
原田
88
山
形
山形県教育センター
主任指導主事
吉田
89
山
形
山形県教育センター
指導主事
90
山
形
山形県教育センター
指導主事
阿部
91
山
形
山形県教育センター
指導主事
高野
92
山
形
山形市教育研究所
指導主事
髙橋
93
福
島
福島県教育センター
所長
新井田
94
福
島
福島県教育センター
次長
小浜宗一郎
○
95
福
島
福島県教育センター
主任指導主事
二本松義公
○
96
福
島
福島県教育センター
主任指導主事
小林
伸行
○
97
福
島
福島県教育センター
主任指導主事
二瓶
重和
○
98
福
島
福島県教育センター
主任指導主事
安瀬
一正
○ ○
99
福
島
福島県教育センター
指導主事
佐々木義通
○
○
100
福
島
福島県教育センター
指導主事
武藤
成也
○
○
101
福
島
福島県教育センター
指導主事
國井
博
○
○
102
福
島
福島県教育センター
指導主事
増子
春夫
○
103
福
島
福島市教育実践センター
所長
峯島
和彦
○
○
104
福
島
郡山市教育委員会教育研修センター
所長
佐藤
守広
○
○
105
福
島
いわき市総合教育センター
研修調査係長
長谷川教夫
○ ○
106
福
島
いわき市総合教育センター
指導主事
吉田
聡
○
107
秋
田
潟上市立豊川小学校
校長
吉原
恵子
○ ○
108
秋
田
潟上市立飯田川小学校
校長
佐藤
卓男
○ ○
109
秋
田
潟上市立出戸小学校
校長
大石
成子
○
110
秋
田
潟上市立出戸小学校
教頭
丸山
岳人
○
111
秋
田
潟上市立追分小学校
教頭
畑澤
千景
○ ○
112
秋
田
潟上市立天王中学校
校長
齊藤
正博
○ ○
113
秋
田
潟上市立天王南中学校
校長
一関
雅裕
○
114
秋
田
秋田市立牛島小学校
教頭
大門
幸子
○ ○
115
秋
田
秋田市立高清水小学校
教頭
鎗野目和雄
○
116
秋
田
秋田市立金足東小学校
校長
桐生登志夫
○
117
秋
田
秋田市立戸米川小学校
校長
大島
博子
○
118
秋
田
秋田市立大正寺小学校
校長
市橋
誠子
○ ○
119
秋
田
秋田市立秋田北中学校
教頭
進藤
久志
○ ○
120
秋
田
秋田市立上新城中学校
教頭
森合
一郎
○
121
秋
田
秋田市立泉中学校
校長
金子
秀子
○ ○
122
秋
田
秋田市立雄和中学校
校長
高田
喜代
○ ○
123
秋
田
秋田市立秋田商業高等学校
教頭
武藤
四郎
○
124
秋
田
秋田市立御所野学院高等学校
校長
三浦
基
○ ○
125
秋
田
秋田県立秋田西高等学校
校長
工藤
元博
○
126
秋
田
秋田県立秋田西高等学校
教頭
鈴木
幸一
○ ○
127
秋
田
県立養護学校天王みどり学園
校長
江橋
宏栄
○
128
秋
田
県立養護学校天王みどり学園
教頭
妹尾
裕子
○
129
秋
田
秋田県総合教育センター
所
長
菊谷
一
○
○ ○
130
秋
田
秋田県総合教育センター
副所長
菊地
一仁
○
○ ○
131
秋
田
秋田県総合教育センター
総務班長
嵯峨
要
- 66 -
築地
19 日
備
考
○ ○
○
○ ○
英紀
○ ○
○
○ ○
敏明
○ ○
○
○ ○ 研究推進委員
三好美智子
○ ○
○
○ ○ 第1分科会発表者
智通
○ ○
○
○ ○
浩男
○ ○
○
○ ○
典子
○ ○
○
○ ○
大
○ ○
○
○ ○ 運営委員長
○
○
○
○
○ ○
○ ○
○ ○ ○
○ ○ ○ 研究推進委員
○
○
○
○ ○ 第2分科会発表者
○ ○ 第1分科会発表者
○
○ ○ ○ 研究推進委員
○
○ ○
○ ○ ○ 第3分科会発表者
○ ○
○ ○
○
○ ○
○
○ ○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
実行委員長
運営副委員長
18 日
№
県
名
機
関
名
職
名
氏
名
開
19 日
分科会
会 1
2
3
分科会
1
2
4
情
報
閉 交
換
会 会
132
秋
田
秋田県総合教育センター
教職班長
石井
鈴子
○
○ ○
133
秋
田
秋田県総合教育センター
教科班長
佐藤
章和
○
○ ○
134
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 班長
沖田
貞敏
○
○ ○
135
秋
田
秋田県総合教育センター
児童生徒班長
工藤
均
○
○ ○
136
秋
田
秋田県総合教育センター
特別支援班長
本郷
光
137
秋
田
秋田県総合教育センター
研修企画班長
工藤
正孝
○
○ ○
138
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 主任指導主事
宮崎
悟
○
139
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 主任指導主事
工藤
裕
○
140
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 主任指導主事
六郷
博志
○
141
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 主任指導主事
京
久夫
○ ○
142
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 主任指導主事
長岡
光夫
○
143
秋
田
秋田県総合教育センター
森合
茂
144
秋
田
秋田県総合教育センター
京極
雅幸
○
○ ○
145
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 主任指導主事
研究・情報 主任
指導主事
児童生徒主任指導主事
鈴木
修一
○
○ ○ ○
146
秋
田
秋田県総合教育センター
特別支援主任指導主事
樫尾
康子
147
秋
田
秋田県総合教育センター
研修企画主任指導主事
加藤
成
148
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 指導主事
佐藤
清悦
○ ○
○
○ ○
149
秋
田
秋田県総合教育センター
教職 指導主事
近田
浩治
○ ○
○
○ ○
150
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
三浦
初子
151
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
田村
稔
○
○
○ ○ ○
152
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
小松
徹
○
○
○ ○ ○
153
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
佐藤
彰久
○
○
○
○ ○
154
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
土倉
新也
○
○
○
○ ○
155
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
大塚
久隆
○
156
秋
田
秋田県総合教育センター
教科 指導主事
伊藤
亙
157
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
扇柳
政則
○
158
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
武藤
正則
○
159
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
渡部
克宏
○ ○
160
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
佐藤
三雄
○
161
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
赤坂
亨
○
162
秋
田
秋田県総合教育センター
研究・情報 指導主事
小山
昌岐
163
秋
田
秋田県総合教育センター
児童生徒指導主事
渡部
学
○
164
秋
田
秋田県総合教育センター
児童生徒指導主事
安田
和人
○
165
秋
田
秋田県総合教育センター
特別支援 指導主事
佐藤
淳
○
166
秋
田
秋田県総合教育センター
特別支援 指導主事
兜森
宏征
- 67 -
備
考
○
○ ○ ○
○
○ ○ ○
○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○
○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○
○ ○
○
○
○ ○
○ ○ ○
○
○ ○
○
○ ○ ○
○ ○
○ ○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
○ ○
研究推進委員
第1分科会発表者