別添資料 1 使用済燃料受入れ・貯蔵施設における BWR 燃料貯蔵プール

別添資料 1
使用済燃料受入れ・貯蔵施設における BWR 燃料貯蔵プールの
プール水冷却系ポンプの停止について
1.発生日時
平成15年12月6日(土)
19時43分頃
2.事象概要
平成15年12月6日 19時43分頃、使用済燃料受入れ・貯蔵施設にお
いて、「燃料貯蔵プール(BWR/PWR 用)出口配管 A 水位低」警報が発報し、
BWR 燃料貯蔵プールを冷却していた「プール水冷却系ポンプ A」が停止した。
その後、BWR/PWR 燃料貯蔵プールの水位に異常のないことを確認し、
21時58分頃に当該ポンプを再起動し、復旧した。
なお、本事象に伴う放射性物質による環境への影響はなかった。
3.事象発生経緯(添付資料−1、2、3参照)
事象発生時、使用済燃料受入れ・貯蔵施設は、燃料貯蔵プール等の補修工事
のため、通常運転と異なる状態で運用していた。具体的には以下のとおり。
(1) プール、水路等
BWR 燃料貯蔵プール(以下「BWR プール」という。)及び BWR/PWR
燃料貯蔵プール(以下「共用プール」という。)を燃料貯蔵に使用し、他の
プール、水路及びピットについては補修作業を行っていた。
(2) プール水の循環運転
・ BWR プールについては、BWR プール出口配管 A 及びプール水冷却系ポン
プ A(以下、「ポンプ A」という。)を使用してプール水の循環を行ってい
た。
・ また、共用プールについては、共用プール出口配管 B 及びプール水冷却系
ポンプ B(以下、「ポンプ B」という。)を使用してプール水の循環を行っ
ていた。
・ プール水冷却系ポンプC(以下、
「ポンプC」という。)は、ポンプ A 又は
ポンプ B の予備機として待機状態としていた。
・ なお、BWR プール出口配管 B 及び共用プール出口配管 A については弁を
閉めて、隔離状態としていた。
1
(3) ポンプ保護回路
・ プール出口配管内の水位が低下した際にポンプを保護するため、ポンプ A
は BWR プール出口配管 A 又は共用プール出口配管 A のいずれか一方の水
位低信号により、自動停止する回路としていた。
・ また、ポンプ B は BWR プール出口配管 B、共用プール出口配管 B のいず
れか一方の水位低信号により、自動停止する回路としていた。
この運転状態において、プール水の循環に使用していない共用プール出口
配管 A の水位低信号が発信したことにより、運転中のポンプ A が停止した。
なお、事象発生前後の時間帯には、ポンプ A の自動停止に直接関連するよ
うな作業は行っておらず、またプールの水位、水温に有意な変動はなかった。
4.原因調査
(1) 要因分析(添付資料−4参照)
プ ー ル 水 位 に 変 動 が な か っ た に も か か わ ら ず 、「 燃 料 貯 蔵 プ ー ル
(BWR/PWR 用)出口配管 A 水位低」警報が発報し、ポンプ A が停止した
原因について、要因分析に基づき調査を行った。
その結果、水位検出器が動作するような作業は行っておらず、また、水位
検出器自体や関連機器にも異常がなかったことから、水位検出器配管内に空
気が混入したため、水位検出器が動作した可能性のあることがわかった。
(2) プール水出口配管内の水位の確認(添付資料−5参照)
共用プール出口配管 A 内の空気滞留の有無を調査するため、超音波を使用
した調査を行ったところ、配管内に空気が滞留し、水位が「水位低警報設定
値」近傍まで低下していることを確認した。
平成 15 年 3 月にプール等の点検・補修工事に伴い、共用プール出口配管 A
の隔離弁を閉止した際には、共用プール出口配管 A 及び水位検出器配管内は
満水状態であったと考えられることから、滞留していた空気はそれ以降に混
入したものと考えられる。
また、同様にプールとの隔離弁を閉じている PWR プール出口配管 A、B
及び BWR プール出口配管 B についても調査を行った結果、PWR プール出
口配管 A 内にも空気が混入していることを確認した。
(3) 配管内への空気混入の可能性に関する調査(添付資料−6、7、8参照)
BWR プールでは、10 月よりダイバーによるライニングプレートの補修工
事のための補修用ダクトの設置作業を行っており、ダイバー作業中には作業
場所で気泡が水面に出ていることが確認されていた。さらに、プール水冷却
系戻り配管出口周辺においても、時折、気泡が出ていることが多数の作業員
によって確認されていた。
2
このため、12月20日に行ったダイバーによる補修用ダクトの解体作業
時において、ダイバーの吐き出す空気の動きについて水中カメラを用いて調
査を行った結果、ダイバーの吐き出す空気がプール水冷却系吸い込み口より
BWR プール出口配管 A に吸い込まれることを確認した。
以上のことから、BWR プールにおいてダイバーの吐き出す空気が BWR プ
ール出口配管 A に吸い込まれ、プール水冷却系 A 系統の配管内を循環する際
に共用プール出口配管 A の下部へ混入し、同配管内を上昇して、上部に空気
層を作ったものと推定される。
(空気混入のメカニズムについては添付資料−7、8参照)
5.推定原因(添付資料−8参照)
共用プール出口配管 A の水位検出器が動作した原因は、BWR プール内で作
業していたダイバーの吐き出す空気を含んだプール水が、プール水冷却系 A
系統配管内を流れ、その一部が共用プール出口配管 A の下部に混入し、配管
上部に空気が徐々に溜まったため、共用プール出口配管 A 内の水位が低下し
たことによるものと判断した。
ポンプ A は、BWR プール出口配管 A 又は共用プール出口配管 A のいずれ
か一方の水位低信号で自動停止する回路としていたことから、プール水の循環
に使用していない共用プール出口配管 A の水位検出器が動作したことにより
自動停止に至ったものである。
6.対策(添付資料−9参照)
上記の原因を踏まえ、プール等の補修作業が終了し、通常状態に復旧する
までの間は、実際にプール水を循環している出口配管の水位検出器の信号のみ
をポンプ停止用として用いることとし、プール水が循環していない出口配管の
水位検出器の信号は使用しないポンプ保護回路に変更した。
なお、ポンプ保護のためにはプール水冷却系ポンプは水位低信号のほか、吸
込圧力低下信号により、自動停止する保護回路も有している。
以
3
上
(H15.12.6現在)
:隔離ゲート
N
斜路(B)
燃料移送水路
燃料送出しピ ット
燃料仮置きピ ッ ト(A )
燃料仮置きピッ ト (B )
斜路(A)
燃料取出し ピ ッ ト(A )
BWRプール
PWR プール
チャンネルボックス
取扱ピット
バーナブルポイズン
取扱ピット
共用 プール
燃料取出し ピ ッ ト (B )
添付資料−1
燃料貯蔵プール隔離状況図
チャンネルボックス・バーナブルポイズン
取扱ピット
添付資料−2
いずれかの信号が発信すること
によりポンプAが停止する。
2/3
PWRプール出口配管水位低信号発信中
BWRプール
冷却水戻り配管B
共用プール
冷却水戻り配管B
PWRプール
冷却水戻り配管B
BWRプール
冷却水戻り配管A
LS
PWRプール
冷却水戻り配管A
LS
A
B
BWRプール
出口配管B
LS
LS
LS
A
B
PWRプール
出口配管B
LS
A
B
共用プール
出口配管A
PWRプール
出口配管A
BWRプール
出口配管A
共用プール
冷却水戻り配管A
水位低
警報発報
共用プール
出口配管B
共用プール
PWRプール
BWRプール
プール水冷却系
ポンプ
A
プール浄化系
プール水冷却系
熱交換器
プール水冷却系A系統
A
P
C
C
P
予備機
B
プール水冷却系B系統
B
P
【凡例】
プール水冷却系
運転状態概要
:開
:閉
LS :水位検出器
プール水冷却系
ポンプA
起動
プール水冷却系
ポンプA
停止
起 動
CS
CS:コントロ-ルスイッチ 補機等を起動・停止する時のスイッチ
停 止
注)プール水冷却系ポンプCも同様
燃料貯蔵プール(BWR用)
出口配管A水位低信号
燃料貯蔵プール(PWR用)
出口配管A水位低信号
2/3
A
:AND回路
燃料貯蔵プール(BWR/PWR用)
出口配管A水位低信号
入力信号A、Bが共にONの場合に、出力信号ZがONとなります。
2/3 :2/3回路
A
B
C
2/3
Z
入力信号A、B、Cのうち2つがONの場合に、出力信号ZがONとなります。
A
:OR回路
B
Z
入力信号A、またはBのいずれかがONで、出力信号ZがONとなります。
:NOT回路
A
入力信号AがONの時、出力信号ZがOFFとなります。
プール水冷却系ポンプAの停止に係る回路図
Z
添付資料−3
「燃料貯蔵プール(BWR/
PWR用)出口配管A水位
低」信号発信!
PWRプールは隔離し、「燃料貯蔵プール
(PWR用)出口配管A水位低」信号を常
に発信している状態としていたことから
「燃料貯蔵プール(BWR用)出口配管A
水位低」信号または「燃料貯蔵プール(B
WR/PWR用)出口配管A水位低」信号
のいずれかでポンプが自動停止する回
路となっていた。
Z
B
要 因 分 析 図
(判定)
(確認結果及び判定理由)
隔離操作
事象発生前に隔離操作はしていなかった
×
運転操作
事象発生前に運転操作は実施していない
×
点検作業
事象発生前に関連する作業等は実施していない
×
水位検出器点検によるポンプ停止
点検は実施していない
×
異物付着
異物付着すると警報が出なくなる
×
絶縁不良
絶縁不良になると警報が出なくなる
×
発信回路の不良
点検結果異常なし
×
設定不良
設定がずれることは考えにくい
×
警報回路でのリレーON・OFFが
行われているため問題ない
×
外部電源喪失
電源喪失なし
×
配管破断によるポンプ停止
水位検出器廻りの配管異常なし
×
プール水低下によるポンプ停止
プール水位異常なし
×
衝撃による水位検出器の誤動作
異常な衝撃・配管振動はない
×
停電・瞬停はない
×
現場確認により空気混入を確認した
○
ー
(要 因)
プ
人的要因
水位検出器の誤動作
検出部
︵
ル
水
冷
却
系
ポ
ン
プ
A
停
止
発信部
機械的要因
ー
燃
料
貯
蔵
プ
安全系監視制御盤誤動作
系統的要因
電源系統による誤動作
リレー動作不良
電源電圧不調
水位検出器配管内への空気混入による信号の発信
凡例 ○:可能性あり
×:可能性なし
添付資料−4
︶
ル
B
W
R
/
P
W
R
用
出
口
配
管
A
水
位
低
警
報
発
報
超 音 波 調 査 結 果(共用プール出口配管A水位)
H15.3.25隔離弁閉止時点では満水
水有り
空気層
水位検出器
空気層
ベント弁
1270
空気層
出
口
配
管
電極
水有り
200
水位低警報設定値
電極先端と出口配管
水位の水位差25mm
水有り
水有り
水有り
(ガス抜き用に傾斜配管にし
ているため、配管上部に空
気がある)
:測定箇所
ドレン弁
水有り
添付資料−5(1/2)
水有り
水有り
超 音 波 調 査 結 果(PWRプール出口配管A水位)
810
:測定箇所
水有り
点検後、PWRプールは、水抜きが行
われていたこと及び隔離弁を閉めて
いたことからベント弁まで空気抜きを
行っていた。
ベント弁
出
口
配
管
水有り
電極
820
H14.8.14水張時点での水位
水位検出器
200
300
空気層
水有り
水有り
水有り
水有り
水有り
水有り
ドレン弁
添付資料−5(2/2)
水有り
当日のダイバー作業実施箇所(BWR燃料貯蔵プール北東コーナ)
補 修 用 ダ ク トV
S
3950
V
3950
N
補 修 用 ダ ク トS
R
補 修 用 ダ ク トR
9550
A系統吸い込み口
9550
【凡 例 】
:燃料ラック
:燃 料 ラ ック
:ダイバー作業エリア
:ダ イバ ー 遊 泳 空 間
BWR燃 料 用
燃BWRプール
料 貯 蔵 プー ル
8450
8450
BWR及 び PWR 燃 料 用
共用プール
燃料 貯蔵プール
4550
4550
:ス カ ッパ ー
T
プール水冷却系戻り配管
ダ イ バ ー 作 業 エ リア と吸 い 込 み 口 位 置 関 係
プール水冷却系戻り配管
添付資料−6
補 修 用 ダ ク トT
プール隔離弁
全閉
プール隔離弁
全閉
空気供給
ホース
気泡
プール隔離弁
全閉
ダイバー潜水作業時の
使用空気量:923m3
LS
隔離全閉
気泡
プール隔離弁
全閉
ダイバー使用空気の
貯留量:0.079m 3
(使用空気量の0.009%)
LS
気泡
ダイバー使用空気の
貯留量:0.126m 3
(使用空気量の0.014%)
LS
プール内でのダイバー
作業に伴う気泡発生
隔離全閉
BWR燃料貯蔵プ
BWR プール ール
気泡
PWPWR
R燃料プール
貯蔵プール
B/P共用プール
燃料貯蔵プール
P
プール水冷却系熱交換器A
空気混入原因推定図
添付資料−7
プール水冷却系ポンプA
添付資料−8
空気混入メカニズム図
共用プール出口配管A
【状態1:ダイバー作業開始前】
350A
20A
LS
比重の小さい温水
(比重小)
プール水冷却系配管
<凡
例>
20A
350A
:
450A
配管径が 350mm で
あることを示す。
350A
冷たい滞留水
(比重大)
【状態2:ダイバー作業により母管に気泡混入】
空気ゾーン
350A
20A
LS
比重の小さい温水
(比重小)
20A
450A
350A
冷たい滞留水
(比重大)
【状態3:12月6日(土)19時43分頃】
LS
比重の小さい温水
(比重小)
新たな気泡の供給無し
空気ゾーン
350A
20A
水位変動
水位検出器動作
警報発報
20A
450A
残存気泡の移行
350A
冷たい滞留水
(比重大)
プール水冷却系
ポンプA
起動
プール水冷却系
ポンプA
停止
起 動
CS
CS:コントロ-ルスイッチ 補機等を起動・停止する時のスイッチ
停 止
注)プール水冷却系ポンプCも同様
燃料貯蔵プール(BWR)
出口配管A水位低信号
A
:AND回路
B
Z
入力信号A、Bが共にONの場合に、出力信号ZがONとなります。
A
:OR回路
B
Z
入力信号A、またはBのいずれかがONで、出力信号ZがONとなります。
A
入力信号AがONの時、出力信号ZがOFFとなります。
プール水冷却系ポンプAの停止に係る回路図(変更後)
Z
添付資料−9
:NOT回路