第8節 環境保健事業 [1] 公害健康被害補償制度 大気汚染による健康被害者を救済するため「公害健康被害補償法」が成立し、昭和52年1月13 日、本市の臨海商工業地域も同法に基づく第一種地域に指定されたため、健康被害の認定を行っ てきた。健康被害が大気汚染によるものか否かについて、個々に厳密な因果関係の証明を行うこ とが困難なため、①指定地域 ②指定疾病(慢性気管支炎・気管支ぜん息・ぜん息性気管支炎・ 肺気腫) 、及び ③居住等の期間(曝露要件)の三つの要件によって認定してきた。 しかし、その後の大気汚染の態様の変化や、科学的知見を踏まえて、昭和62年9月に同法が「公 害健康被害の補償等に関する法律」に改正され、全国一斉に地域指定解除となった。昭和63年3 月1日から健康被害者(患者)の新規認定はなくなったが、被認定者への補償給付などは継続し ている。 中央区 須磨区 長田区 灘区 兵庫区 東灘区 J R たかとり しんながた さんのみや もとまち こうべ ひょうご なだ ろっこうみ ち せっつ もとや ま すみよし J R ■年齢別被認定者数 (H25 年 3 月末現在) 旧指定地 域 公害健康被害補償法に基づく指定地域図(旧指定地域) 年齢階層 ■疾病別被認定者数(H25 年 3 月末現在) 指定疾病 被認定者数 0~19 0 20~29 67 30~39 237 慢性気管支炎 52 40~49 106 気管支ぜん息 703 50~59 41 ぜん息性気管支炎 0 60~69 89 肺気腫 4 70~ 219 合 計 759 合 ■被認定患者数の推移〔( )内の数字は累計〕 年度 被認定者数 新規被認定 被認定者 者数(名) 累計(名) 計 759 (H25年3月末現在) 転入 転出 死亡 治ゆ等 年度末現在 被認定者数 19 0 3,367 1(47) 2(51) 28(975) 36(1,430) 959 20 0 3,367 0(47) 1(52) 18(993) 23(1,453) 916 21 0 3,367 2(49) 1(53) 36(1,029) 18(1,471) 863 22 0 3,367 0(49) 0(53) 16(1,045) 17(1,488) 830 23 0 3,367 0(49) 0(53) 18(1,063) 25(1,513) 787 24 0 3,367 0(50) 0(53) 21(1,084) 8(1,521) 759 - 91 - 第2章 保健事業 第8節 環境保健事業 (1)公害健康被害救済 ①補償給付 公害被認定者に対し、療養の給付、障害補償、遺族補償等の補償給付を実施している。 ②公害保健福祉事業 公害被認定者に対し、成人の転地療養事業、機能回復訓練教室、区保健師による家庭療養 指導事業、インフルエンザ予防接種費用助成等を行っている。(別表1) (2)公害健康被害予防事業 昭和63年法改正に基づき、大気汚染による健康被害を予防するための事業として、気管支喘 息児童の健康回復、保持、増進に関する知識の普及、意識向上を図るため、市民を対象にアレ ルギー健診、ぜん息児童のためのサマーキャンプ、水泳教室等を行っている。(別表2) (3)(独)環境再生保全機構との共催事業 ぜん息の予防等に関する講演会、職員向け講習会を実施している。(別表3) (4)大気汚染と健康影響についての調査 環境保健サーベイランス調査:環境省からの委託事業として、3歳児と6歳児を対象とする調 査を灘区と兵庫区で実施している。 ■別表1 公害保健福祉事業 (平成24年度実績) 機能回復訓練教室 参加人数 12 人 1泊2日リハビリテーション事業 参加人数 2人 転地療養事業(3泊4日) 参加人数 21 人 家庭療養指導事業 保健師訪問人数 インフルエンザ予防接種費用助成事業 助成実施数 ■別表2 公害健康被害予防事業 アレルギー健診 ぜん息児サマーキャンプ(2 泊 3 日) ぜん息児水泳教室 ■別表3 講演会・講習会 ぜん息等に関する講習会 (職員向け) 成人を対象とした ぜん息等に関する講演会 (一般市民向け) 小児を対象とした ぜん息等に関する講演会 (一般市民向け) 延 42 人 313 件 (平成24年度実績) 4 ヶ月児 受信者数 12,232 人 指導対象者 1,223 人 1 歳 6 ヶ月児 受信者数 12,552 人 指導対象者 7,405 人 3 歳児 受診者数 12,543 人 指導対象者 6,898 人 参加人数 13 名 出務医師確保困難により実施せず (平成24年度実績) 講師 日時 東京都立小児総合医療センター ・アレルギー科 古川 真弓 氏 ・アレルギーエデュケーター 益子 育代 氏 平成 24 年 8 月 24 日 83 人 神戸大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 西村 善博 平成 24 年 11 月 23 日 78 人 平成 24 年 12 月 15 日 60 人 氏 神戸市立医療センター中央市民病院 小児科 岡藤 郁夫 氏 神戸市立医療センター西市民病院 アレルギーエデュケーター 渡木 綾子 氏 - 92 - 参加数 第2章 保健事業 第8節 環境保健事業 [2] アスベスト健康被害に関する対応について (1) アスベスト健康被害に関する対応について 平成 17 年 6 月、尼崎市のアスベスト健康被害における中皮腫患者の集団発生を機に、アス ベスト対策の取り組みが全国的な課題となり、環境省から兵庫県・尼崎市・西宮市・姫路市と ともに委託を受け、 平成 14 年から平成 16 年の 3 年間の中皮腫死亡患者(兵庫県は 218 名うち神 戸市は 73 名)を対象に兵庫県における石綿の健康影響実態調査を行った。 また、神戸市においては、市民の健康不安に対して平成 17 年 8 月 1 日からアスベストに関 わる健康相談や市民健診等を活用した検診を開始し、必要な場合には専門医を紹介、さらに継 続観察が必要な場合には健康管理手帳を発行し、医療機関での継続観察を支援している。 ■アスベスト健康管理支援事業手帳交付数 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 6冊 7冊 8冊 健康管理手帳 ■市民健診等におけるアスベスト関連受診者数 従事者・ (アスベストばく露) 家族・一般健康不安 要精密検査 平成 17 年度 102 45 14 平成 18 年度 150 39 20 平成 19 年度 164 24 24 平成 20 年度 43 3 6 平成 21 年度 3 1 4 平成 22 年度 104 0 5 平成 23 年度 92 0 4 平成 24 年度 159 17 6 ※平成 22 年度より、肺がん検診におけるアスベスト関連受診者数を追加計上。 ■アスベストに関する健康相談実施状況 に つ い て 石 綿 ( ア ス ベ ス ト ) よ る 健 康 被 害 に つ い て 石 綿 ( ア ス ベ ス ト ) に に つ い て (重複回答あり) 検 査 ・ 検 診 等 に つ い て 就 労 中 の 健 康 被 害 影 響 に つ い て 〔注〕平成 17 年 8 月から実施 工 場 周 辺 住 民 へ の そ の 他 て ( H 1 8 年 4 月 ~ ) 救 済 給 付 等 申 請 に つ い 合 計 平成 17 年度 180 271 424 130 23 266 平成 18 年度 69 100 112 29 6 19 65 400 平成 19 年度 44 55 93 14 4 20 19 249 平成 20 年度 28 28 43 7 2 10 17 135 平成 21 年度 14 20 22 5 0 10 31 102 平成 22 年度 8 20 19 9 1 12 28 97 平成 23 年度 12 17 10 5 0 7 27 78 平成 24 年度 8 9 15 6 0 5 12 55 - 93 - 1,294 第2章 保健事業 第8節 環境保健事業 (2)石綿健康被害救済給付の受付 石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、労災補償等の対象とならない者を救済 するため、 「石綿による健康被害の救済に関する法律」が平成18年3月27日に施行された。同法 に基づき(独)環境再生保全機構が行っている「救済給付」について、申請者の利便性を考慮し て、神戸市でも書類の配布・受付業務を受託し実施している。 ■療養費関係 申請件数 中皮腫 肺がん びまん性 石綿肺 胸膜肥厚 記載なし 申請件数 平成17年度 (3月のみ) 7 4 0 0 2 13 平成18年度 11 2 0 0 2 15 平成19年度 12 5 0 0 0 17 平成20年度 11 5 0 0 0 15 平成21年度 8 3 0 0 0 11 平成22年度 6 2 0 0 0 8 平成23年度 13 5 1 0 0 19 平成24年度 8 1 0 0 0 9 累計 76 27 1 0 4 107 ※1件に複数病名記載の書類もあるため、疾病数と申請数は一致しない。 ■特別葬祭料・遺族弔慰金関係 中皮腫 請求件数 肺がん びまん性 石綿肺 胸膜肥厚 記載なし 申請件数 平成17年度 (3月のみ) 4 0 0 0 0 4 平成18年度 9 4 0 0 0 13 平成19年度 3 3 0 0 0 6 平成20年度 1 3 0 0 0 4 平成21年度 7 1 0 0 0 8 平成22年度 2 1 1 0 1 4 平成23年度 5 0 0 1 0 6 平成24年度 0 0 0 0 0 0 累計 31 12 1 1 1 45 - 94 -
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