半導体レーザー微小循環血流計による - 公益財団法人日本股関節研究

◆研究助成金による研究成果報告 │◆
体 内
導 骨
レーザ ー微小循環血流計 による
血 流量
報告者 :聖 マ リア ンナ医科大学整形外科学教室
内藤隆広
清 水弘之・ 杉原俊弘
別府諸兄・ 三 好邦達
それで は、次 に、研究助成 金 によ る研究
成 果報告 に進 み ます。 司会 を理事長 の伊丹
康 人先生 にお願 い いた します。
〔
伊丹 〕助成金 を差 し上 げ た立 場 と しま し
て、私 が 司会 を させて いた だ きます。
今回、我 々は、半導体 レーザ ー微小循環
血流計を用い、家兎 の血管柄付 き膝関節 モ
デルを使用 し、骨皮質及び骨髄内の血流量
を経時的に測定 し、その変動を観察 したの
で、報告す る。
このプ ロ グラ ム にあ ります、 1番 の慈恵
医大 の第 1解 剖、 山下教授 は、 ち ょ っ とご
方
都合が悪 くて、お見 え にな って お りません。
今回使用 した半導体 レーザ ー微小循環血
流計 (以 下、 レーザー ドップラー血流計 と略
済 み ませんが 第 2番 目の聖 マ リア ンナ医科
法
大学 、 内藤 さんか ら始 めて いただ きた い と
す )は 、PERIMED社 製、 Peri Flax PF3
思 い ますが、 いか がで しょ ぅか。
を用いた。 (図 1)
使用 した動物 は、 日本 白色系雌 の家兎 7
〔
内藤 〕 それで は、 ス ライ ドをお願 いいた
します。
は じめ に
股 関節 の 、特 に大腿骨頭 の血 流 を測 定す
か ら10週 齢、体重 1.1か ら 1.3 kgで 、 10%
のネ ンプ タール によ る静脈 麻酔下 に行 った。
実験 モ デル は、 1987年 、Starkが 報告
した方法 に従 い、膝関節 の 中枢、末梢部 の
る ことは、股関節疾患 の早期診 断並 びに治
筋肉を、付着部付近 で切離 し、大腿骨、腫、
療 法 の適応 を検討 す る際 に有益 で あ り、 ま
緋骨を膝関節部 よ り 3 cmの 部分でおのおの
骨切 りし、膝富動 静脈 のみ の血管柄付 きモ
デルを作成 した。 (図 2)
た、 治療後 の経過観察 に も有用 で あ る。
間接 的 な検査法 と して、 ダイ ナ ミック骨
シ ン チ、 ガ ドリニ ウ ム DTPA、 ダ イ ナ
ミックMRIな ど、近 年 その進 歩 は 目覚 ま
しい もの が あ る。 また、 直接測定す る検査
法 と して は、 キセ ノ ン・ ウ ォ ッシュ・ アウ
ト法 や、 水素 ク リア ラ ンス法 な どが 行 われ
骨切 りを した部位 に直ちにキルシュナー
鋼線を用 いて 、膝関節を元 の位置 に固定 し、
さらにその周囲 に、骨切 り部分か らの出血
を防止す るため、Bone waxを 使用 した。
(図
3)
て い る。
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一
図
1
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図 2
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血 管 ク リ ッ プ
表
1
骨皮質の血流を測定するた めに、腫骨骨端
線 の約 l cm末 梢 で、内側幽 靱帯付着部前
方 にプローベを、骨面に対 して垂直に当て、
用手 的 に保持 し、測 定 値 が安定す るまで
10分 間行 い、コン トロール値 とした。
(図 4)
さらに、膝富動静脈同時 クリップ群 4羽 、
静脈 のみ の クリップ群 4羽 の両群をお のお
の 2時 間 と 6時 間 の阻血並 びに鬱血状態 と
し、室温20℃ で連続測定 した。 さらに、 ク
リップ除去後、血管柄 の開存を マイ クロス
コープ下 で確認 し、皮質血流量を連続的に
測定 した。 (表 1)
一方、骨髄内血流量 を測定するた め、骨
皮質で測定 した同 じ部位 に骨孔 を作成 し、
プローベが骨髄内 に達す るよう固定 した。
骨皮質を測定 したときと同様、まず コン ト
ロール値を測定 し、次 に膝富動静脈 ク リッ
プ群 4羽 、静脈 クリップ群 4羽 を作成 し、
おのおの 2時 間 と 6時 間 の阻血並 びに鬱血
状態 の各 2羽 とし、骨髄内血流量を連続測
定 した。 (図 5)
なお、非手術側肢 のSaphenaus artery
に動脈圧測定用 カニ ュー レを挿入 し、術中
図 4
麻酔下 の家兎の動脈圧を連続的 に測定 した。
"
図 5
慮 流 菫
図 6
果
非手術側 の Saphenaus arteryに カニュ
ー レを挿入 した動脈圧測定 の結果では、動
虫 灘 豊
結
脈圧は安定 してお り、実験中の麻酔深度 に
よる大 きな変動 はな く、本血流計 による測
定状態に影響を与えて いなか った。(図 6)
骨皮質 の血流量測定値 について、動静脈
を クリップ した 2時 間阻血群では、クリッ
プ前 の コ ン トロール値 と、 クリップ してい
る最中の値、血行再開後 の値で、 この間の
ア
骨皮賛 動・ 静鎌クリツプ(2時 間)
図7
測 定値 の変動 は ご くわずか で あ った。
(図 7)
● ■
● ■ ■
■
骨皮質 鵬・ 勝諫 ク リップ(6時 間 )
骨皮口 静 餞 タリップ(6時 間 )
図 8
図 10
● ュ ニ
骨皮買 静諫 タ リップ (2時 間 )
0● 内 ●・ 静朦クリップ(2時 間
)
日9
また、 6時 間阻血群で も、同様であ った。
(国
8)
一方、い脈 のみを クリップ した 2時 間鬱
血群で は、 クリップ前 の コン トロール億、
ク リップ して い る最中、血 行再開後 の値 の
変動 は、動静脈 クリップ群よりさらにわず
かであ った。 (口 9)
また、 6時 間鬱血群で も、同様 にわずか
な変動 を示 したにす ぎなか った。 (国 10)
骨髄内 の血流量測定値 について、動静脈
を クリップ した 2時 間阻血群では、 クリッ
プ前 の コ ン トロール値が ク リップ直後 よ り
急激 に減少 し、そ の後徐 々に低下 し、測定
不能 とな った。
日 11
クリップを除去 し、血行再開後、測定饉
は約 5分 間で 、 ク リップ前 の コン トロール
値 に回復 し、さらに高血流を示 し、約 8分
間 で コ ン トロールに回復 した。 (口 H)
また、 6時 間阻血群では、 クリップ後は、
同様 に急激な減少を示 し、血行再開後、測
定値は約 6か ら 7分 間で クリップ前 の コ ン
トロール値 に回復 した。 また、血行再開後
は、 2時 間群 の ごと く、 コン トロール値を
超 え る リバ ウ ン ドは認 め られ なか った。
(目 12)
一方、
クリップ した 2時 間鬱血群で
は、ク リ"脈
ップ後よ リコ ン トロール値 に比 べ 、
値 は急激 に増加 し、約 50分 間 この状態が継
血 機 量
嵐 漉 量
骨髄内 動・ 静際 クリップ(6時 間)
骨鷲 内 静 脈 ク リップ
図 12
図 13
続 した。その後、急激 に測定値 の減少を示
し、測定不能 とな り、 ク リップを除去 し、
血行を再開させて も、測定値 は回復を示 さ
なか った。また、 6時 間鬱血群 で も、同様
な結果 であった。 (図 13)
考
察
半導体 レーザ ー微小循環血流計は、 レー
ザ ー光が計測部位 の組織内の限 られた範囲
で拡散 し、赤血球数、赤血球速度 を計測 し、
また、相対的な血流量の算出 も可能であり、
連続測定可能で、取 り扱 いが簡便である。
今回用 いたPeri Flax PF3は 、 2 mln・
Wの 低 出力 He一 Ne。 レーザ ーを用 い、
プローベの先端か ら 1.O mmま での半円塗部
分 の毛細血管血流量を測定で きる。(図 14)
レーザ ー ドップラー血流計 による骨内血
流を測定 したのは、我 々の渉猟 し得 た範囲
で は、Swion
kOwski,Schuurmanら の
報告があるにす ぎない。
大腿骨頭 の阻血状態を再現する実験 モデ
図 14
変動を鋭敏 に評価す ることは、骨皮質では
困難であ った。骨髄内の血流 の変動 は、動
静脈 ク リップ、静脈 クリップ群 ともに、的
確 にその変動をとらえる ことがで きた。
我 々 と同 じ血流計を用 いたSChuurman
の報告 も、ほぼ我 々と同様 の阻血後 の骨内
血行 の回復状態であ った。 しか し、静脈 ク
リップ した鬱血群 では、我 々の結果 では一
時的 に高血流を示 し、その後、測定不能 と
な った点で異 なっていた。
ルの作成 が困難 なため、今回、我 々は、骨
内血流 の状態を コン トロールす ることが可
能である血管柄付 き膝関節 モデルを利用 し、
本法 は絶対値を得 ることが難 しく、臨床
応用 という点 で問題があるが、毛細血管 の
骨内血流 の変動を検討 した。
我 々の結果で は、骨皮 質、骨髄内 ともに、
血流を鋭敏 に、かつ連続的に測定で きる利
点 があ り、阻血実験 モデルの血流測定に有
血流 の測定は可能であ りま したが、血流の
用 であった。
″
まとめ
半導体 レーザ ー微小循環血流計を用 い、
血管柄付 き膝関節 モデルにおける骨 内血
流量 の測定を行 った。骨贅内は骨皮 質 に比
べ、血流量 の変動 の評価が 可能 であ った。
半導体 レーザ ー微小循環血流計 は、操作が
簡便で、連続測定 が 可能 であ り、かつ 血流
の変動 に高感度であ り、実験 モデ ルの血流
測定 には有用 であ った。
以上 で す。
5π
ではないのですけれど も、まあ、その よう
◆討
論◆
な もので あけてお ります。ただ、強 く骨髄
内 にまで 当てな いよ うに、そ こら辺は なる
べ く慎重 に骨孔を作成 したつ もりです。
〔
伊丹〕はい、ありがとうございました。
どなたか、ご質問はございますか。はい、
どうぞ。
(東 〕埼玉医大の東ですけれども、ちょっ
と教えていただ きたい。
プローベを入れるときの コルチカルの厚
さはどの くらいなんですか。
(内 藤〕大体 15か ら2mぐ らいだと思 い
ます。
〔
東〕そうすると、プローベは、完全にコ
ルチカルの部分に入 っているのですか。
〔
内■〕一応、その厚みを大体測定 して、
それよりも少 し、若千、プローベの先端か
ら入るような形で、一応測定 しているよう
にしてお ります。
(東 〕それで、 コルチカリスはデ ンタル・
ドリルか何かで もって¨¨ 。
〔
内藤〕いわゆる、そんな大げさな ドリル
"
(東 〕伺 っていて、 コル チカ リスのプ ラッ
ド・ サプライをはか るの は非常 に難 しいの
ではないか と思 ったわけです。
〔
伊丹〕 この微小血管血流量 の血流計です
けれども、股関節財団 としま しては、股関
節 に応用 して いただ きた いのですけれ ども、
です力、
将来、見通 しはいか力く
(内 車〕ええ、やはりさ っきも、本文中で
述 べ たとお り、絶対饉 のよ うな評価ではな
いので 、相対億 というところが、や つば り
一 番の欠点 だ と思 うので すけれ ど も、やは
り臨床応用で、 もう報告的 に、大麗骨頭壌
死 です とか、そういう分野 で の報告が若千
見 られて い るとい うことか ら考えます と、
私 どももそちらの方面 に、で きま した ら使
用 していきたいと思 ってお ります。
〔
伊丹〕は い、どうもあ りが とうございま
した。