『放射線治療の基礎』 - 神奈川県放射線技師会

H19年度 神奈川県放射線技術講習会
『放射線治療の基礎』
∼放射線治療に必要なこと∼
神奈川県放射線治療技術研究会 Vol.3 2007
11 November 2007
『放射線治療の基礎』 ∼放射線治療に必要なこと∼
位置決め(装置の使用、技術、固定方法を含む)
昭和大学横浜北部病院 渡邉 裕之
治療計画(装置、技術を含む)
昭和大学藤が丘病院 岩井 譜憲
照射技術(照射技術、照準方法を含む)
JA神奈川県厚生連相模原協同病院 松本 好正
QA・QC(放射線治療全体を通してのQA、QC)
公立大学法人横浜市立大学附属病院 野村 和人
11 November 2007
神奈川県放射線技術講習会
放射線治療の現況
北里大学病院 放射線部 上前 峰子
11 November 2007
放射線治療の現況と将来
がん対策基本法と放射線治療
放射線治療専門技師
11 November 2007
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
資料提供者 大阪大学医学系研究科
医用物理工学講座
手島 昭樹 先生 がん対策基本法と放射線治療
放射線治療専門技師
11 November 2007
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
背景
医療実態調査研究Patterns of Care Study(PCS)
によるわが国の放射線治療の現況
施設構造基準(日本版ブルーブック)
将来
11 November 2007
背景
11 November 2007
放射線治療の構造調査
調査年
6)
人口 (x10
治療施設
癌患者(新患数)
米国
2005
2001
127.7 *
(約)
735
(約) 162,000
放射線治療の割合 (約)
放射線治療医
物理士
日本
25%
(約) 776 FTE
(約).
115
#
280.3
2,000
700,000
60%
4,000
4,000
*2000, # 1999, FTE : フルタイムの雇用 (放射線治療業務40 時間/週間)
医療実態調査研究による日本における
放射線治療を行った新がん患者数の推定
新患者数
400000
400000
360,000
・
350000
350000
300000
300000
250000
250000
• 250,000
200000
200000
• 170, 000
150000
150000
100000
100000
50000
50000
5
2015
201
0
2010
201
5
2005
200
0
2000
200
5
1995
199
1990
199
0
00
PCS : Patterns of Care Study 医療実態調査研究
: JASTRO 構造調査
前立腺癌の治療の実態調査
(1989, 1994, 1999の動向)
前立腺(米国)
120
%
CT-based RT
planning
72+ Gy
Percent
100
80
60
WRT
40
Hormone Use
20
0
1989
1994
1999
Survey Year
Zelefsky M.J. et al. Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 59(4): 1053-61, 2004
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
背景
医療実態調査研究Patterns of Care Study(PCS)
によるわが国の放射線治療の現況
施設構造基準(日本版ブルーブック)
将来
11 November 2007
構造
装置と 人
プ ロ セス
結果
評価の行為と
患者への治療
患者への効果
米国医療実態調査研究によるエビデンス
放射線治療技術の重要性
全米調査結果 (%)
合併症 再発 (生存率)
• AP-PA のみ
他の照射法
前立腺癌
6
3
• 1門/日
> 1門/日
子宮頸癌
13.5
4.8
• 適切な線量投与 (Gy)
前立腺癌 T3
外部照射 <55
>70 N/A
• 適切なエネルギーの選択
< 6MV
>6MV
N/A
• 腔内照射
子宮頸癌
14
0
N/A
N/A
38
10
31
19
41
( 37
17
70 )
手島 JASTRO誌 11: 247-254, 1999 2階層の抽出標本
yhik
症例のサンプル
mhi
施設のサンプル
(h, i)
nh
施設の階層化
h
L
A1
A2
B1
B2
99-01 実態調査
階層別 #
患者数/年 施設数 患者総数 $
A1 : 大学病院, がんセンター ≧ 430
A2 : 大学病院, がんセンター < 430
B1 : その他
≧ 130
B2 : その他
< 130
58
59
253
270
40,020
16,005
59,739
18,822
総計
640
134,586
A1, A2 : 大学病院,がんセンター
B1, B2 : その他 ( 国立,県立,市立病院 )
$ JASTRO構造調査( 2001)
# PCS99-01 集計データ
施設数
乳房 子宮頸部 食道 肺 前立腺
施設
A1
A2
B1
B2
20
18
20
18
総数 76
Image
(GB)
216
217
229
171
833
2,141
1.07
208
150
181
92
631
196
162
186
77
621
総数
195
145
273
170
783
169
984
146
820
137 1,006
76
586
528 3,396
3,010 2,475 3,280
1.60
1.45 1.54
2,483 13,389
1.37
7.03
A1 : 大学病院/がんセンター ( 患者数/年 >
A2 : 大学病院/がんセンター
( 患者数/年 <
B1: 他の国立、県立、市立病院 ( 患者数/年 >
B2: 他の国立、県立、市立病院
( 患者数/年 <
430
430
130
130
)
)
)
) PCS : Patterns of Care Study 医療実態調査研究
日本における放射線治療の構造
(装置とスタッフ) 2001
施設構造 A1
A2 B1 B2
Linac(Mean) 1.7 1.6 1.1 0.94
Dual energy (%)
78
CT simulator (%)
70
HDR RALS (%)
71
放射線治療医 (FTE Median)* 2.7
治療担当技師 (FTE Median) *
4
新患者数 (Mean) 630
患者数/治療医
233
62
50
72
1.5
3
397
264
76
50
35
0.8
2
264
264#
Increased by >20% compared with 1995 data. JASTRO 9: 231-52, 1997
* Personnel data: 1997 vs. 2001
# calculated as FTE=1
38
28
20
0.3
1.3
101
101#
食道癌, 外部照射のエネルギー
子宮頸癌における腔内照射の併用
26
Toita T, Kodaira T, Shinoda A, et al.
放射線治療の品質の指標(一例)
前立腺癌# in 99-01
エネルギー (>10MV)
原体照射
線量
高線量 (>72Gy)
ポータルイメージィング装置
1日における全門照射
*Academic : 大学病院 / がんセンター
Non-academic :その他の病院
Academic* Non-Academic p-value
85%
60%
< .0001
56%
24%
< .0001
69Gy
66Gy
< .0001
11%
3%
< .0001
90%
55%
< .0001
87%
61%
< .0001
#JPCS Survey Item in PCS99-01
Data (Ogawa K. JJCO 34: 29-36, 2004 )
PCS’95-97
施設層・臨床病期と生存率(食道癌)
3年生存率
生存率
stage I & II*
A
B
54%
29%
stage III**
18%
10%
経過観察 0∼72ヶ月(中央値8ヶ月)
*p=0.008
**p=0.084
年
施設層別の腔内照射の施行割合と成績
(子宮頚癌)
83.7%
PCS’95-97 A1
77.9%
A2
73.4%
B1
B2
施行
施行せず
50.0%
0%
50%
100%
Survival Rate
10
0
50
P= .0001
0
0
1
2
3
4
5
Years after Radiotherapy
6
7
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
背景
医療実態調査研究Patterns of Care Study(PCS)
によるわが国の放射線治療の現況
施設構造基準(日本版ブルーブック)
将来
11 November 2007
放射線腫瘍医1名に対する年間の患者
患者数
(人) 450
400
A1
350
A2
B1
300
250
200
B2
150
100
50
0
Q1
Q2
Q3
Q4
FTE <1 の施設は FTE=1 として計算
患者数による負担度
JASTRO 構造調査 2005 A 階層: FTE>=1
1000
年間患者数/放射線腫瘍医
900
800
全施設(n=272)
地域がん診療拠点病院 (n=93)
700
600
500
400
危険レベル
300
200
ブルーブック
ガイドライン
100
0
Q1
Q2
Q3
Q4
ハード面) デュアルエネルギー装置 : 全体の87%、地域がん診療拠点病院の92%
3DCRT 機能 : 78%、82%、 IMRT 機能 : 39%、46%
患者数による負担度
JASTRO 構造調査 2005 B 階層 : FTE<1
1000
900
年間患者数/放射線腫瘍医
※
800
全施設(n=430)
地域がん診療拠点施設 (n=74)
700
600
500
400
危険レベル
300
200
ブルーブック
ガイドライン
100
0
Q1
Q2
Q3
Q4 ※FTE=1として計算
ハード面) デュアルエネルギー装置 : 全体の63%、地域がん診療拠点病院の71%
3DCRT 機能 : 54%、61%、 IMRT 機能 : 14%、22%
外部照射装置1台に対する年間患者数
患者数
(人) 700
A1
600
A2
500
B1
400
300
250
200
B2
100
0
Q1
Q2
Q3
Q4
A : 大学病院/がんセンター
( 患者数/年 : A1 A1 > 430 , A2 < 430 ) B : 他の国立、県立、市立病院 他の国立、県立、市立病院 ( 患者数/年 : B1 > 130 , B2 < 130 )
放射線治療に必要な設備及び
スタッフに関する基準(案)
スタッフに関する基準(案
基 準
外部照射装置
改善警告値
250-300
400
200
300
120
200
( 年間患者数/装置 )
放射線腫瘍医
( 年間患者数/FTE )
放射線治療専任技師
( 年間患者数/FTE )
放射線治療に必要な照射機器とスタッフ数
の将来予測(10年後:2015年)
2005年との差
•
•
•
•
•
•
放射線治療機器
放射線腫瘍医 医学物理士 治療専任技師 治療専任看護師 事務員 1,200台
450
1,800人 1,300
900人
830 2,400人 1,400
1,200人
600人
地域医療における施設間での設備の共用並びに患者紹介(例)
地域医療における施設間での設備の共用
並びに患者紹介(例)
経済的分析
(芦野靖夫氏(CMS JAPAN)の分析)
Yasuo Ashino, CMS Japan 医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
背景
医療実態調査研究Patterns of Care Study(PCS)
によるわが国の放射線治療の現況
施設構造基準(日本版ブルーブック)
将来
11 November 2007
代謝イメージング画像の導入による
3次元治療計画の変容
古典的な解剖学による治療計画
分子イメージング
細胞イメージング
• MRS/PET •
GTV
線量:
均一性
PTV
• PET/MRS •
(choline/citrate, PSA,
ER, EGFR)
(IUdR, MIB1, Apoptosis)
臓器全体への
照射
組織効果判定のイメージング
• MRS/PET •
モノクロナール抗体による
イメージング
代謝、分子、細胞などの画像導入による
IMRT 治療計画
• SPEC/PET •
(Hypoxia, Angiogenesis)
MJ Zelefsky, Workshop on IMRT, 2001
Dose
painting
線量: 不均一の要求
臓器全体への照射
を必要としなくなる
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
資料提供者 大阪大学医学系研究科
医用物理工学講座
手島 昭樹 先生
昭樹 先生 がん対策基本法と放射線治療
放射線治療専門技師
11 November 2007
がん対策基本法(第一章 総則)
◆ (基本理念)
第二条 がん対策は、次に掲げる事項を基本理念として行わねばならない
一 がんの克服を目指し、がんに関する専門的、学際的又総合的な研究
を推進するとともに、がんの予防、診断、治療等に係る技術の向上
その他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。
二 がん患者がその居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく
適切ながんに係る医療(以下「がん医療」という。)を受けることができ
るようにすること。
三 がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分尊重して
がんの治療方法等が選択されるようがん医療を提供する整備がなされること。
◆ (医師等の責務)
第七条 医師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる
がん対策に協力し、がんの予防に寄与するよう努めるとともに、がん患
者の置かれている状況を深く認識し、良識かつ適切ながん医療を行う
よう努めなければならない。
11 November 2007
第三章 基本的施策
第一節 がんの予防及び早期発見の推進
○ がんの予防の推進、がん検診の質の向上、がん検診の推進のため
に必要な施策を講ずる。
第二節 がん医療の均てん化の促進
○ 専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成
第十四条 国及び地方公共団体は、手術、放射線療法、化学療法その他の
がん
放射線療法
医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従
事者の育成を図るために必要な施策を講ずるものとする。 事者の育成を図る
○ 医療機関の整備等
第十五条 国及び地方公共団体は、がん患者がその居住する地域にかかわらず
等しくそのがんの状態に応じた適切ながん医療を受けることができる
よう、専門的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備を図るため
に必要な施策を講ずるものとする。
11 November 2007
医療実態調査研究 Patterns of Care Study(PCS)による
日本の放射線治療の現況
資料提供者 大阪大学医学系研究科
医用物理工学講座
手島 昭樹 先生
昭樹 先生 がん対策基本法と放射線治療
放射線治療専門技師
11 November 2007
放射線治療施設数とスタッフ数
1990
1995
1999
2003
施設数
378
594
636
726
新患数
62,829
71,696
107,105
149,793
一施設当り患者数
166
142
168
262
治療装置 : リニアック
311
409
626
744
テレコバルト
170
127
83
42
− 29
73
117
921
Ir-192 RALS
放射線治療医
547
821
925
JASTRO 認定医 一施設当り常勤医
− 1.4
− 1.6
− 369 1.5
1.3
一施設当り認定医
常勤治療技師数
0.5
592
665
771
治療専門技師数(機構,JASTRO)
一施設当り技師数
1555
487
1.6
1.3
JASTRO構造調査(日本)放射線腫瘍学会 15:115-126
1.2
2005
2.1
11 November 2007
放射線治療の専門スタッフ
* 1年間に診る患者数
患者200人/放射線治療専門医師
患者120人/放射線技師 多くなると質の低下となる
患者300人/放射線治療専門医師
患者200人/放射線技師
*専門スタッフの数不足
JASTROの認定医師 542人
JASTROの認定技師 114人
*医学物理士の不足
*放射線治療品質管理士の不足 11 November 2007
放射線治療認定技師数(認定機構+JASTRO)
放射線治療専門技師認定機構 : 478名(公開)
日本放射線腫瘍学会認定技師 : 114名(公開)
総数:487名
認定技師数(認定機構+JASTRO)
認定技師数
150
160
140
120
96
100
80
56
60
29
40
27
10
20
0
45
44
北海道
2007年
2007年6月
東北
関東
甲信越
15
北陸
15
東海
近畿
中国
四国
九州・沖縄
11 November 2007
がん診療連携拠点病院に対する認定医師と認定技師
連携
がん診療連携拠点病院数 : 286施設(全国)
●JASTRO認定医師 : 177施設(61.9%)
●認定技師(機構+JASTRO) : 132施設(46.2%) ≧ 認定者 1名/施設
拠点病院数に対する認定医師&認定技師)
JASTRO認定医師
認定技師
拠点病院
59
60
50
41
39
40
29
30
8
2007年
2007年6月
16
14
20
0
31
25
30
10
35
33
10
5
北海道
11
7
東北
18
21
18
22
17
13
16
9
甲信越
北陸
17
13
9 8
5
関東
16
東海
近畿
中国
四国
九州・沖縄
11 November 2007
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
神奈川県
東京都
山梨県
新潟県
長野県
富山県
石川県
福井県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
がん診療連携拠点病院に対する認定技師
全国の認定技師数
70
2007年
2007年6月
2007年6月
認定技師
認定技師
60
50
40
30
20
10
0
11 November 2007
がん診療連携拠点病院に対する認定医師と認定技師
JASTRO認定医師
認定技師
拠点病院
医師(%)
技師(%)
茨城県
3
3
7
42.9
42.9
栃木県
4
2
6
66.7
33.3
群馬県
8
5
10
80.0
50.0
埼玉県
5
5
8
62.5
62.5
千葉県
7
2
7
100.0
28.6
神奈川県
9
6
11
81.8
54.5
東京都
5
7
10
50.0
70.0
拠点病院に対する医師及び技師の割合
JASTRO認定医師
認定技師
拠点病院
12
11
10
10
10
9
8
8
8
7
7
6
6
5 5
5
4
4
3
3
2
2
2007年
2007年6月
7
6
5
0
7
茨城県
栃木県
2
群馬県
埼玉県
千葉県
神奈川県
東京都
11 November 2007
放射線治療専門技師育成
日本放射線治療専門技師認定機構
日本放射線技師会・日本放射線技術学会・日本放射腫瘍学会
* 講習会開催の回数増加(地方での開催)
*
施設長、放射線部技師長、各技師への広報
*
厚生労働省に認定専門技師のアッピール及び教育・研修における
安定した運用の支援
放射線部技師長(管理職等)
*
部内の業務のウェイトと専従、専門性の再認識を行い、適切な人
員配置を行なうこと
治療担当技師
*
自らスキルアップを考え、専門技術の習得に努めること 11 November 2007
がん患者と家族の願い
今住んでるこの地域で、
最適な治療を
安心して受けられること
11 November 2007
放射線治療の基礎 −放射線治療に必要なこと−
位置決め(装置の使用、技術、固定方法を含む)
昭和大学横浜北部病院 渡邉 裕之
治療計画(装置、技術を含む)
昭和大学藤が丘病院 岩井 譜憲
照射技術(照射技術、照準方法を含む)
JA神奈川県厚生連相模原協同病院 松本 好正
QA・QC(放射線治療全体を通してのQA、QC)
公立大学法人横浜市立大学附属病院 野村 和人
11 November 2007