コハシ ナオコ 小橋 乃子 略 歴 2001年 3月 九州大学大学院工学研究科博士後期 課程 修了 2002 年~2003 年 日本学術振興会特別研究員 (PD) 共同研究者 安達貴浩 (鹿児島大学大学院理工学研究科・准教授) 2003 年~2004 年 Loughborough University 客員研究員 2004 年~2006 年 東京大学大学院農学生命科学研究科・ 研究生 2007 年~現在 鹿児島大学・プロジェクト研究員 (2008 年 4 月~ 2009 年 6月以外) 地球温暖化による海水温の上昇が沿岸環境に及ぼす影響 Influence of sea-water warming on the coastal environment In the northern region of Kagoshima Bay, DO concentration takes the minimum value at the bottom layer in winter. In order to clarify the mechanism of such characteristic behavior, we carried out some numerical experiments. In addition, we predicted the behavior of the density stratification and DO concentration in Kagoshima Bay by utilizing some results of a global climate simulation model. As a result, the following findings were made clear; 1) the timing of the formation of hypoxia in Kagoshima Bay was determined mainly by the relative relation between the vertical mixing and the depth. 2) It was predicted that the hypoxia may become more serious in the future by the stabilization of the density stratification due to the long-term climate change. This result suggests that the cultured yellowtails in the coastal sea areas might be damaged by more serious hypoxia in the future. 1. 本研究の目的 気象庁による最新の地球温暖化予測によると、日本近海の平均水温は 100 年あたり0.6 〜 3.1℃上 昇すると報告されている (気象庁, 2008)。沿岸環境においてこのような水温上昇が実際生じた場合、 水温成層が解消されにくくなり、貧酸素水塊の形成期間も長期化すると考えられる。貧酸素化・無 酸素化の長期化は、底質の悪化 (有機化)、さらには底棲生物の減少・死滅を引き起こし、これによっ て酸素の内部消費が増加し、貧酸素水塊の形成期間の長期化に一層拍車がかかるといった悪循環 に陥る可能性が懸念される。また、底質の嫌気化によって栄養塩の溶出が増加すれば、赤潮発生リ スクも高くなり、加速度的に増殖した植物プランクトンは高次生態系に取り込まれることなく沈降する ため、さらなる底質悪化を引き起こす可能性も考えられる。このような状態に陥ってしまうと、沿岸海 域の生態系は自浄作用を失い、同時に沿岸漁業や養殖の衰退につながっていく可能性が高い。 定性的には上記のようなシナリオが想定されるが、将来の水温上昇によって、具体的にどの程度の 問題が生じるのかという定量的知見はほとんど得られていない。このような検討には数値シミュレー ションが有効であることから、本研究では沿岸海域を対象に成層構造、溶存酸素濃度を再現できる 105 精緻な数値モデルを構築・統合し、上述したような地球温暖化が沿岸環境に及ぼす影響を定量評 価することを目的とする。具体的には、ここ 20 年間で水温の上昇が確認されている鹿児島湾を対象 に、過去の沿岸環境に対してモデルを検証した後、将来予測を行なった。 2. 数値モデルの概要 我が国の代表的な閉鎖性内湾である東京湾 や有明海では、底層の貧酸素化が 9 〜10月に おいて最も深刻となることが知られている (例 えば、瀬口ら2006、佐々木ら1993)。一方、本 研究が対象とする鹿児島湾北部海域 (図 -1)で は、例年、11〜12 月において底層の DO が最 小となることが観測により明らかにされている (安達・小橋 2011) 。安達・小橋はこのような 特徴的な現象に対して考察を行い、比較的水 深の大きな鹿児島湾では、底層近傍の安定成 層が冬季になっても完全に解消されず、この結 図 -1 鹿児島湾と観測地点の概要 (図中の数字は水深を表わす) 果、冬季に貧酸素化が最も深刻化するとの見 解を示している。 DO の内部消費の寄与については不明な点が残っているものの、鹿児島湾の貧酸素水塊の形成に 対して密度成層が重要な要因の一つとなっていることは確かである。したがって、鹿児島湾の将来を 考えた場合、気候変動による密度成層場の変化が鹿児島湾の水環境に何らかの悪影響を与える可 能性は十分に考えられる。このような推察をより定量的なものとするために数値シミュレーションは 有効であるが、我が国において沿岸環境を対象とした温暖化影響予測の研究事例は未だ限られて いる。 以上のような背景を踏まえて、本研究では、まず現況を適切に再現できる数値モデルを構築した後、 長期間に渡る過去再現計算を実施した。さらに、地球温暖化の沿岸環境への影響予測の試みとして、 地球シミュレータの結果を活用し、長期的な気候変動による鹿児島湾北部海域の密度成層ならびに 貧酸素水塊の動態予測を行った。 2.1 密度成層モデル 本研究では、密度成層場の再現のために、鉛直 1 次元密度成層モデルを用いた。基礎式は連続 の式、運動方程式、塩分と水温の移流拡散方程式である (具体形は安達・小橋 2011を参考のこと)。 なお、適用したモデルは基本的には 1 次元のボックスモデルであるが、計算領域 (鹿児島湾北部海 域)と沖側の境界 I(西桜島水道、図 -1の境界 I に相当)のバロクリニック圧の勾配によって密度流が 再現される。このため、境界 I において連続の式と運動方程式が適用される。 2.2 境界条件の概要 106 水表面での熱フラックスは以下のように与えられる。 (1) ここで、Cp:海水の比熱(3.90J/g/K) 、β= 0.4を与え、QT は水表面での熱交換量であり、以下の ように与えられる。 (2) なお、Q S:短波放射による有効日射量、Q R:長波放射による有効逆放射量、Q E:蒸発による潜 熱輸送量、Q C:熱伝導や対流による顕熱輸送量である。各熱フラックスを算定するために、鹿児島管 区気象台の気象観測データが用いられている。 陸 - 海境界では河川からの淡水流入を与えた。さらに、境界Ⅰ (西桜島水道) (図 -1)での塩分・水 温は観測データを参考に決定した。 2.3 乱流モデルの概要 鉛直方向の乱流拡散係数は、佐々木ら (1993)に倣って以下のように評価した。 (3) ここで、D w 0、D t 0 はそれぞれ吹走流と潮流による拡散係数であり、D w 0 については Henderson- Sellers(1985)、また D t 0 については佐々木ら (1993)に従って評価した。また、Ri は局所勾配型のリ チャードソン数、f(Ri)は成層化関数であり、f(Ri)を以下の関係によって評価した。 (4) ここで、m, n:モデル定数である。Ri については、 Henderson-Sellers(1985)に従って評価したが、 その際に必要となる流速のシアについては、吹走流と潮流の影響を考慮して評価した。具体的にモデ ルは以下のようになる。 (5) ここで、z:鉛直座標 (鉛直下向きを正とする) 、κ:カルマン定数、S C 0:中立状態の乱流シュミット数、 h:水深、¯ua:潮流振幅の水深平均値である。なお、 (6) (7) と与えられる。ここで、φ:緯度、CD:抵抗係数、U:風速(m/s)であり、k *の単位は m−1 である。 107 なお、不安定成層に対して中立状態の乱流拡散係数を与えても不安定成層が形成される期間が短 いことが確認されており、さらに不安定成層の効果を考慮しても計算結果に有意な違いが認められな かった。このため、本研究では、不安定成層に対して中立状態の乱流拡散係数を与えた時の結果を示 している。 2.4 溶存酸素モデルの概要 (8) ここで、DO:溶存酸素濃度、Dw:水中での溶存酸素消費速度である。 Dw については観測結果と一致するように、以下の関係式を適用した。 (9) ここで、POC 1:有機 物濃度、α, β:内部消費速度の温 度依存性を表すモデルパラメータ、 [TOC:CPOM ]:DO と POC 1 との化学平衡定数、DO1:DO による有機物分解阻害効果の半飽和定 数である。また、底泥による酸素消費フラックス SOD については、地点 A において測定された底質間 隙水中の DO 分布とDO の分子拡散係数より推定される以下の値を与えた。 (10) なお、実際、表層の DO は光合成とプランクトンの呼吸の影響を受けて複雑に変化しているが、ここ では簡便のため表層の DO を100%とした。 2.5 数値シミュレーションの結果 以上のモデルにより得られた 2009 年と 2010 年の結果を図 -2、3 に示す。表層の塩分や水温の再 現性はもとより、底層の貧酸素水塊の解消が 11、12 月頃であるという観測結果がシミュレーションに より適切に再現されていることが分かる。 図 -2 表層水温 (左)と表層塩分 (右)の数値シミュレーション結果 (2009 年 1月~ 2010 年 12 月) 108 図 -3 観測結果と数値シミュレーション結果 (CAL)の σt(上)と DO (下)イソプレッソの比較 (2009 年 4 月~ 2010 年 12 月) 109 3. 将来における貧酸素水塊の動態予測 3.1 溶存酸素モデルを用いた過去再現 安達・小橋 (2011)や安達ら (2012)の詳細な検討から、鹿児島湾における底層の DO の変動に対 して密度成層が重要な役割を果たしていることは明白である。また、デトリタス態有機物の沈降量を 支配する1 次生産は時間的に複雑な変化を示すにも拘らず (Kobari et al . 2002)、DO 濃度の季節変 化は毎年規則的なパターンを示していること (図 -4) 、酸素の内部消費過程に対して比較的簡易なモ デル化を行ったにも拘わらず、上記の数値シミュレーションで夏季から冬季の DO 濃度の絶対値も比 較的良好に再現できることから総合的に判断すると、鹿児島湾北部海域の DO の季節変動に対して 密度成層の季節変化が最も支配的な要因であると判断される。したがって、鹿児島湾の将来を考え た場合、気候変動による密度成層場の変化が鹿児島湾の水環境に何らかの悪影響を与える可能性 は高いと推察される。このため、本研究では、地球シミュレータ (全球 20km モデル)の計算結果を 活用し (Mizuta et al . 2006)、長期的な気候変動による鹿児島湾北部海域の密度成層ならびに貧酸 素水塊の動態予測を行った。 図 -4 過去 17 年間の地点 A における底層 DO の観測結果 事前の検討として、計算対象期間を1994 年から2000 年の 7 年間とし、安達・小橋 (2011)の密度 成層モデルや溶存酸素モデルが、長期的な DO の動態予測に適用できるかどうかを検証した。その 際、境界Ⅰ (西桜島水道)での塩分・水温の条件は 2009 年〜 2010 年の実測値で代用し、さらに酸素 消費モデルには式 (9) を用いたことから、年毎の陸域負荷の違いは考慮されていない。 このようにいくつかの仮定を設けているにも拘わらず、数値シミュレーションの結果を見ると、過去 の観測結果を比較的良好に再現できていることが分かった (図 -5)。この結果から、過去の DO の長 期変動に対して、境界条件や陸域負荷の年毎の違いの影響は比較的小さく、密度成層の変化が支 配的な要因となっていることが確認できる。このため、次に密度成層の変化のみを考慮した以下のよ うな将来予測を行なった。 図 -5 地点 A における底層 DO の長期再現計算結果 (1994 年~ 2000 年) 110 3.2 地球シミュレータのデータを活用した長期将来予測 気象庁・気象研究所が開発した全球 20km モデルは水平解像度が 20kmであり、全球を対象とし たモデルの中では高い解像度をもった大気・海洋結合モデルである。 将来の気象データを算出するために想定した予測シナリオは A1B (高度経済成長が続き、世界人 口が 21世紀半ばにピークに達した後に減少、新技術や効率化技術が急速に導入される未来社会を 描いており、化石燃料、非化石燃料のいずれのエネルギー源にも、過度に依存することなく、すべて のエネルギー供給・利用技術の改善度が同じであると仮定している)である。A1B シナリオの下で 1980 〜1999 年との比較を行うと21 世紀末 (2090 〜 2099 年)の世界平均気温が約 2.8℃上昇すると 予測がなされている (気象庁, 2008)。 全球 20kmモデルの鹿児島湾北部海域に合致する格子点 (1格子分)での計算結果から与えられる 1)降水量、2)潜熱、3)顕熱、4)大気放射、5)大気への逆放射、6)全天日射量の値を用いて (図 -6) 、 河川流量と熱フラックスを推定し、鹿児島湾の密度成層と溶存酸素をシミュレートした。対象期間は、 過去 (1994−2003 年) 、近い将来 (2015−2039 年)、遠い将来 (2075−2099 年)の 3 期間である。 図 -6 長期的な気候変動による月平均の熱フラックス (左)と降水量 (右)の変化 3.3 気候変動の影響予測の結果 上記のシミュレーションによって得られた過去と将来に対する計算結果の1 ヶ月平均値を比較する と、鹿児島湾北部海域では、長期的な気候変動に伴って、密度成層が安定化し、この結果、底層の DO 濃度が平均的に 0.5mg/L 程度減少するとの予測結果が得られた (図 -7)。また、DO 濃度の回復 期はほとんど変化しないのに対して、3mg/L 以下の貧酸素水塊の発生時期が、将来 1 ヶ月 程度早まっており、結果的に、貧酸素水塊の形 成が長期化するといった予測結果が得られた。 鹿児島湾では湾奥の海底付近だけでも約150 種の魚類、100 種の甲殻類、30 種の軟体類の 存在が確認されており、同湾は天然の水産資 源も豊富な海域であることが知られている (鹿 児島大学総合研究博物館 2007) 。個々の生 物の DO 耐性については不明な部分も多いが、 111 図 -7 長期的な気候変動による底層 DO の変化 丸重・横田 (2012)が総括した結果では、比較的貧酸素に強い貝類以外は概ね 4.29mg/L 以下でな んらかの影響が出てくるとしている。このため、上述のような予測結果は鹿児島湾北湾の底棲生物環 境に大きな影響を与えるものと推察できる。 一方、ブリやハマチなどの海面養殖が盛んな鹿児島湾では底質の DO 濃度だけでなく、養殖水深 近傍の DO 濃度がある一定レベルを維持することが重要である。そこで、養殖水深直下の DO 濃度 についても検討を行った (図 -8)。その結果、水深 30m において最大 0.95mg/L の DO 濃度の低下が 生じるものと予測された。鹿児島湾では近年においても秋季の DO 濃度が低く、養殖魚への給餌の 停止などの対応が取られていることから、地球温暖化によって養殖環境も悪化することが懸念される。 図 -8 長期的な気候変動による養殖生簀下の DO の変化 (左:水深 20m,右:水深 30m) 3.4 予測結果についての考察 全球 20km モデルから、将来、降雨と熱フラックスが増大するという結果が得られているが、これ らはいずれも密度成層の安定化の促進に寄与する。そこで、過去の気象条件をベースとして、遠い将 来の気象条件において降雨のみを変化させた場合、熱フラックスのみを変化させた場合についてそ れぞれ数値実験を行ったところ、熱フラックスの変化の影響が大きいことが確認できた (図 -9)。さら に、上記の結果に対してどの季節の熱フラックスの変化の影響が大きいのかを評価するために、特 定の季節についてのみ過去の熱フラックスを遠い将来の熱フラックスに変化させる数値実験を行った。 その結果、冬季 (12 〜3月)の熱フラックスの増加が、上記の結果を引き起こしていることが確認でき た (図 -10) 。 図 -9 降水量と熱フラックスの底層 DO への影響 図 -10 冬季の熱フラックスの底層 DO への影響 112 以上の結果から、鹿児島湾北部海域では、将来予測されている雨季における降水量の増加よりも、 冬季の熱フラックスの増加が底層の溶存酸素の現象に対して大きな影響をもつことが分かった。淡 水流入は表層の密度成層形成に対して大きな影響をもつが、水深の大きな鹿児島湾では底層 DO に 対して影響が小さい。一方、冬季の熱フラックスの増加は鉛直混合能を弱め、この結果、底層への酸 素供給が減少し、貧酸素水塊の形成が長期化していることが確認された。 4. 結 論 本研究では、まず長期再現計算に耐えうる数値モデルを構築し、次に、地球シミュレータのデータ を活用して気候変動に伴う将来の貧酸素水塊の動態について予測を行った。この結果、表層の塩淡 成層が夏季に強化されることによって主に、底層 DO が減少するという予測結果が得られた。また予 測結果では、平均的な DO 濃度は 0.5mg/L 低下、3mg/L の貧酸素水塊の発生時期は 1 ヶ月早期化・ 長期化し、気候変動の影響はここ数年の年毎の変動以上に大きくなる可能性が示された。 謝 辞 本研究を進めるにあたり、財団法人 アサヒグループ学術振興財団により助成を賜りましたことに 感謝致します。また、鹿児島大学大学院理工学研究科・市川敏弘教授、同・水産学研究科・小針統 准教授、牛根漁業協同組合の皆様および鹿児島大学水産学部練習船・南星丸の乗員の方々に多大 なるご尽力をいただきました。また、気象研究所・保坂征宏主任研究官には全球 20km モデルのデー タを、さらに第十管区海上保安本部ならびに鹿児島県水産技術開発センターの方々には鹿児島湾調 査の貴重なデータを提供していただきました。ここに深甚なる謝意を表します。 参考文献 安達貴浩,小橋乃子:鹿児島湾北部海域における貧酸素水塊の形成メカニズム,水工学論文集 , Vol.55, pp.s1657-s1662,2011. 安達貴浩,小橋乃子,中園大介:鹿児島湾における貧酸素水塊の形成機構解明ならびに将来の動 態予測,土木学会論文集 B1 (水工学), Vol. 68, pp.I-1579-I-1584,2012. 鹿児島湾の自然史:鹿児島大学総合研究博物館,No.17, 2007. 佐々木淳,磯部雅彦,渡辺晃,五明美智男:東京湾における貧酸素化現象および水温・溶存酸素の 季節変動モデル,海岸工学論文集,第 40 巻,pp.1051-1055, 1993. 瀬口昌洋,郡山益実,石谷哲寛,古賀あかね : 有明海奥部における干潟域の脱窒と西岸域の貧酸 素水塊の発生について, 佐賀大学有明海総合研究プロジェクト成果報告集,第 2 巻,pp.38-54, 2006. Kobari, T. , A. Habano and T. Ichikawa, Seasonal Variations in Phyto- and Zooplankton Biomass in Kagoshima Bay, Mem. Fac. Fish. Kagoshima Univ. Vol. 51, pp.19-25, 2002. Henderson-Sellers, B.:New Formulation of Eddy Diffusion Thermocline Models, Appl. Math. 113 Modelling, Vol.9, pp.441-446, 1985. Mizuta, R., K. Oouchi, H. Yoshimura, A. Noda, K. Katayama, S. Yukimoto, M. Hosaka, S. Kusunoki, H. Kawai and M. Nakagawa : 20-km-mesh global climate simulations using JMAGSM model, Journal of the Meteorological Society of Japan, Vol.84, No.1, pp.165-185, 2006. 114
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