SPG膜素材について

SPG膜
SPG膜素材について
素材について
SPGテクノ株式会社
http://www.spg-techno.co.jp/
SPG とは、昭和 56 年、宮崎県工業試験場(現宮崎県工業技術センター)が南九州に豊富なシラスを主
原料に開発した新素材で Shirasu Porous Glass(シラス多孔質ガラス)の略称です。SPG は、ミクロンサ
イズの均一な細孔を無数に有し、その大きさを自由に変えられることから、機能性ガラスとして応用さ
れています。製造方法は、先ずシラス石灰やホウ酸を添加して 1350℃前後の温度で SPG の基礎ガラス
を合成、成形します。これを加熱するとガラスの繊細組織に「分相」という現象が生じますが、分相した
CaO・B2O3(酸化カルシウム・酸化ホウ素)部分は酸にとけやすい成分ですから、塩酸などで処理し溶か
し出して、酸に溶解しない Al2O3・SiO2(酸化アルミニウム・二酸化ケイ素)系ガラスを骨格とするガラス
多孔体が完成するという仕組みです。
カレット
SPG 細孔径分布例
SPG 膜表面
相対体積[vol%]
100
細孔径
1.45μm
気孔率
56%
50
0.01
0.1
1
10
100
細孔径[μm]
1
SPG 素材機械的強度など
素材機械的強度など
SPG 管膜
表1
SPG 管膜の強度(SPG 研究論文集「多孔質ガラスの機械的強度と耐熱性」中島忠夫より)
SPG
実験方法
(kgf/cm2)
A:曲げ強度
810±20
B:外圧強度
2300±160
C:内圧強度
350±30
※サンプルAB:細孔径 1.98μm 気孔率 0.50
サンプルC :細孔径 1.46μm 気孔率 0.54
Do:SPG 管外径(cm) Di:SPG 管内径(cm)
①外圧強度の計算
1-1式より
②内圧強度の計算
2-1式より
σo=2PoDo2/(Do2-Di2)・・・・・・・・1-1
σo:外圧強度(kgf/cm2)
Po:試験片が破壊したときの強度(kgf/cm2)
Po=σo(Do2-Di2)/(2Do2)・・・・・・1-2
σi=Pi(Do2+Di2)/(Do2-Di2)・・・・2-1
σi:内圧強度(kgf/cm2)
Pi:試験片が破壊したときの強度(kgf/cm2)
Pi=σi(Do2-Di2)/(Do2+Di2)・・・・2-2
宮崎県工業技術センター試験より
1-2式に表1結果σo=2300を当てはめて
SPG 管膜の外圧破壊荷重Poは (管Do1×Di0.9cm)
Pp=2300・(12-0.92)/(2・12)
=218.5(kgf/cm2)
安全係数10として
=21.9(kgf/cm2)
2-2式に表1結果σo=350を当てはめて
SPG 管膜の内圧破壊荷重Piは (管Do1×Di0.9cm)
Pp=350・(12-0.92)/(12+0.92)
=36.7(kgf/cm2)
安全係数10として
=3.7(kgf/cm2)
2
SPG 板膜
表2 SPG 板膜の曲げ強度(SPG 研究論文集「多孔質ガラスの機械的強度と耐熱性」中島忠夫より)
強度
サンプル
細孔径
(kgf/cm2)
SPG
0.164μm(気孔率 0.56)
590±110
バイコール多孔質ガラス
0.004μm(気孔率 0.25)
380±20
SPG テクノ試験 SPG
1.1μm
810
試験方法:JIS R1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」による。
Lt:長さ
試験用 SPG 板膜サイズ
t:厚み
w:幅
Lt:4cm
w:0.4cm
L:支点間長さ
③曲げ強さの計算(3 点曲げ)
2-1式より
σ3=3PpL/(2wt2)・・・・・・・2-1
σ3:曲げ強度(N/mm2)
Pp:試験片が破壊したときの最大荷重(N)
Pp=σ3(2wt2)/(3L)・・・・・2-2
宮崎県工業技術センター試験より
2-2式に表2結果σ3=590を当てはめて
SPG 板膜の破壊最大荷重Pは (板L3×w0.4×t0.07cm)
Pp=590・2・0.4・0.072/(3・3)
=0.262(kgf)
有効表面積Sは 3×0.4=1.2(cm2) なので
=0.262/1.2
=0.218(kgf/cm2)
SPG テクノ試験より
2-2式に表2結果σ3=810を当てはめて
SPG 板膜の破壊最大荷重Ppは (板L3×w0.6×t0.07cm)
Pp=810・2・0.6・0.072/(3・3)
=0.529(kgf)
有効表面積Sは 3×0.6=1.8(cm2) なので
=0.529/1.8
=0.294(kgf/cm2)
3
SPG 素材熱的特性など
素材熱的特性など
宮崎県工業技術センター(清水さんより)
①SPG の熱伝導度k
k=k0(1―ε)
ε:気孔率 50%~60%
k0:ε=0のガラス素材そのものの熱伝導度
表1 k0 熱伝導度参考値
温度 T[K]
300
500
800
1200
1600
比熱容量 c[kJ/(kg・K)]
0.6923
0.9063
1.049
1.130
1.249
熱伝導度 k0 [W/(m・K)]
1.38
1.62
2.17
4.00
―
②SPG の比熱
表1の比熱容量を参照
③SPG の真密度ρ、みかけ密度ρspg
ρ=2.4~2.5g/cm3
※SPG のみかけ密度
多孔質なので、気孔率が例えば 55%であれば ρspg=ρ(1-0.55)
ρspg=2.4×0.45 ~
となり
2.5×0.45
ρspg=1.08~1.125 g/cm3
④SPG 基礎ガラスの密度ρ
ρspg 基礎=2.4~2.5g/cm3
⑤SPG 基礎ガラス、SPG の熱膨張係数
約 60×10-7/K
熱膨張係数は100~500℃の範囲で(転移点550℃以下)
※これは基礎ガラス、多孔質ガラスのいずれもおおよそ同じ値です。
熱膨張係数(線膨張係数)は組成によって決定される物性値であり、その材料が均質であれ
ば
多孔体であること、すなわち構造は影響しません。
4
SPG 細孔特性など
細孔特性など
SPG 細孔径は、「水銀圧入式自動ポロシメーター」㈱SIMADZU 製で測定します。
※参考 http://www.shimadzu.co.jp/powder/lecture/practice/p03/lesson02.html
当ポロシデータでは、細孔径と、細孔容積を確認します。
気孔率については、データ内で”かさ密度”、”見かけ密度”がありますので、SPG 本来の”かさ密度”、”
見かけ密度(=SPG の場合:真密度)”である以下の宮崎県工業技術センターデータ②と、例えば 0.5μm
ポロシデータ細孔容積 0.4688cm3/g から、
①"見かけ密度 2.4g/cm3"
→SPG の真比重(細孔を無くしてギュッと詰めた場合)
②"かさ密度 1.08~1.125g/cm3"
→SPG 多孔質状態の比重
気孔率は、
細孔容積 0.4688×かさ密度 1.08~1.125(SPG 本来)=約 50.1%~52.7%
となります。
ここで参考ホームページにありますように、試料間の空隙などノイズが入
っている可能性があるためにかさ密度 0.6104(データ測定)となり、自動計
算されているポロシデータの気孔率は、
図1
真密度
図2
粒子密度
図3
かさ密度
細孔容積 0.4688×かさ密度 0.6104(データ内)=約 28.6%
などと自動計算されてしまう場合があります。
以上のように、ポロシデータでは、細孔径と、細孔容積は殆どぶれてない
ので細孔容積をよく参考にします。以上のように、「SPG 論文集(SPG 応用技
術研究会)」には、以下とされています。
Porosity
50~60%
Pore volume 0.4~0.6cm3/g
ひとくちに密度といっても、「真密度」「粒子密度」「かさ密度」など、定義の
異なる複数の密度が存在します。
真密度とは、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とする密度
真密度
のことです。(
(図 1 参照)
参照)
粒子密度とは、表面に凹凸がある粒子の外周を体積とした場合の密度の
粒子密度
ことであり(
(図 2 参照)
参照)、以下の 3 種類の体積が含まれています。
(1) 粒子の物質自身の体積
(2) 粒子内の閉細孔の体積
(3) 粒子表面の凹凸部の空間の体積
かさ密度
かさ密度とは、一定容積の容器に粉体を目一杯充てんし、その内容積を体
密度
積としたときの密度のことです。(
(図 3 参照)
参照)したがってこの体積には、以下の
5 種類の体積が含まれています。
(1) 粒子の物質自身の体積
(2) 粒子内の閉細孔の体積
(3) 粒子表面の凹凸部の空間の体積
(4) 粒子と粒子の間隙の体積
(5) 粒子と容器の間隙の体積
5
図 4 見かけ密度
このため、当然のことながら粒子の充てんの仕方や、容器の大きさ・形状によって密度の値は変化す
るはずです。
このような定義の異なる密度の中で、アキュピック 1330 シリーズが測定できるのは、「真密度」になり
ます。ただし、サンプル内部に外部とつながっていない空間(閉細孔)がある場合には、その内部空間
にはガスが到達できないため、厳密にいえば測定結果は「真密度」にはなりません。この場合の測定結
果は、「見
見かけ密度
(図 4 参照)
かけ密度」と呼ばれるものになってしまいます。(
密度
参照)
なお、密度の定義は、測定手法、測定対象の大きさ、形状、用途、さらに業界、分野等によっても 微妙
に異なる場合がありますので、上記の定義が絶対的なものではありません。ご注意ください。
以下に SPG10μm 孔径のポロシデータを示します。
SPG10μm 狙い(lot.P06E30)
SPG10μm狙い(lot.P06E30)
SPG10μm狙い(lot.P06E30)
0.50
10μm±2μm分布
0.45
0.40
細孔容積(0.45-0.02)
/全細孔容積0.4725
=約 91%
0.40
0.30
積算細孔容積[cm3/g]
積算細孔容積[cm3/g]
0.50
0.20
0.10
0.00
1
10
細孔径[μm]
100
0.35
0.30
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
8
9
10
細孔径[μm]
6
11
12
SPG 汚染後の
汚染後の再生テスト
再生テスト
ディーゼルエンジン排ガスすすをSPG表面に塗ってSPGフィルターを再生する確認実験。
初期状態
常温~400℃昇温2時間
500℃4時間目
400℃6 時間目
7
タバコの煙をSPG表面に吹きかけてSPGフィルターを再生(クリーニング)する確認実験。
初期状
タバコのヤニを約 30 分間付着させた
クリーニング(400℃発熱再生)開始 2 時間
クリーニング(400℃発熱再生)開始 4 時間
クリーニング(400℃発熱再生)開始 6 時間
8