企業局経営5か年計画 (案) - 埼玉県

資料4
企業局経営5か年計画
(平成24年度∼平成28年度)
(案)
平成24年3月
埼玉県企業局
目
第1章
次
計画策定趣旨
1
計画策定の目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2
計画の位置づけ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3
計画期間
4
企業局を取り巻く現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第2章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
経営目標・経営方針
1
経営目標
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
2
経営方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
第3章
重点的取組
1
東日本大震災を踏まえた安心・安全対策の推進 ・・・・・・・・・ 5
2
運営基盤の強化
3
環境・エネルギー対策の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4
本県経済の成長につながる産業支援の推進 ・・・・・・・・・・・ 6
第4章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
事業別の取組
1
水道用水供給事業
2
工業用水道事業
3
地域整備事業
第5章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
計画の推進
1
マネジメントサイクルの導入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・38
2
外部評価の実施及び評価結果の公表 ・・・・・・・・・・・・・・38
3
双方向のコミュニケーションによる計画の推進 ・・・・・・・・・38
4
計画の見直し
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
参考資料
用語の解説
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
文中に*を付した語句については、「用語の解説」を参照ください。
第1章
1
計画策定趣旨
計画策定の目的
企業局は昭和38年の発足以来、水道用水供給事業、工業用水道事業、地域整備
事業などの事業を通じて時代の要請に応え、県民福祉の向上や産業の発展、地域振
興に貢献してきた。
平成18年度には、社会経済情勢の変化に適切に対応するため、
「企業局経営5
か年計画」(平成19年度∼平成23年度)を策定し、中長期的な観点から計画的
に事業を推進してきた(平成14年度から平成18年度までの「企業局経営改革5
か年計画」に続く第二次計画)。
この第二次計画の計画期間が平成23年度で終了することから、第二次計画の成
果や企業局を取り巻く環境の変化を踏まえ、今後の事業の方向性を見据えた新たな
経営5か年計画を策定することにより、計画性・透明性の高い企業経営の実現を図
るものである。
2
計画の位置づけ
埼玉県の新たな5か年計画*(平成24年度∼平成28年度)の施策と連携する
とともに、
「第三次埼玉県行財政改革プログラム*」
(平成23年度∼平成25年度)
の方向性にも沿うものである。
また、水道用水供給事業及び工業用水道事業に係る取組については、それぞれ「県
営水道長期ビジョン*」
(平成24年度∼平成38年度)、及び「南部工業用水道事
業長期運営方針*」(平成18年度∼平成27年度)で示す方向性に基づくもので
ある。
3
計画期間
平成24年度から平成28年度までの5年間とする。
4
企業局を取り巻く現状と課題
(1)東日本大震災の影響
平成23年3月11日に発生した東日本大震災と、その津波によって引き起こ
された福島第一原子力発電所の事故は、災害の恐ろしさと危機管理の重要性を日
本中の人々に再認識させることとなった。
福島第一原発の事故により放出された放射性物質は各地に拡がり、事故直後は
本県の水道水からも、国の暫定規制値以下ではあるが、微量の放射性物質が検出
される事態となり、県民生活に大きな不安を与えている。
また、この事故を契機として、全国各地で検査などで停止中の原子炉が再稼働
できない状況に追い込まれ、電力需給の逼迫が問題化している。東京電力管内で
1
は、平成23年の3月に輪番制による計画停電が実施され、7月から9月にかけ
て15%(水道事業は緩和措置により5%)の電力使用制限令が発動された。原
発を取り巻く環境の変化を考えると、夏季及び冬季における電力不足の状況は、
今後もしばらくは継続すると見込まれる。
(2)少子高齢化の進展
日本の人口は戦後一貫して増加を続けてきたが、近年は少子高齢化が進み、埼
玉県の人口も、今後数年のうちに減少に転じると見込まれている。
本県の平成12年から平成22年までの10年間の人口の推移を見てみると、
0歳から14歳までの年少人口が約7万人の減、15歳から64歳までの生産年
齢人口が約26万人の減となっているのに対し、65歳以上の老年人口は約58
万人の増となっている。
総人口に占める65歳以上の人口の割合を表す高齢化率も、本県はこの10年
間に全国で最も速いスピードで上昇し、平成22年の高齢化率は20.4%と5
人に一人が65歳以上となっている。高齢化は、今後さらに急速に進展すること
が見込まれている。
こうした人口の減少や急速な高齢化の進展は、今後、企業局の事業運営にも大
きな影響を与えることが予想される。
(3)地球環境・エネルギー問題の深刻化
近年、環境問題は地球規模の拡がりを見せている。中でも地球温暖化は異常気
象や生態系、農業生産や生活環境など広範囲にわたる影響の深刻化が懸念されて
おり、地球温暖化対策は国をあげて取り組まなければならない大きな課題となっ
ている。
埼玉県でも平成21年3月、地球温暖化対策推進条例を制定し、県民、事業者、
環境保全団体、行政など各主体が連携しつつ取り組むべき具体的な対策を定め、
地域総ぐるみで地球温暖化対策を推進することとした。
一方、東日本大震災と福島第一原発の事故は、電力不足、エネルギー問題とい
う新たな課題を我が国にもたらし、本県においても、計画停電や電力使用制限令
の発動により県民生活が大きな影響を被ることとなっている。
電力の大口需要者である企業局として、一層の省エネルギー、省電力対策とと
もに、再生可能エネルギーの導入など創エネルギーの取組が課題となっている。
(4)海外水ビジネスの進展と地方自治体の役割
世界の人口増加と経済活動の拡大に伴い、新興国を中心に水需要が増加すると
ともに、工業廃水などによる水質汚染が進み、水問題が深刻化している。
こうした背景から今後、アジアをはじめ世界の国々において、上下水道や水の
2
再利用など水ビジネスの市場が急速に拡大すると見込まれている。経済産業省は、
水に関連する事業分野の市場規模が 2007 年の約36兆円から 2025 年には約87
兆円に成長すると予測している。
海外の上水道や下水道の分野では、建設から運営までを一貫して受注できる、
いわゆる「水メジャー」などの海外企業が優位を占めている。これに対し、日本
の企業は、水処理など個別の技術ではすぐれているものの、運営、維持管理の実
績がないために大きく出遅れているのが現状である。
こうした中、国では、新成長戦略(平成22年6月閣議決定)において、管理
運営実績を有する地方自治体との官民連携による海外展開の推進を打ち出した。
すでに、東京都や北九州市などの政令指定都市が活発な動きを見せており、埼
玉県にも海外水ビジネス推進の役割が期待されている。
(5)最近の経済の状況と企業立地の動向
我が国経済は、平成20年9月のリーマンショックから立ち直り、緩やかな回
復の動きを示していたが、平成23年3月の東日本大震災により、製造業のサプ
ライチェーンが大きな打撃を受け、一時的に生産が大きく落ち込むこととなった。
また、欧州債務危機やアメリカの景気後退懸念などによる円高の進行が景気の
下押し要因となるとともに、円高に加え我が国の電力やエネルギー供給に対する
不安から、産業の空洞化に対する懸念が高まっている。
本県への企業立地状況については、首都圏という巨大マーケットに位置し、交
通条件の面でも優位性があることなどを背景に、これまで堅調な立地が続いてい
たが、リーマンショック以降、立地件数は減っている。東日本大震災により被災
した企業が本県へ立地するケースも見られるものの、今後の企業の立地動向は不
透明感を増している。
しかし一方で、インフラや工場などの震災からの復旧が進むとともに、今後は
復興需要も見込まれることから、企業の生産活動については持ち直しの動きも期
待されている。
3
第2章
1
経営目標・経営方針
経営目標
企業局は公営企業として経済性を発揮し、健全経営を確保しつつ、公共の福祉の
増進を図ることを経営の基本原則とする。この基本原則のもと、「安心の確立、成
長の実現、そして自立自尊の埼玉へ」をこれからの針路とする埼玉県の一翼を担い、
県民のライフラインである水道、産業基盤である工業用水の供給や産業団地整備な
どの事業を推進し、県民の暮らしを支え、産業の発展と地域の振興に寄与すること
を企業局の経営目標とする。
2
経営方針
経営目標達成のため、第1章に掲載した企業局を取り巻く現状と課題を踏まえ、
次の4つの経営方針に基づき、事業を推進することとする。
(1)安心・安全で質の高い公共サービスの提供
地震などの災害や放射能汚染、大規模停電などさまざまなリスクに迅速かつ的
確に対応できる体制を整備し、適正な負担水準の維持のもと、安心・安全で質の
高い公共サービスの提供を目指す。
(2)優れた経営体の実現
経営の効率化や収入確保対策の強化などにより健全経営を維持するとともに、
効率的な運営体制の整備や人材開発などに取り組み、優れた経営体の実現を図
る。
(3)環境・エネルギー対策の推進
地球温暖化や震災後の電力供給不足状況等を踏まえ、省エネ対策のさらなる推
進や再生可能エネルギーの導入など、企業局全体で環境・エネルギー対策を積極
的に推進する。
(4)本県経済の成長につながる取組の推進
地域整備事業における産業団地の整備、水道事業のノウハウや技術を活用した
県内企業の水ビジネス海外展開への支援など、本県経済の成長につながり、埼玉
を元気にする取組を推進する。
4
第3章
1
重点的取組
東日本大震災を踏まえた安心・安全対策の推進
◎
水の安全管理の徹底
放射性物質の測定を継続するなど水質管理を徹底し、安心・安全な水を県民に
供給する。
また、放射性物質を含んだ浄水発生土*について適切な管理を徹底する。
放射性物質の測定結果は、迅速に、かつ、わかりやすく県民に公表するととも
に、緊急時には監視を強化する。
◎
水道施設の老朽化対策と耐震化の推進
昭和43年の大久保浄水場の給水開始以来40年以上が経過し、送水管や浄水
場など水道施設の老朽化が進行していることから、計画的な更新を進める。
施設の長寿命化や更新費用の平準化など効率的、効果的に施設の更新、維持管
理運営を行う手法であるアセットマネジメント*を実践するとともに、更新に当
たっては、将来の水需要などを考慮した最適な規模とする。
送水管路については、平成22年度に策定した送水管路更新計画の推進を図る
とともに、水管橋*の耐震化や老朽管の更新に合わせた耐震化を進める。
また、送水管路以外の水道施設についても、施設ごとの耐震診断の結果を踏ま
えながら、計画的に耐震化を進めていく。
◎
危機管理対策の充実
災害時等の給水を確保するため、中継ポンプ所*の備蓄水量を拡充するととも
に、電力不足の事態に対応するため、浄水場などの自家用発電設備の強化を検討
する。
新たな水道情報通信ネットワーク*を整備し、市町等受水団体*へ水質情報等
を提供する。
また、受水団体と連携し、緊急時の給水を確保する。
さらに、液体塩素*による消毒施設について、浄水場の規模や水質の状況等を
踏まえ可能な範囲で、取扱いが容易な次亜塩素酸ナトリウム*による施設への転
換を図る。
2
運営基盤の強化
受水団体の水道事業における県水転換率*の維持・拡大に向けた受水団体への働
きかけを行い、水道用水供給事業の収入を確保する。また、工業用水の新規受水事
業所の開拓に向け、営業活動を強化する。
さらに、水道施設の管理運営の効率化や建設費用の見直しを行い、コストの縮減
5
を図る。
浄水場の運営について、現在、一部で実施している外部委託やPFI*等の取組
の評価を行い、今後の官民連携のあり方を検討の上、更なる官民連携の取組を推進
する。
また、県内の水道広域化*の実現に向け、受水団体との管理の一体化や施設の共
同化を進めるほか、県内を12ブロックの市町村に分け、各ブロックごとに設立さ
れる見込みの検討部会*に参加し、将来の事業統合等に向けた検討を行う。
産業団地の整備に当たっては、企業の立地ニーズや採算性等を見極めながら事業
化を図る。また、事業に着手した後は速やかに整備を進めるとともに、予約分譲*
による投下資金の早期回収に努め、新たな産業団地整備資金の原資の確保を図るも
のとする。
3
環境・エネルギー対策の強化
創エネルギーによるエネルギーの地産地消を進めるため、太陽光発電や小水力発
電など再生可能エネルギーの導入拡大を図るとともに、引き続き、高効率機器の積
極導入等によるCO2削減対策・省エネルギー対策を推進する。
また、新規産業団地の整備において、団地内の街路灯をLED*化するなど、環
境・エネルギーに配慮した取組を進める。
4
本県経済の成長につながる産業支援の推進
◎
国際技術協力の充実と水道事業の国際展開
JICA*事業等による水分野での国際技術協力を進めるとともに、相手国と
の信頼関係を構築し、相手国のニーズに応じた水インフラ整備のプランニングな
どを提案することにより、相手国の生活水準の向上と県内企業のビジネスチャン
ス拡大を目指す。
また、企業局が有するノウハウを活用し、県内企業等との技術連携や海外事業
化支援を行うとともに、民間海外プロジェクトへの協力・支援を行い、官民連携
による水ビジネス案件の推進を図る。
◎
産業団地整備の推進
東日本大震災後の企業の立地動向や経済情勢の変化などを見極めながら、市町
村と連携の上、高速道路のインターチェンジ周辺などにおいて、豊かな田園環境
と調和した産業団地の整備を推進する。
なお、これまで企業局が蓄えてきた技術・ノウハウや経営資金を活用し、新たな事
業を推進する。
6
第4章
1
事業別の取組
水道用水供給事業
【目標1】より安心・安全で良質な水の供給
(1)現状、課題
県営水道が水源とする県内の河川の水質状況は、工場や家庭などからの排水対
策の強化、下水道の普及等によりBOD(生物化学的酸素要求量)*を基にした
環境基準の適合割合が向上していることから、改善傾向を示している。
一方、水道水源といった視点では、河川環境の改善とは逆に植物性プランクト
ンなどの炭酸同化作用(光合成)が活発化することに伴うpHの上昇、植物性プ
ランクトン等から生み出されるかび臭物質の増加といった傾向が見られる。さら
に、油や有害物質等の流出による水質事故が多発するなど、水道水源を取り巻く
環境は悪化傾向にあるといえる。
また、水質基準が年々強化される中、水道水中に含まれるトリハロメタン*のう
ちブロモジクロロメタンの濃度は水質基準値の7割に迫るなど、浄水処理の強化
が必要な状況にある。
このため、県営水道においては、毎日の水質検査や定期水質検査を実施すると
ともに、高度浄水処理*施設の導入や最適な浄水方法の検討を行い水道水の安全
確保に努めている。
さらに、東日本大震災に伴う福島第一原発の事故により、水道水中に放射性物
質が検出されたことから、水道水の放射性物質を毎日測定し安全の確認を行って
いる。
なお、県政世論調査や県政サポーターアンケートの結果によると、水道水の水
質の向上を望む意見や、水道水の安全性についての広報を求める意見が多い。
水道水等の測定状況
○ 192項目の水質検査を行い、水道水の安全を確認している。
(代表的な検査項目) 大腸菌などの病原生物
水銀・鉛などの重金属、無機物質
トリクロロエチレン等の有機物質
その他農薬類、消毒副生成物* など
※参考
食品衛生法によるミネラルウォーター類の検査項目:18項目
○ 原水、水道水及び浄水発生土*に含まれる放射性物質濃度を定期的に測定し、ホーム
ページで公表している。
測定頻度(平成23年度) 水道水(浄水場出口)・・・・・毎日
原水(水道水源)・・・・・・・毎日
浄水発生土・・・・・・2週間に1回
7
新三郷浄水場高度浄水処理*導入(H22.4 月)後の各浄水場の水質の状況
各浄水場の給水末端(蛇口)におけるブロモジクロロメタン濃度比較
(平成22年度最大値)
濃度
μg/L
30
25
20
15
10
5
0
大久保
庄和
行田
新三郷
吉見
※ブロモジクロロメタン:塩素消毒によって生成される物質であるトリハロメタンの
一種で、発がん性が疑われている。
(水質基準 30 ㎍/L 以下)
※1 ㎍(マイクログラム)=100 万分の 1 グラム
各浄水場における浄水中のかび臭物質(2−MIB)濃度比較
(平成22年度最大値)
濃度
ng/L
10
8
6
4
2
0
大久保
庄和
行田
新三郷
吉見
※2-MIB:水道水中に含まれる不快に感じる臭い(かび臭)の原因物質の一つ
(水質基準
10ng/L 以下)
※1ng(ナノグラム)=1000 分の 1 ㎍=10 億分の 1 グラム
8
浄水方法最適化検討調査の状況
【実験系列】
A系:現行水処理(凝集沈殿砂ろ過*)+粉末活性炭+MF膜(精密ろ過膜)*
B系:現行水処理(凝集沈殿砂ろ過)+オゾン*+生物活性炭*
(新三郷浄水場の高度処理と同様の方法)
C系:現行水処理(凝集沈殿砂ろ過)+NF膜(ナノ膜)*
【実験結果(除去性能の確認)
】
100
残留率
(%) 80
60
A系
40
B系
20
A系
C系
0
B系 C系
かび臭物質(2-MIB)
トリハロメタン生成能
※トリハロメタン生成能:一定条件下におけるトリハロメタンの生成量
○トリハロメタン生成能除去率の評価:C系>B系>A系
○かび臭の除去率の評価
:B系>C系>A系
(2)方向性
・
放射性物質の監視を継続し、水の安全管理を徹底する。
・
河川の水質に対応した浄水処理を推進する。
・ 水道水が安全・安心で良質であることを認識してもらうため、積極的な広報
活動を展開する。
(3)具体的な取組
◎
水の安全管理の徹底
・ 水道水や浄水発生土*について放射性物質の測定継続及び測定結果のホーム
ページでの公表(緊急時には監視を強化)
残留塩素濃度*の低減化など「水安全計画*」に基づく水質管理の推進
・
◎
河川の水質に対応した浄水処理の実施
・
水源から蛇口までの水質状況調査の実施
・
浄水方法変更の検討
9
◎
水道水のPR
・
様々な広報媒体を活用した効果的なPRの実施
・
近隣都県市や県内水道事業体等と連携したPRの実施
・
県民ニーズ、受水団体*の意向調査
取組項目
水の安全管理の徹
底
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
放射性物質測定継続、測定結果のホームページ
での公表
主な目標値
水質基準不適合率※
0%(22 年度)
→0%(28 年度)
水安全計画の進行管理・改善
河川の水質に対応
河川から蛇口までの水質状況調査の実施
した浄水処理の実
施
浄水方法変更の検討
水道水のPR
広報の実施と県民意見の聴取
県営水道が実施して
いる水質検査の認知
度※
34%(23年度)
→70%(28年度)
※水質基準不適合率
(考え方)
県営水道では、原水の水質や水質基準の強化に対応するため192項目の水質検査を行い
水道水の安全確保に努めている。今後も水質検査を徹底するとともに必要に応じて浄水処理
方法の変更を検討するなどし、供給する水が水質基準不適合とならないことを目標とする。
(算出方法)
(当該年度の水質基準不適合回数÷当該年度の全検査回数)×100 により算出
※県営水道が実施している水質検査の認知度
(考え方)
県営水道では、192項目の水質検査を行った上で、安全で良質な水を供給している。こ
のことを広く県民に広報し、安心して水道水を使ってもらうことを目指す。計画期間中に認
知度を現在の約2倍とすることを目標とする。
(算出方法)
県政サポーターアンケート調査により算出
10
【目標2】将来にわたる水の安定供給
(1)現状、課題
(水源の状況)
県営水道は、現在まで19のダム等の水資源開発施設*に参画し、これらの水
資源開発施設により水利権*を得て、受水団体*に対し水道水を安定的に供給し
ている。
しかし、県営水道が許可を受けている水利権のうち、約30%は、渇水時に取
水が制限される暫定水利権*であるため、ひとたび渇水が生じると河川から水を
取水できなくなるおそれがある。その場合、受水団体に対し水道水を安定的に給
水できない状況が生じ、県民生活に影響を与える。
このような暫定水利権は、未完成の水資源開発施設である八ッ場ダム等の建設
を前提に許可されている。早期に八ッ場ダム等を完成させ、安定水利権*を確保
する必要がある。
(水道施設の老朽化と災害への備え)
県営水道は、昭和43年の事業開始以来、40年以上が経過し、浄水場や送水
管路など水道施設の老朽化が進行している。特に、10年後の平成33年度末に
は法定耐用年数である40年を超える送水管が286km(総延長764kmの
37%)となるため、老朽管対策を進める必要がある。
また、県営水道は、平成7年度の阪神淡路大震災を契機として、人命に関わる
施設(管理本館)や応急給水に関する施設(浄水池*、送水ポンプ棟)について、
震度5強(建物など一部施設は、それ以上)を想定した耐震化を進めている。
このような状況のもと、平成20年に水道法に基づく技術的基準を定める省令
の一部改正が実施され、重要な水道施設については、その地点で発生するおそれ
のある最大規模の地震に対しても、施設の機能に重大な影響が及ぶことのないよ
う耐震化を図ることとされた。また、既存の施設については、大規模更新までこ
の基準を適用しないとの経過措置が設けられた。こうしたことから、企業局では
施設の重要度や更新の緊急度、耐用年数等を考慮して耐震化を図ることとし、現
在、各施設の耐震診断を順次進めている。今後、この耐震診断に基づき、新たな
耐震化計画(震度6強対応)を策定し、耐震対策を推進する必要がある。
3月11日に発生した東日本大震災は、県営水道の施設にも影響を及ぼし、浄
水場内施設や送水管路などに41箇所で損傷が発生した。
また、地震の後に行われた計画停電では、中継ポンプ所*の備蓄水量が不足し
ているため、中継ポンプ所以降の受水団体への水道水の供給に支障が生じた。さ
らに、東日本大震災により、首都直下型の地震の切迫度がさらに高まったとも言
われており、災害に備えた水の安定供給体制の整備が急務となっている。
11
(東日本大震災後の電力需給の状況)
平成23年夏場の電力需給対策として、電力使用制限令が発動され、企業局の
浄水場等については、前年の最大電力に対し5%の削減義務が課された(大口需
要者15%削減のところ水道事業者として緩和が認められたもの)。
これに対し、企業局では受水団体*の協力を得て、昼間の時間帯に給水量を減
らし夜間に増やすという変動給水により対応したところである。
東日本大震災後の電力供給不足状況は、今後もしばらくは継続すると考えられ
るため、こうした事態に対応するための安定給水対策を講じる必要がある。
(経営を取り巻く状況)
節水機器の普及や企業及び家庭における節水意識の浸透などにより水需要が
伸び悩み、平成13年度をピークに年間送水量は減少している。
今後、水道施設の老朽化対策、耐震化や水源施設の稼働などに伴い支出の増加
が見込まれることから収支が悪化し、料金値上げが必要となることも予想される。
このような状況下にあり、受水団体に対する県からの受水割合*の維持・拡大
の働きかけ、建設費用の縮減や浄水場の効率的な運転管理など、より一層の経営
努力を重ねなければならない。
また、浄水場等の運転管理を支える技術系職員の年齢構成は、50歳以上が4
割を占める年齢構成となっていること、また、ベテラン職員の大量退職時期を考
慮すると、事業運営の効率化を図るためにも、水道の技術レベルを維持する方策
が必要となっている。
(水道広域化の状況)
県では、平成23年3月に改訂した「埼玉県水道整備基本構想*」で経営基盤
の強化、格差是正に向けた水道広域化*の推進が掲げられている。
県営水道では、現在、効率的な事業運営を推進するため、広域化の調査・研究
をかさね、水道広域化のメリット・デメリットを整理し、受水団体からの水質検
査の受託や備蓄用資機材の保有情報の共有を実施している。
今後、県民に対し将来にわたり安定給水を図るためには、水源から蛇口までを
意識し、受水団体と連携した事業運営を推進する必要がある。
12
水利権の状況
暫定水利権と安定水利権の推移
約 30%が
暫定水利権
水利権量
(㎥/秒)
30
26.167 ㎥/秒
25
7.769 ㎥/秒
20
18.398 ㎥/秒
15
暫定水利権
10
安定水利権
5
0
S43
S46 S49
S52
S55
S58
S61
H1
H4
H7
H10
H13
H16
H19 H22
送水管路の老朽化の状況
上水送水管、供用年度別延長
送水管延長
m
160,000
140,000
送水管延長
120,000
送水管総延長 764km
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
S43
S46
S49
S52
S55
S58
S61
H1
H4
H7
H10
10年後(33年度)に法定耐用年数
40年経過 286km(37%)
13
H13
H16
H19
H22
水道料金と給水収益
供給単価(税抜)
(円/㎥)
180
160
各府県の用水供給単価(市町村への卸売り単価)の比較
(平成21年度)
各府県の水道料金の比較(平成21年度)
162.40
140
120
100
80
61.78
60
43.62
40
20
島根県
長野県
富山県
埼玉県
香川県
静岡県
愛知県
山形県
群馬県
大阪府
福井県
栃木県
沖縄県
滋賀県
岐阜県
広島県
石川県
茨城県
京都府
三重県
奈良県
兵庫県
宮城県
0
(平成21年度地方公営企業年鑑)
給水収益と有収水量
給水収益
(百万円)
有収水量
(千㎥)
45,000
700,000
40,000
600,000
35,000
500,000
30,000
400,000
25,000
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
給水収益
42,384
42,311
41,946
41,742
41,487
41,361
41,017
40,890
40,493
40,187
有収水量
678,660
677,396
671,481
667,738
671,529
669,491
663,925
661,850
655,420
650,469
※給水収益:市町など受水団体*から徴収する水道用水料金の収入額
有収水量:浄水場から送水した水のうち、水道用水料金の徴収対象となったもの
(送水管工事の際に洗浄水として使用した水など、料金徴収の対象とならない
ものは、無収水量という)
※平成17年4月に料金改定を行ったため、給水収益と有収水量の変化の割合は一致してい
ない。
14
300,000
(2)方向性
・
水資源開発施設*建設の早期完成と建設コストの縮減を目指す。
・
水資源開発施設の必要性を県民にPRし、理解を深める。
・ 水道施設の耐震性や財源の状況、今後増大する更新需要などを踏まえながら、
施設の老朽化対策や耐震化を推進する。
・
老朽化した水道施設の更新に当たり、需要に見合った施設規模を検討した上
で、アセットマネジメント*の考え方に基づいた施設整備計画を策定する。
・
災害時等を想定した各種マニュアルについて見直しを行い、業務の継続を図
る。
・ 受水団体*と連携して災害や電力不足などの事態に対する対策の充実を図る。
老朽化している消毒用の液体塩素*施設は、浄水場の規模や水質の状況等か
・
ら可能なものについて、取扱いの容易な次亜塩素酸ナトリウム*施設へと転換
を図る。
・
収益の確保、費用の抑制などにより健全経営の維持を図るとともに、効率的
な事業運営を推進する。
・
ベテラン職員の技術を継承し技術レベルの維持を図るため、官民でのノウハ
ウの共有を含め人材開発を進める。
(3)具体的な取組
◎
水源の安定確保
・
水資源開発施設建設の早期完成要望
国及び独立行政法人水資源機構に対し要望
・
水資源開発施設建設費用のコスト縮減
事業主体と関係都県で構成する連絡協議会等において、コスト縮減や進捗
状況などを確認
・
◎
水資源開発施設の必要性の県民へのPR
水道施設の老朽化対策と耐震化の推進
・ アセットマネジメントの考え方に基づく施設整備計画の策定と計画的な水道
施設の更新
浄水場施設の更新・耐震化の推進
送水管や水管橋*の更新・耐震化の推進
◎ 危機管理対策の充実
・ 災害時の給水を確保するための中継ポンプ所*備蓄水量の拡充
・
自家用発電設備の強化
15
新たな水道情報通信ネットワーク*による受水団体*への水質情報等の提供
・
水質管理情報、漏水情報等を受水団体へタイムリーに情報提供
・
受水団体との連携による緊急時の給水確保
・ 業務継続を図るための危機管理に対応した実践的なマニュアルへの改訂及び
受水団体との共同訓練の実施
液体塩素*から取扱いが容易な次亜塩素酸ナトリウム*による消毒施設への
・
転換
◎
運営基盤の強化
・
健全経営の維持
県水転換率*の維持・拡大に向けた受水団体への働きかけなどによる収入
の確保
浄水場の効率的な管理運営や建設費用の縮減
将来の収支状況を見通した適正な料金設定
・ 委託やPFI*等現在の取組の評価、官民連携のあり方の検討・推進
・ 水道広域化*に向けた取組の推進
受水団体との管理の一体化、施設の共同化の推進
市町村水道事業の受託(第三者委託*)への体制整備
ブロック検討部会*への参画による受水団体と連携した経営統合に向け
た検討
・
◎
簡素で効率的な業務執行体制の検討・推進
人材開発の推進
・ 効果的な専門技術研修及び外部機関への派遣研修等による職員の技術・能力
開発
・
現役ベテラン職員及び再任用職員を活用した技術継承の推進
16
取組項目
水源の安定確保
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
水源施設の早期完成要望、建設費用コスト縮減、
県民へのPR
主な目標値
安定水利権 * の割合
※
70%(22 年度)
→100%(28 年度)
水道施設の老朽化
対策と耐震化の推
進
施 設 整 備 計 画 に 計画の
基 づ く 施 設 の 計 策定
画的更新・耐震化
の推進
計画に基づく整備の実施(∼H38)
施設整備計画
の 内 容
浄水場施設の
更新・耐震化
送水管や水管橋
耐震調査・耐震計画策定(H23∼)
施設更新・耐震化の実施(設計・工事)
管路更新・耐震化(調査・設計・工事)
送水管路の更新・耐震
化延長※
の更新・耐震化
11km
(24∼28年度累計)
水管橋施設耐震化(現地調査・工事)
水管橋の耐震化※
10 橋
(24∼27 年度累計)
危機管理対策の充
実
中継ポンプ所
備蓄水量の拡充
江南中継ポンプ所、上赤坂中継ポンプ所
送水調整池*設置
工事
設計
非常時に備えた水道
水の貯水量※
51万m3(23年度)
→56万m3(28年度)
新たな水道情報
通信ネットワー
クの構築・運用
液体塩素から次
亜塩素酸ナトリ
ウムによる消毒
施設への転換
システム構築
(H23∼)
運用開始 受水団体への情報提供
設備の設計
設備設置工事 庄和浄水場
17
運営基盤の強化
健全経営の維持
受水団体への県水転換働きかけ等
収支見通しに基づく適正な料金設定の実施
官民連携のあり
方の検討・推進
現行の委託・PFIの取組の効果検証・評価
官民連携のあり方の検討・推進
水道広域化に向
けた取組の推進
人材開発の推進
受水団体との資機材の保有情報共有
受水団体からの水質検査の受託
ブロック検討部会への参画・検討
専門技術研修及び外部機関への派遣研修等の実施
現役ベテラン職員及び再任用職員を活用した
技術継承の推進
※安定水利権の割合
(考え方)
国では「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」で平成27年度を目途と
した本県及び茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都の1都5県の水需要の見通しと供給
の目標、必要な施設整備を定めている。この計画の着実な達成を国に働きかけ、県民生活に
必要な水資源を確保することを目標とする。
(算出方法)
安定水利権÷水利権*×100 により算出
※送水管路の更新・耐震化延長
(考え方)
老朽化した送水管路のうち、腐食の進行による漏水の危険性が高い20kmについて、当初
平成24年度から32年度までの9年間で更新し、併せて耐震化を進めることとしている。
計画期間内においては、このうち約55%(5年/9年)の実施を目標とする。
(算出方法)
計画期間内に更新工事を完了した送水管路の延長により算出
18
※水管橋の耐震化
(考え方)
老朽化した水管橋のうち、大震災等において漏水の発生する危険性が高い10橋について、
平成27年度までに耐震化を図ることを目標とする。
(算出方法)
耐震化工事が完了した水管橋の数により算出
※非常時に備えた水道水の貯水量
(考え方)
浄水場からの距離や地形等を考慮し、県西部地区及び北部地区の水道水の備蓄強化が必要
なことから、上赤坂、江南の2か所の中継ポンプ所*に送水調整池*を増設し、計画停電等
の非常時に備えた貯水量を5万m3増やすことを目標とする。
(算出方法)
浄水場や中継ポンプ所に整備済みの浄水池*、送水調整池の容量の合計により算出
19
【目標3】環境・エネルギー対策の強化
(※ 本目標は、水道用水供給事業、工業用水道事業共通の目標である。)
(1)現状、課題
平成21年3月に制定された埼玉県地球温暖化対策推進条例に基づき、県内の
大規模事業所については、平成23年度以降のCO2排出量の削減目標が定めら
れ、企業局の浄水場等もその対象となった。
そのため、企業局では、平成23年度に行田浄水場に1,200kWの太陽光発電
を、高坂中継ポンプ所に28kWの小水力発電を導入したが、目標達成のためには、
更なる対策を講じなければならない状況である。
また、東日本大震災後の電力供給不足状況は今後もしばらくは継続すると考え
られ、省エネルギーや創エネルギーなどエネルギー対策の強化が課題となってい
る。
浄水発生土*については、園芸用土やグランド用土などとして有効利用され、
これまで100%の資源化を達成してきたが、東日本大震災後放射性物質が検出され
たことから、現在は浄水場内で適切に保管している。
埼玉県地球温暖化対策推進条例に基づくCO2排出量の削減目標
温室効果ガスを継続して多量に排出する大規模事業所(原油換算エネルギー使用
量が3年連続 1,500kl 以上)について、以下のとおりCO2排出量の目標削減率が
設定され、目標達成に努めることとされた。
企業局では、大久保浄水場はじめ6浄水場(工業用水専用の柿木浄水場を含む)
及び上赤坂中継ポンプ所が対象となっている。
第一計画期間(平成23年度∼26年度)
基準排出量に対し 6%削減
第二計画期間(平成27年度∼31年度)
基準排出量に対し15%削減
基準排出量 平成14∼19年度のうちいずれか連続する3年間の排出量の平均値
20
CO2の削減状況
企業局の大規模事業所におけるCO2排出量合計
企業局の大規模事業所におけるCO2排出量合計
104,000
【%】
14%
CO2排出量
102,000
削減率
12%
100,000
98,000
10%
96,000
8%
94,000
92,000
6%
90,000
4%
88,000
86,000
2%
84,000
82,000
0%
基準排出量
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
※大規模事業所には、工業用水専用の柿木浄水場を含む。
(2)方向性
・
平成23年度に導入した太陽光発電、小水力発電の効果を検証した上で、再
生可能エネルギーの導入拡大による電力源の多様化を図る。
・
自家用発電設備の強化を図る。
・
施設・設備の改築・改良を契機とした省エネルギー型の水道システムへの再
構築を目指す。
放射性物質を含んだ浄水発生土*について適切に管理するとともに、新たな
・
発生土中の放射性物質の数値が資源として利用可能なレベルまで下がった場
合には、有効利用を図る。
(3)具体的な取組
◎
創エネルギーの推進
・ 平成23年度に導入した太陽光発電、小水力発電の効果検証を踏まえた再生
可能エネルギーの導入拡大
・
◎
自家用発電設備の強化(再掲)
CO2削減対策・省エネルギー対策の推進
・
CO2・エネルギー削減対策の検討・推進
高効率機器の積極導入等
21
放射性物質の状況を踏まえた浄水発生土*の資源化の推進
◎
・
浄水発生土の適切な管理と資源化の推進
取組項目
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
主な目標値
創エネルギーの推進
再生可能エネル
ギーの導入拡大
効果の検証
効果の検証を踏まえた導入
CO2削減対策・省 CO2・エネルギー
エネルギー対策の推 削減対策の検討
進
更なる削減推進
企業局の大規模事
業所におけるCO2排
出量の削減率※
11.8%(22 年度)
→ 15%(28 年度)
放射性物質の状況を
踏まえた浄水発生土
の資源化の推進
適切な管理の実施、資源化の推進
※企業局の大規模事業所におけるCO2排出量の削減率
(考え方)
地球温暖化対策推進条例に基づき示された、第二計画期間(平成27年度∼31年度)に
おける大規模事業所のCO2削減目標値15%を、企業局の大規模事業所である浄水場等に
おいて達成することを目標とする。
(算出方法)
大久保、行田、新三郷、柿木各浄水場 平成14∼16年度CO2排出量の平均値
庄和浄水場及び吉見浄水場
平成17∼19年度CO2排出量の平均値
上赤坂中継ポンプ所
平成16∼18年度CO2排出量の平均値
の合計を基準排出量とし、基準排出量からの削減率により算出
22
【目標4】国際技術協力の充実と水道事業の国際展開
(1)現状、課題
平成22年度において、企業局も含めた本県関係部局による「埼玉県水ビジネ
ス海外展開研究会」が設置され、埼玉県が推進すべき水ビジネスの方向性につい
て検討を行った。
その報告書の中で、埼玉県が水ビジネスの海外展開を推進する目的として、
①水問題解決への国際技術協力、②県の水ビジネスへの参画、③県の人材開発・
技術継承、④地域産業の振興の4つがあげられている。また、企業局の役割につ
いて、国際技術協力からの具体的案件形成としている。
一方で、平成12年度以降、企業局では海外派遣実績がなく、海外展開に必要
な相手国とのパイプがつくられていない。
そこで、平成23年度からJICA*事業を活用したタイ・チョンブリ県での
国際技術協力を実施し、同国の水処理技術の向上に取り組んでいるところである。
今後、この技術協力をビジネス案件へどのように結びつけていくかということ
とともに、国際化に対応できる人材育成のための体制整備が課題となっている。
(2)方向性
・ JICA等による国際技術協力を推進するとともに、相手国との信頼関係を
構築し、相手国のニーズに応じたインフラ整備を提案し、相手国の生活水準の
向上と県内企業等によるビジネスの両面を目指す。
・ 企業局が有する管理運営ノウハウを活用した県内企業等との官民連携を推進
し、ビジネス案件形成を目指す。
・ 国際技術協力と水ビジネスを通じて、グローバルな人材を育成するとともに、
実戦的な技術支援による技術の継承を図る。
・
海外展開全般を通じて、アジアにおける埼玉県のプレゼンス向上を図る。
(3)具体的な取組
◎
海外への技術支援
・
JICA*事業によるタイ、チョンブリ県での水処理技術向上支援
水道専門職員の派遣、研修生の受入れ
・
その他の国、地域への技術支援の実施
・ 相手国との協力関係構築と相手国への水インフラ整備のプランニングなどの
提案
23
◎
官民連携による水ビジネス案件の推進
・
県内企業等との連携及び海外事業化支援
ウォータービジネスメンバーズ埼玉*を活用した具体案件の推進
県の信用力を活用した相手国への働きかけ
・
民間海外プロジェクトへの協力・支援
管理運営ノウハウの提供
◎
技術交流等を通じた人材開発
・
◎
JICA事業・官民連携案件・国からの調査協力等を通じた人材開発
PRと広報
・
海外関係機関へのトップセールス等によるPR
・
県ホームページ等による県の取組の広報
取組項目
海外への技術支援
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
タイ・JICA草の タイ・JICAプロジェクト
根技術協力事業
の発展
主な目標値
海外派遣、研修生受
入人数※
49 人日(22 年度)
新規・JICA技術協力プロジェクト等
官民連携による水 官民連携案件の検討及び推進(ウォータービジネスメンバーズ
ビジネス案件の推 埼玉での検討、連携協定締結、海外関係機関への
進
PR、調査協力など)
技術交流等を通じ
た人材開発
JICA事業・官民連携案件・国からの調査協力
等を通じた人材開発
PRと広報
海外関係機関へのトップセールス等によるPR
県ホームページ等による県の取組の広報
24
→ 300 人日(28 年度)
※海外派遣、研修生受入人数
(考え方)
平成22年度は、タイにおけるJICA草の根技術協力事業の準備や中国での技術セミナ
ーなどにより、49人日の海外派遣を実施した。
今後、平成23年度から開始したタイにおけるJICA事業での技術者派遣や研修生の受
入れを継続するほか、技術支援の拡大や官民連携案件推進により、平成28年度には年間
300人日の海外派遣、研修生の受入れを目標とする。
(算出方法)
派遣した技術者等の人数に派遣日数を乗じた数値と、受入れを行った研修生の人数に受入
日数を乗じた数値の合計により算出
25
【収支計画、給水計画、設備投資計画】
○ 収益的収支
収入
料金収入
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
40,738
40,738
40,738
40,850
40,738
966
907
838
769
859
計
41,704
41,645
41,576
41,619
41,597
維持管理費
15,468
15,902
15,795
16,382
16,596
減価償却費
18,262
18,249
18,247
17,997
19,679
5,918
5,534
5,330
5,113
5,775
538
319
230
413
339
40,186
40,004
39,602
39,905
42,389
1,518
1,641
1,974
1,714
△792
他会計補助金等
支出
(単位:百万円)
支払利息
資産減耗費等
計
差 引
○ 資本的収支
収入
企業債
1,603
3,801
4,719
7,192
2,027
他会計出資金等
4,910
4,366
4,307
5,613
2,910
10,340
20,587
22,384
31,907
12,897
9,421
19,896
21,229
31,795
11,936
13,501
12,280
11,736
11,186
11,434
5,955
5,581
5,855
6,134
6,533
28,877
37,757
38,820
49,115
29,903
△18,537
△17,170
△16,436
△17,208
△17,006
建設改良費
企業債償還金
機構負担年賦金等
計
差 引
※
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
3,827
12,420
13,358
19,102
7,960
国庫補助金
計
支出
(単位:百万円)
収入が支出に不足する額については内部留保資金を充当する。
○ 企業債残高
総額
(単位:百万円)
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
154,268
154,408
156,030
163,946
160,472
(単位:千 m3)
○ 給水計画(将来予測)
H24年度
給水団体数
年間総給水量
1日平均給水量
H25年度
H26年度
H27年度
H28年度
55
55
55
55
55
659,412
659,412
659,412
661,219
659,412
1,807
1,807
1,807
1,807
1,807
※ 1日平均給水量は、平成24年度予算の数値で据え置いた。
26
○ 設備投資計画(金額)
水源開発
(単位:百万円)
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
3,772
5,243
4,999
10,211
0
建設費(水源を除く)
1,449
6,774
10,276
12,149
4,803
業務設備整備費
4,200
7,879
5,954
9,435
7,133
27
2
工業用水道事業
【目標1】将来にわたる工業用水の低廉な価格での安定供給
(1)現状、課題
事業開始から46年が経過し、浄水場や配水管路など、工業用水道施設・設備
の老朽化が進んでいる。これまで、施設の延命化を図りつつ運営してきたが、安
定供給を維持するために施設・設備の更新を本格的に進めていかなければならな
い。
そのため、配水管路については、平成23年度中に管路更新計画を策定し、計
画的な更新を行うこととしている。
東日本大震災では、工業用水道施設も被害を受け、浄水場内施設や配水管路等
20箇所で損傷が発生したことから、耐震性の把握と耐震化工事の推進が求めら
れている。
一方で、水のリサイクルを行う工場の増加や事業所の廃止、移転などにより契
約水量及び実給水量ともに減少している。
工業用水道事業は事業規模が水道用水供給事業と比較し小規模であり、また契
約水量が一部の大口事業所に偏在しているという特徴がある。
工業用水道事業は現在のところ単年度利益を確保している。今後の契約水量の
動向次第では経営状況が短期間で大きく変動することが懸念される。このような
状況下にあり、新規給水事業所の開拓、コスト縮減の一層の徹底など経営安定化
の努力が求められている。
水道用水供給事業と同様、ベテラン技術系職員が大量退職期にあることから、
事業運営の効率化を図りながら、技術レベルを維持していくことが課題である。
28
工業用水道料金と給水収益
各都道府県の工業用水道料金の比較(平成21年度)
供給単価
(円/㎥)
70
60
59.98
50
40
30
23.38
20
6.19
10
0
岩栃滋東熊岐大宮福沖香茨山愛千福鳥佐三鹿埼群富新広京北島愛高徳秋兵静山岡和宮大青福
手木賀京本阜阪城岡縄川城形知葉井取賀重児玉馬山潟島都海根媛知島田庫岡口山歌崎分森島
県県県都県県府県県県県県県県県県県県県島県県県県県府道県県県県県県県県県山県県県県
県
県
※都道府県により料金制度が違うため、
供給単価 = 年間給水収益 ÷ 料金算定分有収水量
として比較した。そのため、実際の料金とは異なる場合がある。
給水事業所数
給水収益(百万円)
契約水量
(千㎥)
給水事業所数、契約水量、給水収益
2500
100,000
90,000
2000
80,000
70,000
1500
60,000
50,000
1000
40,000
30,000
500
20,000
10,000
0
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
186
185
179
177
179
176
173
167
165
163
給水収益
2,096
2,091
2,002
1,957
1,869
1,851
1,845
1,821
1,787
1,713
契約水量
90,390 90,185 86,206 84,265 80,590 79,403 79,148 77,998 76,412 73,460
給水事業所数
29
0
(2)方向性
・ 需要に見合った工業用水道施設の規模や効率的な運用方法の検討を行い、老
朽化施設の計画的な更新を実施する。
・
耐震性の状況などを踏まえながら、工業用水道施設の耐震化を推進する。
・ 災害時等を想定した各種マニュアルについて見直しを行い、業務の継続を図
る。
・ 工業用水道施設の更新や耐震化の計画の策定及び実施に当たっては、経営収
支の見込みや資金の状況などを十分見据えた上で行う。
・
将来の収支状況を見通した適正な料金設定を行う。
・ 収益の確保、費用の抑制などにより健全経営の維持を図るとともに、効率的
な事業運営を推進する。
・ ベテラン職員の技術を継承し技術レベルの維持を図るため、官民でのノウハ
ウの共有を含め人材開発を進める。
(3)具体的な取組
◎ 工業用水道施設の老朽化対策と耐震化の推進等
・ アセットマネジメント*の考え方に基づく配水管等の施設の更新
老朽管の更新に合わせた耐震化と水管橋*の耐震化の推進
浄水場施設の耐震化
・ 業務継続を図るための危機管理に対応した実践的なマニュアルへの改訂及び
訓練の実施
◎
運営基盤の強化
・
健全経営の維持
新規給水事業所獲得のための営業活動の強化
浄水場の効率的な管理運営、建設費等の縮減
将来の収支状況を見通した適正な料金設定
・
現在の包括委託*の取組の評価、官民連携のあり方の検討・推進
◎ 人材開発の推進(再掲)
・ 効果的な専門技術研修及び外部機関への派遣研修等による職員の技術・能力
開発
・ 現役ベテラン職員及び再任用職員を活用した技術継承の推進
30
取組項目
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
主な目標値
工業用水道施設の
老朽化対策と耐震
化の推進等
配水管や水管橋
の更新・耐震化
現地踏査
等
設計調査及び管路更新工事(耐震化)
水管橋施設の現地調査 水管橋施設の耐震工事
水管橋の耐震化※
7橋
(24∼27 年度累計)
浄水場施設の耐
震化
耐震診断 耐震計画
調査
の策定
耐震設計及び補強工事
運営基盤の強化
健全経営の維持
新規給水契約事業所
営業活動の強化等
数※
10 社
(24∼28 年度累計)
収支見通しに基づく適正な料金設定の実施
官民連携のあり
方の検討・推進
現行の包括委託の取組の効果検証・評価
官民連携のあり方の検討・推進
人材開発の推進
(再掲)
専門技術研修及び外部機関への派遣研修等の実施
現役ベテラン職員及び再任用職員を活用した
技術継承の推進
※水管橋の耐震化
(考え方)
老朽化した水管橋のうち、大震災等において漏水の発生する危険性が高い7橋について、
平成27年度までに耐震化を図ることを目標とする。
(算出方法)
耐震化工事が完了した水管橋の数により算出
31
※新規給水契約事業所数
(考え方)
工業用水道事業の給水事業所数は、平成19年から22年の間に10社減少している。工
業用水を供給している県南部地域は既存工場地域の住宅地化が進行しており、新規の工場立
地は減少傾向にあるが、営業活動を強化し5年間で10社の新規契約事業所獲得を目標とす
る。
(算出方法)
平成24年度から平成28年度までの計画期間内に、新規給水契約を締結した事業所の数
により算出
32
【収支計画、給水計画、設備投資計画】
○ 収益的収支
H24年度
収入
支出
料金収入
受取利息等
計
維持管理費
減価償却費
支払利息
資産減耗費等
計
差 引
1,636
68
1,704
1,003
397
57
113
1,570
134
H25年度
1,614
60
1,674
1,016
396
50
83
1,545
129
H26年度
1,593
52
1,645
997
410
45
73
1,525
120
○ 資本的収支
収入
支出
※
企業債
国庫補助金
長期貸付金償還金等
計
建設改良費
企業債償還金
長期貸付金
計
差 引
H24年度 H25年度 H26年度
0
0
0
0
195
195
1,559
1,255
1,401
1,559
1,450
1,596
607
1,485
2,616
147
142
140
730
730
730
1,484
2,357
3,486
75
△ 907 △ 1,890
(単位:百万円)
H27年度 H28年度
1,576
44
1,620
1,036
392
39
134
1,601
19
1,551
35
1,586
1,010
601
33
73
1,717
△ 131
(単位:百万円)
H27年度 H28年度
0
0
195
195
1,547
1,497
1,742
1,692
2,870
1,049
140
141
730
730
3,740
1,920
△ 1,998
△ 228
収入が支出に不足する額については内部留保資金を充当する。
○ 企業債残高
総額
(単位:百万円)
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
1,379
1,237
1,097
957
816
(単位:千 m3)
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
給水企業数(社)
163
163
163
163
163
契約水量
72,593
71,635
70,689
69,947
68,835
※ 1日当たり契約水量の年平均減少率を1.32%とした。
○ 給水計画(将来予測)
○ 設備投資計画(金額)
建設費
業務設備整備費
(単位:百万円)
H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度
116
744
758
842
586
491
741
1,858
2,028
463
33
3
地域整備事業
【目標1】産業団地の整備による産業集積の推進
(1)現状、課題
企業局では、これまで「田園都市産業ゾーン基本方針*」に基づき圏央道沿線
地域に限定して産業団地を整備してきた。圏央道の整備が進展し、県内の高速道
路がネットワーク化すると、圏央道以北地域に圏央道の整備効果が及び、産業立
地ポテンシャルの向上が期待できる。こうしたことから、県では、「圏央道以北
地域の産業地誘導に関する基本的考え方*」を策定し、圏央道以北地域への産業
集積を進めることとした。これを受け、企業局における圏央道以北地域の産業団
地整備方針を定める。
今後、東日本大震災により電力需給がひっ迫することによる企業のリスク分散
の動きや急激な円高により、企業の海外進出が加速する等の懸念がある一方で、
省エネや再生可能エネルギー分野における新規需要の創出や震災後の復興需要も
期待できる。
こうした状況を踏まえ、今後の産業団地整備に当たっては、圏央道沿線地域で
の新たな産業団地用地の確保や、特に圏央道以北について他県との誘致競争に勝
つための埼玉県の強みを生かした企業立地の促進等が課題となる。
産業団地整備の状況
圏央道沿線の産業団地の状況
(H24.1 月末現在)
雇用計画
産業団地
事業年度
分譲面積
(区画)
分譲済み面積
(区画)
経済波及効果
川越第二
H19∼H21
15.7ha
(8区画)
全区画
分譲済み
360億円
菖蒲南部
H19∼H21
14.0ha
(5区画)
13.0ha
(4区画)
180億円
騎西城南
H20∼H22
16.0ha
(6区画)
11.4ha
(4区画)
220億円
白岡西部
H22∼H25
13.6ha
−
−
−
幸手中央地区
H23∼H27
36.6ha
−
−
−
(地元雇用)
1,091人
(640人)
376人
(254人)
295人
(252人)
○経済波及効果及び雇用計画については、分譲時の立地企業の計画に基づき算定
した。
34
(2)方向性
・ 県で定める、「田園都市産業ゾーン基本方針*」及び「圏央道以北地域の産
業地誘導に関する基本的考え方*」に基づき、埼玉の強みを生かし、豊かな田
園環境と調和した産業団地の整備を推進する。
・ 整備に当たっては、企業局の産業団地整備方針に基づくとともに、県のエコ
タウン構想*のコンセプトを踏まえ、環境・エネルギーに配慮した取組を行う。
(3)具体的な取組
◎
圏央道沿線における産業団地整備の継続
・
白岡西部、幸手中央地区、杉戸屏風深輪地区各産業団地の整備推進
・
新規地区について採算性等を見極めた上での事業化推進
◎
圏央道以北における新たな産業団地の整備
・ 地域の特性、企業の立地動向、地元の意向、採算性等を見極めた上での事業
化推進
◎
新規産業団地整備における取組
・ 団地内の街路灯をすべてLED*化するなど、環境・エネルギーに配慮した
取組の推進
・
環境・エネルギーに配慮した企業誘致
・
整備に当たっての新たな事業手法(受託事業方式等)の導入
35
取組項目
圏央道沿線におけ
る産業団地整備の
継続
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
主な目標値
白岡西部産業団地
(仮)幸手中央地区産業団地
(仮)杉戸屏風深輪地区産業団地
新規(採算性等を見極めながら、順次事業化を
図る。
)
新たに整備された産
業団地の面積※
100ha
圏央道以北におけ
る新たな産業団地
の整備
新規産業団地整備
における取組
新規(地域の特性、企業の立地動向、地元の意向、
採算性等を見極めながら、順次事業化を図る。)
(24年度∼28年度)
環境・エネルギーに配慮した取組の推進
環境・エネルギーに配慮した企業の誘致
新たな事業手法の導入
※新たに整備された産業団地の面積
(考え方)
計画期間内に白岡西部、幸手中央地区、杉戸屏風深輪地区に加え、新規地区の整備を行う
こととし、圏央道沿線と圏央道以北を合わせて100haの面積を目標とする。
(算出方法)
計画期間内に整備した産業団地の面積の合計により算出
なお、産業団地への企業の立地による雇用創出効果や経済波及効果の把握に努め、これらの
効果が上がるような取組を推進することとする。
36
【収支計画】
○ 収益的収支
(単位:百万円)
H24 年度 H25 年度 H26 年度 H27 年度 H28 年度
収入
支出
※
事業資産売却収入
事業資産貸付収入等
42
1,150
3,462
1,144
5,502
1,170
11,875
1,142
9,681
1,208
計
1,192
4,606
6,672
13,017
10,889
一般管理費等
71
547
3,460
551
5,487
502
11,844
503
9,667
580
計
618
4,011
5,989
12,347
10,247
差 引
574
595
683
670
642
事業資産売却原価
事業資産売却収入は、事業完了年度6割、翌年度4割で計上
事業資産売却原価は、事業資産売却収入に対応して計上
○ 資本的収支
(単位:百万円)
H24 年度 H25 年度 H26 年度 H27 年度 H28 年度
収入
支出
企業債
長期貸付金償還金等
0
3,006
0
3,008
0
2,049
0
1,511
0
1,516
計
3,006
3,008
2,049
1,511
1,516
建設改良費
調査費等
7,261
0
260
6,650
0
260
5,221
0
260
3,567
0
260
1,200
0
260
計
7,521
6,910
5,481
3,827
1,460
△4,515
△3,902
△3,432
△2,316
56
企業債償還金
差 引
※
収入が支出に不足する額については内部留保資金を充当する。
企業債残高は、計画期間中 0 である。
37
第5章
1
計画の推進
マネジメントサイクルの導入
計画の推進にあたっては、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action
(改善)のマネジメントサイクルを導入する。
毎年度の計画の進捗状況評価の結果に基づいて必要に応じ計画を見直し、社会経
済情勢の変化や県民・顧客のニーズに的確に対応した事業運営を進める。
2
外部評価の実施及び評価結果の公表
計画の進捗状況については、企業局で内部評価を行った上で、外部有識者等で構
成される「企業局経営懇話会」において外部評価を受けることとする。
また、外部評価の結果は企業局のホームページで公表する。
3
双方向のコミュニケーションによる計画の推進
ホームページでの情報提供、施設見学会の実施など、さまざまな手段を活用し、
県民や顧客である市、町、企業等に対する広報の充実を図る。
また、アンケート調査や関係者との意見交換などにより県民や顧客のニーズ・満
足度の把握に努めるなど、双方向のコミュニケーションにより計画を推進する。
4
計画の見直し
本計画の前提となっている社会経済情勢は、本計画策定時点においても大きく動
いており、先行きの不透明な部分が多い(福島第一原発の事故に伴う放射性物質の
状況、再生可能エネルギーなどに係る技術の動向、円高や欧州の債務危機を背景と
する経済の動向など)。
そこで、本計画については、計画策定後3年目を目途に、計画の進捗状況の評価
や企業局を取り巻く環境の変化、新たな県民のニーズなどを踏まえ、関係者の意見
を聴取した上で、見直すものとする。
38
参
考 資 料
39
用語の解説
用
語
解
説
頁
あ行
アセットマネジメント
中長期的な視点に立ち、効率的かつ効果的に資産を管
理運営する体系化された実践活動。
5,15,
30
施設の健全性を維持しつつ、更新費用を総額として最
小化することや、更新時期を平準化するといった観点か
ら活用される手法のこと。
新たな水道情報通信ネット
ワーク
現在のシステムでは、浄水場間での運転状態の相互監
視、各種報告データの伝送等、企業局内部での情報通信
5,16,
17
を行っている。
この現行システムが老朽化したため、平成24年度に
新たな水道情報通信ネットワークを整備する予定であ
る。
新たなシステムでは、従来の機能の他、受水団体へ水
質情報や浄水場の運転状態等を、インターネットにより
情報提供する機能を追加することとしている。
安定水利権
河川においてダム等の水資源開発施設の整備により、
1年間を通じて安定的に確保される流量の範囲内で取水
11,13,
17,18
することを許可される権利のこと。
(→ 暫定水利権、水利権)
ウォータービジネスメンバ
ーズ埼玉
平成23年9月、県内企業等が取り組む海外水ビジネ 24
スの具体的な案件に対して、当該企業等と埼玉県の関係
部局が連携して、海外展開の実現に向けた方策を検討す
ることを目的に設置された組織。
液体塩素
塩素は、水処理で殺菌消毒剤として用いられる薬品の 5,15,
ひとつである。常圧では気体のため、運搬、貯蔵を容易
16,17
にする目的で、加圧して液状化させたもの。
(→次亜塩素酸ナトリウム)
エコタウン構想
再生可能エネルギーの活用と徹底した省エネ対策を一 35
定地域内で集中的に進める埼玉県独自のプロジェクト。
NF膜(ナノ膜)
1ナノメートル(10億分の1メートル)前後の小さ 9
な分子まで除去できる膜のこと。
除去対象物質は、臭気のもととなる物質や消毒副生成
物の原因となる有機物など。
40
用
語
MF膜(精密ろ過膜)
解
説
粒径0.01∼10マイクロメートル(1マイクロメ
頁
9
ートルは100万分の1メートル)程度の物質まで除去
できる膜のこと。
除去対象物質は、水に溶解しない微粒子や細菌など。
LED
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)のこと。 6,35
LEDを使用した照明は、従来のものに比べ、消費電力
が少なく寿命が長い。しかし、現在のところ、高価格な
どの課題もある。
オゾン
3 つの酸素原子からなる酸素の同素体。分子式は O₃で、 9
酸化力が強く、消毒や臭気のもととなる物質の分解に用
いられる。大気中にもごく低い濃度で存在している。
か行
凝集沈殿砂ろ過
水中に散らばっている濁りを薬品を用いて集塊させ
9
(凝集)、沈降させ(沈殿)、さらに砂を用いてろ過する
(砂ろ過)ことにより、不純物を取り除く水処理過程の
こと。
県営水道長期ビジョン
将来にわたってより安全で良質な水道水を供給し、か
1
つ県民ニーズに応えるために、県営水道が進む道標とし
て平成14年3月に企業局が策定した構想。
平成23年度に見直しを行っている。
圏央道以北地域の産業地誘
導に関する基本的考え方
圏央道以北地域は、圏央道整備の波及効果や新たな企 34,35
業立地が期待されており、このチャンスを活かした産業
誘導の推進や市町村の活性化に向けた取組を支援するた
め、平成23年9月に埼玉県が策定した方針。
県からの受水割合
県水転換率
→県水転換率
12
市や町の水道事業が取水した水量(県営水道からの受 5,16
水量と地下水など自己水源からの取水量の合計)のうち、
県営水道からの受水量の割合。
埼玉県では、地盤沈下防止のため地下水から県水への
転換を図ってきたことから、県水転換率と表現している。
高度浄水処理
一般的に、臭気対策や色度対策、消毒副生成物(トリ
ハロメタン等)対策として、凝集沈殿、ろ過など通常の
処理に加えて、活性炭やオゾンなどによる処理を行う浄
水処理方式のこと。近年では、NF膜などを用いた新た
な高度浄水技術の研究も進められている。
企業局新三郷浄水場で行っている高度浄水処理は、生
物活性炭とオゾン処理を組み合わせた方式。
41
7,8
用
語
解
説
頁
さ行
埼玉県水道整備基本構想
埼玉県における水道の計画的な整備と、水道に関する
12
諸問題解決のための基本的な指針とするため、昭和62
年2月に埼玉県が策定した県全域の水道の基本的な構想
(平成16年2月及び平成23年3月に改定)。
埼玉県の新たな5か年計画
埼玉県では、5年ごとに県政運営の指針となる総合計
1
画を策定している。
これまでの5か年計画「ゆとりとチャンスの埼玉プラ
ン」の計画期間が平成23年度までとなっているため、
現在、平成24年度を初年度とする新たな5か年計画の
策定が進められている。
暫定水利権
ダム等の水資源開発施設が完成する前に、水道用水等
11,13
の需要が発生している場合、許可期限(通常1年)及び豊
水条項(他の水利権に影響を与えない流量が確保される
場合取水できる条件)が付されて許可される水利権のこ
と。
許可にあたっては、将来の水源確保が確実で緊急の必
要があることが条件となる。(→安定水利権、水利権)
残留塩素濃度
水に注入した塩素が消毒効果を持つ有効塩素として、
9
消失せずに残留している濃度のこと。
消毒副生成物
塩素などの消毒剤と水中の有機物とが副次的に反応し
7
て生成される物質のこと。
人体に有害な物質としてトリハロメタンなどがある。
次亜塩素酸ナトリウム
水道水を消毒するための薬品。塩素の強い殺菌作用を
利用して、微生物や病原菌などを殺菌する。
5,16,
17
危険物である液体塩素と比べ、消毒効果は弱いが取扱
いが容易であるという利点がある。
(→液体塩素)
JICA(ジャイカ)
独立行政法人国際協力機構のこと。
6,23,
外務省のODA(政府開発援助)の窓口として技術協
24,25
力・有償資金協力・無償資金協力という3つの援助手法
を一体的に運用し、途上国の政策・制度の改善、人材育
成と能力開発、インフラ整備を有機的に組み合わせた総
合的な支援を行っている。
42
用
受水団体
語
解
説
企業局の水道用水供給事業から水道用水の供給を受け
ている市や町などの水道事業者のこと。
頁
5,10,
11,12,
14,15,
16,17,
18
浄水池
浄水処理され、飲料水として製造されたものを浄水場
11,19
内で貯留するための池。送水量を調整したり、事故また
は水質異常時の水量変動に対応するための施設で、水密
性、耐震性を持つ構造とするため鉄筋コンクリート製の
ものが多い。
浄水発生土
河川の水を取水し、浄水場で処理を行う過程(沈殿池
5,7,
で河川水に含まれる泥を沈殿させ、濁りを取り除く過程) 9,20,
で排出される泥のこと。
水管橋
21,22
水道管は一般的に、地面の下に埋設されているが、河 5,15,
川を横断する場合に、川の上空を渡す水道管の橋のこと。 17,19,
30,31
水道広域化
給水サービスの高度化やライフラインとしての社会的 6,12,
責務を果たすために必要な財政基盤及び技術基盤の強化
16,18
を目的として、複数の水道事業等が事業統合を行うこと、
または、共同して施設の管理や料金徴収などの業務の全
部または一部を一体的に行うこと(管理の共同化)
。
水利権
河川の流水、湖沼の水などを取水し、利用することが 11,18
できる権利のこと。河川法が規定する公法上の権利であ
る。
(→安定水利権、暫定水利権)
生物活性炭
清浄な水道水をつくるために有益な微生物が表面に付 9
着した活性炭のこと。
送水調整池
送水量の調整や異常時の対応を目的として、浄水場や 17,19
中継ポンプ所に設置され、水道水を貯留するための池の
こと。
た行
第三者委託
水道事業における管理体制強化方策の一環として、浄 16
水場施設の運転管理など水道の管理に関する技術上の業
務を第三者に委託できる制度。平成14年4月に施行さ
れた改正水道法により創設された。
私法上の契約に基づき行われる業務委託と異なり、受
託者も水質検査の実施など水道法上の責任を負い、違反
すれば罰則の適用も受けることとなる。
43
用
語
第三次埼玉県行財政改革プ
ログラム
解
説
埼玉県の5か年計画である「ゆとりとチャンスの埼玉
頁
1
プラン」を始めとする施策の着実な推進を支え、計画的
に行財政改革に取り組むため、平成23年3月に県が策
定。計画期間は平成23年度∼25年度の3年間。
中継ポンプ所
水圧不足や流量不足を補うために、送水管路の途中に 5,11,
設けられた増圧用のポンプ施設のこと。
15,17,
19
田園都市産業ゾーン基本方
針
圏央道開通(当初平成24年度開通目標)のチャンス 34,35
を生かし、圏央道沿線地域への産業集積に向け、豊かな
田園環境と調和した産業基盤づくりを目指すため、平成
18年10月に埼玉県が策定した方針。
トリハロメタン
メタン(CH4)の水素原子 3 個が、塩素、臭素、あるい 7,8,
はヨウ素に置換された有機ハロゲン化合物の総称。
9
塩素消毒によって生成される物質のうち、クロロホル
ム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブ
ロモホルムの 4 物質の濃度の合計を総トリハロメタンと
いい、なかでも、クロロホルムは発ガン性物質であるこ
とが明らかとなっている。
な行
南部工業用水道事業長期運
営方針
社会情勢や経済環境が変化する中で工業用水道事業の 1
事業運営上の課題を解決し、安定運営と運営体力の強化
を実現するために平成18年3月に企業局が策定した方
針。
は行
BOD
(生物化学的酸素要求量)
水中の有機物が生物化学的に酸化されるのに必要な酸
7
素量のこと。
(BOD:Biochemical Oxygen Demand)
BODが高いことはその水中に有機物が多いことを示
し、水質汚濁を示す重要な指標。
PFI
民間の資金とノウハウを活用して効率的な公共施設の 6,16,
整備を行うため、公共施設の設計、建設、維持管理及び
18
運営を一体的に民間にゆだねる方式。
(PFI:Private Finance Initiative)
ブロック(ごとの)検討部
会
県内の水道事業者を12のブロックに分け、そのブロ 6,16,
ックごとに水道広域化を推進する検討会。
埼玉県水道整備基本構想に基づく取組のひとつ。
44
18
用
包括委託
語
解
説
頁
浄水場は県の資産としたまま、浄水場施設の維持管理 30,31
や運営を民間事業者に包括(とりまとめて一括的に)し
て委託すること。
ま行
水安全計画
食品の安全管理に広く導入されている HACCP(ハサッ 9,10
プ)の考え方を取り入れたもので、水源から給水地点まで
の全ての過程を通して、水質に影響を与える可能性(危
害)を検討して、その対応方法を事前にマニュアル化した
計画。
企業局では、WHO(世界保健機関)の提唱に基づき、平
成22年9月「埼玉県営水道水安全計画」として策定。
水資源開発施設
一般にダム、河口堰、湖沼水位調節施設、多目的用水
11,15
路等の水資源を開発する施設のことで、水道用水、工業
用水、灌漑(かんがい)用水、発電用水等として安定的な
取水を可能にするための施設をいう。
や行
予約分譲
一般の分譲は、土地造成後、画地面積や価格が確定し
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てから行うものであるが、予約分譲は、土地の造成中に
概算額で土地を分譲するもの。企業局は、契約時に売買
代金の10%を保証金として納付を受ける。
造成完了後の画地確定測量後に変更契約を結び契約額
と引渡し時期を確定し、契約額の全額を受領した時に所
有権を移転する。
※
用語解説の一部は、日本水道協会発行「水道用語辞典(第2版)」から引用しています。
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