Bridge Report 三愛石油(8097) - ブリッジサロン

ブリッジレポート(8097) 2012 年 3 月 5 日
Bridge Report
金田 凖 社長
http://www.bridge-salon.jp/
三愛石油(8097)
会社名
三愛石油 株式会社
証券コード
8097
市場
東証 1 部
会長
和田 武彦
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井 5-22-5 オブリ・ユニビル
事業内容
石油販売を中心に、ガス(LPG、天然ガス)、航空燃料、及び化学品等の事業
を展開。航空燃料事業では羽田空港の給油インフラを独占的に提供
決算月
3月
HP
http://www.san-ai-oil.co.jp/
- 株式情報 -
株価
発行済株式数(自己株式を控除)
386 円
DPS(予)
配当利回り(予)
14.00 円
3.6%
時価総額
74,805,847 株
28,875 百万円
EPS(予)
PER(予)
33.42 円
11.5 倍
ROE(実)
売買単位
11.7%
BPS(実)
1,000 株
PBR(実)
769.35 円
0.5 倍
*株価は 3/2 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPS は前期末実績。
- 連結業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2008 年 3 月(実)
861,914
7,537
7,456
3,298
43.68
10.00
2009 年 3 月(実)
981,734
9,353
9,714
4,618
61.23
11.00
2010 年 3 月(実)
833,991
6,364
6,675
1,005
13.39
11.00
2011 年 3 月(実)
888,583
12,896
13,126
6,462
86.38
特 14.00
2012 年 3 月(予)
950,000
9,000
10,000
2,500
33.42
記 14.00
*予想は会社予想。
三愛石油の 2012 年 3 月期第 3 四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
―目次―
1.会社概要
2.2012 年 3 月期第 3 四半期決算
3.2012 年 3 月期業績予想
4.今後の注目点
1
ブリッジレポート(8097) 2012 年 3 月 5 日
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今回のポイント
・12/3 期 3Q(累計)は前年同期比 4.0%の増収ながら、15.4%の経常減益。原油や天然ガス等の市況を背景にした販
売価格の上昇で売上が増加したものの、利幅の縮小で営業利益が同 20.3%減少した。
・通期では前期比 6.9%の増収、同 23.8%の経常減益予想。「景気の先行きや原油価格の動向などが不透明」として
通期の業績予想を据え置いた。ただ、配当予想を上方修正。普通配当を 1 株当たり 1 円増配し、創立 60 周年の記念
配当 1 円と合わせて年 14 円とする考え。
・3Q は減益決算となったが、販管費が減少した他、有利子負債の削減も進んでおり、今期の取り組み課題である「グ
ループの経営効率化」では一定の成果をあげたものと思われる。
1.会社概要
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約 1,400 のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供
給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステ
ム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LP ガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛ける。傘下に、キグナ
ス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社 31 社(うち連結子会社 29 社)及び関連会社 4 社(うち持
分法適用会社 1 社)と共にグループを形成している。社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(12 年 2 月現在、55 社・
団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPG や天然ガスの販売を中心としたガス関連
事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の 3 セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ
92.3、6.1%、1.6%(11/3 期)。
石油関連事業
SS 向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカ
ル商品等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG 販売では直販子会社による家庭への供給と工業用
の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生む
コージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
航空関連事業他
航空燃料の保管及び航空機への給油を行う航空燃料取扱業と子会社三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面
処理や建設工事等のその他に分かれる。また航空燃料取扱業では、羽田空港において、油槽船の接岸を含めた
埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理、及び地下パイプライン(全長約 40km)を通して航空機に直接燃料を
圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の半数
のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部
国際空港へは運営社員を派遣。
ハイドラントシステム(地下パイプラインで航空機まで航空燃料を圧送するシステム)
1955 年、同社は羽田空港において日本初のハイドラントシステムによる航空機への
給油業務を開始した。この給油施設は、国内主要空港(新千歳空港、成田空港、中部
国際空港、伊丹空港、関西国際空港、福岡空港等)における給油施設のモデルとなっ
ている。
また、96 年 10 月には最新のコンピューターを駆使した給油システムが稼動し業務効
率化が一段と進展。巨大な航空輸送機能をしっかりと支えている。
2
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2.2012 年 3 月期第 3 四半期決算
(1)第 3 四半期(累計)連結業績
(単位:百万円)
11/3 期 3Q(累計)
売上高
構成比
12/3 期 3Q(累計)
構成比
前年同期比
661,676
100.0%
687,941
100.0%
+4.0%
売上総利益
41,623
6.3%
39,457
5.7%
-5.2%
販管費
32,880
5.0%
32,488
4.7%
-1.2%
営業利益
8,743
1.3%
6,969
1.0%
-20.3%
経常利益
8,914
1.3%
7,543
1.1%
-15.4%
四半期純利益
4,896
0.7%
1,322
0.2%
-73.0%
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
前年同期比 4.0%の増収ながら、15.4%の経常減益
エネルギー業界は、原油や天然ガス等の市況が上昇する中、電力向けの重油を除き、石油製品の国内需要が減少
する等、厳しい事業環境が続いた。同社においても、原油や天然ガス等の市況を背景にした販売価格の上昇等で売
上が増加したものの、利幅の縮小で営業利益が同 20.3%減少。有利子負債の削減に伴う金融費用の減少や投資有
価証券売却益の計上で営業外損益が改善したものの、固定資産売却益が減少(32.8 億円→0.9 億円)する一方、投
資有価証券評価損が拡大(0.4 億円→41.7 億円)する等で特別損益が悪化。税効果会計の影響による税負担率の増
加もあり、四半期純利益は 13.2 億円と同 73.0%減少した。
セグメント別売上高・利益
(単位:百万円)
11/3 期 3Q(累計)
構成比
12/3 期 3Q(累計)
構成比
前年同期比
石油関連事業
614,072
92.8%
636,852
92.6%
+3.7%
ガス関連事業
37,054
5.6%
40,445
5.9%
+9.2%
航空関連事業
10,549
1.6%
10,643
1.5%
+0.9%
連結売上高
661,676
100.0%
687,941
100.0%
+4.0%
石油関連事業
6,980
78.7%
4,723
65.3%
-32.3%
ガス関連事業
854
9.6%
1,014
14.0%
+18.7%
航空関連事業
1,033
11.6%
1,492
20.6%
+44.4%
44
-
312
-
-
8,914
-
7,543
-
-15.4%
調整額
連結経常利益
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
(単位:百万円)
11 年 3 月
11 年 12 月
11 年 3 月
11 年 12 月
現預金
33,664
36,827
仕入債務
55,191
75,665
売上債権
56,485
72,387
短期有利子負債
12,812
9,442
84,056
96,820
31,648
29,155
49,401
46,962
たな卸資産
流動資産
有形固定資産
無形固定資産
投資その他
固定資産
7,484
7,592
99,584
119,045
60,600
57,584
8,505
7,692
23,251
18,821
92,357
84,098
流動負債
長期有利子負債
固定負債
純資産
負債・純資産合計
有利子負債合計
58,484
59,360
191,942
203,143
44,460
38,597
※ 有利子負債=借入金+社債+リース債務
第 3 四半期末の総資産は前期末比 112.0 億円増の 2,031.4 億円。石油製品の仕入価格の上昇と販売価格への転嫁
による仕入債務と売上債権の増加が総資産増加の主な要因。もっとも資金効率が改善し運転資金が減少したため、
営業 CF が大幅に増加。有形固定資産の売却収入の減少で投資 CF がマイナスとなったものの、100 億円を超えるフ
リーCF を確保した。潤沢で安定した CF を活用して財務の健全化を進めた結果、有利子負債が前期末比 60 億円弱
3
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減少したものの、その一方で、現金及び現金同等物残高は 366.2 億円と同約 85 億円増加した。
※日本格付研究所(JCR)による同社長期優先債務格付けの引き上げ
同社の財務の健全化が進んでいる事は格付け会社も認めるところで、日本格付研究所(JCR)は、「財務体質が着実
に改善しつつある」として、2 月 27 日に同社の長期優先債務格付けをトリプル B プラスからシングル A マイナスに引
き上げた。
キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
11/3 期 3Q(累計)
12/3 期 3Q(累計)
前年同期比
営業キャッシュ・フロー
8,317
11,760
+3,443
+41.4%
投資キャッシュ・フロー
2,882
-1,326
-4,208
-
フリー・キャッシュ・フロー
11,199
10,434
-765
-6.8%
財務キャッシュ・フロー
-6,774
-7,287
-513
-
現金及び現金同等物期末残高
28,151
36,625
+8,474
+30.1%
3.2012 年 3 月期業績予想
通期連結業績
(単位:百万円)
11/3 期 実績
売上高
構成比
12/3 期 予想
構成比
前期比
888,583
100.0%
950,000
100.0%
+6.9%
営業利益
12,896
1.5%
9,000
0.9%
-30.2%
経常利益
13,126
1.5%
10,000
1.1%
-23.8%
6,462
0.7%
2,500
0.3%
-61.3%
当期純利益
通期業績予想に変更はなく、前期比 6.9%の増収、同 23.8%の経常減益予想
「景気の先行きや原油価格の動向などが不透明」として通期の業績予想を据え置いた。ただ、配当予想を上方修正
しており、普通配当を 1 株当たり 1 円増配し、創立 60 周年の記念配当 1 円と合わせて年 14 円とする考え(前期は普
通配当 12 円と特別配当 2 円を合わせた年 14 円)。この結果、期末配当は普通配当 6.5 円に創立 60 周年の記念配
当 1 円を加えた 7.5 円となる予定。
4.今後の注目点
第 3 四半期は減益決算となったが、販管費が減少した他、有利子負債の削減も進んでおり(財務の健全化が進んで
いる事は格付け会社も認めるところ)、今期の取り組み課題である「グループの経営効率化」では一定の成果をあげ
た。省エネ意識の高まりやマクロ景気の動向等、第 4 四半期(1-3 月)も引き続き厳しい事業環境が予想されるもの
の、一段の体質強化が進めば通期の業績に上振れ余地が出てくるのではないだろうか。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び
見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源か
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性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッ
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