第66回 臨 床

㈹
昭和57年7月20日
阪大歯学部同窓会報
No.39
侮=三≡宣妄言皇⋮⋮≡⋮三三=席
…日日日日川…仙lH日日l‖州l‖l日日…=1−−州日日日日…=−日日仙■日日日日日日日日−日日…一仙一仙=1−−日一川‖川−■=■仙=州日日仙‖一日一州‖l日日■‖川
第66回 臨 床 談 話 会 抄 録
複合レジン修復の臨床の実際
講師:福田和彦(阪大歯・保存・講師)清水明彦(阪大歯・保存・助手)
第47、48回臨床談話会で≠複合レジン修復を
成功させるために〝基礎から臨床まで総合的な
話をしたが、あれから1年半、その間特に技法
的な変化はみられないものの、レジンによる臼
歯部修復への動きとともに、新製品あるいは関
国1.ダイヤモンドポイントによるベベルの形成
明らかになった臨床上の問題点をいくつか取り
上げてみた。
く寓洞形態について〉
複合レジン修復の裔洞形態そのものは、かな
り簡素化され、あまり厳密なことは要求されな
くなっている。その最も大きな点は穿下保持形
態の省略である。確かに酸処理されたエナメル
リ
︰
■
−
﹂
っている技法を紹介するとともに、現在までに
皿冊
連器材の開発が活発化してきている。今回は種
々の臨床修復症例を中心にして、私達の日常行
質とレジンとの接着力は強力であり、切端破折
のような大きな修復においてすらピンなどの特
別な保持は必要としなくなっているが、接着面
図2.寓洞の位置による形態の変化
積を増大し辺縁封鎖性の向上をはかるため宿縁
a.寓洞全周がエナメル質に囲まれている場合‥・
穿下なL
に1∼2mm巾のベベルを付与するのが原則とい
b.歯頸側壁のみ象牙質…歯頸側のみ穿下形成
C.全周象牙質…両側に穿下形成
える。図1はダイヤモンドポイントによるベベ
ル形成で、通常ラウンドタイプを用い、歯間部
表1.エナメル質表面切削による接着力への影響
や歯頸部ではB16(G.C)のようなタイプを使用
Method of
している。表1に示すように一層削去したエナ
surface
ういった点からも粒子の粗いダイヤモンドポイ
4574●
4800■
4754●
1
保持を求める必要がある。
Nuva・Fil
5569*
Unprepared
Diamond bur
Carbide bur
Unprepared
Diamond bur
Carbide bur
Unprepared
大きな接着力は期待出来ず、図2のように穿下
Nuva・Seal/
5343●
8105
場合にも象牙質宿縁にベベルを付与しているが、
Carbide bur
1
歯根にかかる場合、あるいは根面う蝕のような
5841●
Restodent
6022●
Unprepared
Diamond bur
際の臨床において最も多いところの歯頸側壁が
etcII
7471 715
Carbide bur
1
ントによるベベル形成が有効である。また、実
Adaptic acid
昔軒(l路)
Diamond bur
ょるレジンとの接着力に大きな差がみられ、こ
Concise Enamel
Bond
preparation
Composite resin
8 5 1 8 3 1 4 7
3 1 7 2 0 0 7 8
8 7 5 0 4 0 8 0
メル質面と削去していない面とでは、酸処理に
Mean
retentive
4573 439
2943● 575
2490● 489
(S.E.Sorensenら,1979)
昭和57年7月20日 阪大歯学部同窓会報 No.39 (17)
く酸処理後の汚染について〉
活発になり、すでにクリアフィルボステリア(ク
酸処理された歯面は非常に汚染されやすく、
ラレ)、ミクロジャー(G.C)、ベルファームP
唾液や浸出液は勿論のこと手指の接触も絶対避
(カネボウ)が市販され、さらにP−10(3M)が
けねばならない。表2に示すようにいったん唾
発売予定といわれる。臨床操作上の問題の一つ
液汚染された場合、水洗乾燥してもレジンとの
に庄接がある。う寓の入口の小さな症例では、
接着力は極端に低下する。特に歯肉側壁が歯肉
図3のように裔洞形成前にあらかじめモデリン
辺縁に近い場合あるいは縁下におよんでいる場
合には特に注意を要する。歯肉庄排により充分
宿縁が歯肉綾上に露出しない場合は歯肉切除を
行い、次回に充填を行うことにしている。処置
回数は増えるが、修復操作は確実になり、かえ
って時間の短縮と良好な予後が得られる。なお
象牙質の酸処理については現在では否定的な意
見が強いが、浅い駕洞やAbrasionの修復では、
無裏層で裔洞全体を酸処理しているが問題はな
う触
レジン
図3.モデリングコンパウンド庄子を利用した臼歯部
複合レジン修復
いと考えている。
グコンパウンドで嘆合面形態を採取した庄子を
つくっておき、レジン項人後サランラップを一
表2.唾液汚染が接着力に及ぼす影響
接着強度
枚介在させて庄子を指であるいは嘆合させて庄
摸してやれば自然な解剖学形態が得られ、仕上
用0 200 k9/蘭
げ時間の短縮になる。ただ古いアマルガム修復
2秒間汚染
水洗,乾燥
2秒間汚染
乾燥
物のやりなおしやう寓の大きな場合には、適当
… ● ◆ ■ ■ ● ■
60秒間汚染
に盛り上げて硬化後タービン用ポイントで成形
競間汚染
する以外に実際的な方法は見あたらない。さら
水洗.乾彙
にもう一つの問題として、これは臼歯部修復に
COntrOl
(吉田ら、1979)
限ったことではないが、うすく歯面に溢出した
レジンと歯面との境界がわかりにくく、仕上げ
く補修充填について〉
ても取り残しを生じ、のちに辺縁破折や褐線を
マトリックス撤去後にみられるレジン表面の
生じやすいことである。最近発売されたプロテ
気泡やunder contour、あるいは縫目的な表面
クトバーニッシュ(クラレ)は裔洞形成前または
着色もしばしば遭遇する問題である。この場合、
形成後に裔洞周囲歯質に塗布し、過剰溢出部の
特に辺綾部での適合性に欠陥がなければ全撤去
境界を明瞭にすると同時に、不必要な部分まで
する必要はなく、直ちに補修する場合はそのま
酸処理されるのを予防しようというもので、青
ま、またいったん口腔液にさらされた場合には
い色素を含む速乾性の合成樹脂液である。この
レジン表面を一層バーで削去し、その上に盛り
他、レジン注入用シリンジあるいはレジンその
上げれば臨床上問題のない程度にくっつくよう
ものの操作性について簡単にふれておくと、シ
である。
リンジではCRシリンジ(セントリックス)がよ
く使用されているが、この改良型CRシリンジ
く臼歯部修復用複合レジンについて〉
マークⅠⅠⅠも発売されており、特に2級の修復な
最近アマルガムの排水による環境汚染の問題
どでは、あれば非常に便利な器具である。レジ
から、臼歯部嘆合面へのレジンの使用の動きが
ン材料については、ミクロジャーはMFRでや
阪大歯学部同窓会報
個 No.39
昭和57年7月20日
や流動性が不足し、シリンジでの操作に難があ
り注意を要する。また色調が灰色で審美的には
る。クリアフィルボステリアは辺縁封鎖性はす
他の製品に比べると劣っている。
ぐれているが充填器具への粘着がつよく、硬化
前に形成器で賦形を行うことは困難である0ま
現在のところ臼歯部修復用複合レジンが臨床
に登場して日が浅く、どの程度使用に耐えうる
たベルファームPは発売後間もなく、使用経験
ものか、どの製品がすぐれているかは今後さら
に乏しいが、ユニバーサルとキャタリストを3
に長期の観察が必要であろう。
(福田 記)
対1の割合で練和する点が他の製品と異ってお
私達の臨床−ぶっつけ本番一
司会:伊吹薫講師:上谷和久 海野勇造 駒井正 橋爪秀夫(20回生)
20回生も卒後8年が経過し、各自得意な分野
で活躍しているが今回は海野、上谷、橋爪、駒
は異るので術者のテクニックの巧拙はあまり関
係ない。)
井の4氏に講師をお願いし、日々の診療に取り
込んでいる特色を披露していただいた0
まず海野講師は、難しくて、術者によってか
なり出来上りの差がつくワックステクニック応
用の従来あるFGPテクニックによらず、普遍
性のある方法を考えた。
(1)チェヤーサイドワーク
形成、印象は適法通り行う。次に住友3M社
製既製易寄合金冠を用いてTEKを製作する要
(2)ラボラUj−ワーク
記録用冠の接触点以下を削除し、次に通法通
り作製したWorking Dieを用いてカウンツアー、
ェムプレシャ一、マージンをワックスアップし、
埋没、鋳造する。
モデリングレジン、ワックスはファーネスで
焼却することでロストし、又金属は熔融し、ス
ブルー孔よりロストする。
領で冠内にモデリングレジンを充たし、製作す
次に上谷講師は、第一大臼歯の早期喪失に伴
る。この時に中心嘆合位、又は嘆頭巌合位、接
う第二大臼歯の近心傾斜による嘆合力の低下と
触点の回復を確認する。(この冠を以後記録用冠
歯周組織への悪影響等を、日常使用している材料
と呼ぶ。)
及びテクニックを用い改善した症例を示した0
この記録用冠を鋳造するだけでも普通ラボが
症例は20才代の患者6例で、いずれもF欠損で、
製作する中心嘆合位、又は嘆頭巌合位を回復す
関が近心傾斜し、区とFとのスペースが狭少
るだけの冠の製作は可能である。
となったケースである。まず官を抜歯し、約2
さらに、機能的に校合路を再現させる一法を
考えた。
記録用冠を3日ないし1週間程装着Lnatural
週間から3週間後にr朽にキャストクラスプを
用い、アンカーとしたレジンプレートを装着し
た。装置は区の近心舌側より拝の遠心舌側まで
な嘆合路をこの柔い金属冠に記録し、これをそ
と小さなものとし、0.5皿の弾線をプレートに埋
のまま鋳造する。(従来あるF.G.P・テクニックの
め込み拝の遠心移動を計った0
術者による、かなりartificialな顎運動の記録と
その後岡とブリッジを装着し、岨噂能率
l
≡〓三三三三三二三三=三三⋮
第67回 臨 床 談 話 会 抄 録
侮三三一⋮≡⋮三言ニ三一三三三。廊
=州日日州…日日‖l州日日ll仙Hl日日tl日日仙lH日日日日日日日日日日日日=州日日日日…=日日■日日日日‖仙■Hll…日日日日=…日日日日HHH日日■■lH日日日日日日日日仙一州日日llt‖一