全体戦略 - NTT-AT

特集
NTT-ATの映像ソリューションビジネス
独自の映像ソリューションビジネスに加え、
NTT グループ各社との連携も積極的に推進
「始まる、次世代コミュニケーション。映像×ネットワーク」をキャッチフレーズに、NTT の R&D をベースにした高付加価値製品や
魅力的な最先端のベンダー製品を核に、映像ソリューションビジネスを積極展開する NTT アドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)
。
2020 年度売上高 1,000 億円を目指す新成長戦略の重要な柱の 1 つとして、ソリューションの大型化を基軸に事業拡大への貢献を目指
す映像ソリューションビジネスへの取組みを紹介する。
の再生”の柱で
ある、どこでも
MY 病院構想や
「始まる、次世代コミュニケーショ
シームレスな地
ン。映像×ネットワーク」をキャッ
域連携医療など
チフレーズに、映像ソリューション
地域医療確立、
への取組みを関連事業本部が一丸と
高齢者に対する
なってドライブするために 2010 年 4
在宅医療・介
月組織化したのが「映像トータルソ
護、見守り支援
リューション推進プロジェクト」の
などは、いずれ
取組みである。さらに、ソリューショ
も映像が大きな
ンの大型化によって“映像×ネット
役割を担うこと
ワーク”No.1企業を指向することで
は間違いない。
NTT アドバンステクノロジ㈱
取締役
アプリケーションソリューション事業本部長
NTT アドバンステクノロジ㈱
取締役
グローバルプロダクツ事業本部長
南部 明氏
須田 宏一氏
“映像×ネットワーク”における
NTT-AT の強みとして、以下のよう
全社の新成長戦略実現への貢献を目
さらに今回の震災により、省エネと
指している NTT-AT。取締役・アプ
コスト削減に加え、防災、BCP/BCM
な点があげられる。
リケーションソリューション事業本
の観点から、映像コミュニケーション
<映像技術の強み>
部の南部明本部長は、「私どもが、
のニーズが急激に高まっている。また、
NTT 研究所で開発された国際競
“映像×ネットワーク”No.1 企業を
映像配信にパラボラアンテナの代わり
争力のある H.264 等映像符号化技
目指す背景として、NGNの普及、政
にIPネットワークを活用する衛星置
術、メディア探索技術をベースとす
府の新たな情報通信技術戦略(地域
換ビジネスも拡大している。
る製品群やサービス群に加え、世界
の絆の再生)、省エネとコスト削減、
南部明取締役は、国内の映像ビジ
中から発掘し厳選した最先端のベン
防災・ BCP/BCM 対策の4つの点が
ネス市場につい
2015年予想
あげられます」と語る。
て、「映像監視
約8500億円市場規模
すなわち、NTT のフレッツ光は、
市場を除いて、
2011 年3月までの1年間で約 180 万
2015 年には約
回線増加するなど、大容量コンテン
8,500 億円の市
ツ流通時代が到来したといえる。映
場規模になると
像は、ギガネットワーク時代のキラー
予想されていま
アプリの1つだ。
す(図1参照)
」
また、政府が推進する“地域の絆
52
と述べている。
映像
コミュニケーション
IPTV
デジタル
サイネージ
衛星置換
1600億円
5000億円
1500億円
400億円
図 1 映像ビジネス市場(国内)
ビジネスコミュニケーション
2011 Vol.48 No.6
全体戦略
ダー製品のプロダクトセールス力。
高臨場テレプレゼンス
<ネットワーク技術の強み>
非圧縮HD-ビデオ-IP Gateway XG-2
NGNを始めとするネットワークイ
・1.2Gbps∼1.5Gbps ンフラ系システムやサービスアプリ
4K×3面超高精細映像
(JPEG2000リアルタイムcodec)
・300Mbps∼500Mbps
ペーパレス会議システム
MeetingPerfe
ケーション関連システムの開発から
テレプレゼンス
・3Mbps∼18Mbps
検証までの実施実績や、IP マルチ
キャストネットワークの利用技術。
エコーキャンセラ
RealTalk
<豊富な映像ソリューション実績>
臨
場
感
・
会
議
規
模
NTT-AT は、NTT 研究所で開発
された技術等の成果をベースとした
オリジナル製品と、世界中から厳選
・128Kbps∼10Mbps
・∼64Kbps
フォンタイプビデオ会議
(電話機型)
Cisco(TANDBERG)C/MPXシリーズ、
SONY PCSシリーズ、
Polycom HDXシリーズ
・64kbps∼4Mbps
パソコン利用タイプビデオ会議
(外部ボックス/ソフト型)
Cisco(TANDBERG) E20、
SONY PCS XL、
Polycom VVX
・64Kbps∼2Mbps
WEB型ビデオ会議
(ASP型)
・64Kbps∼768Kbps
した最先端のベンダー製品で構成さ
Cisco(TANDBERG)Tシリーズ、
PolycomT PX/RPXシリーズ
専用端末型ビデオ会議
(コーデック型、セットトップ型)
Cisco(TANDBERG)Movi、
Polycom PVX
TOCSR(WebEx)
:NTT-AT製品
:ベンダー製品
導入費用
れた豊富な製品品揃えと経験を生か
図 2 NTT-AT の主な映像コミュニケーションシステムラインナップ
し、導入時のコンサルからシステム
構築、運用・保守、技術研修まで一
業本部の須田宏一本部長は、「WEB
技術を活用した映像コンテンツ用の
貫したサポート体制でワンストップ
型ビデオ会議からテレプレゼンスの
トランスコーダ“RealFeelトランス
の映像トータルソリューションを展
さらに上をいく高臨場テレプレゼン
コーダ”や、IPv4/IPv6マルチキャス
開。特に 2011 年度からは、オリジ
スまで、お客さまのニーズ・利用シー
ト技術を利用した統合配信システム
ナル製品とベンダー製品を組み合わ
ンに最適な幅広い映像コミュニケー
“ContentsArena”などの高付加価値
せるなど、ソリューションの大型化
ションシステムをラインナップして
の映像コミュニケーション関連製品
に注力している。
います(図2参照)
。ビデオ会議シス
によるソリューションビジネスを展
テムに関しては、Cisco、SONYに加
開しています」と述べている。
え、2010年9月にはPolycomとも一次
BEEHD は、映像系の端末を開発
代理店契約を締結。国内のビデオ会
するための従来にはなかったプラッ
●普及型から高臨場テレプレゼンス
議システム市場で80% 以上のシェア
トフォーム製品である。近年、ビデ
まで、幅広いラインナップを用意
を占める製品群を取り扱うこととな
オ会議システム分野には映像系専業
NTT-AT は、普及型から高臨場感
りました。また、映像コミュニケー
メーカー以外にも家電メーカーなど
のハイエンドシステムまで、NTT
ションに関連したコア技術・部品、
の参入が相次いでおり、自社応用製
研究所の成果をベースとしたオリジ
プラットフォームプロダクトとして、
品に容易に HD 映像通信機能を取り
ナル製品や、世界中から厳選した最
図2の中で示したコーデック系の
込める開発プラットフォームが求め
先端のベンダー製品(Cisco =
“JPEG2000リアルタイムコーデック”
られていた。BEEHD は、テキサ
TANDEBERG、SONY、Polycom)
や非圧縮の HD ビデオ-IP Gateway
ス・インスツルメンツ社のデジタル
からなる豊富な製品群をベースにし
“XG2”以外に、Radvision社製のHD
家電向けDaVinchiプラットフォーム
た映像ソリューションは、お客さま
映像通信端末開発プラットフォーム
をターゲットとしたタイプから、PC、
のどのようなニーズにも対応するこ
“BEEHD”やSurf Communications
スマートフォン(Android OS)をター
とを可能にしており、すでに 400 社
Solutions社製のマルチメディア処理
ゲットとしたタイプまで、大きく3
を超える導入実績を誇っている。
ボード、さらには NTT-AT オリジナ
種類のタイプを用意している。
取締役・グローバルプロダクツ事
ビジネスコミュニケーション
2011 Vol.48 No.6
ル製品である、最先端の映像符号化
ビデオ会議システムビジネス、先
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特集
NTT-ATの映像ソリューションビジネス
端技術を活用した高付加価値プロダ
Before
クトビジネスの取組み状況は、後続
の頁で紹介するが、N T T - A T は、
NTT 研究所の成果をベースとした
国際競争力のある高付加価値のオン
リーワンソリューションを提供して
いる。以下ではオンリーワンソリュー
配
信
P
F
IPTV用
エンコーダ
携帯端末用
エンコーダ
PC用
エンコーダ
IPTV向け
データ
携帯向け
データ
インターネット向け
データ
受
信
端
末
IPTV
携帯
HDVE-100および他社エンコーダ
PC
IPTV
Before
After
本部
(配信センター)
衛星通信
を活用した衛星置換ビジネスへの取
CM
IPマルチキャスト
ネットワーク
天候に影響…
組みを紹介する。
・・・
●「VAT-100」を核にIPTV事業者や
本部
ビデオ会議や
VOD
も可能に!
店頭サイネージ
CM
店舗
コンテンツ配信事業者をサポート
・・・
CM
店舗(受信する各拠点)
VAT-100は、グリッドコンピュー
ランスコーダだ。本製品は、56頁∼
Wii、DS等
PC
サービス提供イメージ例:多店舗流通ソリューション
プラットフォーム「ContentsArena」
ティング技術を利用した高速映像ト
携帯
図 3 高速映像トランスコーダ「VAT-100」の利用イメージ
ピューティングを利用した高速映像
マルチキャスト技術による統合配信
映像ソース
負荷分散
システム
ションの例として、グリッドコン
トランスコーダ「VAT-100」と、IP
After
映像ソース
情報端末
衛星を利用した情報流通
IPネットを利用した情報流通
図 4 衛星置換ビジネスへの取組み
57 頁で紹介するように、NTT-AT
トワークのコストと、コンテンツの
「IP ネットワークを活用すること
における映像ソリューション大型化
保管コストを大幅に削減できるとい
により、コストリダクションだけで
を加速する目玉製品である。
うメリットが得られる。
なく、双方向のビデオ会議やVODも
可能になります。
」
(南部明取締役)
図3に「VAT-100」の利用イメー
ジを示すが、グリッドコンピューティ
●拡大する衛星置換ビジネス
「ContentsArena」は、IPv4/IPv6
ング(複数のコンピュータでトラン
高価な衛星通信による情報流通か
マルチキャスト技術を利用し、多数
スコード処理やエンコード処理を並
ら、安価な IP ネットワークを利用
の受信拠点に対し、ストリーミング
列に実行)を利用することで、映像
した情報流通への流れが加速してい
映像やファイル、テロップなどさま
の実時間の 1/2 ∼ 1/5 程度でのトラン
る。NTT-ATではマルチキャストネッ
ざまなコンテンツを配信することを
スコードやエンコードを実現。また、
トワーク向けの統合配信プラット
可能とするシステムだ。マルチテナ
映像のワンソースマルチユースも端
フォーム「ContentsArena」をベー
ントで利用可能(サーバ機器、セン
末リクエスト後に配信する端末に合
スに、後続頁で紹介する映像ソリュー
タ回線を複数ユーザで共用可能)な
わせたエンコード処理をオンデマン
ション大型化の取組み例として、情
ほか、マルチキャストファイル配信
ドおよびオンザフライで実現。放送
報流通の多拠点展開を支援するソ
では、高信頼マルチキャストプロト
局や IPTV 事業者、コンテンツ配信
リューションを展開しているが、図
コルを利用した NTT-AT の
事業者にとっては、既存の MPEG-2
4 に示すようにこの統合配信プラッ
「MediaSpark」を使用し、多数の
コンテンツ資産を高速で高画質・高
トフォームを活用した衛星置換ビジ
拠点に対して確実なファイル配信を
圧縮の H.264 へ変換でき、配信ネッ
ネスへの取組みも加速している。
可能にしている。
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ビジネスコミュニケーション
2011 Vol.48 No.6
全体戦略
Unified Communicationの世界へ
NTT-AT の映像ソリューションビ
ジネスの大きな特長は、前述したよ
うに専門技術者集団が、導入時のコ
ンサルから設計、システム構築、保
守、技術研修まで一貫したサポート
映像系PFの普及
(ex)
Radvision :BeeHD*3
Surf Communications
Solution:TranSurf*4 *1 CrossWay
「例えば、ビデオ会議システムでは、
ビデオ会議端末から各種MCU(多地
ジネスの今後の展開、特にビジネス
ビデオ会議システム
ベンダー
(ex)
クラウド対応化
相互運用規定の標準化
企業間連携・
グローバル化
への対応が加速
概要
NTTソフトウェア
NGN非対応のビデオ会議システム向けSIP変換アプライアンス
モバイル端末と監視カメラを双方向制御可能で、独自プロトコル
による高精細静止画像キャプチャが可能なシステム
*2 RealityVision
RealityMobile
*3 BeeHD
Radvision
高精細映像表示(HD)端末を低価格・短期間で開発できるキット
*4 TranSurf
Surf Communications Solution
テロップ映像の重ね合わせなどが可能なインターネット・
ライブ配信用エンコーダ
図 5 映像コミュニケーションシステム/サービスの今後
点接続装置)まで扱える技術力を有
NTT-AT の映像ソリューションビ
映像コミュニケーション
の接続対象機器・NWの
多様化、統合サービス化
が進展
(脚注)
製品名
ソリューションを展開している点だ。
国際間接続
異機種間相互接続
への対応強化
Reality mobile:RealityVision*2
映像系システムの多様
化、新規参入ベンダー
の増加に伴い、codec、
プロトコルスタック等を
組み込んだ映像システム
開発PF製品が登場
体制でワンストップの映像トータル
しています。
」
(須田宏一取締役)
・スマートフォン等への対応
・マルチメディア統合コミュニケーションツール化
(ex)
Cisco:Cius、Cisco Unified Communications
Polycom:スマートフォン、MS-Lync連携
NTTソフトウェア:Crossway(NGN対応化)
*1 各社が連携して市場の活性化やサー
ビス創造に向けて取り組むことを狙
いにしている。
置・育成にも注力している。
3つ目のポイントである高度双方
向映像コミュニケーションへの取組
強化のためのポイントとして、南部
「私どもは、NTT グループのビジ
みとしては、60 頁∼ 61 頁で紹介す
明取締役は「① NTT グループ各社
ネスボリュームを背景とした製品調
る東京女子医科大学での事例に見ら
とのさらなる連携強化、②社内体制
達、提案力・保守体制の充実、NTT
れるように、従来のビデオ会議を進
の強化、③高度双方向映像コミュニ
グループ各社との営業・ソリューシ
化させ、テレビ会議以外の用途の遠
ケーションへの取組み強化」の3点
ョン連携を積極的に推進し、グルー
隔医療・遠隔講義ソリューションな
をあげている。
プの映像コミュニケーションビジネ
どへの取組みを強化している。
NTT グループは 2010 年2月、
スの発展に貢献したいと思っていま
須田宏一取締役は、映像コミュニ
NTT 持株会社が中心となって、
す。すでに NTT ビズリンクとは相
ケーションシステム/サービスの今
NGN 普及拡大の1つとして期待さ
互補完的パートナーシップを強化
後について、「図5に示すように、
れる映像コミュニケーション事業を
し、営業・技術面での協業を開始し、
映像系プラットフォームの普及拡
リードする「映像コミュニケーショ
その実績も出始めています。また、
大、ユニファイドコミュニケーショ
ンタスクフォース」を立ち上げた。
NTT ソフトウェアとは、同社が提
ンへの急速な進化、クラウド対応や
このタスクフォースには、NTT-AT
供している NGN 対応アプライアン
相互運用規定の標準化など国際間接
を含め持株会社・ NTT 東日本・
ス“Crossway”の開発・技術検証
続・異機種間相互接続への対応強化
NTT西日本・NTTコミュニケーショ
に協力しています。」(須田宏一取
の3つの方向の新しいフェーズに入
ンズ・ NTT データ・ NTT ビズリン
締役)
るものと考えています」と語る。
ク・ NTT エレクトロニクス・ NTT
また、体制面では、後続頁で紹介
最後に南部明取締役は、「映像系
ソフトウェア・ NTT アイティの 10
する映像ソリューションの大型化に
ソリューションビジネスの強化を図
社が参加している。本タスクフォー
向けた体制強化を図っている。特に
り、2020 年度には目標として掲げ
スを中心に、従来 NTT グループ各
ビデオ会議システムの営業・技術サ
た売上高 1,000 億円の 10 %まで事業
社が個別に取り組んできた映像コ
ポート体制を大幅に増強したほか、
を拡大したいと考えています」と抱
ミュニケーション事業を、グループ
地域営業拠点への営業 SE 要員の配
負を述べている。
ビジネスコミュニケーション
2011 Vol.48 No.6
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