www.pwc.com/jp/assurance 中国における 外資系銀行 本調査は、外資系銀行が中国 で事業を拡大していく上での 戦略的課題や新たに提起され た問題に焦点を当てて実施さ れました。 2011 年 6 月 目次 はじめに エグゼクティブサマリー 市場環境 リスク管理 商品および市場セグメント 投資 流動性と資金調達 規制 業績 ピアレビュー(同業者比較) 現地法人を設立している外資系銀行一覧 Tier1 資本・資産上位50 行- 中国系銀行 調査参加行の概要 2 3 11 30 40 53 58 64 76 78 86 87 88 本資料は、PwC 中国が 2011 年 6 月に発刊した『Foreign Banks in China 2011』を PwC 中国とあらた監査法 人が翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版 (http://www.pwccn.com/webmedia/doc/634442705425169010_fs_foreign_banks_china_jun2011.pdf)に依拠し てください。なお、英語版のうち Appendix については、一部のみ翻訳しています。 1 はじめに プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、このたび、中国の外資系銀行に対して第6回 アンケート調査を実施しました。今回は、中国で活動する金融機関42行を対象としています。 本調査を実施した目的は、以下のとおりです。 • 中国で活動する外資系銀行の戦略的課題や新たに浮上している諸問題に対する意識 を高める。 • 業界動向に関する特定のデータを作成する。 • 銀行セクターのCEOの見解を把握する。 • 様々な動向から機会を捉えていくにあたって、外資系銀行にとって最善の選択肢につ いての議論を促す。 • 今後三年間で、中国の銀行セクターがどのように進展していくかに関して見解や展望を 提供する。 中国で業務を展開している外資系銀行 127 行の総資産は、2010 年に 29%増加しました。外 資系銀行の資産総額は 1.7 兆人民元に達し、中国の銀行資産総額の 1.83%を占めていま す。すでに、外資系銀行 40 行が現地法人化しています。中国銀行業監督管理委員会 (CBRC)のデータによると、2010 年末には、外資系銀行の現地法人の資産総額が外資系銀 行の資産総額の 87%を占めています。また、調査対象銀行 42 行は、2014 年までに、雇用が 全体として 53%増加し、52,000 人を上回ると見込んでいます。 以下は、外資系銀行が挙げた今後の変化を方向づける上位5つの要因です。 • 規制改革 • 資金調達上の制約 • 流動性 • 資本市場の発達 • 景気循環 中国は、今後、ますます重要なグローバル銀行市場へと発展していくと考えられます。PwC UKが最近公表したレポート『Banking in 2050』 では、銀行資産の成長予測を踏まえ、早け れば2023年までに、中国は米国に代わって世界最大の銀行市場になる可能性があると予測 しています。 今回の調査にご参加頂いた銀行のCEOやシニア・エクゼクティブの皆様に対し、本レポート の発刊において賜りましたご協力に御礼申し上げます。また、Brian Metcalfe博士に対しまし て、調査および分析を行なって下さったことに感謝申し上げます。 2 エグゼクティブサマリー 本調査は、外資系銀行が中国で事業を拡大していくにあたっての戦略的課題や新たな問題 に焦点を当てて実施され、2005年から2010年にかけて実施された5回の調査に続くものです。 本調査の目的は、多様な見解をとりまとめ、急速に変化を遂げている金融サービスを取り巻 く環境に関しての所見を提供することにあります。なお、レポートの作成にあたっては、情報 の機密性は保持されています。 本調査は、中国の外資系銀行42行のCEO、シニア・エクゼクティブおよび支店長を対象とし て、インタビュー形式で行なわれました。 当該インタビューは約1時間行なわれ、2011年4月から5月にかけて、北京、香港、上海、深 川にて実施されました。 今回の調査対象銀行を以下にアルファベット順に紹介しています。 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • Australia and New Zealand Banking Group (ANZ) Banco Santander Bank of America Merill Lynch Bank of Montreal BBVA BNP Paribas BNY Mellon Credit Agricole Citibank Commerzbank Commonwealth Bank of Australia Credit Suisse Dah Sing Bank DBS Bank Deutsche Bank First Sino Bank Hang Seng Bank HSBC ING Bank Intesa Sanpaolo Bank JPMorgan Chase • • • • • • • • 3 KBC Bank Mizuho Corporate Bank Natixis Norddeutsche Landesbank OCBC Bank Rabobank Raiffeisen Bank International Royal Bank of Canada RBS Scotiabank Société Générale Standard Chartered Bank Sumitomo Mitsui Banking Corporation The Bank of East Asia UBS VTB Bank Wells Fargo Bank West LB Westpac Bank Wing Hang Bank Wing Lung Bank 概観 中国の外資系銀行は、中国市場における自行の役割を確立し、業務を拡大していくこ とに引き続き注力しています。 外資系銀行の資産総額は、2003年から2007年にかけて堅調に増加しました。その後、 2008年から2009年にかけては中国政府の景気刺激策を受けて中国地場銀行の貸出 が急増したことを受けて、資産の拡大は停滞しましたが、2010年には再び増加に転じ ています。外資系銀行の市場シェアは、2009年の1.7%から2010年には1.83%へと上昇 しています。 ただし、市場シェアの推移は、外資系銀行が常に市場セグメントを見直し、自らの得意 とする分野において、他行をしのぎ、安定的かつ長期的な事業拡大につなげようとし ているかという戦略的な動きをあらわすものではありません。 2011年に入り、外資系銀行は、流動性引き締め策が継続される環境下で事業を展開 しています。本レポートの作成期間中に、People’s Bank of China(PBOC)は、2011年 初頭から6回預金準備率を引き上げました。 このようにマクロ経済や経済環境の不透明性が増しているにも関わらず、外資系銀行 は中国戦略に一層注力しているように思われます。 向こう3年間は非常に厳しい環境となることが予想されますが、本レポートの調査対象 銀行は本業の成長戦略を推し進めていくことを決意しています。本業の成長に加え、 戦略的なパートナーシップの提携を追求し、可能であれば、金融セクターの様々な分 野で買収を行っています。 実際、中国経済の更なる国際化に向け、段階的かつ明確な道筋が立てられており、 外資系銀行が今後の先行きを楽観視していることは当然といえます。外資系銀行は、 経済の開放政策および交換可能通貨への移行が、自行の事業機会の拡大に繋がる ものと確信しているのです。 今回の調査から、外資系銀行が依然として中国市場には多くの機会があると考えてい る一方で、このような機会を活用するためには、経営環境の安定に加えて規制当局が 中国経済の国際化を推進することが不可欠であると考えていることが浮き彫りになりま した。 中国への継続的コミットメント 外資系銀行の親会社による中国市場に対するコミットメントは不動なものであることが 今回の調査で明らかになりました。 1から10の評価段階(10が最高評価)のうち、どの国の各種銀行グループも、コミットメ ントを8以上としています。例えば、外資系銀行の現地法人は10段階中8.8、アジア系 銀行は10段階中9.1としています。25行の調査対象銀行は、2014年までに自行の親会 社のコミットメントレベルは9以上になると見ています。 4 ポスト世界金融危機の環境下で各行の独自戦略が明確化 規制上の障害や課題への対応方法は市場参入戦略によって様々であることから、市 場参入戦略に応じて、外資系銀行をより明確に分類することができます。 リテール業務では、6行が顧客基盤および支店網の点で、競争優位に立っています。 このグループには、The Bank of East Asia、Citibank、DBS Bank、Hang Seng Bang、 HSBC、Standard Chartered Bankが含まれ、2014年までにグループ全体として、500以 上の支店および出張所を開設すると見込んでいます。このグループに属する銀行は、 (他の外資系銀行に比べて)金融セクター全体で強固なプレゼンスを確立しています。 第2のグループとして、法人取引が主体の銀行と投資銀行が出現しています。このグ ループには、大手欧米系の銀行も一部含まれます。これらの銀行は、小規模なリテー ル業務は行ってはいるものの、投資銀行とコーポレートバンク市場に注力しています。 第3グループには、アジア系銀行が多く含まれます。このグループの銀行は中国との 貿易やビジネス関係の強い結びつきを梃子に業務を拡大しようとしており、一部の銀 行はリテール業務も行っています。 アジア系銀行の区分のサブグループには日本と韓国の銀行が含まれ、中国で自国の 顧客を対象に業務を提供するという点で固有の地位を確立しています。香港の銀行も また、特定の市場ニーズに沿った業務を提供しています。オーストラリアもサブグルー プに分類することができます。オーストラリアの銀行は、中国との特別な地理的関係を 十分に活用していくという戦略を追求しています。 第4グループには、狭いニッチ市場に焦点を当てた銀行が含まれます。これらの銀行 は、主にウェルスマネジメント、トレードファイナンス、外国為替などの特定の市場セグ メントにおいて、グローバルに業務を展開している銀行で、中国における規模によって は、上記の他のグループに区分される場合もあります。 最終グループには、一部の小規模な外資系銀行の支店が含まれます。これらの支店 は、顧客に追随し中国に進出し、顧客の財務上のニーズに応じた業務を提供していま す。 このグループは、とりわけ規制の強化により強い影響を受けます。このグループに属す る銀行の業務は小規模なため、業容を拡大し、確固たる成長の道筋を立てることが難 しい状況にあります。 当該グループに属する銀行の親会社の中には、世界的な金融危機により損失を被っ ており、そのため、中国の規制当局は、これらの銀行に対しより慎重な姿勢をとってい ます。 小規模な銀行から成るこのグループに属する銀行の中には、市場参入が遅かったも のの、将来に向けて意欲的な計画を立てている銀行もあります。 ここで強調すべき重要な点は、全ての外資系銀行をこれらの分類のいずれかに明確 に単純に区分することはできないということです。実際、相当数の銀行が複数のグルー プの特徴を有しています。一方で、いくつかの銀行がある一定の特徴をもったグルー プを形成していることも事実です。これらの銀行の一部は、将来、市場の規制緩和が 5 行われた場合に、その恩恵を受けられる有利なポジションにいることになるかも知れま せん。 雇用の増加と離職率の上昇 自行の事業範囲とネットワークの拡大に伴い、外資系銀行は雇用を拡大しています。 調査対象銀行42行は、2014年までに全体として雇用者数が53%増加し、52,312人に達 すると予想しています。 一方で、現在1,000人余り存在する外国籍行員の数は、2014年までにそれ程増加しな いと予測されます。 予想通り、2009年に減少した従業員の離職率は、2010年には上昇しました。離職率が 10%未満の銀行が12行ある一方、ほぼ同数の銀行において離職率が20%を超えました。 2011年については、18行が離職率は15%を超えると予想しています。大手外資系銀行 はネットワークを拡大してはいるものの、類似の市場に後から参入する小規模な同業 他行によって人材を奪われやすくなっています。 コンプライアンスオフィサー、リレーションシップバンカーやファイナンシャルアドバイザ ーなどの主要な職種が、ヘッドハンティングの対象となっています。 最も求人の多い職種は、コーポレートリレーションシップです。 予測される給与の増加 調査参加行40行全行が、2011年に給与は増加すると回答しており、その約半数が、 2011年に昇給率が10%に上昇すると見込んでいます。 昇給に影響を及ぼす要因としてインフレ水準の上昇もありますが、銀行は人員を確保 するためにも昇給は必要であると考えています。調査参加行は、上海における要職の 税引き後の給与水準が、香港、ロンドン、ニューヨークなどに匹敵するものである点を 指摘しています。 法人貸出先の信用は安定しているとの評価 経済全体に対する懸念はあるものの、外資系銀行の大半は法人貸出先の信用は安 定していると考えています。 2009年の調査では20行が信用は悪化するとの憶測を示していましたが、今回は反対 の結果になりました。これは、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)が公表したデータ からも裏付けられます。2011年第1四半期前の15カ月間において、中国の大手銀行、 都市商業銀行、外資系銀行の不良債権比率は下落し、2011年第1四半期末の外資 系銀行の不良債権比率は0.5%にとどまりました。 市場全体に対する懸念の一つとして、国内銀行の地方政府に対するインフラプロジェ クト向け融資が挙げられています。 6 多数の調査参加行は、法人貸出先の信用に対する楽観的見通しは法人貸出業務固 有のものであり、中小企業(SME)、不動産業界、建設業界、日用品業界の信用は不 確実であると指摘しています。 消費者信用も安定 同様に、回答銀行の過半数(29行のうち16行)が、個人貸出先の信用も安定している と回答しています。 ある大手外資系銀行のCEOは、中国の消費者の消費性向は高まっており、不動産や 乗用車等の高額商品を購入していると指摘しています。 債券市場 債券市場は、法人向けサービスを提供する外資系銀行にとって、将来、最大のビジネ ス機会をもたらす分野とみなされています。 債券市場は、過去3年間にわたって今後の有望なビジネス分野として第1位の座を確 保しています。2011年の調査において有望分野としての第2位は通貨スワップで、金 利スワップが第3位となりました。 人民元の国際化-大きなビジネスチャンス 2009年に、当局はクロスボーダー取引の人民元決済に関する試行プログラムを開始し、 2010年にはこれを拡大しました。人民元の国際化に踏み出したことにより、中国とクロ スボーダー取引の人民元決済を行う国において、輸出業者、輸入業者、投資家にサ ービスを提供する銀行すべてにビジネスチャンスが広がるという見方が一般的です。 主に中国国内と香港の銀行および中国と香港にプレゼンスのある外資系銀行が、ま ずは恩恵を受けると考えられます。また、人民元建預金や人民元関連業務に対する 需要が高まることも予想されます。 規制ガイドラインが明確化され、キャッシュ管理や中国への人民元の本国送金のチャ ネルが拡大すれば、外資系銀行も恩恵を受けられるようになります。 外資系銀行の現地法人が主体 現在、40の外資系銀行が現地法人を設立しています。CBRCのデータから、2010年末 時点で現地法人は外資系銀行の資産合計の87%を占めていることが判明しました。 預貸率 現地法人の主な懸案事項の一つとして、75%という預貸率規制があります。 リテール業務でプレゼンスを確立している大手の外資系銀行の現地法人は、個人顧 客の預金の増加に満足していると回答しています。一方「法人取引に特化した」外資 系銀行の現地法人の多くにおいて、法人預金の割合がかなり高くなっています。実際 に、調査対象となった外資系銀行15行の資金調達の50%以上を法人預金が占めてい ます。 このような状況にもかかわらず、預貸率75%という上限規制に対応するために設定され た5年の準備期間が2011年12月31日に期限が到来してしまうため、多数の外資系銀 行が、中国で預金を獲得することができるか懸念を抱いています。 7 2011年初頭の報道では、4、5行が当該期限までに基準を満たすことができない可能 性があると伝えられていましたが、本調査対象の現地法人20行は、自行の預金獲得 能力について自信を持っていると回答しています。 収益の力強い成長 厳格な規制環境や流動性引き締め政策にもかかわらず、外資系銀行は力強い成長を 見込んでいます。 22行が2011年の年間収益成長率を20%から50%の間と予測しており、5行は成長率が 100%、あるいは100%を上回ると予測しています。 銀行は、今後3年間にわたって成長が持続すると見込んでいます。実際に、7行が 2014年までに成長速度が上がることを期待しています。 2008年から2009年にかけて市場シェアが低下し、2010年にはわずかな上昇にとどまっ たわけですが、そうしたシェアの水準にも関わらず、外資系銀行は中国市場の成長性 に楽観的な見方を示しています。このことは、外資系銀行が中国の国内、国外におけ る既存顧客との関係をより深めることに注力していくつもりであることを示しています。 また、約40の外資系銀行が業績を伸ばしていく上では現地法人化しておくことが必要 であると回答しています。実際、多角的で高い成長を示す銀行は現地法人化した銀 行の中からあらわれるでしょう。 国際的に業務を展開する一部のコーポレートバンクと投資銀行については、現時点で 現地法人化を選択していなくても、資産の急成長が期待できます。それらの銀行は、 今後数年間で戦略を変更し、現地法人化を目指すことも考えられます。 規制改革 外資系銀行は、依然として、度重なる規制改革が重荷となっていると感じています。 2011年に適用となった重要な新たな規制「3弁法と1ガイドライン」は、外資系銀行の業 務範囲と業務規模に影響を及ぼしています。 「3弁法と1ガイドライン」では、銀行に対して、運転資金融資を固定資産の資金調達、 プロジェクトファイナンス、株式保有に充当してはならないと指導しています。外資系銀 行は、このような措置の原則を理解し、要件を満たすためにあらゆる取り組みを行って いるものの、顧客が当初の融資目的から逸脱した使途に資金を充当した場合に、規 制当局が銀行に責任を負わせることに対しては不満を感じています。 中国が依然として重要な市場である理由 本レポートから、外資系銀行は中国に対して強固なコミットメントを維持し、限定的とは いえ楽観的な見通しを持っていることが浮き彫りとなっていますが、これは国内業務の 拡大に加え、中国が人民元の交換性に向けて動いており、市場が開放されるという期 待に基づいています。 中国は、今後ますます重要なグローバル銀行市場に発展していくと考えられます。 PwC UKが最近公表したレポート『Banking in 2050』 (www.pwc.co.uk/financialservices) では、国内の信用資産の成長予測(下図を参照)を踏まえ、2023年までに、中国は米 国に代わって世界最大の銀行市場になると予測しています。 8 これらの予測は、外資系銀行セクターが中国において継続的に事業拡大を図り、強固 なプレゼンスを築く必要性をさらに裏付けるものとなっています。 米国、中国、インド、日本における国内の銀行資産 出典:PwC UK Banking in 2050(2011 年 5 月) 9 同業者比較ランキングサマリー 以下の表は、外資系銀行・金融機関による同業他社の評価(上位3社)をまとめたもの です。同評価は、今回の調査に参加頂いた金融機関のCEO、シニア・エクゼクティブ、 支店長のご意見に基づいています。 1位 2位 ブランド認知度 HSBC Standard Chartered 3位 Citibank キャッシュマネジメント Citibank HSBC Standard Chartered コーポレイトファイナンス HSBC Goldman Sachs Citibank 法人向け融資 HSBC Standard Chartered Citibank 企業の社会的責任(CSR) HSBC Citibank Standard Chartered クレジットカード Bank of East Asia HSBC Standard Chartered/Citibank 債券資本市場 HSBC Citibank Goldman Sachs デリバティブ HSBC Citibank Deutsche Bank 株式資本市場 Goldman Sachs JPMorgan Chase UBS 外国為替およびトレジャリー HSBC Citibank Standard Chartered インベストメントバンキング Goldman Sachs Morgan Stanley JPMorgan Chase M&A Goldman Sachs Morgan Stanley JPMorgan Chase プライベートバンキング UBS HSBC Citibank プロジェクトファイナンス HSBC Standard Chartered Citibank リテールバンキング HSBC Standard Chartered Bank of East Asia トレードファイナンス HSBC Standard Chartered Citibank 10 市場環境 今後の雇用成長 2011 年度の調査では、調査対象 42 行の従業員数は 34,166 人で、前年度の調査で は 29,739 人でした。調査参加行となった金融機関は前年度のそれと多少異なります が、それが従業員数全体に与える影響は軽微です。 調査結果によれば上記 42 行は、従業員数を 2014 年までに 53%増の 52,312 人に増 やす予定です。 従業員数の上位 6 行はリテール市場に参入している銀行であり、アルファベット順に、 Bank of East Asia、Citibank、DBS Bank、Hang Seng Bank、HSBC、Standard Chartered Bank です。 これら 6 行合算で従業員 23,900 人を現在雇用しており、2014 年には 36,700 人に達 すると見込まれます。 2014 年までの予測従業員増加率 41 行の回答に基づく。 非中国籍の従業員 一方で、上記 42 行は現在 1,220 人の非中国籍の従業員を雇用していますが、2014 年までに 64 人の微増で、1,284 人にとどまる見込みです。 そのうち 4 行では、2014 年までに非中国籍の従業員数が減少すると予測されます。 非中国籍従業員数の全従業員数に占める比率は平均で 3.5%となっています。調査参 加行のうち非中国籍従業員の比率が高い銀行は、特定の分野に特化している銀行や、 香港または日系の銀行です。 11 専門性が高く、経験豊富な人材の確保が、依然として金融機関の課題となっています。 リテール顧客 一般的に調査参加行の多くは、既存および将来の顧客に関連するデータの提供には 慎重でした。 商業銀行上位 6 行である HSBC、Standard Chartered bank、Citibank、Bank of East Asia、DBS Bank、Hang Seng Bank は、特にその傾向が顕著です。うち 2 行は、今年 度のデータ提供を拒否しました。そのため、上位 6 行の合計は前年度の数値を基に PwC において予測したものです。 予測の結果は、これら 6 行の 2011 年のリテール顧客数はおおよそ 98 万人と試算さ れ、2014 年までに 204 万人に増加すると見込まれます。 2010 年度の調査時には、外資系銀行 15 行は 835,600 人のリテール顧客を有し、 2014 年までに 200 万人に増加する見込みであると回答していました。その他リテール 業務に従事している外資系銀行の規模・業務範囲はさまざまです。1000 人以下の顧 客しかない小規模な銀行もあれば、顧客数が 1 万人弱の銀行もあり、2 万人の顧客を 擁する銀行も一行ありました。 支店網 調査対象行のうち 40 行は、支店網の規模について、2011 年度末までに支店・出張 所の数は 493 に達すると見込まれ、さらに 2014 年までに 290 以上増加し、783 となる と回答しました。 また 2 行が 2014 年までに支店・出張所数を 50 以上増加させる計画がある、と回答し ました。 なおこの予測には、ジョイントベンチャー設立を通じておよそ 100 の支店を地方に開 設することを報じられた外資系銀行に係る予測は含まれていません。 中国銀行監督管理委員会(CBRC)は、現在、外資系銀行に対し発展している地域に 支店を開設する場合には未発展地域にも支店を開設することを義務付けています。こ のような現行政策を勘案すると、野心的な支店網拡大が計画されていると考えられま す。 外資系リテール銀行上位6行の支店網 現在、支店・出張所の規模上位 6 行は、HSBC、Bank of East Asia、Standard Chartered Bank、Hang Seng Bank、Citibank、DBS Bank となっています。 各銀行のウェブサイトからの情報を基に、それぞれの支店網の規模を以下に図示して います。 今回の調査によれば 2014 年までに、上位 6 行は 545 の支店と出張所を開設すると 予測しています。 12 出典:2011 年 2 月の各銀行の HP * RBS の旧支店の買収が完了すると、DBS Bank のネットワークは更に拡大する。 2010年末の中国における外資系銀行の総数 外資系現地法人 37 行が 223 支店を開設し、外資系銀行 74 行が 90 支店を設立して います。 2010 年末には、外資系銀行 44 行の支店と外資系現地法人 35 行が人民元業務取り 扱いの許可を受け、56 行の金融機関がデリバティブ取引の許可を受けました。 (出典:CBRC2010 年度年次報告書) 2010 年の中国における外資系銀行の設立状況 出典:CBRC2010 年度年次報告書 13 中国における外資系銀行の状況(2004年-2010年) * 本社、支店と子会社を含む ** 1 億人民元 出典:CBRC2010 年度年次報告書 外資系銀行の地理的な広がり CBRC によると、2003 年にはわずか 20 都市にのみ店舗を有していたのが、2010 年 末には 27 の省、45 の都市にまで拡大しました。 中国における外資系銀行の総資産の成長(2003年-2010年) 調査対象行の中には、総資産額や収益の見積り額を回答することに慎重な銀行もあり ました。 CBRC によると、外資系金融機関の総資産は 2010 年末には 1.74 兆人民元に達し、 2009 年から 2010 年までに 29.13%増加しています。 2010 年の外資系銀行の預金高は 1.06 兆人民元で、同じく前年比 44%増でした。 貸出金は総額 9,137 億人民元と同 26.26%増で、流動性比率は 61.49%でした。 また、2010 年における不良債権比率は 0.53%、自己資本比率(CAR)は 18.98%、中核 的自己資本比率は 18.56%でした。 14 中国における全外資系銀行の資産総額 (2003 年-2010 年) 出典:CBRC 中国における全外資系銀行の業績(2007年-2010年) CBRC の報告によると、2010 年の外資系銀行の税引後利益は合計 77 億 8 千万人民 元で、2009 年に比べ増加しましたが、2008 年との比較では大きく減少しています。 2011 年 3 月に、CBRC は 2011 年度の上海の外資系銀行の利益見通しを公表しまし た。上海には外資系現地法人 20 行が営業しており、これら 20 行合算で、中国の外 資系現地法人の総資産額の 83%を占めています。 出典:CBRC 15 上海を拠点とする外資系銀行が2011年の収益成長目標を下方修正 中国政府がインフレの進行に対し引き締め政策を進める中、上海を拠点とする外資系銀 行は今年度収益の成長目標を半減したと、規制当局は伝えました。また、上海に現地法 人を設立する外資系銀行は、前年度比 17%減の 21%を 2011 年の収益成長目標としてい ると、CBRC は報告しています。 これらの動きは、中国の銀行セクターが金融引締め、特に信用収縮にいかに脆弱である かを反映しています。 欧米などの自国市場での業務の状況とは著しく異なり、中国における外資系銀行は、中 国の銀行と同じように、その収益源を融資業務に大きく依存せざるをえません。通常、外 資系銀行は収益源の相当部分を世界市場における商品の販売手数料やサービス手数 料から得ていますが中国市場では同じようにはなりません。中国当局は信用リスクの増大 に対応するため、外資系銀行の現地法人に対しても、国内銀行と同様、預貸率を 75%に 抑えるように要求しています。 「外資系銀行の現地法人は、中国のマクロ経済環境下におけるビジネスの見通しに対し、 慎重ながら楽観的である」と報道は伝えています。経済の過熱化を防ぐため、中国の中央 銀行は 4 回にわたり金利を引上げ、2010 年初頭から預金準備率を 10 回引上げていま す。 エコノミストは、今後数カ月以内に金利と預金準備金率が更に引上げられると予想してい ます。中国の消費者物価指数は 3 月に 5.4 % と、ここ 3 年で最大の上げ幅となりました。 外資系銀行は収益成長目標を引き下げたものの、中国は世界金融危機からいち早く回 復しつつあり、中国における拡大ペースを今後加速させていくであろうと CBRC の報告は 伝えています。 上海を拠点とする外資系現地法人は、CNY70 兆(US11 兆ドル)に上る預金に対してシェ ア争いを繰り広げています。今年度に中国本土で 147 の支店を開設する予定で、前年度 の目標を 42 上回ると報告は述べています。 さらに、CBRC の報告によると、外資系銀行は、政府による人民元国際化の取組みを中国 での事業拡大の好機と捉え、人民元の為替リスクへのヘッジや、人民元建て債券のオフ ショア決済など外国為替ビジネスに着手すると見られています。 銀行規制当局のデータによると、2010 年末現在、中国における外資系現地法人全体の 半数以上を占める 20 行が上海で事業を行っています。HSBC Holdings PL、Citigroup INC.など上海の外資系現地法人の総資産合計は、12 月末現在において 1.27 兆人民元 と、中国全体における外資系現地法人の総資産の 83%を占めています。 (出典:2011 年 4 月 19 日付 Dow Jones) 16 Q. 現地法人化後、今後の業績見通しが変化しましたか。 現法化後の今後の見通しについて、11 行がポジティブに、2 行がネガティブに変化し たと回答しました。7 つの銀行は変化なしと回答しました。 Q. 2014年までに現地法人の数はどの程度になると予測しますか。 2014 年までの外資系現地法人数の予測について、33 行が回答しています。 現在、現地法人形態の銀行は 40 行ありますが、12 行が 5 行、13 行が 10 行以上増 えるだろうと回答しました。 上記回答に基づくと、2014 年には現地法人の総数がおおよそ 45 行から 50 行となる と見込まれます。 なお、4 行は、これ以上増加することはないと回答しています。 台湾の銀行が現地法人化を目指すことで、現地法人の総数は増加 Land Bank of Taiwan、Taiwan Cooperative Bank、Chang Hwa Bank、Cathay United Bank、First Bank、Hua Nan Bank の台湾系銀行 6 行が、中国本土において台湾の銀 行として初めて現地法人化しました(出典:CBRC2010 年度年次報告書)。 中台経済協力枠組み協定(ECFA)に付帯した中台金融相互協力覚書上、台湾の銀 行は、中国に現地法人を設立後一年が経過し、かつ 1 会計年度通年で利益をあげて いれば、人民元建取引の営業許可を申請することが認められています。 さらに、中国に支店を設立した場合、2 年間営業を行い、そのうちの 1 年において利 益をあげていれば、人民元建て取引を行うことが出来ます。通常の基準では、支店と して 3 年の営業後、2 年間利益をあげることが要求されます。 現在、多くの台湾の銀行が中国現地法人を設立する動きは見られませんが、その可 能性は高いといえます。 調査回答行は、外資系銀行の中国現地法人には、いずれ台湾の銀行が加わるだろう と考えています。 Q. 中国市場に対して抱いている懸念を挙げて下さい。 本調査で明らかとなった主な懸念事項は、以下のとおりです。 ・ 利上げおよび預金準備率規制による流動性が低下すること ・ 銀行セクターは現状健全であるが、当局が慎重になりすぎて問題となる可能性が あること 17 ・ 過去 2 年間の融資残高の増加で、多額の貸倒損失が発生する可能性があること。 また、融資残高の急増を管理する十分な能力が備わっているのか疑わしい。ある 銀行は国内大手銀行数行の不良債権の水準について懸念を表明し、現在の不 良債権の見積りの合理性に疑問があり、その影響についても疑念を抱いている ・ 国内銀行大手4行の優位性と都市商業銀行との格差 ・ 小規模外資系銀行にとって規制環境の事務的な負担があること ・ CBRC、People’s Bank of China(PBOC)、国家外国為替管理局(SAFE)、中国国 家発展改革委員会(NDRC)、中国銀行間交易市場商協会(NAFMII)などの規制 当局の責任範囲が重複していること。クロスボーダーの人民元取引について PBOC と SAFE の解釈が異なる ・ 地域毎に異なる規制が適用されること ・ ある外資系銀行は、CBRC が外資系銀行を国内銀行の型にはめようと試みている が、それは不可能と述べています ・ 長短負債比率、人民元の海外送金に関する割当、預貸率など遵守すべき指標が 増加していること ・ ある外資系銀行大手は、特に人民元建債の引受業務など、外資系銀行に均等な ビジネス上の機会が望まれると回答 ・ ある外資系銀行大手は、業界における規制緩和の進捗が遅すぎると感じている。 中国証券監督管理委員会(CSRC)は保守的であるのに対し、CBRC はより変化を 受け入れると指摘 ・ あるアジア系銀行は、国内銀行が外資系銀行への貸出意欲に欠けていると見て いる。 ・ ある欧州系銀行は、CBRC が健全性比率を要求していることから、主要顧客のニ ーズを満たす能力が制約を受けると指摘 Q. 現在の中国の銀行セクターに変化をもたらす主な原動力は何でしょうか。上位5つ を挙げてください 。 2011 年に最も重要な変化の原動力として挙げられたものは、2009、2010 年と同様、 「規制改革」でした。 40 行の回答を案分して算出した今年度の「規制改革」のスコアは 161 で、第 2 位の資 金調達上の制約の 2 倍以上となりました。資金調達上の制約のスコアは、2010 年度よ り約 10%上昇しました。これは、外資系銀行の成長にとって重大な阻害要因となってい ます。 第 3 位は「流動性」であり、2010 年の第 5 位から上昇しました。 第 4 位の「資本市場の発展」は、その速度は外資系銀行の予測を下回るものの、変化 の重要な原動力であることに変わりません。本レポートに記載のとおり、資本市場の開 放が今後一段と進み、多くの外資系銀行が中国市場においてその経験と能力を活用 できるようになると、慎重ながらも楽観的な期待が示されています。 2011 年には規模の経済がより広くされ、前年度の第 10 位から第 6 位へと順位を上げ ました。多くの外資系現地法人がこの要因を回答しており、地域的および業務的な範 囲の拡大が成長に必要であると認識しています。 18 予想通り、「世界金融危機の変化に対する影響」は縮小し、2010 年の第 3 位から今年 度は第 7 位に順位が下がりました。現地法人化も第 8 位から第 10 位へと順位を下げ ました。 その他の変化の原動力として、ディスインターメディエーション、コモディティ化、証券 化などが市場の変化に重要と認識されています。 2011 年と 2010 年それぞれ 40 行の回答に基づく。 なお、2009 年については、38 行のスコアについて調整を行っている。 Q. 中国の銀行セクターにとっての課題は何であると考えますか。 外資系銀行が中国の銀行セクターにおける課題として挙げた上位 3 つは以下のとお りです。 ・ 規制環境 ・ 優秀な人材の採用と定着 ・ 国内銀行との競争 下の図が示すとおり、上位 2 項目は過去 5 年間連続して上位にランクされています。 昨年度は、政府による景気刺激策の影響により「国内銀行との競争が最大」の課題と して挙げられましたが、今年度は流動性に関する引き締め規制が導入され中国の銀 行の資産拡大テンポが鈍化したことを受け第 3 位に順位を下げました。「規制環境」は 2008 年以来重要とみなされており、世界金融危機の際に一時的に順位を下げたもの 19 の、現在は再び重要度を高めています。第 4 位は「革新的な商品・サービスの提供」 で、2010 年から順位を 2 つ上げています。外資系銀行は、資本市場で彼らの能力を 活用すること、また人民元によるビジネスチャンスを捉えていきたいと考えています。多 くの外資系銀行がポスト世界金融危機の時代における戦略を立てる中で、中国市場 において新商品を導入できること、また出資に関する制限が緩和されることが、より重 要な項目になりつつあります。 2011 年は 39 行の回答に基づく。 20 中国の銀行セクターにとっての3つの最大の課題(2007年-2011年) 外資系銀行にとって、規制環境は依然として、中国の銀行市場における最大の課題と して認識されています。 銀行間の競争(2007年-2011年) 外資系銀行は、中国の銀行市場で業務を営む上で他の外資系銀行やノンバンクとの 競争は課題とはみなしていません。一方、上述したように、国内銀行との競争は重要 な課題として位置づけられています。 21 Q. 2011 年における中国市場への親会社(本社)のコミットメントを、世界各国の他の 市場と比較して 1~10 のスコアを付けてください(10 は「非常に積極的」)。 予想どおり、外資系銀行の中国市場へのコミットメントは今後 3 年間で高まるとみられ ています。2014 年までに最大のスコアである 10 をつけた銀行の数は 11 行から 12 行 に増加しました。9 を付けた銀行の数も増加し、7 行から 15 行となりました。その結果、 スコアの平均は全体で 8.4 から 8.6 へと上昇しました。 2013 年までに 15 行がスコアが上昇することを予測しています。 過去 4 年間のコミットメントに係るデータと比較すると、いずれの銀行グループについ ても、2011 年には 2008 年と比較してスコアがやや減少しています。 ただ、全体的な平均スコアは 8.4 前後となっており、本社の中国市場に対するコミット メントが引き続き高水準であることが分かります。 22 2011 年は 40 行、2010 年と 2009 年はそれぞれ 41 行、2008 年 は 42 行、2007 年は 39 行の回答に基づく。 Q. 2011 年と 2014 年を比較し、中国市場に対する親銀行(本社)のコミットメントをど のように特徴付けますか。 最大スコア 10 をつけた銀行数が 2011 年については 11 であるのに対し 2014 年につ いては 12 へと増加し、9 をつけた銀行数は 2014 年については 2 倍以上の 15 行であ り、2014 年までにコミットメントの水準は上昇し続けると見込まれます。 これは、多くの銀行が 2011 年に 8 を付け、2014 年については 9 を付けたからです。 23 2010 年のレポートでは、4 行が 6 以下のスコアをつけました。2010 年に 4 を付けた銀 行を含め、今年度も 4 行が 6 以下をつけました。下図では、2014 年には全ての調査 参加行が 7 以上のコミットメントのスコアをつけたことを示しています。 2011 年と 2014 年それぞれ 40 行の回答に基づく。 Q. 貴行本社の中国に対する事業方針は、積極的または消極的になりましたか。ある いは変化はありませんか。 2009 年には、18 行が世界的な金融危機が中国での事業方針にマイナスの影響を与 えたと回答しました。 2010 年には 2 行、2011 年には 1 行のみが、中国での事業方針にマイナスの影響が あったと回答しています。 多くの調査参加行は、中国市場に対し非常に高いコミットメントを表明しています。調 参加行の顧客のみならず中国の大手企業にとっても、中国は潜在的な成長機会が存 在する、発展し続ける市場です。 あるヨーロッパ系銀行は、中国には依然として多くの問題があるものの、主要な戦略的 市場であると考えています。 別の大手ヨーロッパ系銀行は、将来的にはさらに積極的になるであろうと回答していま す。 24 2009 年、2010 年と 2011 年それぞれ 40 行の回答に基づく。 Q. 世界金融危機は中国における貴行のビジネスモデルに影響を与えましたか。 世界金融危機の影響は徐々に弱まってきており、中国でのビジネスモデルに金融危 機が影響を与えたと回答した銀行は 2011 年には 12 行のみでした。このように回答し たグループには政府所有でその管理下にあるヨーロッパ系銀行が多く含まれます。 2009 年には、世界金融危機がビジネスモデルに影響を与えたと 18 行が回答していま した。 2011 年は 39 行、2010 年は 40 行、2009 年は 38 行の回答に基づく。 Q. 2010 年における従業員の離職率はどの程度ですか。 2010 年の従業員の離職率の実績について、39 行から提供を受けました。離職率は 10%以下と 12 行が回答していますが、20%以上の離職率を回答した銀行も 12 行ありま した。離職率は 30%以上と回答した銀行が 1 行ありました。 この回答結果は、世界金融危機を受け離職率が大幅に下がった 2009 年とは非常に 対照的です。金融危機の調査時には、半数以上の銀行において離職率が 5%以下で した。 25 今後の見通しとして、回答した 39 行のうち 29 行が 2011 年の離職率は 10%を超えると 予測し、18 行が 15%を超えると予測しています。 興味深い点は、多くの大手外資系銀行が、2010 年に比べ 2011 年には離職率はわず かに低下するだろうと回答しているところです。この理由は明らかではありませんが、理 由の一つとして、これらの銀行では、2011 年に賃金上昇を余り抑制していないことが 挙げられるかもしれません。 ある大手外資系銀行は、国内経済の低迷が離職率の低下につながっていると指摘し ています。 一方で、大手銀行は、二級都市で初めて支店を開設する他の外資系銀行からの従業 員の引き抜きによる影響を受けやすい状況にあります。 ある大手アジア系銀行は、従業員に対する人事制度が充実していることから、離職率 が 2010 年の 20%から 2011 年には 10%へと引き下がると予測しています。このような制 度には、従業員の社会活動への支援、昇進の早期化、新しい才能開拓コース、長期 勤続への現金手当などが含まれます。 ヘッドハンターは、需要の高い職種をターゲットに活動しています。あるヨーロッパ系 銀行では、年収 36 万人民元の法務・コンプライアンス部門の職員が他のヨーロッパ系 銀行に 150 万人民元で転職しています。 2011 年の予想離職率 20%以上と回答したのが 8 行。39 行の回答に基づく。 2010 年の離職率 20%以上と回答したのが 12 行。38 行の回答に基づく。 26 2009 年の離職率 5%以上と回答したのが 22 行。41 行の回答に基づく。 Q. 2011 年の給与は現状維持ですか、増加あるいは減少していますか。 2 年前には、23 行が給与は現状維持であると回答していました。2011 年については 40 行全てが給与を引上げると回答しています。 あるヨーロッパ系銀行は、2011 年に中国ベースの給与は 15%上昇すると予測していま す。同銀行は、今年度のヨーロッパ本社における給与上昇率の見通しは 6%であり、中 国の自行の行員の給与を 6%しか引き上げなかった場合、3 分の 2 は転職するであろ うと指摘しています。 給与上昇の要因として、人材不足に加えて、インフレ率の上昇が挙げられています。 世界金融危機の後に給与および賞与の差別化が顕著になったと多くの銀行が述べて います。賞与はより業績連動となっているため、高額の賞与を得る人がいる一方で、賞 与額が僅少あるいはゼロとなる人もいました。 ある大手ヨーロッパ系銀行は、給与面での競争力を保つため、上海の給与(中国の税 率は高いので、税引き後)は、香港、シンガポール、ロンドンまたはニューヨークと同一 水準となってきていると指摘しています。 2011 年は 40 行、2010 年と 2009 年はそれぞれ 41 行 の回答に基づく。 27 Q. 2011 年には人件費全体を抑制または削減しますか。 40 行のうち 1 行のみが、人件費を削減すると回答しています。これは、これまで重要 であったビジネスラインからの撤退という例外的な事象が生じた影響です。8 行が人件 費抑制と生産性の向上に取り組んでいると述べています。 しかしながら、中国を市場の拡大、発展を重要視していく成長市場としてみていること を反映しているような回答が一般的でした。 本レポートの別のセクションで記載のとおり、成長が今後規模の経済と業務の範囲の 拡大につながるだろうという見方もあります。 Q. 2011 年の給与の上昇率はどの程度と予想されますか。 2010 年と比較して、2011 年の給与水準は上昇すると予想されます。 2011 年については、16 行が給与の 10%上昇を予測し、他の 8 行は 10%以上を見込ん でおり、うち 1 行は 30%以上と予想しています。 2010 年には、9 行のみが 10%以上の上昇を予想し、23 行が 5%から 9%の間で上昇す ると考えていました。 2011 年は 39 行、2010 年は 36 行の回答に基づく。 28 Q. 2011 年において、採用を最優先する職種について、上位 3 つを挙げてください。 2011 年の採用にあたって最優先された職種は、引き続き法人営業担当です。2009 年 と 2010 年は同じでしたが、2011 年にはスコアが上昇しました。第 2 位は、スコアは減 少したものの、リスク管理担当でした。 第 3 位はリテール営業担当です。リテール部門の重要性が増していることを反映して、 2010 年の第 6 位から上昇しました。 対照的に、法務・コンプライアンス部門は、2009 年の 42 点、2010 年の 34 点から 2011 年には 18 点と減少しました。 その他の回答として、商品管理やグローバルなトレジャリーサービスなどが挙げられて います。 2011 年は 40 行、2010 年は 41 行、2009 年は 40 行の回答に基づく。 必ずしも全ての銀行が 3 つのランクをつけているのではない。 29 リスク管理 Q. 中国版バーゼルⅢの導入は、銀行にこれまでとは異なる規制要件を課すことにな ります。この動向を肯定的または否定的に捉えていますか。 外資系銀行は、中国へのバーゼルⅢの導入を肯定的に捉えています。 また、外資系銀行は、中国経済の特殊性を踏まえ、今後中国においては多少変更さ れた形での規制が導入されるであろうと考えています。 中国版バーゼルⅢの規制要件の一つに 2.5%の最低貸倒引当率がありますが、この要 件は銀行の収益性に影響をもたらすことになります。 銀行の収益性は、景気の動向および不良債権比率によっても左右されます。 銀行は、自己資本比率(CAR)を毀損しないため、資産の増加のペースに見合うだけ の資本の増強を図る必要があります。 収益性は市況にも左右されますが、不良債権比率が上昇した場合、CAR の維持が銀 行にとって圧力となります。 CBRC は、システム上重要な金融機関(SIFI)は 2013 年末までにバーゼルⅢの要件を 満たす必要があるだろうとしています。一方、それ以外の金融機関についてはより長 い移行期間が設けられる見込みです。 SIFI には CAR11.5%が要求され、それ以外の金融機関については CAR10.5%が求め られる見込みです。 中国におけるバーゼル III 導入に対する見解 34 行の回答に基づく。 30 銀行の自己資本規制に関する CBRC の草案 銀行の自己資本規制に関する中国の新基準草案 Reuters によると、中国の銀行当局はバーゼルⅢ規制導入の取組みの一環として、自己 資本に関する厳格な新基準案を草案しています。 中国の大手銀行(SIFI)は、「通常」の状況で最低自己資本比率 11.5%を維持することが要 求されています。しかし、CBRC が融資額の増加が異常に強すぎると判断した場合には、 2.5%のカウンターシクリカル・バッファーが追加され、比率は 14%まで引上げられます。 貸出リスクと金融リスクの管理のために、流動性比率とレバレッジ比率に対してもより広範 囲の規制が導入されることになります。 主要な規制は、以下のとおりです。 自己資本比率 ・ SIFI については、最低自己資本比率は 11.5%、ただし、2.5%のカウンターシクリカル・ バッファーが追加される場合がある。新規制は 2012 年 1 月 1 日より施行され、2013 年末までに要件を満たさなければならない。 ・ SIFI 以外の金融機関または小規模銀行については、最低自己資本比率は 10.5%、 カウンターシクリカル・バッファーは要求されない。 ・ コア Tier 1 の最低自己資本比率は 5%、これはバーゼルⅢの 4.5%よりも厳しい。 レバレッジ比率 ・ オンバランス・オフバランス総資産に対して、少なくとも Tier-1 自己資本比率 4%の維 持、新規制は 2012 年 1 日 1 日より導入するが、SIFI は 2013 年末までに、SIFI 以外 の金融機関は 2016 年末までに要件を満たさなければならない。 ・ 4%の要件は、バーゼルⅢの 3%規制よりも厳しいものとなっている。 流動性比率 ・ 流動性カバレッジ比率(LCR:高品質の流動資産とネットキャッシュアウトフロー30 日 分の比率)が少なくとも 100%でなければならず、全ての銀行は 2013 年末までにこれ を満たす必要がある。 ・ ネット安定調達比率(NSFR: 安定調達額と所要安定調達額の比率)が少なくとも 100%でなければならず、全ての銀行は 2013 年末までにこれを満たす必要がある。 貸倒引当金 ・ 総貸出金に対して最低 2.5%の貸倒引当金の引当。 ・ 総不良債権に対して最低 150%の貸倒引当金の引当。 ・ SIFI は 2013 年末まで、SIFI 以外の金融機関は 2016 年末までに要件を満たさなけ ればならない。 猶予期間 原則として、中国当局は SIFI に対して 2013 年末、SIFI 以外の金融機関に対しては 2016 年末までに要件を満たすことを要求しています。バーゼルⅢは 2019 年 1 月 1 日の期限 を設定しています。SIFI の適格要件はまだ最終決定していませんが、貸出上位 5 行 (Industrial & Commercial Bank of China, China Construction Bank, Bank of China, Agricultural Bank of China and Bank of Communications)はおそらく SIFI と認定されるで しょう。 (出典:2011 年 2 月 25 日付 Reuters) 31 Q. 世界金融危機は、中国での金融商品の展開に影響を与えましたか。どのような商 品が影響を受け、その理由は何でしょうか。 上記 2 調査で述べたように、外資系銀行は世界金融危機によってデリバティブや証券 化などの主要な金融商品の展開が遅れたと考えています。 今年度の調査では、新たな金融商品の展開や人民元の交換性拡大の可能性につい ての言及がありました。 過去 3 年に規制および管理が強化されたことにより、新商品の開発や展開がより難し くなっています。 したがって、世界金融危機は金融商品の展開を直接的または間接的に遅らせ、外資 系銀行の創造性および革新性への貢献に影響を与えたと結論付けることが可能です。 また、世界金融危機は、外資系銀行の競争力にも影響を与えました。 2011 年は 38 行、2010 年は 41 行、2009 年は 40 行の回答に基づく。 Q. 現地法人化はリスク管理に対しプラスの影響がありましたか。 36 行のうち 24 行が、現地法人化がリスク管理に対しプラスの影響があったと回答して います。 現地法人化は地域により密着した業務を提供できるとし、預貸率などの要件を例に挙 げています。 しかしながら、現地法人化を選択した銀行を含む多くの銀行は、本社からの要求が広 範囲にわたり、リスク管理の運営が厳しいものであると主張しています。 またある銀行は、現地法人化がリスク管理の強化につながるわけではないと主張しま す。 ある大手外資系銀行は、中国の規制の多くが不明瞭であり、これが混乱と不確実性を もたらしているとの意見を述べています。 32 ある回答者は、中国向けのリスク管理態勢を新たに構築しても有効ではないと考えて います。 リスク管理に対する影響は肯定的か 36 行の回答に基づく。 Q. 現在の法人向け与信状況をどのように考えていますか。改善、安定または悪化し ていますか。 以下の 3 つの表は、2009 年にはほとんどの回答者が与信状況は悪化していると回答 したことを示しています。2010 年には 3 分の 1 の回答者が改善、多くの回答者が安定 したと考えています。 2011 年には、与信状況が改善したという回答数は減少し、安定と回答した数はほぼ同 数で、悪化と考える回答者が増加しました。 33 法人向け与信状況 2011 年は 42 行、2010 年と 2009 年はそれぞれ 40 行の回答に基づく。 34 不良債権 -現状と今後 下記の CBRC のデータが示すように、過去 5 四半期を通じて不良債権比率は低下し ています。外資系銀行では、不良債権比率は 2010 年の第一四半期の 0.74%から、 2011 年第 1 四半期では 0.5%まで減少しています。 上位 5 行では、同時期の不良債権比率が 1.59%から 1.20%まで低下しました。幾つか の外資系銀行は、中小企業向け貸し出しのほか、不動産、建設、商品向け貸し出しな ど特定分野における信用の先行き見通しが不透明であると警告しています。 不良債権比率(2010 年-2011 年) 出典:CBRC 中国の LGFV の見通しと中国の銀行への影響 中国には 1 万以上の local government financing vehicles(地方政府の特別目的会社、 LGFV)が存在し、その数は 2008 年末から 25%増加しています。地方政府は LGFV を 通じて銀行から借入れ、その借入の担保として土地を差し入れています。 2011 年 6 月現在、LGFV の 70%が地方政府により運営されていると、中国人民銀行 は述べています。 貸出金の 50%以上は返済期間 5 年以上の契約で、50%以上が一般道路、高速道路、 地方自治体の建設プロジェクトに使われています。 (出典:2011 年 6 月中国人民銀行公表の China Regional Financial Operation Report) 35 Q. 現在の消費者金融の状況は好転、安定または悪化していますか。 29 行のうち 16 行の半数以上の銀行が消費者金融は安定していると考えています。8 行は好転していると回答しました。これに対し、2010 年では、9 行が好転していると回 答しました。 ある大手商業銀行は、今後もより多くの消費者が住宅や車などを購入すると回答して います。 消費者金融 2011 年は 29 行、2010 年は 23 行、2009 年は 29 行の回 答に基づく。 36 個人消費の動向 拡大が続く個人消費 2011 年 4 月の車両販売台数は 114 万台と、前年度からは微増にとどまりました。2010 年 の販売台数は 1,800 万台と 32%増でしたが、ガソリン価格の高騰、交通規制や補助金の 終了により、今後成長率は減速すると見込まれます。 (出典: 2011 年 5 月 10 月付 Associated Press) Bloomberg によると、政府による住宅への投機防止策にもかかわらず、2011 年第 1 四半 期には住宅価格は 26%上昇しています。 2011 年 4 月 13 日、温家宝首相は関係閣僚会議において中国の多くの都市で資産価格 が高騰するなど、さまざまな社会的な問題に直面していると伝えました。 (出典:2011 年 4 月 15 日付 Bloomberg News) 2011 年 3 月のレポート「Understanding China’s Love for Luxury」において、マッキンゼー 社は富の増加と富裕者層による派手な消費がある一方で、その下の所得階層においても 奢侈品への需要が高まっていると報告しています。 同社は、1,300 万人の中流上層階級(年間 10 万~20 万人民元の所得層)が中国経済成 長の原動力と結論付けています。 その調査によると、奢侈品の購入者数も急増しており、奢侈品を購入できる所得階層がい る都市は今後 5 年間で 30 都市から 60 都市に増えるだろうと予測しています。 このような動向は、消費者金融に対する需要の増加に反映されています。そのような増加 により、外資系銀行のプライベートバンキング市場でも、最上層に位置する個人富裕層よ り、増加する中流上層階級に注力するリテール業務に移行する動きが高まっています。 37 Q. 中国の銀行には強固なリスク管理態勢が整備されていると考えますか。 外資系銀行は依然として、中国の銀行のリスク管理態勢に対して懐疑的です。 回答者の多くは中国の銀行のリスク管理が継続的に改善されているとしているものの、 政府の景気刺激策を受けて中国の銀行がとった行動を受けてリスク管理態勢への懸 念は高まったとしています。 また、多くの回答者が融資意思決定に対する外部の影響について言及しています。さ らに、汚職、ネット詐欺、個人情報の詐欺についても述べています。 2011 年は 36 行、2010 年は 40 行、2009 年は 38 行の回 答に基づく。 38 中国の銀行の記録的な融資額が Fitch Ratings の格付の低下を招く 3 年以内に銀行の資産の質が「相当に悪化する可能性が高い」として、昨日ロンドンを拠 点とする Fitch Ratings が、中国の長期現地通貨建て発行体デフォルト格付け AA-のアウ トルックを「ステーブル」から「ネガティブ」に引き下げました。中国の外貨建て長期 IDR の 格付けについては A+を維持しました。 簿外融資の増加と融資の品質悪化が懸念され、不良債権は総額で 15%から 30%増加する と見込まれます。昨年の中国の銀行の新規融資額は 7.95 兆元(1.2 兆米国ドル)となり、 世界金融危機からの景気急回復に寄与しましたが、資産価格の高騰を煽ることにもなりま した。 Fitch Ratings のアジア太平洋ソブリン部門の代表 Andrew Colquhoun 氏に電話でインタ ビューを行ったところ「オフバランス取引やいろいろなチャネルを通じて与信が行われいる ようであり、その結果、金融政策の有効性が低下している」との懸念を表明しました。 Fitch Ratings の中国の債務格付け引下げは、1999 年 7 月に S & P が外貨建て・現地通 貨建て長期格付を 1 段階引き下げて BBB として以来でした。Bloomberg によると、Fitch Ratings はこれまで中国の信用格付けを引き下げたことはなく、Lu Tin 率いる Bank of America-Merrill Lynch のエコノミストは、今後数年以内に中国においてシステミックな銀 行危機が起こる可能性はほとんどないとコメントしました。 「リスクに注意深くあることと、リスクを過大視することは別のことだ」と、エコノミストは E-mail で寄稿しました。ある格付け機関は、中国の銀行セクターにおける危機の可能性を予測 するにあたって、「モデルを使用するにあたってはより慎重である必要がある」と述べてい ます。 2.8 兆米国ドルの外貨準備を保有する世界第二位の経済大国である中国は、2010 年 10 月以降にインフレ対策として利上げを 4 回行いました。温家宝首相は、「適正な範囲を超 えた」住宅価格の上昇は、外需よりも内需によって経済成長を実現していく中国にとって、 重要な懸念事項であると発言しています。 中国の法人・個人向け貸出は、2008 年の対 GDP 比 111%から、昨年度には 140%に増加 したと Fitch Ratings は報告しています。この増加は、資産関連融資や地方自治体への融 資によるものです。 地方自治体は開示が不十分で、どの程度債務があるかが懸念事項であると Colquhoun 氏は電話で話しました。不良債権比率が 30%に達しているとすると、不良債権への引当が GDP の 30%に達することはあり得ないことではないと発言しました。地方自治体への融資 に対する 2010 年末における不良債権比率は 1.1%ですが、より保守的な方法をもって区 分した場合には 6%に達すると Fitch Ratings は発表し、銀行システムへの国家的支援が 期待されると述べています。 (出典:2011 年 4 月 13 日付 Bloomberg News) 39 商品および市場セグメント Q. 今後 3 年間でどのような法人向け商品が中国の銀行セクターで重要となってきま すか。 法人向け業務を行う外資系銀行にとっては、債券発行市場が今後最も発展性のある 分野であると認識されています。過去 3 年間にわたり、債券発行市場が有望先として 首位を維持してきました。債券市場は、今後も中国において成長し続けると見込まれ、 その市場規模は今ではアジア 2 位、世界 6 位となっています。2010 年の 1 月~10 月 で社債発行高は 25%増加し、8.2 兆人民元に達しました。 クロス・カレンシー・スワップは 2 位となりました。中国の人民元の国際化を推進する中 で、中国外貨取引センター(China Foreign Exchange Trading System: CFETS)は引き 続き改革を進めています。外資系銀行は、通貨国際化に関連する多くの金融商品で の目覚ましい成長を期待しています。 40 2011 年は 40 行の回答に基づく。 Q. 仕組み商品は現在中国で用いられているような状態でさらに拡大が続くと思われ ますか、あるいは 2013 年には何らかの発展を示すと考えますか。 仕組み商品の重要性が今後も増していくであろうという見解が一般的です。発展性の ある分野として以下が挙げられました。 負債側 ‐ 高利回りを提供できる仕組預金 船舶ファイナンスや船舶リースといったストラクチャードファイナンス商品 高利回りの預金、通貨やコモディティなどのウェルスマネジメント商品 金利スワップ、通貨スワップ 航空機の燃油ヘッジ 一部の銀行では CBRC による一連の新規制に伴い、単純な仕組みの商品からより複 雑な商品へと移行していくことを見込んでいます。 一方で、国内銀行が遅れをとらないよう、CBRC が外資系銀行による革新的な商品開 発を規制していくのではないかとの意見もありました。 41 Q. 今後 3 年間で、中国の個人向け業務のうち、いずれの商品が重要となってきます か。 この質問に対する回答は、前年のレポートと同じでした。 今後最も重要となるリテール商品は、依然として以下の 3 つです。 個人富裕層向けプライベートバンキング 投資商品 住宅ローン 上記の商品に次いで、レバレッジ投資商品やクレジットカードが挙げられました。外資 系銀行の中で Bank of East Asia のみが自社の名称でクレジットカードを発行していま す。その他の大手外資系銀行は、引き続き大手国内銀行との提携カードを通してクレ ジットカード市場に参入しています。 2011 年は 22 行の回答に基づく。 42 2010 年末時点で、銀行は前年末比 18.6%増の 24.1 億枚のカードを発行し、取引総額は 対前年比 74.2%増の 283.6 兆人民元となりました。 新規に発行されたクレジットカードは 2.11 億枚に達し、2.7 兆人民元の利用金額を含む 取引総額は 5.1 兆人民元となりました。小売販売総額に占めるクレジットカード利用額の 比率は 2006 年の 3.1%から 2010 年には 17.7%に上昇し、GDP に占める割合は 2006 年の 1.1%から 2010 年には 6.9%にまで上昇しました。 (出典: CBRC2010 年度年次報告書) 43 Q. 個人向け業務について、営業を展開している銀行の支店において、以下の問題 の深刻度を 10 点を最大として 1 から 10 で採点してください。 今回も前回調査同様、国内銀行が運営をしていく中での 3 つの課題である商品販売 での行員の専門知識の不足、一部商品の不適切な販売、販売チャネルの規制という 点について、外資系銀行にコメントを求めました。 2011 年の調査では、11 行がこの質問に回答しました。 回答からは、国内の提携先銀行が依然としてこれらの課題を抱えていると外資系銀行 が考えていることが示唆されました。 専門知識の不足には、7 行が 7 点以上の点数をつけました。 特定の商品販売での行員の専門知識の不足 11 行の回答に基づく。 不適切な販売は問題になっていないとする銀行がある一方で、7 行が 6 点以上を、そ のうち 5 行が 8 点以上をつけました。 44 特定の商品の不正販売 11 行の回答に基づく。 銀行の販売チャネルの規制についても、7 行が 7 点以上をつけました。 販売チャネルの規制 2010 年は 19 行、2009 年は 20 行の 回答に基づく。 45 過去 3 年間の平均点の推移をみると、専門知識の不足と商品の不適切な販売につい てはいずれも若干の改善が見られます。しかし、支店レベルでの販売チャネルの管理 状態については、外資系銀行は引き続き改善に向けて多くの労力が必要としていま す。 平均点(2009 年 – 2011 年) Q. 外資系銀行全体の中国市場におけるシェアは(国内銀行に対して)今後も同じ水 準、あるいは増加または減少しますか。 2009 年、2010 年のいずれにおいても 16 行がグループとして市場シェアを伸ばすこと ができると考えていました。2011 年にはこの数字は 12 行まで減少し、市場シェアは横 ばいになるという回答が初めて過半を占めました。 下のグラフが示すように、市場シェアは 2007 年の 2.36%がピークとなっており、2010 年 は 1.83%でした。 大手の外資系銀行は、規制の撤廃がない限り、市場シェアが伸びることはないであろ うと示唆しています。また、一部の外資系銀行の見解では、外資系銀行は技術やネッ トワークにおいて優位性があるものの、国内銀行が差を縮めてくるにつれ、その優位 性は損なわれていくであろうと予測しています。あるヨーロッパ系銀行は、もし金利に対 する規制が撤廃されれば外資系銀行は市場シェアを獲得し、撤廃されなければ変化 はないであろうと指摘しています。 ある回答銀行は政府がシェアの上昇を期待していると主張している一方、政府は 2%の 市場シェアまでしか認めないであろうと主張している回答もありました。 46 外資系銀行の市場シェア(2003 年 – 2010 年) 47 2011 年は 40 行、2010 年は 42 行、2009 年は 40 行の回答に基づく。 Q. 中国での事業拡大を推進する上で、貴行の主たる手段は何ですか。 外資系銀行の中国での展開は、M&A などに拠らない内部成長(本業の成長)を主要 な手法としていることに変わりはありません。 2011 年は 30 行がこの方法を選択しました。唯一の例外はヨーロッパ系のある銀行で、 同銀行は拡大戦略を採らないとしています。 この質問では回答は 1 つまででしたが、2 行がジョイントベンチャーを積極的に進める と回答し、3 行が買収を計画していると回答しました。 ある銀行は、農村銀行業務への進出が市場拡大の最も重要な手段であるとしていま す。 今年の調査結果は、拡大のための最も重要な選択肢は本業の成長であると 38 行が 回答した 2009 年、同じく 37 行が回答した 2010 年の結果と類似する結果となりました。 48 Q. 今後 3 年間にパートナーシップの提携を予定していますか。 パートナーシップの提携は外資系銀行にとって引き続き重要です。以下の分野にお いて銀行は関係を構築し、より深めていこうとしています。 消費者金融 プライベートバンキング 保険 信託業務 資産運用 リース 証券 農村銀行業務 コルレスバンキング 外資系銀行によるパートナーシップ提携の例として、ANZ Bank と China Exim Bank に よる提携契約が挙げられます。 同契約は、オーストラリアとアジア太平洋地域における貿易、エネルギー、インフラ、エ ンジニアリングのプロジェクト開発を対象としており、輸出関連のストラクチャードファイ ナンスやプロジェクトファイナンスの提供に重点が置かれています。 今後パートナーシップの提携を予定していますか 2011 年は 40 行、2010 年は 41 行 の回答に基づく。 外資系銀行が金融セクター全体に進出していくことに伴い、外資系銀行と証券会社と のパートナーシップが増加しています。 外資系銀行と証券会社によるパートナーシップ提携の最近の事例としては、Citibank と Orient Securities、The Royal Bank of Scotland(RBS)と Guolian Securities が挙げら れます。 49 外資系銀行はこれらの証券会社の株式の 3 分の 1 までを保有することが認められて います。 上記以外の証券会社のジョイントベンチャーの例は以下のとおりです。 JP Morgan と First Capital Securities の FC JPM Securities Deutsche Bank と Shanxi Securitie の Zhongde Securities Credit Suisse と Founder Securities の Credit Suisse Founder Securities Goldman Sachs と Beijing Gaohua Securities の Goldman Sachs Gaohua Securities UBS Securities(旧 Beijing Securities からの再編) Daiwa SMBC と Shanghai Securities の Daiwa SSC Securities CLSA(Credit Agricole)と Fortune Securities(Fortune CLSA Securities) Morgan Stanley と Huaxin Securities の Morgan Stanley Huaxin Securities Morgan Stanley は、34.3%を所有する China International Capital Corporation(CICC) の株式を Kohlberg Kravis Roberts、TPG Capital、シンガポールのソブリンウェルスファ ンドである Government of Singapore Investment Corporation、Oversea-Chinese Banking Corporation(OCBC)傘下の保険会社である Great Eastern Holdings へ売却 する認可を政府から受けました。 1995 年に複数の中国投資家と提携した Morgan Stanley は、中国と外資の合弁投資 銀行である CICC を設立し、中国における証券販売のトップクラスの引受会社となりま した。 RBS と Guolian Securities の合弁である Huaying Securities について、Gualina の雷建 輝会長は、「この合弁は、中国で未発達の債券市場における RBS の専門的知識を活 用し、債券業務を拡大していくことにより焦点を当てている」と述べました(出典:2011 年 5 月 20 日付 Wall Street Journal)。 中国におけるジョイントベンチャーは、成長市場の IPO 市場開拓も期待しています。 2010 年、中国の IPO 市場では 346 社が 837 億米ドルを調達しており、世界最大の IPO 市場となりました(出典:2011 年 5 月 30 日付 Financial Times)。 Q. プライベートバンキング業務で成功する上での主な要因を 3 つ挙げてください。 調査参加行により示されたプライベートバンキング業務における成功要因は以下のと おりです。 人材の質 顧客との良好な関係を維持し、ニーズを把握し、それを満たすことのできる高度なスキ ルを有する優秀な人材が含まれます。世界有数のプライベートバンキングである参加 銀行は、こういった人材は供給が限られるため、その維持が特に難しいと述べていま す。 50 ブランディング 外資系銀行のブランディングと評判は非常に重要です。 商品の質 調査参加行は、現地の規制により商品ポートフォリオや自行が有する国際的な専門知 識の活用が妨げられていると感じています。このため、国内銀行の競争が可能になっ ています。外資系銀行は提供できる商品の種類に制限があるため、プライベートバン キング業務提供の実効性が損なわれています。たとえば、QDII 規制により外資系銀 行の潜在的な成長が制約されています。 プライベートバンキングのあるグローバルリーダーは、確かな商品を設計し、同時に商 品の差別化を図ることが難しいと述べています。 顧客を啓蒙する意欲 ある銀行は、外資系銀行は顧客についてより理解し、西洋的なモデルのウェルスマネ ジメント業務の開拓は避けるべきであると指摘しています。 中国のウェルスマネジメントの顧客は年齢層が若く、その富を最近獲得していて、「トレ ーディング」指向を有する傾向にあると強調しています。 こういった顧客は自身のニーズを理解していないことが多く、したがって、ウェルスマネ ジメントにおいては啓蒙的なサポートが必要となります。 明確な戦略 外資系銀行は明確かつ焦点を絞った目標を設定する必要があります。 複数の法人組織 顧客がバンキングと証券の両サービスを必要としている場合、外資系銀行は幅広い商 品を提供できるような複数の法人組織が必要になる場合があります。 51 2010 年末までに、124 行の商業銀行により 7,049 種類の個人向けウェルスマネジメント商 品が提供され、総残高は 1.7 兆人民元に達しました。 ウェルスマネジメント商品の多様化で、企業や個人の資産や流動性管理に柔軟な選択が できるようになりました。また、オンラインバンキング業務も活発になりました。 2010 年には電子取引の総件数は 357.3 億件に達し、取引総額は 628.52 兆人民元に達 しました。オンラインバンキングの顧客数は 2.79 億人以上となり、電子取引は 109 億件、 取引総額は 520.77 兆円に達しました。 (出典: CBRC2010 年度年次報告書) 52 投資 Q. 外資系銀行は、今後 3 年間、中国においてさらに買収を進めていくと予想します か。 外資系銀行は、現地の規制当局の認可を受けた範囲で補完的な分野について買収 を行うであろうと予想しています。 いくつかの外資系銀行は、それぞれ 19.9%を上限として国内銀行 2 行まで許可されて いる出資を既に行っています。 この投資枠上限に達していない外資系銀行は、ターゲットとなりうる銀行の多くが既に 他の銀行によって出資されており、まだ出資されていない銀行は高いプレミアムが付 いていると述べています。 将来的に買収の可能性がある分野は以下のとおりです。 保険 信託会社 消費者金融 証券会社 リース 資産運用 ノンバンクの金融機関 今後買収を行う予定ですか 2011 年は 38 行、2010 年と 2009 年はそ れぞれ 41 行の回答に基づく。 53 Q. 中国の大手銀行が進出する可能性が高いのはいずれの市場だと考えますか。ま た、大手銀行はどのような展開戦略をとると考えますか。 2010 年には、回答銀行の 28 行が中国の大手銀行は国内におけるフランチャイズと海 外進出の両方に焦点を当てると考えていました。2011 年には回答銀行 40 行のうち 36 行が同じ見解を示しました。外資系銀行は、中国の国内銀行が自国と海外の両市 場においてビジネス機会を獲得していると考えています。 一般的な見解として、国内銀行は顧客の海外市場進出に追随しているということが挙 げられました。 頻繁に挙げられた進出地域としてはアフリカと南アフリカがありますが、ヨーロッパ系銀 行は、中国の銀行がパリ、フランクフルト、ブリュッセル、ルクセンブルグといったヨーロ ッパの主要都市に支店を開設していると述べています。 ある大手の外資系銀行は、Industrial and Commercial Bank of China(ICBC)が中国の 銀行の中で最も海外展開に積極的であると指摘しています。あるアメリカの銀行は、中 国の銀行が国際的に展開する上で、日本の銀行と同じ道はたどらないであろうと述べ ています。 あるオーストラリアの銀行は「中国のビッグ 4」がオーストラリアにも拠点を保有している と回答しています。PBOC もシドニーに事務所を有しています。中国の中央銀行はアメ リカ、ヨーロッパ、東京、フランクフルト、アフリカに駐在員事務所を設置しています。 中国の金融機関の海外展開 2010 年は中国の銀行の海外展開戦略の着実な進展が見られた年でした。 この年には、ICBC がミラノ、マドリッド、パリ、ブリュッセル、アムステルダム、カラチへ支店 を開設し、Bank of China(BOC)がプノンペンに、China Construction Bank(CCB)がシド ニーに、Bank of Communications(BoCOM)がホーチミンに、その支店開設を承認されま した。 また、BOC、BoCOM、China Merchants Bank(CMB)が台湾の金融規制当局から台湾事 務所設立の認可を獲得し、台湾市場に進出する中国本土初の商業銀行となりました。 2010 年末時点では、商業銀行大手 5 行が中国国外に 89 の支店と子会社を設立し、外 資系銀行 10 行の買収あるいは投資を行いました。また、株式制商業銀行 6 行が海外支 店 5 店と海外事務所 5 拠点を設立し、都市商業銀行 2 行が海外事務所 2 拠点を設立し ました。 (出典: CBRC2010 年度年次報告書) 54 ICBC による中東への展開計画 中国最大の資産規模を誇る Industrial & Commercial Bank of China Ltd.( ICBC)は中東 でさらなる支店開設を計画しており、中国の中東投資ブームに資金を供給するために中 東での買収を検討しています。 ICBC は 2006 年の世界最大規模の IPO により 219 億米ドルの資金を調達してから海外 展開を加速していますが、中国本土以外での総資産は、現在も同銀行の 1.8 兆米ドルに 上る総資産のわずか 3%に過ぎません。 ICBC は中東ではドバイに 100%子会社、ドーハ支店、アブダビ支店の 3 拠点を有してお り、中東事業における今年の純利益は 2009 年の 280 万米ドルから 1,000 万米ドル以上と 急増が見込まれると、ICBC 中東のチーフエクゼクティブである Tian Zhiping 氏は述べて います。 「我々はクウェートとサウジアラビア支店開設の実現可能性について、今年後半に調査を 開始する予定です」と同氏は月曜日に行われた金融フォーラムの際に報道陣に述べてい ます。同氏は、ICBC が上記の 2 カ国に支店を設置することにより、湾岸協力会議のネット ワークが完成すると述べていました。「中東と北アフリカのその他の地域については、適切 な機会があれば ICBC は現地銀行の買収で展開していくことを検討します」とも語ってい ます。 (出典:2010 年 6 月 1 日付 Wall Street Journal) 55 ICBC がタイ ACL の買収にあたって 5 億 5,000 万米ドルの取引を完了 時価総額が世界最大規模の中国工商銀行(ICBC)は、タイの小規模銀行 ACL Bank ACL BK 株式の 97.24%を、公開買い付けにより約 5 億 5,000 万米ドルで取得したと発表 しました。 ICBC は公開買付け終了後に優先株式を含む ACL の株式 15.5 億株を購入したことを、 証券取引所へ届出ました。 公開買付価格が 11.50 バーツであったことから、買収にあたって ICBC は 177 億バーツ を投資する予定であると、Reuters は報告しています。 この中にはタイ政府 30.6%の持株の売却が含まれます。 同取引はタイにおける ICBC の最初の買収であり、近年の海外における多くの買収の動 きの一つです。 ICBC は Bangkok Bank BBL.BK から 1 株あたり 11.50 バーツ、総額 1 億 600 万米ドルで ACL の株式の 19.26%を購入することに合意したのち、9 月に ACL に対する買収を発表し ました。 (出典:2010 年 4 月 21 日付 Reuters) 56 ICBC が米国リテール銀行の買収へ ― WSJ Wall Street Journal がウェブサイトに掲載した情報によると、中国工商銀行が Bank of East Asia の米国子会社の過半数の株式を取得することで合意しました。この買 収により中国工商銀行は米国のリテール銀行を買収した最初の中国銀行となりま す。 中国最大の銀行による買収は米国の規制当局により精査される可能性が高く、両国 の不安定な関係や中国企業が米国市場に参入しようとした過去の経緯等により政 治的な反発を招く可能性もあります。 しかし、もし承認されれば、他の中国銀行が米国市場に参入する道筋となり、金融 危機から立ち直ろうとしている銀行業界に新たな資本をもたらすかもしれません。 この取引の承認のためには、連邦準備銀行は ICBC が本国において連結ベースで 包括的な監督あるいは規制の対象となっていることを確認する必要があります。すな わち、連邦準備銀行は中国の銀行規制当局の十分かつ適切な監視機能を確認す るということですが、それは 2008 年段階では不可能なことでした。 当局のデータによると、Bank of East Asia の米国子会社は 9 月 30 日に終了した四 半期に 190 万米ドルの純利益を計上しており、総資産は 7 億 1700 万米ドル、預金 は 4 億 2520 万米ドルでした。 香港を基盤とする Bank of East Asia は、カリフォルニア州アルハンブラを基盤とする Grand National Bank を買収して 2001 年 8 月に米国子会社を設立しました。 同銀行のウェブサイトによると、米国子会社はニューヨークとカリフォルニアに 13 の 支店があります。 (出典:2011 年 1 月 21 日付 Reuters) 57 流動性と資金調達 Q. 流動性引き締め政策の結果、融資業務にマイナス影響を及ぼしましたか。 流動性の引き締め政策は外資系銀行の融資業務にマイナスな影響を与えてきました。 調査参加行の約 75%である 29 行が、流動性の引き締め政策が銀行の融資業務に影 響を及ぼしていると回答しています。流動性の引き締めが外資系銀行に対して影響を 及ぼしているかという質問に、影響があるとの回答を行った参加銀行は 37 行に上りま した。また国内銀行に対する影響があるかという質問にも同数の回答がありました。 質問に対して「影響はない」と回答した外資系銀行は、主に融資業務に重点を置いて いないか、資金が余剰であるか、あるいはしっかりした預金基盤を有している銀行です。 調査時点において、預金準備率が引き上げられたが、市場では直接の影響がみられ ないと数行がコメントしています。 2011 年の人民元建て融資の割当枠について、外資系銀行からはさまざまなコメントが ありました。一部の銀行は、CBRC による割当枠が 2010 年に比べて増加したとしてい ますが、前年と同じであると回答している銀行もあり、また、減少したと回答した銀行も ありました。ある大手ヨーロッパ系銀行は「どのような割当の仕組みになっているのか誰 もわからない」とコメントしています。ある銀行は人民元建て融資の割当枠は「流動的」 で、四半期ごとに決められているとしています。また別の銀行は今年の割当枠はインフ レ率が上昇しているため、引き締められるであろうと指摘しています。 人民元建て融資の割当枠の他、短期、および長期の外貨の割当枠についても言及が ありました。これらの枠が今後どうなるかという視点から、調査対象となった銀行からは、 人民元の国際的な決済通貨への移行についてのコメントも寄せています。ある銀行は、 国際化の動きが 5 年後の 2016 年までに起こるであろうと考えている一方、別の銀行 は通貨が完全に交換性をもつまでには 10 年かかるであろうとみています。一部の銀 行は上海を 2020 年までに国際的な金融センターにするという政府の目標について言 及し、完全な交換性のある通貨がない状態で、そのような目標が実現できるのか疑問 であると回答しています。 58 貴行への影響 40 行の回答に基づく。 全外資系銀行への影響 40 行の回答に基づく。 国内銀行への影響 40 行の回答に基づく。 59 中国の中央銀行は、インフレ懸念への対応として、銀行システムにおける流動性を吸収 し、銀行の預金準備率を 5 月 18 日より 0.50%引き上げることを発表しました。 中国人民銀行は、今年に入って月に 1 度の頻度で 5 回にわたり預金準備率を引き上げ ており、多くの市場参加者は日常的な事象と捉えています。 預金準備率の引き上げにより、銀行は預金を貸出すのではなく、これまでより高い比率の 準備金を中央銀行に預け入れることになります。引き上げ後の準備率が適用されると、多 くの大手銀行の法定預金準備率は 21.0%に上昇します。 Dow Jones Newswires の試算では、3 月の預金水準に基づくと、この引き上げにより約 3,700 億人民元(570 億米ドル)が金融システムから吸収されることになります。 (出典:2011 年 5 月 12 日付 Dow Jones Newswires) 60 Q. 2011 年と 2014 年の資金調達先について大まかな予測比率を示してください。 調査参加行は、2011 年と 2014 年の資金調達先の大まかな予測比率を提示しました。 以下の表に示されるように、重要な調達先は企業預金、国内銀行、外資系銀行本店 の 3 つでした。 15 行では、企業預金が 50%以上の資金源となっています。 11 行では国内銀行が 25%以上の資金先になっており、18 行では親会社からの資金 が 25%以上となっています。15 行は個人預金を活用しています。2010 年には個人預 金を活用しているとした銀行は 10 行でした。 61 Q. 貴行の 2011 年と 2014 年の資金調達先について大まかな予測比率を示してくだ さい。 2014 年には、16 行が 50%以上の資金を企業預金から調達すると回答しました。12 行は国内銀行から 25%以上を調達するとしています。 2014 年において個人預金を活用すると、14 行が回答しました。 62 Q. ローン・ポートフォリオについて詳しく示してください。 38 行がローン・ポートフォリオについてのデータを回答しました。これによると、38 行の うち 31 行が大手中国企業と貸出を通じての取引関係があり、25 行は自国企業との取 引関係、22 行はグローバル企業との取引関係があることがわかります。 また、38 行のうち 7 行はポートフォリオの 50%以上が中国大手企業向けの貸出であり、 5 行はポートフォリオの 50%以上が自国の企業に対する貸出となっていました。 この5行のうちの 3 行は自国企業への貸出がポートフォリオ全体の 80%以上を占めて おり、これらの銀行の中国市場におけるプレゼンスは、自国の重要顧客の中国におけ る動向に大きく依存していることになります。 7 行は中国の中小企業に貸出を行っています。2010 年の調査においては中小企業 向け貸出を行っていると回答した銀行は 10 行ありました。 63 規制 Q. 世界金融危機を受け、中国の外資系銀行に対する規制改革はどの程度重要性 があると予想しますか。 2010 年の調査では、調査参加行は、規制は一段と強化されると予測していました。 2011 年の調査でも同じような結果となっています。規制が著しく強化されると 17 行が 考え、14 行が強化されると回答しています。調査参加行数行は、市場の自由化や開 放が進む一方で、このような自由化が規制強化の動きを伴っていることの矛盾を指摘 しています。昨年の調査において、本人確認規則と新たな口座開設手続きに関して、 調査参加行から幅広いコメントと批判が寄せられていましたが、今回の調査ではこのよ うな批判の声も収まり、銀行はこれらの新たな規制に適応しているように見えます。 本年度は、「3 弁法と 1 ガイドライン」(「3M、1G」と呼ぶ銀行もあります)に批判が集中 しています。あるヨーロッパ系銀行は、この規制により銀行が管理不能なものに対して 責任を負わされていると考えています。 ある北米の銀行は、「規制」を重層的と形容し、CBRC と PBOC は毎年、過去の規制 の上に新たな規制の層を重ねていると指摘しています。 多数の調査参加行は、規制の解釈が明確ではないため、都市によって規制が異なっ て解釈され、適用されていることが多く見受けられることについて懸念を抱いています。 ある大手のヨーロッパ系銀行は、現在はマクロ経済政策に重点が置かれているため、 結果として規制に関する動きは経済の状況に大きく影響されているコメントしています。 38 行のうち、31 行が変化は重大 または非常に重大と回答 64 41 行のうち、33 行が変化は重大 または非常に重大と回答 39 行のうち、27 行が変化は重大 または非常に重大と回答 現在の規制上の問題-「3 弁法と 1 ガイドライン」 昨年の調査結果では、多数の外資系銀行が、本人確認規則とマネーロンダリング防 止規則の導入そのものについては支持を示す一方で、導入方法が煩雑で、国内の同 業他行と比べて不利であると考えていました。 例えば、顧客は外資系銀行の支店に赴き書類に記入することが要求されているため、 顧客の事業所から支店がかなり離れた場所に所在する場合、取引完了までの手続き が容易ではありません。また、自行の本人確認とマネーロンダリング防止規則は非常 に厳格で、強化する必要はないと、外資系銀行は主張しています。 本年度にさらに新規制である「3 弁法と 1 ガイドライン」が導入され、同様の状況が発 生しています。 65 「3 弁法と 1 ガイドライン」とは、運転資金を目的とした融資を固定資産への投資、プロ ジェクトの資金調達、株式保有に使用してはならないと定めるものです。 貸手と借手が融資供与の前に融資の使途を明示することを、当該規制は要求してい ます。 規制当局はさらに、運転資金の融資が前述の目的で使用された場合、銀行が処罰対 象となると述べています。リソースが限られた中小の外資系銀行は、特にこの規制を重 荷に感じています。 3 弁法と 1 ガイドライン 3 弁法と 1 ガイドラインは、融資の悪用を防止し、より優れた融資実務の確立という明確な 意図を持って実施されました。しかしながら、同弁法は原則主義とニーズに立脚するという より、慣例的であったため、導入にあたって市場に混乱が生じることになりました。また、銀 行によってリスクプロセスとリスク基準が異なっているため、その後採用された方針も銀行 によって異なって適用され、混乱を招くものでした。当局もまた、新規の融資が急増したこ とにより、不良債権が増加する可能性があることから、大手銀行に対して資本増強を要求 しています。一方で、外資系銀行の主な融資先は多国籍企業や大企業であり、中国の銀 行のような融資の急増はみられませんでした。中国の銀行の融資残高が 2009 年に 35%も 伸びたのに対して、外資系銀行の伸び率は 14%に留まっています。 (出典:在中国欧州連合企業政策提言書 2010/2011:銀行・証券分野) Q.貴行と税務当局との間で営業税、源泉徴収税または法人税について見解の相違 がありましたか。 外資系銀行は、営業税は不当であると感じてはいるものの、見解の相違があるとした 回答数は 6 行のみで、2011 年には前年に比べて減少しました。 2010 年の調査結果に言及されたように、外資系銀行は、純金利収入ではなく総金利 収入に営業税を適用することは不公平であると考えています。 66 営業税 2011 年は 42 行、2010 年は 41 行、2009 年は 39 行の回答に基づく。 幾つかの銀行は、源泉徴収税の適用にいまだに反対しています。ただし、2009 年と 2010 年では主要な問題として、2009 年には 27 行、2010 年には 23 行が異議を唱え ていましたが、2011 年にはその数は減少し、7 行となっています。 源泉徴収税 2011 年は 42 行、2010 年は 41 行、2009 年は 39 行の回答に基づく。 法人税については、見解の相違があったと回答したのは 3 行のみです。なお、多くの 銀行が、特に上海における金融セクターの発展により、低い法人税率による恩恵を受 けると考えています。 67 法人税 2011 年は 42 行、2010 年は 41 行、2009 年は 39 行の回答に基づく。 Q.改正を望む税法はありますか。 34 行がこの質問に対して改正を望むと回答しており、大半が源泉徴収税と営業税の 改正を提案しています。 大手のヨーロッパ系銀行は、中国国内において地域によって課税の取扱いが異なると 指摘しています。また、ある銀行は具体的に「企業向け融資に係る利息収入の確認」 (中国国家税務総局公告 2010 年第 23 号)に言及しています。 40 行の回答に基づく。 68 「在中国欧州連合企業政策提言書 2010/2011:銀行・証券分野」にお いて中国の規制問題が注目されています。 Q. 以下の項目に関する規制上の動きがどの程度銀行業務の拡大に関連しているか について、1 から 10 で答えてください(業務との関連性や重要度が最も高い場合は 10 となります)。 支店網拡大 人民元デリバティブ市場への参入 債券引受け業務の認可 中国現代化支払システム(CNAPS)の会員資格 支店網拡大 外資系銀行は、現在、支店と出張所の開設の申請を同時に提出することが禁じられて います。さらに、現法の銀行の支店と出張所のネットワーク拡大には、複雑かつ時間の かかる申請手続きを経なければなりません。 この質問に回答した 32 行のほぼ半数が、支店網拡大プロセスを 10 のうち 10 のスコ アを付けました。8 行のみが 5 以下のスコアを付けました。 外資系銀行は、ネットワークを拡大し、より大きな規模の経済性を実現することを強く望 んでいます。地理的範囲を拡大するために、農村銀行業(rural banking)に従事するこ とを選択した銀行もあります。 支店網拡大 32 行の回答に基づく。 69 人民元デリバティブ市場への参入 欧州商工会議所は、外資系銀行が人民元デリバティブ市場に平等に参入できるよう にし、認可基準と承認プロセスの透明性を高めるべきだと主張しています。 この質問に回答した 33 行のうち 15 行は、最高スコアの 10 を付けました。7 行は、5 以下のスコアを付けました。 人民元デリバティブ市場への参入 33 行の回答に基づく。 外資系銀行による社債引受けの認可 2009 年に、外資系銀行は社債トレーディング業務の認可を受けました。債券のトレー ディング実績をあげることにより、社債引受の認可を付与されることを期待していました。 外資系銀行全体として、この分野の専門性とテクノロジーを活用できることを望んでい ました。 社債引受の認可を得ることの難易度についての質問に対し、12 行が最も高い 10 のス コアを付けました。これは、引き受け業務を拡大する上で規制の動向が重要であると 認識していることを示しています。 2010 年には、3 つの銀行、HSBC、JPMorgan、Standard Chartered のみが引受会社と して認められています。 70 引受会社として認可された外資系銀行 30 行の回答に基づく。 2011 年米中戦略・経済対話 米国ファクトシート-経済対話 現在、中国は、外資系銀行がインターバンク債券市場での社債引受を認可する方向に動いていま す。 2011 年 4 月に、中国の社債市場の監督機関は、引受金融機関に係る要件を公表し、1週間だけ新 規申請を受け付ける期間を設けました。その期間に多数の米国やその他外資系企業が申請を行っ ています。 (出典:2011 年 5 月 10 日付財務省) 71 (2010 年 11 月 16 日開催の)中国世界債券資本市場シンポジウムにおける中国人民銀 行の周小川総裁による基調演説の抜粋 近年、中国の債券市場は目覚ましい発展を遂げています。しかしながら、発展した他の分 野に比べると、債券市場は満足のいく水準までに資金を配分する基本的な役割を果たせ ず、中国経済の持続可能な成長に必要な資金ニーズを満足させるまでには至っていませ ん。これは主に次の理由により裏付けられます。(1) リスク管理手段の欠如、リスク分担の 市場メカニズムの不健全さ、金融デリバティブ市場の発展が不十分、(2) 市場流動性の改 善が不十分、市場価格が実際の市場における供給と需要を反映しておらず、イールドカ ーブがより精緻になることが必要、(3) 機関投資家が偏っており、多様性が欠如している (4) 格付機関の社会的信用のさらなる向上、(5) 市場の発展の妨げとなる法律や政策問題 の解決が必要で、会計基準、課税、その他関連する体制の調整が、商品のイノベーション に対応するために必要である。要約すると、成熟した金融市場と比べて市場が未発達で あるという点が依然として中国の債券市場の直面する最大の課題といえます。 72 中国現代化支払システム(CNAPS) 外資系銀行のいくつかは直ちに CNAPS への登録が認可されましたが、その他の銀 行は許可されませんでした。また、PBOC は、一部の外資系銀行の支店に対し、 CNAPS 代理人として中国の銀行の使用を検討するよう推奨しています。 CNAPS への登録が認可された外資系銀行にとってこれは問題ではないことは明らか です。一方で 4 行は、CNAPS の会員資格取得について重要であることを示す最大ス コアの 10 を付けました。 CNAPS 会員資格 22 行の回答に基づく。 73 北京は、企業に融資ではなく債券の発行による資金調達を指導 北京は、インフレ抑制の一環として銀行融資を制限しており、中国の企業には債券を発行し、融資 への依存を減らすよう推奨しています。 証券時報によると、広東への出張の際に、中国証券監督管理委員会(CSRC)の公募部門の Lu Wenshan 副部長は、現地企業の幹部に、社債発行は金利上昇局面におけるリスクのヘッジになり 得ると伝えました。また、北京の中央財経大学の Guo Tianyong 教授は、「中国が流動性引き締め策 としてマネーサプライ(M2)を目標とした場合、銀行融資は制限されることになるであろう。そのため、 企業が他の資金調達手段を模索することは当然なことである。発展途上の社債市場は、成長の余 地がある。」と発言しました。 中国の社債残高は、政策銀行以外の銀行が発行した債券を含めて 2010 末に 4.3 兆人民元(5.1 兆香港ドル)に達しました。これは、国内総生産の 10.9%に相当し、債券発行残高全体の 21%を占め ています。 今年に入り、CSRC は、100 億人民元を超える純資産または国内信用格付けで AAA を有する企業 に対して、申請後 1 カ月以内に債券発行申請を承認することを明言しました。 CSRC は、今月、上場国有企業やその他優良企業は、債券発行に最適だと述べました。上海国際 港務(集団)は、許可が迅速化されてから債券を発行する最初の企業で、同社は 5 年債を年率 4.69%で発行し、先月 50 億人民元を調達しました。なお、表面利率はインターバンク市場で中期債 に設定されている金利より 0.2%ポイント低いものでした。 Lu 氏は、「社債市場は、これまでにないほどの発展の機会に恵まれている。株式市場と比べると、債 券市場は後れを取っている。直接融資と間接融資、株式公募と債券による資金調達の不均衡が金 融システムの安全性と安定性に影響を及ぼす可能性がある。」と述べています。 昨年、規制当局は 25 の社債の発行を許可し、600 億人民元が調達され、新規株式公開と新株発 行によりおよそ 1,000 億人民元が調達されました。それに対し、銀行融資は、約 8 兆人民元でした。 銀行融資は、新規の規制上の要件により制限されています。CBRC は、大手銀行に対し最低自己 資本比率を現在の 11.5%から引き上げ、経済リスクに備えるように要請しました。 アナリストは、銀行融資の金利水準が引き上げられていることから、中国の社債市場の発展につい て楽観的な見通しを立てています。 一方で、米国商工会議所は昨日公表されたレポートにおいて、中国の債券流通市場は中央銀行が 金利水準を決定しているため「低迷している」と述べています。 (出典:2011 年 4 月 27 日付 South China Morning Post) 74 外資系銀行 8 行が、中国のインターバンク債券市場参入の認可を受ける 中国の中央銀行は、オフショアの人民元による国内の人民元建債券投資を可能にする試験的計画 の一環として、外資系銀行 8 行(Citigroup Inc.と Bank of Tokyo Mitsubishi UFJ Ltd.の香港支店を 含む)に、国内のインターバンク債券市場の取引許可を与えました。 その他の 6 行は、Agricultural Bank of China Ltd.(1288.HK)と China Construction Bank Corp. (0939.HK)の香港支店、Nanyang Commercial Bank Ltd.、Wing Lung Bank Ltd.、Wing Hang Bank Ltd.(0302.HK)、Chiyu Banking Corp.です。 以前、People’s Bank of China は、8 月にクロスボーダー取引の人民元決済に関する試行計画に参 加している外資系金融機関に対して、中国の債券市場で人民元からの収益の再投資を許可した 後、外資系銀行 11 行(Standard Chartered PLC(STAN.LN)および HSBC Holdings PLC (HBC)を 含む)にインターバンク債券市場で取引を行う許可を与えました。 試行的措置には、人民元決済に関する試行計画に参加している香港、マカオの銀行、外資系銀 行、海外の中央銀行が含まれます。中国のインターバンク債券市場では、国債や政策銀行債等、 中国の 10 種類以上の債券が取引されます。 (出典:2011 年 3 月 21 日付 Dow Jones) Q. 本人確認とマネーロンダリング防止規則の適用はどの程度重要性があるか。 2010 年に、CBRC の本人確認とマネーロンダリング防止に関する規則の適用に関し て、外資系銀行から大きな批判がありました。 外資系銀行はこれらの規制を「集団的懲罰」または「参入障壁」と表現しています。支 店網が限られている外資系銀行は、顧客自身が支店に赴き口座開設書類の記入を 行わなければならないという要件が定められている結果、手続きが過度に煩雑になっ たと考えています。国内の同業他行も同じ要件に従っているかについては定かではな いと述べています。 過去の調査結果では、外資系銀行は、新たな規制は負担が重く面倒なものと表現し ていましたが、本年の回答では、批判は弱まっていました。 回答銀行は、この手続きは現在通常業務に組み込まれており、行内で本人確認やマ ネーロンダリング防止に関する規則を整備している一方で、CBRC の追加的な規則に も遵守していると述べています。 75 業績 Q. 2011 年と今後 3 年間の収益について、どの程度の成長率を予測していますか? 2011 年については、39 行が収益予測データを提供しました。2 行はゼロ成長と予想し、 6 行は 20%以下の伸び率であると回答しています。また、22 行が 20%から 50%の間、3 行が 50%以上から 100%の伸び率、3 行が100% 以上の伸び率を見込んでいます。さら に、1 行が 200%以上、1行が 300%以上の伸び率を予想しています。 2014 年までの予測については、7 行が成長率の低下を予想しています。この 7 行に は、2011 年に 100%かそれ以上の成長を予測している 5 行が含まれています。 一方で 7 行は 2011 年と比較し、2014 年にかけてより速いペースでの成長を期待して います。 39 行の回答に基づく。 76 外資系銀行の現地法人による 2011 年時点における 2011 年と 2014 年の収益の年間 成長予測 現地法人の外資系銀行 4 行は 2011 年と 2014 年とも収益が 20%増加すると見込んで います。3 行が両方の年について 30%、2 行が同じく 50%、2 行が同じく 15%の伸び率 を見込んでおり、2011 年から 2014 年にかけて同じような成長が続くと予想しています。 一方で、下図に示す通り、2011 年には 100%伸びるが、2014 年には 30%の成長に鈍 化する銀行、2011 年、2014 年とも 100%の成長を見込む銀行、2011 年には 80%、2014 年には 40%の成長を見込む銀行などもありました。 現法の銀行 19 行の回答に基づく。 77 ピアレビュー(同業者比較) Q.各市場において、(業績、プレゼンス、勢力等の観点から)成功している上位 3 行を 挙げてください。 点数の付け方は単純な手法を用い、1 位に 3 ポイント、2 位に 2 ポイント、3 位に 1 ポ イントを付与し、合計点数により順位付けを行ないました。 調査対象行には、各セグメントで活動しており、規模ではなく成功(業績、プレゼンス や勢力)の観点で正確な評価を行なえると思われる場合に限り、質問に回答頂きまし た。 自行は評価対象外としています。多くの銀行が、1 位のみ、あるいは 1 位と 2 位のみ を挙げています。 下表の「変動」という欄は、2010 年の調査時の順位からの変動を示しています。 外国為替およびトレジャリー 1位 2位 3位 合計点数 変動 HSBC 14 9 4 64 ・ Citibank 10 5 10 50 ・ Standard Chartered 3 8 4 29 ・ Deutsche Bank 4 3 4 22 ・ JPMorgan Chase 1 2 1 8 ・ 1 2 ・ 1 2 Bank of East Asia Bank of America Merrill Lynch Bank of Montreal 2 2 DBS Bank 1 1 Société Générale 1 1 (回答行数:32 行) 78 デリバティブ 1位 2位 3位 HSBC 7 5 5 36 Citibank 5 5 7 32 Deutsche Bank 8 1 3 29 Standard Chartered 5 5 2 27 JPMorgan Chase Bank of America Merrill Lynch Goldman Sachs 3 変動 6 2 1 合計点数 1 1 5 5 Société Générale 1 1 3 BNP Paribas 1 1 3 Royal Bank of Scotland 1 2 (回答行数:26 行) 法人向け融資 1位 2位 3位 19 4 3 68 6 11 5 45 Citibank 2 6 6 24 Bank of East Asia 3 3 6 21 2 3 7 HSBC Standard Chartered DBS Bank Mizuho Coporate Bank 1 Deutsche Bank Bank of TokyoMitsubishi UFJ BNP Paribas 1 合計点数 5 1 1 1 3 3 1 2 Hang Seng Bank 1 1 Bank of America Merrill Lynch 1 1 (回答行数:32 行) 79 変動 プロジェクトファイナンス 1位 2位 3位 合計点数 HSBC 5 1 1 18 Standard Chartered 2 3 3 15 Citibank 1 2 1 8 BNP Paribas 1 2 Bank of East Asia 1 Société Générale 1 Bank of TokyoMitsubishi UFJ DBS Bank 変動 7 1 4 3 1 2 1 1 1 1 2位 3位 合計点数 Natixis (回答行数:11 行) インベストメントバンキング 1位 Goldman Sachs 14 1 1 45 Morgan Stanley 1 8 3 22 JPMorgan Chase 2 4 6 20 UBS 3 3 4 19 Deutsche Bank 2 3 1 13 HSBC 1 2 1 8 Citibank 2 Bank of America Merrill Lynch 6 1 Standard Chartered (回答行数:25 行) 80 2 4 1 1 変動 プライベートバンキング 1位 2位 UBS 11 2 3位 合計点数 HSBC 7 2 1 26 Citibank 1 3 6 15 Standard Chartered 5 2 12 Credit Suisse 2 2 6 Deutsche Bank 2 変動 37 4 Royal Bank of Scotland 1 3 ANZ 1 3 (回答行数:21 行) コーポレイトファイナンス 1位 2位 3位 合計点数 HSBC 7 2 1 26 Goldman Sachs 4 1 13 Citibank 1 3 1 10 2 3 7 1 7 Standard Chartered UBS 2 Deutsche Bank 1 1 5 Morgan Stanley 2 1 5 JPMorgan Chase 1 1 3 Bank of East Asia 1 2 Credit Suisse 1 2 DBS Bank 1 1 ANZ 1 1 (回答行数:15 行) 81 変動 M&A 1位 2位 3位 合計点数 Goldman Sachs 13 Morgan Stanley 1 7 2 19 JPMorgan Chase 2 3 1 13 UBS 2 1 3 11 4 2 10 1 1 6 2 5 Deutsche Bank HSBC 1 Citibank 1 変動 39 Bank of East Asia 1 2 Macquarie 1 2 Bank of America Merrill Lynch Royal Bank of Scotland 1 1 1 1 3位 合計点数 (回答行数:20 行) トレードファイナンス 1位 2位 HSBC 20 6 Standard Chartered 9 15 5 62 Citibank 2 5 5 21 BNP Paribas 2 2 8 3 7 3 6 Bank of East Asia Deutsche Bank 72 2 1 Société Générale 2 1 5 Bank of America Merrill Lynch ANZ 1 1 3 1 3 BNY Mellon 1 3 ING Bank 1 2 Norddeutsche Landesbank Royal Bank of Scotland 1 2 2 2 Wells Fargo 1 1 DBS Bank 1 1 Scotiabank 1 1 (回答行数:36 行) 82 変動 キャッシュマネジメント 1位 2位 3位 合計点数 Citibank 17 3 4 61 HSBC 10 12 4 58 Standard Chartered 2 8 9 31 Deutsche Bank 1 2 4 Bank of East Asia 1 1 3 Bank of America Merrill Lynch Royal Bank of Scotland 1 2 1 2 Bank of TokyoMitsubishi UFJ 1 1 3位 合計点数 変動 (回答行数:29 行) 株式市場 1位 2位 Goldman Sachs 3 1 11 JPMorgan Chase 2 2 10 UBS 2 2 1 1 Morgan Stanley Deutsche Bank 2 HSBC 1 Citibank 10 4 9 7 1 3 3 1 Standard Chartered 1 1 Royal Bank of Scotland 1 1 (回答行数:10 行) 83 変動 債券市場 1位 2位 HSBC 3 1 Citibank 1 2 Goldman Sachs 1 2 UBS 2 Morgan Stanley 1 Standard Chartered JPMorgan Chase 1 Royal Bank of Scotland 1 Deutsche Bank Bank of America Merrill Lynch Société Générale 3位 合計点数 2 5 2 4 3 2 1 1 11 1 8 7 6 1 1 6 1 3 5 1 5 1 1 1 Bank of TokyoMitsubishi UFJ 変動 (回答行数:11 行) リテールバンキング 1位 2位 3位 合計点数 HSBC 25 3 1 82 Standard Chartered 3 18 3 48 Bank of East Asia 3 2 15 28 4 7 15 1 1 Citibank Hang Seng Bank 変動 (回答行数:31 行) クレジットカード 1位 2位 3位 合計点数 Bank of East Asia 21 1 2 67 HSBC 5 1 17 Standard Chartered 2 2 6 Citibank 2 2 6 1 1 Hang Seng Bank (回答行数:26 行) 84 変動 ブランド認知度 1位 2位 3位 合計点数 HSBC 34 2 Standard Chartered 1 23 7 56 Citibank 2 11 12 40 Bank of East Asia 12 12 DBS Bank 2 2 JPMorgan Chase 1 1 ANZ 1 1 Goldman Sachs 1 1 3位 合計点数 変動 106 (回答行数:37 行) 企業の社会的責任(CSR) 1位 2位 HSBC 10 2 Citibank 2 4 Standard Chartered 1 Bank of East Asia 34 2 1 (回答行数:13 行) 85 16 2 5 3 5 変動 現地法人を設立している 外資系銀行一覧 86 Tier1 資本・資産上位 50 行 - 中国系銀行 87 調査参加行の概要 アジア系銀行グループ アジア系銀行 ANZ Bank 従業員数:500 名 www.anz.com Commonwealth Bank of Australia 従業員数:100 名 www.commbank.c om.au 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 47 50 58 44 国内ラン キング Tier 1 3 概要* ANZ はメルボルンに本拠地を有し、30 カ国以上 で事業活動を行っています。同銀行の資産総額 は 5,320 億豪ドル以上であり、世界各国に 800 万にも及ぶ個人、プライベートバンキング、小規 模事業、法人、機関投資家、アセットファイナンス の顧客を有しています。 ANZ は 1986 年に北京に駐在員事務所を開設し て以来、中国本土で事業を展開してきました。同 銀行は 2010 年に現地法人化し、中国本土にて 現地通貨と外貨のコマーシャル・バンキング業務 を認可された唯一の豪州系銀行です。同銀行は Bank of Tianjin(20%持分)と Shanghai Rural Commercial Bank(19.9%持分)との間で長期的戦 略的パートナーシップを提携しています。 1911 年に創立した Commonwealth Bank はオー ストラリアのシドニーに本拠地を置いています。 1920 年代と 1950 年代の終わりにかけて、同銀 行は商業銀行と中央銀行としての役割を果たし てきました。同グループは、2010 年末には 6,500 億豪ドルの資産に達しました。 4 Commonwealth Bank は、1994 年に北京に中国 初の駐在員事務所を開設し、2010 年 3 月には、 上海に中国初の支店を開設しました。 Dah Sing Bank 従業員数:200 名 www.dahsing.com .au 645 487 12 Dah Sing Banking Group Limited は 2004 年以来 香港証券取引所に上場しています。株式の過半 数を Dah Sing Financial Holdings Limited が保有 しており、銀行子会社 4 行(Dah Sing Bank、 MEVAS Bank、Banco Commercial de Macau と Dah Sing Bank(China))、証券会社 1 社を傘下 に、また SG Hambros Bank との間でプライベー ト・バンキング業務のオフショア・ジョイント・ベンチ ャーを運営しています。Dah Sing Bank は戦略的 投資として、中国西部の最大都市である重慶市 に拠点のある有数の都市商業銀行 Bank of Chongqing の 20%の持分を有しています。Bank of Chongqing は主に重慶市で事業を展開してお り、80 を超える支店を構えています。 88 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 62 97 国内ラン キング Tier 1 1 First Sino Bank 従業員数:620 名 www.fsbankonline .com N/A N/A N/A Hang Seng Bank 従業員数:1,500 名 www.hangseng.co m N/A N/A N/A Mizuho Corporate Bank 従業員数:1,115 名 www.mizuhocbk.c o.jp * Mizuho Financial Group 26* 15 3 OCBC Bank 従業員数:800 名 www.ocbc.com.sg 96 115 3 アジア系銀行 DBS Bank 従業員数:1,800 名 www.dbs.com 89 概要* シンガポールに本拠地を置く DBS はアジアで最 大の金融サービスグループで、中国を含む 15 の 市場で活動しています。同銀行は 1993 年に北 京に駐在員事務所を開設しました。また、2007 年 5 月にシンガポール系銀行として初めて中国 で現地法人を設立しました。3 年もしないうちに、 DBS China は自行の顧客数を 4 倍に、従業員数 を倍増させました。上海の本店を除き、DBS は中 国本土に 10 の支店と 9 の出張所を有していま す。RBS の支店取得については、RBS の概要を ご参照ください。 First Sino Bank は、1997 年に台湾の投資家と中 国の銀行との間の初の合弁銀行として設立され、 上海に本店を置いています。First Sino Bank の 株主には、香港に登記している Lotus Worldwide Limited、Shanghai Pudong Development Bank、 Wing Hang Bank がおり、うち Lotus Worldwide の大株主は台湾の投資家です。First Sino Bank は天津、深川と上海に支店を有し、中国全土で 10 の出張所を有しています。 Hang Seng Bank は Hang Seng Bank の株式持分 の 62.14%を保有する HSBC グループの主要な メンバーグループです。同銀行はパーソナル・バ ンキング、コマーシャル・バンキング、コーポレイ ト・バンキング業務を提供しています。Hang Seng Bank(China)Ltd.は 2007 年 5 月 28 日に Hang Seng Bank の完全子会社として設立し、中国本 土に 11 の支店と 27 の出張所を有しています。 2002 年 4 月1日に第一勧業銀行、富士銀行、日 本興業銀行が統合され、みずほフィナンシャルグ ループ傘下にみずほコーポレート銀行、みずほ 銀行が設立されました。みずほコーポレート銀行 は大企業中心の取引を行う他、アジア、ヨーロッ パ、米州、中東に支店・現地法人などを有してい ます。みずほ銀行は、約 2,500 万の個人顧客の 口座を有しており、約 10 万の中堅・中小企業と 取引があります。みずほコーポレート銀行(中国) は上海に現地法人として設立され、12 店舗を構 えています。 シンガポールに本拠地を置く OCBC Bank は 15 カ国に 500 の支店と駐在員事務所を構え、コン シューマー・バンキングとビジネスバンキング業務 を提供しています。同銀行の総資産は 2,440 億 シンガポールドルにのぼります。同銀行は 1925 年に厦門に最初の支店を設立以来、中国でのプ レゼンスを維持しています。2007 年 8 月 1 日、 同銀行は上海に自行の完全子会社である現地 アジア系銀行 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング Tier 1 Sumitomo Mitsui Banking Corporation 従業員数:1,100 名 www.smbc.co.jp 23 23 2 The Bank of East Asia 従業員数:3,800 名 www.hkbea.com 206 206 5 Westpac 従業員数:45 名 www.westpac.co m.au 34 41 2 Wing Hang Bank 従業員数:780 名 www.whbhk.com 485 436 10 概要* 法人を設立しました。 三井住友銀行は、2001 年 4 月 1 日にさくら銀行 と住友銀行の合併により設立されました。2002 年 12 月に三井住友フィナンシャルグループが株式 移転により持株会社として設立され、三井住友銀 行はその完全子会社となりました。三井住友銀行 (中国)は上海に現地法人として設立され、12 店 舗を構えています。 The Bank of East Asia(BEA)は、1918 年に香港 にて設立し、2007 年に中国本土で現地法人が 設立された香港で最大の独立系銀行で、2010 年末の連結ベースでの資産額は 5,342 億香港ド ルに及びます。BEA は香港に 140 以上の営業 所、中国本土には 100 以上の営業所を有してお り、リテールバンキング業務とコマーシャル・バン キング業務を提供しています。 同銀行は米国、英国、カナダと東南アジアに国 際的ネットワークを構築しており、210 以上の営 業所と 11,000 を超える従業員を有しています。 上海に本拠地を置く BEA China は 1920 年に初 めて支店を開設し、以来中国にて事業を展開し 続けています。 Westpac は、1817 年にシドニーで業務を開始し ました。Westpac は、世界各国に約 4 万人の従 業員を有し、グローバルベースの資産総額は 6,180 億豪ドルになります。1971 年から香港、 1982 年から中国本土で業務を展開しています。 2008 年に上海で中国初の支店が開設されまし た。同支店では、法人および機関投資家向けバ ンキング、外国為替、トレジャリー業務を提供して います。2008 年に、Westpac は St. George Bank と合併し、オーストラリア有数の住宅ローンを提供 する銀行になりました。また、オーストラリア最大 の資産運用会社として、1,080 億豪ドルの資金を 運用し市場の 25%を独占しています。時価総額 はおよそ 660 億豪ドルあり、時価総額で最大の 銀行です。 Wing Hang Bank(「WHB」)は、1937 年に両替業 務を行うために広州で創立し、以来 70 年間香港 で業務を展開してきました。現在、WHB は香港、 マカオ、中国本土で 70 の支店と駐在員事務所 を有しています。同行の主な業務は、リテールバ ンキング、コーポレイト・バンキング、外国為替お よびトレジャリー業務です。2007 年 6 月に、WHB は中国本土で現地法人を設立しました。WHB は 深圳に本店を置いた最初の外資系銀行です。 90 アジア系銀行 Wing Lung Bank 従業員数:80 名 www.winglungban k.com 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 566 494 国内ラン キング Tier 1 11 概要* Wing Lung は、1933 年に香港で創立しました。 同行は、全体で 48 の営業所を有しています。 Wing Lung Bank は、預金、ローン、コーポレイト ファイナンス、証券、クレジットカード、ウェルスマ ネジメント等の包括的なバンキング業務を提供し ています。また、同行は完全子会社を通じて、ハ イヤーパーチェス、リース、受託業務、保険代理 業務、証券引受業務も提供しています。 2008 年に、China Merchants Bank は、Wing Lung Bank 株式の取得を開始し、同行の筆頭株 主となりました。2009 年 1 月に、China Merchants Bank は、全株式を取得し、現在、Wing Lung Bank を完全所有しています。 91 欧州系銀行グループ 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 欧州系銀行 Tier 1 資産 10 15 Banco Santander 従業員数:35 名 www.santander.c om * Santander Central Hispano BBVA 従業員数:15 名 www.bbva.com BNP Paribas 従業員数:370 名 www.bnpparibas. com 国内ラン キング Tier 1 1 概要* Banco Santander はスペインに本店を構え、2009 年に利益ベースで 4 位にランクされる銀行です。 同銀行は、主に欧州大陸、英国およびラテンアメ リカで活動しています。1993 年に中国で最初の 駐在員事務所を開設しました。 BBVA は個人・法人顧客に金融・非金融商品・サ ービスを提供しています。30 カ国で 10 万 4 千人 以上の従業員、4,700 万以上の顧客、90 万人の 株主を有しています。同銀行は 150 年以上前に 営業を開始したスペイン市場で確固たる地位を 築いています。南アフリカで有数のフランチャイズ を有しており、メキシコにおいて最大の金融機関 です。同銀行は資産規模で 7 番目に大きな金融 機関である China Citic Bank の株式 4.93%を保 有しています。2009 年には BBVA の China Citic Bank の株式保有が 15%になりました。 BNP Paribas は、81 カ国以上の国で業務を展開 しているグローバルなバンキング・金融サービス グループです。同グループは、コーポレイト・イン ベストメント・バンキング、インベストメントソリュー ションおよびリテールバンキングの 3 つの主要業 務で事業を展開しています。 30 33 2 8 1 1 Credit Agricole 従業員数:180 名 www.ca-cib.com * Credit Agricole Group 13* 3 2 Commerzbank 従業員数:130 名 www.commerzban 27 24 2 2005 年 10 月に、BNP Paribas は、Bank of Nanjing(「BON」)の株式 19.2%取得に関する契 約を締結しました。現在、同銀行の株式 12.6%を 保有しています。2008 年 6 月に、BNP Paribas の北京、天津、広州の支店を、現地の子会社で ある BNP Paribas (China) Limited(現在、上海に 本店が所在)に統合しました。 Credit Agricole は、世界に 5,400 万の顧客ネット ワーク、70 カ国に 16 万人の従業員を有し、キャ ピタルマーケッツ、インベストメントバンキングおよ び融資業務に特化しています。2010 年に 36 億 ユーロの純利益を上げました。 Credit Agricole は中国で 1 世紀以上の間実績 を築いており、上海、北京、広州、天津、厦門に 十分に運営されている 5 つの支店を有し、深圳 に駐在員事務所があります。Credit Agricole China は、最初に人民元を取り扱う業務が許可さ れた外資系銀行のうちの一つです。 Commerzbank は、ドイツで 2 番目に大きな金融 機関です。2009 年 5 月に Dresdner Bank と合併 しました。同銀行は、世界各国に合計で約 1,400 92 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング Credit Suisse 従業員数:80 名 www.csfb.com 31 26 1 Deutsche Bank 従業員数:500 名 www.deutschebank.de 20 7 1 HSBC 従業員数:5,300 名 www.hsbc.com 5 4 2 ING Bank 従業員数:65 名 www.ing.com 21 12 1 欧州系銀行 k.com 概要* 万の個人と法人顧客を抱え、7,540 億ユーロの資 産を有しています。中国では、現在上海、北京、 天津に 3 つの支店を有しています。 Credit Suisse Group は、チューリッヒに本店を置 くグローバルな金融サービス会社です。1856 年 に創立以来、世界の法人、機関投資家、個人富 裕層に対してサービスを提供しています。Credit Suisse は、55 カ国以上で業務を展開し、およそ 100 の国籍に及ぶ 5 万 100 人以上の従業員を 有しています。インベストメントバンキング、プライ ベートバンキングおよび資産運用業務を通じて 様々な商品やサービスを提供しています。 1870 年にベルリンに創立した Deutsche Bank は、グローバルな投資銀行であり、73 カ国におい て 10 万人以上の従業員を有しています。 Deutsche Bank は、1872 年にまず上海で業務を 開始しました。現在、中国と香港における Deutsche Bank は、コーポレート・アドバイザリー・ キャピタルマーケッツ、トランザクション・バンキン グ、プライベート・リテール・バンキングおよび資 産運用業務で事業利益を上げています。また、 Deutsche Bank は、中国においてリテール業務を 展開しており、Hua Xia Bank 株式の 19.99%を取 得しました。2008 年 1 月に、中国現地法人を設 立し、北京に本拠地を置きました。 1865 年に香港と上海で設立以来、HSBC は、87 の国と地域において約 7,500 の営業所で業務を 行っています。 HSBC Bank (China) Company Limited は、2007 年 4 月 2 日に、The Hongkong and Shanghai Banking Corporation (HSBC) Limited の完全子 会社として業務を開始しました。HSBC は、146 年間にもわたり中国本土で事業を展開してきまし た。Bank of Communication の株式の 19%取得、 Ping An Insurance 株式の 15.57%取得、Bank of Shanghai 株式の 8%取得など、中国中国の優良 な金融サービス機関に 50 億米ドルを投資してき ました。中国における現在のネットワークは、108 の営業所で構成されます。HSBC は、中国で金 為替業務を行った最初の外資系銀行です。 HSBC は人民元建口座と外貨建を 2 口座までリ ンクできるデビットカードも提供しています。 ING は、バンキング、運用、生命保険、リタイヤメ ントサービスを顧客に提供しているグローバルな 金融サービス会社です。ING グループはヨーロッ パ、米国、カナダ、ラテンアメリカ、アジア、オース トラリアにおいて 8,500 万以上の顧客にサービス Tier 1 93 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング Intesa Sanpaolo Bank 従業員数:25 名 www.intesasanpa olo.com 25 27 2 KBC Bank 従業員数:55 名 www.kbc.com 52 47 3 Natixis 従業員数:47 名 www.natixis.fr 18* 16 3 Norddeutsche Landesbank 従業員数:26 名 www.nordlb.de 92 57 8 Rabobank 従業員数:65 名 www.rabobank.co 24 28 2 欧州系銀行 概要* を提供しています。ING は Bank of Beijing の株 式 16.07%の取得を通じて、リテールバンキングへ と事業を拡大しました。ING は、中国における融 資、金融市場、コーポレイトファイナンスに注力し ています。さらに、プライベートバンキング・サー ビス(香港以外)も提供しています。 Intesa Sanpaolo は、Banca Intesa と Sanpaolo IMI が合併して設立されたイタリアの銀行グループで す。同銀行は、イタリア市場での業務に加え、中 東欧および地中海沿岸地域を中心とした国際業 務を提供しています。資産総額 6,450 億ユーロ 以上、顧客数 1,930 万、世界各国に 7,400 店の 支店を有しています。2007 年に、Intesa Sanpaolo は、山東省の地銀である青島銀行の株式の 19.9%を取得しました。 1935 年に設立された KBC は、ベルギーの銀行 兼保険会社です。30 カ国で事業を行っており、 2,200 店以上の支店を有しています。ドイツ、オラ ンダ、アイルランド、英国、米国、フランスおよび シンガポールにコーポレイト・バンキング業務を提 供する子会社があります。KBC 上海支店は 1997 年 5 月に設立されました。 Natixis は、Banque Populaire グループと Caisse d’Epargne グループの上場子会社です。Natixis は、フランスを拠点とした融資およびインベストメ ントバンキング業務を提供している銀行であり、 68 カ国に 22,000 名の従業員と 116 の事務所を 構えています。Natixis のネットワークの専門領域 は、コーポレート・インベストメント・バンキング、資 産運用、プライベート・エクィティ、プライベートバ ンキングおよび債権管理業務です。Natixis は上 海に支店、北京に駐在員事務所を有していま す。 Norddeutsche Landesbank(NORD/LB)は、世界 各国に駐在員事務所と営業所があり、1,500 のコ ルレス銀行、6,463 名の従業員を有しています。 2009 年末現在の連結貸借対照表合計は、2,387 億ユーロです。個人、法人、機関投資家および 公的部門向けに様々な金融サービスを提供して います。NORD/LB の主な専門領域は、投資、農 業・不動産銀行業務、コーポレイトファイナンス、 船舶・航空機ファイナンス、プライベートバンキン グです。同銀行は、上海に支店、北京に駐在員 事務所を有しています。 Rabobank は、協調の原則に基づき、総合的なサ ービスを提供しています。Rabobank グループ は、152 の独立系の Dutch Rabobank と Tier 1 *Groupe Banques Populaire 94 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング RBS 従業員数:600 名 www.rbs.com 4 2 1 Raiffeisen Bank International 従業員数:103 名 www.rzb.at 83 87 3 Societe Generale 従業員数:700 名 www.societegene rale.com 19 17 4 欧州系銀行 m 概要* Rabobank Nederland、それぞれの中央組織と多 数の国際事務所、子会社から成っています。 Rabobank は、食品業・農業向け業務に注力して います。Rabobank は、上海と北京の事務所を通 じて、中国の業務を農業、食品加工業、通信・環 境セクターへと積極的に拡大させています。ま た、Rabobank は地方銀行としてのプレゼンスも有 しています。2006 年、Rabobank は、136 の支店と 1 千万の顧客を有し、2011 年 1 月に Hangzhou United Bank となった杭州の United Rural Cooperative Bank の株式の 10%を取得しました。 RBS は、2004 年に上海支店、2007 年に北京支 店を開設しました。RBS China は、2005 年に中国 銀行の株式を取得して、戦略的パートナーシップ として提携しましたが、2009 年 1 月に同株式を 売却しました。 RBS は、上海と北京に支店を有しており、ABN AMRO China の支店を 2007 年に取得しました。 2010 年 12 月に RBS は DBS Bank と、DBS Bank (China)にリテールバンキングおよびコマーシャ ル・バンキング・ポートフォリオと、上海、北京、深 川における同業務に関連する従業員を譲渡する 契約を締結しました。 Raiffeisen Zentralbank Österreich AG(RZB)の 2010 年 12 月 31 日現在の貸借対照表額は 1,312 億ユーロであり、オーストリアで 3 番目に大 手の銀行です。RZB は 1927 年に設立され、ウィ ーンに本拠地を置いています。オーストリアと中 東欧の他、RZB は世界中で事業展開を行ってい ます。Raiffeisen Bank International AG (RBI) は、Raiffeisen Zentralbank Osterreich AG(RZB) の中核業務と Raiffeisen International Bank が合 併により設立されました。中国において、RZB は 個人・法人顧客のみならず、金融機関や国家へ も業務提供を行っています。RZB は北京と厦門 に支店、珠海、ハルビン、香港に駐在員事務所、 また、香港には金融会社を有しています。 Societe Generale は、1864 年 5 月にナポレオン 3 世の承認のもと設立されました。Societe Generale グループは、フランスおよび世界各国 に 3 千万の顧客を有し、37 カ国においてリテー ルバンキング業務を提供しています。Societe Generale グループは、コーポレイトファイナンス、 インベストメントバンキング業務をヨーロッパ、北 米と南米、アジア太平洋地域の 41 カ国以上で行 っており、世界各国に 12,000 人の従業員を有し ています。Societe Generale は 1981 年に北京に Tier 1 95 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング Standard Chartered Bank 従業員数:5,000 名 www.standardcha rtered.com 42 49 5 UBS 従業員数:600 名 www.usb.com 35 20 2 VTB Bank 従業員数:15 名 www.vtb.com 65 128 2 WestLB 従業員数:23 名 www.westlb.de 104 56 10 欧州系銀行 概要* 駐在員事務所を開設しました。2008 年 8 月に Societe Generale China は、中国に外資独資銀 行を設立するための規制当局の最終許可を取得 しました。Societe Generale (China) Limited は 2008 年 9 月に営業を開始しました。中国におい て、コーポレート・インベストメント・バンキング、コ マーシャル・パーソナル・バンキング、プライベー トバンキング業務を提供しています。 Standard Chartered は国際的に事業拡大をして います。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、米国 の 70 カ国以上に 1,700 を上回る支店と店舗を有 しています。Standard Chartered は、125 国籍の 75,000 人の従業員を雇用しており、90%を上回る 利益をアジア、アフリカ、中東で台頭している貿 易回廊から獲得しています。同銀行は、1858 年、中国で初の支店を上海に開設し、150 年間 にわたって業務を展開してきました。Standard Chartered Bank (China) Limited は、2007 年 4 月に中国で現地法人を設立した外資系銀行の 1 つです。Standard Chartered は、支店 18 店舗、 出張所 50 店舗、駐在員事務所 1 店舗および中 国の Village Bank から成る大規模な外資系銀行 ネットワークを有しています UBS は、スイスのチューリッヒ、バーゼルに本拠 地を置き、50 カ国以上で事業おり、世界中の主 要な地域で活動しています。同銀行は、世界各 国で 65,000 人以上の従業員を雇用しています。 同銀行は、グローバル・ウェルス・マネジメント、バ ンキング業務、グローバル資産運用・インベストメ ントバンキング業務を提供しています。 VTB グループは、ロシア初の国際金融グループ であり、世界市場におけるロシアの地位を確立 し、専門性の高い金融業務を提供しています。 2009 年 10 月 1 日現在、VTB グループの株主 資本総額は 190 億米ドルを超え、資産総額は 900 億米ドル以上に達しました。現在、ロシア連 邦政府は VTB の筆頭株主であり、75.5%を占め る株式を保有しています。VTB は、輸出保険機 構の他、Export-Import Bank of China や Industrial and Commercial Bank of China 等の輸 出入銀行と協働で事業を行っています。 WestLB AG は、ドイツを起源とするヨーロッパの 商業銀行です。2010 年 12 月 31 日現在の資産 総額は 1,915 億ユーロです。WestLB は国際的 に展開しており、国際金融市場との繋がりを有し ています。WestLB は、融資、ストラクチャードファ イナンス、キャピタルマーケット、資産運用、トラン Tier 1 96 欧州系銀行 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング 概要* ザクション・サービスや不動産金融業務に注力し ています。 Tier 1 97 北米系銀行グループ 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 北米系銀行 Tier 1 資産 Bank of 1 6 America Merrill Lynch 従業員数:600 名 www.bankofam erica.com 国内ラン キング Tier 1 1 概要* Bank of America Merrill Lynch は個人、小中規 模市場、大規模企業向けに、銀行、投資、資産 運用やその他の金融・リスク管理商品・業務の提 供を行っています。米国内で、約 5,700 万人の 顧客、5,900 以上のリテール営業所および約 18,000 台の ATM を有しています。 Bank of Montreal はカナダ初の特許銀行として、 1817 年 11 月 3 日に開設しました。2010 年の資 産総額は 4,120 億カナダドル、従業員数は約 38,000 人です。同銀行は、リテールバンキング、 ウェルスマネジメント、インベストメントバンキング 商品やソリューションを幅広く提供しています。現 在は、欧州、中南米、東アジア、米国で事業活動 を行っています。中国における同銀行の歴史は 1800 年代前半にまで遡ります。現在同銀行は、 中国本土と香港に支店を構え、台湾に駐在員事 務所、北京にインベストメントバンキング駐在員事 務所を設置しています。 BNY Mellon は、Mellon Financial Corporation と Bank of NewYork Cmpany, Inc.の合併により 2007 年に設立され、ニューヨークに本拠地が置 かれています。資産運用高は 1.2 兆米ドルであ り、世界の 36 カ国に 49,000 人の従業員を有し ています。BNY Mellon は上海で 1994 年に最初 の事務所を開設した後、北京にも新たに事務所 を構えました。 Citi は米国を本拠地とした金融サービス会社で あり、140 カ国以上に 2 億もの顧客口座を有して います。中国における Citi の歴史は、Citi が初 の米国銀行として業務を確立した 1902 年にまで 遡ります。現在は、コーポレート・インベストメント・ バンキング、コンシューマー・バンキング、プライ ベート・バンキング・サービスを提供しています。 2007 年 4 月 2 日、Citi は Citibank(China)Co. Ltd.として現地法人を設立しました。2011 年 5 月 現在、Citi は、10 のコーポレート銀行支店と 33 のコンシューマーバンクの営業所の運営を行っ ています。 JPMorgan Chase & Co.は米国を本拠地とする国 際的な金融機関です。資産は 2 兆米ドル、60 カ 国以上で事業を展開し、20 万人以上の従業員を 有しています。中国における JPMorgan の歴史は 1920 年代に遡ります。同銀行はホールセール商 品、コマーシャル・バンキング商品の提供を行っ Bank of Montreal 従業員数:350 名 www.bmo.com 57 54 4 BNY Mellon 従業員数:120 名 www.bnymellon .com 82 88 15 Citibank 従業員数: 6,500 名 www.citi.com 3 10 3 JPMorgan Chase Bank 従業員数:360 名 www.jpmorganc hase.com 2 8 2 98 世界ランキング The Banker 2010 年 7 月号 Tier 1 資産 国内ラン キング Royal Bank of Canada 従業員数:22 名 www.rbc.com 36 36 1 Scotiabank 従業員数:60 人 www.scotiaban k.com 38 48 2 Wells Fargo Bank 従業員数:70 名 www.wellsfargo .com 6 22 4 北米系銀行 概要* ています。2007 年 7 月に、JPMorgan Chase (China)が、北京で最初の外資系銀行の現地法 人として設立されました。 Royal Bank of Canada(RBC)は、パーソナル・コ マーシャル・バンキング業務、ウェルスマネジメン ト業務、保険業務、コーポレート・インベストメント・ バンキング業務をグローバルで提供しています。 RBC は、常勤と非常勤合わせて 79,000 人以上 の従業員を雇用しており、カナダ、米国その他 56 カ国で 1,800 万以上の顧客に業務提供を行 っています。現在、中国と香港において事業を展 開しています。 Tier 1 約 7 万人の従業員を有する Scotiabank グルー プと関連会社は、世界 50 カ国で 1,860 万以上 の顧客に業務を提供しています。Scotiabank は 中国で 20 年以上にわたり、事業を行っていま す。中国事業は、融資、預金、トレードファイナン ス、キャッシュマネジメントおよびトレジャリーサー ビスを含みます。Scotiabank は、International Financial Corporation と共に、Xi’an City Commercial Bank の少数の株式を取得しました。 Wells Fargo はサンフランシスコでゴールドラッシ ュの時代に営業を開始しました。現在は、総合金 融サービス会社として、9,000 店舗、12,000 の ATM、北米や海外にインターネットを通じて、銀 行業務、保険業務、投資業務、住宅ローン、コン シューマー・コマーシャル・ファイナンス業務を提 供しています。Wells Fargo は資産として 1.2 兆 米ドルと約 28 万人のチームメンバーを有してい ます。2011 年 3 月 31 日現在、米国の同業他行 のうち、資産では 4 位、株式の時価で 2 位に入 っています。 *「概要」は、2011 年 5 月、各行のホームページを参照して記載しています。 99 連絡先 あらた監査法人 総合金融サービス推進本部 Tel:+81 (0)3 5220 1650 総合金融サービス推進本部長 パートナー 近江 惠吾 [email protected] 金融調査室長 上條 崇 [email protected] 金融調査室 主任研究員 植田 隆彦 [email protected] PwC 中国 担当者 プライスウォーターハウスクーパース 日本企業部統括代表 パートナー 高橋 忠利 -(華中、華北エリア) Tel:+ 86 (21) 2323 3804 [email protected] プライスウォーターハウスクーパース 日本企業部金融部門中国地域担当 シニアマネージャー 穐吉 孝明 -上海 Tel:+ 86 (21) 2323 2051 [email protected] 100 www.pwc.com/jp/assurance This publication has been prepared for general guidance on matters of interest only, and does not constitute professional advice. 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