原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 - エントロピー学会

原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新
はじめに:
●原発震災の現況
東北関東大地震及び津波災害、そして今も続く原発震災で被曝し続けている国民の皆様、
諸外国の皆様に、お見舞いを申し上げます。日本列島は既に広範囲に放射性物質の降下が
観測され、海洋への大規模汚染、外国における放射性物質の観測など、その影響の範囲は
世界規模となっています。この状況においては、震災発生当時の地域が限定された災害の
状況から、大きな変化がおきつつあることに留意が必要です。
福島発の原発震災の影響は長引き、今後、数十年以上にわたり放射性物質による汚染に
さらされることになります。それは、日々の生活、結婚・出産、仕事・勉学等に重大な影
響を与えるでしょう。それらに対して、直ちに必要な行動、将来について考え、そのため
に行動しなければならないことがあると考えます。
問題がある社会の中で競争に勝ち残りさえすれば成功、とする考えが一般化していた日
本ですが、目先の利益に基づく処世術では、最低限の安全さえ確保できない現実が目の前
にあります。この情報を読まれる方々には、長年、原子力の問題に取り組まれてきた方も
おられれば、事故後、初めて問題の深刻さを知った方もおられると思いますが、社会のあ
り方について共に考えていきたいと思います。
地震・津波は天災ですが、福島の「原発震災」は人災です。原発震災には、原発に関わ
る利益を受けてきた「原発利権関係者」の関与を共通点としつつも、複数の側面がありま
す。
(I) 度重なる指摘、告発を無視して、地震集中地域である日本に、日常から放射性物
質の漏洩と被曝労働を伴い、また地震によって壊れる原発を推進・設置し、核廃棄物保管
の見通しもなく政策を実施していた、政治家・原子力行政・電力会社・原子力学者・マス
メディア等による、「原発推進」の人災。
(II) 電源・冷却材を喪失した原子炉について、その制御を誤り、数回にわたる爆発に
よる放射性物質の拡散、汚染された冷却水の海洋投棄をし、不十分な拡散防止措置により
放射性物質を広範囲に撒き散らしている、「事故対応」の人災。
(III) 爆発と漏洩による放射性物質の放出による大気汚染、水汚染について、計測値、
予測を隠蔽し、予防的な避難を行わず、また過小なリスク評価をマスメディアを通じて流
布し、生活環境、食品や水を通じた「被曝拡大」をしている人災。
以上の少なくとも 3 つの側面があります。全ての人災が、現在も進行中であり、とりわ
け、情報を隠蔽し、国民の安全を優先せず利権の保全を優先した、避難・食品流通・賠償
に関わる政策が際立っています。
●望ましい政策の方向性
まず、現在進行している「被曝拡大」を食い止め、日本最大の公害問題となることが確
実な放射能汚染に対処しなければなりません。福島・関東を中心に、広域の避難・除染と、
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食品・水等の汚染の監視と摂取制限による、被曝の最小化が必要です。(II)の事故対応
については、既に一私企業のリスク管理の問題ではなくなっている状況から情報公開を進
め、国内外の知識を反映させて事故対策を進める体制が必要でしょう。
次に、私たちは、真に責任ある施政と国民生活の安寧を求め、このような「人災」をも
たらした第一の人災である(I)の「原発推進」を改め、環境負荷の逓減と社会的な安全
を図ることが出来る、エネルギー供給体制と経済構造を求めなければなりません。その開
始条件として、安全審査・認可制度そのものが論理上も実際上も破綻している以上、従来
の制度下で建設・認可・運営されてきた既存の原発について、全て稼動を停止し、安全性
及び将来計画について、制度そのものから再検討されねばなりません。
原子力発電は、そもそも、運転時・事故時の危険性、そして確実に残る放射性物質によ
る将来世代への災禍の点などから、社会的に正当化できないものです。原発震災後も聞か
れる原発維持論ですが、原発震災で何が起こったか、そして起きつつあるのか、情報を整
理して理解した上で、原発が今後も維持可能な発電方式であると考えているとしたら、科
学者としての理性、社会を構成する人としての人間性を疑うほかありません。
原発震災の状況にあたり、簡易に関連する情報を収集できるよう、エントロピー学会関
連の ML 等で寄せられた情報と、情報サイト等のリンクをまとめました(重複情報もその
まま掲載)。リンク先の内容検証、許可等取れておりませんので、ご自身の判断で利用し
てください。また、関連する情報リンク切れ、誤記訂正など、どうぞご指摘ください。
連絡先:新潟大学大学院現代社会文化研究科 藤堂 史明
E-mail: [email protected]
エントロピー学会原発震災関連ウェブサイト:
http://entropy.ac/modules/bulletin/index.php?storytopic=12
------------------------------------------------------------------------------------------------------ 目次
・はじめに:原発震災の現況と望ましい政策の方向性
・新着情報編:
0. 原発震災全般(参議院行政監視委員会)
1. 福島を中心に東日本広域で高レベル放射能汚染、子供たちを守れ
2. 原発震災と情報公開のあり方について
2‐1.インターネットメディアによる情報収集・分析
2‐2.原発震災と政府・東電・旧マスコミの情報公開のあり方批判(再掲)
3. 福島第一原発の事故炉の分析と関連する解説
・資料編:
1. 原発震災による放射性物質拡散・汚染状況
各県別の放射性物質による汚染状況
2. 健康・生活面における放射性物質の危険性への対応
3. 事故原発の動向と今後のエネルギー政策、国民生活
4. エントロピー学会 春の研究集会「原発の廃炉に向けて‐福島原発同時多発事故の原
因・影響の真相を総合的に解明する」記録 (4/23,24)
・終わりに:原発震災か原発犯罪か
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-------------------------------------------------------------------------------------------------------
●新着情報
0. 原発震災全般(参議院行政監視委員会)
5 月 23 日 午後 1 時より参議院行政監視委員会に参考人として、小出裕章、 後藤政志、
石橋克彦、孫正義の各氏の発表、及び質疑が行われました。
http://www.youtube.com/watch?v=GASMdrWqUOY
1. 福島を中心に東日本広域で高レベル放射能汚染、子供たちを守れ
1-1. 年 20 ミリシーベルトへの基準引き上げによる被曝問題
・福島老朽原発を考える会 (フクロウの会)http://fukurou.txt-nifty.com/
5月23日集まれ…子ども20ミリ撤回!文部科学省前要請行動&院内集会
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/05/post-7fe7.html
・「20mSv」撤回求める福島の父母を雨中コンクリートに座らせた文科省 (5 月 23 日)
http://tanakaryusaku.jp/2011/05/0002365
・子どもを襲う放射能の不安〜学童疎開は必要か (Our Planet TV) http://www.ustream.tv/recorded/14421180
・FoE Japan (オンライン署名他):http://www.foejapan.org/infomation/news/110323.html
・学校における放射線量マップ http://atmc.jp/school/ (文部科学省データに基づく)
・確実に広がる放射能、福島県内学校の 75%が放射能「管理区域」レベルの汚染
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110418-00000000-toyo-bus_all
・4 月 21 日、住民への政府説明会、被曝線量引上げの根拠等への質疑
(1) http://www.ustream.tv/recorded/14169488
(2) http://www.ustream.tv/recorded/14170225
・5 月 2 日「20 ミリシーベルト」撤回要求政府交渉~福島の子どもたちを守れ!~
http://www.ustream.tv/recorded/14425806
高線量地域の住民には避難が必要。政府は国民の生命・安全を守る義務があります。
文部科学省の決めた年 20mSv という水準は、科学的根拠なく安全性の境界を引くもの
であり、内閣官房参与であった小佐古氏すら反対していたことが明らかになりました。
・小佐古内閣官房参与の辞意表明:
http://eritokyo.jp/independent/kosako-fnp001.html
今後、若年層の被曝に伴う健康被害が予想されます。武田邦彦氏の解説をご覧ください。
・武田邦彦氏「規制値の再整理」:http://takedanet.com/2011/05/post_7256.html
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また、低線量被曝の健康評価に関しては、本文「2. 健康・生活面における放射性物質
の危険性への対応」、もご覧ください。また、文部科学省まとめの全国放射線量について
も、測定方法や実態との乖離について疑問が生じています。
1-2. 広域化する汚染と放射能ホットスポット
・「原子力安全研究グループ」が 3/28‐3/29 にかけて飯舘村周辺において実施した放射線
サーベイ活動の暫定報告(2011 年 4 月 4 日)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/iitatereport11-4-4.pdf
・文部科学省による WSPEEDI を含む放射性物質拡散シミュレーション発表サイト:
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305747.htm
・福島第1原子力発電所(特定条件 WSPEEDI)[平成 23 年 3 月 25 日]
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/10/130579
9_0325.pdf (5 月 6 日作成、5 月 10 日公開?)
・あまりにヒドすぎる菅政権「福島原発」情報統制の実態(4/27) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110427-00000303-playboyz-soci
・CRIIRAD(フランス)による福島原発事故からの放射性物質による被曝評価
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/en_japonais/japonais.html
・RadioisotopeWeb( http://sites.google.com/site/radioisotopeweb/ )による放射線量測定結果
マップ(4/29‐5/22 更新あり)http://goo.gl/5ymFl
・gradi (http://www.kfcr.jp/gradi.html)による放射性物質移流拡散シミュレーションの結果
http://www.youtube.com/watch?v=ni3HX9_lLt
・日本分析センター(千葉市)による土壌中放射性物質測定
http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/tikuseki.pdf
※「健康に影響を与えるレベルではありません」、と「おまじない」が書かれています。
・インターネット上での放射線測定関係のまとめサイト:
https://sites.google.com/site/radmonitor311/
上記サイトにある、可視化したマップの一例:
http://www.nnistar.com/gmap/fukushima.html
上記サイトにある、「専門家」の解説の一例:(気分を害されるかもしれません)
https://sites.google.com/site/radmonitor311/twitter_ML_etc/%E3%82%8F%E3%81%9F
%E3%81%97%E5%AE%89%E5%85%A8rev2.pdf?attredirects=0
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2. 原発震災と情報公開のあり方について
2‐1.インターネットメディアによる情報収集・分析
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「ネットワークでつくる放射能汚染地図」という NHK の番組が話題(内容の紹介記事は、
「週刊現代」(6 月 4 日号)などに掲載)となっています。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html
原発関連の多くの「安全デマ」を垂れ流してきた報道機関が、ドキュメンタリー一つで
称賛されるのには違和感があります。既存マスメディアが原発利権に組み込まれてきた利
権構造が解明され、報道体制が変革されるまで、「大本営発表」は続くでしょう。権威あ
る、影響力ある機関からの発表を鵜呑みしない自制が必要です。
一方で、個人が自ら情報を収集・分析して、原子力・エネルギー政策について意見を公
表するということは、労力を伴いますが、政策に影響を与える第一歩です。原発利権の一
翼を担ってきたマスメディアでない情報源を掲載します。
●現在の状況が情報戦を呈していること:神田外語大学中山研究室のエッセイ:
・http://www.kuis.ac.jp/~nakayama/essay/atm.html
●インターネット上のニュース・関連のサイト
・岩上安身オフィシャルサイト http://iwakamiyasumi.com/
・ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
・後藤政志が語る、福島原発事故と安全性 http://gotomasashi.blogspot.com/
・小出裕章(京大助教)非公式まとめ http://hiroakikoide.wordpress.com/
・独立系メディア E-wave Tokyo (環境総合研究所 青山貞一/池田こみち)
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column1.htm
・脱原発系イベントカレンダー http://datugeninfo.web.fc2.com/
・原子力資料情報室 http://www.cnic.jp/ 市民科学の立場からのサイト。
・原子力資料情報室 NEWS(CNIC NEWS Ustream)
http://www.ustream.tv/channel/cnic-news
JunsTV のサイト(http://www.ustream.tv/channel/junstv)でも受信できます。
・原子力資料情報室公式 Twitter http://twitter.com/#!/CNICJapan
・福島原発事故情報共同デスク(イベント) http://2011shinsai.info/event/
・反原発オンライン署名サイト
http://nmfp.web.fc2.com/
・CRIIRAD による情報公開を求める署名サイト
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/en_japonais/japonais.html
・美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 http://www.jca.apc.org/mihama/index.html
・NO NUKES PLAZA たんぽぽ舎
http://www.tanpoposya.net/main/index.php
広瀬隆氏・槌田敦氏・菅井益郎氏による解説の Ustream 配信など
http://www.ustream.tv/channel/tanpoponews
・柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会
http://kkheisa.blog117.fc2.com/
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・環境エネルギー政策研究所(ISEP)
http://www.isep.or.jp/fukunp110311.html
・ミツバチの羽音と地球の回転 Official Blog (上関原発)
http://888earth.net/staffblog/
●基本的に個人的サイト
・STOP 浜岡原発ブログ http://stophamaokanuclearpp.com/blog/?p=1174
・原発がどんなものか知ってほしい(平井憲夫)
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html
・低気温のエクスタシーbyはなゆー
http://alcyone.seesaa.net/
(以前より、小学校への「わくわく原子力ランド」副読本配布など、教育政策における原子力宣伝
を指摘するなど、独自の情報収集・解説をされてきました。)
・明日に向けて
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
・中鬼と大鬼のふたりごと
http://onihutari.blog60.fc2.com/
・NHK 科学文化部 Twitter(やや良識的)
http://twitter.com/#!/nhk_kabun
・東海アマ管理人 Twitter http://twitter.com/#!/tokaiama
(Twitter はとりわけ未検証情報も流れるので内容は各自で考えてご判断ください。その上で活用する
のであれば、有用な情報源と思います。)
・楽しい原発問題の解説(youtube): 源八おじさんとタマ:
http://www.youtube.com/watch?v=OzGnBFNU1bI
●関連して、高速増殖炉もんじゅ関係:
・核開発に反対する会 http://kakukaihatsu-hantai.jp/index.html
・「もんじゅ」の装置脱落の状況(日本原子力研究開発機構のサイト)
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/monju_site/page/rcr.html
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2‐2.原発震災と政府・東電・旧マスコミの情報公開のあり方批判(再掲)
・ 上杉隆ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告(20110406)
http://www.youtube.com/watch?v=O0CRuajD6C8
長時間のビデオですのでどの部分に何が話されているか、項目を挙げておきます。
pt1-pt2: 海外メディア・フリーランスに対する記者会見の規制について。既存のメディ
アのスポンサーである東京電力・電気事業連合会への批判がタブーであった。震災当日マ
スコミ OB への東電接待旅行の最中であった。お詫び広告を数億円単位でメディアに提供
続けている。3 号機からプルトニウムの可能性と事故 2 日後には全世界のメディアが報道、
その紹介に対するデマ野郎との糾弾。結果としてプルトニウム検出。プルト君で、プルト
ニウムは飲んでも安全と PR していた。メルトダウン報道について。
pt3: 故意に世界共通の資源である海洋に対して「高レベルの汚染水」を放出する犯罪国
家に成り下がった日本。上杉氏らの番組、岩上氏の番組に電気事業連合会等からスポン
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サー圧力。戦前と変わらない「大本営発表」の愚行を繰り返すテレビ・新聞。
pt4: 高レベルの汚染水を放出し続ける日本が世界に汚染を広げる。農漁業が半世紀にわ
たって大打撃を受ける。チェルノブイリは 280 キロの距離の村でも高濃度汚染。菅政権・
東電・メディアの現体制は既に世界からは犯罪者集団と思われている。計画停電の真相。
柏崎・刈羽の原発事故の時に東電は全ての原発を止めて停電しなかった。記者クラブメ
ディアは誰一人質問しない。民放テレビの輪番停波を。
pt5: 夏に停電をやるというのは嘘。火力発電所は復旧する。そもそも壊れているのでは
なく、検査のためといって停めているだけ。国際緊急チームで東電と政府から権限を引き
剥がすべき。質疑:初動ミスで多くの人命を犠牲にすることになる政府・メディアの責任。
先進国から情報最貧国、海洋汚染犯罪テロ国家となった日本に世界から賠償請求が予想さ
れる。情報開示されていない、白抜きの原子炉データ。
・ 東電、発電実績データを密かに HP から削除
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110417-00000301-alterna-soci
・ 参考:東京電力海外向けサイト(国内向けにはない画像・ビデオ資料あり)
http://www.tepco.co.jp/en/news/110311/ 前号までに、「安全審査の制度上の瑕疵が明らかである以上、すべての原子炉の即時停
止が必要です。電力不足は、原発稼働の理由にはなり得ませんが、そのような主張が原子
力産業側からされているようです。その根拠データについては明示の上、分析が必要で
す。」と述べてきましたが、東京新聞により以下の報道されました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011051402000040.html 「供給確保の情報を表に出さず、電力不足を大々的にキャンペーンすることで、脱原発を
牽制したと受け取られても仕方がない。」 |目次に戻る|
3. 福島第一原発の事故炉の分析と関連する解説(再掲含む)
●『柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会』Group of Concerned Scientists and
Engineers Calling for the Closure of the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Plant
による『「福島原発震災」をどう見るか――― 見解(その3)』が公表されました。
その3:http://kk-heisa.com/data/2011-05-19_kknews03.pdf
その2:http://kk-heisa.com/data/2011-04-07_kkkenai2.pdf
その1:http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf
●全ての原因を津波に求める東電の筋書きが崩れました。
外部電源喪失 地震が原因 吉井議員追及に保安院認める (日本共産党)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-30/2011043004_04_0.html
吉井英勝議員は、以前より国会質問で原発震災について追求していました。
http://www.441-h.com/message.html 原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 7/17
・関連して「地震直後、圧力容器破損か 福島第1原発1号機」 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011052501001195.html
●福島第一原発の1号炉をはじめとする事故炉の現状分析
5 月 12 日:1 号機メルトダウンを公表(15 日追加):
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110512-OYT1T01114.htm
5 月 24 日:2,3 号機もメルトダウンを公表:
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011052402000188.html
関連して、マスメディアはメルトダウンを事実として知っていたのに、驚いたふり
をした、という武田教授の解説:http://takedanet.com/2011/05/110516_1_4036.html
・【福島原発】2011/4/8/金 1 号機再臨界の可能性を懸念:京都大学原子炉実験所 小出
裕章氏 (FM797 京都三条ラジオカフェの Ustream)
http://www.ustream.tv/recorded/13851905
・【大切な人に伝えてください】小出裕章さん『隠される原子力』
http://www.youtube.com/watch?v=4gFxKiOGSDk
・福島原発で再臨界? ダルノキ-べレス論文の概略(エントロピー学会ウェブサイト)
http://entropy.ac/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=558
直リンク英文: http://www.japanfocus.org/-Arjun-Makhijani/3509
日本語対訳:
http://www.japanfocus.org/data/3509WhatCausedTheHighCL38JapaneseEnglish.pdf
●3 号機の爆発等について
福島第一原発 3 号機の爆発についての解説 4 月 26 日:(Arnie Gundersen)
http://www.youtube.com/watch?v=P4KXX24Dv1U
チェルノブイリと 同じくらい深刻 それ以上の人口が被爆:(Christopher Busby)
http://www.youtube.com/watch?v=5PFRQ4jDUE4
●CNIC-News で 4 月 3 日に放映された「田原総一朗 x孫正義 x田中三彦 x後藤政志 緊急
対談「東日本大震災」」がビデオアーカイブされています。
http://www.ustream.tv/recorded/13845813
4 月 22 日の自由報道協会主催、孫正義氏記者会見:
http://www.ustream.tv/recorded/14195781
●予言されていた"原発震災"/広瀬隆氏インタビュー(2011/3/20)
http://www.youtube.com/watch?v=ovv2__vc-Nk&feature=fvwkrel
●原発震災を警告してきた地震学者:石橋克彦氏ホームページ「石橋克彦 私の考え」
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 8/17
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html
石橋克彦「原発震災-破滅を避けるために」岩波書店「科学」1997 年 10 月号
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/K_Ishibashi_Kagaku199710.pdf
●浜岡原発運転差し止め訴訟で争われた論点と裁判所の判決まとめ
原子力資料情報室の関連サイト:http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=581
●以下の大前氏の解説ですが、原発の状態の分析については的確と思います。しかし、こ
の地震列島日本で原発の安全性が努力次第で確保できる・核廃棄物を比例的に産出しても
原子炉を維持すべき、とは思えず、顕在化した巨大なリスクにバランスさせるどんなメ
リットもないでしょう。その意味で、大前氏が述べている原子力産業の再編は、実質的に
廃炉・廃棄物管理関連業務のための存続という意味になると思います。それは、人類が存
続する限り必要な業務となるでしょう。(再掲)
・氏の以前の言説について:http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201104300047036
・大前研一氏「福島第一原発 現状と今後とるべき対応策」(2011/3/27)
http://www.youtube.com/watch?v=5mBlngPiaSY
・大前研一氏「福島原発 政府、東電の対応と東北再生のシナリオ」(2011/4/3)
http://www.youtube.com/watch?v=0Igl8bSdBKs
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------------------------------------------------------------------------------------------------------●資料編
1. 原発震災による放射性物質拡散・汚染状況
------------------------------------------------------------------------------------------------------<海外>
以下のサイトでは福島原発からの放射性物質の大気中拡散のシミュレーションを掲載し、
随時更新しています。
オーストリア:気象地球力学中央研究所: Zentralanstalt für Meteorologie und Geodynamik
(ZAMG) #特集ページの URL が更新されています。
http://www.zamg.ac.at/wetter/openair/eventwetter_za1.php
ドイツ:気象局:Deutscher Wetterdienst (DWD)
http://www.dwd.de/
放射性物質拡散シミュレーション
フランス:放射線防護原子力安全研究所:Institute for Radiological Protection and Nuclear
Safety(IRSN)
http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx
セシウム 137 の拡散シミュレーション
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_19mars.aspx
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 9/17
アメリカ:New York Times(Radiation Level に福島原発周辺の放射線線量に関する情報)
http://www.nytimes.com/packages/flash/newsgraphics/2011/0311-japan-earthquakemap/index.html
<日本国内>
日本では原子力安全委員会が 2011 年 3 月 23 日に「緊急時迅速放射能影響予測ネット
ワークシステム(SPEEDI)」による放射性物質拡散のモデル計算を公表しています。
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
また、当初より日本の気象庁において放射性物質の拡散シミュレーションが計算され、
IAEAに提出されていましたが、ようやく日本国民向けにも公表がされるようになりま
した。(公開日についてデータがありませんが、4月5日のようです。)
・最新のシミュレーション:
http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/EER/eer_latest.pdf
・WSPEEDI(5 月 10 日公開)を含む放射性物質拡散シミュレーション発表サイト:
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305747.htm
※また、想定外の巨大地震との印象操作ではないか、ともいわれている気象庁の震度表記について、
気象庁に質問を送りました。
https://jma-net.go.jp/cgi-def/admin/C-101/opinion/postmail.html
質問内容:「質問です。東日本大震災について、気象庁は震度表記を気象庁マグニチュード(Mj)
からモーメント・マグニチュード(Mw)に変更し(当初の 8.4 から 9.0 への変更)たというのは事実で
すか?そうである場合、そうでない場合、いずれでも、震度表記の変更経緯についてご教示いただけ
ると幸いです。また、以下の情報の表記単位を教えてくださ
い。http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/daily_map/japan/20110311_list.shtml
公式ページ等の解説を教えていただくのでも結構です。見つけられませんでしたので。」
(※4 月 10 日に送信した上記質問に対して、5 月 25 日現在までに返信はありません。)
●気象庁マグニチュードからモーメントマグニチュードへの変更について、島村英紀氏:
「追記 2011 年 3 月 11 日に東日本を襲った巨大地震の"マグニチュード 9"とは」
http://shima3.fc2web.com/kyousei-atogaki.htm
参考:島村英紀 『巨大地震はなぜ起きる これだけは知っておこう』2011/4/25。花伝社。
●責任機関
・東京電力(プレスリリース) http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2011/2011-j.html
・原子力委員会 http://www.aec.go.jp/
・原子力安全委員会 http://www.nsc.go.jp/
・経済産業省 東日本大震災関連情報 http://www.meti.go.jp/earthquake/index.html
・原子力安全・保安院 緊急時情報ホームページ
http://kinkyu.nisa.go.jp/
・文部科学省(現在問題となっている年 20mSv の被曝基準について事務的対応説明)
「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 10/17
●各県別の放射性物質による汚染状況
・福島第一原発事故に関連する総合的なデータ一覧が可能なサイト
(全国の放射能他、水道、原子炉状態、海水等の詳細、拡散予測総合情報の一覧)
http://atmc.jp/
・原子炉周辺
福島第 1 及び第 2 原子力発電所周辺のモニタリングカーによる空間線量
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304001.htm
・文部科学省による都道府県別環境放射能水準サイト
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm/
現在トップページに移動:http://www.mext.go.jp/ (ミラー):http://eq.yahoo.co.jp/
また同省原子力安全課によるPRサイト:環境防災ネット
http://www.bousai.ne.jp/vis/index.php (宮城・福島が「調整中」)
●<<東日本各県のデータ(放射線モニタリング及び、水道・農作物等情報)>>
北海道: http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gat/zenndoumonita.htm
青森: http://gensiryoku.pref.aomori.lg.jp/atom/index.html
岩手:http://sv032.office.pref.iwate.jp/~hp031501/hou.html
宮城:http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/PressH230315.html
福島(地震被害全般からリンク):http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm
#推移グラフ化した個人のサイト(以下略記):
http://guregoro.sakura.ne.jp/radioactivity/mix/fukushima.php
茨城:http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
#推移グラフ: http://guregoro.sakura.ne.jp/radioactivity/ 東海・東海第二発電所の放射線監視状況(トレンドグラフ) http://www.japc.co.jp/pis/tokai/trend2.htm
山形 http://www.pref.yamagata.jp/ou/kenkofukushi/090001/houshasen.html
山形(大量の放射線が放出される場合の対処)
http://www.pref.yamagata.jp/ou/somu/020020/03/fukkou/tairyouhoushasen.html
新潟:http://www.bousai.pref.niigata.jp/contents/538/001663.html
長野:http://www.pref.nagano.jp/kankyo/kansei/houshanou/houshanou.htm
栃木:http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/houshasen.html
群馬:http://www.pref.gunma.jp/05/e0900020.html
埼玉:http://www.pref.saitama.lg.jp/page/housyasenryou.html
千葉:http://www.pref.chiba.lg.jp/taiki/h23touhoku/houshasen/index-sokutei.html
東京(地上約 18m):http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyoeiken.go.jp/report/report_table.do.html
神奈川:http://www.pref.kanagawa.jp/sys/bousai/portal/6,4696,14.html
#推移グラフ: http://guregoro.sakura.ne.jp/radioactivity/kanagawa/
●気象条件
・気象庁による風向観測 http://www.jma.go.jp/jp/amedas/205.html?elementCode=1
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 11/17
・気象庁ウィンドプロファイラ http://www.jma.go.jp/jp/windpro/
・風向(海上中心ですが)
http://weather.goo.ne.jp/wave/wind.html
拡散の具体的シュミレーションについては上記のサイトの予測をご覧ください。
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2. 健康・生活面における放射性物質の危険性への対応
------------------------------------------------------------------------------------------------------ 内閣府・経済産業省・東電からの説明が責任回避のためか、過度に放射線のリスクを低
く表現したり、誤解を招く比較を行ったりしています。放射性物質のリスクに関して一貫
して低評価の傾向が見られます。
なお、官庁系のサイトにおいて空間放射線の強度に関して「健康に影響を与えるレベル
ではありません」等の記載が多数見られますが、これは被曝線量における 「閾値」(し
きい値)が存在するという仮説に依拠しているか、あるいは急性の被曝症状についてのみ
述べているかであり、バイアスのかかった表現です。放射線への被曝については、ある程
度以下であれば安全、という事を意味する「しきい」を意味する閾値がなく、被曝線量に
見合ってリスクが高まるということが国際的な了解事項です。また、空間線量の高さが放
射性物質の拡散によ るものである以上、空気・水・食品も汚染されており、内部被曝も
考慮する必要があります。原発からの放射性物質の漏出は最良の見通しでも数ヶ月以上は
続くと見られ、累積被曝線量に注意が必要です。
(5 月 26 日補記:漏出は数ヶ月どころでなく、最低半年から 1 年以上と見られる。)
●低線量被曝に関する参考サイト(アーネスト・スターングラス博士講演録):
http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/index.html
100mSv 以下であれば健康に影響がない、という言説が一種の仮説に過ぎず、論争があ
る上、国際機関でも採用されていない点についての解説。なおこれ はリスク物質につい
て「閾(しきい)値」がないということに対応しています。私の意見でも、低線量被曝で
も量に応じた比例的な発ガン・突然変異などの影響 があると考えています。
●ゲンダイネット:近藤誠・慶大医学部講師が緊急寄稿「100ミリシーベルト以下の被
曝量なら安心」はウソっぱち!
http://www.gendai.net/articles/view/syakai/129864
●European Committee on Radiation Risk による評価(ECRR2010 に関して):ヨーロッ
パ放射線リスク委員会による放射線影響評価についての記事。大規模核汚染の際のリスク
評価として、ICRP の評価体系は過小であるとして具体的リスク評価の事例計算を紹介:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/110319_ECRR_Risk_Model.html
※ECRR が EU 委員会の一部であるという誤解をしていました。独自の調査機関ですので、
訂正します。
行政・マスコミの放射能の安全性に関する医療情報の出所と思われる
●放射線医学総合研究所
http://www.nirs.go.jp/index.shtml
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 12/17
・経済産業省の核燃料系のキャリア官僚を役員に迎えています。
http://www.nirs.go.jp/about/officer.shtml
関連するブログ等
●武田邦彦氏のサイト
http://takedanet.com/
放射線に対する健康・安全面での考え方、状況分析など。いわゆる「専門家」の説明も
批判的に分析しています。原子力推進の専門家の中では極めて慎重・中立的な情報を提供
しています。また、簡易の累積被曝線量の計算方法も掲載。危険なものを安全と言い、国
民を犠牲にして事故を矮小化し、東電・政府の責任を転嫁しようとする動きに警告。
●国民に内部被曝を強いる放射能暫定基準値により流通する食品
・従来の日本の放射能汚染食品の安全基準(輸入時 Cs134,137 合計 370Bq/Kg)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1108-2.html
・東大病院 team nakagawa による「暫定規制値とは」
http://tnakagawa.exblog.jp/15130051/
※蛇足ですが、上記ブログは被曝基準の正当化だけでなく、「国民一人一人が、一度エゴ
を捨てて、まとまる必要があると思います。」等と、原発震災に関わる利権構造を誤魔化
そうとしている点が問題です。どうして利権関係者のために汚染食品を食べ、国民が死ぬ
リスクを引き受ける事により、賠償金額を圧縮しなければならないのでしょうか。
・team nakagawa 『「暫定規制値」とは』の説明について (上記解説の批判)
http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/19ec2b0757777656a339ba710d4308d9
・大いなる勘違い:放射性ヨウ素の暫定基準値算出の前提 (同じく批判)
http://ameblo.jp/radi2011/entry-10847380673.html
・産総研の「安全科学研究部門」のグループ長 岸本充生氏
基準値の根拠を追う:放射性ヨウ素の暫定規制値のケース
http://www.aist-riss.jp/main/modules/column//atsuo-kishimoto009.html
上記ブログより引用:「食品の暫定規制値は多くの専門家やマスメディアが言っているような「1 年間
摂取し続けた場合の値」ではなくて、「1回のイベントで汚染された食品をその後摂取し続けた場
合」の値なのだ。半減期に応じて汚染がどんどん減り続けることが前提なので、継続的な放射性物質
の排出があるような場合には当てはまらない。」
基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値のケース
http://www.aist-riss.jp/main/modules/column//atsuo-kishimoto010.html
・岡敏弘(福井県立大学)氏の補足: http://www.s.fpu.ac.jp/oka/radiation.htm
●放射能汚染食品情報:http://radioactivecontamin.blog79.fc2.com/
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 13/17
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3. 事故原発の動向と今後のエネルギー政策、国民生活
-----------------------------------------------------------------------------------------------------短期的な原発存続をバネに新エネ導入を図る「環境団体」の危険な賭け:
脱原発は科学的知見・政策提案として訴えるだけでなく、具体的な変革のための行動を
必要としています。アイデア・取り組みについてお知らせください。これらの項目につい
ての情報を募集します。また、脱原発だが当面は原発維持、という論調が、新エネルギー
普及政策を推進する組織から出ています。そもそも地震列島での原発運転の危険性をもう
忘れてしまったのでしょうか?まだ、福島第一の 1 号-4 号の全ての炉が危険な状態であ
るというのに。一番、変化していないのはそのメカニズムも未解明な「人為起源 CO2 によ
る地球温暖化防止」を原発停止より優先する「環境団体」の意識です。
安易な多段階単純二項選択式のロジック(風が吹けば桶屋が儲かる式論理):
I:温暖化は CO2 原因
II:化石燃料はダメ、だから新エネか原子力しかない III:新エネは時間が掛かるから、できるまでは原発運転
という論理は、原発震災までの原発利権のロジックとほぼ同一です。原発利権であれば新
エネでなく、「核融合」か「高速増殖炉」が結論に来る程度の違いです。新エネの導入拡
大や発送電の分離等の改革に反対はしませんが、原発の脅威を新エネ普及補助金の踏み台
に使うというロジックで新エネ導入促進を図ろうとする場合、原発が当面残存することが
必要条件ともなります。そうでなければ強い推進力が生まれないからです。
そうしている間に比較的安全と想定した(安全審査が当てにならないことは経験したば
かりです)原発が事故を起こしたらどうするのでしょうか?
まずは安全性を優先して原発を止める、そのために電力が不足して人命に危険が及ぶ
(医療・生活上)ならば、ガスコンバインドサイクル発電等の環境負荷が低く、短期間に
増設可能な発電方式で供給を、そういう提案をすべきです。
※後述の ISEP の提案についての考察もご覧ください。
●関連:「「環境問題」を考える」:http://www.env01.net/index02.htm
●植草一秀氏のサイト
3 月 20-21 日の降雨について注意を呼びかける植草一秀氏のブログ
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/320-21-9886.html
以後も植草一秀氏のブログが、原子力利権の制度的性質と、今後のエネルギー政策を考え
る上での意見を述べられています。産官学一体となった利権配分の仕組みで、国民の安全
を脅かす原子力開発がなぜ行われてきたか、考えるヒントとなるでしょう。また、危険と
分かっている食品を食べようとする運動など、東電・政府の責任を子供を含む国民の健康
を犠牲にすることで擁護しようとする動きに警鐘を鳴らしています。今後の情報更新も期
待しています。
・5 月 22 日「SPEEDI 情報隠蔽、そして降雨が重大な意味を持った」
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 14/17
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/speedi-1ca8.htm
・5 月 2 日「原発事故責任者に農林漁業損害を全面補償させよ」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-9140.html
・4 月 9 日「原発推進=人類滅亡導く米官業政電+学利権複合体」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-3e60.html
●環境エネルギー政策研究所(ISEP)等のエネルギー政策提案と、脱原発だが原発温存、将
来的には新エネルギー、という立場について
この研究所( http://www.isep.or.jp/ )についてはご紹介してきたとおりです。
4 月 21 日付け原発事故賠償スキーム政府原案の批判については妥当と思います。
http://www.isep.or.jp/images/press/110421ISEPpress.pdf
ただし、4 月冒頭のレポートでは、既存原子力発電を維持した新エネルギー開発プラン
を提案しており、私はこの研究所の状況認識に大きな疑問を持っています。これは他の
「脱原発だが、当分原発温存、将来は新エネ」という立場の組織に共通した疑問です。
・4/05(火)ISEP プレスリリース(PDF)
「3.11 後のエネルギー戦略ペーパー」No.2 3.11 後の原子力・エネルギー政策の方向性
~二度と悲劇を繰り返さないための6戦略~ 環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也
http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_StrategyNo2.pdf
・4/04(月)ISEP プレスリリース(PDF)
「3.11 後のエネルギー戦略ペーパー」No.1「無計画停電」から「戦略的エネルギーシフ
ト」へ【改訂版】環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也、主席研究員 松原弘直
http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110404.pdf
この中で、同研究所は「原子力は自然減と震災損傷を考慮して約 10%もしくは 2020 年
までに全廃」(報告書 1:2 頁)とし、部分的な停止を提案しつつも、部分的に存続させ
る方針を示しています。
もはや既存の原子力発電(筆者の居住する地域で震災の被害を受けた柏崎・刈羽原発な
ど含むの安全性が担保されていないことは明白となりました。それ が1基であろうと、
大変なリスクを持つ原子力発電の延命は、即、日本国民の滅亡に繋がる可能性があり、そ
れがいつになるか(2020 年まで持つか?)分からない以上、最も大切な人命尊重を後回
しにすべきではありません。この報告書の姿勢は、惰性に流されています。
また、「気候変動政策・低炭素社会構築にエネルギー政策の転換を反映させる。」(報
告書 2:2 頁)、「 気候変動政策・低炭素社会構築としたエネルギー政策との相乗的な統
合」「大量エネルギー消費維持&原子力拡大が、気候変動政策(地球温暖化対策)の選択
肢 としては相容れないことがはっきりした。」(報告書 2:7 頁)としていますが、そも
そも地球温暖化問題が環境問題として重要度が高いのか?「低炭素社会」のスローガンは
原発推進のためのプロパガンダであるという論点にどう答えるのでしょうか。
元々、環境負荷の指標を二酸化炭素とし、低炭素を環境政策の目的とすること自体が、
そのものとしてほとんど誤っています。(ほとんど、と言うのは化石燃料の燃焼の結果
「のみ」に着目すると確かにその削減が環境保全に望ましいからですが、)それが、実際
上、代替的エネルギーとしての原子力推進のための偽の目的であると指摘されながら、低
炭素の枠組みで研究資金を得てきた科学者達に共通して反省していただきたいものです。
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 15/17
#なお、2010 年 10 月 16 日、17 日 京都 同志社大学のエントロピー学会シンポジウム
基調講演においては、『低炭素社会という名の高ウラン社会を問う』と題し、室田武氏に
より、二酸化炭素濃度が長期的に増加していることを世界で最初に突き止めたキーリング
の研究に、専門家以外で真っ先に着目したのは、当時アメリカ政府のエネルギー研究開発
局(ERDA)傘下の研究所の所長で、マンハッタン計画にも参加し、原子炉の開発を主導し
てきたワインバー グ(Alvin M. Weinberg)であることが指摘されています。
参考:
室田 武「低炭素社会という名の高ウラン社会を問う」、『エントロピー学会第 28 回シンポジウム
予稿集』(エントロピー学会第 28 回大会基調講演予稿 2010/10/16・17 同志社大学)。
Alvin M. Weinberg "The Second Nuclear Era", http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1911916/ .
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4. エントロピー学会 春の研究集会「原発の廃炉に向けて‐福島原発同時
多発事故の原因・影響の真相を総合的に解明する」記録 (4/23,24)
エントロピー学会では 4 月 23 日、24 日に表記研究集会を京都で開催しました。
なお、本研究会の内容は書籍として出版されます。エントロピー学会編『廃炉に向けて
(仮題)』日本評論社(7 月予定)。
内容(再掲):4 月 23 日(土)
・山田國廣(京都精華大学教授) 開会の挨拶
・広瀬隆(作家・ジャーナリスト)「福島原発同時多発事故から何が分かったのか。
そして、私達は何をすればいいか」: E-ラーニング形式の Flash スライド(講演音声つ
き)で視聴できます。大変分かりやすくなっています。是非ご覧ください。
http://entropy.ac/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=554
資料は次の URL から:http://entropy.ac/modules/mydownloads/viewcat.php?op=&cid=13
英文版資料: Hirose Takashi: The Nuclear Disaster That Could Destroy Japan and the
World – On the danger of a killer earthquake in the Japanese Archipelago:
http://entropy.ac/download/nd.pdf
・福本敬夫(阪大理学部)「原子炉から大気、水、食品、人体への放射能汚染の広が
りをどうみるのか」
・山田國廣「深刻な土壌汚染」
・菅井益郎(国学院大学教授)「飯舘村現地調査の報告」
内容概観:原発震災により、以前より指摘されてきた地震列島日本で多数稼動する原発
の安全神話が偽りであることが分かり、次々に深刻な汚染状況が明らかになった今でも、
マスコミも国民も行動をとろうとしない、そのことの危機が指摘されました。また、大気
中、食品、魚介類、などに広がり、今後も数十年以上にわたり長期間続く放射性物質によ
る汚染と、内部被曝の脅威について解説されました。飯舘村の調査報告では、極めて高い
放射線量を検出しながら、なかなか避難措置がとられず、自然を生かして独自の村づくり
原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 16/17
を目指していた飯舘村の暮らしが、根こそぎ破壊されていることが報告されました。
4 月 24 日(日)
●24 日の講演(後藤・井野・黒田・室田・三輪の各氏)とパネルセッションについて
Ustream 録画で視聴可能です。
講演:http://www.ustream.tv/recorded/14235271
パネルセッション:http://www.ustream.tv/recorded/14240664
・後藤政志(元東芝技術者)「福島原発事故で何が起こったのか:原発設計技術者の視
点」 ・井野博満(東京大学名誉教授)「福島原発で何が起こったのか:その意味するもの」柏
崎・刈羽原発の閉鎖を訴える科学・技術者の会
・黒田光太郎(名城大学教授)「東電・保安院などの事故対応:柏崎・刈羽原発での経
験を踏まえて」
・室田武(同志社大学教授)「原発廃炉の経済学:二酸化炭素 1990 年比 25%の検証」
・三輪大介(沖縄大学地域研究所特別研究員)「上関原発の工事中止の行方」
・パネルディスカッション パネリスト上記報告者(広瀬氏以外全員)司会:山田國廣・
和田喜彦(同志社大学教授)
内容概観:当初の圧力変動で、格納容器の破壊は明らか、この時点でスリーマイルを超
えたことは明らかだった。原子炉の状態の推定と今後の展開について。漏出が続く放射性
物質、原子炉を水で洗っている状態。事故原因について、推進派は、全てを津波のせいに
して、津波対策を施して原発の存続を図ろうとしている事について。福島での放射能汚染
の現状、年間20ミリシーベルトの地域に住むと1000人に一人は癌で死ぬ。子供のリスクは
5倍、乳幼児は9倍。0.11μSv/h超えると要注意。現場では被曝労働も横行。脱原子力につ
いての取り組み。
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終わりに:原発震災か原発犯罪か
「皆さん、原子力事故という見出しを見ているが、私は違うと思う。
これは原子力犯罪なんだ。広島・長崎、第五福竜丸、こうなるとわかっていた。
戦後一貫して原子力を推進してきた、金儲けしたい悪党どもが起こしたこと。」
(住民運動により阻止された巻原発の元予定地、新潟市西蒲区における西尾獏氏(原子力
資料情報室)講演会での住民発言(筆者メモ)(5/15)より)
原発震災関連情報は、まだ、未整理・不十分ですが、随時公開していきます。 原発震災関連情報 2011 年 5 月 26 日更新 17/17