レアアースレス巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発

第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-1
第2回次世代ものづくり基盤技術産業展
TECH Biz EXPO 2012 講演会
No 16 次世代自動車地域産学官フォ
No.16
次世代自動車地域産学官フォーラム技術開発セミナー
ラム技術開発セミナ
レアアースレス巻線界磁形
レアア
スレス巻線界磁形
フラックススイッチングモータの開発
ラック
イッチング
タ 開発
小坂 卓
(名古屋工業大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
平成24年11月29日(木)
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-2
1. エコカーの拡大普及期へ
400
販売台数
数(万台)
350
300
年度別
250
累計
200
150
100
50
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
年度(西暦年)
トヨタ自動車社のHV販売台数
(国内146万台,海外211万台)
(国内
6万台,海外 万台)
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/12/05/nt12_0514.html
国内メ カ のエコカ 関連技術は,世界的にも優れた水準
国内メーカーのエコカー関連技術は
世界的にも優れた水準
支えている1つの要素技術がレアアース磁石モータ
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-3
2. エコカー駆動用レアアース磁石モータ
回転子アッシー
レアアース磁石
レアア
ス磁石
NdFeB
固定子アッシ
固定子アッシー
ロータ断面
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-4
3. レアアース磁石の原材料
高保磁力磁石の問題 レアア ス問題の本質(NEOMAX磁石カタログ)
高保磁力磁石の問題=レアアース問題の本質(NEOMAX磁石カタログ)
HEVでは180℃を最悪想定
高保磁力=高耐熱性磁石で
なければ使用できない。
このネオジムを
ディスプロシウム(Dy)に置換
ネオジムの埋蔵量は豊富で,
中国に3割,その他7割と推定
ディスプロシウムは,現在
中国のみが供給元であり,
採掘・回収の容易性(採算性)
を考えると 事実上 1国支配
を考えると,事実上,1国支配
1%程度
25%前後
75%前後
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-5
4.レアアース材の価格高騰・供給不安
Dy
Nd
尖閣諸島問題
2010/9
La
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-6
5. エコカー駆動用モータへの要求と設計ジレンマ
行抵抗 [[N]
駆動力及び走行
広範な速度-トルク運転領域を小形軽量モータ1台でカバー
広範な速度
トルク運転領域を小形軽量モ タ1台でカバ
10000
∝モ
モータトル
ルク
低速大トルク性能
低速大ト
ク性能
8000
・坂道発進
・路肩乗り上げ 6000
高速高出力
・高速道巡航
1速
回路昇圧前提での
有限電源電圧制限
インバータ素子耐圧
インバ
タ素子耐圧
2速
モータ設計上
4000
トルク ∝ I B l
3速
B:界磁磁束密度 2000 4速
高トルク化
=高界磁磁力化
モータ設計上
電圧 ∝ v B l
5速
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
車速[km/h]
速
高速高出力化
=低界磁磁力化
低界磁磁力化
∝モータ回転数
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-7
5. エコカー駆動用モータへの要求と設計ジレンマ
行抵抗 [[N]
駆動力及び走行
広範な多用動作領域をモータ1台で高効率運転カバー
広範な多用動作領域をモ
タ1台で高効率運転カバ
10000
∝モ
モータトル
ルク
多用動作領域①
8000
低中速軽負荷領域
主損失:銅損
モータ設計上
銅損 ∝ 1/ B2
多用動作領域②
高速軽負荷領域
1速
6000
2速
主損失:鉄損
4000
3速
2000
モータ設計上
鉄損 ∝ B2
4速
5速
低銅損化
=高界磁磁力化
高界磁磁力化
低鉄損化
=低界磁磁力化
低界磁磁力化
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
車速[km/h]
速
∝モータ回転数
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-8
5. エコカー駆動用モータへの要求と設計ジレンマ
より 層の高効率化 (イメ ジ図)
より一層の高効率化へ(イメージ図)
90
89
90
91
92
93
94
95
96
97
効率[%]
効率
[%]
350
トルク
ク[Nm]
300
250
200
150
100
50
0
0
2
4
6
8
回転数[[×1,000rpm]
回転数
1 000
]
10
12
0
2
4
6
8
回転数[[×1,000rpm]
回転数
1 000
]
10
12
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-9
5. エコカー駆動用モータへの要求と設計ジレンマ
磁力源として,永久磁石を用いると。。。
広範な多用動作領域をモータ1台で高効率運転カバー
広範な多用動作領域をモ
タ1台で高効率運転カバ
行抵抗 [[N]
駆動力及び走行
10000
一般に永久磁石は固定磁力源なので,モータ設計上,両立は背反
∝モ
モータトル
ルク
多用動作領域①
ということで,近年,可変磁力方式という考え方に世界中が注目
変
考
が
8000
低中速軽負荷領域
多用動作領域②
1速
高速軽負荷領域
6000
主損失:銅損
2速
主損失:鉄損
4000
モータ設計上
3速
2
銅損 ∝ 1/ B 2000 4速
モータ設計上
鉄損 ∝ B2
5速
低銅損化
=高界磁磁力化
高界磁磁力化
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
車速[km/h]
速
低鉄損化
=低界磁磁力化
低界磁磁力化
∝モータ回転数
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-10
6. 脱レアアースモータの候補
脱レアアースモータ(一切磁石を使用しないモータ
脱レアア
スモ タ( 切磁石を使用しないモ タ,可変磁力)
可変磁力)
◎誘導モータ(分布巻のみ)
W
V
U
U
V
◎スイッチトリラクタンスモータ
課題:
低中速軽負荷
領域効率改善
W
課題:振動&音
・高速回転に好適
製造容易
・製造容易
・低イナーシャ/トルク比
・軽負荷時に比較的高効率
◎巻線界磁形同期モ タ(分布巻/集中巻)
◎シンク ナスリラクタンス タ(分布巻/集中巻) ◎巻線界磁形同期モータ(分布巻/集中巻)
◎シンクロナスリラクタンスモータ(分布巻/集中巻)
課題:効率&力率と
回転機械強度の両立
課題:??
・高速回転に好適
高速回転に好適
・製造容易
・軽負荷時に比較的高効率
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-11
7. 車載用脱
車載用脱レアアースモータの開発
アア
タ 開発
IEEE VPPC2010(Vehicle Power and Propulsion Conference)
http://vppc2010.univ-lille1.fr/index.php?page=keynotes
• K2.2: Electric vehicle p
program
g
of the RENAULT-NISSAN alliance
Dr. Jérôme PERRIN, Renault (France).
To download the presentation of this Keynote, click here
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-12
7. 車載用脱
車載用脱レアアースモータの開発
アア
タ 開発
P 17
P.17
言わずと知れた日産のEV-リーフ搭載モータ
63kWクラス(中型車種)は 巻線界磁形同期モータ
63kWクラス(中型車種)は、巻線界磁形同期モ
タ
30kWクラス(小型車種)は、スイッチトリラクタンスモータ
脱レアア スモ タ
脱レアアースモータ
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-13
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
平成23年度第3次補正予算事業戦略的基盤技術高度化支援事業
「レアア スレスモ タ制御のためのソフトウ ア実装研究開発
「レアアースレスモータ制御のためのソフトウェア実装研究開発」
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-14
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
レアアースレスモータ=界磁巻線形フラックススイッチングモータ
60mm
60
20mm
Gap=0 8mm
Gap=0.8mm
Field Excitation
Coil
194.4mm
264mm
3-Phase
Armature Coil
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-15
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
○界磁巻線形フラックススイッチングモータの特長
1. 長期信頼性 優-ブラシ&スリップリングが一切不要
自動車用オルタネータや大型タービン発電機などの
界磁巻線形同期モータと異なり,回転子側巻線が一切不要
2 低損失-低渦電流損
2.
低損失 低渦電流損
塊状鉄心ロータを用いた自動車用オルタネータと異なり,
回転子が積層電磁鋼板で構成されているため 低渦電流損
回転子が積層電磁鋼板で構成されているため,低渦電流損
3. 冷却容易
固定子側に全巻線=発熱部が配置されているので
固定子側に全巻線=発熱部が配置されているので,
固定子外周ウォータージャケットによる冷却効率が良い
4. 高速回転に好適
回転子が電磁鋼板のみで構成されるので,構造的に堅牢
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-16
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
◎動作原理 巻線界磁直流励磁による発生界磁磁束分布
◎動作原理-巻線界磁直流励磁による発生界磁磁束分布
W
V
U
U
V
W
W
V
U
U
V
W
三相電機子巻線配置
界磁巻線配置
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-17
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
◎主な設計目標仕様
項
目
ステータ直径
モータコア積厚
エアギャップ長
インバータ最大直流母線電圧
インバータ最大電流
三相電機子巻線最大電流密度 Ja
界磁巻線最大電流密度 Je
最大トルク
リダクションギヤ比
減速後 車軸ト
減速後の車軸トルク
最大回転数
最大出力 at 5,000-7,000
5,000 7,000 r/min
最大出力密度
ロータ許容応力 at 20,000 r/min
単位
比較基準機
開発機
mm
mm
mm
V
A
A/mm2
A/mm2
Nm
Nm
r/min
kW
kW/kg
MPa
264
70
0.8
650
360
>30
333
2.478
825
12,400
123
3.5
<300
264
70
0.8
650
260
21
21
210
4
840
20,000
>123
123
>3.5
<300
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-18
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
◎設計結果(2次元有限要素磁場解析によるシミュレーション評価)
項
目
最
最大トルク
リダクションギヤ比
減速後の車軸最大トルク
最高 転数
最高回転数
最大出力 at 5,000-7,000 r/min
モ タ重量(シャフト含まず)
モータ重量(シャフト含まず)
最大出力密度
ロータ最大応力
ロ
タ最大応力 at 20,000r/min
20 000r/min
モータ効率(主要動作点)
単位
Nm
Nm
r/min
kW
k
kg
kW/kg
MPa
%
目標値
210
4
840
20,000
123
<35
>3.5
<300
>92
設計評価値
210.4
4
841.6
20,000
131.7
27 3
27.3
4.8
92 2
92.2
>92
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-19
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
◎試作機諸元(極対数:10極対)
項 目
三相電機子巻線
界磁コイル
各部重量
測定値
巻線抵抗/相 Ra@20℃
20.1[mΩ]
d軸インダクタン Ld
d軸インダクタンス
0 385[ H](実装時は関数化)
0.385[mH](実装時は関数化)
q軸インダクタンス Lq
0.441[mH](実装時は関数化)
逆起電力係数 Kf(If)
電流条件に対する関数化
抵抗/コイル Rf@20℃
1.85[Ω]
インダクタン Lf
56.3[mH]
ステータコア
9.6[kg]
ロータコア
8.0[kg]
全銅線
2.4[kg]
シャフト
3.2[kg]
⎫
⎪
⎪
⎬
⎪
⎪⎭
総重量
(シャフト含)
23.2[kg]
期待出力密度 at 123kW: 5.3[kW/kg]
期待トルク密度 at 210Nm: 9.1 [Nm/kg]
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-20
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
■性能評価システム
三相インバータ
(MWMES-111087)
P-side
Test
motor
S+
650V
Current
sensor
R
PE-Expert3
Position detector
PWM
M
SN-side
θ
DSP
TMS320C6713-225
TMS320C6713
225
<三相電機子電流制御システム>
フルブリッジDCチョッパ
(MWINV-5022Aの2アーム使用)
P-side
Test
motor
Test
R
motor
<フルスケール試作機の性能評価装置>
S+
200V
Current
sensor
PE-Expert3
SS
PWM
シンフォニアテクノロジー社製
ォ
ク
社製
高速大容量ダイナモ試験装置
最大吸収トルク
400Nm
最高試験回転数 20,000r/min
20 000r/min
最大吸収パワー
175kW
DSP
TMS320C6713-225
N-side
<界磁電流制御システム>
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-21
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
◎三相電機子巻線電流―トルク特性(界磁電流パラメータ)
200
回転数:1,200r/min 最大トルク:180Nm < 210.4Nm
180
5[DCA]
160
10[DCA]
Torque[Nm]]
140
15[DCA]
120
20[DCA]
100
25[DCA]
80
35[DCA]
60
40[DCA]
30[DCA]
45[DCA]
40
50[DCA]
20
0
0
50
100
実トルク密度 : 7.8 [Nm/kg]
150
200
250
Armature current[Arms]
300
350
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-22
8. 巻線界磁形フラック
巻線界磁形フラックススイッチングモータの開発
イッチンク タ 開発
< モータ効率特性(コイル占積率補正+ 鉄損補正後)>
薄板低鉄損電磁鋼板 Æ 鉄損値0.8倍
240
実出力密度 at 96.1kW(180Nm-5,100r/min) : > 4.1 [kW/kg]
210
74.7%(64.1%) 86.0%(79.4%) 88.7%(83.5%)
Torqque[Nm]
180
79.4%(70.0%) 88.4%(82.8%) 90.3%(85.9%)
150
82.5%(74.0%) 90.0%(85.2%) 91.4%(87.6%)
120
84.8%(77.3%) 91.2%(86.9%) 91.9%(88.5%)
90
60
30
92.0%(89.2%)
88.9%(82.7%) 91.9%(88.3%) 91.3%(88.1%)
91.2%(88.2%)
89.2%(82.9%)
20Nm
90.2%(87.1%)
90
2%(87 1%)
0
0
×
87.2%(80.5%) 91.8%(88.1%) 92.5%(89.4%)
1500
1200r/min
91 4%(87 8%) 91.7%(88.7%)
91.4%(87.8%)
91 7%(88 7%)
3000
4500
Speed[r/min]
6000
7500
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-23
9. 今後
今後の展望(個人的所感)
展望(個人的所感)
○高速化による小型軽量化( 20,000rpm)
○高速化による小型軽量化(~20
000rpm)
- 高効率・高減速比のリダクションギア
- 低摩擦損失の高速対応ベアリング
- 高張力電磁鋼板の加工
- 中・大容量インバータのPWM高周波化(SiC)
中 大容量
バ タ
高 波化(
)
○省・脱レアアース技術
磁石量を低減するモ タ(省レアア ス)
- 磁石量を低減するモータ(省レアアース)
- モータ設計・冷却技術(省Dy磁石)
- 圧粉磁心材料(高機械強度,低損失)
圧粉磁心材料(高機械強度 低損失)
第2回TECH Biz EXPO 2012 セミナーH24_11_29-24
10. 産官学での省・脱レアアースへの取り組み
産官学での省レアアース対策への取り組み
産官学での省レアア
ス対策への取り組み
EX) 経済産業省
「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発/要素技術開発」
「H23年度レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替支援事業」
「H24年度次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発」
国立大学法人
名古屋工業大学
動的な複合運動の
物理学的表現
磁場解析
省レアアースモータ
脱レアアースモータ
試作SiC工具
ワイヤー放電加工で
高精度にトリミングが可能
4インチ径GaN/Si
パワーデバイス
実績:233名
実績:148名(79社)
(平成23年度修了時点)
(平成23年度修了時点)
大手自動車部品メーカーOBによる指導
アドバイザーによる指導
お問い合せ先:名古屋工業大学 次世代自動車工学教育研究センター 山田裕昭
(電話)052-735-5240 (email)[email protected]