海外展開の形態について(製造業) - 中小企業ビジネス支援サイト J-Net21

海外展開の形態について(製造業)
分類 #
類型
1 間接貿易
2 直接貿易
取
引
形
態
3 代理店・販売店取引
概要
メリット
デメリット
国内の商社等を通じて海外の商社や貿易会社 ・専門業者に任せることで貿易取引 ・商社等に対して支払う費用負担
ないしは海外のメーカー、販売店と取引するこ におけるリスク(カントリーリスク、取 (手数料等)が発生する
と。
引先の信用リスク、為替変動リスク ・情報の入手が間接的となり、商権
等)を低減できる
も固定化される
実際の貿易取引は輸出業者が行い、現実には
輸出業者との国内取引と同様。
商社等に輸出業務を委託せず、直接自らが貿 ・商社等に対して支払う費用が不要 ・貿易取引におけるリスクを自社で
易実務を行うこと。
となる
負担する必要がある
・海外の輸出入者と直接交渉するこ ・貿易に関連する法律(外為法、関
とにより、タイムリーな海外市場(価 税法等)の知識を自社で把握するこ
格や流行等)の状況把握が可能と とが必要となる
なる
・貿易実務を行う人材、インフラ等
・貿易に関するノウハウの蓄積や貿 の体制整備や通関・物流を行う物
易に精通した社員の育成が可能と 流業者の選定が必要となる
なる
自社製品を海外に販売するために、海外企業と ・不慣れな海外での販路開拓は困 ・価格や販売方法が代理店・販売
の代理店(Agent)または販売店(Distributor)契 難を伴うが、代理店・販売店のネッ 店任せとなり、品質管理、価格管理
約を行い展開すること。
トワークを活用することにより、展開 が難しくなる
スピードを早められ、展開地域を広 ・信頼できるパートナー探しに手間
げることができる
がかかる
製品の主要部品を日本から輸出して、現地で組 ・一貫生産を行わないため、初期投 ・輸送費などのコスト増加について
み立て、生産を行うこと。
資費用を抑えることができる
も検討する必要がある
半製品輸出による海外 自動車業界においては、特に発展途上国など
4 現地生産(ノックダウン で採用。現地において部品の生産や調達が技
等)
術的・経済的に困難な場合などに有効。現地側
が完成品に対する輸入関税を高く設定して、国
策として意図的にアセンブルの工場誘致を行う
こともある。
進出先国において自社製品を他の企業へ委託
して生産すること。
外部委託による海外現
5
地生産(委託生産)
6
・多大な設備投資が不要
・経営の柔軟性が確保できる(組織
のスリム化等)
・供給側の優れた製品を自社の製
品として販売できる
・製造ノウハウが内部に蓄積され
ず、技術やノウハウが流出する可
能性がある
・内製に比べて柔軟な対応への融
通がききにくい
進出先国において自社製品を自社の工場で生 ・製造ノウハウが内部に蓄積される ・多大な設備投資が必要
内製による海外現地生
産すること。
産(自社生産)
A 駐在員事務所
現地での営業権を持たず、日本本社の一部とし ・営業活動を行わないため、法人税 ・営業活動(契約、売買、金銭授受)
て連絡業務、情報収集、市場調査、販売代理店 が課税されない
が禁止されている
の支援などを行う。
・税務申告が不要のため、それに係
る事務負担が伴わない
日本本社と同一法人で、営業活動が可能だが、
日本本社が支店の法律行為についてもすべて
責任を負う。決算も日本本社と支店とあわせて
日本で行われる。
B 支店
・資本金が不要
・本社から支店宛の送金が容易
・契約当事者、各種代金送金の当
事者となることが可能
国によってかなり法律が異なっており、設置が
認められていないことや、外資の出資比率に制
限のある分野での活動ができないことがある。
・本支店勘定の合算等、会計処理
が煩雑
・余剰資金の本社送金が煩雑(会
計監査、納税義務等)
・支店の行為の責任が本社にも及
ぶ
※中小企業の支店設立はトラブルが多く注意が
必要。
進
出
形
態
自社の出資のみで会社を設立する完全子会
社。
C 現地法人・独資
D 現地法人・合弁
・自社の裁量で会社経営ができる
・利益配分の必要がない
・海外進出において、失敗する原因
国や事業内容によっては、外資100%の企業設 の一つである、合弁相手との紛争を
立が認められないこともある。
避けることができる
・合弁と比較して負担する投資額が
大きく、リスクが大きくなる
・不慣れな土地での政府機関との
折衝や販売網の構築を独自に行う
必要がある
進出先国の企業と共同出資を行って設立する
会社。
・合弁相手の選択が難しく、新興国
では資金力などの点で信頼に足る
相手が少ないなどの難点がある
・会社経営方針や配当方針を巡る
紛争も考えられ、解散・撤退の際に
トラブルになることもある
信頼できるパートナー探しが成功の鍵となる。.
国や事業内容によっては、外資の出資比率が
制限されていることもある。
また、出資比率も目的に応じて検討する必要が
ある(参考 2/3以上=株主総会における特別
決議、過半数=事業の主導権、1/3以上半数
未満=株主総会における拒否権、マイナー出
資=情報収集、ノウハウ獲得等。ただし国に
よって要件が異なることもある)
自社のみで海外展開を目指す。
甲 単独
国
内
形
態
乙 パートナー形成
・合弁相手と分担することにより、投
資額とリスクを軽減できる
・合弁相手の政治力、販売力や設
備、ノウハウを活用した経営ができ
る
・自社の裁量で海外展開ができる
・利益配分の必要がない
・自社にノウハウがない場合、障害
に当たった際でも自社で解決する
必要がある
他社等とパートナーを形成して海外展開を目指 ・パートナーのノウハウを生かしな ・パートナー間で意見が異なる場
す。
がら海外展開を進めることができる 合、トラブルの原因となりうる
・自社のみでの海外進出が不安な
場合、心理的な負担を軽減できる
海外展開の形態について(サービス業※)
※ここでは、飲食店、小売、商社・卸売、店舗経営(マッサージ、ネイルサロン、美容院、不動産等)、人材派遣、法律・会計・コンサル等を想定。
分類 #
類型
概要
メリット
デメリット
※以下は、海外展開に限ったものではなく、直 ・店舗の収益がそのまま会社の収 ・多店舗展開には不向き(資金調達
直営
営についての一般的な説明です。右も同じ。
益となる
力が不可欠)
・直接雇用のため、マネジメントを徹 ・スピード展開(ブランディング)が困
(※人材派遣、法律・会
1
難
計・コンサルは原則直 事業を展開する企業が直接投資し社員を雇用、 底しやすい
経営・運営する事業形態
営)
2
フランチャイズ
取
引
形
態
※以下は、海外展開に限ったものではなく、フラ ・資本力の小さな企業でも、他人の ・フランチャイジーに対して指示・命
ンチャイズの一般的な説明です。右も同じ。
経営資源活用により、多額の資金 令権がない(あくまでも、アドバイス
や人材を必要とせず、急速な多店 や要望)
本部が加盟者に対して、特定の商標、商号等を 舗展開や広い地域に展開可能が可 ・競争力のあるノウハウやシステム
使用する権利を与えるとともに、加盟者の物品 能
の維持や継続的なノウハウ開発が
販売、サービス提供、その他の事業・経営につ ・店舗レベルでの高い販売意欲の 必要であり、そのための資金や人
いて統一的な方法で統制、指導、援助を行い、 維持が可能
材が必要になる
これらの対価として加盟者が本部に金銭を支払 ・フランチャイジーが保有する地域 ・フランチャイザーの営業政策が地
う事業形態
ネットワークの活用が可能
域特性に対応できない場合がある
・店名、店舗デザイン、商品構成、 ・一部フランチャイジーの本部依存
販売方法の統一により、消費者に 体質や自助努力欠如の出現によ
対する販促効果や高い信頼度が期 り、全体の活力不足、イメージダウ
待できる
ンが生ずる
・加盟金やロイヤルティを徴収する ・不振フランチャイジーが発生した
ことにより安定した経営ができる
場合、その対応のための経費と労
力が必要になる
・フランチャイジー指導のための人
員・経費を要する
海外の消費者向けにネット通販で商品を販売す ※以下は、他の形態との比較では ※以下は、他の形態との比較では
る形態。大きく以下の3つの選択肢がある。
なく、3つの手法間での比較です。 なく、3つの手法間での比較です。
(1)自身でECサイトを立ち上げる: 独自に海外
向けECサイトを立ち上げ、ページ内容を翻訳、
決済手段等も用意する方法。外国語対応等の
コストを自社で負担でき、海外でも一定のブラン
ド価値がある商品を取り扱っている事業者に適
している。
越境EC(電子商取引)
3
(※主に小売業)
(1)自身でECサイトを立ち上げる:
・ページ内容等の自由度が高い
・モールへの出店料や販売手数料
を削減できる
・一部のECパッケージでは同様の
機能が用意されており、手軽に導入
できる
(2)海外向け商品を販売するモールに出品す
る: 海外消費者向けに商品を販売するサービ
スを提供しているモールと契約し、モール加盟
店として商品を販売 する方法。自社に十分に
知識のある人材がいない、また、自社でサイトを
立ち上げるコストを負担できない場合に有効。
(2)海外向け商品を販売するモー
ルに出品する:
・決済等の各種機能・集客をモール
に代行してもらうことができる
・(国内事業者の場合)サポートが
日本語で受けられる
(3)提携企業等の他社に商品を卸し、販売は他 ・(海外事業者の場合)現地のマー
社が行う: 自社は卸業者として商品を海外の ケティング経験が豊富で消費者に
EC事業者に卸し、販売を代行してもらう方法。 アプローチしやすい
商社などを経由して現地パートナーを選定する
(3)提携企業等の他社に商品を卸
ことが容易な場合等に有効。
し、販売は他社が行う:
・現地でのマーケティングや消費者
対応等の負荷が発生しない
自社の出資のみで会社を設立する完全子会
社。
A 現地法人・独資
進
出
形
態
B 現地法人・合弁
国
内
形
態
乙 パートナー形成
(2)海外向け商品を販売するモー
ルに出品する:
・出展料や販売手数料が必要、
ページ表示の大幅な変更など、独
自のブランディングは難しい
(3)提携企業等の他社に商品を卸
し、販売は他社が行う:
・卸先の確保には独自の販路開拓
が必要
・汎用品では価格・納期の競争が激
しい
・ブランディングが卸先任せになる
・自社の裁量で会社経営ができる
・利益配分の必要がない
・海外進出において、失敗する原因
国や事業内容によっては、外資100%の企業設 の一つである、合弁相手との紛争を
立が認められないこともある。
避けることができる
・合弁と比較して負担する投資額が
大きく、リスクが大きくなる。
・不慣れな土地での政府機関との
折衝や販売網の構築を独自に行う
必要がある
進出先国の企業と共同出資を行って設立する
会社。
・合弁相手の選択が難しく、新興国
では資金力などの点で信頼に足る
相手が少ないなどの難点がある
・会社経営方針や配当方針を巡る
紛争も考えられ、解散・撤退の際に
トラブルになることもある
信頼できるパートナー探しが成功の鍵となる。.
国や事業内容によっては、外資の出資比率が
制限されていることもある。
また、出資比率も目的に応じて検討する必要が
ある(参考 2/3以上=株主総会における特別
決議、過半数=事業の主導権、1/3以上半数
未満=株主総会における拒否権、マイナー出
資=情報収集、ノウハウ獲得等。ただし国に
よって要件が異なることもある)
自社のみで海外展開を目指す。
甲 単独
(1)自身でECサイトを立ち上げる:
・ページの翻訳や決済、配送手段の
用意を自力で行う必要があり、専門
知識や人手が必要
・合弁相手と分担することにより、投
資額とリスクを軽減できる
・合弁相手の政治力、販売力や設
備、ノウハウを活用した経営ができ
る
・自社の裁量で海外展開ができる
・利益配分の必要がない
・自社にノウハウがない場合、障害
に当たった際でも自社で解決する
必要がある
他社等とパートナーを形成して海外展開を目指 ・パートナーのノウハウを生かしな ・パートナー間で意見が異なる場
す。
がら海外展開を進めることができる 合、トラブルの原因となりうる
・自社のみでの海外進出が不安な
場合、心理的な負担を軽減できる
参考文献:
中小機構の海外展開管理者研修資料「海外展開のプロセス」
ジェトロのウェブサイト「初めての海外進出」、「貿易・投資相談Q&A」
ザ・フランチャイズ(経産省商情局流通政策課) http://frn.jfa-fc.or.jp/
フランチャイズ情報提供サイト http://www.franchising.jp/difference-regular.htm
ディライトジャパンのウェブサイト http://www.delightjapan.biz/knowledge/
越境EC応援ポータルサイト http://www.cbec.go.jp/
日本興亜損保「物流ニュースNo.72」