被害事例から伺われる課題について

資料5
被害事例から伺われる課題について
<資産の確保について>
(民事手続関係)
●被害者が高額の破産予納金を用意しなければならない負担があること
●代表者が 10 億円以上の資金を持ち出して海外逃亡したが,所在不明のため,保
全管理命令を発令してもらうことができなかった
●凍結された預貯金については差押えによる回収が可能であるところ,FAC と
支部長が結託して公正証書(FAC が支部長に対して多額の返還を約するもの)を
作成し,脱法的回収を企図していた(本件では,破産手続における保全措置により,
支払寸前で阻止することが出来たが,通常,被害者はこのような脱法的回収を把
握し得ない)。
●民事再生手続が悪用され,監督委員の目の及ばないところで証拠隠滅や財産隠
匿が行われた
●破産管財人でさえ,散逸した資産の把握に苦労を余儀なくされている(捜査中
の刑事記録の閲覧・謄写が出来ないなど)。
●匿名営業者に対する業務・財産状況の調査も抵抗に遭い,時間を要した
●関係会社役員への損害賠償請求
●役員や高額配当受領者への責任追及
●破産していない関係会社や役員への損害賠償請求
(刑事手続関係)
●破産手続と没収・追徴保全(これに引き続く犯罪被害財産による被害回復給付
金支給手続)との手続選択
●捜査機関による保全は,預貯金口座の凍結や現金の押収に止まり,不動産の処
分・散逸を許した。
●捜査機関による保全が働かなかったため低配当に終わった。
●刑事手続による捜索差押えよりも簡易迅速に資産の保全ができる制度の検討。
(渉外関係)
●外国当局が凍結した資産の引き渡し手続に長期間を要すること(窓口は法務省
刑事局国際課と駐米日本大使館。米国司法省が民事没収の申立手続をしており,
確定後,破産管財人に引き継がれるかが問題。)
●破産管財人の日本の破産法による権限をフィリピン国内で認めるとの判決を
得るのに 3 年を要した。
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(その他)
●首謀者の源泉徴収税還付により配当原資確保。
<違法行為の停止について>
●法規制の穴(海先オプション)をなくすこと。
●無登録営業に対する取り締まり強化(規制があっても執行がなされていない)。
●関連会社の摘発や税務調査により詐欺が把握されていながら営業継続し,被害
拡大した。
●行政が不適切な指導をしなければ,その後の被害拡大は一定程度防げたのでは
ないか。
<被害救済に関して>
●破産手続における公租公課,労働債権の優先性(但し,本件で事実上あまり問題
にはならない)。
●H20.6.21 時点で管財人が 7772 万円回収したが,3 億 588 万円の税金等の財団
債権の交付要求があり,被害回復の障害となっている。
●財団債権,優先債権への配当に留まり,被害者への配当が見込まれない。
<被害の予防について>
●不招請勧誘の規制。
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