487 12月31日号 - 土岐市

土 岐 市
T E L
F A X
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報
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教 育 研 究 所
0572-54-1111 (内 281)
0572-55-6310
[email protected]
No.487
所 長 山田 恭正
平成24年12月26日
増 田
章
教育長
先生
自分で出来ることを増やし、
「生きる力」を
身につけさせるために、自分の弁当を自分で作る!
『弁当の日』
林 美智子
~努力を味わうとともに
日頃の愛情に感謝~
撮影
濃南中学校
~夢・絆プラン~
研究指定校発表会
ー駄知中・泉小ー
土岐市教育研究所長
山田 恭正
今年度の市研究指定校として、駄知中学校及
快な語尾は、授業に緊張感を漂わせます。「や
び泉小学校に発表をしていただきました。市の
りきる」「走りきる」など「~きる」という態
教育方針を受け、学校課題を明確にし、その推
度は、人間が成長していくために必要な大切な
進や解決のための取組や成果の公表を振り返っ
挑戦です。「~きる」の最も基本なことは「話
たとき、改めて2校の実践のすばらしさに感銘
しきる」ことであり、2校の授業の至る所で「話
を受けるとともに、是非広めたい内容を整理し
しきる」子どもの姿がみられました。「話しき
てみました。
る」を鍛える最も適した場は、やはり授業です。
*学習する集団を育てること
*一人一人の学習成立があること
学校教育では、「集団という機能」を活用す
45分、50分の授業をドラマに例えるなら、
ることで学習の効率を高めていくところに最大
最後に必ず〆の場が必要となります。いろいろ
の意義をもっています。ですからその集団の質
な〆がありますが、大切なことは「振り返る」
が高ければ高いほど個の学習が高まることにな
ということです。今日の授業で何がわかり、何
ります。課題に向かって全員が取り組む方法や
が解決でき、何が次につながるか、個々でノー
内容がわかっていて、意欲があり、何よりも一
トにまとめたり、生徒の言葉でまとめさせたり
緒に仲良く取り組める人間関係が醸成されてい
するなど、「振り返り」を大切にした〆の場が
ます。集団の質は、一歩踏み入れた教室の雰囲
設定されていました。〆は、「けじめ」を付け
気でわかります。
ることで、「けじめ」は規律ある心も育てるこ
*きちんと最後まで話せること
とになります。
「~と思います」「~だとわかりました」明
嘱託研修員会
教師,子どもが一体となり,授業の質を高める指導
~「授業クオリティ7」の活用~
1
土岐津小学校
杵渕
容子
肥田中学校
板倉
義樹
駄知小学校
安藤
律子
泉 中 学 校
長瀬久美子
こう捉える!「授業クオリティ7」
「授業改善こそが学力向
上のカギ」という観点から,
「夢・絆プラン」の中で「児
A
B
童生徒の学習や授業をより
一層質の高いものにするた
めの指針」として「授業ク
オリティ7」が位置付けら
れている。そこで,それぞ
れの項目について,具体的
な姿や指導はどのようなも
のであるかを考え,整理す
ることにした。多くの言葉
がある中で,それぞれのキ
ーワードをどのように捉え
るかを分析した。
上の表の 「A」 は,「教師と児童が共有していく言葉」として位置付けられている。「B」 の列は,「教
師の指導の立場」である。もちろん全てが大切なのではあるが,教師の指導の立場としては,右の「B」
のキーワードを観点として位置付けることが大切だと考えた。そこで,「A」を参考にしながら,実際の
授業において,どのような姿を求め,どのような指導を行っていくのかを整理することにした。
2
「チェックしてみよう!授業クオリティ7」の作成
前号までに紹介した実践の他にも,各学校において指導案に位置付けたり,日常的に取り組まれたりし
ているところである。今回,嘱託研修員会としては,「授業クオリティ7」の各項目において,より具体
的な姿を位置付け,日常的に意識できるもの,参考にできるものを作成できないかと考えた。
「授業クオリティ7」は,「教師と児童が一体となった授業改善」 を目指し,学習や授業の質を高める
ための指針である。そこで,児童生徒がどんな姿を目指し意識すればよいのか,教師はどんな姿を目指し
指導・援助を行えばよいのかを,7つの項目それぞれについて検討を行った。
単元を通して,あるいは一単位時間においての流れに当てはめて考えてみると,各項目が独立したもの
ではなく,互いに関連し合っている部分,サイクルになっている部分,それぞれの項目に共通した支援等
があることも分かってきた。例えば,「学び方」が次への「学習の見通し」へとつながっていること,「既
習の駆使」や「深い思考 」「追究力」については,それぞれが連動している場合があること ,「意欲・規
律」「厳しさ」は,一単位時間を通して,あるいは単元を通して,あるいは年間を通して指導することも
あること,などである。
こうした分析を重ねることにより,「授業クオリティ7」をより意識し,活用できることが改めて実感
できた。次頁には,一つの例として具体的な姿を示し,それをチェックできるようにした。ここから修正
を加えながら,日常の授業の質をより一層高めていきたい。
チェックしてみよう! 授業クオリティ7
児童・生徒の姿
□忘れ物なし □学習用具準備
意欲・規律
平成24年度 嘱託研修員会
教師の指導・援助
□学習規律づくり
□席チャイム □あいさつ
□挙手
□返事
□姿勢
□話す・聞く(体の向き・声の大きさ)
学習の見通し
既習の駆使
深い思考
□単元の見通しをもつ。
□単元の見通し
□学習過程(流れ)がわかる。
□付けたい力の明確化
□課題がわかる。
□ねらいの明確化
□出口の姿がわかる。
□課題の明確化
□前時を振り返る。□掲示物を見る。
□レディネステスト
□足跡が分かるノートをつくる。
□事前アンケート
□何を使えばよいかがわかる。
□つまずきの予測
□生活体験を生かす。
□個別支援計画
個人追究
□個別支援
□
課
題
提
示
の
工
夫
□
導
入
の
工
夫
□
掲
示
物
の
作
成
□
ヒ
ン
ト
カ
ー
ド
・
ヒ
ン
ト
コ
ー
ナ
ー
□自分の考えをもつ。
□仲間の考えから考える・比べる。
□自分の考えを広げる・深める。
追究力
学び方
厳しさ
交流による追究
□学習形態の工夫
□かかわり発言をする。
(ペア・グループ・全体)
(付け足し・反対・質問)
(課題別・習熟度別)等
□繰り返し挑戦する。
□深めの発問 □意図的指名
□習ったことを確かめる。
□方向付け
(できた・解けた)
□評価
□使える道具・知識が増えた。
・できたこと(ねらいの到達度)
□わざ・コツをつかんだ。
・ねらいに迫るための学び方
□できるまでやる。わかるまでやる。
□学習規律の定着
□最後までやる。
□学習内容の定着
□質を求める。
□見届け
(よりよい姿・考え・作品)
(個別支援・励まし・補充プリント)
東濃教育推進協議会・土岐市教育委員会研究推進指定2年目校
泉中学 校の研究 ~バズ 学習の可 能性~
1.研究の全体構想
〈土岐市の教育方針〉
子どもを大切にし、学ぶ楽しさのある授業を行い、
「生きる力」をはぐくむ
〈実践課題〉
・学び手の側に立つ学習指導の実現
・仲間と関わり高め合う力の育成
〈学校の教育目標〉
創造・自主・協同
めあてづくり 自分づくり 仲間作り
〈生徒の姿〉
○落ち着いた態度で授業に向かい、課題に対して前向きに取り組むことができる。さらに、自ら課題を見出し、それを
意欲的に追究しようとする姿を育てていく必要がある。
○基礎的・基本的な知識や技能についての習得率は高いといえるが、知識や技能を活用して思考したり、思考したこと
を論述したりするなどの表現力をさらに高めていく必要がある。
○仲間との関わりの中で学習することのよさを感じており、ペアや小集団などで活発に意見交流をしたり、わからない
ところを納得するまで聞いたりする積極的な姿が見られるようになってきた。その一方で、仲間と議論して意見を練
り上げたり合意を形成したりすることには弱さがみられる。
〈願う生徒の姿〉
一人一人が課題の解決に向けて意欲的に追究し、仲間との学び合いを通して、自分の考えを深めたり、よりよいもの
を生み出そうとしたりする姿
〈研究主題〉
練り合い高め合う生徒の育成
〈研究仮説〉
単位時間において、生徒の主体的な追究を生み出すような課題の設定を工夫し、生徒が意見を練り合い高め合う場の
設定を工夫すること、またその場における教師の出場を吟味することによって、生徒がお互いに練り合い高め合う姿を
つくり出すことができる。
〈研究内容A〉
単元(題材)指導計画の工夫
・構造的な単元(題材)構想
・
「バズ」を位置付けた単元
(題材)指導計画
〈研究内容B〉
単位時間の指導の工夫
・生徒の主体的な追究を生む課題設定の在り方
・練り合う場の設定の在り方
・練り合う場における教師の出場
〈研究内容C〉
評価の工夫
・練り合いによって高まっ
た個の学びを確かめる
評価の工夫
2.本年度の具体的な取組
〈研究内容A〉単元(題材)指導計画の工夫
○構造的な単元(題材)構想
生徒の主体的な追究を生み出すためには、
構造的な単元構想が必要だと考え、
以下の4つの項目を明確にした単元構想図を作成した。
① 本単元に関わる前単元までに付けたい力を明確にする。
② 単元の出口の活動と生徒の姿を明確にする。
③ 本時の課題と終末における出口の生徒の姿を明確にする。
④ 練り合い高め合うための指導内容のポイントを明確にする。
②に関わって、国語科1年生「いにしえの心にふれる」の実践では、
「紙芝居
の発表会」を、英語科1年生「Lesson6」の実践では、
「気の合う ALT を探す
活動」を単元の出口にすることで、主体的に追究する生徒の姿を生み出すこと
ができた。④に関わって、体育科1年生「器械運動」の実践では、
「相互援助活
動の際、教え合いの観点となる技術ポイント」
(図1-④)を単位時間ごとに明
確にした。これにより、学習課題がはっきりし、練り合う場の必然性を生み出
すことができた。また、指導内容の系統性がはっきりし、高まった学びを確か
められる段階表(ワークシート)を作成し、評価に生かすことができた。
【 図1 体育科「器械運動」の単元構想図 】
○「バズ」を位置付けた単元(題材)指導計画
国語科や英語科における「話す・聞く」学習では、ペア
で行われることが多い。
しかし、
話すことに意識しすぎて、
聞く視点を
相手意識をもって聞くことに弱さがあり、助言し合えない
明確にした
ことがあった。そこで、グループ内でペア学習の様子を評
相互評価の 価する相互評価のバズを単元の中に意図的に仕組み、聞き
バズを位置 手を育てることで、練り合い高め合う姿を求めた。聞く視
点を精選して明確にすることや生徒の意識とずれないよう
付ける。
な視点にすることで相互評価を効果的に行う姿を生み出す
ことができた。
【 図2 国語科「いにしえの心にふれる」の単元指導計画 】
〈研究内容B〉単位時間の指導の工夫
○生徒の主体的な追究を生む課題設定の在り方
今まで本時の課題が「
(~という活動を)しよう」という表現になることが多かった。このような場合、活動そのものが課題
になってしまい、活動を通して何ができればよいのかが不明瞭になり、生徒の追究も弱かった。そこで、理科3年生「化学変
化とイオン」の実践では、
「塩酸に電流を流し電極付近で起きる変化を記録しよう。また、各電極に出てきた物質が何であるか
を調べよう。
」という到達目標を明確にした課題を設定することで、全員が何を学習すべきかが明確になり、主体的な追究を生
み出すことができた。
【図3 体育科1年生「器械運動」の段階表】
○練り合う場の設定の在り方
【体育科1年生「器械運動~頭はね跳び~」より】
単元構想図(図1)をもとに段階表(図3)を
作成することで、技術ポイント(図3-A)が明
確になり、自分と仲間の学びを具体的に把握する
ことができた。練習前に行うグループ計画会にお
いて、一人一人の課題を交流し合うことで、練習
(相互援助活動)においても相手に応じた助言を
する姿がみられた。互いの習熟度を高めるための
バズ学習においては、相手の課題も把握すること
仲間の技の向上に必要なポイントを
でより質の高い練り合う場になると考えられる。
把握して補助をしている。
【道徳3年生「友情信頼~埴生の宿~」より】
人間関係が醸成していない場合、至らなさや弱さを表出することに生徒たちは抵抗を示
すことがある。その場合、バズを仕組むことで、至らなさが表出しやすくなる。また、人
間関係が醸成してくると、展開後段において自分の生き方をみつめるときに、バズを仕組
むことで、討論にまで発展させることができる。道徳においてもねらいを明確にすれば、
バズ学習は有効であることが分かった。
○練り合う場における教師の出場
課題や相手意識を明確にして練り合う場を設定しても、生徒だけでは高められな
い状況も予想される。そこで以下の点に気をつけて教師の出場をつくった。
・質の高い練り合いができているグループに指導援助をし、全体に広める。
【国語科の実践より】
・課題への意識が弱かったり、指導のポイントからずれたりしている場合、再度
全員に意識付けをし、確かめる。
【体育科の実践より】
・課題に到達できない生徒や課題を到達してしまった生徒に対してその生徒に応
じた指導援助をし、補充したり発展したりする。
【体育科の実践より】
・多様な価値観に触れさせたり、討論へと発展させたりする場面で、個々の感じ
方や考え方を広げたり深めたりするときに投げかける。 【道徳の実践より 】
学習活動の中で必ずしも中間交流会をもたなければならないという発想ではなく、
状況に応じて、指導援助の対象(個・小集団・全体など)と内容を明確にした出場を考える必要がある。
〈研究内容C〉評価の工夫
○練り合いによって高まった個の学びを確かめる評価の工夫
【英語科1年生「Lesson6」より】
本時に活用すべき文型やコミュニケーションに役立つ表現を精選して
項目にし、ワークシート(図4)を作成した。それにより、生徒自身が
学びを確かめられると同時に、教師も机間指導の時に生徒の学習状況を
把握し指導・援助を行うことができた。
「ねらい」
「学習課題」
「学習活動」
「評価規準」に一貫性をもたせることで評価もしやすくなることを確認
することができた。
【図4 英語科1年生「Lesson6」のワークシート】
3.来年度の本発表に向けて
〈研究内容A 単元(題材)指導計画の工夫〉について
生徒のつまずきや意識の流れをはっきりさせた構造的な単元構想図を作成する。また、単元のどの時間にどのような場にお
いてどのような内容でバズを位置付けると練り合い高め合う姿につながるかを明確にして単元指導計画を作成する。
〈研究内容B 単位時間の指導の工夫〉について
生徒の主体的な追究を生み出すために、知的好奇心を刺激したり、思考のズレが生じたりするような学習課題を設定するよ
うにする。また、話し合いに対立が生れるなど、質の高い練り合いへと発展させていけるような効果的な教師の出場を探る。
〈研究内容C 評価の工夫〉について
「学習課題」と「ねらい」
「評価規準」が一体化することで、終末において生徒が教師と同じ視点で振り返られるような評価
の在り方(ワークシートの工夫など)を工夫し、個の学びを確かなものにする。また、学ぶ意欲が継続したり、学ぶ楽しさが
実感したりできるような評価の在り方を工夫する。
「心にひびく言葉」
「啐啄の機」を逃がさず
曽木小学校教頭 永冶 洋子
自分が若い頃、
教える事に一生懸命でした。
「こ
いました。
れだけは」「ここだけは」と、いつも自分の思い
しかし、私はその時、何をすることが温めるこ
だけで教壇に立っていたように思います。どの子
とになるのか、殻を突く時期はいつなのか、その
にも同じように、同じ時期に、同じ方法でそれが
機を逃さないためにはどうすればいいのか、考え
正しいと思っていました。自分が一生懸命教えよ
れば考えるほどわからなくなりました。
うとするだけで、うまくいかないことに苛立ち焦
っていたようにも思います。
そんな中で「待つことの大切さ」「種をまくことの必
要性」そして何より「みんな違ってみんないい」と
そんな時出会った言葉が、「啐啄の機」です。
いうことがわかってきました。「機」を逃さない
元々は、「雛が卵から羽化する時、雛が内からつ
ということは教育の大切な要素であり、なにより
つく頃合いに、母鳥が外からつつく」という禅の
子育ての基本だと思っています。今ニュースや新
教えだそうです。この言葉に出会った時、卵は何
聞から流れてくる、多くの残念な出来事を見聞き
もしなければ雛にはならない。温めなければ雛に
する時、子どもたちにその年なりの自立を促し、
はならない。雛と母鳥が同時に働きかけないとい
その年なりの社会性を身に付けさせることは、人
けない。教育も同じだよと教えを受けたように思
としての何より大切な事だと今実感しています。
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掲 示 板
防災に向けての視聴覚教材DVDの紹介
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以下のDVDを研究所で保管しています。ぜひ活用を。
「命を守る地震対策」 14分44秒 企画:岐阜県(2012 年 9 月)
(内容)・過去に起きた地震を知る ・地震のメカニズムは ・岐阜県の活断層
・地震に備える ・地震が起こる前に ・地震が起こったら
「集中豪雨に備えよう 7.15 豪雨災害の教訓」 15分49秒 企画:岐阜県(2011 年 5 月)
(内容)・集中豪雨とは ・降雨体験 20mm 100mmの雨 ・集中豪雨時に気をつけ
ること ・宮中豪雨時の重要な情報 ・集中豪雨時に知っておくこと
「学校における危険な行動・危険な遊び」 教師用 21分39秒
制作:独立行政法人日本スポーツ振興センター名古屋支所
(内容)・教室・ベランダ編(イスひき かさ振り回し ベランダから外へ乗り出し など)
・廊下・階段編(上段から 給食のワゴン車 跳んで降り ランドセルを引き など)
・運動場・遊具編(ブランコ すべり台 登り棒 雲梯の上 ボール遊び など)
「安全な通学を考える~加害者にもならない~ BICYCLE」自転車の乗り方は正しいか
33分05秒 企画:文部科学省(2012 年 3 月)
(内容)・自分の乗り方は安全か ・危険を予測する力をつける 場面毎にトレーニング
・事件に巻き込まれないために ・自転車の賠償責任、点検・整備等について など
本年もお世話になりありがとうございました。よいお年をお迎えください。
教育研究所一同