【特集】亀山工場稼働から10年を迎えて 有識者との懇談会を実施 - シャープ

三重大学とシャープ亀山工場
~環境活動に関する座談会~
世界一の「環境先進大学」を目指す三重大学で、環境活動に携わっておられる教職員の方々及び現役
の学生さんにご参加頂き、三重大学の構内で環境活動座談会を開催しました。
シャープ亀山工場からは、ISO14001推進事務局の責任者とスタッフが参加しました。
テーマ :
環境活動の取り組み/環境報告書発行
ISO14001の運用や環境活動、環境報告書の企画編集にあたって苦労してきたことや、課題等についての率直な思いを座談会形式で語って頂きました。
まず始めに環境ISO学生委員会の木ノ元さんが、当委員会の活動報告をパワーポイントを使って、非常に分かり易く説明してくれました。
朴副学長:今回のテーマは環境活動の取り組みと環境報告書発行についてです。亀山工場では稼動当初からスーパーグリーンファクトリーの取り組み
を行ない、環境先進企業としてこれまで取り組んでこられたと思います。又、2013年度には“亀山工場の環境取り組みのご紹介
CSR REPORT2013(サイトレポート)”が第17回環境コミュニケーション大賞(奨励賞)を受賞し、世間の皆様から期待されると思い
ます。今回は日本を担う若い世代が亀山工場のサイトレポートを読んで、企業に期待するもの、今後どういう所を力をいれていけば
いいのか、ISO委員のみなさんにお聞きしたいと思います。それでは中村さんの意見をお聞かせ下さい。
朴 副学長
中村さん:このサイトレポートを読んだ時、環境マップのページが分かり易く感じました。工場の全体像と環境に配慮した施設が
どこにあるのか一目で分かる為、三重大学の環境報告書でも参考にしたいと思います。しかし、写真の位置がどこを示しているのか
少し分り辛い為、番号等を付ける等、工夫してみてはいかがでしょうか。又、各ページの右下に次のページ
の主な紹介がされている為、次のページを読みたくなるような工夫がされていて、参考になりました。
朴副学長:ありがとうございました。教職員の先生にも意見を聞きたいと思います。山村先生お願いします。
山村准教授: 環境取り組みをして、環境負荷を下げた取り組みは分かるが、もともと何もしなかった場合、どれだけエネルギー
を使用して、それだけ下げられたのか分かりにくく感じた。又、環境負荷低減に直接関係するか分からないが、
数年前に工場設備が停まる地震が起きたとお聞きした事があります。その際に工場のラインが2時間で復旧
できたとお聞きした時は、それだけ不良品となる商品を作らずにすんだということは、環境にプラスになるの
でないでしょうか。又、亀山工場の太陽光発電システムは屋上緑化と同じで熱負荷を下げる効果がある点に
ついても、サイトレポートでアピールしてみてはいかがでしょうか。
中村 さん
山村 准教授
朴副学長:学生、教職員の話がありましたが、シャープのCSRレポートの基本的な考え方やアピールポイント等がありましたら答え下さい。
牧野:本日、我々がお教え願いたいと言う内容を持ってきていますので、その話をしてもらいます。太田さんお願いします。
太田:サイトレポートの制作・編集をしています太田です。弊社のサイトレポートの発行目的とターゲットについてお話したと思います。
弊社のサイトレポートは環境情報の掲示の手段の一つであり、又、工場(サイト)の環境取り組みをまと
めた年次報告書として位置付けています。尚、弊社のサイトレポートは地域の方々、見学に来られる
方々等、環境に対して高関心層を主なターゲットとし制作をしていますが、このサイトレポートは弊社の
従業員が1年間取り組んできた環境活動の成果の結晶であり、振り返る材料、教育資料にもなります。
環境問題は、環境関連の担当者だけが取り組むものではなく、従業員をどれだけ巻き込めるかとうい
ことが重要です。この位置付として従業員もターゲットとしています。又、制作、編集にあたっての体制
牧野
や工夫している点や苦労している内容についてお話したいと思います。制作にあたっては取材や原稿
作成から編集の一連の作業を全て社内の手作りで行なっており、少人数(10名ほど)のメンバーで企画
太田
を練り始め (2~3月頃)、8月発行に向けて作成します。尚、作成にあたって工夫していることは、どの年代の人が読んでもなるべく
分かり易く、見やすく、出来るだけ文字数は少なく、且、専門用語は使用せず、使用した場合でも解説等をしています。又、苦労している点は制作に
多くの時間を要するのが悩みの一つです。紙面を分かり易くする為の事例の収集、使用・データ集計・見せ方等、そこに多大なエネルギーがそそが
れます。限られた時間の中で、クオリティの高いものにできるかどうかは、毎年苦労しています。三重大学さんの環境報告書の発行の目的とターゲット、
制作・編集するにあたってどういったところに配慮しているのかお聞かせ下さい。
朴副学長:一番のターゲットは、三重大学を構成しているすべての構成員(約10,000人)です。テレビや新聞等に三重大学の話題が上げられたりする
が、それらの方々が全て理解しているとは限らないのではないかということで、年1回、環境関連の活動内容を理解してもらう為に
環境報告書を発行するという目的がある。又、制作にあたって力をいれている所は、トピックス(特集)と表紙には力をいれていま
す。尚、制作にあたるメンバーは80人~100名を超える。環境報告書が完成すると、すぐに次の環境報告書の制作の準備に取り
掛かります。編集にあたってのデータや資料は毎年、5月~7月にかけて収集を行ない、8月~9月に構成・発行準備を行なう。
その他、教職員や学生に制作にあたっての工夫・苦労している点等についてお聞きしたいと思います。
濱田室長お願いします。
三重大学
環境報告書
濱田室長:制作にあたって工夫している点は表紙です。たたきが出来てから2~3週間はかけているがトータル
では1年をかけている。どんな本でもそうだが、手に取ってもらえるかどうかが大事だと考えています。
環境報告書はたくさんのページがあるので、全部読むのが難しいので、最初にトップメッセージ、
特集を組んだりする構成にする事で、色々な評価を得ていると考えます。
06 亀山工場 環境取り組みのご紹介 CSR REPORT2014
濱田 室長
朴副学長:中村さんもお聞きしたと思います。宜しくお願いします。
中村さん:制作にあたって、役割分担をしているという形になったのも三重大学が環境報告書を発行しはじめた2006年からできた
わけでなく、学生、教職員が4~5年かけて一緒に協力、努力した結果、環境報告書という大枠が出来、その上でようやく役割分担が
出来たのではないかと思います。又、環境報告書を作る上で過去係ってきた先輩や教職員のおかげで今の環境報告書が出来ていると言う
感謝の気持ちを念頭に置きながら、それを後輩に伝えながら環境報告書の作成に携わっていると言うことを意識しています。
朴副学長:シャープは、いかに拡充しながら世界的に良いモノをつくるか、大学は人づくりが大切で考えは同じだと思います。三重大学ではどれだけ
社会に通用する環境意識の高い即戦力になる学生をつくるかというところで、三重大ブランドを持っており、そういうところの成果について、
先生が考えているところ、苦労したところについてお話下さい。
山村准教授:三重大学は持続発展教育プログラムに取り組んでおりまして、これは、環境先進大学を目指すということも
ありますし、その構成員である学生について、環境に対して強い意識を持った学生をつくりたい。そして、
国際的に活躍する環境人材をつくるために、持続発展教育を学び習得した人には、修了書を発行し、多くの
人材をつくりだすために大学の公式プログラムとして取り組んでいます。この取り組みは平成24年度から
始まり、資格のために必要なものを新たに授業としても設けるという訳ではなく、共通教育いわゆる教養教育
の中で、特に環境や人間社会そういったものに関する講義をいくつか選択し、それを習得した人が環境に
対して強い意識を持った人間であると認定し、修了ということになりました。昨年度は1年目ということで1年生
を対象に実施を行ない268名の生徒が修了者となりました。修了した学生については、環境ISO学生委員会
でより活躍してもらうよう期待していますし、今年はESDの10周年ということで、愛知県でユネスコ世界会議
が11月にあります。その会議に三重大学も参加予定をしており、そういったものに多くの学生が参加してくれ
るような教育をしていくという形で三重大ブランドの環境教育を行なっています。
朴副学長:ありがとうございました。シャープさんで他にお聞きしたいことはありますか。
白瀧:三重大学も環境活動の推進を環境ISO14001学生委員会の方で取り組まれていると思うのですが、シャープでは私たちの部署内に事務局が
あり、各部門と協力会社を含めて活動をしています。三重大学でも環境ISO学生委員会がありますが、環境ISO学生委員会
の体制や先生方の係わり方について教えて頂きたい。又、当社が活動していて苦労している点が、社内の人事異動が多い為、
ISOに係る人材が入れ替わってしまい、環境意識を向上させることが大変です。大学の場合は学生さんが4年で卒業してしま
うため、引継ぎやレベルの維持に苦労されていると思いますが、その点について教えて下さい。
朴副学長:環境ISO学生委員がどういう風に仕事を引き継いで継続できるようにするかについてお答えさせて頂きます。
シャープの場合、ISO14001を構築しEMSのPDCAサイクルを廻すのは大変だが、認証を取得する迄の過程もそう
白瀧
ですが、活動を継続的改善し維持管理していくのは、ある程度マンパワーとお金があれば外から見ると出来るのでは
ないかと思われます。三重大学がISO14001を認証取得をするには実際にやろうと思ったらそんな簡単じゃないこと
がわかりました。まず、三重大学のように同じキャンパスの中で医学部から人文学部まであらゆる学部が一緒になっている
大学で今まで取得した例はありませんでした。又、私自身もISO14001を全く分からなかったので、それぞれの学部に出向き、
資料等を収集し、各学部で共通項は何かあるのか、特殊なものは何があるのか分類しました。1年が経過し気付いたことは、
学生を構成員に入れようということでした。学生が主役で先生がサポートするのであれば出来るかもしれないと思い学生を
募集しました。結果、7,500名近くいる学生のなかでやっていいという学生は13名でした。13名で出来るのか危機感を感じ涙
が出たがなんとかなると考え直した。13名が他の学生に声を掛けて200名近く集まり、あっというまに
ISO取得迄進んだ。2007年11月9日に取得し満7年になり、自分達に会ったシンプルかつ明確で誰でも
森元 さん
分かるような計画で取り組んでいるので殆どの課題がクリアできた。今では無くてはならないシステムに
なっている。環境活動に取り組むことでインセンティブを与える形でMIEU(ミエ・ユー)ポイント等を取り組んでいる利害関係者
である生協に協力してもらっている。一番大事なことは、
学生がISO14001をやりませんと言わせないこと、そのため
には、先輩が後輩とコミュニケーションをとり、色々なノウハウ
木ノ元 さん
を教えたり出来るよう見える化していく必要があります。
常にどんな場合でもコミュニケーションの場を持つということ
が大切だと思います。
丸本 さん
三重大学の皆さま、貴重なご意見を有難うございました。
皆さまの環境活動にかける真摯な思いに感銘致しました。
我々も負けない様に、今後の環境活動や環境報告書の作成に
活かしていきたいと思います。
左から三重大学 環境ISO学生委員会の
木ノ元さん・森元さん・中村さん・丸本さん
亀山工場 環境取り組みのご紹介 CSR REPORT2014
07
三重大学とシャープ亀山工場
●日 時
●場 所
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
● 出席者
:平成26年6月20日(金)14:00~16:00
:三重大学 環境・情報科学館1階(ホール)
:朴
恵淑 三重大学理事・副学長 国際環境教育研究センター長
:山村 直紀 三重大学大学院工学研究科准教授
:濱田 愼二 三重大学国際環境教育研究センター支援室 室長
:宮崎 典
三重大学国際環境教育研究センター支援室 係長
:村林 正紀 三重大学国際環境教育研究センター支援室 室員
:木ノ元 隆之 三重大学環境ISO委員会 副委員長
:森元 貴大 三重大学環境ISO委員会 副委員長
:丸本 彩加 三重大学環境ISO委員会
:中村 浩俊 三重大学環境ISO委員会
:牧野 博
シャープ㈱亀山工場 亀山環境安全推進センター 所長
:稲垣 秀明 シャープ㈱亀山工場 亀山環境安全推進センター 副参事
:白瀧 勝
シャープ㈱亀山工場 亀山環境安全推進センター 主事
:本傳 高義 シャープ㈱亀山工場 亀山環境安全推進センター 主事
:太田 祐希 シャープ㈱亀山工場 亀山環境安全推進センター
~環境活動に関する座談会~
集合写真(座談会のあとで)
三重大学の皆様有難うございました。
三重大学さんには環境ISO学生委員会という組
織があります。学生と教職員が連携・協力し、学
内外で様々な環境活動・社会貢献活動を精力的
に実践されています。また、2006年から毎年「環
境報告書」を発行されていますが、これも学生と
教職員が共同編集されています。三重大学さん
の「環境報告書」は、すばらしい力作です。記事
が豊富で、かつたいへん分かり易い内容で、これ
までに多くの賞を受賞されています。
私たちも三重大学さんに負けない様に、環境活
動を拡充していくとともに、亀山工場の「環境報
告書」も、もっともっと良いものしていきたいと思
います。
08 亀山工場 環境取り組みのご紹介 CSR REPORT2014
三重大学さんの環境取り組みの中で「MIEUポ
イント」という仕組みがあります。「すばらしい
アイデアだなぁ」「面白いなぁ」「亀山工場でも
できないかなぁ」等と、たいへん感心しました。
勝手ながらちょっとご紹介したいと思います。
環境活動(清掃活動や緑化活動、省エネ活動
など)を行なうと活動内容毎に設定された
ポイントが付与されます。活動の登録はスマホ
等で簡単に行えます。1ポイント1円で、ポイント
が貯まれば様々な商品が購入できます。また、
学長表彰という制度もあります。三重大学版
「エコポイント制度」です。
今後、学校や企業、自治体などにどんどん広
がって行くんじゃないかなぁ、広がって行けば
いいなぁ、と思います。
亀山工場 環境取り組みのご紹介 CSR REPORT2014
09