物理システム工学科3年次 「物性工学概論」シラバス

物理システム工学科3年次
物性工学概論
第2回講義2003.4.20
火曜1限0023教室
大学院ナノ未来科学研究拠点
量子機能工学分野
佐藤勝昭
第2回 2004.4.20
金属
第1回の感想、質問
 第2回に学ぶこと

• さまざまな材料の分類
• 周期表と金属
• さまざまな金属
• 金属の機械的性質
元素周期表
遷移金属
典型金属
http://www.hk.airnet.ne.jp/shung/peri
odic_table_s.htm
IA
II
A
IIIA
IVA
VA
VIA
VIIA
1
2
3
4
5
6
7
VIII
8
9
10
典型非金属
IB
IIB
IIIB
IVB
VB
VIB
VIIB
0
11
12
13
14
15
16
17
18
1
1
2
H
He
2
3
4
5
6
7
8
9
10
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
11
M
g
13
14
15
16
17
18
Al
Si
P
S
Cl
Ar
3
Na
4
5
6
7
12
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
K
Ca
Sc
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni
Cu
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
Kr
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
Xe
55
56
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
Cs
Ba
57~71
*
Hf
Ta
W
Re
Os
Ir
Pt
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po
At
Rn
87
88
Fr
Ra
89~
103
**
104
105
106
107
108
109
Unq
Unp
Unh
Uns
Uno
Une
*
ランタノイド元
素
**
アクチノイド元
素
*
*
*
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
La
Ce
Pr
Nd
Pm
Sm
Eu
Gd
Tb
Dy
Ho
Er
Tm
Yb
Lu
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
Ac
Th
Pa
U
Np
Pu
Am
Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr
さまざまな金属元素







Ia属(アルカリ金属) Li, K, Na, Rb, Cs,
IIa属(アルカリ土類金属) Be, Mg, Sr, Ba
Ib属(貴金属) Cu, Ag, Au
IIb属(亜鉛属) Zn, Cd, Hg
IIIb属 Al, Ga, In, Tl, IV属 Pb
半金属 IV: Sn, V: Sb, Bi
遷移金属
• 3d遷移金属:Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni
• 4d遷移金属:Y, Zr, Nb, Mo, Tc, Ru, Rh, Pd
• 5d遷移金属:La, Hf, Ta, W, Re, Os, Ir, Pt

希土類:
• 4f:Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu
• 5f:Th,Pa,U,Np,Pu,Am,Cm,Bk,Cf,Es,Fm,Md,No,Lr
電子のエネルギー準位1s2など

1s2というのは1s軌道に2個の電子が存在することを表
す。s, p, d, f は軌道の型を表し、それぞれが方位量
子数l=0, 1, 2, 3に対応する。
3d orbital
Ia族(アルカリ金属)

WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
リチウム
カリウム
ナトリウム
1s22s1
2S
1/2
ルビジウム
[Kr].5s1
[Ne].3s1
セシウム
[Xe].6s1
[Ar].4s1
IIa属金属(アルカリ土類)
ベリリウム
[He].2s2
1S
0
ストロンチウム
[Kr].5s2

マグネシウム
カルシウム
[Ne].3s2
[Ar].4s2
バリウム
ラジウム
[Xe].6s2
[Rn].7s2
WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
3d遷移元素
スカンジウム
[Ar].3d1.4s2
2D
3/2
鉄
チタン

マンガン
クロム
[Ar].3d5.4s1
7S
3
[Ar].3d2.4s2
3F
2
コバルト
[Ar].3d6.4s2
5D
4
バナジウム
[Ar].3d3.4s2 4F3/2
ニッケル
[Ar].3d7.4s2
4F
9/2
[Ar].3d5.4s2
6S
5/2
銅
10
1
[Ar].3d .4s
[Ar].3d8.4s2
2S
3F
1/2
4
WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
貴金属
銅
金
銀
[Ar].3d10.4s1
[Kr].4d10.5s1
2S
1/2
[Xe].4f14.5d10.6s1

WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
IIb属、IIIb属金属
亜鉛
[Ar].3d10.4s2

カドミウム
[Kr].4d10.5s2
水銀
[Xe].4f14.5d10.6s2
WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
金属の機械的性質



金属は、弾性限界を超えた応力に対し永久歪みをともなって変形す
る。このような変形を塑性(plasticity)という。
弾性変形と塑性変形の境界点を降伏点という。
塑性には展性 (malleability) と延性(ductility)がある。
• 展性:弾性限界を超えた応力によって物体が破壊されず箔に広げられる性質。
• 延性:弾性限界を超えた応力によって物体が破壊されず引き延ばされる性質。
硬度の高いものほど延性が小さい。


脆性破壊(brittle fracture):塑性変形を伴わず、割れの急速な進
展によって破壊することである。劈開など。
疲労破壊(fatigue):繰り返し応力が加わって破壊がおきる現象。
軟らかい(硬度の低い)金属は疲労破壊を生じない。
応力
応力-歪み曲線
http://www.nsbri.org/HumanPhysSpace/focus6/student2.html
金属結合
►
►
►
►
金属においては、原子同士が接近していて、外殻のs電子は互いに
重なり合い、各軌道は2個の電子しか収容できないので膨大な数の
分子軌道を形成する。
電子は、それらの分子軌道を自由に行き来し、もとの電子軌道から
離れて結晶全体に広がる。これを非局在化するという。
正の原子核と負の非局在電子の間には強い引力が働き、金属の凝
集が起きる。
この状態を指して、電子
の海に正の原子核が浮
かんでいると表現される。
http://www.chemguide.co.uk/atoms/bonding/metallic.html
遷移金属はなぜ硬い

金属結合は、原子の外殻電子のうちs,p電子が
結晶全体に広がることによって全エネルギーが低
下することが原因ですが、このことが通常金属
(Na, Mg, Alなど)や貴金属(Cu, Ag, Au)の柔
らかさをもたらします。一方、 Fe, Tiなど遷移金
属の結合にはd電子が寄与しています。遷移金
属では、原子あたりの電子数が多く、電子の海に
供給する電子数が多いことが結合の強さをもたら
し、高い融点と硬さをもたらしています。
金属の高い電気伝導率
電気伝導率(導電率) の式
=neを導こう
 電流密度J=単位時間に単位面
積を流れる電荷の総量=nev
 速度v =移動度 ×電界E
 従って、J=ne E  E
これより =ne
 金属の導電率の高さ→キャリア
数nによる

ne
v
金属の高い熱伝導率
熱伝導=格子熱伝導+電子熱伝導
 電子数が多い→電子熱伝導が大きい
Wiedeman-Franzの法則
 /=LT
=熱伝導率、 =電気伝導率
L=ローレンツ数、T=絶対温度
 [注] 逆は真ならず。熱伝導がよいからといって電
気伝導率が高いとは限らない。
例) ダイヤモンド

第2回の問題

問1:Naは原子1個につき1個のs電子を結晶に供給す
る。Naの結晶構造は体心立方(bcc)で、格子定数は
a=0.43nmである。Naの電子密度を求めよ。
• [ヒント] 1つの単位胞(unit cell)に原子はいくつあるか。8つ
のコーナーに1/8個ずつ、体心に1個。計2個。これを単位胞
の体積で割れば、電子密度が得られる。

問2:金属は、展性をもち叩いて箔(はく)状に延ばすこと
ができるが、シリコンなどの半導体単結晶に衝撃を加え
ると、劈開(へきかい)して破壊される。この違いを、原子
結合の違いから説明せよ。
次週の予告と予習のポイント
次週の予告=金はなぜ金ぴかか:金属の色
 様々な光の色を3原色(赤、緑、青)で表すことが
できるのはなぜか。
 金属に外部から高周波電界の加わったとき、自
由電子の運動方程式を立てよ。
 誘電率の実数部が負の値をとると、高い反射率と
なることを確かめよう。
参考書:機能材料のための量子工学第4章
