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6月8日-4
3 中世法2-2
御成敗式目の世界と封建制⑵
3 中世法 ⑵
1職
職務の執行が収益
をともなう官「職」
中世には所領の権利
を表す所職をベースに、
さまざまな職が展開した
eg所帯 (の職)・株式 (職)
職と知行
2 知行
職務ないし収益権の
行使(=支配)をいう
その法的性格をめぐ
る知行論争は日本法
史学上の最大の論争の
一つ
消滅時効vs取得時効(前回)
庄園の世界を前提として 中世は職と知行の時代といえる
困
っ
た
ア
1239延応元年 宣陽門院庁下文案
(東寺百合文書)
3 中世法
⑵ 職と知行
庄園の世界
3 中世法 ⑵ 職と知行
⑴ 職の由来
官職の「職」
① 国家の事務を分担する機関の称呼
⇩
cf 地頭職は官職に非ず
② 官司請負制 (世襲+・・・)
業務活動と収益とが直接かつ不可分に
結び合わされた官庁の運営方式
特定氏族の家産と化した
cf 氏姓制度 特定の氏が朝廷の特定の
職掌を世襲的に分掌する体制
⇩
③ 「所」による請負
職員令
eg中宮職
大膳職
職
郡司職
(郡務)
しき
預所職
領主職
地頭職
(蔵人) 頭 →(年)預(=請負に通じる)⇨職の本質 作職
関給主職・先達職・問職
3 中世法 ⑵ 職と知行
⑵ 職の観念とその変化
中田 薫『王朝時代の庄園に関する研究』(明治39)
① 職務的土地用益権(使用収益権)
職務の観念
得分権は従属的権利
→ 目的としての得分権
→
職務は従属的義務
職は負担付不動産物権(=職務的土地用益権)
eg 預所・上司・下司・公文・案主職 (庄務)
② 不動産物権
eg 領家・領主職/名主・百姓・作人・作手職
③ 特権に基づく各種の収益権に拡大
← 恒久的収益の淵源=不動産類似
eg 関給主職/塩合物職/先達・旦那職/問職・問丸職
⑶ 職の特質
重層性 / 相伝・譲与・寄進の対象
職の重層モデル
地頭職の設置
将軍⇒ 守護職
地頭職
守護・地頭の庄園押領
(非法は禁止されたが・・・)
4重層
本家職 ・領家職 (本所)
領主職
領主職
*
預所職 預所職 預所職 預所職 *
*
作職 作職 作職 作職 作職 作職 作職 作職
土地
*作人職 百姓職 名主職 作手職
**公文職 案主職 上司職 下司職
cf 民法の物権 独占的排他的性格
3 中世法 ⑵ 職と知行
⑶ 職の特質(続き)
百姓名の権利→名主職 ⇨農民的職(eg作職)の出現
職という <日本的>所有の形式 は応仁の乱の前夜まで継続
→激しい争奪と競合の対象
cf 権利の不動産化(=西洋) vs 義務の不動産化(=日本)
土地所有観念の未発達 (近世まで続く→ なぜか ? )
①得分権的・都市的な側面 庄園制的な「土地の論理」
②主従制的・農村的な側面 封建制的な「人の論理」
cf 地頭職=庄官職/鎌倉殿との主従関係(=安堵されて成立・安定)
土臭/一所懸命かつ必死 ←誰に従うか or 誰を従えるか
職の身分的性格
一個の得分権として争奪/職の一円化 ⇨ 人的支配関係も
職による契約関係
3 中世法 ⑵
職と知行
2 知 行
⑴法律的意味
主に職務的なものの知行 (eg 郡務・庄務の知行)
⇩
(中田) 不動産物権の事実的行使
(石井) Gewere 的なもの 占有
主観的要素=不動産上の物権を有するとの主張
知行
客観的要素=主張に基づく物権の事実的行使
possessio
所有
3 中世法 ⑵ 職と知行
① 占有的効力
⑵ 知行の効力
知行保持の効力
→押妨に対する妨害排除請求権(裁判所)
② 権利推定的効力 安堵を受ける効力
③ 知行と関連する他の制度の反射的利益
1) 挙証責任を負担しない利益 (→裁判上有利)
2) 本知行回復の利益
鎌倉期 外題安堵法 譲状の袖に執権連署が安堵する
室町期 本知行守護沙汰付 守護による押領者追い出し
まとめ 中世社会の構造 と 職 および 知行
公家社会
( 公家法 )
公地公民制の解体
↓
国家財政の破綻
官人給与の欠如
寺社経営の逼迫
武家社会 ( 武家法 )
族制的主従制 (本家・分
家)
庄園的恩給制
↓
↓ (御恩←→奉公)
家領・寺社領庄園 本所 (法 )
御家人
本家職・領家職→
棟梁→将軍→幕府
(開発)領主職→
守護職
庄官(預所・公文・案主・上司・下司)職→
地頭職
庄民(百姓・作人)職
知行
庄園・公領制
知行