Smart City Week 2013 オープンシアター メインシアター スマートモビリティの骨格: 2020東京オリンピックを機に 鉄道イノベーション (株)ライトレール 代表取締役社長 阿 部 等 http://www.LRT.co.jp 2013年10月25日 講演の内容 1.講演者の自己紹介 2.鉄道はイノベーションの宝庫 3.2020東京オリンピックを機とした取組み 4.信号システムの機能向上 5.鉄輪式リニア化 6.さらに将来の交通の姿 ※本提案は(株)ライトレールの私案であり、 関係箇所と合意形成したものではありません。 1 1.講演者の自己紹介 2 参考資料 • • • • • • (株)ライトレール会社案内 公共交通の活性化に関わる主な業務成果 (株)ライトレール事業目論見(概要) クルマ社会の次にあるもの 『満員電車がなくなる日』 の紹介 交通ビジネス塾のご案内 3 2.鉄道はイノベーションの宝庫 4 ①ドイツ鉄道 • 講談社 現代ビジネス • 川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」 ‒ ドイツ鉄道は、サービスはないが故障は多い。 ‒ 技術大国ドイツは、ドイツ鉄道を除外した話。 • ドイツ鉄道で情報が流れないのは毎度のこと • 突然電車が止まっても、たいてい説明はない • 40台程度の故障は偶然で、大きな問題ではない • 次の列車には6号車が付いていません 5 ②日本の鉄道の定時性 事業者 路 線 発行日 事業者 路 線 発行日 事業者 路 線 山手線(全線) 87% 池袋線 30% 横浜まで(上り) 西 武 京浜東北・根岸線(大宮~大船) 76% 新宿線 24% 横浜まで(下り) 中央快速・中央本線(東京~甲府) 68% 京成船橋まで 19% 横浜以南(上り) 京 成 京 急 東海道線(東京~湯河原) 47% 京成船橋以東 8% 横浜以南(下り) 横須賀・総武快速線(大船~東京~稲毛) 95% 京王線(上り) 16% 空港線内(上り) 宇都宮・高崎線(上野~那須塩原・神保原) 66% 京王線(下り) 8% 空港線内(下り) 京 王 中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉) 76% 井の頭線(上り) 39% 相 鉄 相鉄線 79% 井の頭線(下り) 21% 銀座線 JR 埼京・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩) 東日本 常磐快速・常磐線(上野~羽鳥) 53% 小田急線(上り) 43% 丸ノ内線 小田急 常磐線各駅停車(綾瀬~取手) 24% 小田急線(下り) 70% 日比谷線 南武線(川崎~立川) 34% 東横線 100% 東西線 東京 横浜線(東神奈川~八王子) 32% 目黒線 37% 千代田線 メトロ 相模線(茅ヶ崎~橋本) 0% 田園都市線 92% 有楽町線 武蔵野線(府中本町~西船橋) 29% 大井町線 11% 半蔵門線 東 急 青梅線(西立川駅発車時) 24% 池上線 11% 南北線 京葉線(東京駅発着時) 26% 東急多摩線 11% 副都心線 伊勢崎線 14% 世田谷線 11% 浅草線 日光線 0% 子どもの国線 0% 三田線 野田線 11% 東京都 新宿線 東 武 交通局 大江戸線 東上線 19% 越生線 3% 都電荒川線 その他 0% 日暮里・舎人ライナー ※各社HPに掲載された遅延証明書発行状況のH22.11.1~12.27の全平日38日間のデータを整理。 ※ :発行日の割合が80%以上の路線。 ※ :発行日の割合が60~79%の路線。 発行日 14% 3% 3% 8% 5% 5% 11% 95% 79% 100% 82% 97% 100% 100% 34% 61% 16% 39% 32% 21% 29% 0% ‒ 朝ラッシュは定常的に定時運行できていない • 最近急になったのでなく、以前よりは改善された 6 ③鉄道の定時性向上策 :駅間走行での遅延増20"以上 :駅停車での遅延増20"以上 • 国交省から遅延防止策を業務受託 ①順方向ミ駅での出発待機 ②順方向の途中駅終着列車 ‒ ある路線の朝ラッシュ全列車の遅延を分析 ‒ ‒ ‒ ③逆方向のヒ駅 遅延の色分け 遅延の色分け ④他路線からの回送列車 1'~ 3'~ 5'~ 7'~ 9'~ 1'~ 3'~ 5'~ 7'~ 9'~ ⑤折返し列車の到着遅れ 11'~ 13'~ 15'~ 18'~ 25'~ 11'~ 13'~ 15'~ 18'~ 25'~ データ記録なし ⑥終着駅等での番線輻輳 データ記録なし ⑦偶発的トラブル :駅間走行での遅延増20"以上 :駅間走行での遅延増20"以上 :回送 :駅停車での遅延増20"以上 :駅停車での遅延増20"以上 :偶発的トラブルによる遅延の伝播 ①順方向ミ駅での出発待機 ①順方向ミ駅での出発待機 :定常的な遅延の伝播 ②順方向の途中駅終着列車 ②順方向の途中駅終着列車 ③逆方向のヒ駅 ③逆方向のヒ駅 60本(横方向)×50駅(縦方向)×両方向(2段) ④他路線からの回送列車 ④他路線からの回送列車 ⑤折返し列車の到着遅れ 遅延の発生・伝播・拡大を色で可視化 ⑤折返し列車の到着遅れ ⑥終着駅等での番線輻輳 ⑥終着駅等での番線輻輳 定常的な遅延の原因を抽出し対策を提示 7 ④大都市鉄道の理想的ダイヤ • 現行の各線のダイヤ 特急 急行 普通 • 現行の各線は優等列車が主要駅に停車 ‒ 優等列車が普通を追抜くほど旅客集中 • 混雑かつ遅延 • 追抜かれる普通は所要時間増 ‒ 優等列車が普通を追抜かないと所要時間増 ‒ 所要時間増 ⇒ 車両と乗務員が増えコスト増 ‒ 主要駅がネックで増発できず 8 新たな提案 快速A 快速B 快速C • 全列車が規則的に3駅に1駅通過 ‒ 各列車へ旅客分散し混雑平準化 ‒ 全列車の所要時間が短縮 ‒ 線路容量が向上し増発でき混雑緩和 9 新たな提案で増発できる理由 特急 急行 普通 快速A 快速B 快速C 390秒 300秒 60 70 60 70 60 70 60 55 55 60 70 130秒に1本 100秒に1本 10 ⑤羽田空港への新たな鉄道アクセス 立川 分倍河原 府中本町 南武線 南武支線 東海道貨物支線 新設線 稲田堤 登戸 武蔵溝ノ口 武蔵小杉 国内線T 川崎川崎貨物国際線T 尻手 浜川崎 • 東京西部、川崎・横浜北部からのアクセス ‒ 既存路線を有効活用 • 南武線・南武支線・東海道貨物支線を経由 • 主要駅に待避線を新設して快速を運転 11 ⑥日経ビジネス ON LINE 12 3.2020東京オリンピック を機とした取組み 13 ①ストラスブール市資料より • 同人数を運ぶ場合のイメージ ‒ http://www.mlit.go.jp/crd/tosiko/guidance/ 自動車 路線バス LRT ‒ 自動車の空間利用の非効率は明々白々 14 ②基本コンセプト • 1964東京オリンピック ‒ 次の時代の繁栄の礎となった交通基盤整備 • 東海道新幹線、名神高速 • 首都高速、地下鉄、羽田モノレール、国道246号 • 2020東京オリンピック ‒ 道路は鉄道と比べ • 空間利用が非効率、エネルギー消費・環境負荷大 ‒ 道路より鉄道に経費投入した方が効果大 • 鉄道の新規建設は膨大なコストと工期 ⇒ 既存の用地とインフラを有効活用 15 4.信号システムの機能向上 16 ①現行と提案 • 現行の信号システム ‒ 閉そく方式 • 線路を区間に区切り、1閉そくに1列車のみ • 軌道回路による列車位置検知に応じ信号現示 • 位置検出・速度指示ともに大雑把、過大な時素 ‒ 効率性を犠牲にし「過疎」な運行 • 新たな信号システムの提案 ‒ 位置検出・速度指示をキメ細かく、時素最小化 • 列車位置検出、データ通信、運転指示 • 普及済みの機器・インフラ、実用化技術による 17 ②新たな信号システムの図解 その後の検討で GPSは不要 18 ③運転席モニターへの表示イメージ 運転曲線と同時に他列車等の情報を表示 19 ④実現可能な輸送力増強量 • 運転時隔の短縮 ‒ 発~着75秒+停車60秒+余裕15秒=150秒 ⇒発~着38秒+停車40秒+余裕12秒=90秒 • 運転本数の増大 ‒ 150秒時隔=24本/h ⇒ 90秒時隔=40本/h ‒ 輸送力1.7倍、本数の少ない路線ではもっと • 低コスト・短期に実現可能 20 ⑤ゆりかもめ • オリンピック時の観客輸送の主要動線 ‒ 輸送力不足が心配 ‒ 鉄道よりさらに運転時隔を詰められる • タイヤ走行で加減速性能が高い • 10m×6両と編成長が短い • 信号システムの機能向上で60秒時隔に ‒ 現行はピーク時でも3分20秒=200秒時隔 ‒ 現行の用地と通路のまま3.3倍の輸送力 • 大都市鉄道ダイヤの新たな提案を適用 ‒ 待ち時間最大3分で、所要時間短縮 21 5.鉄輪式リニア化 22 ①通常の電車 • 加速(駆動) ‒ モーター回転力を車輪に伝え • 車輪とレールの 摩擦力(粘着力)による • 減速(制動) ‒ 車輪の回転にブレーキを掛け • 車輪とレールの 摩擦力(粘着力)による • 弱点 ‒ 加速時に空転、減速時に滑走 ⇒ 加減速性能が低い、急勾配に対応できない 23 ②鉄輪式リニア • 仕組み ‒ 荷重の支持と進路の案内は車輪とレール ‒ 地上にプレート、台車下にリニアモーター • 両者間の電磁力で加速(駆動)・減速(制動) • 強み ‒ 空転・滑走しない ⇒ 高加減速 • 運転時隔を安全に短縮できる • 線路内立入り・直下地震等の際に急停車できる ⇒ 急勾配に強い • 土木工事費や用地買収費を節減できる 24 ③実現可能な輸送力増強量 • 運転時隔の短縮 ‒ 発~着38秒+停車40秒+余裕12秒=90秒 ⇒発~着26秒+停車25秒+余裕9秒=60秒 • 運転本数の増大 ‒ 90秒時隔=40本/h ⇒ 60秒時隔=60本/h ‒ 輸送力さらに1.5倍 ‒ 中コスト・中長期だが実現したい 25 ④2020東京オリンピックまでの目標 • 信号システムの機能向上 ‒ 首都圏の主要路線の混雑区間全て • 鉄輪式リニア化 ‒ 首都圏の主要路線の一部 ‒ 直下地震への強靭化にも効果的 • 技術開発・設備投資資金の確保 ‒ 着席割増料金:3000億円/年 • 開かずの踏切対策 ‒ エレベーター塔と横断橋を組合せた立体交差 26 ⑤鉄道イノベーションの他のメニュー • 無駄を排した効率的な運行 ‒ 利用・運行実績ビッグデータの解析 ‒ 安全性と効率性を兼備したホームドア • プライシングの革新 ‒ ICカードを活用した戦略的プライシング ‒ 事業者間をまたいだ通し運賃 • 輸送力増強 ‒ 複々線化に代る3線運行 ‒ 総2階建て電車による輸送力倍増 • 災害に強く首都直下地震にも備えた強靭化 27 6.さらに将来の交通の姿 28 ①貨物DMV • トラックに格納式車輪を付けDMV化 ‒ 積荷を積替えず幹は鉄道、末端は道路 • 線路上は貨物列車に連結 • 道路上は短距離を低速で電池駆動 ‒ 線路走行時に車輪回転で発電し充電 29 ②交通の地上と地下の使い分け (現状) ‒ モノの運搬が地上と高架、ヒトの移動が地下 30 ③交通の地上と地下の使い分け (本来) ‒ ヒトの移動が地上と高架、モノの運搬が地下 31
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