社会科学部 「憲法と教育」(2) 2007年10月8日 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 1 法的意味の憲法と教育学的意味の憲法 2 出発点としての子どもの基本的人権 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 1 法的意味の憲法と教育学的意味の憲法 ・憲法→国家権力を構成し、制限する法規範 - 国家という意味のシステムを無から組み立てる - 国家権力を基礎づけ、その際、国家権力行使でないものから区別 - 国家権力行使に対する制限規範 ・憲法のもう一つの意味連関 - 共同体における基本価値の設定として ・民主主義、人権尊重 →法的ルールであるばかりでなく、 共同体に公認された道徳規範の核心 ∴国家権力→憲法価値の実現を委ねられたもの - 民刑事法を通じた人権の内容充足 - 教育を通じた国民意識の再生産 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 1 法的意味の憲法と教育学的意味の憲法 ・ここでの立場→峻別 制限規範としての憲法/(政治的)正当化原理としての憲法 教育の場面における憲法 ・法的意味の憲法→国家権力としてやっていいこととやっては いけないこととの分別 ・教育学的意味の憲法 →法外の世界における道徳的言説の一種 (様々な道徳的見解が基礎づけのために接続を試みる 権威的テクストの一種) 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 a) 憲法上の個人の地位=13条前段 「個人として尊重される」 ・保障内容としての個人の主体性 「個人のために国家が存在するのであって、 国家のために個人が存在するのではない」 ・個人の主体性、独立性、自己目的性 ・具体化としての教育基本法1条 - 教育目標としての「人格の完成」 ・道具ではない、発達する能力をもった独自の人格 ・否定された「道具としのて子ども」 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 b) 自由への包括的な権利=13条後段 ・独立性の帰結としての自律性の尊重 ・生命・自由・幸福追求の権利……「幸福」観の自律的設定 ・原則としての自由、例外としての制限(∴制限は正当化の必要) ・「公共の福祉」→加害原理 - 自由の限界として、他者の権利・利益と 具体的な社会的・国家的利益 ・例外としてのパターナリズム ……どこまで正当化されるかは、具体的関係で 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 c) 平等という観点=14条 ・尊重される人格の対等性 ・差別禁止=平等の権利 と 平等原則 平等権→自らに責任のない特徴に基づく異なった取り扱いの禁止 平等原則→等しいものは等しく、異なったものは違いに応じて取扱 ・形式的平等と実質的平等 - 現実的生活連関の差 → 実質的保障の必要 - 社会国家・福祉国家、個人の平等な条件の作成 社会的なディスアドヴァンテージが固定化しないように - 結果の平等? ……個人の自律性に対する侵害に帰着 - 機会の平等 =競争の公正を担保するためのスタートラインの平等 but: 何がスタートライン?→一義的には解答不能 ・教育における機会の平等 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 d) 精神的自由(19, 20, 21, 23条) ・自由権の核としての精神的自由 ∴優越的地位→制約する側が制約の必要性を立証 ・自己決定の価値+自己統治の価値(通説) d-1) 思想・良心の自由(19条) ・思想・良心を保持する自由 ・思想・良心を国家の影響力行使から独立に形成する自由? - 国家による特定思想の公定化、推奨、抑圧等の問題 - 国家の世界観的中立性義務(政教分離とのアナロジーにて) ……一方で、無理; 他方で、原理的前提として機能 ∴公教育→潜在的には思想・良心の自由と常に緊張関係 ・内面的良心を侵害するような行為強制の禁止 →自らの信条と相容れない教育的影響力行使にさらされ続けない権 利 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 d-2) 信教の自由(20条) ・宗教→思想・良心の一特殊領域 ・信教の自由 ・信仰の自由――国家は宗教の正誤を判定できない ・宗教的行為の自由の限界に関する問題 - 審査基準……厳格審査、LRA=less restrictive alternative ・政教分離→国家の宗教的中立性 ・中立性の2態様→中立的援助? 中立的排除? ・日本における中立的排除の選択 ・完全分離(完全排除)は不可能、∴関わり合いが許容される基準 ・目的効果基準――世俗目的があれば正当化される型? 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 d-3) 表現の自由(21条) ・表現の自由に対する制約……厳格な審査基準……LRA ・教師の表現の自由? 教科書製作者の表現の自由? ……制約条件としての学校という場をどう考えるか? ・学校における子どもの表現の自由 d-4) 学問の自由(23条) ・教授・研究の自由→高等教育機関に主に関わって - 主体としての個人→∴大学教授の特権ではない - 担い手としての学生、子ども - 研究発表の場としての授業? 初等・中等教育における教師の教授の自由? ・大学の自治 - 高等教育機関の独立性 - 学問の領域を単純な国民多数決から聖域化 ……「人権」とは異なる、制度的保障 or 制度体保障 の論理 第一部 なぜ教育に憲法が関わるか 第Ⅱ章 子どもが国家に要求できるもの 2 出発点としての子どもの基本的人権 e) 教育を受ける権利(26条) ・《教育》と《個人の自律》の依存関係と緊張関係 ・26条→国家の教育保障権限を承認……上記の依存関係を重視して ・具体的内容につき→以下で展開
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