第11回ヤマセ研究会(平成27年2月27~28日) アンサンブルハインドキャスト実験結果を 用いた葉いもち発生確率予報の精度検証 紺野祥平*・大久保さゆり(農研機構東北農業研究センター) 菅野洋光(農研機構中央農業総合研究センター) 福井真・吉田龍平・岩崎俊樹(東北大学) 「農研機構」は独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。 背景 [テーマ] 気象予測データを用いた葉いもち発生確率予報の精度検証 対象期間 : 2000~2009年 6月25日~8月3日 気象予測データ: アンサンブルハインドキャスト予測実験結果(9メンバー) 気温、降水量、風、日照時間 農業気象モデル: 葉いもち発生予察モデル(BLASTAM) (越水1988;林・越水 1988) 気象データ → 農業気象モデル → 予察結果 予測値 予察結果 気温、降水量 、風、日照 あり/なし → 発生確率 → % → あり/なし BLASTAM 実況値 予察結果 気温、降水量 、風、日照 あり/なし 精度検証 検証指数 適中率 見逃し率 空振り率 背景 [今回の発表内容] 使用データおよび手法変更後の精度検証結果をご紹介します。 変更点 • 予報日 5日~14日先 → 2日~14日先 • 再解析データ JRA-25 → JRA-55 • 総観場の予測精度の指標 空間相関係数 → アノマリー相関 気象予測値の精度検証 1.2 アノマリー相関 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 -0.2 14日先 13日先 12日先 11日先 10日先 9日先 8日先 7日先 6日先 5日先 4日先 3日先 2日先 翌日 -0.4 ・ 気象予測値 (アンサンブル予測実験結果) ・ 気象実況値 (気象庁再解析データ JRA-55) 予測日 40 850hPa高度値 アノマリー相関およびスプレッド算出 スプレッド(m) 35 30 25 20 15 10 5 14日先 13日先 12日先 11日先 10日先 9日先 8日先 7日先 6日先 5日先 4日先 3日先 2日先 翌日 0 予測日 予測日とアノマリー相関およびスプレッドの関係 気象予測値の精度検証 75PT 14日先 13日先 12日先 11日先 10日先 9日先 8日先 7日先 6日先 25PT 10 5日先 20 4日先 30 3日先 再現性非優良日 日数(日) スプレッド (m) 40 2日先 N=560 40 35 30 25 20 15 10 5 0 翌日 50 予測日 0 再現性優良日 各予測日における再現性優良日の日数 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 アノマリー相関 アノマリー相関とスプレッドの関係 再現性優良日 計102日 90%:翌日~3日先 10%:4日~5日先 検証指数の算出 検証指数 再現性優良日 vs 再現性非優良日 検証指数の算出方法 予報 実況 感染あり 感染なし 計 感染あり A B N1=(A+B) 感染なし C D N2=(C+D) 計 M1=(A+C) M2=(B+D) N=(A+B+C+D) 「感染あり」予報の適中率(%) =A÷M1✕100 「感染なし」予報の適中率(%) =D÷M2✕100 見逃し率(%) =B÷N✕100 空振り率(%) =C÷N✕100 全メッシュ・全期 間について算出 検証指数の算出 再現性優良日および非優良日における検証指数結果 検証指数 再現性優良日 再現性非優良日 「感染あり」予報の適中率 47.3 % 32.4 % 「感染なし」予報の適中率 81.0 % 75.7 % 見逃し率 13.7 % 13.0 % 空振り率 14.6 % 31.5 % 「感染あり」予報の適中率 「感染あり」予報の適中率 空振り率 約15% 約5% 約17% の改善 <参考(手法変更前)> 「感染あり」予報の適中率 空振り率 約7% 約15% の改善 検証指数の算出 「感染あり」予報の適中率 (%) 80 75 70 65 60 55 50 45 40 11 22 33 44 56 67 78 89 100 発生確率(%) 発生確率と「感染あり」予報の適中率の関係 発生確率が高くなると共に「感染あり」予報の適中率が高くなる傾向が認められた まとめ 過去10年間(2000年~2009年)を対象に、アンサンブルハインドキャスト実験 結果を用いた葉いもち発生確率予報の精度検証を行った。 葉いもち発生予測の精度は、BLASTAMの入力値となるアンサンブ ル気象予測値の精度に依存する。 アンサンブル気象予測値が精度良く総観場を予測できるのは、およ そ5日先までである。 発生確率予報の精度は発生確率が高いほど良くなる。
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