スライド タイトルなし

2009年7月
BTMUセミナー
世界及びアジア、インドの経済・為替動向
~変貌する国際通貨体制の中のルピーとアジア通貨~
【本日のテーマ】
① 戦後が問われる米経済とドル基軸通貨体制
② 底入れが始まった日中経済
③ アジア通貨を取り巻く環境
④ インドルピーを見極めるポイント
三菱東京UFJ銀行 金融市場部
チーフアナリスト 高島 修
(テーマ①)戦後が問われる米経済とドル基軸通貨体制
米国の財政赤字は戦後最大規模まで拡大
10
5
米国の財政収支
(対名目GDP比)
大恐慌後、
ル ー ス ゙ヘ ゙ル ト政権(民主党)
下でのニ ュー テ ゙ィー ル 政策
レー ガン政権後の
双子の赤字
(名目G D P比率%)
0
-5
-10
2009年度は
名目G D P 比10%前後
の見込み
-15
-20
-25
第二次世界大戦
-30
1929
1933
1937
1941
1945
(出所) B EA 、米財務省
1949 1953
1957
1961
1965
1969 1973
1977
1981
1985
1989
1993 1997
米財政収支(名目G D P 比%)
140
2005
2009
2013
政府債務/名目G D P
FR B による
国債価格
支持政策
120
2001
O M B 予測
(政府債務/名目G D P;%)
100
1951年
米財務省・FR B アコード
80
60
40
1941年末
真珠湾攻撃
→太平洋戦争
20
0
1929
1934
1939
1944
(出所) 米財務省、米経済分析局
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
1949
1954
1959
1964
1969
1974
1979
政府債務/名目G D P
1984
1989
1994
1999
2004
2009
Page1
(テーマ①)戦後が問われる米経済とドル基軸通貨体制
15
積極的な財政措置のシワ寄せはドル相場と米国債に・・・
財政改善
↑
ドル高
↑
米連邦財政収支
120
115
5
110
105
100
-15
95
-25
90
(U SD Index)
(連邦収支/歳入:%)
-5
85
-35
80
-45
↓
財政悪化
↓
ドル安
70
Jan-93
Jan-95
Jan-97
Jan-99
Jan-01
Jan-03
Jan-05
実質実効ドル相場[対主要通貨;
1年遅行] (右目盛)
(連邦収支/歳入:%)
20
財政収支
(改善)
↑
Jan-07
Jan-09
連邦収支/歳入(%)
10年<2年
(フラット化)
↑
米連邦財政収支
-3
10
-2
0
-1
-10
0
-20
1
-30
2
-40
3
↓
財政収支
(悪化)
-50
Jan-77
Jan-79
↓
(スティープ化)
10年>2年
Jan-81
(出所) 米財務省
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Jan-83
Jan-85
Jan-87
Jan-89
Jan-91
Jan-93
米10/2年金利スプレッド
Jan-95
Jan-97
Jan-99
Jan-01
Jan-03
Jan-05
Jan-07
Jan-09
連邦収支/歳入(%)
Page2
4
(米10年/2年スプエレッド:%[逆目盛])
-55
Jan-87
Jan-89
Jan-91
(出所) 米財務省、FRB
75
(テーマ①)戦後が問われる米経済とドル基軸通貨体制
1年半で6百万人が職を失った米雇用調整の激しさ
12
11
失業率
上昇
↑
米失業率
10
9
(失業率:%)
8
7
6
5
4
3
↓
失業率
低下
2
Jan-71
Jan-75
Jan-79
Jan-83
(出所) 米労働省、FRB
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Jan-87
Jan-91
Jan-95
Jan-99
Jan-03
Jan-07
米失業率
Page3
(テーマ①)戦後が問われる米経済とドル基軸通貨体制
IMF改革と国際通貨体制の変貌
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Page4
(テーマ②)底入れが始まった日中経済
「景気減速≠円安」、「景気回復≠円安」の理由
景況改善
↑
円安
↑
ドル円と日銀短観の関係
40
60
30
40
20
20
10
0
0
-20
-10
短観▲20P以下→
②82年末
←短観▲20P以下
③86年末
-40
-60
←短観▲20P以下
⑥01年
短観▲20P以下→
④92~94年
-30
↓
円高
↓
景況悪化
-80
Mar-75
-20
短観▲20P以下→
⑤98年末
←短観▲20P以下
①75年
(USD/JPY;前年比%)
(業況判断DI)
80
-40
Mar-79
(出所) 日銀短観
Mar-83
Mar-87
業況判断DI
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Mar-91
Mar-95
Mar-99
Mar-03
Mar-07
USD/JPY(前年比%)
Page5
(テーマ②)底入れが始まった日中経済
日本企業の海外留保利益は20兆円
日本企業の海外留保利益の分布 [2007年度]
(地域別)
総額203,218億円
日本企業の海外留保利益の分布 [2007年度]
(業種別)
総額203,218億円
その他
3%
北米
31%
ASEAN他
17%
輸送機械
20%
その他非製造業
12%
電気・情報通信機械
6%
NIEs
11%
卸売業
30%
中国
9%
中南米
10%
オアセニア
6%
(出所)
経済産業省「海外事業活動基本調査」(2007年度)
海外留保利益
課税免除制度
のメリット
アイルラ ハンガ
ンド
リー
シンガ
ポール
香港
化学
7%
マレーシ ポーラン
ベトナム 英国
ア
ド
メキシコ チェコ
欧州
13%
オランダ
その他製造業
15%
鉱業
10%
オースト
韓国
ラリア
オースト ルクセン
デンマー
フランス ブラジル ベルギー イタリア
タイ
リア
ブルグ
ク
中国
インドネ
スペイン アメリカ ドイツ
シア
ニュー
フィリピ
ジーラン
台湾
ン
ド
インド
(※)
①
法人税
12.5%
16.0%
17.5%
18.0%
26.0%
19.0%
28.0%
28.0%
28.0%
21.0%
25.5%
30.0%
27.5%
25.0%
25.0%
29.6%
33.3%
34.0%
34.0%
27.5%
28.0%
30.0%
30.0%
30.0%
40.0%
30.0%
30.0%
35.0%
25.0%
34.0%
②
配当源泉
税率
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
10.0%
0.0%
0.0%
0.0%
10.0%
5.0%
0.0%
5.0%
10.0%
10.0%
5.0%
0.0%
0.0%
0.0%
10.0%
10.0%
10.0%
10.0%
10.0%
0.0%
15.0%
15.0%
10.0%
25.0%
17.0%
③
配当源泉
税負担率
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.1%
0.0%
0.0%
0.0%
7.9%
3.7%
0.0%
3.6%
7.5%
7.5%
3.5%
0.0%
0.0%
0.0%
7.3%
7.2%
7.0%
7.0%
7.0%
0.0%
10.5%
10.5%
6.5%
18.8%
11.2%
計
12.5%
16.0%
17.5%
18.0%
26.0%
27.1%
28.0%
28.0%
28.0%
28.9%
29.2%
30.0%
31.1%
32.5%
32.5%
33.1%
33.3%
34.0%
34.0%
34.8%
35.2%
37.0%
37.0%
37.0%
40.0%
40.5%
40.5%
41.5%
43.8%
45.2%
日本の
法人税
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
40.0%
税負担
軽減メリット
27.5%
24.0%
22.5%
22.0%
14.0%
12.9%
12.0%
12.0%
12.0%
11.1%
10.8%
10.0%
8.9%
7.5%
7.5%
6.9%
6.7%
6.0%
6.0%
5.3%
4.8%
3.0%
3.0%
3.0%
0.0%
-0.5%
-0.5%
-1.5%
-3.8%
-5.2%
外国
での
税負担
③=(100%-①)×②
(出所) 各種資料等を基に三菱東京UFJ銀行GCR作成 《一般情報に基づくものであり、各国税率の正確性・完全性を保証するものではありません》
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
※インドは配当支払税
Page6
(テーマ②)底入れが始まった日中経済
中国の在庫投機と危うい原油・商品相場
7,000
500
6,000
450
5,000
400
4,000
350
3,000
300
2,000
250
1,000
200
0
Jan-98
(CRB指数) [6ヶ月遅行]
(上海株)
中国株とCRB指数
150
Jan-99
Jan-00
Jan-01
(出所) Bloomberg
Jan-02
Jan-03
Jan-04
Jan-05
Jan-06
上海A株
Jan-07
Jan-08
Jan-09
CRB指数 [6ヶ月遅行]
60
12
(鉄鉱石輸入;M io Ton)
中国の鉱工業生産、鉄鋼石輸入と鋼材輸出
50
10
40
8
30
6
20
4
10
2
0
Jan-99
Jan-00
(出所) 中国税関
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
0
Jan-01
Jan-02
Jan-03
(輸入)鉄鉱石
Jan-04
Jan-05
Jan-06
Jan-07
Jan-08
Jan-09
(輸出)鋼材 [右目盛]
Page7
(テーマ②)底入れが始まった日中経済
中国は外需依存から内需牽引へ梶を切った
投資分野
1
重大インフラ(鉄道・道路・飛行場等)の建設
および都市電力網の改造
08年11月27日
発表金額
(億元)
09年3月6日
発表金額
(億元)
09年3月6日
発表の比率構
成
前回発表
より増減額
(億元)
18,000
15,000
37.5%
-3,000
増加率
2 低価格賃貸住宅建設とバラック地区改造
2,800
4,000
10.0%
1,200
3 農村の民生およびインフラ建設
3,700
3,700
9.3%
0
4 自主イノベーションと構造調整
1,600
3,700
9.3%
2,100
5 省エネ・排出削減と生態事業
3,500
2,100
5.3%
-1,400
400
1,500
3.8%
1,100
10,000
10,000
25.0%
0
40,000
40,000
100.0%
0
6 医療衛生・教育、文化等の社会事業
7 震災地復興建設
合 計
43%
131%
275%
(資料)国家発展改革委員会発表、各種報道より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
2,000
25
中国の新規貸出と鉱工業生産
1,800
1,600
20
1,200
15
1,000
800
10
600
400
5
200
0
Apr-04
Oct-04
Apr-05
(出所) 中国人民銀行、国家統計局
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
0
Oct-05
Apr-06
中国新規貸出
Oct-06
Apr-07
Oct-07
Apr-08
Oct-08
Apr-09
鉱工業生産(前年比%) [右目盛]
Page8
(鉱工業生産;前年比;%)
(新規貸出;Bio RMB)
1,400
(テーマ③)アジア通貨を取り巻く環境
新興国通貨は堅調地合い継続を見込む
115
110
USD(安)
各通貨(高)
↑
各地域通貨の騰落
(2008/1=100とする)
105
(2008/1=100)
100
アジア
通貨
95
主要
通貨
90
中東欧
通貨
85
中南米
通貨
80
75
↓
USD(高)
各通貨(安)
70
Jan-05
Jul-05
(出所) JPMonganChase
Jan-06
Jul-06
中南米通貨
グローバル経済の減速
Jan-08
Jul-08
主要通貨
Jan-09
アジア通貨
原油商品相場の下落
↓
→
Jul-07
中東欧通貨
→
↓
新興国通貨の下落
Jan-07
貿易収支の改善
↓
↓
実質消費の改善
↓
【3つのフィルター】
① 資源輸出国→×
② 高インフレ国→×
③ 対外債務大の国→×
新興国通貨下げ止まり
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Page9
(テーマ③)アジア通貨を取り巻く環境
アジア諸国の輸出、貿易黒字は急減したが・・・
80%
アジア諸国の輸出前年同月比伸び率
60%
(前年同月比;%)
40%
20%
0%
-20%
-40%
-60%
Jan-08
(出所) 各国統計局等
Mar-08
中国
May-08
Jul-08
韓国
Sep-08
台湾
インドネシア
Nov-08
タイ
Jan-09
マレーシア
Mar-09
シンガポール
May-09
フィリピン
インド
1500
(主要国・地域の経常収支、単位:10億㌦)
1000
推
500
定
-1000
-1500
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
日本
主要アジア諸国
ブ ラ ジル
英国
OPEC(除、イン ドネシア)
08年
06年
04年
02年
00年
98年
96年
94年
92年
90年
88年
86年
84年
82年
-500
80年
0
中国
ロ シア
米国
EU
Page10
(テーマ③)アジア通貨を取り巻く環境
アジア諸国は外貨準備の復元に動いている
350
各国外貨準備高推移
300
(10億ドル)
250
200
150
100
50
0
99年
(出所) 各国中銀
00年
01年
韓国
02年
台湾
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
03年
シンガホ ゚ー ル
04年
マレー シア
05年
インドネ シア
06年
07年
タイ
フィリピン
08年
インド
Page11
(テーマ③)アジア通貨を取り巻く環境
強化されるアジア地域金融
マルチ化したチェンマイイニシアティブ(CMIM)の拠出金・借入可能額
チェンマイイニシアティブのマルチ化 (CMIM)
① 従来のCMIでは各々2ヶ国で締結して
いた通貨スワップを一本化
② 総額を1,200億ドルとする
(現在のCMIは実質640億ドル)
③ モニタリング機関をジャカルタに設置する
④ IMF融資とのデリンク割合を20%
から引上げる方針
⑤ 各国毎の拠出金、借入枠は右図の通り
⑥ 融資の決定は参加国の多数決で決定
シェア(%)
38,400
韓国
中国
借入可能額
金額(百万ドル)
日本
19,200
香港を除く、中国
34,200
借入乗数
金額(百万ドル)
シェア(%)
32.0
0.5
19,200
15.9
16.0
1.0
19,200
15.9
0.5
17,100
14.2
2.5
2,100
1.7
38,400
32.0
インドネシア
4,770
4.0
2.5
11,925
9.9
シンガポール
4,770
4.0
2.5
11,925
9.9
マレーシア
4,770
4.0
2.5
11,925
9.9
タイ
4,770
4.0
2.5
11,925
9.9
フィリピン
3,680
3.1
2.5
9,200
7.6
ベトナム
1,000
0.8
5.0
5,000
4.1
カンボジア
120
0.1
5.0
600
0.5
ミャンマー
60
0.1
5.0
300
0.2
ラオス
30
0.0
5.0
150
0.1
ブルネイ
30
0.0
5.0
150
0.1
120,000
100.0
120,700
100.0
総額
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
拠出金
国
香港(※)
4,200
(平均)
3.0
※香港はIMF加盟国ではないため、借入はIMFデリンク部分に限られる。
(出所) 財務省資料より三菱東京UFJ銀行グローバルカレンシーリサーチ作成
Page12
(テーマ④)インドルピーを見極めるポイント
インド経済は緩やかな底入れへ
12%
インド;実質経済成長率
10%
(前年比;
%)
8%
6%
4%
2%
0%
-2%
04
(出所)
印中央統計局
05
農林水産業
金融・保険・ビジネ ス サ ー ビス
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
06
07
鉱工業・建設
公共サービス・防衛
08
09
商業・ホテル・運輸・通信
実質G D P 成長率
Page13
(テーマ④)インドルピーを見極めるポイント
インドを巡る国際収支環境は悪化した
輸出入(増)
↑
貿易赤字
↑
インドの貿易動向
-16,000
60
-12,000
40
-8,000
20
-4,000
0
0
(貿易赤字;百万ドル)
(輸出入;前年比%)
80
貿易収支 [右目盛]
-20
4,000
-40
8,000
↓
貿易黒字
↓
輸出入(減)
-60
Jan-95
12,000
Jan-97
Jan-99
(出所) 印政府
Jan-01
Jan-03
Jan-05
印輸出(前年比%)
Jan-07
Jan-09
印輸入(前年比%)
40
インドを巡る資本フロー
30
(10億ドル)
20
10
0
-10
-20
04
(出所) インド中銀等
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
05
外国直接投資
証券投資
06
国際援助
07
対外商業借入
08
短期借入
銀行資本
その他
資本収支
Page14
(テーマ④)インドルピーを見極めるポイント
年内のUSD/INRのメインシナリオは45~50レンジ
65
INR安
↑
INRの購買力平価
(95/10基準消費者物価ベース)
60
55
(USD/INR)
50
45
40
↓
INR高
35
30
25
20
Jan-92
Jan-94
(出所) 米印労働省
Jan-96
USD/INR
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Jan-98
Jan-00
Jan-02
Jan-04
購買力平価(適正値)[消費者物価ベース]
Jan-06
Jan-08
適正値±15%
Page15
(テーマ④)インドルピーを見極めるポイント
中長期的にはインフレがINRの最大のリスク要因
40
米印インフレ率
(消費者物価)
30
(前年比%)
20
10
0
-10
-20
Jan-71
Jan-76
(出所) 米印労働省
Jan-81
物価格差(印-米)
Jan-86
Jan-91
Jan-96
印消費者物価(前年比%)
Jan-01
Jan-06
米消費者物価(前年比)
10
米印政策金利
9
8
7
(%)
6
5
4
3
2
1
0
Jan-05
Jul-05
(出所) 米印中銀
Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ
Jan-06
Jul-06
政策金利格差(印-米)
Jan-07
Jul-07
Jan-08
印政策金利
Jul-08
Jan-09
Jul-09
米政策金利
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