スライド 1

農場からフォークまでの食品の安全性: 放射線照射の役割
Dr. Elsa Murano, Under Secretary for Food Safety,
U.S. Department of Agriculture
2003年5月5日にシカゴで開催された「食品の放射線照射に関す
る第1回世界会議」の討議に入る前に、米国農務省食品安全次官ム
ラノ エルザ博士が講演したものです。
この講演は、同年10月7日にスイスのジュネーブで開催された
「食品の放射線照射に関する国際協議グループ」でも行われていま
す。
日本獣医師会 HACCP手法研修用教材検討委員会では、家畜
生産に関与する臨床獣医師を対象とした生涯教育の教材として有用
と判断し、米国農務省の許可を得て翻訳版を作成しました。危害を
制御する方法を確立しないまま「ゼロ汚染」が可能かのような風潮を
改めるために、日本ではタブー視されている照射問題について考え
てみましょう。
農場からフォークまでの食品の安全性:
放射線照射の役割
Elsa Murano博士
米国農務省食品安全次官
食品媒介性疾患の負担
食品媒介性疾患は、米国における国民の健康上、
依然として重要な問題である。
疫病管理予防センター(CDC)の推定:
◆ 患者数
◆ 入院者数
7,600万人
325,000人
◆ 死亡者数
5,000人
が、食品媒介性病原体によって
毎年引き起こされている
食品媒介性疾患の負担
食品媒介性疾患の多数の症例は、
報告されていない。
赤身肉、食鳥肉、加工卵が引き起こす
患者数、入院者数、死亡者数は、
何名だろうか?
食品媒介性疾患の負担
患者数、入院者数、死亡者数のどれをとっても、
極めて高い!
赤身肉、食鳥肉、加
工卵の安全性向上の
ために、食品安全検
査局(FSIS)は、各
方面の長期に亘る科
学に基づいた政策を
実施している。
食品媒介性疾患の感染環を断つ
「あらゆる問題には、単
純で、巧妙で、間違った
1つの解決策がある」
ヘンリー・メンケン
この言葉には、食品媒介性疾患の感染環を
断つ上でも 真実の響きがある。
「移動標的」を狙う
知識の発展は、新た
な問題を特定し、新
たな手段と政策を生
み出す鍵である。
これは、公衆衛生の特色である。
食品の安全性の向上
隙間を埋める
戦略#1
病原体の脅威は、食肉セン
ターで始まるものではないし、
そこで終わるものでもない。
我々は、連邦政府、州政府お
よび地方行政の行政担当官、
ならびに業界と共同作業をす
る必要性がある。
牧場と畜舎
卸し問屋
食品の安全性の向上
隙間を埋める
戦略#1
これらの全ての過程で
危害を制御する機会がある。
生産
輸送
保管・貯蔵
食品の取扱い
食品安全教育を、全国を縦断して
実施している。その教室は・・・
農務省食品安全バス
シカゴ
5月4-5日
チムニィー
7月18-20日
ワシントン
5月19日
ソルトレイク
9月21-25日
ルイスビル
4月12日
実施予定
実施済み
カリフォルニア
10月
ナッシュビル
4月16日
移動教室計画(2003年)
フロリダ
4月2-8日
食品の安全性の向上
科学に基づいた政策決定の改善
戦略#2
HACCPは、
建物の基礎
HACCPシステムが起こりうる危害に対処するこ
とを保障するには、継続的措置が必要である。
食品の安全性の向上
科学に基づいた政策決定の改善
戦略#2
リステリア菌の
リスク・
アセスメント
リスク・アナリシス
大腸菌O157の
リスク・
アセスメント
政策決定のためにリスク・アナリシス
の基盤を整備する必要がある。
食品の安全性の向上
有効な汚染除去方法の適用
戦略#3
農場から食卓までのフードチェーン
業界、学会、および研究集団は、予防措置を
開発するために共同作業をする必要がある。
食品の安全性の向上
有効な汚染除去方法の適用
戦略#3
農場から食卓までのフードチェーン
食品安全検査局は、新しい汚染除去技術の
承認手順を可能な限り簡略化してきた。
農務省は、これらの3つの努力によって
公衆衛生を改善します。
食品安全
システムの
隙間を埋める
科学に基づい
た政策決定の
改善
有効な汚染除
去方法の適用
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
●
安全で効果的な技術
●
食品安全検査局の承認
●
下記の機関による承認と
支持
●
基準の遵守
疾病管理予防センター
(CDC)
放射線照射
商品表示マーク
●
●
米国医師会
●
世界保健機構(WHO)
徹底した研究の完了
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
放射線照射は、「農業法案2002」と
関係する議会活動のために
大きな関心を集めている
「農業法案2002」は、次の権限を与える
◆ 放射線照射された赤身肉と食鳥肉は、学校給
食全国計画に利用できるようにすべきである
◆ 食品安全局(FSIS)は、放射線照射された赤
身肉と食鳥肉に関する教育計画を立案する
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
食品安全検査局(FSIS)、
食品栄養局(FNS)、農産
物流通局(AMS)は、学校
給食全国計画に放射線
照射された赤身肉と食鳥
肉を利用できるようにする
ために、「農業法案」を試
行中である。
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
食品安全検査局は、放射線照射とその他の汚染除去
手段についてより幅広い市民を教育する義務がある。
放射線照射
商品表示マーク
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
消費者は、何を買いたいかを
選択する権利がある。
放射線照射済み食品
農務省は、市民が情報を得た上で判断で
きるように教育しなければならない。
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
農務省が教育計画を作成する上で、
重要な2つの要点は・・・
処理施設は、適正衛
生規範に取って代わ
るものとして放射線
照射を利用すること
ができない。
放射線照射は、適
正な調理方法や適
正取扱い規範に
取って代わるもの
ではない。
放射線照射は、国民の健康を
保護するために利用できる
多数の重要な手段の一つである
食品の安全性の向上
戦略#1 食品安全システムの隙間を埋める
戦略#2 科学に基づいた政策決定の改善
戦略#3 有効な汚染除去方法の適用
有効な汚染除去方法の適用と
放射線照射の役割
放射線照射は、国民の健康を保護するために
利用できる多数の重要な手段の一つである
農場からフォークまでの食品の安全性
米国で食品に放射線照射を行ってきた経過
対象食品
1963年
1964年
1966年
1986年
1990年
1997年
2000年
最初の許可、小麦
ジャガイモ
照射の表示義務
果物と野菜
香辛料
豚肉
食鳥肉
赤身肉
殻付き卵
主な理由
カビ防止
発芽防止
昆虫除去、長期保存
殺菌
旋毛虫の殺滅
サルモネラの殺滅
大腸菌O157の殺滅
サルモネラの殺滅
照射線量
(キログレイ)
0.2-0.5
0.05-0.15
1.0
30.0
0.3-1.0
3.0
4.5
3.0
国際的には、食品の放射線照射は世界保健機構とコーデックス委員会が承認し
Internationally, food irradiation is endorsed by WHO and Codex. Some 37
ている。およそ37ヶ国が40種類以上の製品に放射線照射を許可している。1997年
countries
have approved irradiation for more than 40 products. In 1997 FAO,
には、世界食料機構、世界保健機構ならびに国際原子力機関が、高用量照射した
WHO,
and IAEA issued a joint publication on the safety of food treated with high
食品の安全性に関する共同執筆文書を出版している。
dose
irradiation.
Food Safety and Irradiation in the United States. Dr. Elsa Murano. October. 7, 2003
1.0
最
少
発
症
菌
数
0.8
発 0.6
症
率 0.4
汚
染
限
度
0.2
一般健康成人
● おおよそ100万個の菌を摂取
しないと発症しない
● 最少発症菌数以下で発症し
ても軽度の症状で収まる
0
10-0
発
症
率
(
対
数
)
ハイリスク集団
(健康弱者)
10-1
10-2
● 摂取菌数が減ると発症率が低くなるだ
けで、最少発症菌数は設定できない
● 健康状態によって重篤度は左右され、
抵抗力が低下した状態では致命的になる
10-3
10-4
10-5
100
101
102
104
105
106 107 108
109 1010 1011
摂取菌数
食中毒菌摂取菌数と発症確率に関する近年の知見
米国の食品規格コード(Food Code )
1-201 用語の定義と適用範囲
(44)高感受性集団(Highly susceptible
population)とは、次の理由で、一般集団の人より食
品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。
(i) 免疫低下者、就学前児童、老人
(ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または
療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または
補助生活を受けている人。
日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に
関する法的根拠を設けることが重要である
4
2
0
0~4
累
積
死
亡
者
数
12
10
8
6
4
5~9
10~14
15~19
20~29
50~59
60~69
70~
:動物性自然毒
:植物性自然毒
:大腸菌
:サルモネラ
:ぶどう球菌
:腸炎ビブリオ
2
0
30~39
40~49
年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数
(1996~2002)
年齢
食生活における不安をなくし、安全性についての
自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関
係者すべての努力が必要とされています。
衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。そ
の経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、
作り上げましょう。
安全性についての正しい知識と理解を広げるこ
とが、何よりも大切です。
<その他の視聴覚資料>
1.「農場から食卓までの安全性向上:基礎編」 HACCP手法研修用教材
「危害の紹介: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因」 Robert博士(米国
CDC、病原体低減に関する科学的意見交換会、2002 )
2.「農場から食卓までの安全性向上:採卵鶏編」 HACCP手法研修用教材
3.「農場から食卓までの安全性向上:ブロイラー編」 HACCP手法研修用教材