エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測 発表者:吉田健二(芝浦工大) 共同研究者: 吉田健二(芝浦工大)、小林正(青学大)、古森良志子(神奈川保健福祉大)、 立山暢人(神奈川大)、河田二郎(ISAS/JAXA)、大西宗博、小林孝英(東大 宇宙線研)、湯田利典、西村純(東大) 査定金額と使途 査定金額:20万円 使途 研究費:10万円(現像液等の廃液処理費) 旅費:10万円 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 2 2009年12月19日 これまでのECC気球観測による 宇宙線電子エネルギースペクトル エマルションチェンバー (ECC)電子観測: • 30GeV – 3TeV • 14フライト(1968-2001) • SWT = 7.7m2-sr-day We = 1x1048erg/SN SN rate = 1/30yr SNRs起源の電子スペクトルモデルとの比 較 ECCの特徴:TeV領域の電子観測 => 宇宙線源の同定、宇宙線の加速・伝播機構の解明へ 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 3 2009年12月19日 ECCのTeV領域電子観測による 加速源(SNRs)への制限 SNRsの年齢と 距離のコントア マップ We = 1x1048erg/SN (Ec = 20TeV) Cygnus Loop Vela Geminga Monogem Loop1 Rejected Region Acceptable Region 1TeV以上のECC電子観測データ => 近傍のSNRsの年齢、距離に制限 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 4 2009年12月19日 気球による高エネルギー 宇宙線電子の観測 大気中で発生する大気電子がバックグラウンド 大気電子の起源:陽子等の一次宇宙線と空気と の核相互作用 P+N -> π0 -> γγ (98.8%) -> e+e-:γ線からのe±生成 P+N -> π0 -> γe+e- (1.2%):Dalitz decay P+N -> η,K -> γ -> e+e-:γ線からのe±生成 核相互作用モデル、陽子等の一次宇宙線スペ クトルの不確定性を抑える必要 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 5 2009年12月19日 気球高度での大気電子スペクトルの導 出 (古森) 電子対生成 Cascade Shower Theory Dalitz decay (π0 ->e+e-γ) による直接e 電子: ガンマ線: 制動放射 核相互作用による 大気ガンマ線発生 Initial Condition (Nishimura et al. ApJ1980) (Yoshida et al. PRD2006) 大気電子および大気ガンマ線スペクトル を同時に計算して導出 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 6 2009年12月19日 大気ガンマ線の観測データを用いた 大気電子スペクトルの推定 大気電子スペクトルの推定 ECCによる大気ガンマ線スペクトル Secondary Electron Spectrum theta=30,45,60, Dalitz = 0.005, Attenuation=100g/cm^2 Intensity E^3 [GeV^2/m^2 sr sec] 1000 ECC2002 10g/cm^2(60) 10 g/cm^2(45) 10g/cm^2(30) 10g/cm^2(0) 100 10 g/cm2 10 4 g/cm2 1 1 10 100 Energy [GeV] 1000 核相互作用モデル、一次宇 宙線フラックスの不確定性の 影響を受けない手法 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 7 2009年12月19日 ECC電子観測のby-product ー LPM効果の検証 ー e- ECCによる電子トラック の位置分解能:1μm以下 シャワー発生点の測定 制動放射 g 電子対 生成 LPM効果: eee+ 制動放射断面積の減少 => Bethe-Heitlerによる期待値よりも深いシャワー発生点 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 8 2009年12月19日 ECC気球観測によるLPM効果の検証 ‘96ECC気球実験より 電子イベントの選別 陽子除去能力:105 エネルギーの決定 エネルギー分解能: 11%@200GeV 電子シャワー発生点の 測定 LPM効果に従うような徴候 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 9 電子シャワー発生点 の深さ分布 2009年12月19日 加速器ビームテスト@CERN-SPSによる LPM効果の検証(e50GeV,e200GeV) BH: c2/9= 0.75 (Prob. = 67%) LPM: c2/9= 0.51 (Prob. = 87%) BH: c2/8= 3.01 (Prob. = 0.41%) LPM: c2/8= 0.47 (Prob. = 88%) • e 50GeV: BHとLPMにほとんど差が無く、両者と一致 • e 200GeV: BHをreject、LPMと一致 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 10 2009年12月19日 原子核乳剤の検討 富士フィルム・原子核乳剤 商業用の販売を中止 => 使用を見合わせ イルフォード社・G5原子核乳剤 1リットル(約70万円)を購入 今年度中にテストを実施予定 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 11 2009年12月19日 まとめ 大気ガンマ線観測データを用いた大気電子スペ クトル導出手法の精密化 核相互作用モデル、一次宇宙線フラックスの不 確定性の影響を受けない手法 Dalitz decay(π0 ->e+e-γ)を考慮(約10%の寄与) 原子核乳剤:イルフォード社・G5乳剤のテスト 長時間(2~3日以上)気球電子観測の検討 平成21年度宇宙線研共同利用研究成果発表研究会 12 2009年12月19日
© Copyright 2024 ExpyDoc