日本大学 理工学部 社会交通工学科 平成20年度 前期 軌道工学 第8回(後半) 満員電車がなくなる日(8) 第2章 満員電車をなくすための運行のイノベーション (株)ライトレール 代表取締役社長 阿 部 等 http://www.LRT.co.jp 平成20年6月16日 実現可能な輸送力増強量(1) • どこまで輸送力増強できるか(1) – 現在の山手線の朝ラッシュは2分30秒間隔 • ある電車の出発から次の到着まで80秒 • 内回り新宿・外回り上野等での停車時間60秒 • 余裕10秒で合せて150秒=2分30秒、24本/h – 新たな提案 • • • • • 運転間隔を縮められる信号システム 鉄輪式リニアでの加減速向上 ある電車の出発から次の到着まで35秒 輸送力向上で1駅1扉当り乗降減り、停車時間30秒 余裕7秒で合せて72秒、50本/h 1 実現可能な輸送力増強量(2) • どこまで輸送力増強できるか(2) – 現改比較 • 本数は50÷24で2倍以上 • 総2階建て車両により1列車当り床面積は2倍 • 都合4倍以上の輸送力 – 利用者が高加減速と短時間停車に慣れれば • • • • ある電車の出発から次の到着まで30秒 停車時間25秒 余裕5秒で合せて60秒、60本/h 提供できる床面積はさらに1.2倍、さらなる混雑解消 2 実現可能な輸送力増強量(3) • 定時運転のための工夫(1) – ダイヤの乱れを今以上に少なく • ダイヤが乱れたら、せっかくなくした満員電車が復活 • その最多原因である人身事故の防止にホームドア • 到着・出発時ともロスタイムを生じない技術開発を – 通常時の確実な定時運行 • 何らかの事情である駅に人が溢れると → 停車時間が25秒以内で収まらず → 前の電車との間隔が72秒より長く → 次の駅での待ち客が増え停車時間がさらに伸び → ・・・悪循環 3 実現可能な輸送力増強量(4) • 定時運転のための工夫(2) – 個々人が無理して乗込み • 電車を遅らす → 輸送力を低下さす → 混雑に拍車 – ホームで適正人数のみが待つように • 適正な停車時間 → 定時運行 → 計画通りの輸送力 • ホームへの流入人数を適正にコントロール • 流入を制限し過ぎると電車を空で走らす – 新たな技術開発 • 自動改札口で制御 • エスカレーター・階段等の入口にゲートを設けて制御 • 電車やホームの人数をシステムが検知 4 実現可能な輸送力増強量(5) • 開かずの踏切 – 踏切はほとんど開かなくなる • 通常の立体交差道路は高価 – 上下部分にエレベーターを設けた横断橋 • • • • • • 通常の立体交差より狭い用地で建設、安上がり 横断時間の最大値はむしろ短く ピーク片方向50台強/hくらいまでの踏切には適用可 安全機構と遠隔監視システム、利用者の使い慣れ セルフ機器の普及から実用化の可能性は充分あり 道路渋滞、街の分断、踏切事故の解消 5 実現可能な輸送力増強量(6) • 満員電車はなくせる(1) – 本書の本題 • 各線の提供床面積は3倍強~5倍以上 • 3線運行とできる路線はさらに倍 • 東京・大阪・名古屋から満員電車をなくせる! – 実現は段階的 • • • • 新たな信号システムによる本数倍増は短期で可能 総2階建て車両の導入は路線全体の対応を要す 中駅は当座はタラップ等とし段階的に2層化 3線運行化はさらに時間要すが、複々線化より容易 6 実現可能な輸送力増強量(7) • 満員電車はなくせる(2) – 鉄道の商品価値を確実に向上できる • 「運賃のイノベーション」と同時実行すれば実現可能 – 鉄道事業 • 成長モデルを描けない斜陽産業・衰退産業ではない • 成長産業としか思えない • 胸がワクワクする人はぜひとも鉄道の世界へ 7
© Copyright 2025 ExpyDoc