不適正処分場及び不法投棄処分地の対応 ー住民合意や信頼性向上の観点からー 八戸工業大学大学院 教授/博士(工学)熊谷浩二 八戸工業大学循環型社会技術システ ム研究センター 研究員/博士(工学) 矢澤一樹 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 1 講師紹介(熊谷浩二) S48年 東北大学工学部土木工学科卒 S48~50年 前田建設工業㈱東京支店 S51~H10年 前田建設工業㈱技術研究所、等 地盤注入/ジオシンセティックス補強土/遮水構造(貯水池⇒処 分場建設技術)/他 • H4年 東北大学受託研究員 ・H6年 博士(工学)[東北大学] H11~八戸工業大学大学院土木工学専攻教授 地盤工学/地盤環境工学(負の遺産対策/自然災害対策/環境創造・復 元) /技術者倫理 H15~17年 建築工学専攻主任、H18年 入試部長 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 2 八戸工業大学の位置 校地 378,851m2 運動公園 下宿街 3 八戸工業大学の組織 工学部 機械情報技術学科 電子知能システム学科 環境建設工学科 建築工学科 生物環境化学工学科 システム情報工学科 大学院工学研究科 機械システム工学専攻 電気電子工学専攻 土木工学専攻 建築工専攻 感性デザイン学部 感性デザイン学科 異分野融合科学研究所 循環型社会システム技術 研究センター 工作技術センター 図書館 大学改革室 教育研究戦略室 基礎教育委員会 技術者倫理研究会 外部評価委員会 4 3学科のJABEE認定ー水準の高い教育力 JABEE Japan Accreditation Board for Engineering Education 日本技術者教育認定機構/1999年11月19日設立 社会の要求や学生の要望を配慮した教育プログラムである かどうかを外部機関が評価し公表する制度 JABEE認定3学科の実績 環境建設工学科/2002年度 機械情報技術学科/2003年度 (創生工学コース) 電子知能システム学科/2003年度 5 2003年度 JABEE認定プログラム 北海道・東北 2005年度までの認定 北大(土木/地球・資源/建築学) 北見工大(土木) 北海学園大(土木) 室蘭工業大(機械/土木) 八戸工大(土木/機械/電気・電子・情報通 信) 弘前大(機械/農業工学) 岩手県立大(情報) 岩手大(農業工学) 北里大・大船渡市(農学) 秋田大(化学/材料/土木) 秋田県立大(電気・電子・情報通信) 山形大(化学/機械/情報) 通気・防水シートキャッピング工法研究会 東北大(化学/材料) 2006.5.25. 日本大・郡山市(化学) 6 まえがき(講演の主旨) 不法投棄処分地や不適正処分場に関わる 対応技術に対する住民の意識⇒新規立地の 住民合意の形成に大きくかかわる [シートキャッピング技術の評価(方法・基準) に関する研究の重要性が増している] 安全・安心の実現に向けての提言 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 7 既存処分場への対応(井上雄二 2004) 1)既存処分場の適正性を点検し、診断評価する技術の開発 2)不適正と診断されたときの適正な対策技術の選定方法の 開発、およびその対策技術の開発 3)安定化促進技術の開発と評価 4)End of Life に向けた評価、10年の廃止基準の強化・発展 5)安定化の評価と廃止後の監視 6)既存最終処分場の再生による容量増加(前記2)との関連で 適正な対策技術の一つの選択肢) 熊谷注)評価;予測、予知、推定、判定、点検 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 8 不適正な処分場(西垣誠2004) ・・・・それほど大きな問題は生じていないよう である。これは地盤内の地下水の動きが極 めて遅いためである。したがって、影響がで てくるのが極めて遅い。50年前の不法投棄 の影響が現在現れていることを考えても、今 は別に影響はないが、将来、影響が出てくる 可能性は十分にある処分場が不適正な処分 場である。 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 9 廃棄物技術に関する住民合意の「研 究」動向 特集合意形成,廃棄物学会誌Vol.13 NO.3 pp.4-51 (2002) 日本リスク研究学会第18回春期講演シンポジウム演論予 稿集「廃棄物処理と住民参加型リスクマネジメント」, (2005) 竹松伸一郎:環境アセスメントの現状と課題について,岡山 大学「環境科学技術シンポジウム2006」概要集, pp.Ⅱ- 11-Ⅱ-18 (2006) 矢澤一樹、熊谷浩二、他:青森・岩手県境不法投棄産業廃 棄物の処理計画に関する住民意識調査,八戸工業大学異 分野融合科学研究所紀要第4巻(2006),pp.25~35 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 10 最終処分場に対する不安と事業者に対する不信の払 拭(水野克己他,2005) 品質保証とは,『顧客満足の保証』である。その手 段が品質管理である。 達成能力の向上を図る活動が品質改善である。 品質保証と品質管理並びに品質改善を行うまでの 規則を確立することが,品質マネジメント(Quaity Management)である。 品質マネジメントを行うことで,最終処分場に対す る不安と事業者に対する不信の払拭が可能となる。 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 11 公共事業に関するパブリックインボルブメ ント(Public Involvement=住民関与) PIの 効果 ①合意形成をより円滑に進めることができる ②関係者の共同作業により計画をより良いものに できる ③施設への愛着・愛情がます ④公共事業の透明性・妥当性を示すことができる など 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 12 「新処分施設用地選定」のこれまでの経過について (H17.12/21八戸市住民説明会資料を基に作 成) (背景:H13年に住民の合意得られず断念) 第1回用地選定会議 H16年11月 ・現地調査Ⅰ;2回 (先進施設3箇所、現処分場1箇所) ・現地調査Ⅱ;3回(候補エリアや候補地)+α ・住民説明会16回;2名~約60名(後半は、既設処 分場等への対応への質疑) ・地権者説明会4回(非公開) ・第8回用地選定会議 H17.12月 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 13 キャピング工法(カバーリング工法) 廃棄物処分場の最終覆土:埋立物の安定と 分解に最小限の浸透水だけを通し、水処理 費を低減することを基本とする覆土工法 (JCIGS編:ごみ埋立地の設計施工ハンドブック) 不法投棄や不適正な処分地の覆土:浸出水 による地下水や地盤の拡散・汚染の対策工 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 14 (キャッピング事例1)青森・岩手県境 不法投棄処分地内の状況 ・揮発性有機化合物の汚染源:揮発性有機 化合物混じりの堆肥用物 ・堆肥用物に多種の重金属類、揮発性有機 化合物が混在 基準を超える高濃度地点あり ベンゼン、ジルロロメタン、トリクロロエチレン ・汚染水が地下に浸透、拡散の疑い 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 15 県境不法投棄処分地のキャッピ ングシート 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 16 (キャッピング事例2)香川県豊島不法投棄 処分地の状況 平成2年に発覚(S58頃~H2) 面積28.5ha、 約60万トンの産業廃棄物 シュレッダーダスト/ラガーロープ/廃油等 平成5年 住民438名が公害調停の申請 平成12年6月6日 調停が成立 撤去/再利用(焼却・溶融処理ー最終処分なし)/損害賠 償の放棄 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 17 CSE.ce.NU 豊島 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 18 (キャッピング事例3) 五所川原市市浦一般廃棄物最終処分場適正閉鎖 事業整備工事 能代産廃センター環境保全対策処分場整備工事 (参考:キャッピングとクローズドシステム) 1)青森県内のクローズドシステムで建設された処分場;木造町/小泊/ 市浦 2)八戸市が、クローズドシステム採用を5/19に発表および住民説明 (20万m3、35億円、H21着工) 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 19 安全・安心な施設の実現に向けて 不適正処分場や不法投棄処分地への対処に先端 技術を!(現時点での最大の技術力) 専門技術者の積極的な技術提案 住民からの積極的な提案 個別の提案についての対応結果の公開 住民のニーズを把握できる能力・体制の充実・強化 注)専門技術者も住民の一人 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 20 あとがき(PR & お願い) 環境フロンティア研究会:H13年に発足/八戸高専・八戸工大・企 業等の支援/隔月に八戸高専で研究会(講演;市役所他40~50名) これまでの処分場関連のテーマ(八戸市新処分施設用地 選定に向けた話題として):カジマ/ホージュン/日本技術開発/ ハザマ/八戸工大 /ほか ■第22回 平成18年5月31日(水)16:00~18:00 懇親会18:30~ 於 八戸高専(JR八戸駅からタクシー10分) 1)石炭灰からの有害金属不溶化処理に関する検討 (八戸高専 山岸 俊秀氏) 2)廃棄物最終処分場の現状と課題(太陽工業 青山克己) 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 21 (添付)「技術者」の新しい定義 JABEE;日本技術者教育認定機構(1999発足) 「技術者」とは、技術業に携わる専門職業人をいう。「技術 業」とは、数理科学、自然科学および人工科学等の知識を 駆使し、社会や環境に対する影響を予見しながら資源と自 然力を経済的に活用し、人類の利益と安全に貢献するハー ドウェア・ソフトウェアの人工物やシステムを開発・研究・製 造・運用・維持する専門職業である。 ここで、専門職業とは、社会が必要としている特定の業務 に関して、高度な知識と実務経験に基づいて専門的なサー ビスを提供するとともに、独自の倫理規定に基づいた自律 機能を備えている職業であり、単なる職業とは区別される。 なお、JABEEが対象とする技術者には、研究者も含まれて いることに注意されたい。 通気・防水シートキャッピング工法研究会 2006.5.25. 22
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