高出力Nier型イオン源の開発

高出力Nier型イオン源の開発
環境計測学研究室 清水森人
当研究室の研究概要

分子イオンの解離性反応の研究

静電型イオントラップ
分子の振動状態を基底状態に冷却
の開発を進めている
イオントラップに必要なイオンビーム

出力


5 nA以上の入射ビーム電流量
入射条件

入射位置

イオントラップの中心軸より半径1 mm以内
当研究室のイオン源はこれを十分に満たせていない
Nier型イオン源の概略

Nier型イオン源


生成されるイオンのエネルギー幅が小さい
静電型であるため、小型化が可能
生成イオン数

単位時間に生成されるイオン数:S
I : 電子ビーム数
L : 電子が通過する距離
n0 : 通過する領域の分子数密度
σ : 電子衝突イオン化断面積
※単回衝突の場合を仮定
イオンを効率よく生成するには

電子ビーム


ビーム電流量を多く
衝突領域を広く


電子ビームの形状
長方形の断面
ガスの分布領域
電子銃

電子ビーム生成部分



フィラメントサイズを大きく(従来の2倍)
加速電圧が0~500 Vの範囲で調整可能
軌道計算

軌道シミュレーターSIMION
電子ビームを衝突領域に入射させるための電極形状を計算
1 mm × 3 mm程度の長方形の断面で入射するように設定
厚さ 1mm
密度分布計算
噴射口のパターンを変えて比較

1.
2.
現在のイオン源の噴射口(φ3.2 mm)
φ0.5 mm の噴射口30個を縦3横10に配列
密度分布を計算


近似式、経験式によって密度分布を計算
電子ビーム
1のパターン
2のパターン
計算結果1

特徴


一点集中型
ガスが分布する領域が小さい
計算結果2

特徴


平均分布型
ガスが分布する領域が大きい
計算結果まとめ

2のパターンに決定

平均的に分布
電子ビームと導入されたガスが
衝突する領域が広くなる
イオン源

実験条件
ガス : He
電子加速電圧:450 V
フィラメント電流 : 3 A
レンズ電圧 : 770 V
真空度:1.5×10-5 Torr
バックグラウンド真空度:1.0x10-6Torr
最大ビーム電流:155 nA
写真1 : イオン源
ビーム形状

ビーム径 :

1 mm
レンズ電圧 : 900V
MCPを用いて、ビームの径を測定
写真2 : ビーム断面像
まとめ

目標を満たしたイオン源を制作できた

最大ビーム電流量 : 155 nA

ビーム径 : 1 mm
目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
当研究室の研究概要
イオントラップに必要なイオンビーム
Nier型イオン源の概略
生成イオン数
イオンを効率よく生成するには
電子銃
密度分布計算
計算結果1
計算結果2
計算結果まとめ
イオン源
ビーム形状
まとめ
補足
1.
現在のイオン源
2.
開発目標
3.
イオン化断面積
4.
分子線理論解析
5.
分子線理論解析(2)
6.
マッハ数
7.
角度分布