化学薬品の取扱いについて 北海道大学 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 化学実験の重要性 ●毎日の生活の中で,あらゆる面において 化学薬品は欠かすことの出来ないもの 化学薬品を使った実験を行って ・知識,技能を得る ・新たな発見をする ↓ 非常に重要なこと! ※しかし‥‥‥ 化学薬品には危険性がある→正しい取扱いを! 化学薬品の取扱いについて ・大部分の化学薬品は危険性がある (中毒・火災・犯罪など) しっかりとした取扱い・保管を行いましょう。 保管 ●基本原則‥必要最小量の保管(計画的な購入) 薬品ビンの落下で,中身の液体が飛散→中毒・火災 ・薬品棚からの落下防止策 ・実験台のふちに置かない!(簡単に床に落下する) 実験時の身だしなみ(1) ・服装(実験内容に適したもの) ・滑らない履物(転ぶと危険!) 実験時の身だしなみ(2) ・保護メガネ→目を守る! 予期せぬ反応・発熱 薬品が目に入る→失明のおそれ 必ず着用を!(面倒くさがらない) 取扱い上の注意 ◎健康障害の防止→薬品を体内に入れない! (1)蒸気を吸入 (2)皮膚から MSDS(化学物質等安全データシート) 購入した薬品会社から提供 有害性情報 中毒・ケガの際の応急措置 取扱い及び保管上の注意 物理的及び化学的性質 適用法令 など 薬品の性質を充分に理解してから実験を! 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 化学物質管理システム(1) 化学薬品の全学的な管理(Web上) 薬品の ・保管場所 ・保有量 などを登録 http://chem1.eng.hokudai.ac.jp/rmsv3/ 又は http://chem2.eng.hokudai.ac.jp/rmsv3/ 化学物質管理システム(2) 薬品ビンごとの管理 化学物質管理システム(3) システムに登録すると‥‥ ・在庫検索 どの部屋,どの保管庫にあるかが分かる ・廃液の搬出 廃液量を入力して,環境保全センターへ搬出 ・法令 どの法律に該当するか ・法律関係の届け出 PRTR法など ・安全データシート(MSDS)の検索 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 毒物・劇物とは? ◎少量でも生命に危険のある薬品 盗難・紛失→重大な事故・事件に 厳重な管理・取扱いが必要! ラベル ラベルに「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の表示 薬品ビンのラベルを確認する習慣を(実験前に!) 北海道大学毒物及び劇物管理要項 この要項に基づき、適切な管理を行う 保管庫(1) ◎保管庫(盗難・紛失防止のため) ・堅固で丈夫な保管庫(金属製等) ・常に施錠 ・その他の薬品と混在しない ◎表示 ・「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」 表示のダウンロード:安全管理のホームページ http://www.hokudai.ac.jp/sisetu/anzenkanri2/anzen2.htm 保管庫(2) 堅固で丈夫な保管庫‥‥盗難防止のため! ・ガラス製・プラスチック製の引き戸の保管庫 →引き戸の破壊が容易 盗難の危険が高いため不適 保管庫の施錠 ◎保管庫は常に施錠する(盗難防止!) ・鍵は管理責任者,使用責任者が管理 日中は実験室に人がいるから, 鍵をかけなくても大丈夫では? ごくわずかな時間でも, 実験室が無人になるケース ↓ 想像以上に多い そのほんのわずかな時間が危険 受払簿(1) 受払簿‥‥購入量,使用量,廃棄量の記録 ◎目的 ・現在量の把握 ・盗難・紛失が生じていないかの確認 (現在量との照合) 使用の都度,現在量や使用量などを記録する必要 化学物質管理システムを利用 受払簿(2) ◎受払簿に記録する単位→容器込みの重さ *盗難・紛失の想定すべき事態 1.容器ごとの盗難・紛失 2.容器の中身の一部が盗難・紛失 ↓ 容器があっても,安心は出来ない ↓ 必要に応じて,すぐに現在量を確認 容器込みの重さ‥‥重さを測定するだけで確認可能 受払簿(3) ◎受払簿に記録する単位→容器込みの重さ とはいえど‥‥ *一般的な実験用秤で測定できないものは? 例)一斗缶(約18L容器)など 10~50グラム程度の単位で 測定できる秤を使用 受払簿の記録方法(1) ◎受払簿の記録方法 ●購入時‥すぐに登録(化学物質管理システム) 受払簿の記録方法(2) ●使用の都度‥使用後の容器込みの重さなどを記録 受払簿の記録方法(3) ◎仮受払簿(管理要項に様式) 使用の都度システムに入力するのが難しい場合 1.購入時‥システムにすぐに登録 2.使用の都度‥仮受払簿に記録 3.毎月末までに,その段階での容器の重さなどを システムに記録 *毎月末の意味は ‥最低1ヶ月に1回 安全管理のホームページよりダウンロード (http://www.hokudai.ac.jp/sisetu/anzenkanri2/anzen2.htm) 受払簿の記録方法(4) ◎仮受払簿の保存期間 例えば‥‥ 毒物・劇物を使用した事件が発生 ↓ 何年も前に盗難されたもので,当時の記録が必要に ↓ 5年間は保存が望ましい(*規定上は1年) 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 有機溶剤・特定化学物質とは? 健康障害を引き起こす危険性が大きい薬品 法律 ・有機溶剤中毒予防規則 ・特定化学物質等障害予防規則 主な健康障害 ・有機溶剤‥肝機能障害,呼吸器系障害,貧血 ・特定化学物質‥発ガン性,神経障害 代表的な例 ・有機溶剤 クロロホルム,メタノール,アセトン,ヘキサン, ジエチルエーテル,トルエン,ジクロロメタンなど ・特定化学物質 ベンゼン,アクリルアミド,弗化水素など 局所排気装置(ドラフト) 健康障害を防止‥‥蒸気や粉末を吸い込まない! 局所排気装置→蒸気や粉末の拡散防止 (主な局所排気装置はドラフト) 原則‥‥ドラフト内で使用しましょう! ドラフトの重要性 ◎作業環境測定(空気中の濃度測定) 空気中の濃度が基準値をオーバー 推測される原因 ドラフト以外の場所で実験 自分だけの問題ではない 実験室内の他の人の健康にも悪影響 ドラフトの定期自主点検 1年以内に1回 自主点検を実施(有機則第20条・特化則第30条) 安全管理のホームページよりダウンロード (http://www.hokudai.ac.jp/sisetu/anzenkanri2/anzen2.htm) 点検記録は3年間保存 有機溶剤の表示(有機則第24条) ◎表示(有機溶剤の種類に応じて) 作業中の実験者等が,容易に知ることが出来るように表示 (安全管理ホームページよりダウンロード) http://www.hokudai.ac.jp/sisetu/anzenkanri2/anzen2.htm 有機溶剤の注意事項の掲示(有機則第25条) ◎注意事項の掲示 1.人体に及ぼす作用 2.取扱いの注意事項 3.中毒の応急処置 など 作業中の実験者等が,容易に知ることが出来るように掲示 特定化学物質の表示(特化則第24条,38条) ・関係者以外の立入禁止 ・飲食・喫煙の禁止 *特定化学物質だけではなく‥‥ 化学薬品を使用している実験室→飲食をしない 作業環境測定 法律‥6ヶ月以内に1回,空気中の濃度を測定 例)A実験室で以下の薬品を使用 ・有機溶剤 クロロホルム(管理濃度 10 ppm) メタノール(管理濃度 200 ppm) ・特定化学物質 ベンゼン(管理濃度 1 ppm) 実験室内の空気中の濃度を測定 →管理濃度(基準値)と比較 作業環境測定の結果 ◎一部で管理濃度(基準値)をオーバーの実験室 *推測される原因 ・ドラフトで使用しなかった ・ドラフトを正常に作動させていなかった ・廃液タンクのフタを空けたままにして,蒸気が拡散 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 消防法の危険物とは? ・火災・爆発を起こす危険が高い薬品 性質によって,第1類~第6類に分類 第1類 酸化性固体 第2類 可燃性固体 第3類 自然発火性物質 禁水性物質 第4類 引火性液体 第5類 自己反応性物質 第6類 酸化性液体 実験には細心の注意を! 指定数量とは? ・それぞれの危険物によって定められている数量。 保有量の基準となる。 (基準を超えると,法律・条例の規制を受ける) 例)第4類(引火性液体)の指定数量 ジエチルエーテル 50リットル ヘキサン 200リットル アセトン 400リットル 火災の危険性が高い薬品 ↓ 基準が厳しい ↓ 小さな指定数量 火災の危険性 高 指定数量の計算 例)A実験室に以下を保有 ジエチルエーテル 20リットル(指定数量 50リットル) ヘキサン 100リットル(指定数量 200リットル) アセトン 120リットル(指定数量 400リットル) ●指定数量との比を計算 20/50+100/200+120/400=1.2 この合計値(指定数量の倍数)で保有量を判断 危険物保有量の基準 原則として,区切られた1部屋単位で判断 (建物ごと,分野・研究室ごとではない) 指定数量の倍数 ・0.2 倍以上1.0 倍未満‥各市町村の火災予防条例 ・1.0 倍以上‥消防法 保有基準量を超えると‥ ●指定数量の倍数 0.2 倍以上 1.0 倍未満の実験室 (札幌市火災予防条例の場合) ↓ 少量危険物取扱所として,届け出が必要 壁、柱、床及び天井は不燃材料 窓及び出入り口には防火戸 床は適当な傾斜、かつ、ためます 架台は不燃材料で堅固 など *1.0 倍以上は消防法の規制→さらに厳しい基準 一般の実験室‥‥0.2 倍未満にすることが必要 危険物屋内貯蔵所 ●基準量を超える実験室は‥‥危険物屋内貯蔵所を利用 この貯蔵所に保管→実験室内は0.2倍未満に! *保管できる危険物の種類,保管量が決まっている 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ PRTRとは? ● Pollutant Release and Transfer Register (環境汚染物質排出・移動登録)の略称 →PRTR法(化学物質排出把握管理促進法) 環境汚染,人の健康や生態系への影響が大きい薬品 (例:トルエン,ベンゼン,ホルムアルデヒド, ジクロロメタン,ホルムアミド,キシレン) PRTR物質 ◎化学物質管理システムに登録 どの物質が,PRTR法に該当するか確認 PRTR物質の報告義務 廃棄量,大気への排出量などを行政機関へ報告義務 集計期間‥‥毎年4月から翌年の3月 ◎化学物質管理システム 購入量,使用量,廃棄量,廃液量などを入力 ↓ 環境保全センターで集計 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 実験廃液の管理と処理 ◎実験室から出る廃液 人体に有害,環境に悪影響 適切な処理が必要 下水に絶対に流さない! 廃液の処理 環境保全センターで一括して実施 廃液及び薬品取扱の手引 環境保全センター発行の取扱い手引 ・廃液の分類 ・廃液収集のルール ・薬品の取扱上の注意 など 環境保全センターのホームページからダウンロード可能 (http://epc.eng.hokudai.ac.jp/shiryo/shiryo.htm) 廃液の分類と保管 指定の10リットルの容器(有機系が赤,無機系が白) 決められた日に,指定された場所へ搬出 フタをしっかりと閉める! 廃液タンクへ入れる際の注意 ・混ぜると危険なものもある(特に強酸類) ↓ タンク内で化学反応 ・有毒ガスの発生,発熱・発火 担当の教職員に確認してから廃液タンクへ *廃液タンクへの量‥‥所定の量を超えない 【容器側面の目盛りで,一番上の線 (10リットル)】 廃液タンクの札 廃液タンクの札‥‥内容物,内容量を記載 *化学物質管理システムから印刷 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ 薬品ビンの廃棄 ● 中身が残ったまま廃棄‥‥ ・清掃車・ゴミ集積所の火災 ・刺激性ガスの発生 廃棄方法 (1)洗浄して完全に乾燥 (2)各部局等の指定の場所へ廃棄 ラベルの表示(1) ● 空になった薬品ビンに,別の薬品を入れる場合‥‥ マジック・ペンで修正 ↓ 中身の誤認 ↓ 事故につながる危険 ラベルの表示(2) もし別の薬品を入れる場合は‥‥ ・新しいラベルに貼り替える ・内容物をしっかりと表記 ・入れ換えた日付,担当者名を記載 1.化学薬品の取扱い(全般的) 2.化学物質管理システム 3.毒物・劇物の取扱い 4.有機溶剤・特定化学物質 5.消防法の危険物 6.PRTR法 7.廃液の取扱い 8.薬品ビンの取扱い 9.まとめ ◎化学薬品の不適切な取扱い ↓ 健康障害・事故・事件 ↓ 自分だけではなく,他人にも迷惑をかける ◎化学薬品を使用するということは‥‥ ↓ 教職員・学生に関わらず,社会的な責任がある 正しい取扱い‥‥実験を有意義で充実したものに! 北海道大学 化学薬品の取扱いについて スライドは全て終了しました
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