利用可能波長帯域を考慮した 論理パストポロジー設計手法の提案 福島 行信 大阪大学 大学院 基礎工学研究科 博士前期課程1年 E-mail : [email protected] 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 1 発表内容 • • • • • 2015/9/30 研究の背景 WDM伝送技術 論理トポロジー設計手法の提案 提案手法の評価 まとめと今後の課題 ネットワークシステム研究会@香川大学 2 研究の背景 インターネットの普及に伴う トラヒックの急激な増加 基幹ネットワークの大容量化が求められている WDM伝送技術への期待 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 3 WDM伝送技術 • WDM (Wavelength Division Multiplexing)伝送技術 – 複数の波長を多重化 – 各波長ごとに異なるデータを並列に伝送 従来の光伝送 WDM技術を用いた光伝送 10Gbps 10Gbps 10Gbps 10Gbps 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 4 WDMにおける波長の多重 • 光ファイバ増幅器を導入し波長多重度を上げる – 減衰した光信号を増幅し、利用可能にする – 増幅器の種類によって利用可能な波長帯域が異なる • 最大で1000波長の多重化が可能 多重化する波長 光ファイバ Loss (dB/Km) 2.0 1.0 800 2015/9/30 1000 1200 1400 1600 1800 Wavelength(nm) 光ファイバ増幅器 ネットワークシステム研究会@香川大学 5 WDMによる回線の大容量化 隣接ノード間の回線をWDM技術によって大容量化 D A B C E 中継トラヒックによるノードへの負荷が増大 ノードの処理能力が収容可能なトラヒック量を制限 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 6 論理トポロジー構築による ノードの負荷の軽減 物理トポロジー 光パスを設定 D A E C B D A C B E 論理トポロジー 光ファイバ ノード D A 中継ノードの負荷 が軽減 B 2015/9/30 C E ネットワークシステム研究会@香川大学 論理トポロジー 7 論理トポロジー設計問題 E C B • 入力 D A – – – – 物理トポロジー 各エンドノード間の要求トラヒック量 1波長あたりの伝送容量 1本のファイバで利用可能な波長数 目的関数を最適化 D A • 出力 – 論理トポロジー B C 例 –スループット –必要となる波長数 E NP困難な問題 ヒューリスティックなアルゴリズム により論理トポロジーを設計 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 8 従来の論理トポロジー設計手法 • MLDA (Minimum delay Logical topology Design Algorithm) – – ヒューリスティックな論理トポロジー設計手法のひとつ 手順 1. 物理的に隣接するノード間に光パスを設定 2. 隣接していないノード間に対して、要求トラヒック量降順で光パスを設定 3. 空いている波長を用いて光パスをランダムに設定 • 従来手法の問題点 1. 多重化される波長数が数波から数十波のネットワークを対象 1000波長WDMネットワークでは各ノード間に 十分な数の光パスが設定されない 2. すべての波長が多重化されている状態で論理トポロジーを設計 必要となる光ファイバ増幅器の数が大きくなる 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 9 トラヒックの収容を保証した論理 トポロジー設計手法の提案 • 従来手法の問題点1: 1000波長WDMネットワークでは 各ノード間に十分な数の光パスが設定されない • e-MLDA (extended-MLDA) – MLDAを拡張 – 変更点 • 各ノード間のトラヒックの絶対量を収容するのに必要な数の光パ スを設定 • 各ノード間のトラヒックが流れるのに十分な光パスが設定されるた め、トラヒックの収容を保証 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 10 利用可能波長帯域を考慮した 論理トポロジー設計手法の提案 • 従来手法の問題点2: 必要となる光ファイバ増幅器の数が大 きくなる • MALDA (Minimum fiber Amplifier Logical topology Design Algorithm) – – – – 目的関数:光ファイバ増幅器の数の最小化 各ノード間にトラヒック量降順に光パスを設定 e-MLDAと同じ 絶対的なトラヒック量に基づいて光パスを設定 光ファイバ増幅器により利用可能な波長を優先して利用 必要となる光ファイバ増幅器の数を抑えつつトラヒックの収容を保証 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 11 MALDAにおける光パスの設定 • 1つだけ光ファイバ増幅器が導入された状態から光パスを設定 • 波長が不足した光ファイバに随時光ファイバ増幅器を導入 • 限られた波長帯域に属する波長を優先して用いる • 光ファイバ増幅器の数が抑えられる 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 12 評価モデル(1/2) • 日本の基幹ネットワーク(49ノード、91リンク) – 各都道府県に1つのノード(東京都のみ3つ) • トラヒックモデル – 電話網の通信量 – トラヒック係数αを導入し、実測値をα倍したトラヒック を論理トポロジーに流すことにより各論理トポロジー を評価 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 13 評価モデル(2/2) • 波長モデル – 多重化される波長数:1000波長 – 1波長あたりの伝送容量:10Gbps – 利用可能な波長数 • MLDA, e-MLDA – 初期状態:1000波 • MALDA – 初期状態:250波 – 新たに光ファイバ増幅器を導入するごとに150波 • 性能指標 – 論理トポロジーが収容可能なトラヒック量 – 論理トポロジーに導入された光ファイバ増幅器の数 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 14 収容可能なトラヒック量による評価 •MALDAは限られた波長により設定した光パスにトラヒックが流れるため、 遅延時間がe-MLDAよりも大きくなるが、その差は小さい •e-MLDA : より多くのノードを論理的に隣接 中継ノードの負荷がMALDAよりも小さい ノードの処理能力: 640Gbps ノードの処理能力: 5.6Tbps 8 8.4 Average delay[ms] Average delay[ms] MLDA 7.95 MALDA 7.9 7.85 e-MLDA 7.8 0 8.2 MALDA MLDA 8 7.8 7.6 e-MLDA 1 2 3 4 5 0 5 15 20 25 30 10 Total traffic volume [Tbps] Total traffic volume [Tbps] 2015/9/30 15 ネットワークシステム研究会@香川大学 35 光ファイバ増幅器の数による評価 MALDAでは、必要となる光ファイバ増幅器の 数がe-MLDAよりも小さく抑えられている 450 ノードの処理能力:640Gbps ノードの処理能力:5.6Tbps 500 Number of fiber amplifiers Number of fiber amplifiers 500 350 400 250 300 150 200 MALDA e-MLDA 100 0 0 0 400 e-MLDA 300 200 MALDA 100 0 1 2015/9/30 2 3 4 Total traffic volume [Tbps] 5 0 5 ネットワークシステム研究会@香川大学 10 15 20 25 Total traffic volume [Tbps] 30 16 35 まとめと今後の課題 • まとめ – トラヒックの収容を保証した論理トポロジー設計手法(e-MLDA)の 提案 – ネットワークに導入される光ファイバ増幅器の個数を低く抑える論 理トポロジー設計手法 (MALDA) の提案 – 収容可能なトラヒック量 • e-MLDA > MALDA > MLDA – 必要となる光ファイバ増幅器の数 • MLDA > e-MLDA > MALDA • 今後の課題 – MALDAにより収容可能なトラヒック量をe-MLDAに近づける 2015/9/30 ネットワークシステム研究会@香川大学 17 MLDAの問題点1 • 要求トラヒック量が最大のノード間に1本の光パスを設定 • 光パスを設定するごとにTfirstからTsecondを引く Tsecond 0 80 16 178 0 34 0 80 16 178 0 34 0 0 0 0 0 0 180 3 2 3 0 0 0 Tfirst 0 Tfirst Tsecond トラヒックマトリックス 設定された光パスの数 0 5 2 2015/9/30 0 1 0 2 4 4 0 トラヒック量が大きなノード間に必ずしも 多くの光パスが設定されない トラヒックの収容が保証されない ネットワークシステム研究会@香川大学 18 波長数と収容可能なトラヒック量 波長数小 1波長あたりの伝送容量大 冗長に割り当てられる伝送容量大 収容可能なトラヒック量小 0.01 Average delay [s] 250波*40Gbps 0.001 0.0001 1000波*10Gbps 500波*20Gbps 1e-005 0 2015/9/30 10 20 30 40 50 60 Total traffic volume [Tbps] ネットワークシステム研究会@香川大学 70 80 19 平均遅延時間による評価 • MALDAは平均遅延時間、収容可能なトラヒック量はe-MLDA よりも劣るが、MLDAよりは収容可能なトラヒック量は大きい • MALDA, e-MLDAではノードの処理能力が大きくなると収容 可能なトラヒック量も大きくなる ノードの処理能力: 640Gbps ノードの処理能力: 5.6Tbps 8 8.4 Average delay[ms] Average delay[ms] MLDA 7.95 MALDA 7.9 7.85 e-MLDA 7.8 0 8.2 MALDA MLDA 8 7.8 7.6 e-MLDA 1 2 3 4 5 0 5 15 20 25 30 10 Total traffic volume [Tbps] Total traffic volume [Tbps] 2015/9/30 20 ネットワークシステム研究会@香川大学 35 平均遅延時間による評価 1 各 ノ ー 0.1 ド 間 0.01 の 平 均 0.001 遅 延 時 0.0001 間 (S) 0.00001 2015/9/30 MALDA e-MLDA MLDA 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 要求されたトラヒック量 (Tbps) ネットワークシステム研究会@香川大学 21 平均遅延時間による評価 MLDA と e-MLDA •MLDA:ノードの処理能力に関わらず収容可能 なトラヒック量は一定 •e-MLDA:ノードの処理能力が大きいほど多く のトラヒックを収容 ノードの処理能力: 640Gbps ノードの処理能力: 5.6Tbps 8 8.4 Average delay[ms] Average delay[ms] MLDA 7.95 7.9 7.85 e-MLDA 7.8 8.2 MLDA 8 7.8 7.6 e-MLDA 0 5 15 20 25 30 10 1 2 3 4 5 Total traffic volume [Tbps] Total traffic volume [Tbps] 2015/9/30 22 ネットワークシステム研究会@香川大学 0 35
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