COBRAデータの情報化と3次元可視化 沖縄偏波降雨レーダ(COBRA) X-bandフェーズドアレイ気象レーダ 佐藤 晋介・花土 弘・川村 誠治・岩井 宏徳・ 村田 健史・安井 元昭・浦塚 清峰(NICT) NICT-HyARC 平成23年度共同研究集会 2012年2月28日@名古屋大学ES総合館 はじめに ● 集中豪雨・局地的大雨などによる水害の予測・軽減に は、降雨量の分布や持続性情報が重要で、その地域の 降雨の過去事例や統計的特性の調査も必要。 31AUG2010,15:00JST ● 時空間分解能に優れている気象レーダーデータが期 待されるが、その利用はナウキャストや事例解析研究が 主で、統合的な過去データの利用は進んでいない。 ⇒ 大きなデータ容量が阻害要因の一つと考えられる。 ● 手始めにCOBRA観測データの「情報化」: 高速ネットワーク上の公開アーカイブシステム構築 (カタログ・クイックルック画像の整備を含む)。 アメダス積算降水量 台風観測(事例解析) 気象庁レーダーによる降水ナウキャスト 3次元観測データの利活用 (3次元可視化) 10:45JST 10:50JST 10:55JST 11:00JST 10:59:20JST 10:59:00JST 10:59:40JST 11:00:00JST ILTS 15 Z (km) 10 5 【現状】 1~5分毎の水平分布による降雨 短時間予測 ⇒ 急激な発達は予測困難 【将来】 10~30秒毎の詳細な3次元観測データ ⇒ 雨滴の発生・成長・落下による予測が可能 レーダ近傍の 上空は観測空白域 DISTANCE from Radar (km) グリッドサイズ: 250 m 成) 【フェーズドアレイレーダによる鉛直断面(予想図):10~30秒毎】 COBRA 18:46Z, 29JUL2010 HEIGHT (km) HEIGHT (km) 【ボリュームスキャンによる鉛直断面: 5~10分毎】 COBRA 18:45Z, 29JUL2010 (5分間の14仰角:0.5~24°から合 DISTANCE from Radar (km) グリッドサイズ: 100 m (30秒間のRHI観測データから作成) 気象レーダーデータアーカイブの現状 気象庁レーダーデータ 国土交通省 Cバンドレーダ雨量計 (気象業務支援センターによる提供) ● 過去データは一般には公開されて いない? ●全国合成レーダーGPV 国土交通省 XバンドMPレーダ http://database.rish.kyoto-u.ac.jp/arch/ jmadata/synthetic-original.html (京大RISHアーカイブ: 2003/6~現在) ● コンソーシアムのメンバーに公開 ●レーダー毎極座標レーダーエコー強度GPV 及びレーダー毎極座標ドップラー速度GPV http://www3.nict.go.jp/y/y222/ JMA-PolarCoordsRadar/ (NICTアーカイブ: 2010/5/15~現在) ※ どちらもGRIB2形式(極座標データは特殊) ただし、アーカイブは過去2~3週間程度のみ 研究機関・大学 <X-NET> - 防災科研(海老名・木更津) - 中央大、防衛大、山梨大、気象協会 - 防災科研(長岡、つくば?) - 気象研 (固体化C-band、X-band) - NICT (COBRA) - 北海道大学低温研 - 福島大学 - 名古屋大学(金・銀) - 大阪大(BBR、Phased-array) COBRAデータ容量 Long-range PPI <10分間観測シーケンスの一例> 42016580 ncswp__20100906_001000.001_v002_s01_0_000.0_PPI.nc 5659516 ncswp__20100906_001112.001_v002_s03_0_041.2_RHI.nc 5474828 ncswp__20100906_001157.001_v002_s05_0_245.5_RHI.nc 11020436 ncswp__20100906_001235.000_v002_s07_0_024.0_PPI.nc 9382196 ncswp__20100906_001246.272_v002_s08_0_020.9_PPI.nc 9354892 ncswp__20100906_001255.876_v002_s09_0_018.1_PPI.nc 9382196 ncswp__20100906_001305.452_v002_s10_0_015.5_PPI.nc 9464108 ncswp__20100906_001315.056_v002_s11_0_013.1_PPI.nc 9027244 ncswp__20100906_001325.000_v002_s12_0_010.9_PPI.nc 14EL 9354892 ncswp__20100906_001338.521_v002_s13_0_008.9_PPI.nc Vol. 9354892 ncswp__20100906_001352.568_v002_s14_0_007.1_PPI.nc scan 11238868 ncswp__20100906_001406.614_v002_s15_0_005.5_PPI.nc 11266172 ncswp__20100906_001423.495_v002_s16_0_004.1_PPI.nc 12795196 ncswp__20100906_001440.416_v002_s17_0_002.9_PPI.nc 13368580 ncswp__20100906_001459.638_v002_s18_0_001.9_PPI.nc 12221812 ncswp__20100906_001520.001_v002_s19_0_001.1_PPI.nc 15225252 ncswp__20100906_001547.487_v002_s20_0_000.5_PPI.nc 5819276 ncswp__20100906_001630.001_v002_s22_0_041.2_RHI.nc 5833300 ncswp__20100906_001714.000_v002_s24_0_245.5_RHI.nc 6225972 ncswp__20100906_001752.000_v002_s26_0_300.0_RHI.nc 20867164 ncswp__20100906_001832.002_v002_s28_0_002.0_PPI.nc 26124444 ncswp__20100906_001901.001_v002_s29_0_000.9_PPI.nc ---------------264572 KB / 10 min <収録パラメータ> [*_PPI.nc] ZHH0, VE0, NCP0, ZVV0, ZDR0, LDR0, rhoHV00, PHI0, ZC0, SIGV0, ZDP0, RR0, POW0, ZHH_20, VE_20, NCP_20, ZVV_20, ZDR_20, LDR_20, rhoHV0_20, PHI_20, ZC_20, SIGV_20, ZDP_20, RR_20, POW_20, VT0 ----------------------------------------------total 27 parameter recorded in the netCDF file memory size is 557*504*nco_typ_lng(NC_SHORT) = 280728*2 = 561456 bytes [*_RHI.nc] ZHH0, VE0, NCP0, ZVV0, ZDR0, LDR0, rhoHV00, PHI0, ZC0, SIGV0, ZDP0, RR0, POW0, ----------------------------------------------total 13 parameter recorded in the netCDF file memory size is 443*536*nco_typ_lng(NC_SHORT) = 237448*2 = 474896 bytes Long-range PPI 10分間観測シーケンス(14仰角PPI+5方位角RHI+3仰角遠距離PPI) で約260MBの(レベル2)極座標データが生成され、1時間で約1.6GB、 24時間で約38GBの容量。もし連続運用を行った場合は1ヶ月で 2TBを超える(level-1&2=38GB×2×30日)。 PPIでは合計27パラメータ(2重PRF 対応)がnetCDF形式で記録 ⇒ 気象学ユーザには不要と思われ るが、厳選データ作成も困難 JGN-X(New Generation Network Testbed) JGN (H11~) ⇒ JGN2 (H16~) ⇒ JGN2 plus (H20~) ⇒ JGN-X (H23~) NICTサイエンスクラウド NICT宇宙環境計測グループ(現、宇宙 環境インフォマティクス研究室)が整備 分散型ストレージ Gfarm(Grid Data Farm) (NICT内)連携プロジェクト -災害時におけるリモートセンシングデータの利用技術の研究開発- 課題2(地上系センサーの視覚化) 課題1(Pi-SAR2の高次処理と観測) Pi-SAR2を搭載した航空機 ポラリメトリによるカラー画像化 インターフェロメトリによる立体画像化 高次処理開発・Pi-SAR2観測 データ提供 成果 センシングシステム研究室 ユーザニーズ ライダーデータ視覚化技術開発 課題3(災害活用データの統合・公開) ユーザニーズ データ 高次処理/ 視覚化 防災データ 公開・参照システム 視覚化データ ユーザニーズ 判読知見 アーカイブ・データシステム開発 データ提供 統合データシステム研究開発室 成果 外部研究者 地方自治体等 データ提供 ユーザニーズ データユーザ レーダデータ視覚化技術開発 センシング基盤研究室・センシングシステム研究室 COBRAデータアーカイブ 20XX/ L2/ 〃/ OSNクラウドストレージ領域 L2-SPL/ 〃/ L3/ 〃/ 20XXMMDD/ 〃/ 新規作成 osn-cst/ COBRA/ L3-SPL/ 〃/ QL/ 〃/ L2 : レベル2データ(netCDF)用ディレクトリ L3: レベル3データ(netCDF)用ディレクトリ L2-SPL : L2管理SPLデータ用ディレクトリ L3-SPL : L3管理SPLデータ用ディレクトリ QL : クイックルック画像用ディレクトリ ←電脳Rubyを使ってL3-netCDFファイルの水平・鉛直画像を自動作成 レベル2管理用SPLデータ(ファイル名規則) ⇒ ファイル名が収録されたXMLファイル(L3作成にも利用) ncswp__20100831_170000-20100831_173000.StarsProjectList 開始日付(yyyymmdd) 開始時刻(hhMMss) 終了日付(yyyymmdd) 終了時刻(hhMMss) COBRA level-3 (netCDF) data L2データ ncswp__…_000.0_PPI.nc L2データ ncswp__…_000.5_PPI.nc L3データ生成 プログラム L3データ ncgrid__….nc L2データ ncswp__…_001.1_PPI.nc ・ ・ ・ 収録変数を限定する ことで、データ容量を 減らし、データハンド リングを容易にする <レベル3データ(netCDF)が持つ情報> •以下の三つの次元を座標変数とする。 --- レーダからの距離座標も収録 – LatitudeDimension (緯度座標) – LongitudeDimension (経度座標) – AltitudeDimension (高度座標) •以下の三つの変数を三次元情報として所持する。 –ZE_3D (反射強度): レベル2の VT0 または VE0 –VD_3D (ドップラー速度):レベル2の ZHH0 または ZVV0 –NCP_3D (ノイズ情報/速度分散):レベル2データのNCP0 –その他、レベル2に含まれる観測パラメータ情報などを持つ。 レベル3データ(ファイル名規則) ncgrid__20100831_170510_2500N-2800N_12600E-12800E_000-100.nc 日付(yyyymmdd) 時刻(hhMMss) 緯度(x.xx~y.yy) 経度(x.xx~y.yy) 高度(x.x~y.y[km]) 次世代ドップラーレーダー技術の研究開発 【概要】 突発的、局所的気象災害の予測や災害対策のため、その原因となる 局地的大雨、集中豪雨、竜巻突風等を10秒以内に100 m以下の分解能で 立体的に観測可能なフェーズドアレイ・ドップラーレーダーの研究開発を行う。 高速スキャンを実現するフェーズドアレイ レーダーのアンテナ部外観 10~30秒毎に空間的に抜け のない3次元観測が可能 (降水強度、ドップラー速度) 25 km range 大阪大(吹田キャン パス)に設置 開発スケジュール 2008(H20) ・ 概念設計(システム 検討) ・ 素子部分試作 NICT委託研究 ⇒東芝・大阪大が受託 2009(H21) ・ 予備設計(主に空中線部) ・ 送受信モジュール試作 ・ 性能評価シミュレーション 2010(H22) ・ 基本設計(主に信号処理部) ・ 空中線部の製作 ・ クラッタ除去技術の開発 2011(H23) ・ 詳細設計(解析処理部) ・ 信号処理部の製作 ・ 観測運用技術の開発 完成 2012(H24) ・ 実証実験・評価 ・ データ解析処理部の開発 まとめ・今後の展望 ● 気象レーダーの過去データや3次元観測データの活用を 目的として、JGN-Xやクラウドという高速・大容量の情報通信 環境を利用したCOBRA観測データのアーカイブ・システムを 構築中である。 ● 3次元可視化と一般ユーザの利用向上を目指して、 netCDF形式のレベル3データを作成し、レベル2データと ともにネットワーク上で公開したいと考えている。 ● 今後は気象庁極座標レーダー、大阪大のKu-band広帯域 レーダーなどのデータに加え、今年5月に大阪大学吹田キャ ンパスに設置される予定のフェーズドアレイ気象レーダーの データにも本アーカイブシステムを利用したい。また、データ 処理・配信時間の問題を含めたリアルタイムデータ処理によ るプロダクト公開についても検討していきたい。
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