平成26年度青少年育成推進員全体研修会 青少年の現状

平成26年度青少年育成推進員全体研修会
青少年の現状と育成の
今日的課題
臨床心理士
湯 谷 優
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1 子育て環境の問題
2
子育て環境の問題
○ 少子化
○ 核家族化
○ 地域コミュニティーの弱体化
対人世界の狭小化、凝縮化
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子育て環境の問題
○ 子育ての公的役割意識の低下
私事化 子育て不安の増加
社会化機能の低下
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子育て環境の問題
○ 子育て環境の安全性の低下
○ 過剰なメディア情報
自由度の低い行動空間
豊かな実体験の不足(間接体験の増加)
5
子育て環境の問題
○ ネット環境の急速な拡大
※間接経験の増加と直接経験の減少
ケータイ、スマホ保有率
小学生
中学生
高校生
全体
36.6%
51.9%
97.2%
男
32.8%
42.8%
97.0%
女
40.2%
60.9%
97.5%
2013 内閣府調査より
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子育て環境の問題
○ 物質的な豊かさ
※ 消費型社会 → 人も使い捨て
※
必死に生きる必要性の低下
生命エネルギーの低下
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子育て環境の問題
○ 物質的な豊かさ(続き)
※ 近年の子どもの『うつ』の増加傾向
※ 子どものうつに関する調査
・小学生の7.8% 、中学生の22.8%が高い
うつ状態を示す
・小学生の1.6%、中学生の4.6%がうつ病と
推定
(傳田健三 2007 「子どものうつ病」
母子保健情報第55号による)
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2 問題行動とその特徴
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問題行動とその特徴
(1)多動、集中力の不足
〈4つのタイプ〉
※
※
※
※
しつけ不足型
抑圧型
情緒不安定型
発達障害型
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問題行動とその特徴
(1)多動、集中力の不足
※ しつけ不足型
・基本的生活習慣の乱れ
・きまり・規則の軽視
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問題行動とその特徴
(1)多動、集中力の不足
※ 抑圧型
・甘えなど自然な感情の
過度の抑制
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問題行動とその特徴
(1)多動、集中力の不足
※ 情緒不安定型
・家庭崩壊、虐待など
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問題行動とその特徴
(1)多動、集中力の不足
※ 発達障害型
・注意欠陥多動性障害(ADHD)やア
スペルガー障害など精神発達のア
ンバランスへの周囲の無理解や対
応の混乱が問題を助長
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問題行動とその特徴
(2) 校則違反(校内暴力等)
※ 人格未成熟型(幼児性)
・自己の客観視が苦手
「あからさまな
否認」
※ 決まり・規則の軽視
※ 暴力の正当化
・「無視されたから」(他者への責任転嫁)
・「すぐカッとなります」「我慢ができない」(不可抗力)
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問題行動とその特徴
(3)不登校
〈小学校〉
※ 分離不安
・得手不得手、好き嫌いがはげしい
・保育の延長に学校を捉えている
(保護者)
※ 基本的生活習慣の乱れ
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問題行動とその特徴
(3)不登校
〈中学、高校〉
※ 学業不振
・プライド高く、傷つきやすい
・受動的(指示待ち)
・不安による希望や好奇心の抑制
(何事にも「無理」が口癖)
※ 基本的生活習慣の乱れ
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問題行動とその特徴
(4)家出、性的逸脱
※ 3つのタイプ
・従来型、普通型、病理型
※ 出会い系サイトなどネットが介在
※ 根底には深刻な家族間葛藤
居場所の不在
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問題行動とその特徴
(5)ネット関連トラブル
※ ライン、ツイッター、ブログなどによる
中傷、いじめ、被害
※ ネット依存の増加
※ メディア・リテラシー育成が喫緊の
課題
※ 大人の積極的関与の必要性
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問題行動とその特徴
(5)ネット関連トラブル(続き)
※ 中・高校生のネット依存の状況調査
・2012年秋
・全国の中・高生約10万人を対象
・ネット依存に関する質問票使用
・男子の6.4%、女子9.9%が依存
疑い
・全国で中・高生52万人が依存疑いとの
推定
(久里浜医療センター院長 樋口進氏らによる)
※ 予防のカギは「良好な親子関係」と「父性」
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問題行動とその特徴
(6)無気力、怠学
※ 低い自己肯定感
※ 学校は自分の無能を証明するところ
※ 「チャレンジしなければ、失敗する
こともない」という考え方
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3 育成のための課題
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育成のための課題
(1) 豊かな実体験と遊びの提供
※ 自由に遊び、活動できる
※ 夢中になれる
※ 時間を気にしない(時間がゆっくりと
流れる)
※ 五感をフルに働かせる
※ イメージ力(想像力)を活用する
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育成のための課題
(1) 豊かな実体験と遊びの提供(続き)
※ 『三間』
「人間になるためには、かつて存
在した、豊かな時間と空間、そして
仲間が必要である」
(清川輝基 『人間になれない子ども
たち』 枻出版社)
※ ていねいな状況設定とやり過ぎない
ことのバランス
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育成のための課題
(2) 思考力・イメージ力の育成
※ 安心感
※ 自己肯定感(個性の承認)
※ 異年齢・他者とのふれあい
(疑似兄弟体験、社会性の獲得など)
やる気・意欲、知的好奇心の発現
思考力・イメージ力の獲得
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育成のための課題
(3)礼儀作法、マナーの教授
※ 他者を尊重する
※ 他者との適切な距離感を学ぶ
(円滑な社会生活を送る上での基礎
となる)
※ 大人がモデルとなる
※ 興味・関心のある活動と対にして
教えていく
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育成のための課題
(4)共同体感覚の育成
※ 他の人々と協力して、みんなで幸せに
生きていこうという意欲(アドラー心理学の
キー概念の1つ)
※ 共同体への所属感、信頼感、共感、貢献感な
どから成る
※ 共同体感覚の発展
自分⇒家族⇒学校・職場⇒地域⇒国⇒人類
⇒地球環境⇒宇宙
※ 自分以外の他者・環境のために動く習慣づけ
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育成のための課題
(5)家庭、学校、地域の教育力の回復
※ 教育力≒影響力
※ 三者の連携(相互の尊重)を印象付
ける活動
※ 公的役割意識の再確認(自己満足・
自己利益がモチベーションのほとん
どを占めてはいないか)
・昔話「桃太郎」や「かぐや姫」にみる育成
の精神
28
おわり
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