練習問題アイテムバンクの開発研究 ~再生形式~ 社会情報システム学講 座 3年 浦山 裕美 はじめに(1) 本講座のシステム演習Aでは「独学を支援する教 材設計入門」に基づいて教材作成の演習を行って いる。 このテキストは、9つの章からなり、それぞれの章 末には練習問題がある。 本研究ではこの練習問題をアイテムバンク化し、 Web上で練習問題を解く事ができるシステムを開 発した。 はじめに(2) アイテムバンクとは、各種のテストや調査のために 作成され、実際に実施された多数の項目を集めた アイテムプールを中心としたシステムとして構成さ れている。 「独学を支援する教材設計入門」の練習問題をア イテムバンク化する事によって、簡単に問題を増 やしたり、問題を組み合わせてテストや問題を作 成する事ができる。 はじめに(3) 本システムでは、単純再生法・完成法・訂正法・序 列法の4種類ある再生方式(条件に応じて言葉を 入れる)について、Web上で練習問題ができ、入 力された解答を評価することができる。 設計・開発(アイテムバンク1) 練習問題のデータは、アイテムプール(練習問題 データ)ごとに作成するファイルにする。 アイテムプールのファイルには「項目コード:タイト ル:問題文:正答:評価方法」の順に1行につき1つ の小問を記述する。 問題文ではHTMLタグを使うことができ、表を作成 したり、図などのオブジェクトを入れることが可能で ある。 設計・開発(アイテムバンク2) 1つの問題に複数の回答欄がある場合は、回答 欄の数だけ正答を「+」で区切って記述した。 また、1問の正答が2つ以上あり、その中の1つと 同じであれば正解とする場合は「,」で正答を区切 る事にした。 設計・開発(アイテムバンク3) 次の4種類の中から評価方法を指定する。 ・1.学習者の回答と正答を個々に評価 ・2.複数の回答欄ごとに答えが当たっていたら正 解とする場合(完答) ・3.どの回答欄に記入しても良い場合(順不同) ・4.正答が2つ以上あり、その中の1つと同じであ れば正解とする場合 以上の内、1つを指定する。 システム構成図 設計・開発1(出題・解答プログラム) 問題を表示する際、アイテムバンクから正答以外 のデータを読み込んで、タイトルと問題文の部分を 表示。 同時に、必要な数の回答用テキストボックスと、答 え合わせをするための答えボタンを表示。 問題表示ページ画面 設計・開発2(出題・解答プログラム) 答えを表示する時は、 ・練習問題データから正答を読み込み、学習者の 答えと練習問題データの正答を並べて表示。 ・全ての問題を正解できたか評価。 ・1つ1つの問題に正誤をつけた。 ・問題文も表示。 答え表示ページ画面 評価(目的) 実際に作ったシステムを使ってもらい、システムの 使い難い点を発見し、より使いやすく、見やすいシ ステムを作るために評価を行った。 評価(方法) 「独学を支援する教材設計入門」の練習問題のみ をWeb化しているので、本文をすでに学んだ事が ある大学生4名に被験者になってもらった。 開発したシステムを被験者のワークステーション からNetscape上で実際に練習問題を解いてもら い、その後にアンケートを取り、アンケートの内容 を元に、いくつかの質問を行った。 評価(アンケート内容) 各問題を再生形式の4種類にわけて、それぞれに 対して5段階で評価した。 ・1(とても分かりやすいorとても見やすい) ↓ ・5(とても分かり難いorとても見辛い) また、システムについての意見・感想を記述しても らった。 評価(アンケート結果) 評価(結果1) 5段階評価では2や3が多い事から、システムが 良く評価されていたと分かった。 5と評価された項目はなかったが、いくつかの項目 については4と評価された。 評価(結果2) 特に評価4が多かった訂正法に関しては ・解答の仕方をもう少し詳しく説明が欲しい ・表を使った方が見やすい などの意見があったので、補助文を付け足すなどの改善をし なくてはならない。 また、答え表示ページに関しては ・大文字や少しの言葉の違いで不正解になる などの指摘があった。学習者の答えにキーワードが入っていたら 正解にするなどの方法が必要と思われる。 終わりに 本研究では、「独学を支援する教材設計入門」の 練習問題をWeb上でできるシステムの開発を行っ た。 評価の結果からも、まだ改善の余地が少しあるの で、今後はシステムの改善を行っていきたい。 参考文献 鈴木克明、井口厳、鷲尾幸雄:独学を支援する教 材設計入門、東北学院大学教育工学研究室 (1997) 日本教育工学会編:教育工学事典、実教出版 (2000) 感想 このシステムで一番苦労したのが、学習者の解答 と正答をどう評価したらよいかだった。 自分では良いと思っていたシステムも、他の人に 評価してもらうと問題点がいくつも出てきた。作成 したシステムを何度も評価してもらえば、より完璧 なシステムが作れると思う。 システムを作るのも難しいが、要旨を書くのもとて も難しいということがわかった。
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