肝臓周囲の構造と肝炎の経過 右 左 肝臓は右の肋骨の下に肋骨で囲まれて存在し ている。肝臓の主な働きは、栄養代謝、薬物の 不活化、胆汁の分泌などである。 肝炎を起こすウイルスは肝臓特異的な ものとして5つある。そのうちA,B,C型肝 炎ウイルスの3つが重要なウイルスであ る。 肝臓の働き 肝臓は右の肋骨に守られるようにして存在するヒト の体で最も大きい臓器で、体重の約50分の1およそ 1.3キログラムにもなる。肝臓がこんなに巨大なのは 体に必要な蛋白の合成、栄養の貯蔵、有害物質の 解毒・分解のほかにも、十分な余力をもっているから である。 私たちが食べたものは胃や腸で吸収されやすい形 に変えられた後、肝臓へ送られる。肝臓でいろいろ な成分に加工されると、動脈を通って必要な場所に 配られていく。利用されて不要になった老廃物は、今 度は静脈を通って肝臓へ戻され胆汁へ排泄される。 黄疸の鑑別診断 肝炎、肝硬変への進行による肝臓の変化 表面平滑なピンク色をした肝臓が、次第に表面凹凸が認められる。 A型肝炎感染危険地域と日本の感染例 日本では年間170例ほどの感染例が報告されているに過ぎない。そのうち牡蠣と牡蠣以 外の海産物が多い。 B型肝炎 肝炎発症のメカニズム 肝細胞 肝 炎 ウ イ ル ス 樹 状 細 胞 肝臓 リンパ組織 肝細胞にウイルス感染すると、ウイルス抗原を樹状細胞 が認識し、リンパ組織に移動してT細胞を教育して、ウイ ルス感染した肝細胞を破壊させる。この結果が肝炎であ る。 ウイルス感染自体は肝炎を 発症させない。 胎児や乳児の時に感染する と、免疫機能が不十分のた め、肝炎を発症せずにキャ リアーとなる。成人になるに つれて免疫機能が成熟して 慢性肝炎になってしまう。 成人で感染すると、免疫反 応のために急性肝炎となる。 免疫機能が高い人にウイル スが大量に感染すると、劇 症肝炎となる場合がある。 B型肝炎の治療 1)インターフェロン 35歳以下のB型肝炎では効きやすい (20−30%)が、それ以上の年齢では効 きにくい。 2)抗ウイルス剤 ラミブジン(2000年承認):1年間で 80−90%の患者で肝機能が正常化 し、ウイルスも検出できなくなる。しか し耐性化しやすい。 アデフォビル(2004年承認):1年後に 約60%でウイルスが検出されなくな る。 エンテカビル(2006年承認):症例少 ない。 C型肝炎の治療 1)インターフェロン単独治療 2)ペグインターフェロン+リバビ リン併用療法 PEG(ポリエチレングリコール)イ ンターフェロン(PEGがついてい るために安定)+リバビリン併 用療法 インターフェロンが効きにくいタ イプ(24週間の治療で半数に ウイルス排除) インターフェロンが効きやすいタ イプ(24週間お治療で約90% にウイルス排除)
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