ガイドラインの要約 更新版:米国公衆衛生サービス指針 職業的HIV曝露の管理と 曝露後の予防に関する勧告 出版:2005年10月 AETC NRC スライドセット 日本語翻訳:山田治/山口大学医学部 この発表について これらのスライドは職業上HIV被曝後の曝露後予防(PEP)に 関しする2005年9月のガイドラインを使用して作成されました。 意図された対象は、職業上でHIVに曝露した医療提供者(HCP )の診療を行う臨床医です。 利用者にお願いします。HIV診療は急速に変化している領域 のため、この情報が急速に古くなることがあります。最後に、こ れらのスライドは、いずれも内容や性状を変えずに使われるこ とを意図して作成されています。 -AETC NRC http://www.aidsetc.org 10/05 HIVに対する職業上曝露を管 理するためのガイドラインと曝 露後予防の勧告 米国疾病管理予防センター(CDC)より召集さ れた公衆衛サービスの専門調査委員会によっ て作成されました。 10/05 ガイドライン要旨 序文 医療提供者と被曝 HIVを職業上で媒介するリスク PEPのための抗レトロウイルス薬 妊娠中の抗レトロウイルス薬 救急医による職業上の被曝の管理 米国の病院における職業上のHIV曝露と PEPの使用 つづく 10/05 ガイドライン要旨(続き) HIVに曝露される可能性がある医療提供 者を管理するための勧告 HIV曝露後予防 タイミングと持続期間 薬の選択 曝露された療提供者のフォローアップ 曝露後の検査 曝露後予防薬毒性のモニタリングと管理 10/05 ガイドラインで述べる内容 曝露後予防に使用れる抗レトロウイルス薬 の投与 職業上の被曝に対する迅速な管理 効果的で容認できる曝露後予防治療レジメ ンの選択 曝露後予防薬と他剤との潜在的な相互作 用 つづく 10/05 ガイドラインで述べる内容 (続き) 曝露後マネージメント計画のための専門家 との相談 曝露は、本当に起きましたか? HIV迅速検査の使用 曝露された職員のカウンセリングとフォロー アップ 10/05 ガイドラインは、何について言及 しませんか B型肝炎とCに対する処理する曝露 (以前のガイドラインを確認してください :MMWRに 2001;50(RR-11);オンライン上で http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/rr/rr5011.pdf 非職業上のHIV曝露 (以前のガイドラインを確認してください :MMWRに 2005;54(RR-9);オンライン上で http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr 5409a1.htm 10/05 ウェブサイト ― ガイドラインにア クセスするための http://www.aidsetc.org http://aidsinfo.nih.gov 10/05 医療提供者(HCP)における職業上 の曝露リスク 経皮外傷(針刺し、 切傷) OR 粘膜または傷のあ る皮膚との接触 による: • 血液 • 組織 • 感染性のある その他の体液(脳脊髄水、 滑膜水、胸水、心膜液、腹 水、羊膜液体;精液や膣分 泌液) 10/05 血性でなければ、HIVの感染性 があるとは見なされません 便 鼻汁 唾液 喀痰 汗 涙 尿 吐物 10/05 HIV感染血液による職業上の曝露 によるHIV感染のリスク 経皮暴露後で約0.3% 粘膜曝露後で約0.09% 10/05 リスクの増加に関連する因子 患者の血液が目に見えて混入した器具(例えば 針) 静脈または動脈に直接入れられていた針 中空の(固形の反対)針 深い外傷 末期疾患の患者由来 ?高いウイルス量(職業上の被曝では確立され ない) 10/05 曝露後予防治療レジメンの副作 用 曝露後予防は、まる4週間与えられなければなりま せん 抗レトロウイルス薬の副作用は、普通にみられて、 曝露後予防治療レジメンを完了できない主な理由 になります 従って、短期使用のために可能な限り容認できる治 療レジメンが 選択されなければなりません 10/05 抗ウイルス薬の相互作用 抗レトロウイルス薬は、他剤と深刻な相互作用 を抱えている可能性があります 曝露後予防を処方する前に慎重に、市販薬、サ プリメントとハーブを含む併用薬剤を調べてくだ さい 抗レトロウイルス薬の薬物相互作用について添 付文書または他の情報を考慮してください 相互に作用する薬を避けるか、または慎重にモ ニタする場合もあります 10/05 抗レトロウイルス薬に対する耐性 耐性ウイルスは、治療経験のある患者が感染源と なった場合にもらうことがあります 曝露時の耐性検査は、結果が当初の曝露後予防 治療レジメンの選択判断に利用できないため、実際 的ではありません データはありませんが、耐性検査の成績を利用でき る(概して1-2週)ようになれば、 治療レジメンを修正 することで曝露後予防の有効性が改善すると考えら れます 専門家の診察が推奨されます 10/05 曝露後予防の開始 曝露後予防は、望ましくは曝露後数日以内では なく、数時間以内のできるだけ早期に始められ なければなりません、 どの薬を選択するべきか不確定なときは、遅延 するよりはむしろ、基本的な治療レジメンを始め ます 曝露後予防は、認容できるのであれば、4週間 投与されなければなりません つづく 10/05 曝露後予防の開始(続き) 曝露された医療提供者を曝露72時間以内に再 評価します。これは、 曝露状況または曝露源患 者に関する更なる情報が使えるようになるため です 曝露源がわかった場合、曝露後予防はやめな ければいけません 曝露源患者の HIV状態が不明なとき、患者の迅 速なHIV検査は曝露後予防の決定を容易にする 可能性があります 10/05 曝露後予防治療レジメンの選択 薬剤の数(2または≥ 3)の選択は、HIV感染症 に対するリスクの評価に基づきます どの薬剤を使用するかの選択は、曝露後予 防薬の潜在的毒性と、どれくらいの有効性 (特に耐性のウイルスの場合)があるかに基 づきます 曝露後予防における個々の抗レトロウイルス薬 の有効性に関するデータはほとんどありません 10/05 何種類の薬を使用する? 2種類の薬剤による曝露後予防治療レジメン は、認容性を増し、まる4週間服薬する可能 性を高めます 3種類(またはそれ以上)の薬剤による曝露後 予防治療レジメンは、より強い抗ウィルス活 性を提供する可能性があります ガイドラインは、より高いリスクの曝露に対し てはより多くの薬剤を推薦します 10/05 何種類の薬を使用する? HIV感染症のためにリスクを評価します: 曝露の型 より重篤な:固形針または表面損傷 より重篤な:大口径の中空針、深い穿刺、器具の上に血液 見えている、患者の動脈または静脈で使われた針 曝露源のHIV感染状態 クラス1:無症候性HIV感染症または低ウイルス量(<1500コ ピーRNA/mL) クラス2:症候性のHIV、AIDS、急性セロコンバージョンまたは 高ウイルス量 10/05 経皮外傷者の曝露後予防 曝露タイプ 曝露源のHIV感染状態 HIV+, クラス1 重症でない 基本的な2-薬剤 曝露後予防を推 奨 より重症 拡張した3-薬剤 曝露後予防を推 奨 HIV+, クラス2 拡張した≥ 3-薬剤 曝露後予防を推 奨 拡張した≥ 3-薬剤 曝露後予防を推 奨 10/05 経皮外傷者の曝露後予防(続き) 曝露タイプ 曝露源のHIV感染状態 * 重症でな い より重症 HIV状態不明 通常、曝露後予防は是 認されない;もし曝露源 がHIVリスク因子を抱え ている場合、基本的な2薬剤曝露後予防を考慮 する 上と同様 曝露源不明 通常、曝露後予防は 是認されない;もし曝 露源がHIV感染者と 思われる場合、基本 的な2-薬剤曝露後予 防を考慮する 上と同様 *曝露後予防が行われても、曝露源のHIV陰性が後で分かったら、曝露後 予防は中止する。 10/05 経皮外傷者の曝露後予防(続き) 曝露タイプ 曝露源のHIV感染状態 HIV-陰性 重症でない 曝露後予防は行わない より重症である 曝露後予防は行わない 10/05 粘膜と傷のある皮膚曝露のための 曝露後予防 曝露タイプ 重症でない より重症 曝露源のHIV感染状態 HIV+, クラス 1 HIV+, クラス 2 基本的な2薬剤に よる曝露後予防を 考慮 基本的な2-薬剤に よる曝露後予防を 推奨 基本的な2-薬剤によ る曝露後予防を推 奨 拡張した ≥3-薬剤に よる曝露後予防を推 奨 10/05 粘膜と傷のある皮膚曝露のための 曝露後予防(続き) 曝露タイプ 曝露源のHIV感染状態 HIV状態不明* 曝露源不明 重症でない 通常、曝露後予防は是 通常、曝露後予防は是 認されない 認されない より重症 通常、曝露後予防は是 認されない;曝露源が HIVリスク因子を抱えて いる場合、基本的な2薬剤による曝露後予防 を考慮 通常、曝露後予防は是 認されない; HIVに感染 した人による曝露らしい 場合、基本的な2-薬剤 による曝露後予防を考 慮 *曝露後予防の開始後に曝露源HIV陰性であるとは分かった場合は曝露後予防を中止します。 10/05 粘膜と傷のある皮膚曝露のための 曝露後予防(続き) 曝露タイプ 曝露源のHIV感染状態 HIV-陰性 重症でない 曝露後予防は行わない より重症 曝露後予防は行わない 10/05 どの薬を使用するか? 専門医との相談を推奨します 副作用の可能性が最も少なく、アドヒアラン スを最大にしうる治療レジメンが選ばれます 曝露源である人の病歴、すなわち抗レトロウ イルス療法と疾患病期に関する病歴と治療 に対する反応を含めて考慮します 10/05 どの薬を使用するか?(続き) 曝露源患者のウイルスが抗レトロウイルス薬に 耐性であることが分かっている場合には、曝露 後予防治療レジメンは曝露源ウイルスに 耐性 でない薬剤を選びます 耐性に関する情報が直ちに入手できなくても、 曝露後予防(必要な場合)を遅らせるべきでは ありません;変更は後でもできます 10/05 どの薬を使用するか?(続き) 基本的2-剤併用レジメン: 好ましい組合せ: ジドブジン+ラミブジンまたはエムトリシタビン テノホビル+ラミブジンまたはエムトリシタビン 代替の組合せ: スタブジン+ラミブジンまたはエムトリシタビン ジダノシン+ラミブジンまたはエムトリシタビン 10/05 どの薬を使用するか?(続き) 拡大した≥3-剤曝露後予防治療レジメン: 好ましい組合せ: ロピナビル/リトナビル(Kaletra)+基礎2-剤併用レジメン 代替の組合せ: アタザナビル*±リトナビル ホスアンプレナビル±リトナビル +基礎2-剤併用レジメン インジナビル**±リトナビル サキナビル+リトナビル ネルフィナビル エファビレンツ*** *アタザナビルはテノホビルと併用する場合、リトナビルを曝露後予防治療レジメンに加える。**妊娠後 期は避ける。***;催奇形性;妊娠中は避ける。 10/05 どの薬を使用するか?(続き) 通常、曝露後予防に推奨されない抗レトロウイルス 剤: ネビラピン デラビルジン アバカビル ザルシタビン ジダノシン+スタブジン 曝露後予防のために専門家の診察だけで使用される 抗レトロウイルス剤: Enfuvirtide 10/05 曝露後予防のための薬の選択: コンサルテーションはガイドライン の要素です “この勧告では、HIV曝露後予防治療レジメン の選択が複雑なため、可能な場合は抗レトロ ウイルス療法とHIV感染症の専門的知識があ る医師にコンサルテーションすることが盛り込 まれています” 10/05 コンサルテーションのための情報 資源 曝露後予防を確認した施設内の専門家(例 えば、感染症コンサルタント、病院疫学者) 'National Clinicians’のような、曝露後予防ホ ットライン(PEPline)(電話888-448-4911) 10/05 専門家のコンサルテーションが 勧められる状況 遅れた( 例、24-36時間以後の)曝露報告 曝露後予防の効果が不明確な時間が経過した報 告 不明な曝露源(例えば鋭器処理容器または洗 濯物の針) ケースバイケースで決定される曝露後予防の使用 曝露の重症度とHIV曝露の疫学的な可能性を考慮 する 針または他の鋭器をHIV用に検査しない つづく 10/05 専門家のコンサルテーションが勧め られる 状況(続き) 曝露された人が妊娠にしているか、その疑いがある 場合 最適な曝露後予防治療レジメンの使用は対象外になりませ ん 単に妊娠だけの理由で、曝露後予防は対象外になりません 曝露された人の母乳栄養 最適な曝露後予防治療レジメンの使用は対象外になりませ ん 単に母乳栄養だけの理由で、曝露後予防は対象外になりま せん つづく 10/05 専門家のコンサルテーションが勧め られる 状況(続き) 抗レトロウイルス剤に対する曝露源ウイルスの耐性 薬剤耐性ウイルスの感染リスクの影響はまだ不明です 曝露源者のウイルスが一つまたはそれ以上の薬剤耐性で あることが分かっているか疑われる場合、曝露後予防に使 用する薬剤の選択は、曝露源者のウイルスが耐性を示さな いと思われる薬剤を選択することが推奨されます 曝露源者のウイルスについて薬剤耐性検査を曝露時に行う ことは推奨されません 耐性検査の結果を待つことで曝露後予防の開始を遅らせて はいけません つづく 10/05 専門家のコンサルテーションが勧め られる 状況(続き) 初回の曝露後予防治療レジメンの毒性 曝露後予防による有害症状(例えば吐き気と下痢)は普 通にみられます これらの症状は、曝露後予防治療レジメンを変えなくても、 制吐薬または消化器運動抑制薬を処方することで管理で きます 服用量・回数の修正(製薬メーカーが勧めるように、食後 の服薬、日中の投与量を低容量・頻回にすることで)は、 もし症状起きたときにその軽減の助けとなります 10/05 曝露された医療提供者のフォロ ーアップ 全ての曝露された医療提供者は、曝露後予防を受 けるかどうかは、別として以下のことを受けます フォローアップ・カウンセリング、曝露後の検査と医学的 評価 セロコンバージョンをモニタするために、曝露の後の基礎 値、6週、12週と6ヵ月のHIV-抗体検査(EIA) HIV/HCV 混合感染した曝露源の場合でHCVに感染した 医療提供者の場合は、12ヵ月後までモニター期間を延長 します 曝露された医療提供者が急性レトロウイルス症候群に一 致する病状を示す場合は、HIV検査を行います 10/05 曝露された医療提供者のフォロー アップ(つづき) 曝露された医療提供者は、特に曝露後最初 の6-12週の間は二次感染を予防するために 注意(例えば、血液または組織提供、母乳栄 養、妊娠を避ける)するように勧められます 10/05 曝露された医療提供者のフォロ ーアップ(つづき) HIVに対する職業上曝露の心理的影響は重 要です;曝露された医療提供のマネージメン トとケア上、心理的カウンセリングは必要不 可欠です 10/05 曝露された医療提供者のフォロ ーアップ(つづき) 曝露後予防服薬者のための情報提供: 曝露後予防に対するアドヒアランスの必要性と処方され た治療計画を完了することの重要性 曝露後予防として欠かすことができない薬剤と他の薬 剤との相互作用について 処方薬の副作用について、副作用を最小化するための 手段と副作用のモニタリングの方法 医療提供者に報告すべき症状 10/05 曝露された医療提供者のフォロ ーアップ(つづき) 医療提供者は副作用のためしばしば曝露後 予防を中止します;副作用を密接にモニタし て、積極的にそれら(例えば、特的の症状に 焦点をしぼり、 薬剤で)を管理します。副作用 が容認できない場合は、曝露後予防投薬計 画を変えることを考えます。 10/05 曝露された医療提供者のフォロ ーアップ(つづき) 曝露後予防薬副作用のモニタリングとマネージメント: 基礎値と曝露後予防開始2週目の評価と臨床検査を 行う 臨床検査:CBC、腎機能・肝機能検査、そしてプロテ アーゼ素阻害薬を服薬している患者では血糖値も 曝露後予防投薬計画の薬に特異的な毒性を把握す るための検査と、医療提供者の医学状態に関する検 査 薬物の副作用に気づいたら、専門家を入れて曝露後 予防投薬計画の修正を考慮します 10/05 このスライドセットについて この発表は、Susa Coffey, MDとLaurence Peiperl, MDによってAETC米国情報資源セ ンターのために、2005年10月に作成されま した。 この発表の最も新しい版ついては、AETC NRCWeb Siteを確認してください: http://www.aidsetc.org 10/05
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