ある男の反省(半生) - 関西学院大学

意味のある行政評価とは
~行政経営改革の限界と可能性~
関西学院大学北海道分権セミナー
話題提供者:尼崎市監査事務局
増田 昭男
1
本日の内容
<尼崎市の改革と自分自身の取り組み>
 尼崎市の概況
 H10~13年度の事務事業評価導入まで
 H14~16年度までに行政経営改革
 それら取り組みの総括&自分自身の総括
※極めて、個人の主観に基づく話です!
失敗事例なので、突っ込みをお願いします!
2
尼崎市の概況



市域:49.77K㎡
人口:約462,000人
1971年約554,000人
92,000人減少
推計人口
2030年約361,000人
課税所得
阪神間平均453万円
尼崎市
359万円
3
H10~13年度までの
改革第1ステージ
流行に乗ったけど・・・
4
当時から改革が必要と考えていた背景
人口減少少子高齢化社会の到来
⇒全国的な課題
 財政危機
⇒全国的な課題に加え、尼崎市特有の課題
がある
 非常に歪な職員の年齢構成
⇒全国的な状況が深刻化した尼崎市

5
財政危機1(市税収入)
億円
950
900
850
800
750
700
650
600
市税収入の推移
836
863 873
871
905
823 808
869
H9年度と比較して
204億円22.5%減
847
820 809
777
723 709
701
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17
<減少の内訳>
・個人市民税
264億円 ⇒ 165億円 ( 99億円減)
・法人市民税
93億円 ⇒ 68億円 ( 25億円減)
・固定資産税及び都市計画税
481億円 ⇒ 405億円 ( 76億円減)
・収益事業収入(競艇場)
146億円 ⇒ 12億円
(134億円減:92年度対05年度)
6
財政危機2(市税収入内訳)
税財源の内訳
45,000,000
40,000,000
35,000,000
25,000,000
20,000,000
15,000,000
10,000,000
5,000,000
度
平
成
12
年
度
成
平
10
年
成
平
11
年
度
度
平
成
9年
度
平
成
8年
度
平
成
7年
度
平
成
6年
度
平
成
5年
度
平
成
4年
度
3年
成
平
成
平
成
元
年
2年
度
度
0
平
税額
30,000,000
年度
個人市民税
特別土地保有税
法人市民税
入湯税
固定資産税
事業所税
軽自動車税
都市計画税
市町村たばこ税
7
財政危機3(計上収支比率の推移)
経常収支比率の推移
103.6
105
101
100.6
100
96.5
97.6
99.1
100.5 100.4
99.1
93.8
95
90
98.3
89.7
87.8
85
80
75
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
・定数削減や給与水準の見直しなどにより人件費は減少
・投資的経費は、震災前を下回る水準
・扶助費の増加と震災復興事業により700億円の市債発行により
義務的経費を押し上げている
8
財政危機4(歳出内訳)
歳出の推移
70,000,000
60,000,000
40,000,000
30,000,000
20,000,000
10,000,000
年
度
平
成
12
年
度
成
平
10
成
11
年
度
度
平
平
成
9
年
度
平
成
8
年
度
平
成
7
年
度
平
成
6
年
度
平
成
5
年
度
平
成
4
年
度
3
年
成
平
2
年
成
平
成
元
年
度
度
0
平
歳出金額
50,000,000
年度
人件費
維持補修費
投資・出資・貸付金
扶助費
補助費等
投資的経費
公債費
繰出金
物件費
積立金
9
職員の年齢構成1(定数削減の状況)
尼崎市最大職員数
(5,599人)
阪神大震災
職員数の推移
5,700
採用
職
員
数 5,200
(
水
道
・ 4,700
交
通
を
除 4,200
く
)
あまがさき未来協会へ
市町村
経営フォーラム
最大から現在の職員削減数
1,685人(30.1%)
行政管理課へ
行政経営研究会発足
2002年4月1日現員
3,914人
職員労働組合専従へ
3,700
S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1
H2
H3
H4
H5
H6
H7 H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14
年 度
10
職員の年齢構成2
尼崎市職員年齢構成表(事務職員)
(2004.4.1現在)
120
男性職員
100
80
職
員
数
管理職員
60
女性職員
40
20
0
18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 32 33 34
35 36 37 38 39 40 41
42 43 44 45 46 47 48
49 50 51 52 53 54 55
56 57 58 59
年齢
・50歳以上の職員の構成比率
53.2%
・50歳以上の管理職員の構成比率
84.2%
11
何が問題と考えたのか
第1ステージ その1
12
地方自治体は、事務事業の柔軟な執行は求め
られていないのではないか
Plan
Do
市長
基本方針
重要事務事業の進行管理
局長
部門別執行方針
局内事業の進行管理
部長
実施基本計画
部内事業の進行管理
課長
具体的実施計画
係長
課内事業の進行管理
Do
<方針管理>
○基本方針として、新規事業
構 築 の政 策 調整 方 針 、
予 算 編成 方 針 、 定 数 変
更方針などを発信する
<進行管理>
○進行管理は、事務事業の
執行状況の把握を行う
○重要事務事業の進行管理
は、面整備などの投資的
事業の進捗度管理を主
に行う
事業の指導監督
Do
係員
事業の実施
尼崎市事務処理規程及び事務事業進行管理規程にみる行政管理
13
どのような改革を目指そうとしたのか
Plan
See
Do
市長
基本方針
重要事務事業の進行管理
行政評価による成果の検証
局長
部門別執行方針
局内事業の進行管理
行政評価による成果の検証
部長
実施基本計画
部内事業の進行管理
行政評価による成果の検証
課長
具体的実施計画
課内事業の進行管理
行政評価による成果の検証
Do
係長
事業の指導監督
Do
係員
事業の実施
目指すべきは、成果による統制
14
何をしたのか
第1ステージ その2
ゲリラ部隊の結集
15
尼崎市事務事業評価導入の前夜
<H10年度>
(財)あまがさき未来協会 行政経営研究会
B/S作成
 事務事業評価導入の示唆
※ゲリラ部隊の結集

<トピックス>



関西学院大学 山本栄一先生の後押し
小西先生らとの出会い
日本経済新聞などの記事の掲載
16
市町村経営フォーラム99
<H10年度の研究成果を実現するために>



市町村経営フォーラム99を開催
⇒当時:逢坂町長、細川珠生氏、上山信一氏ら
あまがさき宣言99
何故か、福岡市で花開く
⇒トップダウン(福岡市)と
ボトムアップ(尼崎市)の差か
※ゲリラ部隊の活動は
17
あまがさき宣言99
<抜粋>
また、われわれは、プロの公務員が誇りを持って仕
事ができる環境づくりを訴えたい。また、議会、住民、
マスコミも、良い工夫、ひたむきな改善努力には賞
賛を惜しむべきではない。例えば、ディズニーなど
のサービス業の先端企業は、従業員を極めて大事
にする。同様に、公務員が仕事に対して不安や不満
を抱いているようでは、良質な住民サービスは期待
できない。
18
尼崎市の事務事業評価
第1ステージ その3
~作ってはみたものの~
19
尼崎市事務事業評価 その1(H13年度バージョン)
何のために資金を投入するのか
事業・業務名
事業番号
担当部
担当課
基本計画の施策体系
住民基本台帳業務
822101
市民生活部
市民課
部
章
節
施策・方向性
事業開始年度
所管した部長名
所管した課長名
7部
24章
82節
21番
藤井 棟昭
殿護 禎彦
業務
市民サービス
市民サービス業務
戸籍・住民基本台帳部門
事業目的(誰を、どの地域を → どのような状態にしたいのか → そうすることによってどのような効果を得たいのか → 実現する具体的手法)
(対象) 市民 (住民基本台帳人口 464,170人、世帯数 199,174世帯 平成13年4月1日現在)
(意図) 本庁市民課、各支所市民課及び各地区出張所において届出の受付及び、各種証明書(住民票の写し、住民票
記載事項証明、戸籍附票、転出証明)を交付する。
(手段) 本庁市民課、各支所市民課、園田東地区出張所(9:00~17:15)
地区出張所(平日7:30~19:00、土曜日9:00~15:00)
20
尼崎市事務事業評価の特徴1

予算小事業(約3,000事業)を目的別に整理し
た(事務事業評価:約1,000事業)
⇒予算事業との不整合が生じた

全事務事業を総合計画・実施計画の施策体
系と関連付けを行った
⇒事業の多面性を無視
21
尼崎市事務事業評価 その2(H13年度バージョン)
いくらの資金を投入するのか
インプット
決算額
財 国・県支出金
源
市債
決 内
一般財源
訳
その他
事業費合計
部門外経費
算
直接人件費
間接費
額
(正規職員)
(嘱託職員)
(△控除)非コスト項目
(△控除)雑収入
(加算)減価償却費
(加算)金利
(加算)退職給与引当
フルコスト
11年度決算
594,190
0
0
488,140
106,050
566
111,298
454,531
27,795
39.43人
10.18人
0
0
0
0
21,491
615,681
12年度決算
636,704
0
0
533,712
102,992
3,648
131,945
475,945
25,166
40.54人
13.82人
0
0
0
0
16,905
653,609
13年度決算
616,894
0
0
511,380
105,514
13,907
133,216
443,727
26,044
37.59人
13.96人
0
0
0
0
9,810
626,704
14年度予算
606,284
0
0
502,476
103,808
12,803
135,610
429,880
27,991
39.05人
9.15人
0
0
0
0
10,193
616,477
15年度予算
0
0
0
22
尼崎市事務事業評価の特徴2
<コスト集計の特徴>
 人件費のみの事務事業を認識
 事務事業に人件費を配賦
 減価償却費を費用として認識
 資本支出を事業費から控除
 事務事業に間接費及び共通費を配賦
23
尼崎市事務事業評価 その3(H13年度バージョン)
結果、どうなったのか
アウトプット
証明書発行件数
単位当たりコスト(円)
比較分析コメント
執
(経年業績評価)
利用可能総時間
行 単位当たりコスト(円)
比較分析コメント
(経年業績評価)
11年度決算
12年度決算
13年度決算
14年度予算
15年度予算
353,501件
343,307件
351,714件
346,036件
1,742円
1,904円
1,782円
1,782円
#DIV/0!
住民票の写し等証明書1件当たりのコスト数値である。
証明書発行1件当たりのコスト負担内訳(市 1,482円、 市民 300円)
平成13年1月から住民基本台帳業務のうちデータ入力作業を業者委託したことによる人件費
の減により、1件当たりコストは減少している。
26,648時間
29,168時間
31,698時間
29,714時間
23,104円
22,408円
19,771円
20,747円
※ 平成11年6月1日 各出張所における昼休み窓口業務実施
※ 平成12年6月1日 立花駅前出張所業務開始
※ 平成13年4月1日 中央支所業務開始
よって各施設利用可能総時間は増加し、単位当たりコストは減少している。
#DIV/0!
評
12年度決算
園田支所 1,850円
本庁市民課 2,434円 阪尼出張所 比
中央支所 0円
較 (施設別・活動別・ 小田支所 1,401円
数
類団・民間)
大庄支所 1,926円
値
立花支所 1,471円
価
武庫支所 1,426円
比較分析コメント
13年度決算
園田支所 1,599円
993円 本庁市民課 2,055円 阪尼出張所
1,081円
出屋敷出張所 2,527円 中央支所 2,290円
出屋敷出張所 2,597円
塚口出張所
小田支所 1,528円
塚口出張所 1,175円
東園田出張所 1,427円 大庄支所 2,019円
東園田出張所 1,377円
園田東出張所 9,030円 立花支所 1,589円
園田東出張所 8,751円
立花駅前出張所2,736円 武庫支所 1,489円
立花駅前出張所2,013円
1,159円
施設別住民票の写し等証明書発行1件当たりのコスト数値である。
※ 本庁市民課の中には、ホストコンピュータ関連経費及び住民基本台帳入力業務等に要す
る人員を含んでいるため、コスト増となっている。
24
尼崎市事務事業評価の特徴3
<事務事業のコスト分析の試み>
 部門間比較
 類似事務事業比較
 経年変化
 ABC分析の試み
⇒しかし、部門長に費用をコントロール
する権限が付与されているのだろうか・・・・。
25
どんなことがしたかったか
<常に改善を目指す組織>
第1ステージ その4
~夢物語~
<救急救助編>
26
救急件数の伸びを見ると・・・
1隊あたりの救急件数
3,800
3,600
震災移行の増加から算出
3,400
3,200
救 3,000
急
件
2,800
数
さらに増隊の必要が発生?
増隊の必要が発生?
2,600
2,400
1隊増隊し7隊に
2,200
2,000
8年
平
成
平
成
9年
平
成
年
10
平
成
年
11
平
年
12
成
年
13
平
成
年
14
平
成
年
15
平
成
年
16
成
平
年
17
平
成
年
18
平
成
年
19
平
成
年
20
平
成
年
21
平
成
年
22
平
成
年
23
平
成
年度
27
尼崎市の救急活動
傷病程度別の推移
クラ フ1
阪神大震災前
10,000
9,000
軽症
8,000
31.0%増
7,000
6,000
34.5%増
中等症
件
5,000
数
4,000
重症
3,000
2,000
1,000
0
平成3年度
その他
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度
年度
死亡
死亡
重症
中等症
軽症
その他
28
こんなので、対応できない?
増隊する
コスト増大
救急隊増やす
軽症者に、ボランティア・タクシー
を利用してもらう
救急件数の
増加に対応
軽症者の利用
を減らす
モラル向上のための啓発
救急車の稼働率向上
救急車の稼動
率を上げる
救急隊の稼働率向上
29
当時の事務事業評価導入目的(公式見解)
「事務事業評価システムは、行政活動によって提供
されるサービスやその成果を顧客である住民の視
点から客観的指標で評価するとともに、その評価内
容を情報開示することによって、行政として説明責
任を果たし改革改善を推進していく手段です。」
 コスト評価機能の強化【執行評価】
 顧客成果志向の行政運営【政策評価】
 行政の体質改善・職員の意識改革
 経営的視点(ニュー・パブリック・マネジメント)の導入
30
私が目指したかったこと
 成果(結果)に対する責任を負う組織運営
⇒現場では、救急活動のような絶え間ない改善
 政策・予算・定数の3つの意思決定の統
合のための共通言語の作成
 極端な政治的恣意性の排除
⇒これが後に・・・
31
事務事業評価を導入したが、
何も起きなかった?なぜ???
<甘い暗黙の前提条件>
 業績を測定する事務事業評価を実施し、そ
のすべてを公開することにより、市民・議会
から改革への健全な圧力が生じて、職員の
成果に対する考え方や仕事のあり方を変え
ざるを得ない状況になる
<第1ステージの反省>
 外からの改善改革の圧力を期待するのでは
なく、自ら変わる意識改革が必要!!
32
H14~16年度
改革の第2ステージ
新たな行政経営システム構築
~幻想と幻惑の狭間で~
33
経営再建プログラム(抜粋)

新たな行政経営システムの確立と発展
近年の行政課題は、益々多様化・高度化し、柔軟かつ迅速
な意思決定と業務運営が求められることから、成果志向に
基づく事務事業の選択と集中を定着化させ、各局の主体的
な改革改善の取組を促すため、行政資源の弾力的な運営方
策を確立する必要がある。
このため、新たな行政経営システムを、事務事業評価システ
ムを中心として確立し、継続的に事務事業の再構築を進め
るとともに、政策評価(新規事業評価)導入の取組も進める。
また、上記の行政経営システム運用の一環として外部評価
を導入し、透明性・客観性を高めるとともに、全庁的な改革
改善実践運動を展開する。
34
経営再建プログラムで目指したもの
<NPMに基づく行政経営システム>

管 理:予算の執行管理、予算執行のための事業
の工程管理

マネジメント:事業実施による成果と実際のギャップを
発見して解決し、決められた目標達成を行
う
35
政権交代
第2ステージ その1
~事業見直しの影での幻惑の時代~
36
行政経営への取組(BY福岡市DNA2002)
これまでの行革
求める抜本的な行政経営改革
トップは最初の掛声だけで
あとは専門部署任せ
新たな手法導入
・外部専門家の評価
・外部機関、人材の活用
トップのリーダシップ
トップが率先して
継続的にリード
市民の参画・協働
・市民への情報公開
・市民との対話
・市民との協働
行革本部
自前の処方箋提示
局・室の使命
課・施設の使命
職員の意識改革
・現場レベルの改革改善実践活動
¶ 当事者意識なし(「やらせる人」と「やらされる人」に分離)
¶ その場しのぎ、一過性
¶ けちけち運動が中心となりがち
¶ 市民ニーズに立脚
¶ 自律改革(一人ひとりが改革の当事者)
¶ 学習と改善の持続的サイクル、次々にバージョンアップ
管理部門主導、上意下達型の改革手法は、本市では限界にきている。
求めるべき行政経営改革は、所管部局室、そして、現場職員が自律的に改革改善に取り組む環境をつくらない限り、抜本的な経営改革は望めない
37
尼崎市の目指す姿
求める抜本的な行政経営改革
トップマネジメント
新たな手法導入
・外部専門家の評価
・外部機関、人材の活用
トップのリーダシップ
トップが率先して
継続的にリード
市民の参画・協働
・市民への情報公開
・市民との対話
・市民との協働
権限・裁量
・達成すべき目標の明確化
・予算、人事等のインプット
に関する裁量
・インセンティブ
説明責任
・業績成果の報告
各局・室長
局・室の使命
課・施設の使命
職員の意識改革
・現場レベルの改革改善実践活動
¶ 市民ニーズに立脚
¶ 自律改革(一人ひとりが改革の当事者)
¶ 学習と改善の持続的サイクル、次々にバージョンアップ
権限・裁量
・達成すべき目標の明確化
・予算、人事等のインプット
に関する裁量
・インセンティブ
説明責任
・業績成果の報告
各課長
<業績マネジメント>
¶ 集権化・集中化(トップダウン:戦略レベルの意思決定)
・歳出総額の決定
・資源配分の優先順位付け
・全庁的目標設定
¶ 分権化・分散化(ボトムアップ:戦術レベルの意思決定)
・個別プログラムへの資源配分
・事務事業の選択
・運営費レベルの意思決定
38
目指していたもの

経営システム改革
⇒集権と分権による経営システム
⇒①分権するための目標設定
⇒②成果主義に基づく予算編成(枠配分予算編成)
⇒③目標と結果のギャップ評価の施策評価
⇒推進の補助エンジンとしての外部評価委員会の設置

現場からの改革改善実践運動
⇒YAAるぞ運動(DNA運動の模倣)
⇒即決・プロポーズ大作戦(プロポーザル運動の模倣)
39
一言で言うと
歳出総額の決定、資源配分の優先順
位付け、全庁的目標設定という長期的・
全体的な展望にたった意思決定をトッ
プ層に集権化
 この意思決定に基づく個別事務事業へ
の資源配分、事務事業の選択、運営費
などの具体的な遂行方法の意思決定を
所管局に分権

40
改革手法の乱立
第2ステージ その2
~幻惑から現実に~
41
改革手法の乱立
<新市長が目指した改革>
 住民との対話重視
 住民が行政運営の主体であり、住民の意見
という外圧を利用して、行政組織を揺るがし
行政の改革を行う
<私が目指した改革>
 住民に付託を受けた結果に対して説明する
 自ら責任を持ち決めることを決め、部下に任
せるところは任せつつ改革を行う
42
新しい行政経営改革の取り組み
年度
評価状況区分
主な取組内容
○経営再建プログラム策定
H14
H15
H16
事
務
事
業
評
価
実
施
を
中
心
と
し
た
新
し
い
行
政
経
営
シ
ス
テ
ム
の
構
築
○経営再建プログラム
・タウンミーティングの実施
・パブリックコメントの実施
・車座集会の開催
・外部の力に依存するのでは
なく、自ら変わる意識改革を、
行政改革に組み込んだ行政
経営改革に戦略の転換
○新たな行政経営システム構築
・タウンミーティング実施
集
権
と
分
権
シ
ス
テ
ム
導
入
と
機
能
強
化
市
民
と
の
対
話
強
化
・パブリックコメントの制度化
・車座集会実施
・市長室オープントークの実施
・ネットモニター制度の導入
市長交代
・市民との双方向のコニュニ
ケーション機能強化
・新規事業評価の導入(ハード事業を除く)
・施策評価委員会の設置(新規事業の外部評価実施)
・総合調整方針の発信
・YAAるぞ運動実施(全庁的改革改善実践運動)
・プロポーズ大作戦実施(職員提案制度)
○新たな行政経営システム構築
・三役と局長の政策課題の意見交換実施
・枠配分予算編成方式の一部導入
<出来なかったこと。
・目標設定
・評価と人事評価との連動
・民間経験者の職員採用
43
改革のつまづき
第2ステージ その3
~現実の世界で~
44
改革のつまづき
総額管理施策別枠配分予算編成方式導入
の失敗
 ツールである予算編成の方法が先走り、組織
がついてこれなかった
 担当者が全局長に、予算編成方法の変更を
個別に説明

(経営推進会議での指示とはいえ、独走の表れか・・・)
45
改革のつまづき総額管理施策別枠配分予算編成1
欲求段階に基づく事務事業の段階別分類
価値観が
より高い価値
多様化する
を求める
普通以上②:生涯学習、スポーツ活動、
第5段階
研究開発など
普通以上①:文化施設・文化財保全
第4段階
都市開発、企業誘致など
普通:保育・幼稚園、高等学校
第3段階
公園整備、相談・リハビリなど
最低限②:医療・福祉、生活保護
第2段階
価値観が
人の命に
一元化する
かかわるもの
第1段階
義務教育、生活道路など
最低限①:防災・防犯、救命救急
災害復旧など
このほかに、市役所内部の管理業務(第0段階:組織の維持)があります。
46
改革のつまづき総額管理施策別枠配分予算編成2
受益者区分(擬似的施策体系)
受益者
個人市民
法人市民
受益者特定
受益者非特定
=市民一般
△△局
組
織
別
に
区
分
受益内容で区分
◇◇局
☆☆局
××局
○○局
子ど も
(生産年齢未満)
年
代
で
区
分
生
産
年
齢
親
勤労者
女 性
※※局
▲▲局
その他
来訪者など)
(
高
齢
者
(
要
介
護
)
り
病
者
被
災
者
低
所
得
者
障
害
者
高齢者
・ 自立
★★局
47
改革のつまづき総額管理施策別枠配分予算編成3
一般財源配分検討資料
施策別削減配分額
(単位:千円)
0段階
市民一般
子ども
親
女性
勤労者
高齢者(自立者)
高齢者(要介護者)
心身障害者
り患者
被災者
低所得者
その他
事業者
内部
合計 A
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
202,547
202,547
2段階
1段階
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3段階
85,697
35,651
15,784
437
1,777
28
39
6,390
0
434
22
0
960
0
147,219
4段階
80,850
617
6,104
1,028
0
0
285
1,639
0
0
0
0
4,161
0
94,684
5段階
35,443
941
57
2,270
1,139
5,760
0
28
0
0
0
986
8,925
0
55,549
合計
201,990
37,209
21,945
3,735
2,916
5,788
324
8,057
0
434
22
986
14,046
202,547
499,999
48
改革のつまづき総額管理施策別枠配分予算編成4
<各局長説明資料より>
Ⅰ.導入目的
1.行政全体を鳥瞰した施策(受益者)別の経
営資源配分の意思決定
2.経営資源配分意思決定により、各局室へ
の権限委譲を行い、自律した経営を目指す
49
もう1つのつまづき(スプリングレビュー)
行政経営システム年間スケジュール
4月
5月
6月
7月
出納閉鎖期間
8月
9月
10月
前年度評
価書公表
前年度
評価書
説明
議
会
施
委
策
員
評
会
価
経
営
幹
部
評価
結果
説明
3月
4月
事業執行
予算案公表
修正
結果
説明
決算審査
2月
審議期間
評価結果公表
レビュー結果公表
・パブリックコメン
ト
・出前講座など
新規検討事業
及び
施策評価の
2次評価
総合調整方
針策定
外部評価及び2次評価
のための
・事務事業再構築調整
・新規事業調整
各局と3役の
課題の整理
枠配分額検討
財
企
政
画
局
行
政
評
価
1月
予算審議
施策評価委員会
施策評価
行政経営
運営方針
策定
事
再
務
構
事
築
業
12月
意見聴取期間
市
民
所
管
局
室
11月
レビュー期間
各局内
課題整理
前年度
評価分析
サマーレビュー
・事務事業再構築
・新規事業構築
前年度
決算評価書作成
プレゼン
・施策評価委員会
・2次評価
パブコメなど
による修正
の検討
予算編成
予
算
案
審
議
事業
実施
前年度
評価
分析
50
尼崎市の総括
公式見解と独断と偏見に基づく総括
51
尼崎市の今後の展開(公式見解)
<課題>
 導入したシステムが未成熟
 システム相互の連携がない
事務事業評価の熟度を上げる
 行政経営推進室の所管する仕組みを事
務事業評価を中心に組み替える

52
尼崎市の本質的課題(私見)
経営トップ層の経営スタイルと目指したNPM
に基づく行政経営システムとが不整合
 経営トップ層の考えの不整合による改革推進
力の問題
 職員の意識は、改革が持続的であるか懐疑
的である
 職員の年齢構成上の問題から、改革を推進
する役職者が少ない
 組織的に改革が推進されていない

53
行政経営改革の本質的問題

行政改革:事務事業の見直+行政経営改革
行政経営改革は、内部統制の改革である
 内部統制は、経営者が形成するものである
 内部統制のあり方は、経営者のスタイルに適
合したものでなければならない
 NPMのスタイルは、万能ではない



事務事業の見直しを決定するのは、政治システムの領域
政治システムでは、理屈の世界で決定されない
(時には、評価と政治的判断が乖離することがある)
54
自分自身の総括
おまけ
~要らんと言われるかもしれませんが~
55
雑感


表面だけを見るのではなく、本質を見極める力を養
うことが重要
役所の根幹は財政であるが、財政課を中心とした
改革が実現しなかった
(調整課により枠配分予算編成方式への変更を行う)


現状において自己の出来ることの限界を感じ、当面
は自分を肥やす時期と決め、大学院で基礎を学び
直すこととした(でも、会計学です・・・)
また、自分自身の財政などの知識不足を痛感し、小
西先生主宰の地方財政アカデミーで学ぶ
56
雑感2(地方財政アカデミーでの気づき)

某市スーパー財政課長の注意していること
①現場での管理事務を増やさない工夫
②現場のキーパーソンの巻き込みが必要
③トップには、苦言を呈することも時には必要

小西先生
★信頼された分だけ改革ができる
⇒独り突っ走らず、組織総体が変革できるように、緩
やかに進めることが重要
⇒理屈を学んでも、信頼がなければ改革はできない
57