LCCの展望 ~アジア市場を掴め~

名古屋市立大学経済学部
森田ゼミ
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LCC研究の動機
 2012年、日本にLCC各社が相次いで就
航。
「LCC元年」と呼ばれる。
 魅力的な価格設定。
日本のLCCはどうなっていくの
か?
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目次
第1章:LCCとは?
第2章:LCCの現状と考
察
第3章:乗り継ぎと第2拠
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第1章:LCCとは?
 Low Cost Career の略。格安航空会社の総
称。
 明確な定義は無いが、大手航空会社(日本で
言うANAやJAL)に比べて低価格なのが特
徴。
 世界の航空市場における、座席数のシェアは
26.4%(2012年)。2001年より増加傾向。
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LCC安さの秘密は?
 LCC最大の特徴は低価格
→その理由は?
・機材の統一
・座席数の最大化
・サービスの簡素化
・チケットのネット販売
・機材稼働率の最大化
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収入費用構造(1便あたり)
費用
収入
損益分岐点①
総費用
変動費
損益分岐点②
損益分岐点③
固定費
旅客数
ANA 航空会社の経営~ネットワークキャリアとLCC(2011)より参照
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第2章
LCCの現状と考
察
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日本のLCC、各社路線(国内線)
エアアジアジャパン
ピーチ
ジェットスタージャパ
ン
成田⇔札幌(新千歳)
関西⇔福岡
成田⇔札幌(新千歳)
成田⇔福岡
関西⇔札幌(新千歳)
成田⇔福岡
成田⇔那覇
関西⇔長崎
成田⇔那覇
中部⇔札幌(新千歳)
関西⇔鹿児島
成田⇔関西
中部⇔福岡
関西⇔那覇
成田⇔松山
関西⇔仙台
成田⇔鹿児島
関西⇔石垣
成田⇔大分
関西⇔成田
関西⇔福岡
那覇⇔石垣
関西⇔札幌(新千歳)
関西⇔那覇
中部⇔福岡
中部⇔札幌(新千歳)
中部⇔鹿児島
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就航当時よ
り、
順調に路線を
拡大!!
国際線
・路線数が少な
い
エアアジア
ジャパン
ピーチ
成田⇔仁川
関西⇔仁川
成田⇔釜山
関西⇔台北
ジェットス
タージャパン
・近隣諸国ばか
り
なし
成田⇔台北
関西⇔香港
中部⇔仁川
那覇⇔台北
国際線の拡大が、日本のLC
Cの発展につながるので
は!?
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海外旅行客数の推移
(千
20,000
人)
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
リーマン
ショック
日本人海外旅行客数
訪日外国人旅行客数
東北大震災
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出典http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6900.html
国別 訪日外国人客数
国・地域
総数[人]
2012年1月~9月
総数
韓国
中国
台湾
香港
タイ
シンガポール
マレーシア
インドネシア
フィリピン
ベトナム
インド
豪州
米国
カナダ
英国
フランス
ドイツ
ロシア
その他
6314030
1491118
1251058
1096275
366981
179129
89695
86457
71725
62573
40660
51368
149126
533989
99609
126615
94911
77731
35053
409957
2013年1月~9月
伸率(%)
7731400
1944200
994900
1669900
548600
285200
115000
104200
98200
77700
60900
57300
180100
592100
111200
141200
116000
88500
44900
501300
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出典:日本政府観光局
22.4
30.4
-20.5
52.3
49.5
59.2
28.2
20.5
36.9
24.2
49.8
11.5
20.8
10.9
11.6
11.5
22.2
13.9
28.1
22.3
東南アジアは伸
率20%~6
0%
欧米は伸率
10%~2
0%
東南アジア市場に目を向け
る
 東南アジア地域の増加率は非常に高い
→要因・・・人口の増加
GDP成長率の高さ
所得階層における中間層の拡
大
→非常に魅力的な市場!
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現状からの考察
 日本のLCCの国内線は順調に路線を拡大
してるのに対し、国際線は規模が小さい。
 訪日外国人客数自体は増加
 特に東南アジアの市場は魅力的
→東南アジアにつなげることが発展につなが
る。
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第3章
乗り継ぎと第2拠
点
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今後の日本のLCC発展への提
案
東南アジア市場を取り入れる。
→①「乗り継ぎ」を用いる。
②経由地(第2の拠点)とする空港を探
す。
この2点を取り入れた戦略がポイントに!
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問題点
 東南アジアに就航していきたい。
→拠点としている空港からは4時間の壁で
直通
では東南アジアに行けない。
 4時間の壁とは
→ピーチ社長がつくった、乗客がLCCの
座席
に座っていられる限度。
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成田空港
関西空港
4時間では東南アジアに行けない!
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日本と東南アジアの空港をつなぐには
2つのパターンがある。
A. 直行便
4時間の壁を無視して直接、東南アジアに
繋ぐ。
B. 乗り継ぎ
日本と東南アジアとの間にある、空港を中
継点
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「直行便」と「乗り継ぎ」の比
較
事例:ピーチにおける直行便(大阪ー台北)と乗り継ぎ
(大阪ー那覇ー台北)の比較
 直行便
大阪
2時間10分
¥7080
 乗り継ぎ
待ち時間
2時間20分 1時間
40分
¥4590
¥4780
大阪
那覇
台北
台北
*各運賃は最安値を用いてい
る
運賃差:(¥4590+¥4780)-¥7080=¥2290
時間差:(2時間20分+1時間+40分)-2時間10分=1時間50分
↓
運賃、時間の面では直行便有利!
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 運賃、移動時間の観点より直行便有利
→では、直行便ではダメなのか?
 直行便のデメリット
一度のフライト時間が長くな
る。
日本のLCCにとって最大の問題
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 日本のLCC・・・
→就航したばかりで、資本力が乏しい。
長距離フライトに不向きな小型機が中心
→大型機の購入は困難
異なる機材の購入は機材の複数化を招き、
余計なコストがかかる。
→日本のLCCの現状を考慮すると、
乗り継ぎのほうがよい!
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乗り継ぎのメリット
 二地点への観光
→A地点で観光し、その後B地点に観
光
出発地
 より多くの利用者を取り込める
→A地点に行きたい人、B地点に行き
たい人の両方の利用者を呼び込む
ことが可能
経由地をどこにするかで、
乗り継ぎのメリットは大きく
変わる
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A
経由地
B
目的地
経由地の選択
 経由地の空港に求めるものは・・・
①東南アジアにより近い
②空港が混雑していない
③観光としての魅力
→どこの空港が良いのか?
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那覇空港の検討
 ピーチが那覇空港を第2の拠点とし、
国際線拡大を検討中。
 経由地としてふさわしいかどうか、考えて
みたい。
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地理条件
 日本で東南アジア
に一番近い。
→ 4時間以内にたく
さんの東南アジア
国に飛ばすことが
可能。
那覇空港
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滑走路状況
 福岡空港(H.24年度データ)
滑走路
1本
発着回数
155968回/年
 那覇空港(H.24年度データ)
滑走路
1本
発着回数
146424回/年
滑走路1本あたりの
離着陸回数
日本一
滑走路1本あたり
離着陸回数
日本二
那覇を拠点に東南アジア路線を就航すると
滑走路が混雑し、遅延が生じる危険性
が・・・
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LCCを就航するのは、不適ではないの?
しかし・・・
2019年末、2本目の滑走路が完成予定であり、
那覇に就航しても便数への対応が可能!!
現時点では、②を満たしていないが
将来的には、②を満たすため、
那覇を経由地とするのは適している!
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沖縄の観光
 日本でも屈指の観光地。
→首里城をはじめとした世界遺産、きれいな
ビーチ
→国内だけでなく外国からの旅行客も増加中。
 数次ビザを発行して、気軽に行くことができ
る。
→3年間有効で、滞在期間も従来の15日から
90日となっている。
28
沖縄への旅行客数
80
(万
70
60
50
H.22年度
H.23年度
H.24年度
H.25年度
40
30
20
10
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月 1月
2月
3月
上半期の旅行者数は前年と比べて、12.8%増
加
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 以上の点より・・・
→求められる経由地としての条件のうち、
①と③は満たされている。
②の条件については、現時点では満たさ
れていないが、今後改善の見込みあり。
→経由地として、那覇空港は適してい
る!
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全体まとめ
 今後の日本のLCCの発展のために
は・・・
海外旅行者数が増加する中で、特に顕著な
東南アジア市場を取り込むことが重要。
そのために那覇空港を
乗り継ぎなどのための第2拠点とし
て置く。
31
参考文献
・
わが国におけるLCCの台頭と空港政策
空港研究部長 傍士 清志
・
増収企業が8割占める~LCC3社は格差が鮮明に~
帝国データバンク
・ 海外旅行客数の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6900.html
・ 平成25年度上半期入域観光客統計概況
日本政府観光局
・ ANA 航空会社の経営~ネットワークキャリアと
LCC(2011)
・ ピーチ ジェットスタージャパン エアアジアジャパン
各社のHP
32
・ 世界地図 円作図http://www.nanchatte.com/map/circleService.html
・