平成16年度 建築研究所講演会 場所: 有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階) 日時: 2005年3月18日(金)10:00~16:50 地震リスク・マネジメント技術を活用した 地震対策の普及 高橋 雄司 博士(工学) Technology for Wonderful Life! 本日の話題 1. 地震リスク・マネジメントとは? 2. 地震RM技術の適用例 3. 地震RM技術の実用化 4. まとめ 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 1/21 1.地震リスク・マネジメントとは? = 自分の建物に合った地震対策を選ぶこと。 工事費用 無補強 0万円 強度型 3,000万円 制振(制震) 免震 5,000万円 8,000万円 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 2/21 地震リスク = LCC(ライフサイクル・コスト) LCC 無補強 強度型 免震 制振(制震) 8,000万円 5,000万円 3,000万円 0万円 経過時間 建物の使用期間 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 3/21 地震リスク(LCC)の計算式 K LCC CI E CD (m j ) all sources j 1 初 期 費 用 t 0 T f t0 修 理 費 用 n 1 地 震 が 起 き た と き の 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ Tnth (m j , t | T t0 )dt 地 震 の 発 生 確 率 4/21 地震の発生確率 K LCC CI E CD (m j ) j 1 t 0 tlife fW (m j , t | W1 t0 )dt n 1 t n 0 確率密度 マグニチュード 8.5 8 7.5 7 6.5 6 5.5 5 4.5 1750 0.07 0.06 99% 0.05 0.04 0.03 0.02 1800 1850 1900 2000 0.01 西暦(年) 0 1950 宮城県沖の地震 1978 前回の地震 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 1998 2005年 2018 2038 西暦(年) 5/21 地震が起きた場合の被害額 K fW (m j , t | W1 t0 )dt n 1 t CDD((mmj )j ) LCC CI E EC j 1 t 0 tlife n 0 ← 社会・経済学 ← 構造工学 地表 工学基盤 断層 表層地盤 岩盤 ← 地盤工学 ← 地震学 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 6/21 E[CD(mj)]を求めるためのシミュレーション・モデル 梅コース(簡易法) 竹コース(詳細法) 松コース(超詳細法) 建物全体の CD(mj) 建物全体の CD(mj) 建物全体の CD(mj) 層ごとの費用算出 部材ごとの費用算出 限界耐力計算 多質点系の応答解析 地盤-建物系のFEM解析 応答スペクトル×地盤増幅 SHAKEによる地盤増幅 基盤面の応答スペクトル 基盤面の地震動(時刻歴) 基盤面の地震動(時刻 歴) 距離減衰式 統計的グリーン関数法 ハイブリッド・グリーン関数法 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 7/21 2.地震RM技術の適用例 大地震の発生確率は99%。どの地震対策を選ぶべきか? 築40年 IS=0.3! 検討する集合住宅(再調達価格:8億5千万円) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 8/21 地震対策の比較 無補強(0千万円) 制振(2億9千万円) 強度型(8千万円) 免震(3億8千万円) 9/21 建物の位置(★)と震源域(□) 確率密度 0.07 0.06 99% 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0 1978 前回の地震 K LCC CI E CD (m j ) j 1 1998 2005年 2018 2038 西暦(年) t 0 tlife fW (m j , t | W1 t0 )dt n 1 t n 0 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 10/21 地震による被害額の計算(地面の揺れ) K f LCC CI E E CD ( m j ) j 1 t 0 tlife n 1 t0 加速度 acc./g 0.70 0.35 0.35 0 -0.35 -0.70 (m j , t | W1 t0 )dt 加速度 acc./g 0.70 0 Wn 10 20 t(s) 時間 (秒) 30 0 0 10 -0.35 -0.70 20 t(s) 時間 30 (秒) 宮城県沖地震による地面の揺れ 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 11/21 地震による被害額の計算(建物の揺れ) 階 階 階 階 11 11 11 11 10 10 10 10 9 9 9 9 8 8 8 8 7 7 7 7 6 6 6 6 5 5 5 5 4 4 4 4 3 3 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 00 0.02 0.04 0.06 00 0.02 0.04 0.06 00 0.02 0.04 0.06 00 0.02 0.04 変形 変形 変形 変形 無補強 強度型 制振(制震) 免震 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 0.06 12/21 地震による被害額の計算(被害額) 被害額 被害額 被害額 被害額 40 40 40 40 30 30 30 30 20 20 20 20 10 10 10 10 0 100 1 0 100 1 0 100 1 0 100 1 サンプル番号 サンプル番号 サンプル番号 サンプル番号 無補強 強度型 制振(制震) 免震 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 13/21 地震対策のLCCの比較 K fW (m j , t | W1 t0 )dt n 1 t mjj)) LCC CI E CCDD((m j 1 t 0 tlife n 0 LCC(億円) LCC(億円) 30 無補強 25 20 15 3.78 10 2.85 5 0.84 0 制振(制震) 強度型 免震 0 10 20 30 2005 2015 2025 2035 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 40 使用期間(年) 使用期間(年) 2045 終了年(西暦) 終了年(西暦) 14/21 3.地震RM技術の実用化 公団、設計事務所、ゼネコン、ソフトメーカー、建材メーカー 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 15/21 実用化を目指した共同研究 大和ハウス工業㈱ コンソーシアム ㈱一条工務店 ㈱日建設計 ㈱鴻池組 都市再生機構 ㈱竹中工務店 ㈱構造計画研究所 ㈱ブリヂストン 建築研究所 三井住友建設㈱ ㈱ピーエス三菱 ㈱フジタ 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 16/21 宮城県および高知県における防災セミナー ずれ=6m ずれ=3m 宮城県沖地震(M7.5、99%) 南海地震(M8.4、40%) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 17/21 ㈱ピーエス三菱 事務所ビル(補強前) 鉄骨ブレースによる補強 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足1/9 ㈱鴻池組 共同住宅の改修 制震ダンパー (粘弾性ダンパー) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足2/9 ㈱竹中工務店 免震装置 宿泊施設の改修 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足3/9 ㈱日建設計 庁舎の改修 制振ダンパー (鋼材ダンパー) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足4/9 ㈱フジタ 新築オフィス 免震装置 補足5/9 三井住友建設㈱ 病院の改修 制震ダンパー (粘性ダンパー) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足6/9 ㈱構造計画研究所 工場の改修 制震ダンパー (オイル・ダンパー) 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 補足7/9 ㈱ブリヂストン 木造戸建住宅 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 免震装置 補足8/9 大和ハウス工業㈱ 風揺れ固定装置 パンタグラフ式 減衰装置 単球式転がり支承 鉄骨戸建住宅 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 免震装置 補足9/9 一般市民向け防災セミナーの様子(高知) 講演中 展示・個別相談 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 18/21 マスコミ報道 翌日の読売新聞(東北版) 翌日の高知新聞 19/21 4.まとめ 1. 地震リスク・マネジメントとは? ・自分に合った地震対策を選ぶこと ・最新の知見を活用した地震リスク分析 2. 地震RM技術の適用例 ・地震危険度の高い地域(宮城・高知)を対象 ・地震対策の効果を検証 3. 地震RM技術の実用化 ・基礎研究 → 共同研究 → 社会への還元 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 20/21 4.まとめ(今後の展開) ◇ 適用事例の蓄積&セミナー開催 ・宮城・高知 → 首都圏(東京、神奈川など) ・海溝型地震 → 活断層(直下型地震) ◇ 複数建物の耐震改修の優先順位検討 ・一つの建物 → 複数建物 E-mail: takahasi@kenken.go.jp HP: 「高橋雄司 建築研究所」で検索 高橋 雄司 @ 住宅・都市研究グループ 21/21
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